JP2006137365A - 車輪支持用軸受ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】 各スタッド11のピッチ円直径PCDS を100〜205mmの範囲内の値とし、且つ、第一の軸受部のピッチ円直径PCD1 を第二の軸受部のピッチ円直径PCD2 よりも大きくした構造に於いて、車輪支持用軸受ユニットを分解する事なく、上記各スタッド11を各取付孔10から抜き取る事ができ、しかも上記第一の軸受部の耐久寿命を十分に確保できる構造を実現する。
【解決手段】 上記各スタッド11と上記第一の軸受部とのPCD比(PCD1 /PCDS )を、0.7以下とする。この構成を採用する事により、上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、自動車の車輪及びブレーキロータ等の制動用回転部材を懸架装置に対して回転自在に支持する為に使用する車輪支持用軸受ユニットの改良に関する。
自動車の車輪及び制動用回転部材は、車輪支持用軸受ユニットにより、懸架装置に対して回転自在に支持する。図3は、この様な車輪支持用軸受ユニットの従来構造を示している。この車輪支持用軸受ユニットは、ハブ1と、外輪2と、それぞれが転動体である複数個の玉3、3とを備える。このうちのハブ1は、ハブ本体4と内輪5とを組み合わせて成る。更に、このうちのハブ本体4は、外周面の外端(軸方向に関して外とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側を言い、図1、3、4の左側。反対に、車両の幅方向中央側となる図1、3、4の右側を、軸方向に関して内と言う。本明細書及び特許請求の範囲の全体で同じ。)寄り部分に、車輪及び制動用回転部材を支持する為の取付フランジ6を、同じく中間部に第一の内輪軌道7aを、同じく内端部にこの第一の内輪軌道7aよりも外径寸法が小さくなった小径段部8を、それぞれ形成している。そして、この小径段部8に上記内輪5を外嵌すると共に、上記ハブ本体4の内端部を径方向外方に塑性変形させて形成したかしめ部9により、上記内輪5を上記ハブ本体4に固定している。この内輪5の外周面には、第二の内輪軌道7bを形成している。
又、上記取付フランジ6の円周方向複数個所に円形の取付孔10を、それぞれ当該個所を軸方向に貫通する状態で形成している。そして、これら各取付孔10にスタッド11の基端部を、それぞれ軸方向内側から圧入している。これにより、これら各スタッド11を上記取付フランジ6に支持固定している。尚、これら各スタッド11のピッチ円直径PCDS は、車輪支持用軸受ユニットを組み込む自動車の種類により異なるが、一般的には100〜205mmの範囲に設定される。
又、上記外輪2は、内周面に上記第一の内輪軌道7aに対向する第一の外輪軌道12a及び上記第二の内輪軌道7bに対向する第二の外輪軌道12bを、外周面に懸架装置に結合固定する為の結合フランジ13を、それぞれ形成している。又、上記各玉3、3は、上記第一、第二の各内輪軌道7a、7bと上記第一、第二の各外輪軌道12a、12bとの間にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けている。又、図示の例では、上記第一の内輪軌道7aと上記第一の外輪軌道12aとの間に設けた各玉3、3(第一の転動体列)のピッチ円直径PCD1 と、上記第二の内輪軌道7bと上記第二の外輪軌道12bとの間に設けた各玉3、3(第二の転動体列)のピッチ円直径PCD2 とを、互いに等しく(PCD1 =PCD2 )している。尚、図示の例では、転動体として上記玉3を使用しているが、重量の嵩む自動車用の軸受ユニットの場合には、円すいころを使用する場合もある。
上述の様に構成する車輪支持用軸受ユニットの使用時には、上記結合フランジ13を懸架装置に結合固定すると共に、上記取付フランジ6の外側面に車輪及び制動用回転部材を、上記各スタッド11、11と図示しないナットとを利用して支持固定する。この結果、上記車輪及び制動用回転部材を懸架装置に対して回転自在に支持する事ができる。
ところで、上述した様な車輪支持用軸受ユニットには、主に自動車の旋回時に、路面反力に基づくモーメント荷重が負荷される。この際に上記車輪支持用軸受ユニットは、上記ハブ1が上記外輪2に対して曲げられる態様で弾性変形し、上記取付フランジ6の中心軸が上記結合フランジ13の中心軸に対して傾く傾向となる。この様にして生じる傾きは、自動車の走行安定性やブレーキ性能に悪影響を及ぼす。この為、これら走行安定性やブレーキ性能を向上させる観点から、上記車輪支持用軸受ユニットとしては、上記モーメント荷重に基づく上記中心軸同士の傾きを十分に抑えられる構造、即ち、モーメント剛性を十分に高められる構造を採用するのが望ましい。尚、車輪支持用軸受ユニットのモーメント剛性は、上記第一、第二の各転動体列のピッチ円直径PCD1 、PCD2 を大きくする程、大きくなる。但し、これら両ピッチ円直径PCD1 、PCD2 を双方ともに大きくすると、車輪支持用軸受ユニットが徒に大型化すると共に重量が増大する為、自動車のばね下重量の増大を抑える観点から、好ましくない。従って、車輪支持用軸受ユニットとしては、この様に徒に大型化したり重量が増大する事なく、モーメント剛性を高められる構造を採用するのが望ましい。
この様な要望に応えられる車輪支持用軸受ユニットとして、特許文献1には、図4に示す様な構造が記載されている。この特許文献1に記載された車輪支持用軸受ユニットの場合には、第一の転動体列のピッチ円直径PCD1 を第二の転動体列のピッチ円直径PCD2 よりも大きく(PCD1 >PCD2 )する構成を採用する事により、上記車輪支持用軸受ユニットのモーメント剛性を高めている。この様に構成する車輪支持用軸受ユニットの場合には、モーメント剛性を高める為に上記PCD1 のみを大きくしている為、徒に大型化したり重量が増大する事を防止できる。尚、図示の構造の場合、第二の内輪軌道7bも、ハブ1aの内端部外周面に直接形成している。
ところが、上述の図4に示した車輪支持用軸受ユニットの場合には、次の様な不都合な点がある。即ち、一般に、車輪支持用軸受ユニットでは、使用後のメンテナンス時に、取付フランジ6に固定したスタッド11を交換する場合がある。この場合に、上記車輪支持用軸受ユニットを分解する事なく、上記スタッド11を取付孔10から軸方向内側に向けて抜き取る事ができれば、このスタッド11の交換作業を容易に行なえる。ところが、上述の図4に示した車輪支持用軸受ユニットの場合には、上記PCD1 を大きくした事に伴い、外輪2aの外端部(図示の例では、この外端部に外嵌したシール環15)の外径dが、各スタッド11の基端部に設けた頭部14の内接円の直径Dよりも大きく(d>D)なっている。この為、上記外輪2aの外端部が邪魔になって、上記スタッド11を上記取付孔10から軸方向内側に向けて抜き取る事ができず、このスタッド11の交換作業を容易に行なう事ができない。
そこで、この様な不都合を解消できる様に、上記PCD1 の大きさを規制する事が考えられる。但し、この場合に当該規制の仕方を誤ると、第一の転動体列を含んで構成する第一の軸受部の基本動定格荷重が低下し、この第一の軸受部の耐久寿命を十分に確保できなくなる可能性がある為、注意を要する。
特開昭57−6125号公報
本発明の車輪支持用軸受ユニットは、上述の様な事情に鑑み、モーメント剛性を向上させる事ができる構造(PCD1 >PCD2 とする構造)で、使用開始後のメンテナンス時に、車輪支持用軸受ユニットを分解する事なく、スタッドを取付孔から軸方向内側に向けて抜き取る事ができ、しかも第一の軸受部の耐久寿命を十分に確保できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の車輪支持用軸受ユニットは、ハブと、外輪と、複数個の転動体とを備える。
このうちのハブは、外周面の軸方向外端側部分に車輪及び制動用回転部材を支持する為の取付フランジを、同じく軸方向中間部に第一の内輪軌道を、同じく軸方向内端側部分に第二の内輪軌道を、それぞれ設けている。これと共に、上記取付フランジの円周方向複数個所に取付孔を、それぞれ当該個所を軸方向に貫通する状態で形成し、且つ、これら各取付孔にスタッドを、それぞれ軸方向内側から挿入した状態で支持している。
又、上記外輪は、内周面に、上記第一の内輪軌道に対向する第一の外輪軌道、及び上記第二の内輪軌道に対向する第二の外輪軌道を形成している。
又、上記各転動体は、上記第一、第二の各内輪軌道と上記第一、第二の各外輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けている。
更に、上記第一の内輪軌道と上記第一の外輪軌道との間に設けられた各転動体(第一の転動体列)のピッチ円直径PCD1 を、上記第二の内輪軌道と上記第二の外輪軌道との間に設けられた各転動体(第二の転動体列)のピッチ円直径PCD2 よりも大きく(PCD1 >PCD2 )し、且つ、上記各スタッドのピッチ円直径PCDS を100〜205mmの範囲内の値に規制している。
特に、本発明の車輪支持用軸受ユニットに於いては、PCD1 /PCDS ≦0.7としている。
上述の様に構成する本発明の車輪支持用軸受ユニットによれば、使用後のメンテナンス時に、車輪支持用軸受ユニットを分解する事なく、各スタッドを各取付孔から軸方向内側に向けて抜き取る事ができ、しかも第一の転動体列を含んで構成する第一の軸受部の耐久寿命を十分に確保できると言った、所望の効果を得られる構造を実現できる。この理由に就いて、以下、図2を参照しつつ説明する。
図2は、PCDS を100〜205mmの範囲内の値に規制した車輪支持用軸受ユニットに関する、上記第一の転動体列と上記各スタッドとのPCD比(=PCD1 /PCDS )と、上記第一の軸受部の基本動定格荷重との関係を示すグラフである。この図2のグラフ中、右側の実線(直線)αで結ばれた各プロット「□」はそれぞれ、上記各スタッドを上記各取付孔から軸方向内側に抜き取れる様にした限界仕様(d=Dとする仕様。ここで、dは、外輪の外端部の外径を、Dは、上記各スタッドの基端部に設けられた頭部の内接円の直径を、それぞれ示す。後述する図1参照。)を採用すると共に、形状的に成立し得る種々の仕様(上記外輪の外端部の肉厚を一定として、上記PCD1 、上記第一の軸受部を構成する各玉の直径、及びこれら各玉の総数の組合わせを、互いに異ならせた種々の仕様)を採用した、複数の車輪支持用軸受ユニットに就いてのデータである。従って、上記PCD比と上記基本動定格荷重との関係が、上記実線αよりも右側の領域にプロットされる車輪支持用軸受ユニットは、上記各スタッドを上記各取付孔から軸方向内側に向けて抜き取れない構造となる。又、上記図2のグラフ中、左上の破線βで囲まれた領域内の各プロット「○」はそれぞれ、前述の図3に示した車輪支持用軸受ユニットの場合と同様、PCD1 =PCD2 とする仕様を採用した、従来から市場に出回っている(実際に使用されている)複数の車輪支持用軸受ユニットに就いてのデータである。尚、上記図2のグラフ中、一点鎖線(横線)γは、上記破線βで囲まれた領域内のデータのうち、最低レベルの基本動定格荷重を示す線である。
この図2に示したグラフから明らかな様に、車輪支持用軸受ユニットを分解する事なく、上記各スタッドを上記各取付孔から軸方向内側に向けて抜き取る事ができ、しかも上記第一の軸受部の耐久寿命を十分に確保できると言った、所望の効果を得られる様にする為には、上記PCD比と上記基本動定格荷重との関係が、上記実線αの左側で且つ上記一点鎖線γの上側の領域{斜格子を付した領域(実線α及び一点鎖線γを含む)}内にプロットされる構成を採用する必要がある。ここで、上記実線αと上記一点鎖線γとの交点Qに於けるPCD比は0.7であり、この0.7と言う値が、上記斜格子を付した領域に於けるPCD比の最大値になっている。従って、上述した所望の効果を得られる様にする為には、少なくともPCD比が0.7以下(PCD1 /PCDS ≦0.7)であると言う条件を満たす必要がある。これに対し、本発明の車輪支持用軸受ユニットの場合には、PCD1 /PCDS ≦0.7と言う条件を満たしている。この為、上述した所望の効果を得られる構造を実現できる。
本発明を実施する場合に、好ましくは、上記PCD比を0.3以上(0.3≦PCD1 /PCDS ≦0.7)とする。
この理由は、上記PCD比を0.3よりも小さく(PCD1 /PCDS <0.3)すると、車輪支持用軸受ユニットの全体のバランスが崩れて、モーメント剛性を十分に確保するのが難しくなる等の不都合を生じる可能性がある為である。
図1〜2は、本発明の実施例を示している。本実施例の車輪支持用軸受ユニットは、前述の図4に示した車輪支持用軸受ユニットの場合と同様、第一の転動体列のピッチ円直径PCD1 を、第二の転動体列のピッチ円直径PCD2 よりも大きく(PCD1 >PCD2 )する事により、車輪支持用軸受けユニットのモーメント剛性を高めている。その他の部分の基本構造及び作用は、前述の図3に示した車輪支持用軸受ユニットの場合とほぼ同様である為、同等部分には同一符号(又は同一符号にアルファベットを付加した符号)を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分を中心に説明する。
本実施例の場合には、上記第一の転動体列と各スタッド11とのPCD比(=PCD1 /PCDS )を、0.7以下としている。これと共に、上記第一の転動体列を含んで構成する第一の軸受部の諸元(例えば、上記PCD1 の値、各玉3の直径、及びこれら各玉3の総数等)を調節している。そして、この調節を行なう事により、上記PCD比と上記第一の軸受部の基本動定格荷重との関係が、図2のグラフに於いて、斜格子を付した領域にプロット(例えば、実線δで囲んだ、それぞれ記号「▲」で示した2個所のうちの何れか1個所にプロット)される様にしている。
上述の様に、本実施例の車輪支持用軸受ユニットの場合には、上記PCD比と上記第一の軸受部の基本動定格荷重との関係が、図2のグラフに於いて、斜格子を付した領域にプロットされる様にしている。この為、使用後のメンテナンス時に、車輪支持用軸受ユニットを分解する事なく、各スタッド11を各取付孔10から軸方向内側に向けて抜き取る事ができ、しかも第一の軸受部の耐久寿命を十分に確保できる。又、PCD1 >PCD2 とした事に伴い、モーメント剛性を、PCD1 =PCD2 とした従来構造に比べて、20〜30%向上させられる。
本発明の実施例を示す断面図。 PCD比と第一の軸受部の基本動定格荷重との関係を示すグラフ。 従来から知られている、第一、第二の各転動体列のピッチ円直径が互いに等しい車輪支持用軸受ユニットの1例を示す半部断面図。 第一の転動体列のピッチ円直径が第二の転動体列のピッチ円直径よりも大きい車輪支持用軸受ユニットの従来構造を示す断面図。
符号の説明
1、1a、1b ハブ
2、2a、2b 外輪
3 玉
4、4b ハブ本体
5 内輪
6 取付フランジ
7a、7b 内輪軌道
8 小径段部
9 かしめ部
10 取付孔
11 スタッド
12a、12b 外輪軌道
13 結合フランジ
14 頭部
15 シール環

Claims (1)

  1. 外周面の軸方向外端側部分に車輪及び制動用回転部材を支持する為の取付フランジを、同じく軸方向中間部に第一の内輪軌道を、同じく軸方向内端側部分に第二の内輪軌道を、それぞれ設けると共に、上記取付フランジの円周方向複数個所に取付孔を、それぞれ当該個所を軸方向に貫通する状態で形成し、且つ、これら各取付孔にスタッドを、それぞれ軸方向内側から挿入した状態で支持しているハブと、内周面に上記第一の内輪軌道に対向する第一の外輪軌道及び上記第二の内輪軌道に対向する第二の外輪軌道を形成した外輪と、これら第一、第二の各内輪軌道と第一、第二の各外輪軌道との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備え、上記第一の内輪軌道と上記第一の外輪軌道との間に設けられた各転動体のピッチ円直径PCD1 を、上記第二の内輪軌道と上記第二の外輪軌道との間に設けられた各転動体のピッチ円直径PCD2 よりも大きくし、且つ、上記各スタッドのピッチ円直径PCDS を100〜205mmの範囲内の値に規制している車輪支持用軸受ユニットに於いて、PCD1 /PCDS ≦0.7とした事を特徴とする車輪支持用軸受ユニット。
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