JP7047388B2 - 車輪用軸受装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の車輪用軸受装置の一例を示す断面図である。車輪用軸受装置(ハブユニット)10は、自動車の車体側に設けられている懸架装置(ナックル)に取り付けられ、車輪を回転可能に支持する。車輪用軸受装置10は、筒状の外輪部材12と、内軸部材11と、転動体13と、保持器14と、軸方向一方側に設けられている第一のシール15と、軸方向他方側に設けられている第二のシール16とを備えている。車輪用軸受装置10において、軸方向とは、車輪用軸受装置10の中心軸C(以下、軸受中心軸Cという)に平行な方向である。また、径方向とは前記軸方向に直交する方向である。
以上の構成を備えている車輪用軸受装置10の製造方法について説明する。図2は、製造方法を示すフロー図である。この製造方法には、車輪用軸受装置10(図1参照)を構成する各要素を製造する工程(製造工程)S10と、製造工程S10により得られた各要素を組み立てる組み立て工程S20とが含まれる。ハブ軸23以外の要素の製造方法については、従来と同様の方法であり、ここでは説明を省略する。ハブ軸23を製造する方法(ハブ軸製造工程)は、次のとおりである。なお、各要素の製造工程には、焼入れ処理などの熱処理が含まれていてもよい。
図2に示すように、本実施形態では、旋削工程S11、第一研磨工程S12、圧入工程S13、及び第二研磨工程S14の順序で行われ、これによりハブ軸23が製造される。なお、圧入工程13を第一研磨工程S12の前に行なう方法もある。
第一研磨工程S12では、環状面19の研磨加工が行われる。
圧入工程S13では、ボルト孔32にボルト28が圧入される。
第二研磨工程S14では、研磨加工された環状面19の一部(前記第二環状領域K2、図7参照)が基準面となり、フランジ面31の研磨加工が行われる。
旋削工程S11は、次のように行われる。鍛造により製造されたハブ軸23となる中間製品の所定箇所(必要箇所)に対して旋削加工が行われる。図3において、旋削加工が行われる面には、フランジ面31、環状面19、シール面29に含まれるアール面29c及び筒状シール面29b、及び、ハブ軸23の軸体部26の外周面33が含まれる。軸体部26の外周面33には、軸軌道面11a及び内輪24(図1参照)が嵌まる小径外周面34が含まれる。これら旋削対象箇所に対して旋削加工を行なう順番は、変更自在である。本実施形態では、フランジ面31の旋削加工を行ってから、環状面19及びその他の面の旋削加工が行われる。旋削加工されたフランジ面31を基準として、シール面29及びその他の面の旋削加工が行われてもよい。このように、旋削工程S11では、フランジ面31及び環状面19の旋削加工にあわせて、シール面29に含まれるアール面29c及び筒状シール面29bも旋削加工される。更に、本実施形態では、ハブ軸23の軸体部26の外周面33が全体として旋削加工される。
図2において、組み立て工程S20では、製造工程S10を経て製造された各要素が、組み立てられる。図1において、内輪24は、ハブ軸製造工程により製造されたハブ軸23の軸方向他方側の小径部39に嵌められ、ハブ軸23の端部23aをかしめる(塑性変形させる)。これにより、内軸部材11が得られる。なお、組み立て工程は、従来と同様の方法であり、ここでは説明を省略する。組み立て工程では、ハブ軸製造工程により製造されたハブ軸23を有する内軸部材11、外輪部材12、転動体13、及びシール15,16が組み合わされる。これにより、車輪用軸受装置10が完成する。
以上の製造方法によれば、図6に示すように、フランジ部27のボルト孔32にボルト28を圧入してから、フランジ面31を研磨加工する。このため、フランジ面31の振れを抑制することができる。このフランジ面31の研磨加工は、環状面19を基準面として用いて行われる。しかし、この際、円筒状の治具41を、径方向内側寄りの第一環状領域K1ではなく、径方向外側寄りの第二環状領域K2に当てた状態とする。第一環状領域K1は、前記のとおり、シール面29の一部である環状シール面29aとなる(図1参照)。この結果、シール面29に擦れ跡が残されない。
13:転動体 15:第一のシール 19:環状面
23:ハブ軸 26:軸体部 27:フランジ部
28:ボルト 29:シール面 30a:リップ
31:フランジ面 32:ボルト孔 41:治具
K1:第一環状領域 K2:第二環状領域
Claims (4)
- 筒状の外輪部材、
前記外輪部材の径方向内方に設けられている軸体部と、当該軸体部の軸方向一方側に設けられているフランジ部と、を含み、当該軸体部と当該フランジ部との間にシール面が設けられているハブ軸を有する内軸部材、
前記外輪部材と前記内軸部材との間に配置されている転動体、
及び、前記外輪部材の軸方向一方側に取り付けられ前記シール面に接触するリップを有するシール、を備え、
前記シール面は、環状シール面、筒状シール面、および、当該環状シール面と当該筒状シール面とを繋ぐアール面を有し、前記環状シール面に前記リップが接触し、
前記フランジ部は、軸方向一方側のフランジ面と、当該フランジ部を軸方向に貫通するボルト孔と、前記環状シール面を含む軸方向他方側の環状面と、を有する車輪用軸受装置の製造方法であって、
ハブ軸製造工程と、前記ハブ軸製造工程により製造された前記ハブ軸を有する前記内軸部材、前記外輪部材、前記転動体、及び前記シールを組み合わせる組み立て工程と、を含み、
前記ハブ軸製造工程は、
前記フランジ面の旋削加工及び前記環状面の旋削加工を行なう旋削工程、
前記環状面を研磨加工する第一研磨工程、
前記ボルト孔にボルトを圧入する圧入工程、
及び、前記圧入工程の後、研磨加工された前記環状面を基準面とし前記フランジ面を研磨加工する第二研磨工程、を含み、
前記第二研磨工程では、前記環状面のうち、径方向内側寄りの前記環状シール面となる第一環状領域をあけて、径方向外側寄りの第二環状領域に、円筒状の治具を当てた状態として、前記フランジ面を研磨加工する、車輪用軸受装置の製造方法。 - 前記シール面には、前記軸体部の軸方向一方側の外周面の一部である前記筒状シール面が含まれ、
前記筒状シール面の外径に10ミリメートルを加えた値以上の直径を有する仮想円を、前記第一環状領域と前記第二環状領域との境界として、当該第二環状領域に前記治具を当てる、請求項1に記載の車輪用軸受装置の製造方法。 - 筒状の外輪部材、
前記外輪部材の径方向内方に設けられている軸体部と、当該軸体部の軸方向一方側に設けられているフランジ部と、を含み、当該軸体部と当該フランジ部との間にシール面が設けられているハブ軸を有する内軸部材、
前記外輪部材と前記内軸部材との間に配置されている転動体、
及び、前記外輪部材の軸方向一方側に取り付けられ前記シール面に接触するリップを有するシール、を備え、
前記シール面は、環状シール面、筒状シール面、および、当該環状シール面と当該筒状シール面とを繋ぐアール面を有し、前記環状シール面に前記リップが接触し、
前記フランジ部は、軸方向一方側のフランジ面と、当該フランジ部を軸方向に貫通するボルト孔に圧入されているボルトと、前記環状シール面を含む軸方向他方側の環状面と、を有し、
前記フランジ面は、研磨面であり、
前記環状面のうちの径方向内側の第一環状領域は、前記環状シール面となる研磨面であり、
前記環状面のうちの径方向外側の第二環状領域が、前記第一環状領域よりも表面粗さの平均値が高い研磨面である、車輪用軸受装置。 - 前記軸体部の軸方向一方側の外周面の一部である前記筒状シール面が、前記アール面を介して前記環状シール面と連続する研磨面であり、
前記第一環状領域と前記第二環状領域との境界は、前記筒状シール面の外径に10ミリメートルを加えた値以上の直径を有する仮想円上に位置している、請求項3に記載の車輪用軸受装置。
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