JP6065007B2 - 金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法 - Google Patents

金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法に関する。
従来、籾殻又は籾殻の炭化物から炭化ケイ素、非晶質シリカ、又は金属ケイ素を製造する方法が知られている。
特許文献1には籾殻炭化物から炭化ケイ素及び窒化ケイ素を連続的に製造する方法が記載されている。この方法では、籾殻炭化物を、炭素と反応しない不活性ガスの存在下、加熱帯域中を移動させながら加熱する。
特許文献2には、籾殻の炭化物を用いてウイスカー性状と微粒子状の炭化ケイ素が複合した組織からなる多孔質炭化ケイ素の成形体の製造方法が記載されている。この方法では、粉砕された籾殻の炭化物の表面を処理した後に、表面処理後の炭化物を成形する。そして、成形体を加熱処理して炭化成分を除去する。
特許文献3には、籾殻などのケイ酸植物を原料として用いて、金属ケイ素を製造する方法が記載されている。この方法では、ケイ酸植物を焼成して得たシリカ灰とアルミニウム等の金属とを不活性ガス雰囲気中で加熱して反応させる。
特許文献4には、籾殻からシリカ原料を製造する方法が記載されている。この方法では、籾殻粉末を加圧熱水で処理して、籾殻粉末中のシリカ成分と有機質成分との割合を調整する。
特許文献5には、籾殻を用いて高純度の非晶質シリカを製造する方法が記載されている。この方法では、酢酸含有溶液で籾殻を処理することにより籾殻からアルカリ成分を分離する。アルカリ成分が分離された籾殻を洗浄乾燥した後に、乾燥籾殻を炭化させて籾殻炭を形成する。この籾殻炭を焼成して高純度シリカを製造する。
特許文献6には籾殻の炭素成分に着目し、活性炭を製造する方式も検討されている。炭素材料に炭化を施す工程と、前記炭化工程により処理された前記炭素材料にアルカリ賦活を施す工程と、前記アルカリ賦活工程により作製された多孔質炭素を容器内に収容する工程と、前記容器内部を77〜150Kの範囲内の温度に保持しながら、平衡状態圧力が0.5〜6MPaになるように水素を該容器内部に導入する工程と、を含むことを特徴とする水素吸蔵方法が示される。このプロセスでは、シリカ成分をアルカリ塩で融解して廃棄する点が課題となる。
特開平5―43208号公報 特開平8―26848号公報 特開2011―6316号公報 特開2002―265257号公報 特開2008―214158号公報 特願2009―205255号公報
上述したように、特許文献1,2には炭化ケイ素を製造する方法が記載され、特許文献3には金属ケイ素を製造する方法が記載されている。また、特許文献4にはシリカ原料を製造する方法が記載されている。そして、特許文献5には非晶質シリカを製造する方法が記載されている。
籾殻にはケイ素と炭素が含まれているが、特許文献1〜5ではこれらに記載された製造方法による炭化ケイ素、金属ケイ素及びシリカ原料の原料としてケイ素を利用しているので、ケイ素と炭素との両方を有効に活用できていない。従って、特許文献1〜5に記載された方法は、活用されなかった炭素を除去するための工程を含む。それら除去工程では、除去処理のための酸性溶液又はアルカリ性溶液等の処理液や、加熱処理のためのエネルギが必要となる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、籾殻から金属ケイ素及び多孔質炭素を製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明に係る金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法では、籾殻の加熱処理により酸化ケイ素と炭素とを含む籾殻炭を生成する第1の工程と、加熱した第1不活性ガスまたは還元性ガスの少なくともいずれかに前記籾殻炭を曝して炭化ケイ素を生成する第2の工程と、塩素ガスを含む加熱雰囲気中に前記炭化ケイ素を曝して、四塩化ケイ素と多孔質炭素とを生成する第3の工程と、前記四塩化ケイ素と金属亜鉛とを反応させることにより、金属ケイ素と塩化亜鉛とを生成する第4の工程と、前記塩化亜鉛を電気分解して金属亜鉛と塩素ガスとを生成する第5の工程と、を備え、前記第5の工程の前記塩素ガスを前記第3の工程に用い、前記第5の工程の前記金属亜鉛を前記第4の工程に用いる。
この製造方法では、籾殻から、酸化ケイ素と炭素とを含む籾殻炭を生成し、この籾殻炭から炭化ケイ素を生成する。次に、炭化ケイ素と塩素ガスとを反応させて、多孔質炭素と四塩化ケイ素とを生成する。続いて、四塩化ケイ素と亜鉛とを反応させて、金属ケイ素と塩化亜鉛とを生成する。そして、上記塩化亜鉛の電気分解により塩素ガス及び金属亜鉛が生成され、このうち一方の塩素ガスを上記の多孔質炭素の生成に用いると共に、他方の金属亜鉛を金属ケイ素の生成に用いる。従って、この製造方法によれば、籾殻から多孔質炭素と金属ケイ素とを製造することができる。
また、本発明に係る製造方法において、前記第1の工程では、生成する籾殻炭の組成中において、カーボンのモル数がSiOのモル数の3倍以上である。炭素とSiOのモル数の比率が3倍より小さい場合、その後の反応でもSiOが残留し多孔質炭素中の不純物となる。それ故、炭素とSiOのモル数の比率が3倍以上であれば炭素成分量の多いSiCを形成することができ、最終製造物である多孔質炭素中の不純物成分を少なくできる。
また、本発明に係る製造方法では、前記第2の工程の前に酸性溶液で前記籾殻炭を処理する。この処理によれば、酸性溶液による処理によって籾殻炭に含まれる不純物が除去されるので、籾殻炭に含まれる酸化ケイ素及び炭素の純度が高まる。従って、第3の工程において不純物と反応する塩素ガスの量が低減されるので、第3の工程で必要な塩素ガスの量を低減することができる。
また、本発明に係る製造方法の前記第2の工程は、前記第1不活性ガスはAr,Heの少なくとも一つを含み、前記第1の工程で得られる籾殻炭は1200℃以上2000℃以下の温度に加熱される。1200℃以上2000℃以下の温度範囲では、酸化ケイ素と炭素との反応が促進されるので、炭化ケイ素を効率よく生成することができる。
また、本発明に係る製造方法の前記第2の工程では、前記還元性ガスはH,COの少なくともいずれかを含み、前記第1の工程で得られる籾殻炭は1200℃以上2000℃以下の温度に加熱される。1200℃以上2000℃以下の温度範囲では、酸化ケイ素と炭素との反応が促進されるので、炭化ケイ素を効率よく生成することができる。また、HガスやCOガスは酸化ケイ素と炭素との反応を促進させるので、炭化ケイ素をさらに効率よく生成することができる。
また、本発明に係る製造方法の前記第2の工程では、前記炭化ケイ素の生成は1気圧未満の圧力で行われる。処理容器内の圧力を大気圧未満の圧力に設定することにより、蒸気圧が低い不純物を籾殻炭から除去することができる。
また、本発明に係る製造方法の前記第3の工程では、前記加熱雰囲気は前記塩素ガスと第2不活性ガスとの混合ガス又は前記塩素ガスを含む。
また、本発明に係る製造方法の前記第3の工程では、前記塩素ガスを含む雰囲気を1000℃以上1600℃以下の温度に加熱する。加熱雰囲気が1000℃以上の温度であるので、塩素ガスと炭化ケイ素との反応を促進させることができる。また、加熱雰囲気が1600℃以下の温度であるので、生成される多孔質炭素の組織がグラファイト化することを抑制し、多孔質炭素の表面積の減少を抑制できる。
また、本発明に係る製造方法の前記第4の工程は、前記四塩化ケイ素を600℃以上1100℃以下の温度に加熱して、前記四塩化ケイ素のガスを発生させる工程と、前記四塩化ケイ素のガスを前記金属亜鉛の蒸気と反応させて、前記金属ケイ素と前記塩化亜鉛とを生成する工程と、前記塩化亜鉛を冷却して前記塩化亜鉛を液化させる工程と、を含む。四塩化ケイ素と金属亜鉛との反応を促進させることができる。
また、本発明に係る製造方法の前記第3の工程では、前記四塩化ケイ素のガスを、前記加熱雰囲気中から排出することにより、前記多孔質炭素から前記四塩化ケイ素を分離する。多孔質炭素と四塩化ケイ素とを容易に分離することができる。
また、本発明に係る製造方法の前記第4の工程では、前記塩化亜鉛のガスを、前記四塩化ケイ素のガス前記金属亜鉛の蒸気を含む雰囲気中から排出することにより、前記金属ケイ素から前記塩化亜鉛を分離する。金属ケイ素と塩化亜鉛を容易に分離することができる。
本発明によれば、籾殻から金属ケイ素及び多孔質炭素を製造することができる方法が提供される。
図1は、一実施形態に係る金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法の主要な工程を示す図である。 図2は、一実施形態に係る金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法の主要な工程を示す図である。 図3は、一実施形態の製造方法において用いられる籾殻処理装置の構成を概略的に示す図である。 図4の(a)部は籾殻の一例を示す図であり、図4の(b)部は籾殻炭の一例を示す図である。 図5は、一実施形態の製造方法において用いられる籾殻炭体の処理装置の構成を概略的に示す図である。 図6は、一実施形態の製造方法において用いられる籾殻炭体の処理装置の構成を概略的に示す図である。 図7は、一実施形態の製造方法において用いられる籾殻炭体の処理装置の構成を概略的に示す図である。 図8は、一実施形態の製造方法において用いられる籾殻炭体の処理装置の構成を概略的に示す図である。 図9は、亜鉛還元装置の構成を簡略化して示す図である。 図10は、亜鉛還元装置の具体的な構成を示す図である。 図11Aは、生成物のX線回折(XRD)波形を示す図である。 図11Bは、生成物のX線回折(XRD)波形を示す図である。 図12は、生成物の顕微鏡写真を示す図である。 図13は、多孔質炭素材料のX線回折波形を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明による金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法では、籾殻から金属ケイ素及び多孔質炭素を製造する。図1及び図2は、一実施形態に係る金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法の主要な工程を示す図である。図1に示すように、本実施形態の製造方法は、籾殻を加熱処理する工程S1と、籾殻炭を酸性溶液で処理する工程S2と、籾殻炭を粉砕及び成形する工程S3と、籾殻炭体を加熱処理する工程S4と、塩素ガス(Clガス)を含む加熱雰囲気中に籾殻炭体を曝す工程S5と、多孔質炭素(C)を取り出す工程S6と、四塩化ケイ素(SiCl)と金属亜鉛(Zn)とを反応させる工程S7と、金属ケイ素(Si)を取り出す工程S8と、塩化亜鉛(ZnCl)を電気分解する工程S9とを有している。そして、これら工程S1〜工程S9を繰り返し行うことにより、多孔質炭素及び金属ケイ素を連続的に生産する。
籾殻を加熱処理する工程S1(第1の工程)では、籾殻に含まれるケイ素(Si)を酸化させて酸化ケイ素(SiO)と炭素(C)とを主成分とする籾殻炭を生成する。籾殻炭は、約50%重量比のSiOと、約40%重量比のCを含んでいる。籾殻炭は、SiO及びCの他に、例えば、水素、窒素、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マンガン、鉄、亜鉛等の混合物を含んでいる。混合物の多くは、カリウム、カルシウム、ナトリウムなどのアルカリ金属類である。
図3は、工程S1〜工程S3において用いられる籾殻処理装置10の構成を概略的に示す図である。籾殻処理装置10は、籾殻M1(図4の(a)部参照)を貯蔵する貯蔵部11と、炭化炉12と、炭化炉12に処理ガスG1を供給するガス供給部13と、炭化炉12に冷却水W1を供給する水供給部14と、籾殻炭M2(図4の(b)部参照)を処理するための溶液処理部15と、溶液処理された籾殻炭M2をペレット状に加工するための成形部16を備えている。
炭化炉12は、籾殻M1を収容する加熱処理部12aと、加熱処理部12a内の籾殻M1を加熱するためのヒーター12bとを備えている。また、炭化炉12は、加熱処理部12aで処理された籾殻M1の燃焼を停止させる冷却部12cを備えている。冷却部12cには、水供給部14から冷却水W1が供給され、籾殻M1は冷却部12cにおいて所定の温度まで冷却される。ガス供給部13は、炭化炉12の加熱処理部12aに対して処理ガスG1を供給する。処理ガスG1は、籾殻M1に含まれるSi及びCとの反応性が低いガスである。
工程S1では、まず、貯蔵部11から炭化炉12へ籾殻M1が供給され、籾殻M1が炭化炉12の加熱処理部12aへ収容される。次に、ガス供給部13から加熱処理部12aに処理ガスG1を供給しつつ、ヒーター12bを用いて籾殻M1を加熱する。本実施形態では処理ガスG1はNなどの不活性ガス、籾殻M1の完全燃焼に不十分な量の大気ガスであり、籾殻M1は500℃〜1000℃の加熱雰囲気中に曝される。籾殻M1は、籾殻M1が完全燃焼するために必要な酸素が不足した雰囲気中で加熱されるので、いわゆる蒸し焼きである不完全燃焼をする。加熱された籾殻M1は、冷却部12cに移動され、所定の温度まで冷却される。そして、加熱処理された後に冷却された籾殻M1は、籾殻炭M2となり、溶液処理部15に移動される。
籾殻炭中のSiOと炭素の比率は、以降の反応での量論関係から重要なパラメータとなる。炭素とSiOのモル数の比率が3倍より小さい場合、その後の反応でもSiOが残留し多孔質炭素中の不純物となる。それ故、炭素とSiOのモル数の比率はSiO+3C→SiC+2COの反応量論比である3倍以上である必要がある。ただしあまり多い場合は、多孔質炭素の細孔分布が所定の分布をとれなくなるので多くても4倍程度にしておくことがよい。
籾殻炭M2を酸性溶液で処理する工程S2を実施する。工程S2では、炭化炉12で製造された籾殻炭M2を溶液処理部15で処理して、籾殻炭M2に含まれているアルカリ成分やリン等の不純物を除去する。本実施形態では、塩酸(HCl)等の酸性溶液を用いて籾殻炭M2を処理する。
ところで、炭化ケイ素は研磨剤や耐熱材として求められているので、粒子径の均一性や粒子の緻密性が要求される。一方、多孔質性等の機能を炭化ケイ素に付与可能な製造方法は確立されているが、工業用の炭化ケイ素として用いるためには、十分な特性が得られていない。従って、緻密体にするために行われる高圧処理や、添加物の添加等の処理が必要になる。
本実施形態では、籾殻炭M2を粉砕及び成形する工程S3を実施する。溶液処理部15で処理された籾殻炭M2は成形部16において所定の形状を有する籾殻炭体M3に成形される。成形部16では、まず、籾殻M1の形状を保持した状態の籾殻炭M2を粉砕する。粉砕された籾殻炭M2の平均粒径は、0.1μm〜10μmである。この粉砕により籾殻炭M2を構成する粒子の粒子径が一定値に制御されるので、後工程の処理プロセスを安定化することができる。そして、粉砕された籾殻炭M2を、例えばペレット状に籾殻炭体M3を成形する。この成形により、籾殻炭体M3の搬送が容易になる。なお、この工程S3は、必要に応じて実施すればよく、籾殻炭M2を籾殻炭体M3に成形することなく、籾殻炭M2を後工程で利用してもよい。引き続く説明では、籾殻炭体M3について説明する。
籾殻炭体M3を加熱処理する工程S4(第2の工程)では、籾殻炭体M3に含まれるSiOとCとを相互に反応させて炭化ケイ素(SiC)を生成する。図2には、この工程S4の反応を示す化学式(1)が示されている。なお、この反応における自由エネルギはΔG=−77kJである。
SiO+3C→SiC+2CO・・・(1)
なお、上記化学式(1)の反応は、加熱雰囲気が1700℃以下の温度では処理ガスG2を還元性ガスとすることにより、反応をより促進することができる。上記化学式(1)の反応は、1700℃以下では標準生成自由エネルギが正になっているので反応が進行しにくいが、処理ガスG2がHやCOなどを含有し、還元性ガスとすることにより、SiCが生成される反応が促進される。一方、加熱雰囲気が1700℃以上の温度では処理ガスG2を還元性ガスとしなくてもよい。
なお、処理雰囲気ガスをNとした場合、SiO蒸気とNが反応しSi、SiONなどの窒化物を形成する場合がある。この反応抑制するには、Nの供給量を少なくする、または、希ガスであり反応に寄与しないArやHeを雰囲気ガスとする必要がある。図11Aは、原料のSiOのモル数とカーボンのモル数とのモル比が1:3.1(すなわち、カーボンのモル数がSiOのモル数の3.1倍)の籾殻炭を用い、雰囲気ガスをHeとして1550℃で常圧下処理した生成物のX線回折(XRD)波形を示す。横軸は、回折角度、縦軸は、回折強度(単位はCPS(カウント数))である。主生成物はβ型炭化ケイ素であり、少量のグラファイトが形成されている。図11Bは、図11Aの場合と同一原料で、雰囲気ガスをNとした場合であるが、SiCの形成以外にSiの生成が認められる。図12に図11AのXRD波形に示した生成物の顕微鏡写真を示すが、籾殻構造が残留していることがわかる。
また、上記化学式(1)の反応ではCOガスが発生するため、反応炉21内の圧力を減圧することにより、一層反応が促進される。さらに、反応炉21内の圧力を減圧することにより、低い蒸気圧を有する金属アルカリ(Na,K)、リン化合物(P,P)といったアルカリやリンなどの不純物が除去される。
図5及び図6は、工程S4において用いられる籾殻炭体M3の処理装置20の構成を概略的に示す図である。図5を参照すると、処理装置20は、上下方向に延びる反応炉21と、反応炉21の側壁に埋め込まれたヒーター22と、反応炉21内に配置された載置棚23とを備えている。載置棚23には、複数の籾殻炭体M3が個々の段に載置される。この実施形態では、載置棚23は、支持棒23aによって上方から吊り下げて支持されている。
反応炉21の下部には吸気口21aが設けられており、この吸気口21aから第1不活性ガスや還元性ガスである処理ガスG2が導入される。処理ガスG2は、H,N,Ar,He,COの少なくとも一つを含むガスを用いることができる。処理ガスG2には、Hガスが利用できる。Hガスによれば、SiOとHとの反応により生成された一酸化ケイ素(SiO)により上記化学式(1)の反応を促進することができる。この処理ガスG2は、反応炉21内を上方へ移動したのち、反応炉21の上部に設けられた排気口21bから排出される。ヒーター22は載置棚23の周囲を囲むように配置されており、載置棚23に載置された籾殻炭体M3を加熱する。
工程S4では、まず、載置棚23に籾殻炭体M3を載置する。次に、吸気口21aから反応炉21内に処理ガスG2を供給しつつ、ヒーター22を用いて処理ガスG2を加熱する。本実施形態では処理ガスG2はHガスであり、籾殻炭体M3は1200℃以上2000℃以下の加熱雰囲気中に2〜10時間曝される。また、反応炉21内は、例えば1気圧未満の圧力に設定される。この加熱により、化学式(1)の反応が生じ、籾殻炭体M3から籾殻炭体M4が生成される(図6参照)。籾殻炭体M4は、SiCを含む。このSiCと同時に生成された一酸化炭素(CO)は、処理ガスG2と共に反応炉21の上部に設けられた排気口21bから排出される。加熱終了後、載置棚23から籾殻炭体M4を取り出す。
次に、塩素ガス(Cl)を含む加熱雰囲気中に籾殻炭体M4を曝す工程S5(第3の工程)を実施する。工程S5では、SiとCとの化合物であるSiCと、Clガスとを互いに接触させて加熱処理を行うことにより、籾殻炭体M4から多孔質炭素P1を生成する。図2には、この工程S5の反応を示す化学式(2)が示されている。なお、この反応における自由エネルギはΔG=−430kJである。
SiC+2Cl→SiCl+C・・・(2)
この工程S5では、SiCのSiとClガスとが反応してSiClが生成されてSiCからSiが抜け出る。この反応により、籾殻炭体M4からSiが抜け出て、多孔質の炭素構造を有する多孔質炭素P1が形成される。また、工程S5では、多孔質炭素P1と共に、SiClが得られる。このSiClは、例えば冷却器などにおいて室温付近まで冷却されることにより回収される。
図7及び図8は、工程S5において用いられる籾殻炭体M4の処理装置30の構成を概略的に示す図である。籾殻炭体M4の処理装置30は、例えば光ファイバの多孔質母材の脱水処理に用いられる脱水焼結炉を用いることができる。図7を参照すると、処理装置30としては、反応炉31と、冷却トラップ32と、貯留タンク33とを備えている。
反応炉31は、載置棚31aを備えている。載置棚31aには、複数の籾殻炭体M4が個々の段に載置される。載置棚31aは支持棒31bによって上方から吊り下げて支持されている。反応炉31における載置棚31aよりも下の部分にはガス導入口31cが設けられている。このガス導入口31cからは、処理ガスG3が反応炉31に供給される。本実施形態の処理ガスG3は、Clガスと第2不活性ガスとの混合ガス、若しくは実質的に100%のClガスである。本実施形態では、第2不活性ガスとして、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等を用いることができる。
反応炉31の外側には、載置棚31aを囲むようにヒーター31dが設けられている。このヒーター31dにより、籾殻炭体M4の周囲のClガスを含む雰囲気が例えば1000℃以上1600℃以下の温度となるように加熱される。反応炉31の上部には、ガス排出口31eが設けられている。ガス排出口31eは冷却トラップ32に接続されている。この冷却トラップ32内を循環する冷媒32aによって、反応炉31からの排気が、例えばマイナス10℃以下に冷却される。Clガスの沸点はマイナス34℃であるので、SiClと容易に分離される。
工程S5では、まず、載置棚31aに籾殻炭体M4を載置する。次に、ガス導入口31cから反応炉31内に処理ガスG3を供給しつつ、ヒーター31dを用いて処理ガスG3を加熱する。本実施形態では、処理ガスG3はCl2ガスであり、籾殻炭体M4は1000℃以上1600℃以下又は1100℃以上1300℃以下の温度の加熱雰囲気中に60〜600分間曝される。この加熱により、図に示される化学式(2)の反応が生じて、SiCからSiが抜け、載置棚31aにおいて多孔質炭素P1が生成される。工程S5の後に、載置棚31aから多孔質炭素P1を取り出す(工程S6)。
また、化学式(2)の反応により生じたSiCl及び処理ガスG3は、ガス排出口31eから反応炉31の外部の冷却トラップ32へ排出される。そして、冷却トラップ32で液化されたSiClは、貯留タンク33に貯留されたのち、還元装置40(図9及び図10参照)へ送られる(図8の参照符号B1)。また、冷却トラップ32を通過した処理ガスG3は、三方弁34を介して、籾殻炭体M4の処理装置30の外部へ排気されるか、若しくは再び反応炉31のガス導入口31cへ送られる。
SiCとClの反応により、SiCからSiが抜け出て、空隙領域に気孔が形成される。化学式(2)の反応は1000℃以上の温度でよく進むが、得られた多孔質炭素P1の比表面積は温度依存性を有し、比表面積が大きい多孔質炭素P1は活性炭として有効に活用可能である。比表面積は1150℃〜1250℃の処理で最大値をとり、その値は1500m/g〜1700m/gとなった。1400℃以上の処理では活性炭の組織が、アモルファスからグラファイトに変換し表面積が800〜1000m/gに低下した。ただし、グラファイト構造を必要とする活性炭には有効である。
Clガス雰囲気で1100℃処理で得られた多孔質炭素材料のX線回折波形を図13に示す。横軸は回折角度、縦軸は回折強度(単位はCPS(カウント数))である。主生成物はSiCを処理した場合に特徴的な、15°未満の小角散乱、20°付近のブロードな回折とグラファイト01面に起因する43°付近の回折が確認される。また、少量のグラファイトが形成されていることが26°の回折線より確認できる。
なお、籾殻炭体M4中に微量の金属不純物が存在しても、工程S5の処理において、SiClの蒸気圧が他の金属塩化物に対して十分に高い値であるので、SiClを凝縮させるときに金属不純物の混入は無視できる。
SiClとZnとを反応させる工程S7(第4の工程)では、いわゆる亜鉛還元法を用いて、SiClから高純度の金属ケイ素P2(Si)を取り出す。より詳細には、工程S5で生成されたSiClに含まれるClとZnとを相互に反応させることにより、SiClを還元させて金属ケイ素P2(Si)を生成する。Znは、SiClとの組み合わせにおいて、Siと固溶体を作らず、塩化亜鉛の融点が比較的低く、塩化亜鉛の蒸気圧も高い点から、選択される材料である。図2には、この工程S7の反応を示す化学式(3)が示されている。なお、この反応における自由エネルギはΔG=−64kJである。
SiCl+2Zn→2ZnCl+Si・・・(3)
また、工程S7では、SiClとZnとを気相で反応させる。Znの沸点は907℃と金属の中では比較的低く、800℃近傍でも供給に気化可能な蒸気圧を有している。上記の気相反応で生成されるZnClの沸点は756℃であるので、SiClとの反応はZnClが析出しない800℃以上の温度であることができる。
工程S9(第5の工程)では、ZnClを電気分解する。この電気分解でZnClからZnとClガスとが生成される。
図2には、この工程S9の反応を示す化学式(4)が示されている。なお、この反応における自由エネルギはΔG=+323kJある。
ZnCl → Zn+Cl・・・(4)
この工程S9では、例えばZnClを高温溶融状態での電気分解により、ZnClからZnとClガスとを生成する。そして、この工程S9によって生成されたClガスは、前述した工程S5において再び用いられる(図2参照)。更に、この工程S9によって生成されたZnは、前述した工程S7において再び用いられる(図2参照)。
図9及び図10は、工程S7,S8,S9において用いられる還元装置40の構成を概略的に示す図である。図9は還元装置40の構成を簡略化して示す図であり、図10は還元装置40の具体的な構成を示す図である。
図9を参照すると、還元装置40は、気化器41及び気化器42と、反応炉43と、電気分解槽44とを備えている。上述した籾殻炭体M4の処理装置30の貯留タンク33に貯留されたSiCl(参照符号B1)は、気化器41に送られて気化する。一方、気化器42では、Znが気化される。気化したSiCl及びZnは、反応炉43に送られる。そして、反応炉43においてSiCl及びZnを高温で反応させる。この反応により前述した化学式(3)の反応が生じ、金属ケイ素P2及びZnClが生成される。
ZnClは、融点(280℃)以上の温度、沸点未満でトラップされ、電気分解槽44に送られる。そして、ZnClは、直流電流による電気分解により化学式(4)の反応が生じ、ZnClがZnとClガスとに分離される。生成されたClガスは処理ガスG3として籾殻炭体M4の処理装置30に送られ(図8及び図9のG3)、Znは気化器42に送られる(図9の参照符号B2)。
図10を参照して、具体的な還元装置40について説明する。この還元装置40では、気化器42が、系内投入用気化器42aと、連続運転用気化器42bと、集合管42cとを有している。系内投入用気化器42aはゲート弁42dを有しており、還元装置40の外部からZnを投入することが可能となっている。Znは、系内投入用気化器42aの気化室42eに収容され、気化する。気化室42eと集合管42cとは、配管42fによって互いに連結されている。また、連続運転用気化器42bは、電気分解槽44から取り出されたZnを収容し、気化する亜鉛蒸発部42gを有している。亜鉛蒸発部42gと集合管42cとは、配管42hによって互いに連結されている。
系内投入用気化器42a及び連続運転用気化器42bの配管42hは、例えばセラミックス(アルミナ等)によって構成される。また、連続運転用気化器42bの亜鉛蒸発部42g、及び集合管42cは、例えばカーボンによって構成される。系内投入用気化器42a、連続運転用気化器42b、及び集合管42cは、金属亜鉛の蒸気を効率よく発生させるために800℃以上の温度、例えば900℃〜1000℃といった高温に加熱される。
反応炉43は、例えば石英製の容器である。反応炉43の上部は、石英製の配管43aを介して気化器42の集合管42cと連結されており、気化されたZnが配管43aを介して反応炉43へ送られる。また、反応炉43の上部には、石英製の配管43bを介してSiCl(参照符号B1)が流入する。反応炉43は1200℃〜1400℃といった高温に加熱されており、反応炉43の内部において、ZnとSiClとが互いに反応する。その結果生じた金属ケイ素P2は、反応炉43の内部に設けられた加熱されていない容器43cに収容される。また、ZnClは、金属ケイ素P2の微粒子を除去する為の微粒子トラップ45を通過したのち、電気分解槽44に送られる。微粒子トラップ45は例えば石英製であり、900℃〜1000℃といった高温に加熱されている。
得られた金属ケイ素P2の純度は、99.9995%といったきわめて高い数値であり、この純度であれば太陽電池用の材料として利用可能である。なお、金属ケイ素P2には、不純物としてZnとOとが確認された。
電気分解槽44は、本体部46及び電極構造体47を備えている。本体部46は、溶融したZnClを収容し、電解するための電解槽46aと、電解槽46aの内部を加熱するための熱源であるヒーター46fとを有する。電解槽46aの上方には空間46bが設けられ、空間46bの水平方向の一端には微粒子トラップ45に連結された配管46cが配置され、他端には配管46d(デミスタ)が配置されている。配管46cから導入されたZnClは、電解槽46aへ導かれる。電解槽46aにおいて発生したClガスは、空間46bを通って配管46dから排出され、籾殻炭体M4の処理装置30へ処理ガスG3として供給される。なお、配管46dの先端にはテフロン(登録商標)樹脂製のフィルタ48が設けられている。また、電解槽46aの底部には配管46eが連結されており、電解槽46aの底部に堆積した高純度のZnは、この配管46eを通って連続運転用気化器42bへ送られる。
電極構造体47は、複数の電極板47aを有する。複数の電極板47aは、隙間をあけて板厚方向に並置され、該板厚方向を水平方向として電解槽46a内に配置されている。複数の電極板47aは、例えば高純度炭素材料といった、高温に強く塩素に対し耐食性を有する導電性物質からなり、水平方向に延設された一または複数の棒状部材47bによって貫通され、相互の位置関係が保持されている。
複数の電極板47aのうち、水平方向の一端に位置する電極板47aには、該電極板47aと電気的に接続された通電部材47cを介して所定の正電圧が印加され、この電極板47aは陽極として機能する。また、水平方向の他端に位置する電極板47aには、該電極板47aと電気的に接続された通電部材47dを介して所定の負電圧が印加され、この電極板47aは陰極として機能する。これら陽極及び陰極の間に配置された電極板47aには、通電部材を介して、上記した正電圧及び負電圧の間で電位勾配が与えられ、これらの電極板47aはそれぞれ中間電極として機能する。
配管46cから導入されたZnClは、電解槽46aに取り込まれる。電解槽46a内はヒーターによって例えば500℃〜700℃といったZnの融点よりも高い温度に保たれるので、ZnClは溶融状態のまま維持される。
また、電解槽46aの内部には複数の電極板47aが配置されており、溶融したZnCl中に複数の電極板47aが浸される。そして、所定の電位差が各電極板47aに与えられると、隣り合う電極板47a同士の対向する面(電解面)を介してZnCl中に電流が流れ、ZnClがClとZnとに電気分解される。こうして生成されたZnは、ZnClの融液より比重が大きいので電解槽46aの底部に堆積し、配管46eを通って連続運転用気化器42bへ送られる。また、生成されたClは、Clガスとなって電解槽46aの上方へ移動し、配管46dを通って籾殻炭体M4の処理装置30へ送られる。
この製造方法では、籾殻M1から、SiOとCとを含む籾殻炭M2を生成し、この籾殻炭M2からSiCを生成する。次に、SiCとClガスとを反応させて、多孔質炭素P1とSiClとを生成する。続いて、SiClとZnとを反応させて、金属ケイ素P2とZnClとを生成する。そして、電気分解により発生したClガスを多孔質炭素P1の生成に用いると共に、電気分解により発生したZnを金属ケイ素P2の生成に用いる。従って、この製造方法によれば、籾殻M1から多孔質炭素P1と金属ケイ素P2とを製造することができる。
また、第2の工程S4の前に酸性溶液で籾殻炭M2を処理する。この工程S4によれば、酸性溶液による処理によって籾殻炭M2に含まれる不純物が除去されるので、籾殻炭M2に含まれるSiO及びCの純度が高まる。従って、第3の工程S5において不純物と反応するClガスの量が低減されるので、第3の工程S5で必要なClガスの量を低減することができる。
また、第2の工程S4では、処理ガスはHを含み、処理ガスは1200℃以上2000℃以下の温度に加熱される。1200℃以上2000℃以下の温度範囲では、SiOとCとの反応が促進されるので、SiCを効率よく生成することができる。また、HガスはSiOとCとの反応を促進させるので、SiCをさらに効率よく生成することができる。
また、第2の工程S4では、SiCの生成は1気圧未満の圧力で行われる。処理容器内の圧力を大気圧未満の圧力に設定することにより、蒸気圧が低い不純物を籾殻炭M2から除去することができる。
また、第3の工程S5では、加熱雰囲気はClガスと第2不活性ガスとの混合ガス又は実質的に100%のClガスを含む。このような加熱雰囲気によれば、適正な反応を促進することができる。
また、第3の工程S5では、Clガスを含む雰囲気を1000℃以上1600℃以下の温度に加熱する。加熱雰囲気が1000℃以上の温度であるので、ClガスとSiCとの反応を促進させることができる。また、加熱雰囲気が1600℃以下の温度であるので、生成される多孔質炭素P1の組織がグラファイト化することを抑制し、多孔質炭素P1の比表面積の減少を抑制できる。
また、第4の工程S7は、SiClを600℃以上1100℃以下の温度に加熱して、SiClのガスを発生させる工程と、SiClのガスをZnの蒸気と反応させて、金属ケイ素P2とZnClとを生成する工程と、ZnClを冷却してZnClを液化させる工程と、を含む。SiClとZnとの反応を促進させることができる。
また、第3の工程S5では、SiClのガスを、加熱雰囲気中から排出することにより、多孔質炭素P1からSiClを分離する。多孔質炭素P1とSiClとを容易に分離することができる。
また、第4の工程S7では、ZnClのガスを、加熱雰囲気中から排出することにより、金属ケイ素P1からZnClを分離する。金属ケイ素P1とZnClを容易に分離することができる。
また、本実施形態では、籾殻M1からSiOを含む籾殻炭M2を生成した後に、SiOを用いてSiCを生成する。このようにSiOを含む籾殻炭M2を経てSiCを製造する工程によれば、籾殻炭M2の生成時に不純物を除去する工程S2を追加することができる。従って、籾殻M1の処理中に生じるメタンや一酸化炭素等の大量の有機分解生成ガスを処理する複雑な装置を用いることなく、SiCを含む籾殻炭体M4を生成することができる。また、SiOを含む籾殻炭M2を生成する第1の工程S1と、SiOからSiCを生成する第2の工程S4とを組み合わせることにより、装置構成を簡略化できる。
また、上記説明は籾殻を原料とした場合に限定しているが、籾殻以外のケイ酸含有植物由来材料についても同様の処理が可能である。籾殻以外のケイ酸含有植物由来材料としては、稲藁、ケイ藻などがある。
籾殻から金属ケイ素及び多孔質炭素を製造することができる方法を提供する金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法に対して、利用可能である。
10…籾殻処理装置、20,30…籾殻炭の処理装置、40…還元装置、S1…第1の工程、S4…第2の工程、S5…第3の工程、S7…第4の工程、S9…第5の工程、G2…処理ガス(第1不活性ガス、還元性ガス)、M1…籾殻、M2…籾殻炭、M3,M4…籾殻炭体、P1…多孔質炭素、P2…金属ケイ素。

Claims (11)

  1. 籾殻の加熱処理により酸化ケイ素と炭素とを含む籾殻炭を生成する第1の工程と、
    加熱した第1不活性ガスまたは還元性ガスの少なくともいずれかに前記籾殻炭を曝して炭化ケイ素を生成する第2の工程と、
    塩素ガスを含む加熱雰囲気中に前記炭化ケイ素を曝して、塩化ケイ素と多孔質炭素とを生成する第3の工程と、
    前記塩化ケイ素と金属亜鉛とを反応させることにより、金属ケイ素と塩化亜鉛とを生成する第4の工程と、
    前記塩化亜鉛を電気分解して金属亜鉛と塩素ガスとを生成する第5の工程と、
    を備え、
    前記第5の工程の前記塩素ガスを前記第3の工程に用い、前記第5の工程の前記金属亜鉛を前記第4の工程に用いる、金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  2. 前記第1の工程では、
    生成する籾殻炭の組成中において、カーボンのモル数がSiOのモル数の3倍以上である請求項1に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  3. 前記第2の工程の前に酸性溶液で前記籾殻炭を処理する、請求項1又は2に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  4. 前記第2の工程では、
    前記第1不活性ガスはAr,Heの少なくとも一つを含み、
    前記第1の工程で得られる籾殻炭は1200℃以上2000℃以下の温度に加熱される、請求項1〜3の何れか一項に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  5. 前記第2の工程では、
    前記還元性ガスはH,COのいずれかを含み、
    前記第1の工程で得られる籾殻炭は1200℃以上2000℃以下の温度に加熱される、請求項1〜4の何れか一項に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  6. 前記第2の工程では、前記炭化ケイ素の生成は1気圧未満の圧力で行われる、請求項1〜5の何れか一項に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  7. 前記第3の工程では、前記加熱雰囲気は前記塩素ガスと第2不活性ガスとの混合ガス又は前記塩素ガスを含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  8. 前記第3の工程では、
    前記塩素ガスを含む雰囲気を1000℃以上1600℃以下の温度に加熱する、請求項1〜7の何れか一項に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  9. 前記第4の工程は、
    前記塩化ケイ素を600℃以上1100℃以下の温度に加熱して、前記塩化ケイ素のガスを発生させる工程と、
    前記塩化ケイ素のガスを前記金属亜鉛の蒸気と反応させて、前記金属ケイ素と前記塩化亜鉛とを生成する工程と、
    前記塩化亜鉛を冷却して前記塩化亜鉛を液化させる工程と、
    を含む、請求項1〜8の何れか一項に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  10. 前記第3の工程では、
    前記塩化ケイ素のガスを、前記加熱雰囲気中から排出することにより、前記多孔質炭素から前記塩化ケイ素を分離する、請求項1〜9の何れか一項に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
  11. 前記第4の工程では、
    前記塩化亜鉛のガスを、前記塩化ケイ素のガス前記金属亜鉛の蒸気を含む雰囲気中から排出することにより、前記金属ケイ素から前記塩化亜鉛を分離する、請求項1〜10の何れか一項に記載の金属ケイ素及び多孔質炭素の製造方法。
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