JP2011006316A - 金属シリコンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】籾殻などのケイ酸植物をシリカ原料として用い、効率よく金属シリコンを製造し得る方法の提供。
【解決手段】ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰にアルミニウムを加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせて金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする金属シリコンの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰にアルミニウムを加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせて金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする金属シリコンの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ケイ酸植物中のシリカ(SiO2)から金属シリコン(Si)を製造する方法に関する。籾殻、稲藁などのイネ、ムギ、トウモロコシ、サトウキビ、トクサなどのケイ酸植物は、シリカをその生体内に含んでいる。本発明は、ケイ酸植物中のシリカを用いて金属シリコンを効率よく製造するための方法に関する。
シリカから金属シリコンを製造する方法としては、ケイ石(SiO2純度99.5%以上)を木炭やコークスと一緒にアーク炉中で還元し、純度98%以上の金属シリコンを製造する方法が知られている。
前述したアーク炉を用いる方法では、一般に3000〜6000Kの高温になるが、シリカの炭素還元は2000K付近で生じる。金属シリコンの融点は1410℃であり、アーク炉を用いる方法で得られる金属シリコンは融解、凝固した塊として得られる。
結晶シリコン太陽電池や半導体として利用するには、このアーク炉を用いたシリカの炭素還元によって得られる純度98%以上の金属シリコンの高純度化が必要である。このアーク炉を用いたシリカの炭素還元によって得られる純度98%以上の金属シリコンを、結晶シリコン太陽電池や半導体として利用するには、高純度化が必要である。その方法は、得られた塊状の金属シリコンを細かく粉砕し、銅系触媒と混合し、300〜350℃で塩化水素(HCl)と反応させ、トリクロロシラン(SiHCl3)を製造する。このトリクロロシランは、沸点が31.8℃であり、蒸留操作によって高純度化され、得られた高純度トリクロロシランから水素還元又は不均化反応により高純度シリコンを製造する。
シリカから金属シリコンを製造する別の方法として、ケイ石に替えてイネ、ムギ、トウモロコシ、サトウキビ、トクサなどのケイ酸植物、例えば籾殻をシリカ原料として用い、これを焼成してシリカ灰を作製し、このシリカ灰から金属シリコンを製造する方法が提案されている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。
奥谷猛、"籾殻中のSiO2の利用"、Material Analysis and Characterization Science, 6, No.1, 24(1993), pp.24-50
中川雅直、"籾殻を原料とする太陽電池用シリコン製造法の提案",工業材料,45(7) 82 '97, 日刊工業新聞社
L. P. Hunt et. al., "Rice Hulls as a Raw Material for Producing Silicon", J. Electrochem. Soc.: SOLID-STATE SCIENCE AND TECHNOLOGY, Vol.131, No.7, July 1984, pp.1683-1686
ケイ酸植物、例えば籾殻をシリカ原料として用いる金属シリコン製造方法において、籾殻を焼成して得られるシリカは、ケイ石よりも表面積が大きく、活性が高いため、籾殻シリカと炭素とが1100℃以上で反応し、一酸化ケイ素(SiO)が生成する。このSiOは融点が1730℃付近であるが、1100℃付近では昇華し、ガス状になる。ガス状SiOは、反応系中の炭素(C)と反応し、炭化ケイ素(SiC)になる。従って、高活性なシリカをアーク炉で炭素還元することにより金属シリコンを製造することは難しく、シリカのほとんどが炭化ケイ素になってしまう。そして、炭化ケイ素の生成で炭素が消費され、シリカから金属シリコンへの反応は停止してしまう。
本発明は前記事情に鑑みてなされ、籾殻などのケイ酸植物をシリカ原料として用い、効率よく金属シリコンを製造し得る方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰に、アルミニウム、アルカリ土類金属、アルカリ金属からなる群から選択されるいずれかの金属を加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする金属シリコンの製造方法を提供する。
また本発明は、ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰にアルミニウムを加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせて金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする金属シリコンの製造方法を提供する。
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせて金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする金属シリコンの製造方法を提供する。
本発明の金属シリコンの製造方法において、ケイ酸植物を酸素含有雰囲気中で直接燃焼させ、シリカ灰を得ても良いが、前記シリカ灰を形成する工程が、ケイ酸植物を不活性ガス雰囲気中で加熱して炭化物を形成する工程と、次いで、得られた炭化物を酸素含有雰囲気中で加熱燃焼させて前記シリカ灰を得る工程とからなることが好ましい。
本発明の金属シリコンの製造方法において、前記ケイ酸植物がイネの籾殻又は稲藁であることが好ましい。
前記金属シリコンの製造方法において、前記シリカ灰にアルミニウムを加え、1000℃以上1414℃未満の温度範囲で加熱して粉末状の金属シリコンを得ることが好ましい。
前記金属シリコンの製造方法において、前記シリカ灰にアルミニウムを加えて1300〜1400℃の温度範囲で加熱して粉末状の金属シリコンを得ることが好ましい。
前記金属シリコンの製造方法において、前記シリカ灰にアルミニウムを加えてボールミルにより粉砕混合した後、不活性ガス雰囲気中で加熱することが好ましい。
本発明の金属シリコンの製造方法において、前記シリカ灰とアルミニウムとの混合物にアルカリ金属塩をシリカに対し1〜30at%加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、金属シリコンを得ることが好ましい。
前記金属シリコンの製造方法において、アルカリ金属塩がカリウム又はナトリウムの炭酸塩、重炭酸塩、蓚酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物、水酸化物から成る群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
前記金属シリコンの製造方法において、シリカとアルミニウムとの反応後の残渣に含まれるアルカリ金属塩を新たなシリカ灰とアルミニウムとの混合物に添加して使用することもできる。
本発明によれば、籾殻などのケイ酸植物のバイオマスから半導体や太陽電池の原料である金属シリコンが製造できる。また、この金属シリコンは、シリコーン樹脂や合金用の原料としても利用できる。
本発明において、籾殻シリカと金属アルミニウムの反応温度を金属シリコンの融点(1414℃)未満とすることで、得られる金属シリコンは溶融凝固した状態ではなく、微細で大表面積をもった固相状態の金属シリコンとして得られる。このように微細で大表面積を持った金属シリコンは、金属シリコンを塩素化しトリクロロシランに変換し、蒸留により高純度化するプロセスに供する金属シリコン原料として最適である。通常は溶融凝固した金属シリコンインゴットを粉砕後、塩素化しているが、本発明で得られる金属シリコンを用いれば、金属シリコンを粉砕するなどの余分な工程を省けるし、効率よくトリクロロシランを生産することができる。
本発明によれば、籾殻などのケイ酸植物のバイオマスに含まれるシリカを利用するので、鉱物資源とは異なり、米などの生産に伴い得られる生産可能な無機資源であるので、原料の安定供給と金属シリコンの安定供給が可能である。
また、本発明の金属シリコンの製造方法において、シリカ灰とアルミニウムとの混合物にアルカリ金属塩をシリカに対し1〜30at%、好ましくは2〜10at%加え不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、より低温で転化率が高くなり、効率よく金属シリコンを製造できる。したがって、より低温で効率良く金属ケイ素を製造するには、アルカリ金属塩をシリカ灰とアルミニウムとの混合物に添加することにより達成できる。
本発明において、籾殻シリカと金属アルミニウムの反応温度を金属シリコンの融点(1414℃)未満とすることで、得られる金属シリコンは溶融凝固した状態ではなく、微細で大表面積をもった固相状態の金属シリコンとして得られる。このように微細で大表面積を持った金属シリコンは、金属シリコンを塩素化しトリクロロシランに変換し、蒸留により高純度化するプロセスに供する金属シリコン原料として最適である。通常は溶融凝固した金属シリコンインゴットを粉砕後、塩素化しているが、本発明で得られる金属シリコンを用いれば、金属シリコンを粉砕するなどの余分な工程を省けるし、効率よくトリクロロシランを生産することができる。
本発明によれば、籾殻などのケイ酸植物のバイオマスに含まれるシリカを利用するので、鉱物資源とは異なり、米などの生産に伴い得られる生産可能な無機資源であるので、原料の安定供給と金属シリコンの安定供給が可能である。
また、本発明の金属シリコンの製造方法において、シリカ灰とアルミニウムとの混合物にアルカリ金属塩をシリカに対し1〜30at%、好ましくは2〜10at%加え不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、より低温で転化率が高くなり、効率よく金属シリコンを製造できる。したがって、より低温で効率良く金属ケイ素を製造するには、アルカリ金属塩をシリカ灰とアルミニウムとの混合物に添加することにより達成できる。
本発明の金属シリコンの製造方法は、ケイ酸植物を焼成してシリカ(SiO2)を主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰に、アルミニウム(Al)、アルカリ土類金属、アルカリ金属からなる群から選択されるいずれかの金属を加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、金属シリコン(Si)を得る工程とを有することを特徴とする。前記アルカリ土類金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)が好ましい。また、前記アルカリ金属としては、ナトリウム(Na)、カリウム(K)が挙げられる。
本発明の金属シリコンの製造方法において、前記金属の中でも、原料コストが安価であり、シリカ灰から金属シリコンへの転化率が高い、などの観点から、前記金属としてアルミニウムを用いることが好ましい。
従って、本発明の金属シリコンの製造方法の好ましい実施形態は、ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰にアルミニウムを加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせて金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする。
以下、本実施形態について説明する。
従って、本発明の金属シリコンの製造方法の好ましい実施形態は、ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰にアルミニウムを加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせて金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする。
以下、本実施形態について説明する。
本発明の製造方法に原料として用いるケイ酸植物としては、イネ、トウモロコシ、サトウキビ、トクサ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ハトムギ、キビ、アワ、ヒエ、ススキなどのイネ科植物が挙げられ、その中でも、ケイ酸含有量が高いイネの籾殻や藁などが好ましく、さらに籾殻が特に好ましい。
以下の実施形態の説明においては、籾殻を原材料として金属シリコンを製造する場合を記すが、本発明はこれに限定されるものではなく、稲藁などの他のケイ酸植物体についても適用可能である。
以下の実施形態の説明においては、籾殻を原材料として金属シリコンを製造する場合を記すが、本発明はこれに限定されるものではなく、稲藁などの他のケイ酸植物体についても適用可能である。
籾殻は、約20質量%の無機質と約80質量%のセルロースなどの有機質とからなる。約20質量%を示す無機質成分のうち、85〜95質量%は活性なシリカ(SiO2)である。シリカは、灌漑水中の水溶性ケイ酸イオンがイネの根を通り、茎の導管を通り、籾殻の表皮から蒸散によって水分が蒸発する際に、クチクラ部に沈積したものである。
籾殻は、必要に応じて風選や篩分けなどによって石や土などの異物を除去したものをそのまま用いても良いし、希塩酸でリーチングし、無機物中に微量含まれている、鉄、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を溶出除去したものを用いても良い。
[籾殻シリカ形成工程]
本実施形態では、まず、籾殻を焼成してシリカ(SiO2)を主体として含む籾殻シリカ(シリカ灰)を形成する工程を行う。
この籾殻シリカ形成工程は、籾殻を不活性ガス雰囲気中で加熱して籾殻炭化物を形成する籾殻炭化工程と、次いで、得られた籾殻炭化物を酸素含有雰囲気中で加熱燃焼させて籾殻シリカを得る燃焼工程とからなることが好ましい。
本実施形態では、まず、籾殻を焼成してシリカ(SiO2)を主体として含む籾殻シリカ(シリカ灰)を形成する工程を行う。
この籾殻シリカ形成工程は、籾殻を不活性ガス雰囲気中で加熱して籾殻炭化物を形成する籾殻炭化工程と、次いで、得られた籾殻炭化物を酸素含有雰囲気中で加熱燃焼させて籾殻シリカを得る燃焼工程とからなることが好ましい。
(籾殻炭化工程)
本工程では、籾殻をアルゴンや窒素ガスなどの不活性ガス気流中、400℃以上の温度で数分〜数十時間、好ましくは数十分〜数時間程度焼成し、籾殻中の有機物(セルロースやリグニンなど)を炭化し、籾殻炭化物とする。この焼成温度は400℃以上であり、好ましくは500〜1000℃の範囲である。焼成温度が400℃未満であると、籾殻の炭化が不十分となったり、炭化完了までに長時間を要するために好ましくない。
本工程では、籾殻をアルゴンや窒素ガスなどの不活性ガス気流中、400℃以上の温度で数分〜数十時間、好ましくは数十分〜数時間程度焼成し、籾殻中の有機物(セルロースやリグニンなど)を炭化し、籾殻炭化物とする。この焼成温度は400℃以上であり、好ましくは500〜1000℃の範囲である。焼成温度が400℃未満であると、籾殻の炭化が不十分となったり、炭化完了までに長時間を要するために好ましくない。
(燃焼工程)
次に、得られた籾殻炭化物は、酸素含有雰囲気中、好ましくは大気中で加熱して燃焼させ、籾殻炭化物中の炭素分を除去し、シリカ(SiO2)を主体として含む籾殻シリカを得る。この燃焼工程において、加熱温度、加熱時間、大気供給方法などは特に限定されず、籾殻炭化物中のシリカがSiCに転化されず、且つ籾殻炭化物中の炭素分を効率よく除去できるように適宜調整可能である。
次に、得られた籾殻炭化物は、酸素含有雰囲気中、好ましくは大気中で加熱して燃焼させ、籾殻炭化物中の炭素分を除去し、シリカ(SiO2)を主体として含む籾殻シリカを得る。この燃焼工程において、加熱温度、加熱時間、大気供給方法などは特に限定されず、籾殻炭化物中のシリカがSiCに転化されず、且つ籾殻炭化物中の炭素分を効率よく除去できるように適宜調整可能である。
本実施形態では[籾殻燃焼灰形成工程]を、(籾殻炭化工程)と(燃焼工程)に分けて行っていることで、活性が高く比表面積が非常に大きな籾殻シリカを効率よく製造することができる。
なお、前記[籾殻燃焼灰形成工程]は、活性が高く比表面積が大きな籾殻シリカが得られるのであれば本実施形態に限らず、籾殻を酸素含有雰囲気中で直接燃焼させ、籾殻シリカを形成してもよい。
なお、前記[籾殻燃焼灰形成工程]は、活性が高く比表面積が大きな籾殻シリカが得られるのであれば本実施形態に限らず、籾殻を酸素含有雰囲気中で直接燃焼させ、籾殻シリカを形成してもよい。
[金属シリコン製造工程]
この工程は、前記[籾殻燃焼灰形成工程]で作製した籾殻シリカにアルミニウムを加えて混合し、この混合物を不活性ガス雰囲気中で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせ、粉末状の金属シリコンを製造する。
この工程は、前記[籾殻燃焼灰形成工程]で作製した籾殻シリカにアルミニウムを加えて混合し、この混合物を不活性ガス雰囲気中で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせ、粉末状の金属シリコンを製造する。
この反応の雰囲気は、アルゴンガスなどの不活性ガスとする。
反応温度は1000℃以上、金属シリコンの融点(1414℃)未満の範囲とすることが好ましく、短い反応時間で高い転化率が得られることから1300℃〜1400℃の温度範囲とすることが更に好ましい。
反応時間は特に制限はないが、1300℃〜1400℃の温度範囲で反応させる場合には、10〜20分で十分である。
反応温度は1000℃以上、金属シリコンの融点(1414℃)未満の範囲とすることが好ましく、短い反応時間で高い転化率が得られることから1300℃〜1400℃の温度範囲とすることが更に好ましい。
反応時間は特に制限はないが、1300℃〜1400℃の温度範囲で反応させる場合には、10〜20分で十分である。
本実施形態において、籾殻シリカとアルミニウムとの混合の仕方は、両者が十分に混合されればよく、特に限定されないが、籾殻シリカにアルミニウムを加えてボールミルにより粉砕混合した後、不活性ガス雰囲気中で加熱することが好ましい。前記式(1)の反応は、アルミニウム融体もしくは蒸気が関与しているので、厳密に粉砕混合しなくても良いが、籾殻シリカとアルミニウム金属の粒子が小さく、均一に混合されている方が、反応率、反応速度の点で良好な結果をもたらす。
なお、[金属シリコン製造工程]において、前記アルミニウムに替えて、マグネシウム(Mg)などのアルカリ土類金属、ナトリウム(Na)などのアルカリ金属からなる群から選択されるいずれかを用い、籾殻シリカから金属シリコンを生成させることも可能である。
また、前記式(1)の反応において、籾殻シリカとアルミニウムは均一に混合していることが好ましいが、不均一な状態、あるいは、アルミニウム金属の塊として反応系中に存在してもかまわない。
また、前記式(1)の反応において、籾殻シリカとアルミニウムは均一に混合していることが好ましいが、不均一な状態、あるいは、アルミニウム金属の塊として反応系中に存在してもかまわない。
籾殻シリカとアルミニウムとの混合比率は、式(1)で示す量論的には、SiO2:Al=3:4(モル比)であるが、アルミニウムは高温下では蒸気圧が高くなり蒸発していくので、前記量論比に対しアルミニウムを多めに混合することが好ましい。その比率は、SiO2:Al=3:4〜3:6(モル比)の範囲が好ましく、(3:4.5)〜(3:5.2)の範囲がより好ましい。
前記式(1)の反応後、粉末状の金属シリコンが得られる。
このように得られた金属シリコンは、次に、高純度化工程において、従来周知の方法によって塩素化して、高純度シリコンの原料となるトリクロロシラン(SiHCl3)や四塩化ケイ素(SiCl4)とする。
このように得られた金属シリコンは、次に、高純度化工程において、従来周知の方法によって塩素化して、高純度シリコンの原料となるトリクロロシラン(SiHCl3)や四塩化ケイ素(SiCl4)とする。
前記式(1)の反応後、未反応のシリカは、残渣を300〜400℃で塩化水素と接触させると、Siはトリクロロシラン(SiHCl3、沸点31.8℃)となり、反応系外に取り出され、その後の反応残渣は、未反応のアルミニウムから生成する塩化アルミニウムと(SiO2+Al2O3)となり、ムライト(組成は3Al2O3・2SiO2〜2Al2O3・SiO2)等のセラミック原料として利用できる。
金属シリコン製造工程での加熱方法は、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス中で籾殻シリカ・アルミニウム混合物を1400℃まで加熱できれば良く、電気抵抗炉、アーク炉、高周波炉などの加熱手段を用いて行うことができる。
この金属シリコン製造工程において、籾殻シリカ・アルミニウム混合物を連続的に反応域に供給すると共に、反応物を連続的に抜き出すことにより、連続して金属シリコンを生産することも可能である。
以上のように、本発明では、アーク炉を用いず、活性な籾殻シリカに金属アルミニウムを混合し、通常の電気炉あるいは高周波炉などを用いて、不活性ガス雰囲気中で金属シリコンの融点(1414℃)未満の温度で加熱することにより、粉末状の金属シリコンを製造する。本発明の製造方法では、アーク炉を用いる方法よりもより低温で金属シリコンが製造可能となり、生成物である金属シリコンを融解させることなく、粉末状で製造することができる。
[アルカリ金属塩の添加による反応促進]
この金属シリコン製造工程において、籾殻シリカ・アルミニウム混合物に、アルカリ金属塩をシリカに対し1〜30at%、好ましくは2〜20at%加え、不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、より低温で高い転化率が得られ、効率よく金属シリコンを製造できる。したがって、より低温で効率良く金属ケイ素を製造するには、アルカリ金属塩を籾殻シリカ・アルミニウム混合物に添加することにより達成できる。
この金属シリコン製造工程において、籾殻シリカ・アルミニウム混合物に、アルカリ金属塩をシリカに対し1〜30at%、好ましくは2〜20at%加え、不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、より低温で高い転化率が得られ、効率よく金属シリコンを製造できる。したがって、より低温で効率良く金属ケイ素を製造するには、アルカリ金属塩を籾殻シリカ・アルミニウム混合物に添加することにより達成できる。
前記アルカリ金属塩としては、カリウム又はナトリウムの炭酸塩、重炭酸塩、蓚酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物、水酸化物から成る群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、炭酸カリウム(K2CO3)が特に好ましい。
籾殻シリカ・アルミニウム混合物に添加するアルカリ金属塩の量が1at%未満であると、アルカリ金属塩の添加による式(1)の反応促進効果が十分に得られなくなる。また、30at%を超えてアルカリ金属塩を添加しても、式(1)の反応促進効果が頭打ちとなり、混合物の体積が増加して反応装置が大型化するなどの不具合が生じる。
また、前記金属シリコンの製造方法において、シリカとアルミニウムとの反応後の残渣に含まれるアルカリ金属塩を新たな籾殻シリカ・アルミニウム混合物に添加して使用することもできる。
籾殻シリカ・アルミニウム混合物に添加するアルカリ金属塩の量が1at%未満であると、アルカリ金属塩の添加による式(1)の反応促進効果が十分に得られなくなる。また、30at%を超えてアルカリ金属塩を添加しても、式(1)の反応促進効果が頭打ちとなり、混合物の体積が増加して反応装置が大型化するなどの不具合が生じる。
また、前記金属シリコンの製造方法において、シリカとアルミニウムとの反応後の残渣に含まれるアルカリ金属塩を新たな籾殻シリカ・アルミニウム混合物に添加して使用することもできる。
[籾殻シリカの製造]
生籾殻を3%(v/v)塩酸中に入れ、2時間沸騰させ、不純物を除去したものを出発原料とした。
この出発原料を、窒素気流100mL/min、昇温速度5K/min、600℃で1時間保持し、籾殻炭化物(SiO2+Cの混合物)を作製した。
次に、得られた籾殻炭化物を空気中で600℃、4時間保持し、籾殻炭化物中に含まれる炭素を燃焼により除去し、非晶質のシリカを主成分とする籾殻シリカを製造した。
生籾殻を3%(v/v)塩酸中に入れ、2時間沸騰させ、不純物を除去したものを出発原料とした。
この出発原料を、窒素気流100mL/min、昇温速度5K/min、600℃で1時間保持し、籾殻炭化物(SiO2+Cの混合物)を作製した。
次に、得られた籾殻炭化物を空気中で600℃、4時間保持し、籾殻炭化物中に含まれる炭素を燃焼により除去し、非晶質のシリカを主成分とする籾殻シリカを製造した。
[参考例:炭素還元による金属シリコン製造試験]
得られた籾殻シリカに、前記籾殻炭化物をC:SiO2=2:1(モル比)になるように混合し、遊星型ボールミルで1分間混合し、得られた混合物を高周波炉に入れ、1600〜1900℃で10分間反応させ、次式(2):
SiO2+2C → Si+2CO ・・・(2)
による金属シリコン(Si)の製造を試みた。
この反応においては、1600℃では22.6%、1800℃では45.4%、1900℃では72.0%の質量減少が見られた。この減量は、1100℃付近で生じる次式(3):
SiO2+C → SiO+CO ・・・(3)
の反応により、気化したSiOとCOが反応系外に放出され、また1500℃以上の温度では、式(3)の反応に引き続いて、次式(4)
SiO+2C → SiC+CO ・・・(4)
の反応が生じてSiCが生成する際に、COが系外に放出されたためと考えられる。
その結果、1700℃以上の温度で生成する金属シリコンは確認できなかった。これは、式(2)のSi生成反応が起こる前に、COやSiCに転化されることで反応系内の殆どのCが消費されてしまい、式(2)の反応が進まなかったためと考えられる。
得られた籾殻シリカに、前記籾殻炭化物をC:SiO2=2:1(モル比)になるように混合し、遊星型ボールミルで1分間混合し、得られた混合物を高周波炉に入れ、1600〜1900℃で10分間反応させ、次式(2):
SiO2+2C → Si+2CO ・・・(2)
による金属シリコン(Si)の製造を試みた。
この反応においては、1600℃では22.6%、1800℃では45.4%、1900℃では72.0%の質量減少が見られた。この減量は、1100℃付近で生じる次式(3):
SiO2+C → SiO+CO ・・・(3)
の反応により、気化したSiOとCOが反応系外に放出され、また1500℃以上の温度では、式(3)の反応に引き続いて、次式(4)
SiO+2C → SiC+CO ・・・(4)
の反応が生じてSiCが生成する際に、COが系外に放出されたためと考えられる。
その結果、1700℃以上の温度で生成する金属シリコンは確認できなかった。これは、式(2)のSi生成反応が起こる前に、COやSiCに転化されることで反応系内の殆どのCが消費されてしまい、式(2)の反応が進まなかったためと考えられる。
[実施例1]
前記[籾殻シリカの製造]において得られた籾殻シリカに、アルミニウムをAl:SiO2=4:3(モル比)となるように加え、ボールミルで一定時間混合し、高周波炉で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を行わせた。
籾殻シリカの一次粒子の平均粒径は0.4μm、比表面積311m2/gであった。
加熱条件としては、温度(1100℃、1200℃、1300℃)、時間(10分、20分、30分)を変化させた。
Siへの転化率は、Alの減少率をXRD内部標準法で定量することで求めた。
前記[籾殻シリカの製造]において得られた籾殻シリカに、アルミニウムをAl:SiO2=4:3(モル比)となるように加え、ボールミルで一定時間混合し、高周波炉で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を行わせた。
籾殻シリカの一次粒子の平均粒径は0.4μm、比表面積311m2/gであった。
加熱条件としては、温度(1100℃、1200℃、1300℃)、時間(10分、20分、30分)を変化させた。
Siへの転化率は、Alの減少率をXRD内部標準法で定量することで求めた。
[比較例]
比較のため、籾殻シリカに替えて市販シリカ(α石英、一次粒子の平均粒径20μm、比表面積1m2/g)を用い、それ以外は実施例1と同様にして、(1)式の反応により金属シリコンを製造し、加熱温度・時間を変化させた際のSiへの転化率を調べた。
比較のため、籾殻シリカに替えて市販シリカ(α石英、一次粒子の平均粒径20μm、比表面積1m2/g)を用い、それ以外は実施例1と同様にして、(1)式の反応により金属シリコンを製造し、加熱温度・時間を変化させた際のSiへの転化率を調べた。
[結果]
シリカとして、籾殻シリカを用いた実施例1、市販シリカを用いた比較例ともに、(1)式の反応により金属シリコン(Si)が得られた。
シリカとして、籾殻シリカを用いた実施例1、市販シリカを用いた比較例ともに、(1)式の反応により金属シリコン(Si)が得られた。
図1に各反応温度における転化率の変化を示した。
シリカ(SiO2)の金属シリコン(Si)への転化率は、1100℃及び1200℃においては、籾殻シリカに比べ、市販シリカの方が高かった。これは、籾殻シリカの比表面積が311m2/gであり、市販シリカの1m2/gと比べて大きく、多孔質であるため、籾殻シリカとAl融体(反応温度はAlの融点660.4℃以上であるため)において、単位面積当たりのシリカとAlの接触点が少なかったためと考えられる。
一方、1300℃では籾殻シリカの方が市販シリカよりも転化率が高くなった。
Alの蒸気圧は、1100℃で0.001Torr、1200℃で0.01Torr、1300℃で0.032Torrである。そのため、1300℃ではAl蒸気とSiO2との固気反応が進むようになり、籾殻シリカの比表面積が市販シリカに比べ大きいため、より反応が進んだものと考えられる。
シリカ(SiO2)の金属シリコン(Si)への転化率は、1100℃及び1200℃においては、籾殻シリカに比べ、市販シリカの方が高かった。これは、籾殻シリカの比表面積が311m2/gであり、市販シリカの1m2/gと比べて大きく、多孔質であるため、籾殻シリカとAl融体(反応温度はAlの融点660.4℃以上であるため)において、単位面積当たりのシリカとAlの接触点が少なかったためと考えられる。
一方、1300℃では籾殻シリカの方が市販シリカよりも転化率が高くなった。
Alの蒸気圧は、1100℃で0.001Torr、1200℃で0.01Torr、1300℃で0.032Torrである。そのため、1300℃ではAl蒸気とSiO2との固気反応が進むようになり、籾殻シリカの比表面積が市販シリカに比べ大きいため、より反応が進んだものと考えられる。
図2には、加熱温度を1300℃とした場合の反応速度曲線を示した。籾殻シリカの方が市販シリカと比べ反応速度が大きく、転化率が高くなることが分かる。
図1、2に示す結果から、籾殻シリカにアルミニウムを加え、1300℃程度に加熱し反応させることで、市販シリカを用いた場合よりも高い転化率で金属シリコンを製造できることがわかる。
また、実施例で得られた金属シリコンは、比較例で得られた金属シリコンと比べて比表面積が大きいため、粉砕することなく、塩化水素と効率よく反応させることができた。
また、実施例で得られた金属シリコンは、比較例で得られた金属シリコンと比べて比表面積が大きいため、粉砕することなく、塩化水素と効率よく反応させることができた。
[実施例2]
実施例1と同様に調製した籾殻シリカ(RH SiO2)とアルミニウムとの混合物に、シリカに対し5at%のK2CO3を添加し、これを1000〜1300℃の各温度で10分間反応させた場合のSiO2のSiへの転化率を調べた(図3中のRH SiO2 5at%K2CO3の曲線参照)。なお、Siへの転化率は、実施例1と同様に、Alの減少率をXRD標準添加法で定量することで求めた。
また、比較のために、比較例で用いた市販シリカ(α−SiO2)とアルミニウムとの混合物に、シリカに対し5at%のK2CO3を添加し、これを1000〜1300℃の各温度で10分間反応させた場合のSiO2のSiへの転化率を調べた(図3中のα−SiO2 5at%K2CO3の曲線参照)。その結果を図3にまとめて示す。
実施例1と同様に調製した籾殻シリカ(RH SiO2)とアルミニウムとの混合物に、シリカに対し5at%のK2CO3を添加し、これを1000〜1300℃の各温度で10分間反応させた場合のSiO2のSiへの転化率を調べた(図3中のRH SiO2 5at%K2CO3の曲線参照)。なお、Siへの転化率は、実施例1と同様に、Alの減少率をXRD標準添加法で定量することで求めた。
また、比較のために、比較例で用いた市販シリカ(α−SiO2)とアルミニウムとの混合物に、シリカに対し5at%のK2CO3を添加し、これを1000〜1300℃の各温度で10分間反応させた場合のSiO2のSiへの転化率を調べた(図3中のα−SiO2 5at%K2CO3の曲線参照)。その結果を図3にまとめて示す。
図3に示した結果から、籾殻シリカ(RH SiO2)とアルミニウムとの混合物にK2CO3を添加して反応を行うことで、K2CO3添加効果により、1200℃で転化率は68%と未添加の場合(RH SiO2 No K2CO3)の15%と比べ、飛躍的に転化率が増加した。
[実施例3]
実施例1と同様に調製した籾殻シリカとアルミニウムとの混合物に、シリカに対し0〜20at%のK2CO3を添加し、これを1000℃及び1100℃の各温度で10分間反応させた場合のSiO2のSiへの転化率を調べた。なお、Siへの転化率は、実施例1と同様に、Alの減少率をXRD標準添加法で定量することで求めた。その結果を図4にまとめて示す。
実施例1と同様に調製した籾殻シリカとアルミニウムとの混合物に、シリカに対し0〜20at%のK2CO3を添加し、これを1000℃及び1100℃の各温度で10分間反応させた場合のSiO2のSiへの転化率を調べた。なお、Siへの転化率は、実施例1と同様に、Alの減少率をXRD標準添加法で定量することで求めた。その結果を図4にまとめて示す。
図4に示した結果から、K2CO3未添加(0%)の場合は、1000℃では転化率0%、1100℃では転化率2%であったが、K2CO310at%添加では、1000℃で転化率13%、1100℃で転化率15%となり、このような低い反応温度でもK2CO3の添加効果は明らかである。
本発明によれば、籾殻などのケイ酸植物体をシリカ原料として用い効率よく金属シリコンを製造し得る。
金属シリコンは、シリコン半導体、シリコン太陽電池の原料となり、またシリコーンなどのケイ素有機化合物・ポリマーの原料となる。これらの金属シリコンを製造する原料としては、これまで高純度ケイ石が用いられてきた。ケイ素元素は地殻中に酸素元素に次いで多く存在するが、その多くはアルミニウム、カルシウム、鉄などの他の元素と複酸化物を形成しているので、SiO2から成る高純度ケイ石は多量に広く分布している資源ではない。2006年の世界の高純度シリコンの生産量は23.8万トン、日本では1.6万トン(2008年)である。籾殻は世界で1年間(2005年)に124百万トン、シリカ分としては2500万トン、金属シリコンとしては1200万トンの生産が可能な計算となる。日本では1年間(2005年)に籾殻が230万トン、シリカ分として45万トン、金属シリコンとして21万トンを得ることができる計算になる。また、籾殻は毎年生産されるので、資源枯渇や輸入途絶の心配がない。
籾殻中の活性なシリカは、本発明によって金属シリコン製造の原料として利用可能となる。また、籾殻シリカからの金属シリコンの生成効率の観点から、および得られた金属シリコンの高純度化の容易性の観点からも、本発明は有利である。
金属シリコンは、シリコン半導体、シリコン太陽電池の原料となり、またシリコーンなどのケイ素有機化合物・ポリマーの原料となる。これらの金属シリコンを製造する原料としては、これまで高純度ケイ石が用いられてきた。ケイ素元素は地殻中に酸素元素に次いで多く存在するが、その多くはアルミニウム、カルシウム、鉄などの他の元素と複酸化物を形成しているので、SiO2から成る高純度ケイ石は多量に広く分布している資源ではない。2006年の世界の高純度シリコンの生産量は23.8万トン、日本では1.6万トン(2008年)である。籾殻は世界で1年間(2005年)に124百万トン、シリカ分としては2500万トン、金属シリコンとしては1200万トンの生産が可能な計算となる。日本では1年間(2005年)に籾殻が230万トン、シリカ分として45万トン、金属シリコンとして21万トンを得ることができる計算になる。また、籾殻は毎年生産されるので、資源枯渇や輸入途絶の心配がない。
籾殻中の活性なシリカは、本発明によって金属シリコン製造の原料として利用可能となる。また、籾殻シリカからの金属シリコンの生成効率の観点から、および得られた金属シリコンの高純度化の容易性の観点からも、本発明は有利である。
Claims (10)
- ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰に、アルミニウム、アルカリ土類金属、アルカリ金属からなる群から選択されるいずれかの金属を加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする金属シリコンの製造方法。
- ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工程、次いで、得られたシリカ灰にアルミニウムを加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、次式(1)
4Al+3SiO2 → 3Si+2Al2O3 ・・・(1)
の反応を生じさせて金属シリコンを得る工程とを有することを特徴とする金属シリコンの製造方法。 - 前記シリカ灰を形成する工程が、ケイ酸植物を不活性ガス雰囲気中で加熱して炭化物を形成する工程と、次いで、得られた炭化物を酸素含有雰囲気中で加熱燃焼させて前記シリカ灰を得る工程とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属シリコンの製造方法。
- 前記ケイ酸植物がイネの籾殻又は稲藁であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属シリコンの製造方法。
- 前記シリカ灰にアルミニウムを加え、1000℃以上1414℃未満の温度範囲で加熱して粉末状の金属シリコンを得ることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の金属シリコンの製造方法。
- 前記シリカ灰にアルミニウムを加えて1300〜1400℃の温度範囲で加熱して粉末状の金属シリコンを得ることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の金属シリコンの製造方法。
- 前記シリカ灰にアルミニウムを加えてボールミルにより粉砕混合した後、不活性ガス雰囲気中で加熱することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の金属シリコンの製造方法。
- 前記シリカ灰とアルミニウムとの混合物にアルカリ金属塩をシリカに対し1〜30at%加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、金属シリコンを得ることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の金属シリコンの製造方法。
- 前記アルカリ金属塩がカリウム又はナトリウムの炭酸塩、重炭酸塩、蓚酸塩、酢酸塩、硫酸塩、塩化物、水酸化物から成る群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項8に記載の金属シリコンの製造方法。
- シリカとアルミニウムとの反応後の残渣に含まれるアルカリ金属塩を新たなシリカ灰とアルミニウムとの混合物に添加して使用することを特徴とする請求項8又は9に記載の金属シリコンの製造方法。
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