JP2020090429A - シリコンの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池用シリコンとして好適の高純度シリコンを、高効率、高収率及び低コストで、製造することができるシリコンの製造方法を提供する。【解決手段】従来、シリカ源として実用化されていなかったケイ酸植物、特に主食として広く大量に生産される稲から発生する籾殻又は稲藁などに含まれるシリカを、マイクロ波加熱により高効率で加熱して、低コストで金属シリコンを生成する。具体的には、容易かつ安価に取得可能なシリカ源として得られる籾殻や稲藁を焼成してシリカ灰とし、これに必要量の炭素を混合し、原料をマイクロ波内で、高速かつ選択的に内部加熱する。これにより、簡便かつエネルギー効率高く、短時間で金属シリコンを製造する。【選択図】図1
Description
本発明は、原料として、籾殻又は稲藁等のケイ酸植物を使用し、このケイ酸植物を焼成して得たシリカ灰をマイクロ波加熱することにより、金属シリコンを製造するシリコンの製造方法及び製造装置に関し、特に太陽電池用シリコンを製造することができるシリコンの製造方法及び製造装置に関する。
化石資源依存に起因するエネルギー資源供給の不安定化と、地球規模の環境問題の顕在化等により、再生エネルギー資源の開発が喫緊の課題となっている。太陽電池は最も有望な再生エネルギー資源の一つであり、現在世界中で安価で効率の高い太陽電池の開発が進められている。基板にシリコンを使用するシリコン系太陽電池は、変換効率及び耐久性が優れており、現在使用されている太陽電池の90%以上を占めている。太陽電池用シリコンとしては、純度99.9999%(6N)以上の高純度シリコンが使用されているが、このクラスの高純度シリコンを安価且つ高効率で製造する方法は確立されていない。多くは、半導体用の超高純度シリコン(純度11N超)の製造中に発生する切れ端と、ウエハ製造の際に発生する鋸屑等を再利用している。
シリコンは、単体(純度約98%)の場合は製鉄材料又は製鉄の脱酸素材、アルミニウム合金の添加成分等に使用され、高純度シリコンは、半導体装置(純度11N)又は太陽電池(純度6N以上)の基板として使用されている。この高純度シリコンは、従来、主として、シーメンス(Siemens)法により製造されている。このシーメンス法においては、高純度の石英又は珪石(SiO2)を木炭等の高純度炭素と共に、アーク炉で2000℃に加熱して、下記化学式1により、約98%の純度のシリコン(金属級シリコン)に還元する。そして、得られたシリコンを、流動床反応炉を使用し、300〜350℃の温度で、塩化水素ガス(HCl)と反応させ、三塩化ケイ素(HSiCl3)に変換する。このとき、四塩化ケイ素(SiCl4)が10〜14%副生し、三塩化ケイ素に混入する。そして、この三塩化ケイ素に対し、蒸留精製を繰り返して、高純度化した後、1000〜1100℃に加熱した高純度シリコンの芯棒(種材)の表面上で分解・堆積させ、純度が10Nから11Nの高純度多結晶シリコンを製造する。その後、必要に応じて、帯域溶融法等により更に高純度化する。
しかしながら、上述の現状の高純度シリコンの製造方法には、以下に示す問題点がある。先ず、シリカ(SiO2)原料として高純度の石英又は珪石を使用するが、これらは希少資源で、高価である。また、珪石の還元反応の過程で一酸化炭素(CO)ガス及び一酸化ケイ素(SiO)ガスが発生するため、これらの一部又は全部を、層状をなす原料中から逃がす必要があり、通気孔の確保のために、原料として塊状(大きさ5〜200mm)のものしか利用できない。このため、原料を反応前に精製することができず、高純度シリコンの製造のためには、原料として高価な高純度の石英又は珪石を使用せざるを得ない。
また、上記化学式1の反応においては、原料を迅速に溶解するために、2000℃以上で加熱する必要があり、現在主にアーク炉法が使用されている。このアーク炉法は、炭素電極をシリカと炭素の混合物中に差し込み、高電圧で大電流を電極に流して加熱する方法で、極めて高い温度が得られる。しかし、このアーク炉法は、温度制御が難しく、加熱による電極の昇温及び降温で、電極も大きく損耗する。また、アーク炉法は、原料を間接的に加熱することになるので、炉体及びその周囲も高温に加熱されるため、エネルギー効率が低い。従って、この加熱のために投入するエネルギーが極めて大きく、これが高純度シリコンの製造コストを大きく押し上げている。即ち、化学式1の反応の全工程で11〜15kWh/kg・Siという極めて多量の電力を消費するため、日本国内では化学式1の反応プロセスではシリコンを生産できず、ノルウエー、ブラジル、中国等の電気料が安価な国から全量輸入している。
更に、三塩化ケイ素を製造する反応においては、四塩化ケイ素(SiCl4)が10〜15%も副生してしまう。また、高純度の三塩化ケイ素(HSiCl3)を得るため、蒸留精製を繰り返す必要があり、このため多量のエネルギーを消費する。
更にまた、三塩化ケイ素を分解して高純度シリコンの堆積・成長を行う工程では、反応速度が遅く、また、四塩化ケイ素(SiCl4)が多量に副生するという問題点がある。この四塩化ケイ素の副生を抑制するために、三塩化ケイ素(HSiCl3)の希釈用及び反応原料用として、高価な高純度水素を多量に必要とする。
一方、デバイスの素材の面においては、6N以上のSi純度を要求される太陽電池用シリコンは、11Nを超える超高純度が要求される半導体用シリコンウエハの切りくず等を転用して製造している。このため、太陽電池用シリコンとしては、必要以上の高純度のシリコン素材を使用していることになり、これも高コストの要因となっている。
太陽電池用シリコンの製造方法として、上記シーメンス法以外に、金属級シリコンを四塩化ケイ素に変換し、高純度の金属亜鉛又は金属アルミニウムで還元する方法が提案されているが、これも少なくとも2回の還元反応を必要とすることと、高価な高純度の亜鉛又はアルミニウム金属を使用することから、コスト低減効果が少ない。また、炭素の自己燃焼熱を利用して、2000℃以上で熱炭素還元する方法も提案されているが、かなりの高温を必要とする上に、シリコンの収率が低い。また、二酸化ケイ素が部分還元された一酸化ケイ素(SiO)ガスが還元反応中に大量に散逸してしまい、得るべきシリコンの損失が大きい。更に、炭化ケイ素(SiC)等の副生成物が多く生成してしまう等の問題点もある。よって、この方法も、太陽電池用シリコンの製造方法として、低コスト且つ高効率で、量産に適した製造方法とはいえない。よって、太陽電池用に適した6N以上の純度のSiを低コストで効率良く製造する方法の開発が強く望まれている。
一方、従来ほとんど利用されていないシリコン資源として、植物中に含まれるシリカがある。稲、麦、トウモロコシ、サトウキビ、ススキ、及びトクサ等は、シリカを多く含むことが知られており、ケイ酸植物とよばれている。中でも稲には、最も多くのシリカが含まれており、籾殻には18〜25質量%、稲藁には約12質量%のシリカが含まれている。稲は重要な主食穀物であり、2010年には世界中で約7.4億トン、日本でも約1千万トン生産され、そこから籾殻は約1.5億トン(日本約215万トン)と膨大な量が派生している。これは金属シリコン換算で1400万トン(日本20万トン)となり、現在の金属シリコンの需要量に匹敵する(Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO)−FAOSTAT−Production,Crops,Rice,Paddy,2012のデータを元に算出した)。籾殻等のケイ酸植物に含まれるシリカは、一般に非晶質且つ多孔質で化学反応性が高いことが知られている。しかし、籾殻の有機成分は燃料等として一部が利用されているものの、良質で反応性に富むシリカ分を含む燃焼後のシリカ灰はほとんど利用されていない。このため、大部分の籾殻は、従来、精米工場などでは産業廃棄物として焼却処分されており、この焼却コストとして別途費用がかかっている。また、東南アジア各地でも稲作が大規模に行われているが、籾殻に由来するシリカ灰はほとんど実用化されていない。
而して、シリカを多く含む籾殻等のケイ酸植物を金属シリコンの製造のための原料に利用する提案は、いくつかなされている。例えば、特許文献1には、籾殻灰に還元剤として金属アルミニウムを添加し、原料及び還元剤を電気炉又は高周波炉を使用して加熱することにより、金属シリコンを製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、籾殻を焼成し、焼成灰を粉砕した後、サッカロース等の二糖類を添加して得られた固形体を、放電空間に位置させて、電気アーク炉加熱により金属シリコンを製造する方法が開示されている。また、特許文献3には、籾殻灰を炭素と共に、電気アーク炉中で1900℃に加熱し、炭素還元する方法が開示されている。
一方、近時、シリカの粉末及びグラファイトの粉末の混合物に対して、マイクロ波を照射することにより、シリカをグラファイトにより還元して溶融シリコンを得る技術が開示されている(特許文献4、5)。
しかしながら、特許文献1乃至3に記載の従来の籾殻を原料としてシリコンを製造しようとする方法は、いずれも還元剤として高価な金属アルミニウムを使用したり、製造設備としてエネルギー消費量の大きな電気アーク炉を使用するため、製造コスト及び消費エネルギー量が高く、低コストの籾殻を使用して低コストで金属シリコンを製造するという所期の目的を達成できていない。
また、特許文献4及び5に記載のマイクロ波を使用して、シリカの粉末を加熱し、炭素質によりシリカを還元して溶融シリコンを得る方法が開示されているが、原料として、石英又は珪砂等の鉱物性シリカを使用するため、原料コストが高いという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、太陽電池用シリコンとして好適の高純度シリコンを、高効率、高収率及び低コストで、製造することができるシリコンの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係るシリコンの製造方法は、ケイ酸植物を焼成して、シリカを主成分として含むシリカ灰とし、このシリカ灰を、原料中のC/Si比がモル比で0.2乃至2.0となるように含む原料に対し、不活性ガス(窒素ガスを含まず)雰囲気下でマイクロ波を照射することにより、前記原料を加熱し、中間段階生成物のSiOガスが反応系から離散しないようにしてシリカを還元し、金属シリコンを得ることを特徴とする。
このシリコンの製造方法において、
前記ケイ酸植物は500乃至800℃の範囲で焼成することが好ましい。また、前記シリカ灰に、還元剤としての炭素質を添加することができる。この場合に、前記炭素質は、シリカ灰中のシリカに対する炭素の量が、モル比C/SiO2で、0.2乃至2.0となるように添加することが好ましい。更に、例えば、前記ケイ酸植物は、籾殻又は稲藁である。更にまた、前記ケイ酸植物を焼成して得たシリカ灰及び前記炭素質を、塩酸水溶液中で煮沸洗浄して高純度化した後、これを原料とすることもできる。
前記ケイ酸植物は500乃至800℃の範囲で焼成することが好ましい。また、前記シリカ灰に、還元剤としての炭素質を添加することができる。この場合に、前記炭素質は、シリカ灰中のシリカに対する炭素の量が、モル比C/SiO2で、0.2乃至2.0となるように添加することが好ましい。更に、例えば、前記ケイ酸植物は、籾殻又は稲藁である。更にまた、前記ケイ酸植物を焼成して得たシリカ灰及び前記炭素質を、塩酸水溶液中で煮沸洗浄して高純度化した後、これを原料とすることもできる。
そして、前記シリカ灰に、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン及びクロムからなる群から選択された1種の金属又はそれを含む化合物からなる触媒を、前記シリカ灰中のシリカに対して、0.1乃至10質量%添加することができる。
また、前記シリカ灰と、炭素質、連結剤及び触媒前駆体をマイクロ波加熱反応前に精製して高純度シリカ及び高純度炭素に変換し、これを前記マイクロ波加熱に供することができる。
更に、前記シリカ灰からシリコンを製造するマイクロ波を加熱源とした反応容器は、還元反応の途中で生成する一酸化ケイ素ガスを、前記還元反応中において、前記反応容器内に閉じ込めて離散しないようにする構造を有し、更に、ガス状で発生した一酸化ケイ素が低温部で固化することを利用してこの一酸化ケイ素を補足し、これを前記反応用器内に戻す粉塵トラップを有することが好ましい。
本発明に係るシリコンの製造装置は、前記シリコンの製造方法に使用する装置において、
密閉状態にすることができる反応容器と、
この反応容器内を上下に仕切る多孔質部材と、
前記反応容器内の前記多孔質部材の上に前記出発原料、前記還元剤及び前記触媒を投入する投入口と、
前記多孔質部材の下方の前記反応容器内から、前記溶融シリコンを排出する排出口と、
前記反応容器内の前記出発原料、前記還元剤及び前記触媒にマイクロ波を照射するマイクロ波発振器と、
を有し、
前記多孔質部材は、前記マイクロ波により加熱された前記出発原料が前記還元剤により還元されて得られた溶融シリコンが前記多孔質部材を通過して前記排出口から排出されると共に、前記原料及び前記還元剤は前記多孔質部材を通過しない大きさの孔を有することを特徴とするシリコンの製造装置。
密閉状態にすることができる反応容器と、
この反応容器内を上下に仕切る多孔質部材と、
前記反応容器内の前記多孔質部材の上に前記出発原料、前記還元剤及び前記触媒を投入する投入口と、
前記多孔質部材の下方の前記反応容器内から、前記溶融シリコンを排出する排出口と、
前記反応容器内の前記出発原料、前記還元剤及び前記触媒にマイクロ波を照射するマイクロ波発振器と、
を有し、
前記多孔質部材は、前記マイクロ波により加熱された前記出発原料が前記還元剤により還元されて得られた溶融シリコンが前記多孔質部材を通過して前記排出口から排出されると共に、前記原料及び前記還元剤は前記多孔質部材を通過しない大きさの孔を有することを特徴とするシリコンの製造装置。
また、このシリコンの製造装置において、
前記反応容器は、前記還元反応の途中で生成する一酸化ケイ素ガスを、前記還元反応中において、前記反応容器内に閉じ込めて離散しないようにする構造を有し、更に、ガス状で発生した一酸化ケイ素が低温部で固化することを利用してこの一酸化ケイ素を捕捉し、これを前記反応容器内に戻す粉塵トラップを有するように構成することができる。更に、例えば、前記反応容器は、マイクロ波を吸収しにくい物質でできた耐火性断熱材で覆われている。
前記反応容器は、前記還元反応の途中で生成する一酸化ケイ素ガスを、前記還元反応中において、前記反応容器内に閉じ込めて離散しないようにする構造を有し、更に、ガス状で発生した一酸化ケイ素が低温部で固化することを利用してこの一酸化ケイ素を捕捉し、これを前記反応容器内に戻す粉塵トラップを有するように構成することができる。更に、例えば、前記反応容器は、マイクロ波を吸収しにくい物質でできた耐火性断熱材で覆われている。
本発明によれば、籾殻等のケイ酸植物のバイオマスから太陽電池や半導体の原料である金属シリコンを低コスト、迅速、低エネルギーで製造できる。これにより、例えば太陽電池の普及に資することができる。また、本発明によれば、籾殻など広く容易に入手できる未利用の再生可能資源に含まれるシリカを利用するので、高純度石英等のケイ素資源の枯渇、供給不足及び著しい価格の変動等の影響を受けることなく、金属シリコンの安定供給が可能となる。
太陽電池用高純度シリコンの製造コストを低下させるためには、原料面及び製造面の二面からの改善が必要である。本発明者らは、鋭意実験研究した結果、原料面として安価な農業残渣物を使用し、また製造面では被加熱物を内部から選択的かつ直接的に省エネルギーで加熱するマイクロ波加熱を使用することにより、低コストで高効率な省エネ型シリコン製造方法を実現するに至ったものである。
前記ケイ酸植物を焼成する温度は好ましくは500乃至800℃である。焼成温度が800℃を超えると、シリカが結晶化し、更に、細孔がつぶれるため、反応性が低下する。焼成温度が500℃未満であると、有機質が残り、炭素分が過剰となりやすい。
前記シリカ灰中の炭素の比率が小さい場合は、マイクロ波の加熱源としても機能する炭素質を補充するために、前記シリカ灰に、還元剤である炭素質を添加することが好ましい。この場合に、前記炭素質は、シリカ灰中のシリカに対する炭素の量が、モル比C/SiO2で、0.2乃至2.0となるように添加することができる。このC/SiO2比が0.2よりも小さい場合には、マイクロ波の加熱源である炭素分が少なく、十分な加熱温度が得られない可能性がある。また、化学式1の反応式に示すよりもシリカに対する炭素分が少ないため、未反応のシリカ分が残り、シリコンの収率が低下する可能性がある。また、C/SiO2比が2.0よりも多い場合には、生成したシリコンが原料中の炭素分と反応して炭化ケイ素(SiC)に変化してしまうため、やはりシリコンの収量が低下する可能性がある。
また、前記ケイ酸植物は、例えば、籾殻又は稲藁である。そして、前記シリカ灰と炭素からシリコンが生成する反応において、炭化ケイ素(SiC)と一酸化ケイ素(SiO)が重要な中間体として反応の途中で生成する。このため、原料中に炭化ケイ素を添加することにより、シリコン生成反応が促進され、シリコンの収率が向上する。炭化ケイ素の添加量に特に制限はないが、籾殻に比べて高価であるので、シリコンの収量とコストの観点から自ずから決定される。
前記シリカ灰に、炭化ケイ素(SiC)を、前記シリカ灰中のシリカに対して、モル比で0.1乃至1.0添加することができる。炭化ケイ素は、シリコン生成の中間体の一つであると共に、マイクロ波の加熱促進剤(サセプター)ともなり得るので、加熱及び反応を促進し、シリコンの収率が向上する。炭化ケイ素の添加量がモル比で0.1よりも少ない場合には、添加効果が小さく、また、1.0よりも多い場合には、シリコンの製造コストを押し上げることになる。
更に、前記シリカ灰に、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン及びクロムからなる群から選択された1種の金属又はそれを含む化合物からなる触媒を、前記シリカ灰中のシリカに対して、0.1乃至10質量%添加することができる。触媒成分の添加量が0.1質量%よりも少ない場合は触媒作用が十分には発揮されず、また10質量%よりも多く添加した場合には、生成したシリコン中に不純物として含まれる触媒元素の量が多くなり、生成シリコンの精製コストを押し上げることとなる。前記シリカ灰及び炭素質並びに連結剤及び触媒前駆体をマイクロ波加熱反応前に精製しておくことにより、一段で純度の高いシリコンを製造することができ、更に一層精製コストを低減することができる。シリカ灰は、酸及び/又は塩基性水溶液中で洗浄処理することにより精製できる。
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
本発明で原料として使用するケイ酸植物は、稲から得られる籾殻及び稲藁、麦藁、トクサ、サトウキビ、トウモロコシ、竹、ススキ、並びにケイ藻等である。これらの中で、稲は、日本、中国、インド、及びタイなどのアジア諸国で食糧として大量に栽培されている。米の生産にともなって排出される籾殻には、乾燥籾殻中に13〜29質量%もの多量の無機成分が含まれ、この87〜97質量%がシリカ分である。このように籾殻はケイ酸植物中でも多くのシリカ産出量と高濃度のシリカ含有量を有し、さらに稲作地又は精米工場から、大量かつ安価に安定供給できるという利点がある。本発明では、このようなシリコン原料として、極めて有望なケイ酸植物を利用する。
本発明の実施形態においては、先ず、ケイ酸植物を、例えば、500乃至800℃の温度で焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を得る。このシリカ灰の製造工程では、籾殻等のケイ酸植物をそのまま焼成するが、必要に応じて、風選又は篩い分け等によって、石及び土等の異物を除去してから焼成する。また、籾殻の状態又はシリカ灰の状態のときに、これらの籾殻又はシリカ灰を希塩酸で煮沸洗浄し、籾殻又はシリカ灰に微量に含まれる鉄、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物等を溶出除去させ、精製することが好ましい。即ち、原料のシリカ灰を酸及び/又は塩基中で、事前処理することが好ましい。シリカ灰はシリカを主成分として含むが、このシリカ灰を原料中のC/Si比がモル比で0.2乃至2.0となるように含むように原料を調整する。
次いで、原料中の炭素が不足する場合は、得られたシリカ灰に、必要に応じて適当量の炭素質を加え、さらに必要に応じて連結剤を加えて塊状又はペレット状に加工する。炭素質としては、グラファイト、無定型炭素、及び木炭等が使用されるが、これらに限定されるものではない。炭素質も塩酸水溶液で煮沸洗浄して、微量に含まれる鉄、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びリン化合物等を溶出除去させ、精製して用いることが好ましい。連結材としては、ポリビニル酢酸及びポリビニルアルコール等の一般的な有機樹脂と、蔗糖及びセルロース等の天然物等が使用されるが、これらに限定されるものではない。
シリカ灰と炭素質との混合物を製造する際には、そのシリカ灰中のシリカに対する炭素の量C/Si比が、モル比で0.2〜2.0になるようにすることが好ましい。この場合に、先ず、熱重量分析などの通常用いられる方法により、シリカ灰中に含まれる炭素分を測定し、シリカ灰中のケイ素分と炭素の比が、好ましくはモル比で0.2〜2.0、より好ましくは、0.8〜1.8になるようにする。熱重量分析の結果、炭素の割合が低い場合は、炭素質として、例えばグラファイトを添加し、ケイ素分と炭素分との比が上記範囲になるように調整する。なお、添加する炭素質はグラファイトに限らないが、グラファイトの場合は、マイクロ波を吸収しやすく、発熱しやすいため、高効率に原料を加熱して、加熱エネルギーを節約することができる。
また、前記シリカ灰に、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン及びクロムからなる群から選択された1種の金属又はそれを含む化合物からなる触媒を、前記シリカ灰中のシリカに対して、0.1乃至10質量%添加することが好ましい。これにより、シリカ灰の還元反応を促進することができる。
この場合に、前記シリカ灰と、炭素質、連結剤及び触媒前駆体をマイクロ波加熱反応前に精製して高純度シリカ及び高純度炭素に変換し、これを前記マイクロ波加熱に供する。これにより、高純度シリコンを一段で製造することができる。シリカ灰及び炭素質は、希塩酸水溶液中で煮沸生成することにより、比較的容易にppmレベルまで高純度化することができる。更に、シリカ灰は、シリカ分を塩基で溶解して水ガラスに変換し、イオン交換法等を用いて生成することで、より高純度化することができる。
次に、このシリカ灰又はシリカ灰と炭素質及び連結剤との混合物をマイクロ波加熱炉中で加熱し、還元反応を起こさせる。反応形式は生産量又は原料の状態によりバッチ式又は連続式を選択することができる。一般に、生産量が少ない場合は、バッチ式が使用され、生産量が多い場合は、連続式が使用されることが多い。バッチ式の場合は、例えば、上記原料をルツボに収納し、これを、マイクロ波加熱炉内に装入する。反応後、生成したシリコンを取り出す。連続式の場合は、上記原料を、マイクロ波加熱炉内に設置したルツボ内に連続的又は間欠的に投入して、マイクロ波により加熱し、反応させる。生成したシリコンは溶融状態でルツボ及びマイクロ波加熱炉に設けたシリコン採取口から適宜取り出す。
図1は、本発明の実施形態で使用する連続式のマイクロ波シリコン製造装置の一例を示す模式図である。炉体20は内部に反応容器10を格納できる殻状をなし、この反応容器10を密閉状態に保持することができる。反応容器10は、アルミナ、炭化ケイ素、グラファイト又はマグネシア等の耐火物からなるるつぼ状をなし、その上端開口部には、アルミナ、ムライト、マグネシア又はジルコニア等の耐火物製の蓋12が被冠されるようになっている。この反応容器10の底部近傍であって、底部から一定距離離れた位置には、多孔板11が水平に設置されている。この多孔板11には、その上に原料1が載置され、この原料1は通過せずに、反応生成物である溶融シリコン2が多孔板11を通過し得る大きさの孔が形成されている。多孔板11の材質は、炭化ケイ素、アルミナ、マグネシア等である。この反応容器10における底部近傍であって多孔板11より下方の壁には、溶融シリコンを排出するための筒状のシリコン排出口16が設置されており、この排出口16は、炉体20の外部まで下傾して延びており、排出口16の先端には取り外し可能の栓17が設置されている。蓋12には、筒状をなす原料投入口15が挿通して設置されており、この原料投入口15は、炉体20も挿通してその外部に引き出されている。炉体外部において、原料投入口15の上端には、シャッタ40を介して、原料投入ホッパ41が設置されている。そして、シャッタ40を開にすることにより、原料投入ホッパ41から原料1のペレットが、原料投入口15を介して、反応容器10内に投入される。更に、蓋12には生成ガス排出口19が挿通して設置されており、この生成ガス排出口19も炉体20を挿通してその外部に導出されている。この生成ガス排出口19の途中に粉塵トラップ42が介装されている。この粉塵トラップ42は生成ガス排出口19から排出される反応容器10内のガス中から、粉塵を除去する。この粉塵トラップ42には、粉塵振り落とし用の加振装置43が設置されており、トラップした粉塵を加振装置43により振り落として、反応容器10内に戻すようになっている。粉塵トラップ42から出てきた高温の炉内排出ガスは、排出ガス排気口44から、ブロア45により吸引されて、熱交換器51に送風される。この熱交換器51には、不活性ガス導入口50が連結されており、不活性ガス連結口50を介して炉体内に送給される不活性ガスと、ブロア45から送給された炉内排出ガスとの間で熱交換がなされ、不活性ガスが加熱されると共に、冷却された炉内排出ガスはスタック52を介して系外に排出される。これにより、不活性ガスは、高温となって炉内に供給され、熱効率を向上させることができる。また、炉体20及び後述する断熱材21には、測温用パイプ22が挿通して配置されており、この測温用パイプ22の上端には、石英ガラス製の測温窓34が設置されていて、炉体20の内部を密閉状態に保持している。蓋12における測温用パイプ22の下方直下の位置には、孔23が形成されており、測温用パイプ22及び孔23を介して、反応容器10内部の原料1及び反応生成物の温度を、測温窓34の上方に設置された赤外放射温度計33により測定できるようになっている。
炉体20は例えばステンレス鋼で構成されており、この炉体20の内面には、アルミナ、ムライト、マグネシア、又はジルコニア等の断熱材21が敷設されている。そして、この炉体20及び断熱材21を挿通するようにして不活性ガス導入口18が設置されており、この不活性ガス導入口18により、アルゴンガス、窒素ガス又はヘリウムガス等の不活性ガスが炉体20内に供給されるようになっている。これにより、反応容器10内の原料1及び溶融シリコン2が不活性ガス雰囲気下に保持される。
そして、この炉体20には、導波路31を介してマイクロ波発振器30が設置されており、マイクロ波発振器30から発振されたマイクロ波が導波路31に導かれて炉体20内に入り、断熱材21及び蓋12にて吸収されずに、反応容器10内の原料1に照射される。これにより、原料1は、マイクロ波により加熱されて昇温し、原料1のシリカ灰が炭素質材料により還元される。反応温度は、ルツボ蓋12に設けた小孔23及び断熱材21と炉体20を挿通する観測用パイプ22をとおし、この観測用パイプ22の上端に設置された石英ガラス製窓34を介して、赤外放射温度計33により、反応中の生成物の表面を直接観察し、測温することに検出することができる。また、この測定温度をマイクロ波発振器39へフィードバックすることにより、反応温度を調節することができる。観測用パイプ22は、マイクロ波が外部へ漏洩することがないように、パイプ22の長さと直径を、所謂カットオフパイプのサイズとすることが好ましい。
シリコンの製造に用いるマイクロ波加熱炉としては、使用するマイクロ波の波長は特に限定されないが、日本では工業用に指定されている2.45GHz、5.8GHz及び915MHz等の波長用のマイクロ波発振器が市販されているので、これらを利用することができる。マイクロ波の照射法として、マルチモード法及びシングルモード法が知られており、特に限定するものではないが、マルチモードの方が加熱炉のスケールアップが容易である。マイクロ波加熱炉は、通常のマイクロ波炉と同様に、加熱炉本体にマイクロ波発振器、アイソレータ、パワーモニタ、チューナー、導波管、及び制御系等のデバイスで構成される。しかし、システムの設計次第によってはいくつかのデバイスを省略することもできる。マイクロ波発振器としては工業用途で最も普及しているマグネトロンが安価で入手しやすいが、より大きな出力を必要とする場合はクライストロン又はジャイロトロン等の発振管も使用できる。
マイクロ波加熱炉中では、シリカ灰又はシリカ灰と炭素質との混合物(以下、原料ともいう)、及び必要に応じて連結材をルツボ内に収納して、炉中に装入し、マイクロ波を照射して、これらの原料を加熱する。このとき、マイクロ波による原料の加熱温度は、好ましくは1400〜1900℃、より好ましくは1500〜1800℃である。このため、前記ルツボとしては、1400〜1900℃の反応温度域に耐えられるものを使用することが必要であるが、例えば、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、ムライト、石英、炭化ケイ素、又は黒鉛等の材質のものを使用することができる。
マイクロ波加熱によるシリカの還元反応は、前記化学式1の反応により生じる。そして、還元後の溶融シリコンは、ルツボ内に生成する。このルツボ内の溶融シリコンは、容易にルツボ内の原料からの残存炭素と結合して炭化ケイ素に変換する。このため、溶融シリコンは、生成後速やかにルツボから取り出すような構造を有することが必要である。例えば、この還元反応系からの溶融シリコンの分離のための構造は、ルツボの下部に、溶融シリコンが外界から隔離して貯留される空間を設けるとか、ルツボの下部に出口を設けて溶融シリコンをルツボから取り出して、反応の進行と共に、溶融シリコンを反応炉の外部に移送する等の手段がある。また、生成した溶融シリコンの酸化を防止するために、アルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガス、一酸化炭素ガス等の不活性ガス中で、原料を加熱するのが好ましい。
マイクロ波加熱では、被加熱物内部で発生した熱を外部に逃がさず、反応に有効に活用できるように、被加熱物の周囲を断熱材で覆うことが好ましい。断熱材は、それ自身がマイクロ波を吸収せず、また1400乃至1900℃の高温下で使用でき、更に断熱効果の高い性質を有することが要求される。これらの特性を有する材料として、アルミナ、シリカアルミナ、マグネシア、ジルコニア等が挙げられる。断熱材はルツボ全体を包み込むように配置する。更に、反応容器の中心に配置したルツボ部分にマイクロ波が集中し、且つ断熱材がマイクロ波で過加熱されないように、マイクロ波分布を制御することが好ましい。反応容器内のマイクロ波の分布は、電磁波分布シミュレーション等を用いて反応容器を適切な形状及びサイズに設計することにより、制御できる。
生成したシリコンは、必要に応じて精製することにより、より高純度の製品が得られる。高純度化法としては、帯域溶融法など、通常用いられる方法が利用できる。
次に、本発明の効果を実証するために行った実験結果について、本発明の範囲に入る実施例を本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
「実施例1」
市販品の籾殻燻炭を空気中、600℃で3時間焼成した。冷却後、空気中での熱重量分析測定により含有炭素量を測定し、C/SiO2=1.0(モル比)となるように、グラファイト及びバインダ水溶液を加え、乾燥した後、500℃で3時間焼成した。そして、冷却後、ペレット状に粉砕して、マイクロ波加熱用の原料とした。
市販品の籾殻燻炭を空気中、600℃で3時間焼成した。冷却後、空気中での熱重量分析測定により含有炭素量を測定し、C/SiO2=1.0(モル比)となるように、グラファイト及びバインダ水溶液を加え、乾燥した後、500℃で3時間焼成した。そして、冷却後、ペレット状に粉砕して、マイクロ波加熱用の原料とした。
マイクロ波加熱による還元反応は、原料を、マイクロ波反応装置(マルチモード型、周波数2.45GHz、最大出力6kW)内に装入して行った。先ず、原料を、所定量アルミナルツボに秤量し、反応容器内に収めた。このとき、ルツボの周囲をアルミナ製断熱材で被覆した。そして、反応用器内を2度アルゴンガスで置換した後、アルゴンガスを常圧下で、少量通流させながら、マイクロ波をルツボ内の原料に照射した。マイクロ波の出力は15分間で0Wから1500Wまで上昇させた。その結果、原料温度は、急速に上昇し、加熱開始後15分で1564℃に到達した後、ほぼ定常状態となった。その後、マイクロ波出力を2200Wまで上昇させたが、試料温度は上がらなかった。これは、反応物中の反応可能な炭素質が消費し尽くされ、反応が事実上終了したためと推察される。
マイクロ波照射の終了後、得られた反応生成物を破砕し、Raman散乱スペクトルを測定した。その結果を図2に示す。この図で(a)は反応生成物のスペクトルを、(b)はシリコン粉末のスペクトルを示す。この結果から、(a)の523cm−1の大きなピークは(b)の大きなピークと一致しシリコンの生成が確認された。また、(a)の795cm−1及び960cm−1付近の小さなピークは炭化ケイ素(SiC)に由来するものである。また、還元反応の終了後、得られた反応生成物を粉砕し、X線回折法で反応生成物中の結晶成分を観察した。その結果を、図3に示す。この図3に示すように、反応種生物中に、主成分として金属シリコンの生成が確認された。その他、少量の炭化ケイ素、ムライト、クリストバライトも副生していた。
「比較例1」
実施例1と同様に、空気中、600℃で3時間焼成した燻炭の含有炭素量を測定し、C/SiO2=3.0(モル比)となるように、グラファイト及びバインダ水溶液を加え、乾燥した後、500℃で3時間焼成し、ペレット化し、マイクロ波加熱用の原料とした。実施例1と同様にマイクロ波加熱したところ、加熱開始後100分、マイクロ波出力2400Wで1618℃に達した。X線回折法で生成物の結晶成分を観察したところ、炭化ケイ素が主成分で、この他に微量のクリストバライトのピークが確認されたが、シリコン由来のピークはなかった。
実施例1と同様に、空気中、600℃で3時間焼成した燻炭の含有炭素量を測定し、C/SiO2=3.0(モル比)となるように、グラファイト及びバインダ水溶液を加え、乾燥した後、500℃で3時間焼成し、ペレット化し、マイクロ波加熱用の原料とした。実施例1と同様にマイクロ波加熱したところ、加熱開始後100分、マイクロ波出力2400Wで1618℃に達した。X線回折法で生成物の結晶成分を観察したところ、炭化ケイ素が主成分で、この他に微量のクリストバライトのピークが確認されたが、シリコン由来のピークはなかった。
「比較例2」
籾殻燻炭を空気中、900℃で3時間焼成した。その後、実施例1と同様に、原料を調整し、マイクロ波加熱した。マイクロ波の出力を2400Wまで上昇させたところ、反応温度は1543℃に到達した後、ほぼ定常状態となった。反応終了後、実施例1と同様に試料のX線回折測定をした。その結果、反応種生成物中に、主成分としてクリストバライトが観察され、その他少量の炭化ケイ素も生成していた。
籾殻燻炭を空気中、900℃で3時間焼成した。その後、実施例1と同様に、原料を調整し、マイクロ波加熱した。マイクロ波の出力を2400Wまで上昇させたところ、反応温度は1543℃に到達した後、ほぼ定常状態となった。反応終了後、実施例1と同様に試料のX線回折測定をした。その結果、反応種生成物中に、主成分としてクリストバライトが観察され、その他少量の炭化ケイ素も生成していた。
本発明は、太陽電池等に利用される高純度シリコンを、籾殻又は稲藁等の通常廃棄されているケイ酸植物を原料とし、この原料をマイクロ波照射により加熱して、シリコンを還元生成するので、シリコンを、極めて低コストで、且つ資源の枯渇、供給不足又は原料価格変動を考慮することなく、製造することができる。このため、本発明は、太陽電池等の普及に多大の貢献をなす。
1:原料
2:溶融シリコン
10:反応容器
11:多孔板
12:蓋
13:生成ガス排出口
15:原料投入口
16:シリコン排出口
20:炉体
21:断熱材
30:マイクロ波発振器
31:導波路
33:赤外放射温度計
34:測温窓
41:原料投入ホッパ
42:(振るい落とし機構付き)粉塵トラップ
50:不活性ガス導入口
51:熱交換器
2:溶融シリコン
10:反応容器
11:多孔板
12:蓋
13:生成ガス排出口
15:原料投入口
16:シリコン排出口
20:炉体
21:断熱材
30:マイクロ波発振器
31:導波路
33:赤外放射温度計
34:測温窓
41:原料投入ホッパ
42:(振るい落とし機構付き)粉塵トラップ
50:不活性ガス導入口
51:熱交換器
Claims (12)
- ケイ酸植物を焼成して、シリカを主成分として含むシリカ灰とし、このシリカ灰を、原料中のC/Si比がモル比で0.2乃至2.0となるように含む原料に対し、不活性ガス(窒素ガスを含まず)雰囲気下でマイクロ波を照射することにより、前記原料を加熱し、中間段階生成物のSiOガスが反応系から離散しないようにしてシリカを還元し、金属シリコンを得ることを特徴とするシリコンの製造方法。
- 前記ケイ酸植物は500乃至800℃の範囲で焼成することを特徴とする請求項1に記載のシリコンの製造方法。
- 前記シリカ灰に、還元剤としての炭素質を添加することを特徴とする請求項1に記載のシリコンの製造方法。
- 前記炭素質は、シリカ灰中のシリカに対する炭素の量が、モル比C/SiO2で、0.2乃至2.0となるように添加することを特徴とする請求項3に記載のシリコンの製造方法。
- 前記ケイ酸植物は、籾殻又は稲藁であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシリコンの製造方法。
- 前記ケイ酸植物を焼成して得たシリカ灰及び前記炭素質を、塩酸水溶液中で煮沸洗浄して高純度化した後、これを原料とすることを特徴とする請求項3又は4に記載のシリコンの製造方法。
- 前記シリカ灰に、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン及びクロムからなる群から選択された1種の金属又はそれを含む化合物からなる触媒を、前記シリカ灰中のシリカに対して、0.1乃至10質量%添加することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシリコンの製造方法。
- 前記シリカ灰と、炭素質、連結剤及び触媒前駆体をマイクロ波加熱反応前に精製して高純度シリカ及び高純度炭素に変換し、これを前記マイクロ波加熱に供することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシリコンの製造方法。
- 前記シリカ灰からシリコンを製造するマイクロ波を加熱源とした反応容器は、還元反応の途中で生成する一酸化ケイ素ガスを、前記還元反応中において、前記反応容器内に閉じ込めて離散しないようにする構造を有し、更に、ガス状で発生した一酸化ケイ素が低温部で固化することを利用してこの一酸化ケイ素を補足し、これを前記反応容器内に戻す粉塵トラップを有することを特徴とする請求1乃至7のいずれか1項に記載のシリコンの製造方法。
- 前記請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシリコンの製造方法に使用する装置において、
密閉状態にすることができる反応容器と、
この反応容器内を上下に仕切る多孔質部材と、
前記反応容器内の前記多孔質部材の上に前記出発原料、前記還元剤及び前記触媒を投入する投入口と、
前記多孔質部材の下方の前記反応容器内から、前記溶融シリコンを排出する排出口と、
前記反応容器内の前記出発原料、前記還元剤及び前記触媒にマイクロ波を照射するマイクロ波発振器と、
を有し、
前記多孔質部材は、前記マイクロ波により加熱された前記出発原料が前記還元剤により還元されて得られた溶融シリコンが前記多孔質部材を通過して前記排出口から排出されると共に、前記原料及び前記還元剤は前記多孔質部材を通過しない大きさの孔を有することを特徴とするシリコンの製造装置。 - 前記反応容器は、前記還元反応の途中で生成する一酸化ケイ素ガスを、前記還元反応中において、前記反応容器内に閉じ込めて離散しないようにする構造を有し、更に、ガス状で発生した一酸化ケイ素が低温部で固化することを利用してこの一酸化ケイ素を捕捉し、これを前記反応容器内に戻す粉塵トラップを有することを特徴とする請求項10に記載のシリコンの製造装置。
- 前記反応容器は、マイクロ波を吸収しにくい物質でできた耐火性断熱材で覆われていることを特徴とする請求項10又は11に記載のシリコンの製造装置。
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JP2018230422A JP2020090429A (ja) | 2018-12-07 | 2018-12-07 | シリコンの製造方法及び製造装置 |
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ID=71012365
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JPWO2022202621A1 (ja) * | 2021-03-25 | 2022-09-29 | ||
CN117430119A (zh) * | 2023-12-20 | 2024-01-23 | 四川优赛思智能科技有限公司 | 一种具备自动堵眼功能的工业硅冶炼系统 |
-
2018
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