JP2013151379A - 四塩化珪素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素含有物質の存在下で珪素酸化物と塩素とを反応させて四塩化珪素を高品位、高収率かつ安価に製造する方法を提供すること。
【解決手段】珪素酸化物および炭素含有物質を含む造粒体を、加熱処理装置中で1300℃〜1600℃の温度に加熱処理する工程(1)、前記工程(1)で加熱処理された造粒体を、そのまま冷却することなく塩化装置に供給する工程(2)、および前記塩化装置内で、前記加熱処理により生成した炭化珪素を含む造粒体と塩素を反応させる工程(3)を含むことを特徴とする四塩化珪素の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素含有物質の存在下で珪素酸化物と塩素とを反応させて四塩化珪素を高品位かつ安価に製造する方法に関する。
四塩化珪素は、微粒シリカ、合成石英、窒化珪素および種々の有機珪素化合物の合成原料として使用されているが、近年、亜鉛還元法による太陽電池用シリコンの中間原料として重要となっている。
現在主流の太陽電池はシリコンを発電層として用いているため、太陽電池需要の急速な拡大に伴って太陽電池用シリコンの需要も大きく増大している。一方で、現在の太陽電池はまだ高価であるため、太陽電池によって得られる電力コストは商業電力の電気代と比較して高く、原料費を含む製造コストの低減が望まれている。
太陽電池用シリコンを製造する手法としては、(1)シーメンス法:トリクロロシランを水素によって還元することで多結晶シリコン(ポリシリコン)を製造する手法、(2)流動床法:反応炉内にシリコン微粉末を流動させておき、その表面にモノシランと水素の混合ガスを導入してポリシリコンを製造する手法、(3)亜鉛還元法:四塩化珪素を亜鉛によって還元することでポリシリコンを製造する手法が挙げられる。
シーメンス法および流動床法では、高純度金属シリコンの生産効率が低いという基本的な問題があるため、生産効率に優れている亜鉛還元法が、低価格化を指向する太陽電池用ポリシリコンの製造方法として期待されている。
しかしながら、従来の亜鉛還元法によって製造されるポリシリコン中には不純物炭素が含まれ、これは太陽電池の性能に大きな影響を与える。この不純物炭素は、主に四塩化珪素中の不純物である有機クロロシランに由来するものである。そのため、亜鉛還元法の中間原料となる四塩化珪素を高品位かつ安価に製造することが求められている。
四塩化珪素の製造方法として、特許文献1(特開昭58−167419号公報)には、ケイ酸質物質と炭素質物質との混合物をハロゲン化剤と反応させる方法であって、反応系に少量の金属ケイ素を加えて反応を行うことを特徴とするハロゲン化ケイ素の製法が記載されている。しかしながら、金属ケイ素は、一般に珪素酸化物(珪砂や珪石など)や炭素と比較して高価であるため、原料コストが増加するという問題がある。
特許文献2(特開昭60−112610号公報)には、二酸化珪素と炭素と塩素を高温下で反応させ四塩化珪素を製造する方法において、原料として二酸化珪素100重量部に対して炭素及び炭化珪素をそれぞれ30〜60重量部及び1〜20重量部の割合で含有するペレットを反応器に充填し、温度1000℃以上で反応させることを特徴とする四塩化珪素の製造方法が記載されている。しかしながら、炭化珪素は、一般に珪素酸化物や炭素と比較して高価であるため、原料コストが増加するという問題がある。また、特許文献2には、固定床方式の反応器を用いることが好ましいと記載されているが、固定床方式の塩化装置では、原料造粒体同士が焼結により塊状となるため、塩化反応を長時間円滑に持続することが難しいという問題もある。
特許文献3(特表2009−542561号公報)には、炭素とエネルギー供与体との存在下で、微細及び/又はアモルファスな二酸化ケイ素を塩素と反応させることによって四塩化ケイ素を製造する方法であって、前記エネルギー供与体が、金属シリコン、又はフェロシリコン若しくはカルシウムシリサイドのようなシリコン合金であることを特徴とする四塩化ケイ素の製造方法が記載されている。しかしながら、エネルギー供与体として使用される金属シリコンは高価であり、またフェロシリコンやカルシウムシリサイドを使用した場合には、塩化反応により不純物である塩化鉄や塩化カルシウムが副生するので大きな塩素ロスが生じるばかりでなく、それら不純物の分離処理コストも小さくないという問題がある。
特許文献4(特開2011−068519号公報)には、工業プロセスから生じた灰を含有する炭素含有物質の存在下で珪素含有物質を塩素化することを特徴とする四塩化珪素の製造方法が記載されている。しかしながら、前記珪素含有物質と前記炭素含有物質は有機物を出発原料としているため、塩化反応で生成する四塩化珪素(沸点:57℃)には、不純物として有機クロロシランが多く含まれる。このような有機クロロシランは、太陽電池の変換効率に影響する不純物炭素の原因物質となる。中でもトリメチルクロロシランは炭素を多く含み、四塩化珪素と同じ沸点(57℃)を有するので、蒸留法により除去することが難しい。太陽電池向けに高純度化するためには、このような有機クロロシラン等の不純物を除去する工程が別途必要となるので、設備コストやエネルギーコストが増大する。また、前記珪素含有物質(珪酸バイオマス)に含まれるシリカ成分は72%と低く、硫黄などの不純物が塩素と反応して塩素化合物となるので、塩素ロスが増えるとともに、不純物である塩素化合物の処理コストが大幅に増大する。
また、炭素存在下での珪素酸化物と塩素との反応は吸熱反応であるが、従来は常温の原料を塩化装置に供給していたため、塩化装置内を加熱して、原料を所定温度まで昇温し、かつ塩化反応熱(吸熱)を補う必要があった。そのため、塩化装置に加熱手段が必要となり、大型の商業化装置では設備負担が大きくなるという問題があり、珪素酸化物および塩素を原料として、直接、四塩化珪素を商業生産している事例はなかった。
特開昭58−167419号公報 特開昭60−112610号公報 特表2009−542561号公報 特開2011−068519号公報
本発明の課題は、炭素含有物質の存在下で珪素酸化物と塩素とを反応させて四塩化珪素を高品位、高収率かつ安価に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意研究を行った。その結果、珪素酸化物および炭素含有物質を含む造粒体を特定の温度で加熱処理した後、そのまま冷却することなく塩化装置に供給し、炭素含有物質の存在下で、加熱処理した造粒体と塩素を反応させることにより、四塩化珪素を高品位、高収率かつ安価に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の事項を含む。
[1]珪素酸化物および炭素含有物質を含む造粒体を、加熱処理装置中で1300℃〜1600℃の温度に加熱処理する工程(1)、
前記工程(1)で加熱処理された造粒体を、そのまま冷却することなく塩化装置に供給する工程(2)、および
前記塩化装置内で、前記加熱処理により生成した炭化珪素を含む造粒体と塩素を反応させる工程(3)
を含むことを特徴とする四塩化珪素の製造方法。
[2]前記工程(1)の加熱処理において造粒体と接する加熱処理装置の部材が、炭化珪素で構成されていることを特徴とする項[1]に記載の四塩化珪素の製造方法。
[3]前記工程(3)における塩化装置内の温度を、前記加熱処理により生成した炭化珪素と塩素との反応熱のみにより、1200℃〜1500℃の範囲で略一定に保持することを特徴とする項[1]または[2]に記載の四塩化珪素の製造方法。
[4]前記工程(3)で得られた生成ガスを冷却凝縮して粗四塩化珪素を回収する工程(4)をさらに含むことを特徴とする項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の四塩化珪素の製造方法。
[5]前記工程(4)で回収された粗四塩化珪素中に含まれるトリメチルクロロシランの量が0.1質量ppm未満であることを特徴とする項[4]に記載の四塩化珪素の製造方法。
本発明は下記の効果を奏する。
(1)加熱処理により珪素酸化物(SiO2)と炭素含有物質(C)との反応が起こり、該反応により生成した炭化珪素(SiC)と塩素(Cl)との反応熱のみにより、塩化装置内の温度を略一定に保持することができる。すなわち、他の加熱手段を用いて反応装置内を加熱する必要がない。
(2)前記反応(SiO2+C)により一酸化炭素(CO)が一部生成するので、その分だけ塩化装置内の反応で生成するCO(非凝縮性ガス)が減少する。その結果、生成する四塩化珪素(4CS)の冷却凝縮性が改善されて、生成4CSガスの液化回収率(歩留まり)が向上する。
(3)加熱処理により、珪素酸化物および炭素含有物質を含む造粒体が一部焼結して造粒体の強度が向上するため、生成した四塩化珪素ガスに同伴する原料のロス(キャリーオーバー)が低減する。
(4)加熱処理により、原料(主に炭素含有物質)中の有機不純物が熱分解除去されるので、蒸留法で分離除去が難しく、不純物炭素の原因物質となるトリメチルクロロシランがほとんど生成しない。また、加熱処理により原料中の水分も完全に除去されるため、有機物を構成する水素源が原料中にほとんど残留しない。
以上より、本発明によれば、炭素含有物質の存在下で珪素酸化物と塩素とを反応させて四塩化珪素を高品位、高収率かつ安価に製造することができる。
以下、本発明に係る四塩化珪素の製造方法について詳細に説明する。
本発明の四塩化珪素の製造方法は、珪素酸化物および炭素含有物質を含む造粒体を、加熱処理装置中で1300℃〜1600℃の温度に加熱処理する工程(1)、前記工程(1)で加熱処理された造粒体を、そのまま冷却することなく塩化装置に供給する工程(2)、および前記塩化装置内で、前記加熱処理により生成した炭化珪素を含む造粒体と塩素を反応させる工程(3)を含むことを特徴とする。また、前記工程(3)で得られた生成ガスを冷却凝縮して粗四塩化珪素を回収する工程(4)をさらに含むことが好ましい。
<工程(1)>
工程(1)では、珪素酸化物および炭素含有物質を含む造粒体を、不活性雰囲気下、加熱処理装置中で1300℃〜1600℃、好ましくは1400℃〜1550℃の温度に加熱処理する。加熱処理時間は、好ましくは60分以下、より好ましくは10〜30分である。必要以上に加熱処理(温度、時間)すると消費するエネルギーが増大するだけでなく、過剰に生成した炭化珪素による過度な塩化反応熱(発熱)により塩化装置内を所定温度に安定保持することが困難となる。また、塩化装置内を所定温度に保持するための熱バランスは、塩化装置の大きさや反応条件(温度、生産速度など)にも関わるので、適正な炭化珪素が生成する条件で加熱処理を実施する。
前記珪素酸化物としては、シリカ(SiO2)を主成分とするものであれば特に限定されないが、天然珪砂や天然珪石など、ガラス産業で使われている一般品を用いることができる。前記珪素酸化物中のSiO2純度は、好ましくは99%以上、より好ましくは99.5%以上である。
前記炭素含有物質としては、特に限定されないが、例えばコークスや活性炭など、一般用途(例えば製錬)向けの炭素含有物質を用いることができる。前記炭素含有物質中の炭素含有量は、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上である。
前記造粒体は、粗原料である珪素酸化物および炭素含有物質を、平均粒径が好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下になるまで、ボールミル等の粉砕機を用いて微粉砕し、公知の造粒方法にて造粒することにより製造することができる。造粒の際には、水ガラス(Na2SiO3)等の無機物系バインダーや有機物系バインダーを使用できる。
前記造粒体は、珪素酸化物を1モル量とした場合、炭素含有物質を好ましくは2モル量以上、より好ましくは2.1〜2.4モル量含有する。
前記造粒体は、所定の流動条件(空塔流速など)に適した粒径を有し、球状であることが好ましい。具体的には、造粒体の粒径は、好ましくは2mm以下、より好ましくは500μm〜1mmである。
前記加熱処理に用いられる加熱処理装置としては、特に限定されないが、加熱処理した造粒体を、そのまま冷却することなく塩化装置に連続的に供給できる装置であることが好ましい。具体的には、ロータリーキルンなどが挙げられる。あるいは、プラズマ炎中に造粒体を非接触に供給して、瞬時に加熱処理する方法および装置を採用してもよい。なお、ロータリーキルン等の場合、高温下で造粒体と接触する加熱室は、耐熱強度を有する材料、より好ましくはセラミックス、特に好ましくは造粒体を汚染しない炭化珪素で構成することが望ましい。
前記加熱処理装置は、造粒体の供給機および加熱室のほかにパージガスの供給口と、該パージガスおよび加熱処理により発生した生成ガスを排出するガス排出手段とを備える。パージガスとしては、特に限定されないが、例えば、アルゴンなどを使用できるが、コストアップになるので、生成ガス(主にCO)で代用することも可能である。
前記加熱処理により、造粒体を焼結強固させつつ、造粒体に含まれる有機不純物の一部もしくは全部を熱分解除去することができるとともに、造粒体中の珪素酸化物の一部が炭素含有物質中の炭素と反応して炭化珪素が生成する。このように、加熱処理により原料である造粒体が一部焼結すると、造粒体の強度が増大するため、原料の飛散同伴ロス(キャリーオーバー)を低減することができる。
<工程(2)>
工程(2)では、前記工程(1)で加熱処理された造粒体を、そのまま冷却することなく塩化装置に供給する。なお、本明細書における「冷却することなく」とは、冷却手段を用いた積極的な冷却または長時間の放冷を行うことなく、という意味であり、加熱処理装置から塩化装置への連続的供給の際に、わずかに造粒体の温度が低下したとしても、それは冷却されたとはみなさない。
加熱処理された造粒体の塩化装置への供給は、そのまま冷却することなく供給できれば特に限定されないが、例えば、上述したように、連続式ロータリーキルン等の加熱処理装置を塩化装置に接続することにより行うことができる。
<工程(3)>
工程(3)では、塩化装置内で、前記工程(2)で供給された加熱処理後の造粒体に含まれる珪素酸化物と塩素とを炭素含有物質の存在下で反応(塩化反応)させて四塩化珪素を生成する。
塩化装置としては、例えば、流動床式の円筒状装置を用いることができ、装置の内壁は、高温(1200℃〜1500℃)において塩化物に耐食性を有する材質で構成される。このような材質としては、例えば、アルミナ、シリカ、アルミナシリカ、炭化珪素または炭素などの耐熱耐食材質が好ましい。
塩化装置は、造粒体および塩素ガスを供給するための供給手段を備える。塩素ガスの供給は、流動層を形成するために、塩化装置の下方から多孔板(分散盤)を通じて行うことが好ましい。また、加熱処理された造粒体(原料)は、反応で消費された原料に相当する量を、装置の上方または流動層内に直接供給することが好ましい。
商業規模の大型塩化装置の場合、特段、加熱手段を必要としない。この場合、スタート時の昇温は、流動層中の炭素含有物質を空気または酸素で燃焼することで実施することが可能である。
工程(3)における具体的な操作の例は、以下のとおりである。塩化装置に加熱手段がある場合には、塩化装置内に事前に加熱処理した造粒体を装入し、該装置の下方より不活性ガスを供給して流動層を形成し、該流動層を上記加熱手段により加熱して塩化装置の内部を所定温度まで昇温する。加熱手段がない場合には、まず、塩化装置内に炭素含有物質だけを装入し、該装置の下方より空気または酸素を供給して流動層を形成しながら、上方より流動層に火種(赤熱炭など)を投下して着火し、塩化装置の内部温度を所定温度まで昇温する。
次いで、加熱処理された造粒体を冷却することなく流動層へ供給した後、下方より供給するガスを塩素に切り替えて塩化反応を開始する。これにより、前記工程(1)の加熱処理により一部生成した炭化珪素と塩素との反応熱(発熱)のみにより、塩化装置内の温度を、好ましくは1200℃〜1500℃、より好ましくは1300℃〜1450℃の範囲で略一定に保持することができる。なお、塩化装置内の温度が略一定になる前の反応の初期段階では、一時的に前記範囲を超える温度になってもよい。
前記塩化反応に用いられる塩素としては、特に限定されないが、工業用塩素や、塩化亜鉛(ZnCl2)等を電気分解することにより得られた塩素などを用いることができる。
塩素は、原料中の珪素含量に相当する量(珪素モル量の4倍当量)に、原料中の不純物と反応してロスする分を加えた量を、連続的に流動層へ供給する。
<工程(4)>
本発明において行うことが好ましい工程(4)では、前記工程(3)で得られた生成ガスを冷却凝縮して粗四塩化珪素を回収する。
生成ガスの冷却凝縮は、特に限定されないが、例えば、四塩化珪素に耐食性のある金属(例えばステンレス)製の冷却装置(多管式熱交換器)を用いて行うことができる。用いる冷媒としては、特に限定されないが、エチレングリコールやエチルアルコールなどの深冷が可能な冷媒が好ましい。生成ガスを冷却凝縮することにより、生成ガス中に含まれる四塩化珪素(沸点57℃)が凝縮され、一部の不純物塩化物(鉄塩化物など)とともに液状の粗四塩化珪素を回収することができる。
工程(4)で回収される粗四塩化珪素中に含まれるトリメチルクロロシランの量は、0.1質量ppm未満であることが好ましい。
なお、前記工程(4)の前に、工程(3)で得られた生成ガスに同伴する原料等の固形分を分離して除去する工程を行ってもよい。固形分の除去は、特に限定されないが、ガスサイクロン等の分離装置を用いて行うことができる。
また、必要に応じて、回収された粗四塩化珪素を、蒸留法等の公知の方法により、さらに精製してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<造粒体の調製>
一般ガラス原料である天然珪砂(豪州産、SiO2純分99.8%、平均粒径約100μm)および製錬向け一般品であるコークス(石油ピッチ系、炭素純分99%、平均粒径約1mm)を、それぞれボールミル(メディア:鉄製鋼球)を用いて5μm以下になるまで微粉砕した後、モル比1:2.2(天然珪砂:コークス)で混合した。次に、水ガラス(Na2SiO3)をバインダーにして、転動式の造粒機を用いて造粒し、恒温乾燥機にて約200℃で乾燥した。得られた乾燥物を、振動式の篩別機を用いて篩別し、1mm以下の造粒体を原料とした。
<加熱処理>
得られた造粒体約10kgを、炭化珪素製の炉心管を有する連続式ロータリーキルンを用いて、アルゴンをパージしながら、1500℃、滞留時間30分の条件で連続的に加熱処理した。
これとは別に、同条件で加熱処理した造粒体をX線回折分析した結果、原料のシリカ(SiO2)以外に炭化珪素(SiC)が含まれていた。
<塩化反応>
塩化装置として、二重管で構成され、二重管の外側が、上端に生成ガスの出口を設けたムライト管(高さ1.7m)であり、二重管の内側が、下端に多孔板(分散盤)を設けたグラファイト管(内径70mm)である塩化装置を用いた。また、塩化装置の外周に抵抗式ヒータ(スーパーカンタル発熱体、定格出力7kW)を敷設した。
まず、上記加熱処理後の造粒体約1kgを前記塩化装置に装入し、下方より分散盤を通じてアルゴンガスを供給して流動化させ、流動層(反応部)を形成した。次いで、内部温度(流動層の温度)を抵抗式ヒータ(5kW)で約1400℃まで昇温した後、アルゴンガスから塩素(供給速度:16L/分)に切り替えて塩化反応を開始した。その直後から、上記連続式ロータリーキルンを用いて約1500℃で30分間加熱処理された造粒体を、反応で消費した原料に相当する量で、そのまま冷却することなく塩化装置の上方より供給した。
反応開始より反応熱が発生して、一時的に内部温度が約1500℃まで上昇し、反応開始直後からヒータ出力はゼロ(加熱なし)になった。その後は、徐々に内部温度が低下し、15分後に約1400℃でほぼ安定に維持された。この間、ヒータ出力はゼロのままであった。そして、反応開始から60分後に、造粒体の供給を止めて反応を停止させ、塩素をアルゴンガスに切り替え、約1日放冷した。
ガスサイクロン(石英製)を用いて、上記塩化反応で生成したガスに同伴する固形分を分離除去した。塩化装置外への原料の飛散同伴ロス(キャリーオーバ)の量は、供給された原料の5%以下であった。
<冷却凝縮>
エチルアルコール系の冷媒(−40℃)で冷却したステンレス製多管式熱交換器(汎用タイプ)を用いて、四塩化珪素を含む生成ガスを冷却凝縮することにより、約60g/分で安定して粗四塩化珪素を回収した(収量:約3.8kg)。なお、排ガス中に同伴した四塩化珪素の量は100g未満であった。また、回収した粗四塩化珪素中のトリメチルクロロシランの含有量は0.1質量ppm未満(分析下限未満)であった。
[比較例1]
造粒体の加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、四塩化珪素を製造した。その結果、塩化反応では、反応直後から内部温度は低下し続け、約1330℃で安定した。その間、ヒータは常にフル出力(7kW)であった。塩化装置外への原料の飛散同伴ロスは、供給した原料の約30%であった。また、冷却凝縮により回収された粗四塩化珪素の量は約3kgであった。なお、排ガス中には、一酸化炭素以外に四塩化珪素および未反応塩素がそれぞれ約400g含まれていた。また、回収した粗四塩化珪素中のトリメチルクロロシランの含有量は1質量ppmであった。
[比較例2]
造粒体の加熱処理の温度を1260℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、四塩化珪素を製造した。その結果、造粒体の加熱処理により生成したSiCは、実施例1と比較して大幅に低減し、塩化反応では、内部温度を常に1400℃前後に保持することはできたが、ヒータ出力は平均5kWであった。塩化装置外への原料の飛散同伴ロスは、供給した原料の約15%であった。また、冷却凝縮により回収された粗四塩化珪素の量は約3.5kgであった。なお、排ガス中に同伴した四塩化珪素の量は約400gであった。また、回収した粗四塩化珪素中のトリメチルクロロシランの含有量は0.5質量ppmであった。
[比較例3]
造粒体の加熱処理の温度を1610℃に変更し、ロータリーキルンの炉心管をアルミナ製に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、造粒体の調製および加熱処理を行った。加熱処理後の造粒体は、シリカよりも炭化珪素の量が多くなり、造粒体同士が焼結して塊状になっているものが多く認められた。そのため、安定した流動層を形成することが難しかったので、固定層で短時間(約20分)の塩化反応を行った。その結果、塩化反応では、反応直後から内部温度が急激に上昇し、ヒータ出力がゼロになった後も内部温度が1500℃以下になることはなかった。また、塩化装置内のグラファイト管は激しく損耗していた。塩化装置外への原料の飛散同伴ロスは、供給した原料の約50%であった。また、冷却凝縮により回収された粗四塩化珪素の量は約3.8kgであった。なお、排ガス中に同伴した四塩化珪素の量は100g未満であった。また、回収した粗四塩化珪素中のトリメチルクロロシランの含有量は0.1質量ppm未満であった。
[参考例]
一般向け用途(光ファイバーなど)として市販されている、金属珪素と塩化水素より生産された四塩化珪素(国内試薬メーカ品)の不純物を測定した。その結果、トリメチルクロロシランの含有量は0.4質量ppmであった。

Claims (5)

  1. 珪素酸化物および炭素含有物質を含む造粒体を、加熱処理装置中で1300℃〜1600℃の温度に加熱処理する工程(1)、
    前記工程(1)で加熱処理された造粒体を、そのまま冷却することなく塩化装置に供給する工程(2)、および
    前記塩化装置内で、前記加熱処理により生成した炭化珪素を含む造粒体と塩素を反応させる工程(3)
    を含むことを特徴とする四塩化珪素の製造方法。
  2. 前記工程(1)の加熱処理において造粒体と接する加熱処理装置の部材が、炭化珪素で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の四塩化珪素の製造方法。
  3. 前記工程(3)における塩化装置内の温度を、前記加熱処理により生成した炭化珪素と塩素との反応熱のみにより、1200℃〜1500℃の範囲で略一定に保持することを特徴とする請求項1または2に記載の四塩化珪素の製造方法。
  4. 前記工程(3)で得られた生成ガスを冷却凝縮して粗四塩化珪素を回収する工程(4)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の四塩化珪素の製造方法。
  5. 前記工程(4)で回収された粗四塩化珪素中に含まれるトリメチルクロロシランの量が0.1質量ppm未満であることを特徴とする請求項4に記載の四塩化珪素の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106185950A (zh) * 2016-07-06 2016-12-07 成都蜀菱科技发展有限公司 生产四氯化硅的方法

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