JP2004210594A - 高純度シリコンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度のシリコン結晶を製造する方法を単純なプロセスで,消費エネルギーを最小とし,高純度シリコン融体を連続的に多量生産する製造プロセスとする。
【解決手段】四塩化珪素を原料とし以下の工程により高純度シリコンを製造する。 1)塩化亜鉛ガス中で四塩化珪素と金属亜鉛を気相で反応、2)生成金属シリコンを融液の状態でガスと分離、3)金属シリコン中に含まれる反応ガスの脱離4)塩化亜鉛ガスの一部を分離冷却し液化5)液状塩化亜鉛を電解し塩素ガスと溶融亜鉛を生成、6)生成溶融亜鉛を加熱気化し、反応炉に送る7)電解発生塩素ガスをシリコンと反応粗製四塩化珪素を生成、8)該粗製四塩化珪素を蒸留精製9)精製四塩化珪素を気化して反応炉に送る。
【選択図】 図1
【解決手段】四塩化珪素を原料とし以下の工程により高純度シリコンを製造する。 1)塩化亜鉛ガス中で四塩化珪素と金属亜鉛を気相で反応、2)生成金属シリコンを融液の状態でガスと分離、3)金属シリコン中に含まれる反応ガスの脱離4)塩化亜鉛ガスの一部を分離冷却し液化5)液状塩化亜鉛を電解し塩素ガスと溶融亜鉛を生成、6)生成溶融亜鉛を加熱気化し、反応炉に送る7)電解発生塩素ガスをシリコンと反応粗製四塩化珪素を生成、8)該粗製四塩化珪素を蒸留精製9)精製四塩化珪素を気化して反応炉に送る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として太陽電池や電子デバイス用として使用する高純度シリコン製造方法に関し、原料から連続的に太陽電池や、電子デバイスに使用する高純度のシリコン単結晶、シリコン多結晶、あるいは溶解用に使用する高純度粒状シリコンを安価で高効率に製造する技術である。
【0002】
【従来の技術】
従来、太陽電池用シリコンは、半導体用シリコンの不適格品を使用することが多かったがそのような場合には、今後の太陽電池の飛躍的な需要に応えられるだけの供給が伴わないという問題が残されている。また太陽電池用シリコンは単結晶を使用した方が発電効率が高くなるのでその方が望ましいが、極めて高価であり特殊目的以外には使えないのが現状である。一方太陽電池用のシリコンは単結晶であっても、電子デバイスに要求される最高純度、つまり11−ナイン級の高純度を必要とするわけでは無く、8から9ナイン級で良いとされ、またこの程度であれば電子デバイスの一部でも使用が可能であるとされる。また一部のシリコン需要は高純度品ではあるが、半導性を与えるために他の金属をドープしたものが電子デバイスの一部として使用されるように成っている。この様にその需要が急増されるとするシリコンではあるがその製造は必ずしも高能率とは行かず、又エネルギー消費の多いものであった。
【0003】
つまり、古くからシリコン結晶を製造する方法として、溶融亜鉛と四塩化珪素を反応させるいわゆる金属溶融法が知られている。その場合は製品が微細な粉状となり、後処理の煩雑さや不純物処理の難しさ並びにキャステイングの困難さの為、高コストとなり、実用化されるに至っていない。 このために気相亜鉛還元法によるシリコン製造が提案されているが、シリコンとともに重量比で約10倍の塩化亜鉛が副生し、その処理が問題となりやすく実用化はごく一部に限られている。最近では特開平11−92130に記載のように、溶融亜鉛表面に四塩化珪素を吹き付けることによってシリコンを得、さらに生成する塩化亜鉛を電気分解して亜鉛金属を取り出すと共に、生成する塩素を塩化水素として四塩化珪素製造に使う方法が提案されている。塩化亜鉛の再利用という点では目的を達成しているが、生成シリコンは溶融亜鉛との混合体であるためにシリコンそれ自体が微細な粒子となってしまうこと、従って生成シリコン粒子の表面積が大きくなりそのために高純度化が困難になると言う問題点があった。またモノシランやジシラン、トリクロロシランを原料とする方法があるがこれについてはその反応率が低く従ってエネルギー消費が大きくなると言う問題と共に、併存する水素の回収があわせて問題となっているが、水素に限らず、副生する塩素乃至塩酸の取り扱いにも問題がある。
【0004】
一方これらによって得た多結晶あるいは粉末状のシリコンから単結晶シリコンを得るためには、粒の大きさが大きく相対的に表面積の小さなシリコン多結晶の場合は、粒子表面への不純物の吸着、特に酸素の吸着が少ないので、問題は少ないが、粉末状の表面積の大きな粒子の場合は、バルク部分が高純度であっても、表面吸着物質が不純物要因となるために、結晶製造装置への投入前に、表面の吸着物除去を行う必要があり、作業が煩雑になると共に、廃棄物処理などの必要性も合わせて生じており、それ故どうしても製造コストがかさむという結果となっている。しかも常法によるとまずシリコン粉体、あるいは微結晶を製造するために高温処理を行い、それを冷却し、更に結晶成長のために昇温溶融と煩雑な操作を必要とすると共に、加熱/冷却を繰り返すようになっており、エネルギー消費上からも問題であった。特にこれらにより、工程ごとに独立しているから、作業性が良いとはいうものの、熱の出入りを含むこれらの作業は高付加価値の電子デバイス用としてはまだ許容限度であるかも知れないが、今後の主用途と考えられる太陽電池用では、多量に使う代わりに、その価格が安価であり、しかも製造時のエネルギー消費の少ないことが重要な達成課題であるがここにまで言及した技術は今までに知られていない。
【0005】
【従来技術の問題点】
上記に示したように従来技術はいずれもシリコンを固体としてあるいは結晶として生成させることに主眼点が置かれており、生成した結晶塊、あるいは粉体が空気に中にさらされることを前提としており、単結晶、あるいは結晶の発達した多結晶を製造する場合には一度取り出したものを必要に応じて再精製してから再び溶解、結晶化という作業を行っており、少なくとも再溶解のための余分なエネルギーが必要であるという問題点があった。またあらかじめシリコンの塊あるいは粉体を作る時に、空気中にさらされることを前提としているために、不純物吸着を最小とするためにシリコン原料の製造に当たっては、出来るだけ塊状のシリコンの製造が可能な条件が所用される結果、理屈の上で最も容易であり、単純化できる、塩化珪素の亜鉛による還元方法が商業生産では事実上使えないと言う問題点を残していた。最近ではトリクロロシランを使用するプロセスで反応塔からシリコンを溶融状態状態で取り出す試みがなされているが、温度が高くなるので、副成する塩酸の腐食問題や生成シリコンと炉壁内面とが反応することによる、反応炉の短寿命化などの問題があり、その活用も完全ではないという問題があった。
【0006】
【発明の課題】
本発明は如上の問題点を解決するためになされたものであり、
1)出来るだけ単純なプロセスで
2)消費エネルギーを最小として
3)高純度シリコン融体を
4)連続的に得ること
が可能な製造プロセスを完成することを課題とした。
【0007】
【発明の手段】
本発明は四塩化珪素を原料として高純度シリコンを製造するに当たり 1)塩化亜鉛ガス中で四塩化珪素と金属亜鉛を気相で反応させる工程と2)生成した金属シリコンを融液の状態でガスと分離し、3)必要に応じて金属シリコン中に含まれる反応ガスを脱離する工程と、4)塩化亜鉛ガスの一部を分離し冷却して液状にする工程と、5)液状の塩化亜鉛を電解して塩素ガスと溶融亜鉛を生成させる工程と、6)生成した溶融亜鉛を加熱気化し、反応炉に送る工程と、7)電解により発生した塩素ガスを組成シリコンと反応させて粗製四塩化珪素を生成する工程と、8)該粗製四塩化珪素を蒸留精製する工程と、9)精製四塩化珪素を気化して反応炉に送る工程と、から成ることを特徴とする高純度シリコンの製造方法であって、最も基本的であり、高純度シリコンが得られにくいとされる亜鉛還元による四塩化珪素からのシリコン製造を高温気相中で行うことにより、また生成シリコンは系外に取り出すことなく、実質的に融体で得、直接単結晶、多結晶あるいは粒状の結晶性シリコンとして、得ることが出来る。
以下詳細に説明する。
【0008】
本発明におけるシリコン製造は、粗製のシリコンを原料としてそれを塩素ガスと反応させた後に蒸留精製し、それを気相として雰囲気ガスである塩化亜鉛中に送り込む事、また還元剤として亜鉛をガス状で同じく塩化亜鉛ガス中に送り込むことによって、気相反応によって金属シリコンと塩化亜鉛ガスが生成する。反応式はSiCl4+2Zn→Si+2ZnCl2で示されるが、亜鉛の沸点が907℃であり、塩化亜鉛の沸点が732℃であり、また四塩化珪素の沸点は57.6℃であるので塩化亜鉛の沸点より高い温度に保持することによってこれら三者は気相に保持され、また生成シリコンはその融点が1410℃であるので固相として析出する。つまりこれを利用すると上記の反応式ではシリコンが液ないし固相として系外に出されるので、反応は一方的にZnCl2生成側に進んでいくことになる。このように反応は一方的であり、しかも高温で行うので反応速度は極めて早いので反応炉部分は極めて小さくて良い。反応温度を1350℃以上とすると、析出してくるシリコンは極めて微細であるので液滴となる。このようにして生成するシリコン液滴は雰囲気ガスに比較して重いので、反応炉下方に落下し、凝集し、雰囲気温度が融点以下であれば塊状となるし、融点以上であれば溶融状態として集まり下方にあるリザーバーに集まるように成る。このように反応炉は通常の炉形式を取っていればよいが、この凝集を加速すると共に、炉壁と反応物との衝突を最少とすることが可能な旋回溶融方式として示されるサイクロン方式の炉を使うことによってより高純度化、並びに高能率が期待される。すなわち、サイクロン方式で雰囲気ガスヲ回転させ、それとともに反応ガスを回転させることにより反応物相互の凝集が加速され、次第に固体と成りながら落下する。反応炉の下方部分の温度をシリコンの融点より高く保持すると固体化することなく融体のシリコンとして取り出すことが出来る。一方の反応生成物であり、雰囲気ガスである塩化亜鉛は反応によって増加した分だけ系外に取り出し、沸点以下に下げることによって融体とし、溶融塩電解によって、塩素と亜鉛金属にする。すなわち反応式ZnCl2→Zn+Cl2(理論分解電圧1.88V at500℃)として陽極側から塩素ガスをまた陰極から亜鉛金属が得られる。
【0009】
ここで得られた塩素ガスは最初の反応である粗製珪素と反応させることに依って四塩化珪素とする。また亜鉛は融点が419℃であるので、その温度以上で電解することによって亜鉛融体として取り出し、それを加熱気化して再び反応炉に送る。これによって反応媒体である塩素、亜鉛は系内でリサイクルされ、全体としてはシリコンから高純度シリコンを得るプロセスとなる。尚原料としては原料金属珪素、あるいは原料金属珪素の一種としての屑シリコンを使うが、これを珪石などシリカ(酸化珪素)を使うことも出来る。この場合は還元剤として炭素粉末あるいは一酸化炭素を加えて温度を400℃以上に加熱しながら反応させればよくそれによって、本プロセスとして使うことも可能である。しかし高純度品を得ること、全体のマテリアルバランスを狂わせる可能性があるので、シリカを使う場合、あらかじめ外部で還元して原料金属珪素としてから、本プロセスに使用することが望ましい。
【0010】
ここでは原料金属珪素を使用する事として説明する。すなわち原料金属珪素粉末を塩素ガスと反応させる。この反応は非常に早く進むためにその形式は特には指定されないが、原料金属珪素粉末と塩素ガスを向流的に流して反応させる流動層プロセス、或いはシリコンの固定層中に塩素ガスを流すことによって塩化珪素を取り出す方法を採ればよい。反応温度は60℃から400℃が望ましく、此によって生成した塩化珪素は気体としてシリコンと分離される。この時にシリコンが存在する限り反応が早いので、塩素ガスは存在しないと考えられるが、塩素ガスが存在するとしても、温度を50℃以下に冷却することによって、塩素は塩素ガスとして、また四塩化珪素は四塩化珪素液として分離される。このようにして得た液状の四塩化珪素を蒸留して高純度化をはかる。この条件は四塩化珪素のみを気体として取り出されるのであれば特に指定はされないが、常圧で温度58℃から68℃で蒸留する事により四塩化珪素のみを取り出すことが出来る。この四塩化珪素はヒーターによって加熱して反応炉に送る。
【0011】
一方反応炉は上記に示したように旋回溶融方式が望ましくそれによって回転気流中で四塩化珪素と亜鉛ガスを反応させる。此によって炉壁材料との接触が最小限となり、不純物の混入、また反応炉の消耗が最小限となる。反応炉中の雰囲気ガスは比較的安定な高純度の塩化亜鉛ガスを使用する。此によって反応系内は反応物のみとなり他の元素が全く入らない状態となるので、高純度を保持できると共に、それらの分圧を調整することによって反応速度を調整することが出来る。通常は雰囲気圧力を1から5気圧とし、雰囲気ガスである塩化亜鉛ガスを90%以上とし、また塩化珪素に対して亜鉛ガス量を理論反応量よりわずかに0.1%から10%程度多くする。此によって、完全に腐食性が高く、また析出シリコンが再び塩素化されるのを完全に防ぐことが出来る。なお反応温度は1350℃以上が望ましく、此によって反応生成物であるシリコンは微粒状態では少なくとも融体として雰囲気ガス内では極めて凝集し易くなり、速やかに大きな粒子に成長して、反応炉下方に集まる。なお反応炉下方では温度をシリコンの融点である1410℃以上とすることによって、融体を保持したままリザーバーに送られる。
【0012】
ここで反応炉についてはシリコンと反応しない物質で出来ていれば特に問題はなく、たとえば、タンタルやイリジウムなどの金属、硼化ジルコニウムなどの耐熱セラミックスが使われる。一方シリコン単結晶の成長に使われるシリカガラスは融体シリコンと反応して反応式Si+SiO2→2SiOに示される様に、消耗するが実質的に他の不純物金属が入らないと言う特徴があり、使用が可能である。また上記の様な反応物でも安定な運転のためには反応炉の炉壁温度をシリコンの融点である1410℃よりわずかに低くしておくことにより炉壁の表面に薄い結晶性シリコン層を設けることが出来る。此によって反応ガスが炉壁と接触することが無くなり、炉壁の長寿命化と製品への不純物の混入を防ぐことが出来る。つまり反応炉自身の温度は1400℃より低く保持し、雰囲気ガスである塩化亜鉛を加熱ガスとして高温に保持する前述のように雰囲気ガス温度は1350℃以上が望ましい。此によって、生成シリコンは融体で得ることが出来、しかも炉壁周辺はシリコン結晶で覆われているために不純物の混入がなく、高純度のシリコンが得られる。このようにして生成したシリコンは凝集し、大きな液滴になると共に下方に移動し、融点以下の温度で運転をしている場合は部分的に粒子になって落下していく。この下方のサイクロン部分の温度をわずかに上げる或いは雰囲気ガス温度を1410℃以上とすることで液滴のまま下方に移動し、シリコンリザーバーに移動する。このようにして液状で、時としては粒子としてシリコンがリザーバーに移動するが、リザーバーでは温度をシリコンの融点以上に保持し、液体として出来るだけ厚みの薄い液状で保持し、シリコン中に含まれる可能性のある雰囲気ガスを除去する。この時に高純度のアルゴンガスをこの液体中に通しても良いし、またリザーバーの雰囲気ガスをその出口で冷却液化することによって負圧としてシリコン中から抜き出しても良い。なおリザーバー材質は融体シリコンが反応しない材質を使い、温度保持を外部加熱によっても良いが、一方反応炉と同じように、リザーバー本体の温度をシリコンの融点よりわずかに低く保持し、融体シリコンを誘導加熱により加熱して融点以上に保持することによって、リザーバーが固体シリコンで覆われるようにして、生成したシリコンとリザーバー壁との直接接触を防ぐようにすることもできる。この場合であれば、リザーバー材質にシリカガラスなどを使うことが出来る。またリザーバーをシリコンとは実質的に反応しない、タンタル、ジルコニウム、ニオブなどの弁金属やそれらの化合物、たとえば酸化タンタルや酸化ニオブなどの酸化物や硼化ジルコニウムなどのセラミックスを使うことが出来る。このようにして液状で保持したシリコンは必要に応じて結晶化する事が出来る。
【0013】
リザーバー中のシリコンの純度は6−ナインから8−ナインであり、此について以下に述べる結晶化の過程で更に高純度かがはかれる。なお従来は一度固体で取り出してから、再び溶解を行っていた関係上そこで不純物のはいる可能性があったが、ここでは原則として外部取り出しがないので高純度を保持し、更に結晶かで高純度かが出来るのでより高純度化が可能となる。
つまりリザーバーと単結晶成長装置とを組み合わせる場合リザーバーを二重坩堝の外部として使うことが可能であり、結晶成長装置が単純に出来るようになる。また多結晶を作る場合は坩堝に入れて徐冷し、結晶化させても良いし、ゾーンメルティング的に成長をさせても良い。また平板状に引き上げていくことも出来る。また冷却装置にて急冷して塊状のシリコン多結晶を得ることもできる。
【0014】
リザーバーから抜き取った塩化亜鉛ガス、或いは過剰になった雰囲気ガス分は抜き出して、冷却し液化して電解槽に送り込み、電解によって前述のように塩素ガスと液状の亜鉛を得る。電解は原則として溶融塩電解により行うが亜鉛の融点が419℃であり、塩化亜鉛の融点が283℃であるのでこれらより高い温度が望ましく、温度460℃から550℃が望ましく特に望ましくは480℃から510℃であり此により電解槽の陰極には融体の亜鉛が得られ、陽極からは気体の塩素が得られる。塩素は上記したように原料金属珪素の塩素化に使い、亜鉛は集めて加熱し反応炉で塩化珪素の還元に使う。なお電解に当たっては溶融塩化亜鉛のみを電解質として使うことが不純物混入を避ける点から望ましいが、電気抵抗が大きくなると言うことから、補助電解質を加えることも可能である。通常は苛性アルカリ、特に苛性カリを加えることによって電解質の電気抵抗が大幅に下がり電解電圧を低下させ、電力原単位を下げることが可能となる。但し補助電解質が汚染の原因となる可能性があるので、電解槽を含めて特別な注意が必要である。なお原料金属珪素の塩素化に当たって原料金属珪素の純度が98%から99%であり、不純分を塩素化する必要があり、不純分は系外に取り出されるので、その分系内の塩素が不足することになる。この塩素の分だけ外部から塩素を加える必要があるが、塩素ガスで加えても良いが、ここでは外部から高純度の塩化亜鉛を導入する事も出来る。つまり塩化亜鉛を加えて過剰に電解を行うことによって必要量の塩素の確保が出来ると共に、過剰分の亜鉛を系外に取り出す事によって、合わせて系内の不純分の除去が出来、これによってシリコンの製造を長期間に渡って連続して行うこと出来る。
【0015】
以下に発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。図1は本発明に記載された、シリコン製造装置の模式図である。▲1▼は金属シリコン原料保持槽であり、純度98.5から99%の原料金属珪素が保持されここを介して、反応塔▲2▼に送られる。反応塔▲2▼ではこのシリコンと電解槽▲4▼からの塩素ガスとを温度約300℃で反応させて四塩化珪素ガスとする。四塩化珪素ガスは蒸留槽▲7▼により約50℃で蒸留、不純物留分を取り除き、ヒーター▲8▼で加熱して反応炉▲3▼に送られ、電解槽▲4▼で得た溶融亜鉛をヒーター▲8▼で加熱気化した気体亜鉛で還元され液状の塩化珪素が生成される。なお反応炉は雰囲気ガスとして塩化亜鉛ガスがヒーター▲8▼との間を循環している。反応炉の温度は1350℃以上であり、炉自身と雰囲気循環ガスの加熱により保持されている。このようにして還元され液滴となったシリコンは反応炉内で凝集していき、大きな液滴ないし粒となって下方に運ばれリザーバー▲5▼に移動する。リザーバー▲5▼ではシリコンの融点である1410℃以上に保持され、生成したシリコンと共に移動した反応炉雰囲気ガスでありまた反応生成ガスである塩化亜鉛ガスが排ガス路を通って冷却器▲9▼に送られる事によって負圧となるので、製品溶融シリコン中に含まれる可能性のある塩化亜鉛ガスはここで取り除かれる。またここには必要に応じてアルゴンガス▲10▼を送りバブリングによって、気相成分を完全に除くことが出来る。雰囲気ガスとして循環している塩化亜鉛ガスは、反応の進行により増加するのでその分は同様にこの冷却器▲9▼通じて電解槽に運ばれる。このように、反応によって生成する塩化亜鉛ガスは温度約500℃まで冷却され、融体として電解槽に送られる。電解槽は無隔膜型であり、電解により上方に塩素ガスを取り出し、陰極生成物である亜鉛金属は融体として底部にたまり、そこからヒーター▲8▼を通して反応炉に送られることは上述の通りである。なお原料金属珪素の塩素化に当たり、余剰の塩素が必要であるが、電解槽中に外部より高純度塩化亜鉛を追加し電解することによって補給し、余剰に生産される亜鉛に相当する亜鉛分は定期的に排出して、系の高純度化を保持する。リザーバーで保持され脱ガスの行われたシリコン融体は結晶成長槽▲6▼に送られ、単結晶、又は多結晶の高純度シリコンを生成する。此により反応炉で6−ナインから9−ナイン、また多結晶成長部分で単結晶引き上げを行うと9−ナインから11−ナインの高純度シリコンが得られる。
【0016】
【発明の効果】
本発明により、従来から最も簡単な反応で、最もエネルギーの消費が少なくて済む、しかしながら、高純度化が困難であった、四塩化珪素の亜鉛による還元法によるシリコンの製造において
1)半導体グレードとして使用できる、高純度シリコンが容易に製造できる。
2)高温度を保持したままで全てのプロセスを行うことにより、従来の亜鉛還元法によるシリコン製造よりも更に省エネルギー化をはかることが可能となった。
3)生産プロセスの簡易化を図ることが可能となった。
4)高温反応にもかかわらず、反応炉を含む製造設備の消耗を極端に減らすことに成功した。
5)また4)により、製品純度を極めて高く保持することが可能となった。
等の効果を得ることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコン製造プロセスの模式図である。
【符号の説明】
▲1▼原料金属珪素保持槽
▲2▼四塩化珪素製造用反応塔
▲3▼反応炉
▲4▼塩化亜鉛電解槽
▲5▼融体シリコン用リザーバー
▲6▼結晶成長槽
▲7▼四塩化珪素蒸留精製塔
▲8▼加熱器
▲9▼冷却器
▲10▼アルゴンガス供給装置
▲11▼廃アルゴンガス
【発明の属する技術分野】本発明は、主として太陽電池や電子デバイス用として使用する高純度シリコン製造方法に関し、原料から連続的に太陽電池や、電子デバイスに使用する高純度のシリコン単結晶、シリコン多結晶、あるいは溶解用に使用する高純度粒状シリコンを安価で高効率に製造する技術である。
【0002】
【従来の技術】
従来、太陽電池用シリコンは、半導体用シリコンの不適格品を使用することが多かったがそのような場合には、今後の太陽電池の飛躍的な需要に応えられるだけの供給が伴わないという問題が残されている。また太陽電池用シリコンは単結晶を使用した方が発電効率が高くなるのでその方が望ましいが、極めて高価であり特殊目的以外には使えないのが現状である。一方太陽電池用のシリコンは単結晶であっても、電子デバイスに要求される最高純度、つまり11−ナイン級の高純度を必要とするわけでは無く、8から9ナイン級で良いとされ、またこの程度であれば電子デバイスの一部でも使用が可能であるとされる。また一部のシリコン需要は高純度品ではあるが、半導性を与えるために他の金属をドープしたものが電子デバイスの一部として使用されるように成っている。この様にその需要が急増されるとするシリコンではあるがその製造は必ずしも高能率とは行かず、又エネルギー消費の多いものであった。
【0003】
つまり、古くからシリコン結晶を製造する方法として、溶融亜鉛と四塩化珪素を反応させるいわゆる金属溶融法が知られている。その場合は製品が微細な粉状となり、後処理の煩雑さや不純物処理の難しさ並びにキャステイングの困難さの為、高コストとなり、実用化されるに至っていない。 このために気相亜鉛還元法によるシリコン製造が提案されているが、シリコンとともに重量比で約10倍の塩化亜鉛が副生し、その処理が問題となりやすく実用化はごく一部に限られている。最近では特開平11−92130に記載のように、溶融亜鉛表面に四塩化珪素を吹き付けることによってシリコンを得、さらに生成する塩化亜鉛を電気分解して亜鉛金属を取り出すと共に、生成する塩素を塩化水素として四塩化珪素製造に使う方法が提案されている。塩化亜鉛の再利用という点では目的を達成しているが、生成シリコンは溶融亜鉛との混合体であるためにシリコンそれ自体が微細な粒子となってしまうこと、従って生成シリコン粒子の表面積が大きくなりそのために高純度化が困難になると言う問題点があった。またモノシランやジシラン、トリクロロシランを原料とする方法があるがこれについてはその反応率が低く従ってエネルギー消費が大きくなると言う問題と共に、併存する水素の回収があわせて問題となっているが、水素に限らず、副生する塩素乃至塩酸の取り扱いにも問題がある。
【0004】
一方これらによって得た多結晶あるいは粉末状のシリコンから単結晶シリコンを得るためには、粒の大きさが大きく相対的に表面積の小さなシリコン多結晶の場合は、粒子表面への不純物の吸着、特に酸素の吸着が少ないので、問題は少ないが、粉末状の表面積の大きな粒子の場合は、バルク部分が高純度であっても、表面吸着物質が不純物要因となるために、結晶製造装置への投入前に、表面の吸着物除去を行う必要があり、作業が煩雑になると共に、廃棄物処理などの必要性も合わせて生じており、それ故どうしても製造コストがかさむという結果となっている。しかも常法によるとまずシリコン粉体、あるいは微結晶を製造するために高温処理を行い、それを冷却し、更に結晶成長のために昇温溶融と煩雑な操作を必要とすると共に、加熱/冷却を繰り返すようになっており、エネルギー消費上からも問題であった。特にこれらにより、工程ごとに独立しているから、作業性が良いとはいうものの、熱の出入りを含むこれらの作業は高付加価値の電子デバイス用としてはまだ許容限度であるかも知れないが、今後の主用途と考えられる太陽電池用では、多量に使う代わりに、その価格が安価であり、しかも製造時のエネルギー消費の少ないことが重要な達成課題であるがここにまで言及した技術は今までに知られていない。
【0005】
【従来技術の問題点】
上記に示したように従来技術はいずれもシリコンを固体としてあるいは結晶として生成させることに主眼点が置かれており、生成した結晶塊、あるいは粉体が空気に中にさらされることを前提としており、単結晶、あるいは結晶の発達した多結晶を製造する場合には一度取り出したものを必要に応じて再精製してから再び溶解、結晶化という作業を行っており、少なくとも再溶解のための余分なエネルギーが必要であるという問題点があった。またあらかじめシリコンの塊あるいは粉体を作る時に、空気中にさらされることを前提としているために、不純物吸着を最小とするためにシリコン原料の製造に当たっては、出来るだけ塊状のシリコンの製造が可能な条件が所用される結果、理屈の上で最も容易であり、単純化できる、塩化珪素の亜鉛による還元方法が商業生産では事実上使えないと言う問題点を残していた。最近ではトリクロロシランを使用するプロセスで反応塔からシリコンを溶融状態状態で取り出す試みがなされているが、温度が高くなるので、副成する塩酸の腐食問題や生成シリコンと炉壁内面とが反応することによる、反応炉の短寿命化などの問題があり、その活用も完全ではないという問題があった。
【0006】
【発明の課題】
本発明は如上の問題点を解決するためになされたものであり、
1)出来るだけ単純なプロセスで
2)消費エネルギーを最小として
3)高純度シリコン融体を
4)連続的に得ること
が可能な製造プロセスを完成することを課題とした。
【0007】
【発明の手段】
本発明は四塩化珪素を原料として高純度シリコンを製造するに当たり 1)塩化亜鉛ガス中で四塩化珪素と金属亜鉛を気相で反応させる工程と2)生成した金属シリコンを融液の状態でガスと分離し、3)必要に応じて金属シリコン中に含まれる反応ガスを脱離する工程と、4)塩化亜鉛ガスの一部を分離し冷却して液状にする工程と、5)液状の塩化亜鉛を電解して塩素ガスと溶融亜鉛を生成させる工程と、6)生成した溶融亜鉛を加熱気化し、反応炉に送る工程と、7)電解により発生した塩素ガスを組成シリコンと反応させて粗製四塩化珪素を生成する工程と、8)該粗製四塩化珪素を蒸留精製する工程と、9)精製四塩化珪素を気化して反応炉に送る工程と、から成ることを特徴とする高純度シリコンの製造方法であって、最も基本的であり、高純度シリコンが得られにくいとされる亜鉛還元による四塩化珪素からのシリコン製造を高温気相中で行うことにより、また生成シリコンは系外に取り出すことなく、実質的に融体で得、直接単結晶、多結晶あるいは粒状の結晶性シリコンとして、得ることが出来る。
以下詳細に説明する。
【0008】
本発明におけるシリコン製造は、粗製のシリコンを原料としてそれを塩素ガスと反応させた後に蒸留精製し、それを気相として雰囲気ガスである塩化亜鉛中に送り込む事、また還元剤として亜鉛をガス状で同じく塩化亜鉛ガス中に送り込むことによって、気相反応によって金属シリコンと塩化亜鉛ガスが生成する。反応式はSiCl4+2Zn→Si+2ZnCl2で示されるが、亜鉛の沸点が907℃であり、塩化亜鉛の沸点が732℃であり、また四塩化珪素の沸点は57.6℃であるので塩化亜鉛の沸点より高い温度に保持することによってこれら三者は気相に保持され、また生成シリコンはその融点が1410℃であるので固相として析出する。つまりこれを利用すると上記の反応式ではシリコンが液ないし固相として系外に出されるので、反応は一方的にZnCl2生成側に進んでいくことになる。このように反応は一方的であり、しかも高温で行うので反応速度は極めて早いので反応炉部分は極めて小さくて良い。反応温度を1350℃以上とすると、析出してくるシリコンは極めて微細であるので液滴となる。このようにして生成するシリコン液滴は雰囲気ガスに比較して重いので、反応炉下方に落下し、凝集し、雰囲気温度が融点以下であれば塊状となるし、融点以上であれば溶融状態として集まり下方にあるリザーバーに集まるように成る。このように反応炉は通常の炉形式を取っていればよいが、この凝集を加速すると共に、炉壁と反応物との衝突を最少とすることが可能な旋回溶融方式として示されるサイクロン方式の炉を使うことによってより高純度化、並びに高能率が期待される。すなわち、サイクロン方式で雰囲気ガスヲ回転させ、それとともに反応ガスを回転させることにより反応物相互の凝集が加速され、次第に固体と成りながら落下する。反応炉の下方部分の温度をシリコンの融点より高く保持すると固体化することなく融体のシリコンとして取り出すことが出来る。一方の反応生成物であり、雰囲気ガスである塩化亜鉛は反応によって増加した分だけ系外に取り出し、沸点以下に下げることによって融体とし、溶融塩電解によって、塩素と亜鉛金属にする。すなわち反応式ZnCl2→Zn+Cl2(理論分解電圧1.88V at500℃)として陽極側から塩素ガスをまた陰極から亜鉛金属が得られる。
【0009】
ここで得られた塩素ガスは最初の反応である粗製珪素と反応させることに依って四塩化珪素とする。また亜鉛は融点が419℃であるので、その温度以上で電解することによって亜鉛融体として取り出し、それを加熱気化して再び反応炉に送る。これによって反応媒体である塩素、亜鉛は系内でリサイクルされ、全体としてはシリコンから高純度シリコンを得るプロセスとなる。尚原料としては原料金属珪素、あるいは原料金属珪素の一種としての屑シリコンを使うが、これを珪石などシリカ(酸化珪素)を使うことも出来る。この場合は還元剤として炭素粉末あるいは一酸化炭素を加えて温度を400℃以上に加熱しながら反応させればよくそれによって、本プロセスとして使うことも可能である。しかし高純度品を得ること、全体のマテリアルバランスを狂わせる可能性があるので、シリカを使う場合、あらかじめ外部で還元して原料金属珪素としてから、本プロセスに使用することが望ましい。
【0010】
ここでは原料金属珪素を使用する事として説明する。すなわち原料金属珪素粉末を塩素ガスと反応させる。この反応は非常に早く進むためにその形式は特には指定されないが、原料金属珪素粉末と塩素ガスを向流的に流して反応させる流動層プロセス、或いはシリコンの固定層中に塩素ガスを流すことによって塩化珪素を取り出す方法を採ればよい。反応温度は60℃から400℃が望ましく、此によって生成した塩化珪素は気体としてシリコンと分離される。この時にシリコンが存在する限り反応が早いので、塩素ガスは存在しないと考えられるが、塩素ガスが存在するとしても、温度を50℃以下に冷却することによって、塩素は塩素ガスとして、また四塩化珪素は四塩化珪素液として分離される。このようにして得た液状の四塩化珪素を蒸留して高純度化をはかる。この条件は四塩化珪素のみを気体として取り出されるのであれば特に指定はされないが、常圧で温度58℃から68℃で蒸留する事により四塩化珪素のみを取り出すことが出来る。この四塩化珪素はヒーターによって加熱して反応炉に送る。
【0011】
一方反応炉は上記に示したように旋回溶融方式が望ましくそれによって回転気流中で四塩化珪素と亜鉛ガスを反応させる。此によって炉壁材料との接触が最小限となり、不純物の混入、また反応炉の消耗が最小限となる。反応炉中の雰囲気ガスは比較的安定な高純度の塩化亜鉛ガスを使用する。此によって反応系内は反応物のみとなり他の元素が全く入らない状態となるので、高純度を保持できると共に、それらの分圧を調整することによって反応速度を調整することが出来る。通常は雰囲気圧力を1から5気圧とし、雰囲気ガスである塩化亜鉛ガスを90%以上とし、また塩化珪素に対して亜鉛ガス量を理論反応量よりわずかに0.1%から10%程度多くする。此によって、完全に腐食性が高く、また析出シリコンが再び塩素化されるのを完全に防ぐことが出来る。なお反応温度は1350℃以上が望ましく、此によって反応生成物であるシリコンは微粒状態では少なくとも融体として雰囲気ガス内では極めて凝集し易くなり、速やかに大きな粒子に成長して、反応炉下方に集まる。なお反応炉下方では温度をシリコンの融点である1410℃以上とすることによって、融体を保持したままリザーバーに送られる。
【0012】
ここで反応炉についてはシリコンと反応しない物質で出来ていれば特に問題はなく、たとえば、タンタルやイリジウムなどの金属、硼化ジルコニウムなどの耐熱セラミックスが使われる。一方シリコン単結晶の成長に使われるシリカガラスは融体シリコンと反応して反応式Si+SiO2→2SiOに示される様に、消耗するが実質的に他の不純物金属が入らないと言う特徴があり、使用が可能である。また上記の様な反応物でも安定な運転のためには反応炉の炉壁温度をシリコンの融点である1410℃よりわずかに低くしておくことにより炉壁の表面に薄い結晶性シリコン層を設けることが出来る。此によって反応ガスが炉壁と接触することが無くなり、炉壁の長寿命化と製品への不純物の混入を防ぐことが出来る。つまり反応炉自身の温度は1400℃より低く保持し、雰囲気ガスである塩化亜鉛を加熱ガスとして高温に保持する前述のように雰囲気ガス温度は1350℃以上が望ましい。此によって、生成シリコンは融体で得ることが出来、しかも炉壁周辺はシリコン結晶で覆われているために不純物の混入がなく、高純度のシリコンが得られる。このようにして生成したシリコンは凝集し、大きな液滴になると共に下方に移動し、融点以下の温度で運転をしている場合は部分的に粒子になって落下していく。この下方のサイクロン部分の温度をわずかに上げる或いは雰囲気ガス温度を1410℃以上とすることで液滴のまま下方に移動し、シリコンリザーバーに移動する。このようにして液状で、時としては粒子としてシリコンがリザーバーに移動するが、リザーバーでは温度をシリコンの融点以上に保持し、液体として出来るだけ厚みの薄い液状で保持し、シリコン中に含まれる可能性のある雰囲気ガスを除去する。この時に高純度のアルゴンガスをこの液体中に通しても良いし、またリザーバーの雰囲気ガスをその出口で冷却液化することによって負圧としてシリコン中から抜き出しても良い。なおリザーバー材質は融体シリコンが反応しない材質を使い、温度保持を外部加熱によっても良いが、一方反応炉と同じように、リザーバー本体の温度をシリコンの融点よりわずかに低く保持し、融体シリコンを誘導加熱により加熱して融点以上に保持することによって、リザーバーが固体シリコンで覆われるようにして、生成したシリコンとリザーバー壁との直接接触を防ぐようにすることもできる。この場合であれば、リザーバー材質にシリカガラスなどを使うことが出来る。またリザーバーをシリコンとは実質的に反応しない、タンタル、ジルコニウム、ニオブなどの弁金属やそれらの化合物、たとえば酸化タンタルや酸化ニオブなどの酸化物や硼化ジルコニウムなどのセラミックスを使うことが出来る。このようにして液状で保持したシリコンは必要に応じて結晶化する事が出来る。
【0013】
リザーバー中のシリコンの純度は6−ナインから8−ナインであり、此について以下に述べる結晶化の過程で更に高純度かがはかれる。なお従来は一度固体で取り出してから、再び溶解を行っていた関係上そこで不純物のはいる可能性があったが、ここでは原則として外部取り出しがないので高純度を保持し、更に結晶かで高純度かが出来るのでより高純度化が可能となる。
つまりリザーバーと単結晶成長装置とを組み合わせる場合リザーバーを二重坩堝の外部として使うことが可能であり、結晶成長装置が単純に出来るようになる。また多結晶を作る場合は坩堝に入れて徐冷し、結晶化させても良いし、ゾーンメルティング的に成長をさせても良い。また平板状に引き上げていくことも出来る。また冷却装置にて急冷して塊状のシリコン多結晶を得ることもできる。
【0014】
リザーバーから抜き取った塩化亜鉛ガス、或いは過剰になった雰囲気ガス分は抜き出して、冷却し液化して電解槽に送り込み、電解によって前述のように塩素ガスと液状の亜鉛を得る。電解は原則として溶融塩電解により行うが亜鉛の融点が419℃であり、塩化亜鉛の融点が283℃であるのでこれらより高い温度が望ましく、温度460℃から550℃が望ましく特に望ましくは480℃から510℃であり此により電解槽の陰極には融体の亜鉛が得られ、陽極からは気体の塩素が得られる。塩素は上記したように原料金属珪素の塩素化に使い、亜鉛は集めて加熱し反応炉で塩化珪素の還元に使う。なお電解に当たっては溶融塩化亜鉛のみを電解質として使うことが不純物混入を避ける点から望ましいが、電気抵抗が大きくなると言うことから、補助電解質を加えることも可能である。通常は苛性アルカリ、特に苛性カリを加えることによって電解質の電気抵抗が大幅に下がり電解電圧を低下させ、電力原単位を下げることが可能となる。但し補助電解質が汚染の原因となる可能性があるので、電解槽を含めて特別な注意が必要である。なお原料金属珪素の塩素化に当たって原料金属珪素の純度が98%から99%であり、不純分を塩素化する必要があり、不純分は系外に取り出されるので、その分系内の塩素が不足することになる。この塩素の分だけ外部から塩素を加える必要があるが、塩素ガスで加えても良いが、ここでは外部から高純度の塩化亜鉛を導入する事も出来る。つまり塩化亜鉛を加えて過剰に電解を行うことによって必要量の塩素の確保が出来ると共に、過剰分の亜鉛を系外に取り出す事によって、合わせて系内の不純分の除去が出来、これによってシリコンの製造を長期間に渡って連続して行うこと出来る。
【0015】
以下に発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。図1は本発明に記載された、シリコン製造装置の模式図である。▲1▼は金属シリコン原料保持槽であり、純度98.5から99%の原料金属珪素が保持されここを介して、反応塔▲2▼に送られる。反応塔▲2▼ではこのシリコンと電解槽▲4▼からの塩素ガスとを温度約300℃で反応させて四塩化珪素ガスとする。四塩化珪素ガスは蒸留槽▲7▼により約50℃で蒸留、不純物留分を取り除き、ヒーター▲8▼で加熱して反応炉▲3▼に送られ、電解槽▲4▼で得た溶融亜鉛をヒーター▲8▼で加熱気化した気体亜鉛で還元され液状の塩化珪素が生成される。なお反応炉は雰囲気ガスとして塩化亜鉛ガスがヒーター▲8▼との間を循環している。反応炉の温度は1350℃以上であり、炉自身と雰囲気循環ガスの加熱により保持されている。このようにして還元され液滴となったシリコンは反応炉内で凝集していき、大きな液滴ないし粒となって下方に運ばれリザーバー▲5▼に移動する。リザーバー▲5▼ではシリコンの融点である1410℃以上に保持され、生成したシリコンと共に移動した反応炉雰囲気ガスでありまた反応生成ガスである塩化亜鉛ガスが排ガス路を通って冷却器▲9▼に送られる事によって負圧となるので、製品溶融シリコン中に含まれる可能性のある塩化亜鉛ガスはここで取り除かれる。またここには必要に応じてアルゴンガス▲10▼を送りバブリングによって、気相成分を完全に除くことが出来る。雰囲気ガスとして循環している塩化亜鉛ガスは、反応の進行により増加するのでその分は同様にこの冷却器▲9▼通じて電解槽に運ばれる。このように、反応によって生成する塩化亜鉛ガスは温度約500℃まで冷却され、融体として電解槽に送られる。電解槽は無隔膜型であり、電解により上方に塩素ガスを取り出し、陰極生成物である亜鉛金属は融体として底部にたまり、そこからヒーター▲8▼を通して反応炉に送られることは上述の通りである。なお原料金属珪素の塩素化に当たり、余剰の塩素が必要であるが、電解槽中に外部より高純度塩化亜鉛を追加し電解することによって補給し、余剰に生産される亜鉛に相当する亜鉛分は定期的に排出して、系の高純度化を保持する。リザーバーで保持され脱ガスの行われたシリコン融体は結晶成長槽▲6▼に送られ、単結晶、又は多結晶の高純度シリコンを生成する。此により反応炉で6−ナインから9−ナイン、また多結晶成長部分で単結晶引き上げを行うと9−ナインから11−ナインの高純度シリコンが得られる。
【0016】
【発明の効果】
本発明により、従来から最も簡単な反応で、最もエネルギーの消費が少なくて済む、しかしながら、高純度化が困難であった、四塩化珪素の亜鉛による還元法によるシリコンの製造において
1)半導体グレードとして使用できる、高純度シリコンが容易に製造できる。
2)高温度を保持したままで全てのプロセスを行うことにより、従来の亜鉛還元法によるシリコン製造よりも更に省エネルギー化をはかることが可能となった。
3)生産プロセスの簡易化を図ることが可能となった。
4)高温反応にもかかわらず、反応炉を含む製造設備の消耗を極端に減らすことに成功した。
5)また4)により、製品純度を極めて高く保持することが可能となった。
等の効果を得ることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコン製造プロセスの模式図である。
【符号の説明】
▲1▼原料金属珪素保持槽
▲2▼四塩化珪素製造用反応塔
▲3▼反応炉
▲4▼塩化亜鉛電解槽
▲5▼融体シリコン用リザーバー
▲6▼結晶成長槽
▲7▼四塩化珪素蒸留精製塔
▲8▼加熱器
▲9▼冷却器
▲10▼アルゴンガス供給装置
▲11▼廃アルゴンガス
Claims (7)
- 四塩化珪素を原料として高純度シリコンを製造するに当たり 1)反応炉内塩化亜鉛ガス中で四塩化珪素と金属亜鉛を気相で反応させる工程と2)生成した金属シリコンを融液の状態でガスと分離し、3)必要に応じて金属シリコン中に含まれる反応ガスを脱離する工程と、4)塩化亜鉛ガスの一部を分離し冷却して液状にする工程と、5)液状の塩化亜鉛を電解して塩素ガスと溶融亜鉛を生成させる工程と、6)生成した溶融亜鉛を加熱気化し、反応炉に送る工程と、7)電解により発生した塩素ガスを組成シリコンと反応させて粗製四塩化珪素を生成する工程と、8)該粗製四塩化珪素を蒸留精製する工程と、9)精製四塩化珪素を気化して反応炉に送る工程と、から成ることを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
- 反応炉が旋回溶融炉であり、反応ガスが旋回中の雰囲気ガスによって旋回しながら反応を行う事によって、反応炉の側壁との接触を最小限とするようにしたことを特徴とする請求項1の高純度シリコンの製造方法。
- 反応温度が1300℃以上であり、反応により生成したシリコンが微細な粒子及び/又は液滴として下方に落下し、反応炉下方におかれシリコン融体保持槽に保持される様にしたことを特徴とする請求項1の高純度シリコンの製造方法。
- 生成した溶融シリコン中のガス成分の離脱を融体シリコン中へアルゴンガスを通して行うことを特徴とする請求項1の高純度シリコンの製造方法。
- 塩化亜鉛の電解を補助電解質無しに電解を行うことを特徴とする請求項1の高純度シリコンの製造方法。
- 塩化亜鉛の電解により電解槽の上方から塩素ガスを、下方から溶融亜鉛を取り出すようにしたことを特徴とする請求項1の高純度シリコンの製造方法。
- 電解により発生した塩素ガスを高温のまま原料金属珪素と反応させ粗四塩化珪素とし、粗四塩化珪素を常温にて液化・貯蔵し、しかる後蒸留精製して原料四塩化珪素として使用し、発生した塩素ガスをガス状或いは液化して貯蔵することを不要としたことを特徴とする請求項1の高純度シリコンの製造方法。
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