JP6014766B2 - 自動二輪車のボディカバー構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動二輪車のボディカバー構造に関する。
従来の自動二輪車等の車両においては、ボディ形状を形成するボディカバー構造として、例えば、車両前方のフロントロアカバー、フロントカバーの後部を覆うインナカバー、フロントロアカバー下部のフロントレッグシールド、フロントレッグシールド後方のレッグシールドロアカバー、更に、インナカバーから後方へ伸びて車体フレームの中央を覆うセンタカバーと、センタカバーから更に後方へ延びて車体フレームの後部を覆うサイドカバー等を有する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
日本国特許第4835239号公報
従来、ボディカバー構造においては、車体の特徴や独自性を持たせるために、例えばボディカバーの輪郭形状、稜線形状、膨出形状、開口形状といった形状を利用している。つまり、ボディカバーの特徴のみで車体の独自性を持たせていた。したがって、これまで以上に車体の独自性を持たせるためにも、ボディカバー周辺の構造をも利用し、車体の独自性を持たせることが望まれる。また、車体形状のデザイン性のみを追及し過ぎると、ボディカバーの機能の一つとして、走行風を受けて車両の走行性能および乗車性に影響を及ぼすことから構造上の課題があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車体形状の独自性を高めることができ、かつ走行風に対しても良好な機能を発揮することのできる自動二輪車のボディカバー構造を提供する。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、前輪の外周を上方から覆うように設けられたフロントフェンダと、ヘッドパイプの前方から側方にかけて車体前部を覆うフロントカバーと、前記フロントカバーの下方および後方側から乗車シートの下方に配置され、乗員が足を載置するステップフロアと、前記ステップフロアの下方および前方の車体側方を覆うアンダサイドカバーと、を有するボディカバーを備える自動二輪車のボディカバー構造において、前記フロントカバーのフロント側面下縁部が、車体前後方向に延び、前記フロントフェンダのフェンダ側面下縁部と車体側面視において、連続する線分として認識できるように略同一の高さに形成されるとともに、前記アンダサイドカバーの前部上端部が、前記フロント側面下縁部と所定距離はなれた位置まで上方へ延出されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記フロントカバーの下方において、前記前輪の後方の車体前面を覆うフロントロアカバーを有し、前記フロントロアカバーには、前記フロント側面下縁部と前記前部上端部との間に露出してボディカバー外側面に臨む張出部が形成され、前記張出部は、車体前方へ向かって凸状に湾曲することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構成に加えて、前記ステップフロアは、車体前後方向に延びる足置き部から車体上方へ立ち上がるロアサイドカバーを形成し、
前記ロアサイドカバーの前端縁部と前記張出部の後端縁部とが、連なるように形成されることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載の構成に加えて、前記張出部の外表面は、前記フロントカバーおよび前記アンダサイドカバーの少なくとも一方に対して、車幅方向に段差を有して凹むように形成されたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の構成に加えて、前記張出部および前記ロアサイドカバーは、前記フロントカバーあるいは前記アンダサイドカバーに対して異なる材質または色に形成されることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項2〜5の何れか1項に記載の構成に加えて、前記張出部は、隣接する前記ボディカバーの少なくとも1つに対して、係止部を介して係止されることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、車体側面視において、フロント側面下縁部によって形成される線分と、フロントフェンダのフェンダ側面下縁部によって形成される線分とを略同一の線分として形成されている。したがって、ボディカバー側面の外観ライン形成領域としてフロントフェンダも加えることで、車体最先端部から後輪の近傍までの前後に長い連続したボディ形状のライン線分を形成することができる。この結果、ボディカバーの車体後方側の側面から車体最先端まで連続的な強調ラインを表現することができるので、従来にはない車体前後方向に長い強調ラインを形成でき車体形状の独自性を持たせることができる。
また、アンダサイドカバーの前部上端部が、フロント側面下縁部と所定距離はなれた位置まで上方へ延出されていることで、フェンダ側面下縁部とフロント側面下縁部との線分を車体下方側より強調することができる。
請求項2の発明によれば、フロントロアカバーに、フロント側面下縁部と前部上端部との間に露出してボディカバー外側面に臨む張出部が形成されているので、従来においては車体側方から見えない部材が露出する。この結果、車体側面視において、フロントカバーの下部のボディ形状ラインに、従来には無い露出部分が現れることで独自性を更に強調することができる。
また、張出部が、車体前方へ向かって凸状に湾曲するように形成されることで、走行風を略全面で受けるフロントロアカバーの剛性を高めることができる。
請求項3の発明によれば、ステップフロアが、足置き部から車体上方へ立ち上がるロアサイドカバーを形成することで、車体側面の略中央の車体前後方向に車体強調アクセントを設けることができる。更に、ロアサイドカバーの前端縁部と張出部の後端縁部とが、連なるように形成されるので、張出部とロアサイドカバーとが車体側面において連なってフロント側面下縁部に接する1つの線分を形成する。この結果、フロント側面下縁部を含む車体前後方向の長い線分を認識しやすくでき、車体形状の独自性をより高めることができる。
また、ロアサイドカバーの前端縁部と張出部の後端縁部とが、略同一面に連なるように接続されるので、張出部から導かれた走行風をロアサイドカバー経由で車体後方に流動させることができる。したがって、適度な走行風を乗員の膝部に流すことができ、乗車の快適性を向上することができる。
請求項4の発明によれば、張出部とフロント側面下縁部とが段差を有して接しているので、フロント側面下縁部の線分を更に強調でき、車体形状の独自性をより強調できる。
また、張出部が、フロントカバーおよびアンダサイドカバーの少なくとも一方に対して、車幅方向に段差を有して凹むように形成されているので、走行風を、段差部分を利用して車体後方へ導くことができる。この結果、適度な走行風を乗員の膝部に流すことができ、乗車の快適性を向上することができる。
請求項5の発明によれば、張出部およびロアサイドカバーが、フロントカバーあるいはアンダサイドカバーに対して異なる材質または色に形成されるので、フロント側面下縁部の線分を明確にすることができる。よって、フロントカバーあるいはアンダサイドカバーを外観上際立たせることができる。したがって、車両の独自性を線分だけでなく、色彩や色調によって強調してより一層の独自性を持たせることができる。
請求項6の発明によれば、張出部は、隣接するボディカバーに対して、係止部を介して係止されるので、張出部を強固に保持するとともに隣接するアンダサイドカバーやロアサイドカバーなどのボディカバーも強固に支持することができる。また、走行風を正面から受けるフロントロアカバーを、張出部によって強固に保持することができる。
本発明に係るボディカバー構造の一実施形態が採用された自動二輪車の左側面図である。 図1に示す自動二輪車における前輪部分を取り除いた状態での正面図である。 図1に示す自動二輪車における要部拡大側面図である。 図1に示す自動二輪車におけるフロントロアカバーの斜視図である。 図1に示す自動二輪車におけるフロントロアカバーの平面図である。 図1に示す自動二輪車におけるフロントロアカバーの要部を拡大した正面図である。 図1に示す自動二輪車におけるフロントロアカバーの要部拡大斜視図である。 図3におけるA−A線に沿った部分の水平断面図である。 図3におけるB−B線に沿った部分の水平断面図である。
以下、図1〜図9を参照して、本発明に係る自動二輪車のボディカバー構造の一実施形態について説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、また、図中に示す、Fr,Rr,U,D,R,Lは、実施形態における車両の前方向,後方向,上方向,下方向,右方向,左方向を示すものである。
本実施形態の自動二輪車1は、車体フレーム10を備えており、この車体フレーム10は、図1に示すように、車体前部10aに設けられるヘッドパイプ15と、ヘッドパイプ15から後方且つ下方に延びるメインフレーム51と、メインフレーム51の中間部から略後方に延びる前フレーム52と、メインフレーム51の下端から後方に延びるロアフレーム53と、ロアフレーム53の後端から上方に延びた後、後方且つ上方に延びるリアフレーム54と、を備える。
また、自動二輪車1は、ヘッドパイプ15に回転自在に取り付けられるフロントフォーク17と、フロントフォーク17の上端部に取り付けられるステアリングハンドル11と、フロントフォーク17の下端部に回転自在に取り付けられる前輪18と、ロアフレーム53の後端部においてピボット支軸56に支持されたリンクを介して上下にスイング可能に取り付けられるパワーユニット55と、パワーユニット55の後端部に取り付けられる後輪19と、パワーユニット55の後端とリアフレーム54との間に取り付けられるリアクッション61と、リアフレーム54に支持された乗車シート12と、を備える。
また、ロアフレーム53には、メインスタンド65aやサイドスタンド65bが設けられている。また、排気管66は、パワーユニット55のシリンダ部55aから車体下方に延出され、更にパワーユニット55の下方を通って車体後方の消音器67につなげられている。また、車体フレーム10および各種構成部材は、ボディカバー20により外側が適宜覆われている。
ボディカバー20は、図1に示すように、ヘッドパイプ15の前方側および側方側を連続して覆うフロントカバー21と、このフロントカバー21の後部を覆うインナカバー22と、を有し、このフロントカバー21とインナカバー22とにより、車体前部10aを覆っている。また、ボディカバー20は、インナカバー22から後方へ伸びて車体フレーム10の中央(前フレーム52の両側)を覆うセンタカバー26と、センタカバー26から更に後方へ延びて車体フレーム10の後部両側(リアフレーム54の両側)を覆うサイドカバー27と、を有する。
さらに、ボディカバー20は、センタカバー26およびサイドカバー27の下部両側を覆い運転者の足を乗せる左右のステップフロア23を備えるロアサイドカバー28と、ステップフロア23の外縁から下方へ伸びる左右のアンダサイドカバー24と、この左右のアンダサイドカバー24の下方縁部24e間を覆うアンダカバー25と、フロントカバー21の下方側のフロントロアカバー30と、を有する。
アンダカバー25は、フロントロアカバー30よりも車体後方で、パワーユニット55よりも前方の車体下面を覆うように配置されている。また、本実施形態の自動二輪車1においては、インナカバー22、センタカバー26、および乗車シート12により囲まれた空間が、乗車を容易にする跨ぎ空間RSとして形成されている。また、車体最前部においては、前輪18の外周を上方から覆うように設けられたフロントフェンダ63が設けられている。
本実施形態のボディカバー20では、車体側面視において、前輪18および後輪19の間の領域で且つ車体上下方向の略中央にロアサイドカバー28が設けられており、このロアサイドカバー28の上端縁部28pが車体前後方向に略水平な線分を形成している。この上端縁部28pは、その前部側においては、フロントカバー21のフロント側面下縁部21uと重なるように形成されている。一方、上端縁部28pの後方側においては、サイドカバー27のサイド側面下縁部27uと重なるように形成されている。このように、フロント側面下縁部21uおよびサイド側面下縁部27uと上端縁部28pとが重なるようにして車体前後方向に形成された一本の線分は、車体の外観形状を強調した構成としている。
また、フロントカバー21のフロント側面下縁部21uは、前述のごとく、車体側面視において車体前後方向に延びているだけでなく、図1および図2に示すように、フロントフェンダ63のフェンダ側面下縁部63uと略同一の高さに形成されている。この結果、フロントカバー21のフロント側面下縁部21uとフロントフェンダ63のフェンダ側面下縁部63uとが略連続した線分を形成し、更にロアサイドカバー28の上端縁部28pに連続する線分として車体後方に延びている。つまり,X−X線とY−Y線が略連続して形成される。
なお、フロント側面下縁部21uとフェンダ側面下縁部63uとは、拡大図である図2においては、若干のズレを有していても、全体的な側面視においては、図1に示すように、車体最先端部から始まるフェンダ側面下縁部63uとフロント側面下縁部21uとは、連続する線分として認識できる形状である。また、フロントフォーク17の伸縮によって、フェンダ側面下縁部63uによって形成される線分X−Xがフロント側面下縁部21uによって形成される線分Y−Yをまたぐように移動するので、乗員が乗車シート12に座った際に、X−X線とY−Y線をより近づけることができる形状である。また、アンダサイドカバー24の前部上端部24pは、フロント側面下縁部21uと所定距離L1はなれた位置まで上方へ延出されている。そして、この前部上端部24pとフロント側面下縁部21uとの上下位置の間に、フェンダ側面下縁部63uが位置している。
以下、図3〜図9を参照して、フロントロアカバー30について詳細に説明する。
フロントロアカバー30は、図3に示すように、フロントカバー21の下部で前輪18の上部側方から後方に配置されている。このフロントロアカバー30は、前輪18の旋回を許容するように車体方向を向かって凹む湾曲面にて形成される対向面30a(図4参照)を備えている。また、フロントロアカバー30は、両側面の前縁部30f(図4参照)がアンダサイドカバー24の前縁24fに接続され、後端縁37eが、アンダカバー25の前端縁25fに接続されている。
フロントロアカバー30は、図4および図5に示すように、前輪18に対向する対向面30aを車体前方に膨出する膨出部34が設けられており、また、膨出部34の左右両側には、膨出部34よりも車体後方に湾曲面をもって膨らむ後部壁35,35を有している。さらに、この後部壁35,35から車体前方へ連続する前方上側部31,31が設けられている。この前方上側部31,31は、その先端側の内面(対向面30a)を車体下方に向けて若干捻れた壁面として形成されている。
また、膨出部34は、ヘッドパイプ15から車体下方に向かって延びるメインフレーム51に沿うように車体前方に膨出している。この膨出部34は、メインフレーム51の傾斜に対応して、上端部分が最も車体前方に突出し、下に行くに従って車体後方に後退する傾斜面構造となっている。
また、フロントロアカバー30の下部側には、車両前方かつ下方に向かって膨らむ湾曲部36を備えている。この湾曲部36から車体後方に向かって略水平に延びる底面部37が形成されている。さらに、湾曲部36は、底面視において、車幅方向の中央部分が車体後方に位置するような湾曲形状に形成されている。
また、フロントロアカバー30は、正面視では、図3に示すように、左右の前縁部30f,30fを、下方に向かうにしたがって間隔を狭めるように形成されている。さらに、側面視では、前縁部30fが車両後方に向かって膨らむ湾曲形状で、かつ下端には水平に延出する底面部37を備えた略三角形状(図1参照)である。また、湾曲部36を含む対向面30aから底面部37にかけて車幅外側よりも車幅中央側が車体後方に凹む凹部38が形成されている。
このように形成されたフロントロアカバー30は、前輪18周辺において前方から受ける走行風fwを、車体下部に効果的に導くことができる。
なお、本実施形態においては、フロントロアカバー30の固定は、複数の孔30h,41hへの固定部材80,80a,80bによる締め付けにより、適宜固定される。
また、本実施形態におけるフロントロアカバー30の左右の前縁部30fには、フロントカバー21のフロント側面下縁部21uとアンダサイドカバー24の前部上端部24pとの間にボディカバー20の外側面に露出するように張り出した張出部40が形成されている。この張出部40は、図4に示すように、車体前方へ向かって凸状に湾曲している張出本体部40aを有している。また、張出本体部40aは、前縁部30fから車体後方に向かって徐々に膨らむように突出している。すなわち、図8に示すように、水平断面形状において、車体前方へ向かって尖るような形状に形成されている。
本実施形態においては、ステップフロア23は、車体外側に略水平に張り出し且つ車体前後方向に延びる足置き部23bを有し、この足置き部23bから車体上方へ立ち上がるようにしてロアサイドカバー28を形成している。そして、このロアサイドカバー28が、張出部40に連なるように形成されている。すなわち、ロアサイドカバー28の前端縁部28fと張出部40の後端縁部40rとが、連なって略同一のボディカバー外表面を形成するように接続されている。
本実施形態においては、張出部40の外表面40sは、フロントカバー21およびアンダサイドカバー24に対して、車幅方向に段差を有して凹むように形成されている。すなわち、張出部40の外表面40sは、図3及び図6に示すように、車体前方から見たときに、フロントカバー21のフロント側面下縁部21uおよびアンダサイドカバー24の前部上端部24pよりも車体中央側に凹んだ形状となっている。
本実施形態における張出部40の係合構造について、図7〜図9を参照して説明する。
本実施形態の張出部40は、図7に示すように、露出部分として形成された張出本体部40aの上部側、下部側および側部側に係止部41,42,43を三箇所備えている。
第1の係合構造としては、上部の係止部41に、ビス孔41hが上下方向に向けて設けられている。そして、このビス孔41hに取り付けネジ80aがねじ込まれている。したがって、フロントロアカバー30の張出部40とロアサイドカバー28(図9参照)とが連結される。
第2の係合構造としては、下部の係止部42に、略矩形状の係合孔42hが略水平後方に開口されている。そして、この係合孔42hにアンダサイドカバー24の内側に設けられた係合突起24cが差し込まれる(図8参照)。この係合突起24cと係合孔42hとを係合させた状態で、アンダサイドカバー24とフロントロアカバー30とが取り付けネジ80bを介して連結される。
第3の係合構造としては、側部の係止部43に、図7に示すように、所定間隔を空けた2つの突片40cが張出部40の後端縁部40rの張出部内側40iに車両後方に向いて延出されている。また、この2つの突片40cの間で張出部内側40iには、凹部40dが形成されている。
一方、ロアサイドカバー28には、側部の係止部43に対応する係合構造が設けられている。詳細には、ロアサイドカバー28の前端縁部28fの内側28iに、2つの突片40c間に位置する前端部突片28cが設けられている。すなわち、前端部突片28cは、その先端部分を張出部内側40iから凹部40dに係合するように対応する。したがって、張出部40とロアサイドカバー28は、互いの内側に突片40cおよび前端部突片28cが突出するように係合する。これによって、張出部40の後端縁部40rとロアサイドカバー28の前端縁部28fとが引っかかるように係止される。この結果、張出部40の外表面40sとロアサイドカバー外表面28sと同一面を成すように連なるように接続することができる。
また、本実施形態においては、車高方向において締結された第1の係合構造に対して、第2の係合構造が車幅方向に締結されている。このように、締結向きが交差するようになっていることで、フロントロアカバー30を強固に支持できる。
また、本実施形態では、フロントロアカバー30、ロアサイドカバー28およびアンダサイドカバー24の係合部を張出部40に集中的させた構造となっている。このように複数の係合部を張出部40に集めることで、その支持向きも複数方向にでき、張出部40を介したフロントロアカバー30の支持をより強くできる。
本実施形態の自動二輪車1の走行によって、フロントカバー21および前輪18の領域を流れる走行風は、基本的には、ボディカバー20表面を、車体前方から後方に向かって流れる。ここで、例えば、ボディ下部側では、前輪18の周囲を流れる走行風fwが、フロントロアカバー30の内側に沿って流れる走行風fwと、ボディ側部に沿って流れる走行風fwsが生じる。
フロントロアカバー30の内側の走行風fwは、例えば、図4および図5に示すように、前輪18の上方および左右両側からフロントロアカバー30に当たるように流れ、フロントロアカバー30の対向面30aに沿ってボディ下部へ流れる。
また、前輪18の側方を流れてボディカバー20の側部を流れる走行風fwsの一部は、図3および図6に示すように、張出部40の表面を流れて後方に導かれる。この走行風fwsに対して、張出部40は、車体前方へ向かって尖るように形成されている(図8参照)ことで、走行風fwsの抵抗は小さい。また、張出部40は、その上側のフロントカバー21および下側のアンダサイドカバー24の間に位置して段差のある凹状(図6参照)に形成されていることから、走行風fwsを、張出部40の表面を通過させて後方へ導きロアサイドカバー28に沿って流れる走行風を形成する。
また、本実施形態においては、張出部40およびロアサイドカバー28は、フロントカバー21と異なる色彩に形成されている。また、張出部40およびロアサイドカバー28は、アンダサイドカバー24に対しても、異なった色彩で形成されている。
また、張出部40およびロアサイドカバー28は、フロントカバー21とアンダサイドカバー24に対してその色彩を積極的に変えなくても、単に材質を変える構成でも色彩を変えた場合と同様にボディカバー20の表面部材を認識し易くできる。
以上説明したように、本実施形態の自動二輪車のボディカバー構造によれば、車体側面視において、フロント側面下縁部21uによって形成される線分Y−Yと、フロントフェンダ63のフェンダ側面下縁部63uによって形成される線分X−Xとを略同一の線分として形成されている。したがって、ボディカバー20の外装部分にフロントフェンダ63も加えることで、車体最先端部から後輪19の近傍までの前後に長い連続したボディ形状のライン線分を形成することができる。この結果、ボディカバー20の車体後方側の側面から車体最先端まで連続的な強調ラインを表現することができるので、従来にはない車体前後方向に長い強調ラインを形成でき車体形状の独自性を持たせることができる。
また、アンダサイドカバー24の前部上端部24pが、フロント側面下縁部21uと所定距離L1はなれた位置まで上方へ延出されていることで、フェンダ側面下縁部63uとフロント側面下縁部21uとの線分を車体下方側より強調することができる。
また、本実施形態の自動二輪車のボディカバー構造によれば、フロントロアカバー30に、フロント側面下縁部21uと前部上端部24pとの間に露出してボディカバー外側面に臨む張出部40が形成されているので、従来においては車体側方から見えない部材が露出する。この結果、車体側面視において、フロントカバー21の下方のボディ形状ラインに、従来にはない露出部分が現れることで独自性を更に強調することができる。
また、張出部40が、車体前方へ向かって凸状に湾曲するように形成されることで、走行風を略全面で受けるフロントロアカバー30の剛性を高めることができる。
また、張出部40が、水平断面形状において、車体前方へ向かって尖るように形成されることで、走行風の抵抗を少なくすることができる。
また、本実施形態の自動二輪車のボディカバー構造によれば、ステップフロア23が、足置き部23bから車体上方へ立ち上がるロアサイドカバー28を形成することで、車体側面の略中央の車体前後方向に車体強調アクセントを設けることができる。更に、ロアサイドカバー28の前端縁部28fと張出部40の後端縁部40rとが、連なるように形成されるので、張出部40を有するフロントロアカバー30とロアサイドカバー28とが車体側面において連なってフロント側面下縁部21uに接する1つの線分Y−Yを形成する。この結果、フロント側面下縁部21uを含む車体前後方向の長い線分を認識しやすくでき、車体形状の独自性をより高めることができる。
また、ロアサイドカバー28の前端縁部28fと張出部40の後端縁部40rとが、略同一面に連なるように接続されるので、張出部40から導かれた走行風fwsをロアサイドカバー28経由で車体後方に流動させることができる。したがって、適度な走行風を乗員の膝部に流すことができ、乗車の快適性を向上することができる。
また、本実施形態の自動二輪車のボディカバー構造によれば、張出部40とフロント側面下縁部21uとが段差を有して接しているので、フロント側面下縁部21uの線分Y−Yを更に強調でき、車体形状の独自性をより強調できる。
また、張出部40が、フロントカバー21およびアンダサイドカバー24に対して、車幅方向に段差を有して凹むように形成されているので、走行風fwsを、段差部分を利用して車体後方へ導くことができる。この結果、適度な走行風fwsを乗員の膝部に流すことができ、乗車の快適性を向上することができる。
また、本実施形態の自動二輪車のボディカバー構造によれば、張出部40およびロアサイドカバー28が、フロントカバー21あるいはアンダサイドカバー24に対して異なる材質または色に形成されるので、フロント側面下縁部21uの線分Y−Yを明確にすることができる。よって、フロントカバー21あるいはアンダサイドカバー24をボディカバー20において外観上際立たせることができる。したがって、車両の独自性を線分だけでなく、色彩や色調によって強調してより一層の独自性を持たせることができる。
また、本実施形態の自動二輪車のボディカバー構造によれば、張出部40は、隣接するボディカバー20に対して、係止部41,42,43を介して係止される連結構造を有しているので、張出部40を強固に保持するとともに隣接するアンダサイドカバー24やロアサイドカバー28などのボディカバー20も強固に支持することができる。また、走行風を正面から受けるフロントロアカバー30を、張出部40によって強固に保持することができる。
なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、張出部40の外表面40sは、フロントカバー21およびアンダサイドカバー24に対して、車幅方向に段差を有して凹むように形成されているが、これに限定されず、フロントカバー21およびアンダサイドカバー24の何れか一方に対して凹むように形成されていればよい。
また、上記実施形態においては、張出部40は、アンダサイドカバー24およびロアサイドカバー28との係合構造を備えているが、これに限定されず、張出部40は、隣接するボディカバー20の少なくとも1つに対して係止されていればよい。
1 自動二輪車
10 車体フレーム
10a 車体前部
11 ステアリングハンドル
12 乗車シート
15 ヘッドパイプ
18 前輪
19 後輪
20 ボディカバー
21 フロントカバー
21u フロント側面下縁部
22 インナカバー
23 ステップフロア
23b 足置き部
24 アンダサイドカバー
24p 前部上端部
25 アンダカバー
26 センタカバー
27 サイドカバー
28 ロアサイドカバー
28f 前端縁部
30 フロントロアカバー
40 張出部
40r 後端縁部
40s 外表面
41,42,43 係止部
51 メインフレーム
55 パワーユニット
63 フロントフェンダ
63u フェンダ側面下縁部
fw,fws 走行風
X−X線 フェンダ側面下縁部によって形成される線分
Y−Y線 フロント側面下縁部によって形成される線分

Claims (6)

  1. 前輪(18)の外周を上方から覆うように設けられたフロントフェンダ(63)と、
    ヘッドパイプ(15)の前方から側方にかけて車体前部(10a)を覆うフロントカバー(21)と、
    前記フロントカバー(21)の下方および後方側から乗車シート(12)の下方に配置され、乗員が足を載置するステップフロア(23)と、
    前記ステップフロア(23)の下方および前方の車体側方を覆うアンダサイドカバー(24)と、を有するボディカバー(20)を備える自動二輪車(1)のボディカバー構造において、
    前記フロントカバー(21)のフロント側面下縁部(21u)が、車体前後方向に延び、前記フロントフェンダ(63)のフェンダ側面下縁部(63u)と車体側面視において、連続する線分として認識できるように略同一の高さに形成されるとともに、
    前記アンダサイドカバー(24)の前部上端部(24p)が、前記フロント側面下縁部(21u)と所定距離はなれた位置まで上方へ延出されていることを特徴とする自動二輪車(1)のボディカバー構造。
  2. 前記フロントカバー(21)の下方において、前記前輪(18)の後方の車体前面を覆うフロントロアカバー(30)を有し、
    前記フロントロアカバー(30)には、前記フロント側面下縁部(21u)と前記前部上端部(24p)との間に露出してボディカバー外側面に臨む張出部(40)が形成され、
    前記張出部(40)は、車体前方へ向かって凸状に湾曲することを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車(1)のボディカバー構造。
  3. 前記ステップフロア(23)は、車体前後方向に延びる足置き部(23b)から車体上方へ立ち上がるロアサイドカバー(28)を形成し、
    前記ロアサイドカバー(28)の前端縁部(28f)と張出部(40)の後端縁部(40r)とが、連なるように形成されることを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車(1)のボディカバー構造。
  4. 前記張出部(40)の外表面(40s)は、前記フロントカバー(21)および前記アンダサイドカバー(24)の少なくとも一方に対して、車幅方向に段差を有して凹むように形成されたことを特徴とする請求項2または3に記載の自動二輪車(1)のボディカバー構造。
  5. 前記張出部(40)および前記ロアサイドカバー(28)は、前記フロントカバー(21)あるいは前記アンダサイドカバー(24)に対して異なる材質または色に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の自動二輪車(1)のボディカバー構造。
  6. 前記張出部(40)は、隣接する前記ボディカバー(20)の少なくとも1つに対して、係止部(41,42,43)を介して係止されることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の自動二輪車(1)のボディカバー構造。
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