JP4675735B2 - 鞍乗り型車両の車体後部構造 - Google Patents

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Description

この発明は、自動二輪車等の鞍乗り型車両の車体後部構造に関する。
従来、上記車体後部構造において、テールランプの上方に、例えばキャリアと一体形成されたリアグリップを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−88798号公報
上記従来の車体後部構造においては、キャリアの下面をテールランプの光が照らすこととなるが、キャリアの外周には垂下壁部が形成されているため、該壁部にキャリア下面におけるテールランプの反射光が遮られて後方への配光が制限される。また、前記キャリアの下面にリブ形成により凹凸があるため、テールランプの光が乱反射して後方への配光自体が少ない。なお、前記壁部の下縁部においてテールランプの光が反射するが、その反射面は壁部の板厚程度であり、後方へ配光するというほどのものではない。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、テールランプの上方にリアグリップを備えた鞍乗り型車両の車体後部構造において、リアグリップを照らすテールランプの光を有効利用してその視認性をさらに向上させることを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車体後部に設けられるテールランプ(52)と、該テールランプ(52)の上方に設けられるリアグリップ(61)とを備えた鞍乗り型車両(1)の車体後部構造において、前記リアグリップ(61)は、その下面(64)を連続させる平面部(65)を有し、該平面部(65)に、前記テールランプ(52)に対向すると共に該テールランプ(52)からの光を後方へ反射する反射部(65a)を設け、前記リアグリップ(61)における前記テールランプ(52)寄りの部位に、該テールランプ(52)の光の後方への反射を抑える後方反射抑制部(66)を設け、前記後方反射抑制部(66)は、前記テールランプ(52)と反射部(65a)との間に配置されることを特徴とする。なお、前記鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含む概念であり、二輪のみならず三輪又は四輪の車両を含み、かつ低床の足載せ部を有するスクータ型車両をも含む概念である。
請求項2に記載した発明は、前記後方反射抑制部(66)は、前記平面部(65)における前記テールランプ(52)寄りの部位に、少なくとも前記テールランプ(52)の左右幅に渡って左右方向に延在することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記後方反射抑制部(66)は、所定深さを有する溝状の凹部からなることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記下面(64)は、前記リアグリップ(61)の外縁側ほど上方に位置するように傾斜することを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記反射部(65a)は、前記下面(64)における車幅方向中央部を含む所定の領域に形成されることを特徴とする。
この発明によれば、テールランプ上方の反射部により後方へ反射された光が、あたかもハイマウントストップランプによる配光と同様の役割を果たすことで、テールランプの視認性をさらに向上させた上で、別途ハイマウントストップランプを設ける必要性をなくし、車体後部のコストダウンを図ることができる。
この発明によれば、テールランプと反射部との間に後方反射抑制部が配置されることで、テールランプからの直接光と反射部からの反射光とを分離させて視認性をより一層向上させることができる。
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
図1,2に示すように、自動二輪車(鞍乗り型車両)1の前輪2は、左右一対のフロントフォーク3の下端部に軸支される。各フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して車体フレーム6前端部のヘッドパイプ7に操舵可能に枢支される。ステアリングステム4の上部には、前輪転舵用のハンドル5がハンドルバー5aを介して取り付けられる。ヘッドパイプ7の上部からは、左右一対のメインチューブ8が斜め下後方に延びる。ヘッドパイプ7の下部からは、左右一対のダウンチューブ9がメインチューブ8よりも急傾斜をなして斜め下後方に延びる。メインチューブ8及びダウンチューブ9の前部間は、これらに渡るガセットパイプ14を介して結合される。
車体フレーム6の前後中間部には、左右非対称のピボットプレート11が設けられる。左ピボットプレート11は上下に長く、その上部が斜め上前方に湾曲して左メインチューブ8の後端部に接続される。一方、右ピボットプレート11は上下に短く、その上部がこれに向かって延びる右メインチューブ8の後端部に接続される。また、左右ピボットプレート11の下部には、左右ダウンチューブ9の後端部が接続される。これにより、ダブルクレードル型のメインフレーム部12が構成される。このようなメインフレーム部12と、該メインフレーム部12の後部から後方に延びるシートフレーム部13とを主に、自動二輪車1の車体フレーム6が構成される。
ピボットプレート11は、スイングアーム15の前端部を揺動可能に枢支する。スイングアーム15は、その前端部(基端部)から車体左側にオフセットした一本のアーム16を後方に延出し、該アーム16の後端部(先端部)で後輪17を軸支する片持ち式のものとされる。アーム16は中空とされ、その内部には不図示のドライブシャフトが挿通される。アーム16の後端部はファイナルギヤケース18とされ、該ファイナルギヤケース18内にて前記ドライブシャフトと後輪17とがベベルギヤを介して連係する。アーム16の前後中間部と左ピボットプレート11上部のクッション支持部11aとの間には、リアクッションユニット19が配設される。
メインフレーム部12の内側には、車幅方向(左右方向)と平行なクランク軸を有するエンジン21が搭載される。エンジン21は、クランクケース22上に前傾シリンダ23及び後傾シリンダ24を立設させた狭角V型二気筒エンジンとされる。クランクケース22の後部には変速機ケース25が連設され、該変速機ケース25左側の出力部にて前記ドライブシャフトとエンジン21とがベベルギヤを介して連係する。これにより、ドライブシャフトを介してエンジン21と後輪17との間の動力伝達が可能となる。
両シリンダ23.24のバンク間には、各シリンダ23,24に対応するスロットルボディ26が配設される。各スロットルボディ26の下流側は、前傾シリンダヘッド23aの後部あるいは後傾シリンダヘッド24aの前部の吸気ポートに接続され、各スロットルボディ26の上流側は、前傾シリンダ23の上方に位置するエアクリーナボックス27に接続される。
前傾シリンダヘッド23aの前部及び後傾シリンダヘッド24aの後部における排気ポートからは、それぞれ排気管29が導出される。各排気管29はエンジン21右側に取り回されて一本に集合し、後方に延びた後に車体後部右側のサイレンサ29aに接続される。サイレンサ29aは概ね前後方向に沿って延在し、かつ車体側面視で前記スイングアーム15と概ね重なるように設けられる。
シートフレーム部13は、メインフレーム部12の後部上側から後方に延びる左右のアッパシートレール31と、メインフレーム部12の後部下側から斜め上後方に延びる左右のロアシートレール32とを主としてなる。各シートレール31,32の後端部は、車体後端部にて互いに合流して結合される。各シートレール31,32の長手方向中間部は、これらに渡るリアガセットパイプ33を介して結合される。
シートフレーム部13の前部及び後部には、運転者用の前部シート34及び後部搭乗者用の後部シート35がそれぞれ支持される。前部シート34の着座位置は比較的低く設定され、該前部シート34における後部シート35との段差部分にはバックレスト34aが配置される。前部シート34の前端部両側は、メインチューブ8の上縁に沿うように前方に延出している。車体前部両側には、車体側面視でクランクケース22及びダウンチューブ9を横断するように運転者用のステップボード36が設けられる。
自動二輪車1の燃料タンクは、前部シート34の前方に位置する上段燃料タンク37aと、前部シート34の下方かつ右側に偏倚した部位に位置する下段燃料タンク37bとに分割構成される。上段燃料タンク37aは、前部シート34に着座した運転者の両膝間に配置され、下段燃料タンク37bは、アッパシートレール31の前部とロアシートレール32の前部との間に配置される。なお、図中符号38は左右ダウンチューブ9の前縁間に渡るラジエータを、符号39は車体を左側に傾けた状態で支持する可倒式のサイドスタンドを示す。
自動二輪車1の車体には、樹脂製部品を主とする車体カバーが取り付けられる。車体カバーは、ヘッドパイプ7の前方から両側方に渡る範囲を覆うフロントカウル41と、フロントカウル41の後方に連なりエアクリーナボックス27及び上段燃料タンク37aを覆うタンクカバー42と、フロントカウル41の下部両側から下方に延びてダウンチューブ9及びラジエータ38等を覆うフロントサイドカバー43と、エンジン21の下部、排気管29、及びサイレンサ29a等を覆うアンダーカバー44と、車体後部両側を覆うリアサイドカバー45とを主としてなる。
図3,4に示すように、左右リアサイドカバー45の後端部間には、テールランプ52及び左右のリアウインカ53を一体的に設けてなるリアコンビランプ51が配設される。
リアコンビランプ51は、車幅方向中央部に位置する横長のテールランプ52の両側に、さらに左右のリアウインカ53を一体的に設けてなる。なお、テールランプ52は、尾灯及び制動灯として機能するものである。テールランプ52のレンズ54は左右方向に延在し、このレンズ54の両側に連なる左右リアウインカ53のレンズ55が、リアサイドカバー45の後端部両側に沿うように斜め前外側に延出する。各レンズ54,55は、その断面において、レンズ面の上下中間部を頂部として車体外側に突出する凸形状をなしている。なお、左右リアサイドカバー45の後端部下方にはリアフェンダ45aが配設される。
また、左右リアサイドカバー45の後端部上方(リアコンビランプ51の上方)には、乗員が把持可能なリアグリップ61が配設される。リアグリップ61は、例えば樹脂製若しくはアルミダイキャスト製のもので、後部シート35の直ぐ後方において左右リアサイドカバー45間に跨るように配される。このリアグリップ61が、その下端をリアサイドカバー45の上面及びリアコンビランプ51の上面に当接させた状態で、リアサイドカバー45内のシートフレーム部13にボルト等により結合、固定される。
図5を併せて参照して説明すると、リアグリップ61の両側部からは、それぞれ車両前方に向けてサイドグリップ62が一体に延出する。両サイドグリップ62は、後部シート35の直ぐ側方において前後に延在するように配されるもので、前側ほど相互間の距離を広げるように上面視でやや傾斜して配されると共に、側面視ではその前部の上下厚さを減少させつつやや前下がりに傾斜するように設けられる。両サイドグリップ62の前部は、その下端をリアサイドカバー45の上面に当接させた状態で、リアサイドカバー45内のシートフレーム部13にボルト等により結合、固定される。両サイドグリップ62の前後中間部は、リアサイドカバー45及び後部シート35との間に握り込み用の空間を形成している。
リアグリップ61の上面63は、後部シート35の上面と概ね連続するように設けられる。リアグリップ61の前縁部は、後部シート35の後縁部に沿うべく左右方向と略平行に設けられ、リアグリップ61の後縁部は、その左右中央部を頂部とした後方に凸の湾曲形状をなすように設けられる。リアグリップ61の上面63側には、その左右中央部及び両側部に上方に凸の緩やかな山形をなす中央及び左右突部63a,63bが形成されており、後部搭乗者がリアグリップ61上に手を乗せた際には、その手を各突部63a,63b間に落とし込ませてグリップし易くしている。
リアグリップ61における車両外観の一部を構成する外面は、前記上面63及びその外縁から斜め下内側に延びる下面64を主としてなる。これら上下面63,64が交わる稜線(上下面63,64の外縁)Rは、リアグリップ61の上面視における外周形状を形成する。換言すれば、上下面63,64は、それぞれリアグリップ61の上面視における外縁に至るように設けられる。リアグリップ61の上面視における外縁は、リアコンビランプ51の上面視における外周形状よりも外側においてこれに沿うように設けられる。
リアグリップ61の下面64は、その外縁側ほど上方に位置するように傾斜しており、この下面64がリアグリップ61の左右全幅に渡って所定幅をもって形成される。以下、リアグリップ61における下面64を形成する部位を平面部65として説明するが、下面64は概ね平坦な曲面である。すなわち、平面部65とは、所定広さを有する凹凸の無い平らな面を形成する部位の意であり、平面状であることはもちろん、多角状あるいは段差状であることも有り得る。
ここで、リアコンビランプ51のテールランプ52のレンズ54において、前記凸形状断面の頂部(上下中間部)よりも上方に位置する部位は、テールランプ52のバルブ光を上方にも配光可能な上部レンズ54aとして構成される。
上部レンズ54aの上方には、これに覆い被さるようにリアグリップ61の後部が後方に張り出している。すなわち、上部レンズ54aとリアグリップ61の後部とは、上面視で重なるように、換言すれば上下方向で対向するように設けられる。これにより、上部レンズ54aの上方には、リアグリップ61における後上がりに傾斜する下面64が位置している。
この下面64における車幅方向内側の領域(上部レンズ54aと対向する領域)は、塗装、メッキ、あるいは鏡面仕上げ等が施されることで、上部レンズ54aにより上方に配光されたテールランプ52の光を車両後方へ反射可能な反射面64aとして構成される。これにより、テールランプ52の光は、レンズ54から直接配光されると共に、リアグリップ61の下面64において車両後方に向けて反射(配光)される。換言すれば、平面部65における所定範囲が、テールランプ52からの光を車両後方へ反射する反射面64aを形成する反射部65aとされる。
平面部65におけるリアコンビランプ51寄りの部位(上部レンズ54aに近接する部位)には、所定深さを有する溝状の凹部(後方反射抑制部)66が形成される。凹部66は、少なくとも上部レンズ54aの左右幅に渡って左右方向に延在するもので、例えばリアグリップ61におけるレンズ上面に面する下端と下面64との稜線部分を断面円弧状に凹ませてなる。この凹部66は、上部レンズ54aからのバルブ光を後方へ反射させない(換言すれば、上部レンズ54aからのバルブ光の後方への反射を抑制する)ものである。これにより、車体後部を後方から見ると、テールランプ52のレンズ54の発光とリアグリップ61の下面64における反射による発光とが、上下に分離して見える。
また、凹部66は、リアグリップ61上に乗せた手の指掛かり部としても機能する。すなわち、後部搭乗者がリアグリップ61上に手を乗せた状態で該リアグリップ61を握り込んだ際には、その指先が凹部66内に掛かるようになっており、リアグリップ61の把持性をさらに向上させている。なお、リアグリップ61の上面63と後部シート35の上面とが概ね連続することで、後部シート35及びリアグリップ61上に乗せた荷物が安定し易くなっている。
以上説明したように、上記実施例における車体後部構造は、車体後部に設けられるテールランプ52と、該テールランプ52の上方に設けられるリアグリップ61とを備えた自動二輪車1に適用されるものであって、リアグリップ61は、その下面64を連続させる平面部65を有し、該平面部65に、テールランプ52に対向すると共に該テールランプ52からの光を後方へ反射する反射部65aを設けたものである。
この構成によれば、テールランプ52上方の反射部65aにより後方へ反射された光が、あたかもハイマウントストップランプによる配光と同様の役割を果たすことで、テールランプ52の視認性をさらに向上させた上で、別途ハイマウントストップランプを設ける必要性をなくし、車体後部のコストダウンを図ることができる。
また、上記車体後部構造においては、リアグリップ61におけるテールランプ52寄りの部位に、該テールランプ52の光の後方への反射を抑える凹部66を設けたことで、テールランプ52と反射部65aとの間に凹部66が配置されることとなり、テールランプ52からの直接光と反射部65aからの反射光とを分離させて視認性をより一層向上させることができる。
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、リアグリップ61は、リアキャリアとしての機能を有するもの、あるいはリアキャリアと一体型のものであってもよい。また、上部レンズ54aからのバルブ光の後方への反射を抑制するものとして、凹部66ではなく凸部としたり、シボやローレットあるいは艶消し加工等により反射自体を抑えた構成としてもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、三輪又は四輪の車両、あるいはスクータ型車両にも適用できることはもちろん、に該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
この発明の実施例における自動二輪車の左側面図である。 上記自動二輪車の右側面図である。 上記自動二輪車の車体後部の左側面図である。 上記車体後部の後面図である。 上記車体後部の上面図である。
符号の説明
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
52 テールランプ
61 リアグリップ
64 下面
65 平面部
65a 反射部
66 凹部(後方反射抑制部)

Claims (5)

  1. 車体後部に設けられるテールランプ(52)と、該テールランプ(52)の上方に設けられるリアグリップ(61)とを備えた鞍乗り型車両(1)の車体後部構造において、
    前記リアグリップ(61)は、その下面(64)を連続させる平面部(65)を有し、該平面部(65)に、前記テールランプ(52)に対向すると共に該テールランプ(52)からの光を後方へ反射する反射部(65a)を設け
    前記リアグリップ(61)における前記テールランプ(52)寄りの部位に、該テールランプ(52)の光の後方への反射を抑える後方反射抑制部(66)を設け、
    前記後方反射抑制部(66)は、前記テールランプ(52)と反射部(65a)との間に配置されることを特徴とする鞍乗り型車両の車体後部構造。
  2. 前記後方反射抑制部(66)は、前記平面部(65)における前記テールランプ(52)寄りの部位に、少なくとも前記テールランプ(52)の左右幅に渡って左右方向に延在することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の車体後部構造。
  3. 前記後方反射抑制部(66)は、所定深さを有する溝状の凹部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両の車体後部構造。
  4. 前記下面(64)は、前記リアグリップ(61)の外縁側ほど上方に位置するように傾斜することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の鞍乗り型車両の車体後部構造。
  5. 前記反射部(65a)は、前記下面(64)における車幅方向中央部を含む所定の領域に形成されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の鞍乗り型車両の車体後部構造。
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