JP5997055B2 - 分散剤,分散体,分散体の粘度の調整方法,可動装置,表面処理剤,電解液,セパレータ,およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

分散剤,分散体,分散体の粘度の調整方法,可動装置,表面処理剤,電解液,セパレータ,およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本国際出願は,2011年1月21日に日本国特許庁を受理官庁として出願された国際出願PCT/JP2011/51129、および2011年7月15日に日本国特許庁を受理官庁として出願された国際出願PCT/JP2011/66250に基づく優先権を主張するものであり,国際出願PCT/JP2011/51129、および国際出願PCT/JP2011/66250の全内容を参照により本国際出願に援用する。
本発明は、結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体に添加して用いられる分散剤、当該分散剤が添加された分散体,分散体の粘度の調整方法,可動装置,およびリチウムイオン二次電池のセパレータに用いる表面処理剤に関する。
結晶性高分子微粒子を分散媒に分散させた分散体は、塗料,インキ,化粧品,潤滑剤,工業用オイルなどの用途で利用されているが、結晶性高分子微粒子の配合量を大きくすると、分散体の粘度が急激に上昇して取り扱いが困難になる場合があった。また最近では廃プラスチックの再エネルギー化のためにポリエチレンなどを微分散させて燃料化する取組みが行われているが、ポリエチレンなどの微粒子の配合量を大きくすると分散体の粘度が上昇してしまい分散体を使用しにくくなるため、分散体の濃度を高められずエネルギー効率を高めることが難しいという問題があった。
結晶性高分子からなる微粒子の分散体に関する分散剤として、ポリ乳酸の微粒子の分散剤として利用できるものが提案されている(特許文献1参照)。また、PTFE微粒子分散体に利用できる分散剤についても提案されている(特許文献2参照)。
ところで、ダンパやクラッチなどの可動装置に用いられる工業用オイルはその粘度が調整されている必要があるが、電気粘性流体や磁性粘性流体を用いることで粘度を制御を実現しているものがある(例えば特許文献3参照)。
ところで近年、携帯電話、パソコン、ビデオカメラなどの電子機器の駆動用電源として小型・軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要望が高まっているが、中でもリチウム含有複合酸化物を正極活物質とし、リチウムイオンを吸蔵および放出することができる炭素材料やシリコン化合物、スズ化合物等を負極材料とし、正極と負極との間に介在するセパレータにポリエチレンやポリプロピレンなどからなる微多孔膜を用い、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩を溶解した非プロトン性の有機溶媒を電解液とするリチウムイオン二次電池(例えば特許文献4参照)は、高電圧で高エネルギー密度を得られるために広く利用されている。
特開2009−056444号公報 特開2010−90338号公報 特許第4017746号公報 特開2001−283811号公報
上記特許文献1の分散剤は、ポリ乳酸の3μm以下の微粒子分散体の分散安定のみに利用できるものであり、ポリ乳酸微粒子分散体やその他の微粒子分散体の粘度低下や粘度調整に用いるものではなかった。また、分散体の調整自体も溶媒置換などの工程が必要であり、簡便に利用できる手法ではなかった。
また、特許文献2の分散剤は、高粘度分散体を低粘度化する用途には適用されておらず、汎用性も低いものであった。
このように、従来、結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体の粘度低下や粘度調整ができる分散剤は存在しなかった。
また、電気粘性流体や磁性粘性流体を用いた装置は、複雑な制御を実行するための機構を設ける必要があり、また特許文献3に記載されているように感電を防止できる構成とする必要があった。
セパレータはポリエチレンやポリプロピレンなどの極性の弱い材料で製造されており、極性溶液であるエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの濡れ性は悪い。そのため、多孔質であるセパレータの内部まで溶液が浸透しにくく、正負電極間の電気抵抗が上昇して性能が向上しなかったり、電解液がセパレータに浸透するように吸引するなどの特殊な製造工程が必要となるといった問題があった。
また、リチウムイオン二次電池では、電池の過充放電による電池温度の急激な上昇とそれに伴う発火を防ぐために、多孔構造が熱により融解・閉塞する、いわゆるシャットダウン機構を発揮する結晶性高分子多孔膜をセパレータとして用いている。しかし、セパレータの多孔構造が融解・閉塞すると電池として利用できなくなってしまう。またシャットダウンによる電気回路遮断に伴う温度低下により、融解したセパレータの高分子が再結晶化し、断面積の収縮が起こるために、正極と負極の短絡が生じることにより熱暴走・発火が起こる危険性が指摘されている。このために、過充放電を防止する電気回路を別途設けるなどの煩雑な処理がなされている。
本発明の目的は、分散体の粘度を良好に低下させることができる新規な分散剤、当該分散剤が添加された分散体、および当該分散体の粘度調整方法を提案することである。
また本発明の他の目的は、上記分散体を利用した可動装置を提案することである。
また本発明の他の目的は、リチウムイオン二次電池のセパレータの濡れ性を向上できる表面処理剤、その表面処理剤により表面処理されたセパレータ、その表面処理剤が添加された電解液、それらセパレータまたは電解液を有するリチウムイオン二次電池を提案することである。
また本発明の他の目的は、リチウムイオン二次電池の構造の簡素化および危険な温度上昇を抑制できるセパレータの表面処理剤、その表面処理剤により表面処理されたセパレータ、その表面処理剤が添加された電解液、それらセパレータまたは電解液を有するリチウムイオン二次電池を提案することである。
本発明の第1局面の分散剤は、結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体に添加して用いられる分散剤であって、第1のモノマーと、第2のモノマーと、の共重合体を含み、前記第1のモノマーは、前記分散質と同一の分子構造を有するポリマーとして結晶化可能なモノマーであることを特徴とする分散剤である。
このように構成された分散剤は、第1のモノマーが結晶化してなるポリマーと同一の分子構造を有する結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体の粘度を著しく低下させることができる。
上述した第1のモノマーとしては、本発明の第2局面の分散剤のように、次に示す(A)〜(D)からなる群より選ばれるいずれか1種以上とすることができる。
(A)エチレン
(B)側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有する、(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,ビニルエーテル,ビニルエステル,シロキサン,α−オレフィン,置換スチレンのいずれか
(C)側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有しており少なくとも一部がフッ素に置換された、(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,ビニルエーテル,ビニルエステル,シロキサン,α−オレフィン,置換スチレンのいずれか
(D)ポリプロピレン
また、上述した第2のモノマーとしては、本発明の第3局面のように、次に示す(E)〜(N)からなる群より選ばれるいずれか1種以上とすることができる。
(E)炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(F)分岐状のアルキル基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(G)アリール基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミドのいずれか
(H)オキシエチレン構造またはオキシプロピレン構造を有する,(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(I)スチレン
(J)アクリル酸
(K)メタクリル酸
(L)酢酸ビニル
(M)側鎖にジメチルシロキサンを有する(メタ)アクリレート
(N)側鎖にフッ素化アルキルを有する(メタ)アクリレート
本発明の第4局面の分散剤は、第1局面から第3局面のいずれかの分散剤において、第1のモノマーと第2のモノマーとの共重合体がブロック共重合体であることを特徴とする。もちろん、第4局面の分散剤とは異なる態様として、第1のモノマーと第2のモノマーとの共重合体はランダム共重合体や、トリブロック共重合体であってもよい。
本発明の第5局面の分散剤は、第1局面から第4局面のいずれかの分散剤において、ポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子からなる微粒子を分散質とする分散体に対して用いられることを特徴とする。
その場合、本発明の第6局面の分散剤のように、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、またはエチレンとしてもよく、また第2のモノマーを、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,のいずれか、あるいは、酢酸ビニルとしてもよい。
さらに、本発明の第7局面の分散剤のように、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が12個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしてもよい。
また、本発明の第8局面の分散剤は、第1局面から第4局面のいずれかの分散剤において、ポリフルオロエチレン系の結晶性高分子からなる微粒子を分散質とする分散体に対して用いられることを特徴とする。
その場合、本発明の第9局面の分散剤のように、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有しており少なくとも一部がフッ素に置換された(メタ)アクリレート、またはエチレンとしてもよく、また第2のモノマーを、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,のいずれかとしてもよい。
本発明の第10局面の分散剤は、第1局面から第9局面のいずれかの分散剤において、当該分散剤が添加された分散体の温度上昇に伴って可逆的に当該分散体の粘度を上昇させることを特徴とする。
本発明の第11局面の分散体は、結晶性高分子からなる微粒子と、第1局面から第4局面のいずれかの分散剤と、分散媒と、からなる分散体である。
本発明の第12局面の分散体は、ポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子からなる微粒子と、第5局面から第7局面のいずれかの分散剤と、分散媒と、からなる分散体である。
本発明の第13局面の分散体は、ポリフルオロエチレン系の結晶性高分子からなる微粒子と、第8局面または第9局面の分散剤と、分散媒と、からなる分散体である。
上記第11局面から第13局面の分散体は、分散剤を添加しない場合の分散体と比較して非常に粘度を低くすることができる。
本発明の第14局面の分散体の粘度の調整方法は、本発明の第11局面から第13局面のいずれかの分散体の温度を上昇させることにより粘度を上昇させる、あるいは、前記分散体の温度を低下させることにより粘度を低下させることを特徴とする分散体の粘度の調整方法である。本発明の分散剤が添加された分散体は、温度を上昇させると粘度が上昇し、温度を低下させると粘度が低下する。また、上記分散体は、分散剤の組成によって予め定まる一定の温度範囲で急激に粘度が変化する。よって、分散体の温度を変化させることで、容易に分散体の粘度の調整を行うことができる。
本発明の第15局面の分散剤は、上述した(A)〜(D)からなる群より選ばれるいずれか1種以上である第1のモノマーと、上述した(E)〜(N)からなる群より選ばれるいずれか1種以上である第2のモノマーと、の共重合体を含有することを特徴とする分散剤である。
本発明の第16局面の可動装置は、流体を充填可能なハウジングと、少なくとも一部が前記ハウジングの内部に配設され、前記一部とは異なる部分が前記ハウジング外部に配設され、所定の動作が可能となるように前記ハウジングに保持される可動部材と、前記ハウジングに充填される、本発明の第11局面から第13局面のいずれかの分散体と、を備えることを特徴とする可動装置である。
このような可動装置は第11局面から第13局面のいずれかの分散体を利用することができる。そして、電気粘性流体や磁気粘性流体を用いた可動装置のように複雑な制御機構を設ける必要がなく、高電圧を発生する必要がないため感電などの危険が小さい。
また、上記分散体の特性を生かした動作特性を得ることができる。例えば、上記分散体は温度を上昇させると粘度が上昇するという特性を有するため、可動装置に用いられる分散体の温度を調整することで、粘度を変化させ、可動装置の動作特性を変化させることができる。
なお、可動部材の所定の動作とは、例えば、直線方向の動作、即ち往復運動のような動作や、所定の軸を中心とした回転などの動作が考えられるが、それ以外の動作であってもよく、例えばリンク機構を利用した複雑な動作であってもよい。どのような動作であっても、その動作の特性がハウジングに充填される分散体の粘度によって変化するものであればよい。
本発明の第17局面の可動装置は、第16局面の可動装置において、前記ハウジングが筒状に形成されており、前記可動部材が、前記ハウジングの軸方向に摺動自在に当該ハウジングに内嵌し、当該ハウジングを第1流体室と第2流体室に区画する区画部と、前記区画部に連結され、前記ハウジングの端部の壁面を貫通して前記ハウジングの外部に突出する突出部と、前記区画部に設けられ、前記第1流体室と前記第2流体室とを連通させるオリフィスと、を備えることを特徴とする。
このような可動装置は、いわゆるダンパとして用いることができる。
本発明の第18局面の可動装置は、第16局面の可動装置において、前記可動部材が、前記ハウジング外部と内部とを連通する軸部と、前記軸部に連結され、前記ハウジング内部において前記軸部を回転軸として回転可能に配設されるロータと、を備えることを特徴とする。
このような可動装置は、いわゆるロータリーダンパとして用いることができる。
本発明の第19局面の可動装置は、第16局面の可動装置において、前記可動部材が、前記ハウジング外部と内部とを連通する軸部と、前記軸部に連結され、前記ハウジング内部において前記軸部を回転軸として回転可能に配設される第1回転要素と、を備え、さらに、前記回転軸と同じ軸線を回転軸として回転可能であり、前記ハウジングに充填される分散体の粘性摩擦によって、前記第1回転要素の回転に伴って回転する第2回転要素と、を備えることを特徴とする。その場合、第20局面の可動装置のように、前記第2回転要素を前記ハウジングとしてもよい。
このような可動装置は、いわゆるクラッチとして用いることができる。
本発明の第21局面の可動装置は、第16局面から第20局面のいずれかの可動装置において、前記分散体を加熱するヒーターを備えることを特徴とする。その場合、第22局面の可動装置のように、前記ヒーターは、前記ハウジングの外側表面に配置されていてもよい。
このような可動装置では、ヒーターによって分散体の温度を調整することができ、それにより可動装置の動作特性を変化させることができる。
本発明の第23局面の可動装置は、第18局面、および第18局面の発明を引用する、第21局面および第22局面、のいずれかの可動装置において、前記軸部が所定の回転速度で回転するように前記軸部にトルクを与える駆動部と、前記駆動部が前記軸部に与えるトルクを測定する測定部と、前記測定部により測定されるトルクが所定の値となったときに、所定の出力を行う出力部と、を備えることを特徴とする。
ハウジングに充填される分散体の粘度が変化すると、軸部が所定の回転速度で回転するために必要なトルクが変化する。上述した可動装置では、ハウジングに充填される分散体の温度が変化して粘度が変化し、それにより軸部に与えられるトルクが変化したときに所定の出力を行い、可動装置を適切に動作させることができる。例えば、分散体の温度が上昇して粘度が上昇したときには、冷却器に制御信号を出力して分散体の温度を下げるように冷却器を動作させたり、駆動部に制御信号を出力して軸部の回転速度を下げるなどして、分散体の温度を一定の温度領域に制御して安定運転をすることができる。
本発明の第24局面の可動装置は、第18局面、および第18局面の発明を引用する、第21局面および第22局面、のいずれかの可動装置において、前記軸部に所定のトルクを与える駆動部と、前記駆動部によって回転する前記軸部の回転速度を測定する測定部と、前記測定部により測定される回転速度が所定の値となったときに、所定の出力を行う出力部と、を備えることを特徴とする。
ハウジングに充填される分散体の粘度が変化すると、所定のトルクが与えられる軸部の回転速度が変化する。上述した可動装置では、ハウジングに充填される分散体の温度が変化して粘度が変化し、それにより軸部の回転速度が変化したときに所定の出力を行い、可動装置を適切に動作させることができる。例えば、分散体の温度が上昇して粘度が上昇したときには、冷却器に制御信号を出力して分散体の温度を下げるように冷却器を動作させたり、駆動部に制御信号を出力して軸部に与えるトルクを小さくするなどして、分散体の温度を一定の温度領域に制御して安定運転をすることができる。
本発明の第25局面の可動装置は、第19局面、第20局面、第19局面または第20局面の発明を引用する第21局面、第19局面または第20局面の発明を引用する第22局面、のいずれかの可動装置において、前記軸部が所定の回転速度で回転するように前記軸部にトルクを与える駆動部と、前記第2回転要素の回転速度またはトルクを測定する測定部と、前記測定部により測定される回転速度またはトルクが所定の値となったときに、所定の出力を行う出力部と、を備えることを特徴とする。
本発明の第26局面の可動装置は、第19局面、第20局面、第19局面または第20局面の発明を引用する第21局面、第19局面または第20局面の発明を引用する第22局面、のいずれかの可動装置において、前記軸部に所定のトルクを与える駆動部と、前記第2回転要素の回転速度またはトルクを測定する測定部と、前記測定部により測定される回転速度またはトルクが所定の値となったときに、所定の出力を行う出力部と、を備えることを特徴とする。
ハウジングに充填される分散体の粘度が変化すると、軸部の回転、即ち第1回転要素の回転に伴って回転する第2回転要素の回転速度やトルクが変化する。
上述した本発明の第25局面および第26局面の可動装置では、ハウジングに充填される分散体の温度が変化して粘度が変化し、それにより第2回転要素の回転速度やトルクが変化したときに所定の出力を行い、可動装置を適切に動作させることができる。例えば、分散体の温度が上昇して粘度が上昇したときには、冷却器に制御信号を出力して分散体の温度を下げるように冷却器を動作させたり、駆動部に制御信号を出力して軸部に与えるトルクを小さくするなどして、分散体の温度を一定の温度領域に制御して安定運転をすることができる。
本発明の第27局面の表面処理剤は、結晶性高分子を主成分とするリチウムイオン二次電池用のセパレータに用いられるものである。この表面処理剤は、第1のモノマーと第2のモノマーとの共重合体を含み、第1のモノマーが、セパレータを構成する結晶性高分子と同一の分子構造を有するポリマーとして結晶化可能なモノマーであることを特徴とする。
このように構成された表面処理剤により処理されたセパレータは、セパレータと電解液との濡れ性が良好なものとなる。そのため、セパレータの内部まで容易に電解液を浸透させることができ、セパレータの性能劣化の抑制や、吸引などの特殊な製造工程が必須でなくなるなどの効果を得ることができる。
上述した第1のモノマーとしては、本発明の第28局面の表面処理剤のように、次に示す(A)〜(D)からなる群より選ばれるいずれか1種以上とすることができる。
(A)エチレン
(B)側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有する、(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,ビニルエーテル,ビニルエステル,シロキサン,α−オレフィン,置換スチレンからなる群より選ばれるいずれか1種以上
(C)側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有しており少なくとも一部がフッ素に置換された、(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,ビニルエーテル,ビニルエステル,シロキサン,α−オレフィン,置換スチレンからなる群より選ばれるいずれか1種以上
(D)ポリプロピレン
また、上述した第2のモノマーとしては、本発明の第29局面のように、次に示す(E)〜(N)からなる群より選ばれるいずれか1種以上とすることができる。
(E)炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンからなる群より選ばれるいずれか1種以上
(F)分岐状のアルキル基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンからなる群より選ばれるいずれか1種以上
(G)アリール基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミドからなる群より選ばれるいずれか1種以上
(H)オキシエチレン構造またはオキシプロピレン構造を有する,(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンからなる群より選ばれるいずれか1種以上
(I)スチレン
(J)アクリル酸
(K)メタクリル酸
(L)酢酸ビニル
(M)側鎖にジメチルシロキサンを有する(メタ)アクリレート
(N)側鎖にフッ素化アルキルを有する(メタ)アクリレート
本発明の第30局面の表面処理剤は、第27局面から第29局面のいずれかの表面処理剤において、第1のモノマーと第2のモノマーとの共重合体がブロック共重合体であることを特徴とする。もちろん、第4局面の分散剤とは異なる態様として、第1のモノマーと第2のモノマーとの共重合体はランダム共重合体や、トリブロック共重合体であってもよい。
本発明の第31局面の表面処理剤は、第27局面から第30局面のいずれかの表面処理剤において、ポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子からなるセパレータに用いられることを特徴とする。
その場合、本発明の第32局面の表面処理剤のように、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、またはエチレンとしてもよく、また第2のモノマーを、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,のいずれか、あるいは、酢酸ビニルとしてもよい。
さらに、本発明の第33局面の表面処理剤のように、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が12個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしてもよい。
本発明の第34局面の表面処理剤は、第27局面から第30局面のいずれかの表面処理剤において、ポリフルオロエチレン系の結晶性高分子からなるセパレータに用いられることを特徴とする。
その場合、本発明の第35局面の表面処理剤のように、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有しており少なくとも一部がフッ素に置換された(メタ)アクリレート、またはエチレンとしてもよく、また第2のモノマーを、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,のいずれかとしてもよい。
本発明の第36局面の表面処理剤は、第27局面から第35局面のいずれかの表面処理剤において、リチウムイオン二次電池の正極と負極との間の電気抵抗を、所定の温度領域において、可逆的に、温度上昇に伴って急激に上昇させ、また温度低下に伴って急激に低下させることを特徴とする。
本発明の第37局面の発明は、第27局面から第36局面のいずれかの表面処理剤により表面処理されてなるリチウムイオン二次電池用セパレータである。
本発明の第38局面の発明は、ポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子を主成分とするセパレータであり、第31局面から第33局面のいずれかの表面処理剤により表面処理されてなるリチウムイオン二次電池用セパレータである。
本発明の第39局面の発明は、ポリフルオロエチレン系の結晶性高分子を主成分とするセパレータであり、第34局面または第35局面のいずれかの表面処理剤により表面処理されてなるリチウムイオン二次電池用セパレータである。
本発明の第40局面の発明は、第27局面から第36局面のいずれかの表面処理剤が添加されてなるリチウムイオン二次電池用電解液である。
本発明の第41局面の発明は、本発明の第37局面から第39局面のいずれかのセパレータを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
本発明の第42局面の発明は、本発明の第40局面の電解液を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
本発明の分散剤は、結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体の粘度を著しく低減することができる。本発明の分散剤を用いた分散体は、様々な用途において優位に適用できる。例えば、従来の結晶性微粒子分散体を取り扱っていたプロセスにおいて、分散体を非常に低粘度にして取り扱うことができるため、分散体の流動プロセスに用いるポンプを低出力のものに代替することができ、省エネルギー化を達成することができる。また配管なども径を細くすることができ、省スペース的にも効果があり、全体的に装置を小型化できるメリットがある。
さらに従来スプレーやインクジェットなどへの適用が困難であった高粘度のペイント・インクに関しても、低粘度化により適用が容易となる。またコーティングに際しても、厚みを均質とすること、あるいは薄膜のコーティングを行うことが容易となる。
また、所定濃度の結晶性高分子からなる微粒子を含む分散体においては、本発明の分散剤を添加することで低粘度化を達成することができ、またその効果を利用すると同一粘度での分散体の微粒子濃度を濃厚化することが可能となる。この効果を利用すると、より耐久性があるだけでなく、重厚あるいは高級感のあるペイント・インクの提供に優位に適用できる。
また廃プラを微粒子化して溶媒に分散してなる分散体を焼却・燃料化する場合においても、本発明の分散剤を添加することで、粘度を低く保ったまま廃プラによる微粒子濃度をあげることができるために、廃プラ処理量を向上できるだけでなく、燃焼効率を著しく向上することができ、環境・エネルギー的にも非常に有益に適用することが可能となる。
また、本発明の分散剤を用いた分散体は、温度により粘度を自由に調整することが可能である。特に温度を上げることにより粘度を増加させることができるため、ペイント・インクもしくはコーティングの乾燥過程での粘度をコントロールすることが可能となる。従来これらには、塗布過程での低粘度化と乾燥過程での高粘度化という、いわゆるチキソ性の付与が望まれていたが、一般的には高温にすると粘度は低下するために、非常に解決が難しい課題であった。
しかしながら、今回発明された分散剤およびこれを用いた分散体は、この課題解決のために優位に利用することができる。また流体(分散体)の流量制御に関しても、流体が通過する流路の温度制御によって流量のコントロールが可能となり、複雑な電子的な弁やバルブによる流量コントロールの負荷を低減でき、装置の簡略化や省エネルギーを達成することができる。
また従来、流体の粘度制御については、電気粘性流体や磁性粘性流体などが提案されてきたが、これらの粘度制御には複雑な電子あるいは磁性制御が必要であり、またこのような効果を示す分散微粒子や分散媒体に限界があるために、一般的な用途への普及が困難であった。また、電気粘性流体や磁性粘性流体を用いた装置は複雑な制御を実行するための機構を設ける必要があり、さらにそれらの流体自体が高価であるため、装置の価格が高くなるという問題もあった。
しかしながら本発明の分散剤およびそれを用いた分散体は、一般的な結晶性高分子からなる微粒子に適用することができるために汎用性があり、さらには電気あるいは磁気が利用できない箇所にも適用することが可能である。さらに分散体自体も安価に製造することができ、その分散体を用いた装置も電気や磁気を制御するための複雑な装置構成が不要となり安価に製造できる。これらの特徴を活かすことにより、粘度可変潤滑油、ダンパー、クラッチ、バルブ、エンジンマウント、人工筋などに利用できるアクチュエーター、力感覚の微妙な表現が求められるバーチャルリアリティ、位置や速度の精密制御などに優位に利用できる。
また温度による物性の変化と言う特性を利用することで、各種温度センサーあるいは保温材などに有効に利用することができる。
また本発明の分散剤は、分散剤を構成する結晶性部位が結晶性粒子(高分子)を用いた素材の表面に吸着し、非結晶性部位が粒子表面を覆うことで特性を出しているのではないか、と推測される。このことを利用し第2のモノマーを任意に変化させることで粒子表面あるいは素材表面の特性を変化させることが可能である。
たとえば、撥水性を持たすためには、第2のモノマーとして、フッ素置換のモノマーやシリコン変性のモノマーを用いポリマーを合成することで粒子表面を撥水加工できる。
また、結晶性高分子を用いた素材の表面の改質が可能となり、従来、印刷や塗装により意匠性や保護層を設けるのにプラズマ処理,強酸やオゾンによる参加処理などの表面処理工程が必要であったが、その工程を省略しコストダウンが可能となり、環境・エネルギー的にも非常に有益なものとなる。
また本発明の表面処理剤により処理されたリチウムイオン二次電池用のセパレータは、電解液の濡れ性を改善できる。リチウムイオン電池は、多孔質ポリエチレン(PE)などの結晶性高分子が主成分であるセパレータを用いることができる。そして、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネートなどの高極性有機溶剤に電解質を溶解した電解液を多孔質PEの多孔中に含浸・湿潤して利用されている。しかしながら、セパレータにPEなどの極性が乏しい材料を用いると、高極性の電解液は非常に濡れにくく含浸・湿潤しにくい。しかしながら本発明の表面処理剤により処理されたセパレータは、セパレータと親和性が高い第1のモノマーと、電解液と親和性の高い第2のモノマーとを用いることで、セパレータの表面特性を改質することにより電解液の濡れ性を改善できる。
また、上記表面処理剤により処理されたセパレータを用いたリチウムイオン二次電池では、電気抵抗が急激に上昇し、温度上昇による熱暴走を抑制することができる。また電気抵抗が上昇したことから温度上昇を検知できるため、別途温度センサを設けることなく温度上昇の検知が可能となる。このことからリチウムイオン二次電池の構造の簡素化が可能となる。また、電気抵抗の変化は可逆的に起こるため、温度が低下すれば電気抵抗は急激に低下する。即ち、リチウムイオン二次電池の機能を低下させることなく再利用が可能となる。
本発明の分散剤を添加した分散体の温度と粘度の関係を示すグラフ 本発明の分散剤を添加した分散体の温度と粘度の関係を示すグラフ 本発明の分散体を利用したダンパを示す図 本発明の分散体を利用したロータリーダンパを示す図 本発明の分散体を利用したクラッチを示す図 本発明の分散体を利用したロータリーダンパの変形例を示す図 本発明の分散体を利用したクラッチの変形例を示す図 本発明のセパレータが用いられるリチウムイオン二次電池を示す図 セパレータ、正極、負極の側面断面を示す概念図 インピーダンスの測定結果を示すグラフ
1…ダンパ、3…ハウジング、5…可動部材、7…フリーピストン、9…ヒーター、11…シリンダ、13…上部端板、15…貫通孔、17…シール部、19…第1流体室、21…第2流体室、23…ピストン、25…ピストンロッド、27…オリフィス、31…ガス室、33…流体、41…ロータリーダンパ、43…ハウジング、45…可動部材、47…ヒーター、49…流体、51…シャフト、53…ロータ、55…プレート、57…スペーサ、59…上蓋、61…下蓋、63…貫通孔、65…シール部、71…クラッチ、73…ハウジング、75…可動部材、77A,77B…軸受け、79…ヒーター、81…シャフト、81A…先端、83…ロータ、85…プレート、87…スペーサ、89…軸部、91…第1蓋部、93…第2蓋部、95…貫通孔、97…シール部、99…溝部、101…流体、103,105,107…装置、109…冷却器、111、113、115、121、123、125…装置、127…冷却器、131…リチウムイオン二次電池、133…正極、135…負極、137…セパレータ、139…ハウジング、141…正極端子、143…負極端子、145…流路、147…表面処理剤
以下に本発明の実施形態を説明する。
本発明は、結晶性高分子との親和性の高い第1のモノマーと、極性溶媒との親和性の高い第2のモノマーと、の共重合体を、結晶性高分子と非結晶性高分子とが混在する環境において用いることにより、結晶性高分子と非結晶性高分子と接触状態などを変化させることを主眼とする。そこで、上記の共重合体を分散剤として用いる例と、上記の共重合体をリチウムイオン二次電池のセパレータの表面処理剤として用いる例と、を説明する。
<本発明の分散剤の構成>
本発明の分散剤は、第1のモノマーと、第2のモノマーと、の少なくとも2種類のモノマーの共重合体を含むものである。第1のモノマーは結晶性のモノマーであり、第1のモノマーが結晶化したポリマーと同一の分子構造を有する結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体に対して本発明の分散剤を添加することにより、その粘度を顕著に低下させることができる。第1のモノマーは、換言すると、分散質と同一の分子構造を有するポリマーとして結晶化可能なモノマーである。
第1のモノマーとしては、次のようなものを用いることができる。以下に示す物質は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類のものを同時に用いてもよい。
(A)エチレン
(B)側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有する、(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,ビニルエーテル,ビニルエステル,シロキサン,α−オレフィン,置換スチレンのいずれか
(C)側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有しており少なくとも一部がフッ素に置換された、(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,ビニルエーテル,ビニルエステル,シロキサン,α−オレフィン,置換スチレンのいずれか
(D)ポリプロピレン
本発明の分散剤が粘度低下機能を良好に発揮する分散体は、分散質として第1のモノマーと同一の分子構造を有する結晶性高分子からなる微粒子を分散質として含有する分散体である。
また、第2のモノマーとしては、次のようなものを用いることができる。以下に示す物質は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類のものを同時に用いてもよい。
(E)炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(F)分岐状のアルキル基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(G)アリール基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミドのいずれか
(H)オキシエチレン構造またはオキシプロピレン構造を有する,(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(I)スチレン
(J)アクリル酸
(K)メタクリル酸
(L)酢酸ビニル
(M)側鎖にジメチルシロキサンを有する(メタ)アクリレート
(N)側鎖にフッ素化アルキルを有する(メタ)アクリレート
第2のモノマーは、第1のモノマーと共重合体を形成できるものであればよい。なお、分散剤を添加する分散体の分散媒との親和性が良いものを第2のモノマーとして用いてもよい。
なお、本発明の分散剤をポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子からなる微粒子を分散質とする分散体に対して用いる場合には、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、またはエチレンとしてもよく、また第2のモノマーを、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,のいずれか、あるいは、酢酸ビニルとしてもよい。
さらに、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が12個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしてもよい。
また、本発明の分散剤をポリフルオロエチレン系の結晶性高分子からなる微粒子を分散質とする分散体に対して用いる場合には、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有しており少なくとも一部がフッ素に置換された(メタ)アクリレート、またはエチレンとしてもよく、また第2のモノマーを、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,のいずれかとしてもよい。
<分散剤の製造>
[実施例1]
2-メチル-2-[N-(t-ブチル)-N-(ジエトキシホスホニル-2-2-ジメチルプロピル)アミノキシ]プロピオン酸(略称:SG-1-MA、3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート (50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル (12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(50.0g、390.1mmol)、n-酢酸ブチル (12.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=11800であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
上記SG-1-MAの化学式を(化1)に示す。
[実施例2]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル(12.5 g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったベンジルアクリレート(50.0g、308.2mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ベンジルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=12600であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ベンジルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例3]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ベヘニルアクリレート(50.0g、131.0mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート (50.0g、390.1mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=12500であった。
なお、上記ベヘニルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例4]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ラウリルアクリレート(50.0g、208.0mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(50.0g、390.1mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=11500であった。
なお、上記ラウリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例5]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(30.0g、91.0mmol)、n-酢酸ブチル(7.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(50.0g、390.1mmol)、n-酢酸ブチル(12.5 g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=10800であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例6]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(30.0g、234.0mmol)、n-酢酸ブチル(7.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから4時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=9500であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例7]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったジメチルアミノアクリレート(30.0g、175.0mmol)、n-酢酸ブチル(7.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ジメチルアミノアクリレートを加えてから4時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=7670であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ジメチルアミノアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例8]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行った末端メトキシポリエチレングリコール(n=9)アクリレート(25.0g、55.0mmol)とノルマルブチルアクリレート(25.0g、195.0mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレート等を加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=11300であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記末端メトキシポリエチレングリコール(n=9)アクリレートおよびノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例9]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったポリジメチルシロキサンメタクリレート(分子量約1000)(50.0g、50.0mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ポリジメチルシロキサンメタクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=14300であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ポリジメチルシロキサンメタクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例10]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(30.0g、91.0mmol)、n-酢酸ブチル(7.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(370.0g、2886mmol)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから6時間後にアゾビスイソブチロニトリル0.15gを15分おきに3回添加した後反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=56000であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例11]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(30.0g、91.0mmol)、n-酢酸ブチル(7.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(170.0g、1326mmol)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから6時間後にアゾビスイソブチロニトリル0.15gを15分おきに3回添加した後反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=27400であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例12]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(100.0g、308mmol)、n-酢酸ブチル(25g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(50.0g、390mmol) を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=9900であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例13]
SG-1-MA(7.63g、20.0mmol)、ステアリルアクリレート(40.0g、121.3mmol)、n-酢酸ブチル(10.0g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。3.5時間後、20分間 N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(60.0g、468.1mmol)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから3時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=6500であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例14]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、へプタデカフルオロデシルアクリレート(50.0g、96mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(50.0g、390mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=9100であった。
なお、上記へプタデカフルオロデシルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例15]
ヨウ素(1.27g、5.0mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(2.46g、15mmol)、ステアリルメタクリレート(50.0g、148mmol)、シクロヘキサジエン(0.04g、0.5mmol)、n-酢酸ブチル(50g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を80℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルメタクリレート(50.0g、352mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(0.33g、2.0mmol)、シクロヘキサジエン(0.04g、0.5mmol)、n-酢酸ブチル(50g)を反応容器に加え再び80℃で反応を続けた。ノルマルブチルメタクリレートを加えてから3時間後に反応を終了し、ブロック共重合体(分散剤)を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=11700であった。
なお、上記ステアリルメタクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルメタクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[比較例1]
SG-1-MA(1.91g、5.0mmol)、ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。5時間後に反応を終了し、ステアリルアクリレートホモポリマー(分散剤)を得た。当該ホモポリマーの重量平均分子量はMw=10400であった。
[比較例2]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。5時間後に反応を終了し、ステアリルアクリレートホモポリマー(分散剤)を得た。当該ホモポリマーの重量平均分子量はMw=6900であった。
[比較例3]
SG-1-MA(6.34g、16.6mmol)、ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後に反応を終了し、ステアリルアクリレートホモポリマー(分散剤)を得た。当該ホモポリマーの重量平均分子量はMw=4600であった。
[比較例4]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ラウリルアクリレート(50.0g、208.0mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。5時間後に反応を終了し、ラウリルアクリレートホモポリマー(分散剤)を得た。当該ホモポリマーの重量平均分子量はMw=6700であった。
[実施例16]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ノルマルブチルアクリレート(30.0g、234.0mmol)、ステアリルアクリレート(70.0g、215.7mmol)、n-酢酸ブチル(25g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。5時間後に反応を終了し、ステアリルアクリレート‐ノルマルブチルアクリレートランダムポリマー(分散剤、ランダム配列ポリマー)を得た。当該ランダムポリマーの重量平均分子量はMw=11400であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例17]
SG-1-MA(3.81g、10.0mmol)、ノルマルブチルアクリレート(10.0g、78.0mmol)、ステアリルアクリレート(90.0g、277.3mmol)、n-酢酸ブチル(25g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。5時間後に反応を終了し、ステアリルアクリレート‐ノルマルブチルアクリレートランダムポリマー(ランダム配列ポリマー)(分散剤)を得た。当該ランダムポリマーの重量平均分子量はMw=11400であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例18]
SG-1-MA(2.29g、6.0mmol)、ノルマルブチルアクリレート(30.0g、234.0mmol)、ステアリルアクリレート(30.0g、91.0mmol)、n-酢酸ブチル(15g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。5時間後に反応を終了し、ステアリルアクリレート‐ノルマルブチルアクリレートランダムポリマー(ランダム配列ポリマー)(分散剤)を得た。当該ランダムポリマーの重量平均分子量はMw=11600であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ノルマルブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例19]
ステアリルアクリレート(33.7g)、ブチルアクリレート(33.7g)、n-酢酸ブチル(72.5g)、アゾイソブチロニトリル(AIBN)(1.0g)をN2バブリング下で105℃で3.5時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.15gを15分おきに3回添加した後反応を終了しランダム共重合体(分散剤)を得た。当該ランダム共重合体の重量平均分子量はMw=13200であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例20]
ステアリルアクリレート(42.9g)、ブチルアクリレート(18.3g)、n-酢酸ブチル(75g)、アゾイソブチロニトリル(AIBN)(0.91g)をN2バブリング下で105℃で3.5時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.15gを15分おきに3回添加した後反応を終了しランダム共重合体(分散剤)を得た。当該ランダム共重合体の重量平均分子量はMw=14300であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[実施例21]
ステアリルアクリレート(18.36g)、ブチルアクリレート(42.84g)、n-酢酸ブチル(75g)、アゾイソブチロニトリル(AIBN)(0.91 g)をN2バブリング下で105℃で3.5時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.15gを15分おきに3回添加した後反応を終了しランダム共重合体(分散剤)を得た。当該ランダム共重合体の重量平均分子量はMw=15700であった。
なお、上記ステアリルアクリレートが本発明の第1のモノマーの一例であり、上記ブチルアクリレートが本発明の第2のモノマーの一例である。
[比較例5]
ブチルアクリレート(61.2g)、n-酢酸ブチル(75g)、アゾイソブチロニトリル(AIBN)(0.91g)をN2バブリング下で105℃で3.5時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.15 gを15分おきに3回添加した後反応を終了しホモポリマー(分散剤)を得た。当該ホモポリマーの重量平均分子量はMw=16900であった。
<分散剤の性能評価>
分散剤の性能を、以下に示す各試験により評価した。各試験の概要を以下に示す。
試験1:ポリエチレン系・ポリアミド系の結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体に対する性能評価
試験2:フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の微粒子を分散質として有する分散体に対する性能評価(温度による粘度変化)
試験3:分散剤を、ブロック共重合体,ランダム共重合体,ホモポリマーとした場合の比較評価、および分散剤をアクリレート系,メタクリレート系とした場合の比較評価
試験4〜6:分散剤に用いられるアルキルアクリレートのアルキル鎖の長さを変えた場合の性能評価(温度による粘度変化)
試験7〜9:分散媒を変えた場合の性能評価
試験10:分散剤としてEVA(エチレン‐酢酸ビニル共重合体)を使用した場合の性能評価
以下に、詳細な試験内容を説明する。
[試験1]
分散媒として酢酸n-ブチルを用い、以下の(a)〜(d)の結晶性高分子からなる微粒子を分散媒に混和して固形分40〜52wt%の分散体を作成した。
(a)セリダスト3620 (クラリアント社製 HDPE(高密度ポリエチレン)ワックスパウダー)
(b)ME0520(ドイレックス社製 LDPE(低密度ポリエチレン)ワックスパウダー)
(c)ミペロンPM200(三井化学社製超高分子量PEパウダー)
(d)GPA-550(ガンツ化成社製 12ナイロンパウダー)
分散体における固形分は(a)40wt%,(b)45wt%,(c)50wt%,(d)52wt%とした。これら分散体(a)〜(d)に、実施例1で合成した樹脂(分散剤)の酢酸n-ブチル溶液(固形分50wt%)を、分散体全体量に対して分散剤の固形分が1wt%となるように添加し、添加前後の粘度変化を測定した。分散体の温度は25℃であり、粘度は東機産業株式会社製のB型粘度計にて測定した(以下の試験においても同様)。
測定された粘度および変化率を表1に示す。
表1に示されるように、いずれの分散体においても粘度を顕著に低下させることができた。
[試験2]
結晶性高分子からなる微粒子としてルブロンL2(ダイキン製 PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)パウダー)を酢酸n-ブチルと混和し、固形分 40%の分散体を作成した。この分散体に、実施例14で合成した樹脂(分散剤)の酢酸n-ブチル溶液(固形分50wt%)を、分散体全体量に対し分散剤の固形分が1wt%となるように添加したうえ分散体の温度を変化させて分散体の粘度変化を測定した。なお、分散剤添加前のルブロンL2の分散体の粘度は、25℃で1,160mPa・sであった。
測定された粘度および変化率を表2に示す。
表2から明らかなように、分散体の粘度は温度の減少とともに顕著に低下した。
[試験3]
結晶性高分子からなる微粒子としてセリダスト3620(クラリアント社製 HDPEパウダー)を酢酸n-ブチルと混和し、固形分 40%の分散体を作成した。その分散体に以下の(e)〜(k)に示す分散剤の酢酸n-ブチル溶液(固形分50wt%)を分散体全体量に対し分散剤の固形分が1wt%となるように添加し、添加前後の粘度変化を測定した。分散体の温度は25℃とした。
(e)StA-b-BA(実施例1)
(f)StA-b-BzA(実施例2)
(g)SMA-b-BMA(実施例15)
(h)ランダムStA/BA(5/5)(実施例18)
(i)ランダムStA/BA(7/3)(実施例16)
(j)StAホモポリマー(比較例1)
(k)BAホモポリマー(比較例5)
なお、StAはステアリルアクリレートを指し、BAはノルマルブチルアクリレートを指し、BzAはベンジルアクリレートを指し、SMAはステアリルメタクリレートを指し、BMAはノルマルブチルメタクリレートを指す。
測定された粘度を表3に示す。
表3に示されるように、上記(e)〜(k)の分散剤を添加したいずれの分散体においても粘度を低下させることができたが、特に上記(e)〜(i)の共重合体の分散剤を添加した分散体では粘度を顕著に低下させることができた。
[試験4]
結晶性高分子からなる微粒子としてセリダスト3620(クラリアント社製 HDPEパウダー)を酢酸n-ブチルと混和し、固形分 40%の分散体を作成した。この分散体に実施例4で合成したLA-b-BAの樹脂(分散剤、融点11℃)の酢酸n-ブチル溶液(固形分50wt%)を、分散体全体量に対し分散剤の固形分が1wt%となるように添加したうえ分散体の温度を変化させて分散体の粘度変化を測定した。なお、分散剤添加前の分散体の粘度は、25℃で1,430mPa・sであった。
測定された粘度を表4に示す。
表4から明らかなように、分散体の粘度は温度の減少とともに顕著に低下した。
[試験5]
結晶性高分子からなる微粒子としてセリダスト3620(クラリアント社製 HDPEパウダー)を酢酸n-ブチルと混和し、固形分 40%の分散体を作成した。この分散体に実施例1で合成したStA-b-BAの樹脂(分散剤、融点53℃)の酢酸n-ブチル溶液(固形分50wt%)を、分散体全体量に対し分散剤の固形分が1wt%となるように添加したうえ分散体の温度を変化させて分散体の粘度変化を測定した。なお、分散剤添加前の分散体の粘度は、25℃で1,430mPa・sであった。
測定された粘度を表5に示す。
表5から明らかなように、分散体の粘度は温度の減少とともに顕著に低下した。
[試験6]
結晶性高分子からなる微粒子としてセリダスト3620(クラリアント社製 HDPEパウダー)を酢酸n-ブチルと混和し、固形分 40%の分散体を作成した。この分散体に実施例3で合成したVA-b-BAの樹脂(分散剤、融点63℃)の酢酸n-ブチル溶液(固形分50wt%)を、分散体全体量に対し分散剤の固形分が1wt%となるように添加したうえ分散体の温度を変化させて分散体の粘度変化を測定した。なお、分散剤添加前の分散体の粘度は、25℃で1,430mPa・sであった。
測定された粘度を表6に示す。
表6から明らかなように、分散体の粘度は温度の減少とともに顕著に低下した。
なお、試験4〜6について、温度と粘度の関係を示すグラフを図1に示す。図1から明らかなように、狭い温度範囲において急激に粘度が変化することがわかった。
また、アルキルアクリレートのアルキル鎖の長さが長いほど粘度変化の温度領域が高温側へ移動することがわかった。
また、上記試験において、分散体の粘度は温度を変化させることで可逆的に変化した。即ち、本発明の分散体は、分散体の温度を上昇させることにより粘度を上昇させ、分散体の温度を低下させることにより粘度を低下させるという粘度調整を実現できる。
[試験7]
結晶性高分子からなる微粒子としてセリダスト3620(クラリアント社製 HDPEパウダー)を用い、それを以下の(l)〜(q)の分散媒に混和して固形分40wt%の分散体を複数作成した。
(l)酢酸n-ブチル
(m)メチルシクロヘキサン(MCH)
(n)酢酸エチル
(o)メチルエチルケトン(MEK)
(p)ブチルセロソルブ
(q)イソプロピルアルコール(IPA)
これらの分散体に、実施例1で合成した樹脂(分散剤)のn-酢酸ブチル溶液(固形分50wt%)を、分散体全体量に対し分散剤の固形分が1wt%となるように添加し、添加前後の粘度変化を測定した。分散体の温度は25℃とした。
測定された粘度および変化率を表7に示す。
表7に示されるように、いずれの分散体においても粘度を顕著に低下させることができた。
[試験8]
結晶性高分子からなる微粒子としてセリダスト3620(クラリアント社製 HDPEパウダー)をペンタエリスリトールテトラエトキシアクリレート(ダイセルサイテック社製 Ebecryl40)と混和し、PE固形分30wt%の分散体を作成した(粘度34,000mPa・s)。それに実施例8で合成した樹脂(分散剤)のn-酢酸ブチル溶液(固形分50wt%)を、分散体全体量に対し分散剤の固形分が1wt%となるように添加すると粘度が 25 ℃で1,258mPa・sとなった。
[試験9]
結晶性高分子からなる微粒子としてセリダスト3620(クラリアント社製 HDPEパウダー)を270gと実施例8で合成した樹脂30gと水300gとガラス容器に計量し、攪拌下60℃まで加温した後、水冷しPEパウダーの水分散体を得た。粘度は201mPa・sであった。
この分散体を50℃まで加温すると急激に増粘する現象を確認した。
[試験10]
結晶性高分子からなる微粒子としてセリダスト3620(クラリアント社製 HDPEパウダー)を酢酸n-ブチルと混和し、固形分40wt%の分散体を作成した。この分散体に、EVA(エチレン‐酢酸ビニル共重合体)を加熱溶解させた酢酸n-ブチル溶液(固形分20wt%)を所定量添加したうえ分散体の温度を変化させて分散体の粘度変化を測定した。
分散体を25℃とし、添加量を変化させたときの分散体の粘度を表8に示す。表中、添加量は、分散対全体量に対するEVA固形部の割合(wt%)を表す。
また、VAは酢酸ビニルの組成比(wt%)を示し、mpは融点、MFRはメルトフローレイトをそれぞれ示す。なお、エバフレックスは三井デュポンポリケミカル株式会社の登録商標である。
表8に示されるように、いずれのEVAを用いても分散体の粘度を顕著に低下させることができた。
<本発明の分散体を用いた可動装置>
本発明の分散剤が添加された分散体は、可動装置に良好に用いることができる。可動装置とは、例えばダンパ,ロータリーダンパ,クラッチなどが一例として挙げられる。
可動装置に用いる場合、分散媒としては、一般的な有機溶剤を用いることもできるが、常温で蒸気圧が小さい、高沸点溶媒が好ましく利用できる。高沸点溶媒としては、例えば炭化水素系油類、フェニルエーテル類、ポリオールポリエステル類、リン酸エステル類、シリコンオイル、フッ素オイルなどがある。
炭化水素系油類の具体例としては、流動パラフィン、鉱油、スピンドル油、高級アルキルベンゼン、高級アルキルナフタレン、ポリブテン、ポリαオレフィン油等がある。フェニルエーテル類の具体例としては、アルキルジフェニルエーテル、アルキルトリフェニルエーテル等がある。
ポリオールポリエステル類の具体例としては、ジオクチルアゼレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルフタレート、ジヘキシルマレエート等のジカルボン酸エステル、トリメチロールプロパンnヘプチルエステル、ペンタエリスリトールテトラ2エチルヘキシルエステル等がある。
リン酸エステル類の具体例としては、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリ2エチルヘキシルエステル、リン酸トリクレジルエステル、リン酸トリキシリルエステル、リン酸トリアリルエステル等がある。
シリコンオイルの具体例としては、ジメチルシリコンオイル、メチルヒドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコンオイル、αメチルスチレン変性シリコンオイル、アルコール変性シリコンオイル、アミン変性シリコンオイル、ポリエーテル変性シリコンオイル、塩素化シリコンオイル、フッ素化シリコンオイル類等がある。フッ素オイルの具体例としては、パーフルオロポリエーテル、3フッ素化塩化エチレンオイル等がある。
なお、分散媒としてシリコンオイル類を用いる場合には、本発明における第2のモノマーとして、シリコンオイル類に高い親和性を示す、側鎖にジメチルシロキサンを有する(メタ)アクリレートを選択することが考えられる。また、分散媒としてフッ素オイル類を用いる場合には、第2のモノマーとして、フッ素オイル類に高い親和性を示す、側鎖にフッ素化アルキルを有する(メタ)アクリレートを選択することが考えられる。
可動装置に用いる分散体の作成例を以下に示す。
[実施例22]
分散媒として、炭化水素系油であるTDオイル10(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)を用い、セリダスト3620 (クラリアント社製 HDPE(高密度ポリエチレン)ワックスパウダー)の結晶性高分子からなる微粒子を分散媒に混和して固形分35wt%の分散体を作成した。
この分散体に、実施例5で合成した樹脂(分散剤)の酢酸n-ブチル溶液(固形分50wt%)を、セリダスト3620に対して分散剤の固形分が2.9wt%となるように添加した。これをサンプル1とする。また、上記分散剤に変えて、実施例1で合成した樹脂(分散剤)の酢酸n-ブチル溶液(固形分50wt%)を、セリダスト3620に対して分散剤の固形分が2.9wt%となるように添加した。これをサンプル2とする。
サンプル1,2の温度を変化させて粘度変化を測定した。粘度は東機産業株式会社製のB型粘度計にて測定した。なお、分散剤添加前のサンプル1の粘度は、25℃で1531mPa・sであり、サンプル2の粘度は25℃で1840mPa・sであった。
測定された結果を表9に示す。また、温度と粘度の関係を示すグラフを図2に示す。なお、表および図中のサンプル3はTDオイル10単体の粘度変化であり、サンプル4はTDオイル10にセリダスト3620を加えたものの粘度変化である。
表9から明らかなように、サンプル1,2はいずれも所定の温度範囲において温度の上昇に伴い粘度が上昇する。なおこの粘度の変化は可逆的なものであり、温度が低下すると粘度は下降する。また、分散剤によって上述した温度範囲は変化する。
次に、可動装置の実施例を図面と共に説明する。
[実施例23]
本実施例のダンパ1は、図3に示すように、ハウジング3,可動部材5,フリーピストン7,ヒーター9,およびハウジング3に充填される流体33およびガス35などにより構成される。
ハウジング3は、一端(図3においては上端)が開口し他端(図3においては下端)が閉じられた筒状のシリンダ11と、シリンダ11の開口に設けられる上部端板13と、からなる。
上部端板13には貫通孔15が設けられている。また貫通孔15の内壁には後述するピストンロッド25の外周に摺接するシール部17が設けられており、このシール部17によって封止されることによって、ハウジング3内は密封状態となる。
可動部材5は、ハウジング3(シリンダ11)の軸方向(図3における矢印方向)に摺動自在にハウジング3に内嵌し、ハウジング3を開口側の第1流体室19と奥側の第2流体室21とに区画するピストン23と、ピストン23に連結され、上部端板13の貫通孔15を貫通してハウジング3の外部に突出するするピストンロッド25と、を有する。ピストン23には、第1流体室19と第2流体室21とを連通させるオリフィス27が設けられている。
フリーピストン7は、ハウジング3の軸方向に摺動自在にハウジング3に内嵌しており、上述した第2流体室21と、ガス35が充填されるガス室31と、を区画している。
ヒーター9は、ハウジング3の外表面に沿って設けられている。このヒーター9は図示しない制御装置によってON/OFFの制御が可能となっている。ヒーター9がONとなると、ハウジング3内部に充填される流体33を加熱して流体33の温度を上昇させることができる。
ハウジング3内部、即ち第1流体室19および第2流体室21に充填される流体33としては、上記実施例22にて製造した分散体が用いられる。
上述したように構成された本実施例のダンパ1は、可動部材5がシリンダ11の軸方向に動作して、ピストンロッド25に加えられた衝撃を吸収する。また、ピストン23に加わるガス圧力の2室間の差異により、ピストンロッド25に外力が加えられないときは、ピストンロッド25がハウジング3外に突出した位置に移動する。
そして本実施例のダンパ1では、ハウジング3に充填される流体33が所定の温度範囲において温度の上昇に伴い可逆的に粘度が上昇する。そのため、ヒーター9をONにして流体33を加熱して流体33の粘度を上昇させたり、ヒーター9をOFFにして流体33の温度を下げ粘度を下降させたりして、ダンパ1の緩衝性能を調整することができる。
[実施例24]
本実施例のロータリーダンパ41は、図4に示すように、ハウジング43,可動部材45,ヒーター47,およびハウジング43に充填される流体49などにより構成される。
可動部材45は、ハウジング43内に回転自在に挿通され、一部がハウジング43の外部に突出しているシャフト51と、ハウジング43内に収容されるとともにシャフト51の一端に連結される複数の円板状のロータ53と、を備える。
ハウジング43は、中心に貫通孔が形成された複数の環状のプレート55と、内周がロータ53の外周に対向するように配置され、プレート55に互い違いに積層されてプレート55を図4における上下から挟む環状のスペーサ57と、図4における最上段のスペーサ57の上側に積層される上蓋59と、最下段のスペーサ57の下側に積層される下蓋61とを備えて構成され、全体として中空な略円筒状に形成される。ハウジング43に設けられるプレート55の貫通孔は、シャフト51の挿通を許容する径に設定されている。
上蓋59には、シャフト51が挿入される貫通孔63が設けられる。またこの貫通孔63の内壁にはシャフト51の外周に摺接するシール部65が設けられており、このシール部65によって封止されることによって、ハウジング43内は密封状態となる。
可動部材45において、シャフト51はハウジング43に挿通されており、上蓋59によって回転可能に軸支されている。ロータ53は、シャフト51の軸方向に沿って間隔を空けて配置されており、その外周がスペーサ57の内周に対向するように配置され、それぞれ、上蓋59,プレート55,下蓋61のとの間に、隙間を介して挿入されている。そして、上述した流体49は、上記隙間に充填されることとなる。
ヒーター47は、ハウジング43の外表面に沿って設けられている。このヒーター47は図示しない制御装置によってON/OFFの制御が可能となっている。ヒーター47がONとなると、ハウジング43内部に充填される流体49を加熱して流体49の温度を上昇させることができる。
ハウジング43内部に充填される流体49としては、上記実施例22にて製造した分散体が用いられる。
上述したように構成された本実施例のロータリーダンパ41は、シャフト51が回転するとそれに伴ってロータ53も回転する。その際に、ハウジング43に充填された流体49の粘性摩擦を受けて、シャフト51に加えられた回転力を減衰する。
そして本実施例のロータリーダンパ41では、ハウジング43に充填される流体49が所定の温度範囲において温度の上昇に伴い可逆的に粘度が上昇する。そのため、ヒーター47をONにして流体49を加熱して流体49の粘度を上昇させたり、ヒーター47をOFFにして流体49の温度を下げ粘度を下降させたりして、ロータリーダンパ41の回転減衰性能を調整することができる。
[実施例25]
本実施例のクラッチ71は、図5に示すように、ハウジング73,可動部材75,一対の軸受け77Aおよび軸受け77B,ヒーター79,およびハウジング73に充填される流体101などにより構成される。
可動部材75は、ハウジング73内に回転自在に挿通され、一部がハウジング73の外部に突出しているシャフト81と、ハウジング73内に収容されるとともにシャフト81の一端に連結される複数の円板状のロータ83と、を備える。
ハウジング73は、中心に貫通孔が形成された複数の環状のプレート85と、内周がロータ83の外周に対向するように配置され、プレート85に互い違いに積層されてプレート85を図5における左右から挟む環状のスペーサ87と、一方の端(図5においては右の端)のスペーサ87に積層され、軸部89が設けられた第1蓋部91と、他方の端のスペーサ87に積層される第2蓋部93とを備えて構成され、全体として中空な略円筒状に形成される。ハウジング73に設けられるプレート85の貫通孔は、シャフト81の挿通を許容する径に設定されている。
第2蓋部93には、シャフト81が挿入される貫通孔95が設けられる。また貫通孔95の内壁にはシャフト81の外周に摺接するシール部97が設けられており、このシール部97によって封止されることによって、ハウジング73内は密封状態となる。
可動部材75において、シャフト81はハウジング73に挿通されており、第2蓋部93によって軸支されている。ロータ83は、シャフト81の軸方向に沿って間隔を空けて配置されており、その外周がスペーサ87の内周に対向するように配置され、それぞれ、第1蓋部91,プレート85,第2蓋部93のとの間に、隙間を介して挿入されている。そして、上述した流体101は、上記隙間に充填されることとなる。
シャフト81のハウジング73内の先端81Aは第2蓋部93の溝部99に回動可能に挿入されている。軸受け77Aおよび軸受け77Bは、シャフト81とハウジング73の軸部89とが同軸で回転可能となるようにシャフト81および軸部89を支持している。
ヒーター79は、ハウジング73の外表面に沿って設けられている。このヒーター79は図示しない制御装置によってON/OFFの制御が可能となっている。ヒーター79がONとなると、ハウジング73内部に充填される流体101を加熱して流体101の温度を上昇させることができる。
ハウジング73内部に充填される流体101としては、上記実施例22にて製造した分散体が用いられる。
上述したように構成された本実施例のクラッチ71は、シャフト81に図示しない駆動源から回転力が加えられると、流体101の粘性摩擦によってハウジング73が回転し、それにより軸部89が回転して、図示しない駆動対象物に駆動源の回転力を伝達する。
そして、本実施例のクラッチ71では、ハウジング73に充填される流体101が所定の温度範囲において温度の上昇に伴い可逆的に粘度が上昇する。そのため、ヒーター79をONにして流体101を加熱して流体101の粘度を上昇させたり、ヒーター79をOFFにして流体101の温度を下げ粘度を下降させたりして、粘性摩擦の大きさを制御しクラッチの動力伝達性能(動力損失)を調整することができる。
なお本実施例においては、ハウジング73が本発明の第2回転要素に対応する。
なお、ハウジング73は回転不能となるように固定し、ハウジング73とは別の回転要素をハウジング73内に設け、シャフト81に回転力が加えられると、粘性摩擦によってその回転要素が回転して外部に出力するように構成してもよい。
[変形例]
以上、本発明の分散体を用いた可動装置の実施例23〜25について説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、可動装置はダンパやクラッチに限らず様々なものを対象とすることができる。
また、可動装置はヒーターを用いない構成であってもよい。その場合、例えばエンジンのような他の熱源からの熱を利用できるようにすることで、ハウジングに充填される流体の温度を上昇させることができる。また、可動装置における可動部材が動作すること、即ち可動部材と流体との摩擦によって流体を加熱させることも可能であり、熱源を用いずに流体の温度を変化させて粘度を制御することもできる。また、流体の温度を下げるための冷却装置を設けてもよい。
また、可動装置に用いられる流体として実施例22にて製造した分散体を用いる構成を例示したが、その分散体に限定されることなく、本発明の分散体であれば様々なものを用いることができる。
また、可動装置に、分散体の温度変化によって生じる粘度の変化を検出できる機構を設け、粘度の変化があった場合に所定の制御を行うように構成してもよい。
具体的には、実施例24のロータリーダンパ41において、図6に示すように、シャフト51が所定の回転速度で回転するようにシャフト51にトルクを与える装置103と、シャフト51に与えられるトルクを測定する装置105と、を備え、さらに、測定されるトルクが所定の値となったときに、所定の出力を行う装置107を備えるように構成することが考えられる。装置105は、測定したトルクの情報を装置107に送信する。
ハウジング43に充填される流体49の粘度が変化すると、シャフト51が所定の回転速度で回転するために必要なトルクが変化する。上述した可動装置では、ハウジングに充填される流体49の温度が変化して粘度が変化し、それによりシャフト51に与えられるトルクが変化したときに装置107が所定の出力を行い、可動装置を適切に動作させることができる。例えば、流体49の温度が上昇して粘度が上昇したときには、冷却器109に制御信号を出力して流体49の温度を下げるように冷却器109を動作させたり、シャフト51にトルクを与える装置103に制御信号を出力して、シャフト51の回転速度を下げるなどして、流体49の温度を一定の温度領域に制御して安定運転をすることができる。
また、粘度の変化を検出できる別の構成としては、実施例24のロータリーダンパ41において、図6に示すように、シャフト51に所定のトルクを与える装置111と、シャフト51の回転速度を測定する装置113と、を備え、さらに、測定される回転速度が所定の値となったときに、所定の出力を行う装置115を備えるように構成することが考えられる。装置113は、測定した回転速度の情報を装置115に送信する。
ハウジング43に充填される流体49の粘度が変化すると、所定のトルクが与えられるシャフト51の回転速度が変化する。上述した可動装置では、ハウジング43に充填される流体49の温度が変化して粘度が変化し、それによりシャフト51の回転速度が変化したときに装置115が所定の出力を行い、可動装置を適切に動作させることができる。例えば、流体49の温度が上昇して粘度が上昇したときには、冷却器109に制御信号を出力して流体49の温度を下げるように冷却器109を動作させたり、シャフト51にトルクを与える装置111に制御信号を出力して、シャフト51に与えるトルクを小さくするなどして、流体49の温度を一定の温度領域に制御して安定運転をすることができる。
また、実施例25のクラッチ71に上述したように粘度の変化を検出する機構を設け、粘度が変化した際に所定の制御を行うように構成してもよい。具体的には、図7に示すように、シャフト81にトルクを与える装置121と、ハウジング73(第2回転要素)の回転速度またはトルクを測定する装置123と、を備え、さらに、測定される回転速度またはトルクが所定の値となったときに、所定の出力を行う装置125を備えるように構成することが考えられる。シャフト81にトルクを与える装置121は、シャフト81が所定の回転速度で回転するようにトルクを与える装置であっても良いし、所定のトルクをシャフト81に与える装置であってもよい。装置123は、測定した回転速度またはトルクの情報を装置125に送信する。
ハウジング73に充填される流体101の粘度が変化すると、シャフト81の回転、即ちロータ83の回転に伴って回転するハウジング73の回転速度やトルクが変化する。
上述した可動装置では、ハウジング73に充填される流体101の温度が変化して粘度が変化し、それによりハウジング73の回転速度やトルクが変化したときに装置125が所定の出力を行い、可動装置を適切に動作させることができる。例えば、流体101の温度が上昇して粘度が上昇したときには、冷却器127に制御信号を出力して流体101の温度を下げるように冷却器127を動作させたり、シャフト81にトルクを与える装置121に制御信号を出力してシャフト81に与えるトルクを小さくしたり回転速度を下たりするなどして、流体101の温度を一定の温度領域に制御して安定運転をすることができる。
<本発明の表面処理剤により処理されるセパレータ>
本発明の表面処理剤は、それを用いて結晶性高分子を主体としたセパレータの表面処理をすること、または結晶性高分子を主体としたセパレータを用いているリチウムイオン二次電池の電解液の添加剤として用いることができる。
本発明の表面処理剤は、後述する第1のモノマーと第2のモノマーとの共重合体である。この表面処理剤は、ある一定温度までは結晶性高分子と、共重合体における結晶性高分子と親和性の高いモノマー(第1のモノマー)からなる部位が吸着の相互作用をすることで、セパレータの表面状態を電解液親和性へと変換する。そのため非常に濡れ性がよくなり、電解液の充填・湿潤が良好になり、その結果として正負電極間の電気抵抗が低下する。
一方、この表面処理剤で処理したセパレータ、あるいはこの表面処理剤を含んだ電解液を用いたリチウムイオン二次電池は、ある一定温度以上では電気抵抗が高くなる。
これらの現象を利用し、電極間の電気抵抗からリチウムイオン二次電池の温度上昇を感知したり、温度が上昇すると自発的に電気抵抗が上昇し、またそれに伴う温度低下に伴い、電気抵抗が低下するという、自己温度制御機能をリチウムイオン二次電池に与えることができるようになる。
本発明の表面処理剤によって処理されるセパレータを、以降、単に本発明のセパレータと記載する。
本発明のセパレータが用いられるリチウムイオン二次電池の構成例を図8に示す。
リチウムイオン二次電池131は、帯状の正極133と、帯状の負極135とが、セパレータ137を介して密着して巻き回された状態となっている。これらの電池素子は円筒型のハウジング139の内部に収容されており、正極133と接続される正極端子141と、負極135と接続する負極端子143がハウジング139の外部に突出している。リチウムイオン二次電池の構成は図8に記載するものに限定されず、様々な構成の電池に用いることができる。例えば、扁平型のハウジングを有するものであってもよい。
電解液としては、非水溶媒およびそれに溶解するリチウム塩からなるものを用いることができる。非水溶媒には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステル、γ ― ブチロラクトン、γ ― バレロラクトンなどの環状カルボン酸エステルなどを用いることができる。
リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4などを用いることができ、これらは単独で、もしくは組み合わせて用いられる。
本発明のセパレータは、結晶性高分子を主成分とするものであって、例えばポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子が主成分であるものを用いることができる。もちろんそれ以外にも、ポリエチレンとポリプロピレンとを組み合わせた複合系のセパレータなどを用いることができる。
本発明のセパレータは、後述する表面処理剤によって表面処理される。なお表面処理剤は、セパレータと電解液とを接触させる前にセパレータに処理してもよいし、電解液に表面処理剤を添加することで、電解液と接触させた段階でセパレータの表面処理がなされるようにしてもよい。
本発明の表面処理剤は、第1のモノマーと、第2のモノマーと、の少なくとも2種類のモノマーの共重合体を含むものである。第1のモノマーは結晶性のモノマーであり、第1のモノマーからなる高分子部位が結晶化したポリマーと同一の分子構造を有する結晶性高分子を主成分とするセパレータの表面と吸着する。第2のモノマーは溶媒と親和性を有するため、セパレータ表面が親溶媒性に変質し、それによりセパレータ表面の改質が実現される。第1のモノマーは、換言すると、セパレータの主成分である結晶性高分子と同一の分子構造を有するポリマーとして結晶化可能なモノマーである。
第1のモノマーとしては、次のようなものを用いることができる。以下に示す物質は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類のものを同時に用いてもよい。
(A)エチレン
(B)側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有する、(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,ビニルエーテル,ビニルエステル,シロキサン,α−オレフィン,置換スチレンのいずれか
(C)側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有しており少なくとも一部がフッ素に置換された、(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,ビニルエーテル,ビニルエステル,シロキサン,α−オレフィン,置換スチレンのいずれか
(D)ポリプロピレン
上記表面処理剤が表面改質機能を良好に発揮するセパレータは、主成分が第1のモノマーと同一の分子構造を有する結晶性高分子からなるセパレータである。
また、第2のモノマーとしては、次のようなものを用いることができる。以下に示す物質は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類のものを同時に用いてもよい。
(E)炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(F)分岐状のアルキル基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(G)アリール基を有する、(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミドのいずれか
(H)オキシエチレン構造またはオキシプロピレン構造を有する,(メタ)アクリレート,ビニルエーテル,ビニルエステル,マレイン酸エステル,イタコン酸エステル,アクリルアミド,置換スチレンのいずれか
(I)スチレン
(J)アクリル酸
(K)メタクリル酸
(L)酢酸ビニル
(M)側鎖にジメチルシロキサンを有する(メタ)アクリレート
(N)側鎖にフッ素化アルキルを有する(メタ)アクリレート
第2のモノマーは、第1のモノマーと共重合体を形成できるものであればよい。なお、リチウムイオン二次電池の電解液を構成する非水溶媒との親和性が良いものを第2のモノマーとして用いてもよい。
なお、上記表面処理剤をポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子を主成分とするセパレータに対して用いる場合には、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、またはエチレンとしてもよく、また第2のモノマーを、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,のいずれか、あるいは、酢酸ビニルとしてもよい。
さらに、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が12個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしてもよい。
また、上記表面処理剤をポリフルオロエチレン系の結晶性高分子を主成分とするセパレータに対して用いる場合には、第1のモノマーを、側鎖に少なくとも炭素数が8個の直鎖状アルキル基を有しており少なくとも一部がフッ素に置換された(メタ)アクリレート、またはエチレンとしてもよく、また第2のモノマーを、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,のいずれかとしてもよい。
上述した表面処理剤による表面処理がなされたセパレータ137、正極133、および負極135を概念的に表す側面断面図を図9に示す。セパレータ137は多孔質体であるため、正極133と負極135とを連通する微細な流路145が無数に形成されている。流路145の表面を含むセパレータ137の表面全体には表面処理剤147による表面処理がなされている。表面処理剤147は、第1のモノマーがポリエチレンなどのセパレータ137と高い親和性を有し、第2のモノマーが正極133と負極135との間に介在する電解液を構成するエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどを溶媒と高い親和性を有する。そのためセパレータ137における電解液の濡れ性は向上し、流路145に電解液が浸透しやすくなる。
<セパレータおよびリチウムイオン二次電池の製造>
[実施例26]
実施例1で製造したブロック共重合体(分散剤)を表面処理剤としてポリエチレン製のセパレータの表面処理を行った。即ち、本実施例の表面処理剤は実施例1の分散剤と構成は同じであるが、使用方法が異なる。表面処理を行ったセパレータを用いて、図8に示すリチウムイオン二次電池を製造した。
セパレータの表面処理は次のような手順で行った。まず上記表面処理剤を1wt%の酢酸ブチル溶液に溶解し、その溶液にポリエチレン製のセパレータを24時間浸漬させ、セパレータを風乾した後に真空乾燥した。
なお、リチウムイオン二次電池の各構成要素は、一般的なリチウムイオン二次電池の材料を用いることができる。また一般的な製造方法で製造することができるが、セパレータへの電解液の浸透が良好であるため、電解液を浸透させるための操作を削除したりより簡易的な操作に変更したりすることができる。
なお、上記実施例1〜21にて製造した分散剤は、セパレータ処理用の表面処理剤として用いることができる。それら表面処理剤は、各表面処理材の構成要素である第1のモノマーと親和性がある材料をセパレータとし、第2のモノマーと親和性がある材料を電解液として、適宜組み合わせて用いることができる。
<セパレータの表面改質の評価>
評価試験には、セパレータの代用品として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンの各層からなる膜厚20μmの3層多孔質フィルム(UPORE UP3074、宇部興産株式会社製)を用いた。
表面改質剤として用いるブロック共重合体は、実施例1で作成したもの(ステアリルアクリレート−b−ブチルアクリレート(StA/BA=3000/5000)、StAブロックが分子量3000でBAブロックが分子量5000のブロックポリマー)を用いた。
セパレータの表面処理は次のような手順で行った。上記ブロックポリマーを酢酸ブチル溶液に溶解し、ブロックポリマーが2wt%,5wt%となる2種類の希薄溶液を作成した。上記セパレータを1cm×1cmにカットし、上記希薄溶液に所定時間浸漬した後に真空乾燥させた。試験片は、希薄溶液に3時間、6時間、24時間浸漬させたものを2種類の希薄溶液それぞれについて作成した。
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)を、重量比でEC:PC:DMC=1:1:1で混合した試験溶液を作成し、その試験溶液を上記表面改質を行った試験片と、表面改質を行っていない試験片と、に垂らし、その浸透性を確認した。試験結果を表10に示す。
表10においては、試験溶液が良好に浸透したものを「○」、浸透しなかったものを「×」として示している。表10から分かるように、表面改質を行った試験片は、試験溶液が良好に浸透した。即ち、セパレータと電解液との親和性が改善されることが分かった。一方、表面改質を行っていない、未処理の試験片では試験溶液が浸透することはなかった。
<インピーダンス測定>
本発明のセパレータを介して配置される正極、負極間のインピーダンスの温度による変化を測定した。
試験には、ポリエチレン製の多孔フィルター(Mykrolis UPE CWAT04700、孔サイズ10nm)を、セパレータとして用いた。
表面改質剤は、(i)実施例1で作成したもの(ステアリルアクリレート−b−ブチルアクリレート(StA/BA=3000/5000)、StAブロックが分子量3000でBAブロックが分子量5000のブロックポリマー)と、(ii)ステアリルアクリレート−b−ブチルアクリレート(StA/BA=3000/3000)、StAブロックが分子量3000でBAブロックが分子量3000のブロックポリマー、の2種類を準備した。上記(ii)の製造について、次の実施例27に示す。
[実施例27]
SG-1-MA(0.762g、2.0mmol)、ステアリルアクリレート (10.0g、30mmol)、n-酢酸ブチル
(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったノルマルブチルアクリレート(10.0g、78mmol)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。ノルマルブチルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、ブロック共重合体を得た。当該ブロック共重合体の重量平均分子量はMw=5910であった。このブロック共重合体を(ii)とした。
セパレータの表面処理は次のような手順で行った。上記(i),(ii)の表面改質剤それぞれについて、ブロックポリマーを酢酸ブチル溶液に溶解し、ブロックポリマーが1wt%となる溶液を作成した。それらの溶液に上記セパレータを浸漬し、24時間経過した後に真空乾燥させた。
試験に用いた電解液は、EC:PC:DMC1:1:1に混合し、この全体量に対し、LiPF6が1mol/Lになるように溶解させたものである。
ステンレス電極間に上記セパレータを挟み、不活性ガス化雰囲気の元でインピーダンスを測定した。インピーダンス測定装置はHIROKI3522−50, LCR-HITESTERを用いた。測定方法は以下のようにした。
周波数を50〜80,000Hzまで変化させ、34点で交流インピーダンスを測定する。絶対値|Z|と移送核θを各点で測定し、各々実数部と虚数部に分割し、Cole-Coleプロットを行い、横軸との接点でバルク抵抗を求める。試料の厚みをバルク抵抗と断面積で割ることで、導電率を算出する。温度を35℃から75℃まで変化させて、上記作業を繰り返す。また、同様に75℃から35℃まで変化させて上記作業を繰り返す。
測定結果を示すグラフを図10に示す。図10は35℃の値で規格化し、本発明の表面処理剤を用いている場合と用いていない場合でのインピーダンスの値の温度依存性を相対的に評価している。なお、上記(i)の表面処理剤にて表面処理を行ったサンプルをグラフ中では「block1」とし、上記(ii)の表面処理剤にて表面処理を行ったサンプルをグラフ中では「block2」としている。また表面処理を行っていないサンプルを「未処理」としている。
図10から明らかなように、本発明の表面処理剤を用いていない場合、インピーダンスは温度によらずほぼ一定の値を示している。一方本発明の表面処理剤を用いた場合、温度の上昇によりインピーダンスが向上し電気抵抗が減少するが、55℃で急激な転移が現れ、5%以上電気抵抗が増加する。またこの現象は可逆的に再現する。
したがって、上記セパレータを用いたリチウムイオン二次電池では、電池が高温となったときに電気抵抗を上昇させ、熱暴走を抑制することができる。
従来、ポリエチレン系のセパレータは、熱暴走を起こしたときにポリエチレンが溶融することによりリチウムイオンが移動する孔を塞ぎ熱暴走を抑制するシャットダウン効果があるが、溶融後に再度冷却することによる体積収縮により内部短絡を引き起こすことや電池自体が再利用できなくなるといった課題があった。
しかしながら上記本発明の表面処理剤で処理したセパレータは、セパレータが溶融する前に電池を停止、或いは電気抵抗の増加により出力を低下させることができ、電池自体を保護することができる。
なおインピーダンスが急激に転移する温度領域は、上述した55℃前後の範囲に限られるものではなく、表面処理剤の添加量、種類などによって適宜調整することができる。
また、電池が高温になると電気抵抗が上昇するため、電気抵抗の値に基づき温度の上昇を判断することができる。即ち、別途温度センサを設けることなく温度の上昇を検知して、外部の冷却装置を用いるなどして電池の過熱を防止することができる。
また、温度変化に対して可逆的に電気抵抗が変化するため、電気抵抗が上昇しても温度を低下させれば再度電気抵抗を低下させることができ、繰り返し長期間使用することができる。

Claims (29)

  1. ポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体に添加して用いられる分散剤であって、
    第1のモノマーと、第2のモノマーと、の共重合体を含み、
    前記第1のモノマーは、前記分散質と同一の分子構造を有するポリマーとして結晶化可能なモノマーであって、側鎖に炭素数が少なくとも8個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、
    前記第2のモノマーは、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,及び、ポリジメチルシロキサン基を有するもの,のいずれかである
    ことを特徴とする分散剤。
  2. 前記第1のモノマーは、側鎖に少なくとも炭素数が12個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートである
    ことを特徴とする請求項1に記載の分散剤。
  3. ポリフルオロエチレン系の結晶性高分子からなる微粒子が分散質として分散した分散体に添加して用いられる分散剤であって、
    第1のモノマーと、第2のモノマーと、の共重合体を含み、
    前記第1のモノマーは、前記分散質と同一の分子構造を有するポリマーとして結晶化可能なモノマーであって、側鎖に炭素数が少なくとも8個の直鎖状アルキル基を有し、その少なくとも一部がフッ素に置換された(メタ)アクリレートであり、
    前記第2のモノマーは、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,及び、ポリジメチルシロキサン基を有するもの,のいずれかである
    ことを特徴とする分散剤。
  4. 前記第1のモノマーと前記第2のモノマーと、の共重合体は、ブロック共重合体である
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の分散剤。
  5. 前記分散剤は、当該分散剤が添加された分散体の温度上昇に伴って可逆的に当該分散体の粘度を上昇させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の分散剤。
  6. ポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子からなる微粒子と、
    請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載された分散剤と、
    分散媒と、を含む
    ことを特徴とする分散体。
  7. ポリフルオロエチレン系の結晶性高分子からなる微粒子と、
    請求項3に記載された分散剤と、
    分散媒と、を含む
    ことを特徴とする分散体。
  8. 請求項6及び請求項7のいずれかに記載の分散体の温度を上昇させることにより粘度を上昇させる、あるいは、前記分散体の温度を低下させることにより粘度を低下させる
    ことを特徴とする分散体の粘度の調整方法。
  9. 流体を充填可能なハウジングと、
    少なくとも一部が前記ハウジングの内部に配設され、前記一部とは異なる部分が前記ハウジング外部に配設され、所定の動作が可能となるように前記ハウジングに保持される可動部材と、
    前記ハウジングに充填される請求項6又は請求項7に記載される分散体と、を備える
    ことを特徴とする可動装置。
  10. 前記ハウジングは筒状に形成されており、
    前記可動部材は、
    前記ハウジングの軸方向に摺動自在に当該ハウジングに内嵌し、当該ハウジングを第1流体室と第2流体室に区画する区画部と、
    前記区画部に連結され、前記ハウジングの端部の壁面を貫通して前記ハウジングの外部に突出する突出部と、
    前記区画部に設けられ、前記第1流体室と前記第2流体室とを連通させるオリフィスと、を備える
    ことを特徴とする請求項9に記載の可動装置。
  11. 前記可動部材は、
    前記ハウジング外部と内部とを連通する軸部と、
    前記軸部に連結され、前記ハウジング内部において前記軸部を回転軸として回転可能に配設されるロータと、を備える
    ことを特徴とする請求項9に記載の可動装置。
  12. 前記可動部材は、
    前記ハウジング外部と内部とを連通する軸部と、
    前記軸部に連結され、前記ハウジング内部において前記軸部を回転軸として回転可能に配設される第1回転要素と、を備え、
    さらに、前記回転軸と同じ軸線を回転軸として回転可能であり、前記ハウジングに充填される前記分散体の粘性摩擦によって、前記第1回転要素の回転に伴って回転する第2回転要素と、を備える
    ことを特徴とする請求項9に記載の可動装置。
  13. 前記第2回転要素は前記ハウジングである
    ことを特徴とする請求項12に記載の可動装置。
  14. 前記分散体を加熱するヒーターを備える
    ことを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の可動装置。
  15. 前記ヒーターは、前記ハウジングの外側表面に配置される
    ことを特徴とする請求項14に記載の可動装置。
  16. 前記軸部が所定の回転速度で回転するように前記軸部にトルクを与える駆動部と、
    前記駆動部が前記軸部に与えるトルクを測定する測定部と、
    前記測定部により測定されるトルクが所定の値となったときに、所定の出力を行う出力部と、を備える
    ことを特徴とする請求項11、請求項11を引用する請求項14、請求項11を引用する請求項15、のいずれか1項に記載の可動装置。
  17. 前記軸部に所定のトルクを与える駆動部と、
    前記駆動部によって回転する前記軸部の回転速度を測定する測定部と、
    前記測定部により測定される回転速度が所定の値となったときに、所定の出力を行う出力部と、を備える
    ことを特徴とする請求項11、請求項11を引用する請求項14、請求項11を引用する請求項15、のいずれか1項に記載の可動装置。
  18. 前記軸部が所定の回転速度で回転するように前記軸部にトルクを与える駆動部と、
    前記第2回転要素の回転速度またはトルクを測定する測定部と、
    前記測定部により測定される回転速度またはトルクが所定の値となったときに、所定の出力を行う出力部と、を備える
    ことを特徴とする請求項12、請求項13、請求項12または請求項13を引用する請求項14、請求項12または請求項13を引用する請求項15、のいずれか1項に記載の可動装置。
  19. 前記軸部に所定のトルクを与える駆動部と、
    前記第2回転要素の回転速度またはトルクを測定する測定部と、
    前記測定部により測定される回転速度またはトルクが所定の値となったときに、所定の出力を行う出力部と、を備える
    ことを特徴とする請求項12、請求項13、請求項12または請求項13を引用する請求項14、請求項12または請求項13を引用する請求項15、のいずれか1項に記載の可動装置。
  20. ポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子を含むリチウムイオン二次電池用のセパレータに用いられる表面処理剤であって、
    第1のモノマーと、第2のモノマーと、の共重合体を含み、
    前記第1のモノマーは、前記セパレータを構成する前記結晶性高分子と同一の分子構造を有するポリマーとして結晶化可能なモノマーであって、側鎖に炭素数が少なくとも8個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、
    前記第2のモノマーは、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,及び、ポリジメチルシロキサン基を有するもの,のいずれかである
    ことを特徴とする表面処理剤。
  21. 前記第1のモノマーは、側鎖に少なくとも炭素数が12個の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートである
    ことを特徴とする請求項20に記載の表面処理剤。
  22. ポリフルオロエチレン系の結晶性高分子を含むリチウムイオン二次電池用のセパレータに用いられる表面処理剤であって、
    第1のモノマーと、第2のモノマーと、の共重合体を含み、
    前記第1のモノマーは、前記セパレータを構成する前記結晶性高分子と同一の分子構造を有するポリマーとして結晶化可能なモノマーであって、側鎖に炭素数が少なくとも8個の直鎖状アルキル基を有し、その少なくとも一部がフッ素に置換された(メタ)アクリレートであり、
    前記第2のモノマーは、(メタ)アクリレートであって、炭素数が7以下の直鎖状のアルキル基を有するもの,分岐状のアルキル基を有するもの,アリール基を有するもの,オキシエチレン構造を有するもの,及び、ポリジメチルシロキサン基を有するもの,のいずれかである
    ことを特徴とする表面処理剤。
  23. 前記第1のモノマーと前記第2のモノマーと、の共重合体は、ブロック共重合体である
    ことを特徴とする請求項20から請求項22のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  24. リチウムイオン二次電池の正極と負極との間の電気抵抗を、所定の温度領域において、可逆的に、温度上昇に伴って急激に上昇させ、また温度低下に伴って急激に低下させる
    ことを特徴とする請求項20から請求項23のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  25. ポリエチレン系またはナイロン系の結晶性高分子を含むセパレータであって、請求項20又は請求項21に記載の表面処理剤により表面処理されてなるリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  26. ポリフルオロエチレン系の結晶性高分子を含むセパレータであって、請求項22に記載の表面処理剤により表面処理されてなるリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  27. 請求項20から請求項24のいずれか1項に記載の表面処理剤が添加されてなるリチウムイオン二次電池用電解液。
  28. 請求項25又は請求項26に記載のセパレータを有するリチウムイオン二次電池。
  29. 請求項27に記載の電解液を有するリチウムイオン二次電池。
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