JP6703771B2 - フッ素樹脂成形体の改質方法およびフッ素樹脂成形体の改質用の共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
<1> フッ素樹脂改質用の共重合体の製造方法であって、
前記フッ素樹脂改質用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であって、
前記モノマー(A)が、その側鎖に式(a1)〜(a5)からなる群から選択されるいずれかのフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、機能性基を有するモノマーであることを特徴とする共重合体の製造方法。
前記モノマー(A)が、改質対象となるフッ素樹脂のポリマー構造と共通する構造単位の側鎖を有するものとして選択されたモノマー(A)であり、
前記モノマー(B)が、フッ素樹脂の改質目的から選択された機能性基を有するモノマー(B)である共重合体の製造方法。
<3> 前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合された部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合された部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとを有するブロック共重合体である前記<1>または<2>記載の共重合体の製造方法。
<4> 前記モノマー(A)が、下記式(A1)〜(A5)のいずれかで表されるモノマーである前記<1>〜<3>のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
<6> 前記モノマー(B)の機能性基が、極性基を有する機能性基である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
<7> 前記モノマー(B)が、極性基を有する機能性基として、オキシアルキレン基およびアミノ基、アミド基、スルホ基から選択されるいずれかの基を有するモノマーである前記<6>記載の共重合体の製造方法。
<8> 第1のモノマー(A)由来の構造単位と、第2のモノマー(B)由来の構造単位とを有する共重合体であって、
前記モノマー(A)が、その側鎖に式(a1)〜(a5)からなる群から選択されるいずれかのフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィンおよび置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、
前記モノマー(B)が、機能性基を有するモノマーである共重合体。
<9> 前記<8>に記載の共重合体を用いたフッ素樹脂改質剤。
<10> 前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合された部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合された部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとを有するブロック共重合体である前記<9>記載のフッ素樹脂改質剤。
<11> 前記<9>または<10>に記載のフッ素樹脂改質剤を用いるフッ素樹脂改質方法。
本発明の共重合体に用いられるモノマー(A)は、その側鎖に前述した式(a1)〜(a5)からなる群から選択されるいずれかのフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン、置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマー(A)であることを特徴とする。
本発明の共重合体に用いられる前記モノマー(B)は、機能性基を有するモノマー(B)であることを特徴とする。ここで、機能性基とは、重合後の共重合体内に存在することで、フッ素樹脂を改質する機能を奏する基である。フッ素樹脂が改質されるときに付与される機能としては、主に、親水性や、イオン伝導性、接着性、重金属担持性、有機溶媒親和性が挙げられる。モノマー(B)が有する機能性基とは、これらに対応する構造をいう。
[接触角]
水接触角測定装置(協和界面科学社製“Dropmaster100”)を用いて、表面の接触角を測定した。
[剥離試験]
JIS K 6854―3(1999)に準じてT型剥離試験を行った。なお、JIS試験法の寸法に対して、幅を1/2、長さを1/2とした試験片を用いて、剥離試験を実施した。試験に用いた接着剤は以下の接着剤である。また、降伏荷重および平均荷重、剥離強度は以下の通り求めた。
接着剤:エポキシ系接着剤
降伏荷重[N]:剥離開始点から終了点までの負荷荷重の最大値
平均荷重(平均剥離力)[N]:剥離試験データ(剥離距離−荷重)のうち、剥離開始点(0mm)から25mmおよび測定最終点より25mmを除外し、算出した負荷荷重の平均値
剥離強度 [N/mm]もしくは[N/m]:試験片(フィルム)単位幅あたりの平均荷重
[モノマー(A)]
・モノマー(A−1−1):DDFA
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,-ドデカフルオロへプチルアクリレート(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-Dodecafluorohepthyl Acrylate、DDFA)を用いた。このモノマーは、CF2基を6つ有するアクリレートであり、側鎖に式(a1)の繰り返し構造を3つ有するモノマーである。
[モノマー(B)]
・モノマー(B−1−1):DEEA
ジ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート(diethylen Glycol Ether Acrylate、DEEA)を用いた。このモノマーは、側鎖にオキシエチレン基を有するアクリレートである。
・モノマー(B−2−1):DEAEA
2−(エチルアミノ)エチルアクリレート(2-(Ethylamino)ethyl Acrylate、DEAEA)を用いた。このモノマーは、側鎖にアミノ基を有する有するアクリレートである。
[重合開始剤] Bloc Builder MA No.33
[溶媒] 酢酸ブチル
[PTFEフィルム] PTFEフィルム(サンプラテック社、厚さ0.1mm)
[PTFE多孔質膜] PTFEメンブレンフィルタ(ADVANTEC社、細孔径:1.00μm、Φ:47mm)
PTFE樹脂を用いた成形体に、親水性および接着性を付与することができるフッ素樹脂改質用の共重合体(1)の設計を試みた。まず、PTFEが、テトラフルオロエチレンを主たる構造として有することから、これと対応する(a1)で表されるフッ素化アルキル基を有するアクリレートである前記モノマー(A−1−1)を選択した。次に、親水性および接着性といった改質目的に対応する機能性基として、オキシアルキレン基を有するアクリレートである前記モノマー(B−1−1)を選択した。そして、ここで選択されたモノマーを用いて、フッ素樹脂改質用の共重合体(1)の製造を行った。
DDFA6.7g、酢酸ブチル6.7g、重合開始剤(Bloc Builder MA No.33)0.385gを混合した溶液を、重合温度約105℃、リアクターの撹拌速度75rpm、窒素雰囲気下でリビングラジカル重合することにより、第1のモノマー(A)であるDDFA(モノマー(A−1−1))のブロック重合体を製造した。さらに、これにより得られたDDFAのブロック重合体の溶液に、第2のモノマー(B)であるモノマー(B−1−1)を3.61g、酢酸ブチルを3.76g投入してモノマー(A−1−1)のブロック重合体に、モノマー(B−1−1)ブロック重合体が結合したブロック共重合体である共重合体(1)を得た。この共重合体(1)の構造式を以下に式(I)として示す。なお、得られた共重合体(1)の分子量(Mw:重量平均分子量)を、GPCにより測定し、ポリスチレン換算にて求めた。モノマー(A−1−1)由来の構造は推算値として約19,000(g/mol)、モノマー(B−1−1)由来の構造が約150,000(g/mol)の共重合体であった。
PTFE樹脂を用いた成形体に、親水性および接着性、重金属担持性を付与することができるフッ素樹脂改質用の共重合体(2)の設計を試みた。まず、PTFEが、テトラフルオロエチレンを主たる構造として有することから、これと対応する(a1)で表されるフッ素化アルキル基を有するアクリレートである前記モノマー(A−1−1)を選択した。次に、親水性および接着性、重金属担持性といった改質目的に対応する機能性基として、アミノ基を有するアクリレートである前記モノマー(B−2−1)を選択した。そして、ここで選択されたモノマーを用いて、フッ素樹脂改質用の共重合体(2)の製造を行った。
モノマー(B−2−1)を3.2g、酢酸ブチルを3.2g、重合開始剤(Bloc Builder MA No.33)0.385gを混合した溶液を、重合温度約105℃、リアクターの撹拌速度75rpm、窒素雰囲気下でリビングラジカル重合することにより、第2のモノマー(B)であるモノマー(B−2−1)のブロック重合体を製造した。さらに、これにより得られたモノマー(B−2−1)のブロック重合体の溶液に、第1のモノマー(A−1−1)であるDDFA6.9g、酢酸ブチル6.9gを投入してモノマー(A−1−1)のブロック重合体とモノマー(B−2−1)のブロック重合体とが結合したブロック共重合体である共重合体(2)を得た。この共重合体(2)の構造式を以下に式(II)として示す。なお得られた共重合体の分子量は、仕込み量・比率から、モノマー(A−1−1)由来の構造は推算値として約7,000(g/mol)、モノマー(B−2−1)由来の構造が約3,000(g/mol)の共重合体であった。
・共重合体(1)の塗工用液
前述の方法で入手された共重合体(1)を、酢酸ブチル溶液に溶解させて共重合体(1)溶液を調製した。
・共重合体(2)の塗工用液
前述の方法で入手された共重合体(2)を、酢酸ブチル溶液に溶解させて共重合体(2)溶液を調製した。
(1)ディッピング
共重合体溶液に、およそ1秒間、フッ素樹脂成型品の改質対象となる部分を浸漬し、その後、常温で静置し自然乾燥した。
(2)コーティング
共重合体溶液を、塗工厚みが約50μmのアプリケーターを用いて塗工し、その後、常温で静置し自然乾燥した。
PTFEシート(厚さ0.8mm)表面を、共重合体(1)の濃度が0.1重量%、1.0重量%の溶液を用いて、コーティングにより処理することで、改質されたPTFEシート接触角を測定した。結果を、表1に示す。
PTFE多孔質膜を、共重合体(1)の濃度が5重量%の溶液を用いて、ディッピングおよび片面コーティングにより処理することで、それぞれの工法で改質されたPTFE多孔質膜上に水滴を静置した結果を、図1に示す。
図1からも明らかなように、本発明の共重合体を用いて処理されたPTFE多孔質膜は、親水性を示し、吸水するようになった。
PTFEフィルム(厚さ0.1mm)を、共重合体(1)の濃度が5重量%の溶液を用いて、ディッピングおよび片面コーティングにより処理することで、それぞれの工法で改質されたPTFEフィルムの剥離強度を測定した結果を、表2に示す。
PTFEシート(厚さ0.8mm)表面を、共重合体(2)の濃度が0.1重量%、1.0重量%、5.0重量%の溶液を用いて、コーティングにより処理することで、改質されたPTFEシート接触角を測定した。結果を、表3に示す。
PTFE多孔質膜を、共重合体(2)の濃度が0.1重量%、1.0重量%、5.0重量%の溶液を用いて、コーティングにより処理することで、改質されたPTFE多孔質膜接触角を測定した。結果を、表4に示す。なお、多孔質膜は経時変化により水が浸透して接触角が変化するため、試験開始後の接触角の経時変化も評価した。
PTFEフィルム(厚さ0.1mm)を、共重合体(2)の濃度が5重量%の溶液を用いてディッピング処理したPTFEフィルム、共重合体(2)の濃度が1重量%および5重量%の溶液を用いて片面コーティングにより処理することで改質されたPTFEフィルムの、それぞれについて剥離強度を測定した結果を、表5に示す。
Claims (10)
- 第1のモノマー(A)由来の構造単位と、第2のモノマー(B)由来の構造単位とを有する共重合体であり、
前記モノマー(A)が、その側鎖に式(a1)〜(a5)からなる群から選択されるいずれかのフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、およびαオレフィンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、かつ、前記モノマー(A)が、改質対象となるフッ素樹脂成形体のポリマー構造と共通する構造単位の側鎖を有するものとして選択されたモノマー(A)であり、
前記モノマー(B)が、その側鎖にフッ素樹脂成形体の改質目的から選択された極性基の機能性基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、αオレフィン、および置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマー(B)であり、
前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合された部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合された部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとを有するブロック共重合体であるフッ素樹脂成形体の改質用の共重合体を含むフッ素樹脂改質剤を用いるフッ素樹脂成形体の改質方法であって、
前記フッ素樹脂改質剤が、前記共重合体と溶媒とを含む溶液であり、
前記溶液を前記フッ素樹脂成形体に塗工、および/または、前記溶液に前記フッ素樹脂成形体を浸漬する処理を行い、
前記処理された前記フッ素樹脂成形体を乾燥することを特徴とするフッ素樹脂成形体の改質方法。
- 前記溶媒が、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、およびテトラヒドロフランからなる群から選択されるいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載のフッ素樹脂成形体の改質方法(ただし、前記フッ素樹脂成形体が、リチウムイオン二次電池用のセパレータである場合を除く)。
- 前記溶液における、前記共重合体の濃度が0.5〜20重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のフッ素樹脂成形体の改質方法。
- 前記モノマー(A)が、式(A1)〜(A5)のいずれかで表されるモノマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素樹脂成形体の改質方法。
- 前記モノマー(A)が、前記式(A1)で表されるモノマーであることを特徴とする請求項4記載のフッ素樹脂成形体の改質方法。
- 前記モノマー(B)が、極性基を有する機能性基として、アミノ基、アミド基、およびスルホ基からなる群から選択されるいずれかの基を有するモノマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素樹脂成形体の改質方法。
- フッ素樹脂成形体の改質用の共重合体の製造方法であって、
前記フッ素樹脂成形体の改質用の共重合体が、第1のモノマー(A)と、第2のモノマー(B)との共重合体であって、
前記モノマー(A)が、その側鎖に式(a1)〜(a5)からなる群から選択されるいずれかのフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、およびαオレフィンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、かつ、前記モノマー(A)が、改質対象となるフッ素樹脂成形体のポリマー構造と共通する構造単位の側鎖を有するものとして選択されたモノマー(A)であり、
前記モノマー(B)が、その側鎖にフッ素樹脂成形体の改質目的から選択された機能性基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、αオレフィン、および置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマー(B)であり、
前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合された部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合された部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとを有するブロック共重合体であり、
前記モノマー(B)が、極性基を有する機能性基として、アミノ基、アミド基、およびスルホ基からなる群から選択されるいずれかの基を有するモノマーであることを特徴とする共重合体の製造方法。
- 前記モノマー(A)由来重合ブロックの分子量が、1,000以上であり、
前記モノマー(B)由来重合ブロックの分子量が、1,000以上であることを特徴とする請求項7記載の共重合体の製造方法(ただし、前記フッ素樹脂成形体が、リチウムイオン二次電池用のセパレータである場合を除く)。 - 前記モノマー(A)が、式(A1)〜(A5)のいずれかで表されるモノマーであることを特徴とする請求項7または8に記載の共重合体の製造方法
- 前記モノマー(A)が、前記式(A1)で表されるモノマーであることを特徴とする請求項9記載の共重合体の製造方法。
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