JP3066875B2 - 耐久性のある親水性多孔質フッ素樹脂材料及びその製造方法 - Google Patents
耐久性のある親水性多孔質フッ素樹脂材料及びその製造方法Info
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れた親水性多孔質フッ素樹脂材料及びその製造方法に関
するものである。
る多孔質フッ素樹脂材料は、耐熱性と耐化学薬品性に優
れているため、強い酸やアルカリ、有機溶剤等を媒体と
する分散液の分離濾過のためのフィルターとしてきわめ
て優れた性質をもっている。しかし、多孔質フッ素樹脂
材料は、一般に撥水性が大きく、水を媒体とする分散液
のときは、水媒体がフィルター内部に浸透しにくいとい
う性質を有するため、耐熱性や耐化学薬品性に優れてい
るにもかかわらず、強酸・強アルカリといった水溶液系
への応用が困難になっていた。このため、耐熱性と耐化
学薬品性を低下させないように親水化することを目的と
して、材料の細孔内表面にフッ素化界面活性剤を含浸さ
せることにより該多孔質フッ素材料の撥水性を緩和ない
しは親水化する試みがなされてきた。このような親水化
を目的とする処理方法に、特開昭56−130486号
公報に開示されるような、多孔質フッ素樹脂材料にフッ
素化界面活性剤をアルコール溶液等により含浸させる方
法がある。しかし、この方法は単にフッ素化界面活性剤
を有機性媒体を使って含浸させ、化学的な親和力だけで
もってそのフッ素化界面活性剤を多孔質材料の孔壁表面
に付着させる方法であることから、フィルターとして使
用中にその界面活性剤が材料から水媒体とともに溶出し
てしまうという欠点を有する。
開昭61−249503号公報には、含浸させたフッ素
化界面活性剤を水に不溶となるまで橋かけさせることに
より、長期間の水中保存によってもフッ素化界面活性剤
が拡散溶出していくことなく、初期の親水性を維持しう
る親水性多孔質フッ素樹脂材料及びその処理方法が開示
されている。この場合、フッ素化界面活性剤としては、
耐熱性の維持の点からはカルボン酸塩やスルホン酸塩な
どのアニオン型、湿潤性や浸透性の点からはエチレンオ
キサイド付加物からなるノニオン型などが望ましいとさ
れ、また、橋かけの方法としては、γ線や電子線、非平
衡プラズマなどの高エネルギー放射線による照射処理が
開示されている。
化(橋かけ)処理に高エネルギー放射線を照射するた
め、必然的に基材である多孔質フッ素樹脂材料の機械的
性質が劣化するという問題がある上、含浸させたフッ素
化界面活性剤自体も劣化ないしは変質するおそれがあ
る。
見られる前記問題を解決し、多孔質フッ素樹脂材料の機
械的性質の劣化や変質のない親水性多孔質フッ素樹脂材
料及びその製造方法を提供することをその課題とする。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成
するに至った。即ち、本発明は、含浸させた含フッ素化
合物を橋かけさせることによる、耐久性のある親水性多
孔質フッ素樹脂材料及びその製造方法において、パーフ
ルオルアルキル基、親水性基及びイソシアネート橋かけ
が可能な官能基を有する特殊な含フッ素化合物又は混合
物を使用するとともに、含浸と同時にあるいは含浸後に
おいてイソシアネート橋かけを起こさせることにより、
その親水性を長期間にわたって持続させ、かつ、耐熱性
と耐化学薬品性があり、機械的性質の劣化もない親水性
多孔質フッ素樹脂材料及びその製造方法を提供するもの
である。
ッ素樹脂材料の材質は、特に限定されないが、通常は、
ポリテトラフルオロエチレンである。これ以外にも、テ
トラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重
合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフ
ッ素樹脂を材質とするものも使用することができる。ま
た、細孔を形成させる手段は、特に限定されるものでは
なく、延伸、発泡、抽出等のいずれの手段によるもので
あってもよいが、細孔は連続して表裏に貫通しているこ
とが必要である。
材料は、ポリテトラフルオロエチレンを延伸してフィブ
リル化することによって多孔質化したものである(特公
56−45773号公報、特公56−17216号公
報)。多孔質フッ素樹脂材料の物性値として、その空孔
率は15〜95%、好ましくは75〜95%、細孔直径
は0.02〜30μmであることが好ましい。材料の形
態は、特にフィルム状のものに限定するものではなく、
チューブ、テープ、織物等の形態であってもよい。
ルオルアルキル基と、親水性基と、イソシアネート橋か
けが可能な官能基を有する化合物であり、低分子化合物
及び高分子化合物のいずれも使用可能である。パーフル
オルアルキル基としては、低級パーフルオルアルキル基
及び高級パーフルオルアルキル基のいずれも使用でき、
一般的には、その炭素数は3〜21個である。親水性基
としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リ
ン酸基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。イソシア
ネート橋かけが可能な官能基は、活性水素を有する官能
基であり、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リ
ン酸基、アミノ基、アミド基、等が挙げられる。親水基
はイソシアネート橋かけが可能な官能基としても作用す
ることから、親水基の一部をその官能基として用いるこ
とができる。イソシアネートと活性水素との間の橋かけ
反応は従来良く知られた反応である。
ついて以下に示す。 (1)パーフルオルアルキル基(Rf)を有するモノマ
ー(以下、Rfモノマーとも言う)と、親水基を有する
モノマーとの共重合体。Rfモノマーとしては、例え
ば、以下のものが挙げられる。 前記式において、Rは水素、メチル基、エチル基、トリ
フルオルメチル基(CF3)又はペンタフルオルエチル
基(C2F5)である。
タクリル酸の他、以下に示す如きアクリル酸やメタクリ
ル酸のアルキレンオキシド付加体が挙げられる。 前記式中、Rは水素又はメチル基であり、n及びmは1
以上の整数である。Rfモノマー及び親水性モノマーは
いずれも一種又は二種以上であってもよい。また、前記
Rfモノマーと親水性モノマーには、必要に応じ、さら
に、他のビニルモノマー、例えば、アクリル酸やメタク
リル酸のアルキルエステル、トリメチロールプロパンの
如き多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸との
エステル等を併用することができる。前記共重合体とイ
ソシアネートとの多孔質フッ素樹脂材料中での反応は、
あらかじめ共重合体を生成させた後、イソシアネートと
反応させてもよく、共重合体を構成する各モノマー混合
物とイソシアネートとを反応させてもよい。
ルボン酸又はスルホン酸アミドの窒素原子に結合する水
素を水酸基含有基に置換したもの。この化合物を例示す
ると次の通りである。 RfCONHC2H4O(C2H4O)nH (10) RfSO2NHC2H4O(C2H4O)nH (11)
イソシアネートとパーフルオル基含有アルコールと多価
アルコールとの混合物を多孔質フッ素樹脂材料中で反応
させることによって、所望の親水性化合物を細孔内に付
着結合させることもできる。 混合物(A): RfC2H4OH、 ヘキサメチレントリイソシアネート HO(CH2CH2O)nH グリシドール からなる混合物。 混合物(B): RfC2H4OH、 ヘキサメチレントリイソシアネート HO(CH2CH2O)nH からなる混合物。
トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネー
ト、トリジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネ
ート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニ
ルメタントリイソシアネート等の芳香族イソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
トリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネー
ト等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート等の脂環族イソシアネートを挙げることができる。
ッ素樹脂材料に含浸させるのに使用する媒体は、特に有
機性溶剤に限定されないが、多孔質フッ素樹脂材料によ
く浸透する程度の小さい表面張力を有し、かつ、含フッ
素化合物やイソシアネートをよく溶解し、かつ、それら
と反応しないものであれば何でもよい。そのような媒体
としては、ハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、アセトン
などの有機溶剤を挙げることができる。含フッ素化合物
溶液の多孔質フッ素樹脂材料への含浸処理は塗布、散
布、浸漬、圧入、吸引などがあり、その手段を特に限定
しない。含フッ素化合物溶液中の含フッ素化合物の濃度
は、1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%であり、
また、多孔質フッ素樹脂材料への含フッ素化合物の付着
量は5〜15g/m2であり、これらの値より小さすぎ
ると、親水化効果がなく、大きすぎると目詰まりが起こ
り好ましくない。イソシアネートの添加量は、OH基の
ごときイソシアネート橋かけが可能な官能基の個数の
0.5〜20%、好ましくは2〜10%がイソシアネー
トと反応し、橋かけが起こる量が好ましい。添加量が少
なすぎる場合には、耐久性のある親水性多孔質フッ素樹
脂材料を得ることはできず、多すぎる場合には、親水性
を阻害するため、好ましくない。橋かけ処理は、多孔質
フッ素樹脂材料に含フッ素化合物溶液を含浸させた後に
行なってもよいし、含浸と同時に行なってもよい。より
具体的に説明すると、含フッ素化合物溶液を含浸させた
後にイソシアネートと接触させて橋かけ反応を起こさせ
てもよいし、含フッ素化合物溶液にイソシアネートをあ
らかじめ添加して橋かけ反応を進めながら含浸させても
よい。後者の場合、イソシアネートを添加した時点から
橋かけ反応が緩やかに進行するので、その添加と同時に
あるいは添加した時点からごく短い時間内に含浸処理す
るのがよい。また、基材の収縮による寸法変化を防止す
るため、ピンフレーム等に基材を固定して処理するのが
望ましい。橋かけ処理後の溶剤除去は、含浸後の該多孔
質フッ素樹脂材料をピンフレーム上で風乾させるか、減
圧下で蒸発させるのが望ましい。
に含浸させた特殊な含フッ素化合物をイソシアネート橋
かけさせるものでこれにより含フッ素化合物分子同士間
の3次元網目構造が形成され、細孔から含フッ素化合物
が水中に溶出するのが防止される。そして、この方法は
基材の多孔質フッ素樹脂材料と含フッ素化合物の劣化や
変質を伴わないものであるから、耐久性のある親水性多
孔質フッ素樹脂材料を得ることができる。したがって、
本発明の親水性多孔質フッ素樹脂材料は、水媒体系のフ
ィルターとして長期的に使用されうるほか、気体/液体
の分離膜、酵素固定膜等の分野でも広く利用されるもの
である。
説明する。
H=CH2/CH2=CHCOO(C2H4O)4・5
H/CH2=CHCOO(C3H6O)7H=20/6
0/20重量比の共重合体(以下、単に含フッ素化合物
という)を表1に示す種々の濃度に調整した酢酸エチル
溶液50g中に、大きさ6cm×6cmの延伸ポリテト
ラフルオロエチレンフィルム(厚さ40μm、空孔率8
0%、孔径0.2μm、以下、単にフィルムという)を
約10分間常温で浸漬した後、取り出したフィルムの4
辺をピンフレームにはりつけ、固定状態で酢酸エチルを
風乾除去した。各参考例で得られたフィルムの親水性を
示すために、酢酸エチル中の含フッ素化合物濃度と得ら
れたフィルムの初期親水性と水透過時間を表1に示す。
ここで、初期親水性とは、水滴をフィルム表面に滴下
し、水滴がフィルム内に吸収されるのに要する時間で評
価したもので、それぞれの印はその評価のグレードを示
す。 ○印:10秒以内に吸収される、きわめて親水性に優れ
た状態。 △印:10秒以上経過しても吸収されないが、水に圧力
をかけると吸収される程度の弱い親水性の状態。 ×印:水の吸収がまったくなく、疎水性の状態。 また、水透過時間とは、容量300mlのロート下部に
セットされた直径35mm、100メッシュの金網上に
フィルムを置き、フィルムの下方から真空に減圧した後
に、200mlの水をロート上部から注ぎ、その水全量
がフィルムを透過するまでの時間(秒)をいう。
1)、親水性をまったく示さず、1重量%になると(参
考例2)、親水化傾向を示した。2重量%以上になると
(参考例3〜6)、良好な親水性を示し水透過時間も一
定になったが、6重量%に達すると(参考例6)、今度
は目詰まりの効果が現われ、水透過時間が少し長くなっ
た。これらの結果から、親水化処理には含フッ素化合物
濃度として2〜5重量%が適当であると判断された。
溶液50g中に、表中に示す種々の量のイソシアネート
(ジフェニルメタンジイソシアネート)を常温で添加し
た直後に、この溶液を含浸させたフィルムの初期親水
性、水透過時間及び水透過・煮沸サイクル後の重量維持
率を示す。初期親水性と水透過時間の測定方法は参考例
1〜6で説明したのと同じ方法である。水透過・煮沸サ
イクル後の重量維持率は、水透過時間の測定後、水中で
煮沸15分、真空乾燥のプロセスを1サイクルとして、
乾燥後の重量変化を測定することにより含浸乾燥後のフ
ィルム重量に対する維持率を計算して求めた。各実験例
で得られたフィルム(乾燥後)の重量増加率はいずれも
約40%であった。
添加した場合(実験No.2〜6)は、良好な初期親水
性を示し、添加量が多くなるにしたがい、水透過時間は
長くなる傾向にある。橋かけ密度の増加とともに透過に
対する抵抗が増した。また、イソシアネート量の増加に
伴ない、水透過・煮沸サイクル後の重量維持率は早く安
定化し、かつ、高い値を維持し、溶出物の量が減少し
た。しかし、イソシアネート量が多過ぎる(200mg
以上)と初期親水性が悪化するので好ましくない。表3
は、実験No.1、2、3、5について、水透過・煮沸
サイクル後の初期親水性と水透過時間を示す。
物の橋かけがないため各サイクルで溶出する結果、3サ
イクル目でフィルムの初期親水性は疎水性になった。実
験No.2、3のフィルムは、3サイクル後でも初期親
水性は良好で、水透過時間も常に短かった。実験No.
5のフィルムでは、1サイクル後にすでに親水性が弱く
なり、サイクル数が増すにしたがい水透過時間も増加し
た。表4は、実験No.3のフィルムの初期親水性の耐
化学薬品性を示す。表中に示すそれぞれの環境でフィル
ムを処理した後、よく洗浄、乾燥したものについて初期
親水性を調べた。
80℃の1N苛性ソーダ中に1時間浸漬するとその親水
性を失なったが、その他の耐酸、耐アルカリ条件下で良
好な耐久性を示した。
Claims (5)
- 【請求項1】 微細孔を有する多孔質フッ素樹脂材料に
おいて、該細孔の表面にパーフルオルアルキル基と親水
性基を有する含フッ素化合物が付着結合されかつ該含フ
ッ素化合物はイソシアネートを介して橋かけ構造を有す
ることを特徴とする親水性多孔質フッ素樹脂材料。 - 【請求項2】 多孔質フッ素樹脂材料が、多孔質ポリテ
トラフルオロエチレンからなる請求項1の親水性多孔質
フッ素樹脂材料。 - 【請求項3】 微細孔を有する多孔質フッ素樹脂材料に
パーフルオルアルキル基、親水性基及びイソシアネート
橋かけが可能な官能基を有する含フッ素化合物又は混合
物を含浸させた後に、イソシアネートと反応させること
を特徴とする親水性多孔質フッ素樹脂材料の製造方法。 - 【請求項4】 微細孔を有する多孔質フッ素樹脂材料に
パーフルオルアルキル基、親水性基及びイソシアネート
橋かけが可能な官能基を有する含フッ素化合物又は混合
物をイソシアネートと反応させながら含浸させることを
特徴とする親水性多孔質フッ素樹脂材料の製造方法。 - 【請求項5】 多孔質フッ素樹脂材料が多孔質ポリテト
ラフルオロエチレンからなる請求項3又は4の方法。
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JP2417376A JP3066875B2 (ja) | 1990-12-29 | 1990-12-29 | 耐久性のある親水性多孔質フッ素樹脂材料及びその製造方法 |
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JPH04249548A JPH04249548A (ja) | 1992-09-04 |
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JP2417376A Expired - Lifetime JP3066875B2 (ja) | 1990-12-29 | 1990-12-29 | 耐久性のある親水性多孔質フッ素樹脂材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3066875B2 (ja) |
Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN110508161A (zh) * | 2018-05-22 | 2019-11-29 | 江苏斯凯氟复合材料有限公司 | 一种亲水性聚四氟乙烯微孔膜的制备方法 |
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JP6703771B2 (ja) * | 2014-10-21 | 2020-06-03 | 学校法人福岡大学 | フッ素樹脂成形体の改質方法およびフッ素樹脂成形体の改質用の共重合体の製造方法 |
JP7104270B2 (ja) * | 2017-12-27 | 2022-07-21 | 住友電気工業株式会社 | 含油排水処理用濾過膜及び含油排水処理用濾過モジュール |
-
1990
- 1990-12-29 JP JP2417376A patent/JP3066875B2/ja not_active Expired - Lifetime
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