JP3041653B2 - アノードバッグ及びそれを用いた電気メッキ方法 - Google Patents

アノードバッグ及びそれを用いた電気メッキ方法

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JP3041653B2
JP3041653B2 JP3216363A JP21636391A JP3041653B2 JP 3041653 B2 JP3041653 B2 JP 3041653B2 JP 3216363 A JP3216363 A JP 3216363A JP 21636391 A JP21636391 A JP 21636391A JP 3041653 B2 JP3041653 B2 JP 3041653B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気メッキを行うとき
に、アノードから発生するスライムを防止するために、
アノードにかぶせるアノードバッグ及びそれを用いる電
気メッキ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】従来より、電気メッキは
各分野で広く使用されており、表面処理技術の基礎技術
として確立されている。一般に、電気メッキを行う場
合、メッキ液の中に、アノード電極と、金属メッキされ
る(製品となる)カソード電極をいれる。この時、アノ
ード電極からスライムが発生する為、実際上このアノー
ド電極を多孔質の部材でカバーして、スライムがメッキ
液の中に入り込むのが防ぐことが行われている。従来、
アノードバッグとして使用されている素材は、サラン
布、ポリプロピレン多孔体等が多い。アノードバッグ素
材には、一般に、耐薬品性に優れ、バッグフィルターと
して均一な孔径を持つことが要求され、かつ、汚染物を
発生しないことが要求され、これらの点からは、不織布
の使用が好ましい。耐薬品性が要求される理由は、通
常、メッキ浴は、強酸性の硫酸化合物が多いからであ
る。ところで、耐薬品性に非常に優れ、かつ、均一な孔
径を有し、かつ、不純物を発生しないアノードバックの
材料として、多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィル
ムも好ましく使用されている。しかし、メッキ浴は一般
に水溶液であるから、撥水性が非常に高い多孔質ポリテ
トラフルオロエチレンの如き多孔質フッ素樹脂は、その
ままではアノードバッグに使用することはできない。従
来は、この多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルム
を親水化させるために、まず、アルコール等の溶剤を含
浸させ、この溶剤が揮発しないうちに、メツキ浴の中に
入れ、溶剤とメッキ浴の置換を行うことが行われてい
る。しかし、この溶剤とメッキ浴との置換には大きな手
間がかかる上に、アルコール等の含浸溶剤がメッキ浴の
中に溶け出すので、メツキ浴が汚染され、かつ浴の安定
性も悪くなる。さらに、一度このような方法で親水化し
た材料も、空気等の気体に触れると、その部分が一気に
撥水化されるので、この場合、再び上記方法で親水化さ
せる必要がある。現在アノードは大型化してきており、
従って、アノードバッグも大型化してきており、このよ
うな置換を行って親水化を行うことは作業上非常に困難
になってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多孔質フッ
素樹脂からなるアノードバッグにおいて、従来技術に見
られる前記問題の解決されたものを提供することをその
課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、親水性化物質を細
孔内表面に付着結合させた親水性の多孔質フッ素樹脂を
素材として用いて形成したアノードバックは、その使用
に際して汚染物を発生せず、かつ空気中で取扱っても素
材が撥水化されることもなく、すぐれた使用特性を有す
ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本
発明によれば、親水性物質を細孔内壁面に付着結合させ
た親水性多孔質フッ素樹脂フィルムからなるアノードバ
ッグが提供される。また、本発明によれば、前記アノー
ドバッグ内にアノード電極を収容させてメッキ液中に配
設するとともに、メッキを施す金属材料をカソード電極
としてメッキ液中に配設し、両電極間に通電することを
特徴とする電気メッキ方法が提供される。
【0005】本発明においてアノードバッグ基本素材と
して用いる多孔質フッ素樹脂材料は、平均細孔直径が1
00μm以下の連続した微細孔(透孔)を有するもので
あればよく、その細孔を形成させる手段も特に限定され
ず、延伸や拡張、発泡、抽出等が採用される。また、フ
ッ素樹脂の種類は特に限定されず、各種のものが用いら
れる。本発明で用いる好ましいフッ素樹脂は、ポリテト
ラフルオロエチレンであるが、その他、テトラフルオロ
エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフ
ッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等も使用し得る。本
発明においては、多孔質ポリテトラフルオロエチレン、
特に延伸された多孔質ポリテトラフルオロエチレンの使
用が好ましい。
【0006】本発明で好ましく用いる多孔質フッ素樹脂
材料は、ポリテトラフルオロエチレンの延伸物からな
り、平均細孔直径:100μm以下、好ましくは50μ
m以下、空孔率:15〜95%、好ましくは50〜95
%を有するものである。このような素材については、特
公昭56−45773号、特公昭56−17216号、
米国特許第4187390号に詳述されている。本発明
においては、前記多孔質フッ素樹脂材料(以下単に材料
とも言う)を、その細孔内表面に、親水性物質を付着結
合させ、親水性化することによって、アノードにッグ素
材として用いる。親水性物質としては、水溶液に対して
難溶性もしくは実質的に不溶性のものが好ましい。親水
化処理方法としては、材料に対し、親水性モノマーを、
レーザーの照射下でグラフト重合させる方法(特開平2
−196834号)、プラズマの照射下でグラフト重合
させる方法(特開平2−208333号)、放射線の照
射下でグラフト重合させる方法(特開平1−98640
号)等の親水性モノマーのグラフト重合法の他、材料に
親水性ポリマー又は界面活性剤を含浸させた後、プラズ
マ処理して架橋化させる方法(特開昭56−15748
7号)、無機化合物前駆体液を材料に含浸させた後、加
水分解・化合・加熱処理する方法、界面活性剤を付着さ
せる方法(特開平2−107649号)等が挙げられ
る。多孔質フッ素樹脂材料に対する特に好ましい親水化
処理方法は、含フッ素親水性高分子を付着させる方法で
ある。この方法について、以下に詳述する。
【0007】含フッ素親水性高分子は、その分子中にフ
ッ素を含有する疎水性部分と、親水性基を有する親水性
部分を有するもので、水又は水溶液に対して幾分の可溶
性を有するもの、好ましくは実質的に水不溶性を示すも
のの使用が好ましい。親水性基としては、例えば、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、シアノ基、
ピロリドン基、イソシアネート基、イミダゾール基、リ
ン酸基、N−置換されていてもよいアミド基、N−置換
されていてもよいアミノ基、スルホンアミド基等を挙げ
ることができる。また、またそれらの親水基の活性水素
には、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシドや
プロピレンオキシドが付加反応されていてもよい。前記
含フッ素親水性高分子は、フッ素含有エチレン性不飽和
モノマーと、フッ素を含まない親水基含有ビニルモノマ
ーを共重合化させることにより得ることができる。フッ
素含有モノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチ
レン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、モノクロロト
リフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘ
キサフルオロプロピレン等が挙げられる。
【0008】好ましいフッ素含有モノマーは、次の一般
式で示すことができる。 CXY=CFZ (1) 前記式中、Zはフッ素又は水素を示し、X及びYは水
素、フッ素、塩素及びトリフルオロメチル(−CF3
の中から選ばれる。
【0009】また、他の好ましいフッ素含有モノマー
は、次の一般式で示すことができる。 前記式において、Rは水素、フッ素、メチル基、エチ
ル基、トリフルオルメチル基(CF3)又はペンタフル
オルエチル(C25)である。Rfは炭素数4〜21の
パーフルオロアルキル基を示す。
【0010】一方、親水基含有モノマーとしては、前記
した各種の親水基を有するビニルモノマー及びそれらの
親水基の活性水素にアルキレンオキシド、例えばエチレ
ンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させたモノ
マーも好適のものである。酢酸ビニルのように、共重合
化後、加水分解することにより親水基含有コポリマーを
与えるものも使用される。親水性モノマーの具体例とし
ては、ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、
フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のような不飽和カル
ボン酸の他、以下に示す如きアクリル酸やメタクリル酸
のアルキレンオキシド付加体が挙げられる。 前記式中、Rは水素又はメチル基であり、n及びmは1
以上の整数である。含フッ素モノマー及び親水基含有モ
ノマーはいずれも一種又は二種以上であってもよい。ま
た、前記含フッ素モノマーと親水基含有モノマーには、
必要に応じ、さらに、他のビニルモノマー、例えば、ア
クリル酸やメタクリル酸のアルキルエステル、トリメチ
ロールプロパンの如き多価アルコールとアクリル酸又は
メタクリル酸とのエステル等を併用することができる。
【0012】含フッ素親水性高分子として好ましく用い
られるビニアルコールとフッ素含有モノマーとのコポリ
マーは、ビニルアセテートとフッ素含有モノマーとのコ
ポリマーをケン化し、コポリマーに含まれるアセテート
基をヒドロキシル基に変換することにより得ることがで
きる。この場合、コポリマーに含有されるアセテート基
は、必ずしもその全てをヒドロキシル基に変換させる必
要はなく、アセテート基のヒドロキシル基への変換はコ
ポリマーが親水性を有する程度まで行えばよい。含フッ
素親水性コポリマーのフッ素含有率量は、重量基準で、
通常2%〜60%、好ましくは10%〜60%、更に好
ましくは20%〜60%である。含フッ素親水性コポリ
マーのフッ素含有率が多すぎると、耐熱性は良くなるも
ののポリマーの親水性が低下する。一方、フッ素含有率
が少なすぎると含フッ素親水性コポリマーの材料に対す
る接着性が小さくなり、耐熱性も小さくなる。材料の親
水性化のために好ましく用いる含フッ素親水性コポリマ
ーにおいて、その親水基当量は、一般に、45〜70
0、好ましくは60〜500、更に好ましくは60〜4
50である。この親水基当量が45未満の場合、含フッ
素親水性コポリマーの溶解度が非常に大きくなり、その
コポリマーは水で材料から溶出されやすくなり、一方、
親水基当量が700より大きくなると親水性が小さくな
りすぎて、材料の親水性化を達成できなくなる。
【0013】表1〜表2にいくつかのコポリマーについ
て、そのコポリマー中の含フッ素モノマー単位のモル
%、フッ素重量%(F−wt%)及び親水基当量(Eq
−W)を示す。VOHはビニルアルコールである。
【0014】なお、本明細書における親水基当量(Eq
−W)とは、コポリマーの分子量を、親水基の数で割っ
た値である。以下に示した親水基当量は、次式により算
出される。 式中、A・xは、含フッ素モノマーの分子量にそのモル
数xをかけた値であり、一方、B・yは親水基含有モノ
マーの分子量にそのモル数yをかけた値である。
【0015】
【表1】 コポリマー コポリマー中 コポリマー中の のモル比 含フッ素モノマー F-wt% Eq-W 単位のモル% (CF2=CF2)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 4.2 45.5 1, 30 3.2 5.5 46.4 1, 20 4.8 7.9 48.0 1, 10 9.1 14.3 53 1, 4 20 27.5 68 1, 1 50 53.1 143 10, 1 91 72.8 1043 (CF=CFH)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 2.1 44.6 1, 30 3.2 2.8 45.2 1, 20 4.8 4.1 46.2 1, 10 9.1 7.5 49 1, 4 20 − − 1, 1 50 33.6 107 10, 1 91 55.6 683 (CFH=CH)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 1.1 44.2 1, 30 3.2 1.4 45.6 1, 20 4.8 2.1 45.3 1, 10 9.1 4.0 47.6 1, 4 20 − − 1, 1 50 21.3 89 10, 1 91 37.8 503
【0016】
【表2】 コポリマー コポリマー中 コポリマー中の のモル比 含フッ素モノマー F-wt% Eq-W 単位のモル% (CF2=CFCl)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 3.1 46.0 1, 30 3.2 4.0 46.9 1, 20 4.8 5.8 48.9 1, 10 9.1 10.4 54.6 1, 4 20 − − 1, 1 50 35.8 159 10, 1 91 47.2 1208 (CF=CCl)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 2.0 46.6 1, 30 3.2 2.7 47.7 1, 20 4.8 3.8 50.0 1, 10 9.1 6.7 57 1, 4 20 − − 1, 1 50 20.8 183 10, 1 91 26.3 1442 (CF=CFCF)x/(VOH)y X=1, Y=40 2.4 6.1 46.8 1, 30 3.2 7.9 48.0 1, 20 4.8 11.3 50.5 1, 10 9.1 19.6 58 1, 4 20 − − 1, 1 50 59.0 193 10, 1 91 73.9 1543
【0017】材料の細孔内表面に含フッ素親水性高分子
を付着結合させるためには、例えば含フッ素親水性コポ
リマーを、アルコール、ケトン、エステル、アミドある
いは炭化水素のような有機溶媒中に溶解し、その溶液中
に材料を浸漬するか、あるいはその溶液をスプレー又は
ローラーを用いたコーティング法により材料にその溶液
を含浸させた後、乾燥させる。このようにして、含フッ
素親水性高分子材料が内表面に付着し、水が微細孔内を
通過することが可能となる。材料に対する含フッ素親水
性高分子の付着量は、材料の親水性を高めるのに十分な
量であればよく、使用する材料の多孔性等により変化す
るが、通常、最終生成物の重量に対して、1.5〜10
重量%、好ましくは2〜6重量%である。
【0018】また、親水性化多孔質フッ素樹脂材料は、
これに含フッ素モノマーと親水基に変換可能な酢酸ビニ
ルのような疎水性モノマーからなるコポリマーの有機溶
媒溶液を含浸させ、材料を乾燥し、次いでそのアセテー
ト基の少なくとも一部を親水基に変換することにより製
造することもできる。
【0019】前記のようにして得られる親水性多孔質フ
ッ素樹脂材料は、親水性含フッ素高分子が細孔内表面に
膜状又は粒子状に結合している構造を有する。これによ
り細孔内には水及び各種の水溶液が浸入し、透過できる
ようになる。親水性含フッ素高分子の親水基当量を適度
な範囲に規定し、高分子の水に対する溶解性をコントロ
ールすることにより、高分子そのものの材料からの溶離
を防ぐことできる。含フッ素親水性コポリマーの多孔質
フッ素樹脂材料への付着結合力は、そのコポリマー中の
フッ素原子の作用によって強力なものとなり、その耐久
性も安定した状態で長期間にわたって維持される。
【0020】本発明のアノードバックは、前記の親水性
多孔質フッ素樹脂材料を用い、これをアノードを内部に
収容できるバッグ形状に成形したものである。本発明の
アノードバックは、一般的には、親水性多孔質フッ素樹
脂フィルムを、接着剤を用いる接着法や、熱融着法によ
って、所要大きさのバッグ形状に成形することにより作
製することができる。このアノードバッグの形状は、従
来良く知られている。
【0021】本発明のアノードバックにおいては、その
内面及び/又は外面に、通液性の補強材を積層接着させ
ることとができる。この通液性補強材としては、耐薬品
性にすぐれ、その使用に際して汚染物を発生しないもの
であればどのようなものでも使用可能である。このよう
なものとしては、合成繊維や無機繊で形成した織布や不
織布の他、ポリエチレンネット、ポリプロピレンネッ
ト、サラン布等が挙げられる。多孔質ポリテトラフルオ
ロエチレンのファイバーで形成した織布は好ましく使用
することができる。この補強材と親水性多孔質フッ素樹
脂フィルムとの積層接着は、接着剤による接着法の他、
好ましくは熱融着法が用いられる。接着剤を用いる場合
は、耐薬品性の点から、フッ素系接着剤の使用が好まし
い。また、この補強材の接着は、全面接着の他、点状接
着、線状接着等の部分接着により行うことができる。こ
のような補強材を積層接着したアノードバッグは、片面
又は両面に補強材をあらかじめ積層接着させた親水性多
孔質フッ素樹脂フィルムをバッグ材料として用いること
により、容易に得ることができる。
【0022】また、本発明のアノードバッグは、壁面に
多数の透孔や切れ目を有する合成樹脂製の筒状体を支持
部材として用い、その周面に前記親水性多孔質フッ素樹
脂フィルムを巻成し、固定化することによって得ること
もできる。この場合、筒状体の下端開口部は、合成樹脂
のフィルム又は板体で密閉することもできるし、あるい
は親水性多孔質フッ素樹脂フィルムを張設して密閉する
こともできる。本発明のアノードバッグを用いて電気メ
ッキを行うには、アノード電極を本発明のバックに収容
させてメッキ液中に配設するとともに、メッキを施す金
属材料をカソード電極としてメッキ液中に配設した後、
両電極間に通電する。このようにして電気メッキを行う
と、本発明のアノードバッグは水溶液の透過性にすぐれ
ていることから、メッキ液のバッグ内外への透過は容易
に起る上に、アノード電極から発生するスライムがメッ
キ液中に分散するのが防止され、円滑な電気メッキを行
うことができる。
【0023】
【発明の効果】本発明のアノードバッグは、多孔質フッ
素樹脂材料を基材としているため、耐薬品性及び耐久性
に非常にすぐれている上、この多孔質フッ素樹脂材料
は、あらかじめ親水性物質を付着結合させて親水性化さ
れているため、空気中で取扱ってもその親水性が失なわ
れることはなく、また、メッキ液はアノードバッグを容
易に通過でき、従来技術に見られたような溶剤置換等の
前処理は必要とされない。また、本発明のアノードバッ
グは、耐久性にすぐれかつスライムの剥離性にすぐれて
いることから、長時間使用する間にバッグ内壁面に付着
したスライムは、これを外部から機械力(例えば、振動
やかき取り)により容易に剥離させることができ、そし
て、スライムの剥離したバッグは、これをそのまま再び
継続して長時間使用することができる。従って、本発明
のアノードバッグの寿命は従来のものより著しく長くな
り、電気メッキのコストが大きく低下するという利点が
ある。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。なお、以下において示す各項目は、次のようにし
て測定及び評価されたものである。
【0025】(1)厚さ 厚さは1/1000mmの精度を有するダイアル測厚ゲ
ージにて測定した。 (2)エタノールあわだち点(EBP) 材料(膜)のサンプルの表面にエタノールを広げ、その
サンプルを固定装置に水平におき、EBPを評価した。
この場合、空気を底面から吹きつけた。EBPは、空気
泡が反対側の表面から連続して出た際の初期圧力(kg
/cm2)である。 (3)空孔率 親水性高分子の含浸以前(以下、単に含浸前材料とも言
う)の材料の空孔率は材料の密度を測定して得た。材料
(ポリテフトラフルオロエチレン)の密度は2.2g/
cm3である。空孔率は以下の式を用いて算出した。 空孔率=(2.2−サンプル密度)÷2.2×100 親水性高分子の含浸後の材料(以下、単に含浸後の材料
とも言う)の空孔率の計算においては、密度として2.
2g/cm3の替りに2.1g/cm3を採用した。 (4)流れ時間 流れ時間は、200mlの水を1気圧真空下で35mm
厚のサンプルを通して通過させるに必要な時間である。
サンプルを水平に固定し、水を上から注ぐ。次いで下部
から吸引する。含浸前材料の測定の場合には、サンプル
を先ずエタノールで含浸して材料に親水性を付与する。 (5)耐久性 含浸処理後の材料の耐久性は、5回の流れ時間試験(1
回毎に乾燥)後、又は流れ試験機及び方法を用いて10
リットルの水の流通後の親水性で示される。 (6)フッ素及び水酸基含量 フッ素含量及び水酸基含量は計算で求める。 (7)水透過性(WP) WPは次式により求める。 WP=200÷(流れ時間−60×(1.75)2×3.14) (8)耐熱性 耐熱性は膜を枠に固定した後、材料を試験温度に制御し
た空気オーブン中に所定時間置いた後、親水性を下記に
従って測定することにより求める。 (9)ガーレイ値(GN) GNは、100cm3の空気が6.45cm3のサンプル
面積を12.4cm水圧下で通過するに必要な時間を測
定することにより求める。 (10)耐酸、耐アルカリ及び耐溶剤性 サンプルを実施例中に示した時間液中に浸漬する。乾燥
後親水性を下記に従って測定する。 (11)親水性 初期親水性は高さ5cmのところから水滴をサンプル表
面に落し、水滴が吸収されるまでにかかる時間を測定す
ることにより求める。親水性は次のように評価する。 A:1秒以内に吸収 B:自然に吸収 C:加圧してのみ吸収 D:吸収されないが接触角は減少 E:吸収されない。即ち、水を撥ねる。このE評価は多
孔性フッ素樹脂材料に特有である。
【0026】参考例1 テトラフロロエチレン/ビニルアルコール共重合体(テ
トラフロロエチレン/ビニルアルコール共重合体のケン
化合物;ケン化度100%;フッ素含量27重量%;水
酸基含量14.5ミリモル/g)を1リットルのメタノ
ールに溶かし、0.2重量%メタノール溶液を調製し
た。厚さ40μm、空孔率80%の多孔質フッ素樹脂膜
を上記メタノール溶液中に浸漬して含浸した後、枠に固
定し、50℃で5分間乾燥した。同様な工程を5回繰返
し、親水性がA評価で、流れ時間が60秒の親水性多孔
質膜を得た。このものの厚さは30μmで、空孔率は7
0%、細孔直径は0.2μm、WPは20cm3/cm2
・分であった。耐熱温度120℃において、この良好な
親水性は24時間後も維持されていたが、135℃にお
いては親水性は失なわれた。
【0027】また、この膜を水中に浸漬したところ、水
中への物質の溶解は起らなかった(コポリマーの溶出な
し)。沸騰水中に浸漬した場合も変化は見られなかっ
た。上記の膜は、12規定塩酸(室温)や1規定塩酸
(80℃)などの酸に対し高い耐酸性を示し、また、5
規定水酸化ナトリウム(室温)や1規定水酸化ナトリウ
ム(80℃)などのアルカリに対しても高い耐アルカリ
性を示した。
【0028】参考例2 テトラフロロエチレン/酢酸ビニルコポリマーをメチル
エチルケトンに溶かし、0.3重量%溶液を調製した。
厚さ40μm、空孔率80%の多孔質ポリテトラフロロ
エチレン膜を上記溶液で含浸した後枠に固定し、60℃
で5分間乾燥した。同様な工程を5回繰返した。得られ
た膜をナトリウムメトキシド含有エタノール中に浸漬し
て30分加熱処理してケン化を行ったケン化処理した親
水性膜を水洗した。この膜は参考例1のフィルムと同様
な特性を示した。
【0029】参考例3 厚さ48μm、GN6.1秒、EBP1.15kg/c
2、空孔率76%、流れ時間36秒の多孔質ポリテト
ラフロロエチレン膜を、参考例1で用いた共重合体の1
%メタノール溶液中に30秒間浸漬し、取り出してから
枠に固定した後、室温で1時間乾燥した。得られた膜の
物性は次の通りであった。膜のコポリマー含量:0.7
5kg/m2、膜厚:39μm、GN:10.4秒、E
BP:1.2kg/cm2、空孔率:71%、流れ時
間:56秒、WP速さ:20cm3/m2・分。
【0030】参考例4 次に、前記参考例1〜3で得た親水性膜について、その
物性を以下のようにして評価した。 (耐久性試験)親水性膜に200mlの水を5回通じ
(1回毎に乾燥)るか(方法1)、又は10lの水を連
続して通じた(方法2)後、親水性試験を行った。結果
は次の通りである。
【0031】親水性膜を5回流れ時間試験に供した。
尚、各試験毎に乾燥を行った。次いで、この膜について
親水性試験を行ったところ、Aの評価が得られた。ま
た、別の含浸膜サンプルについて、流れ時間試験機及び
試験法を用いて、10リットルの水を連続して通じた。
この膜の親水性試験結果はAであった。
【0032】(耐熱性)親水性膜を次下の温度、時間で
加熱処理した後、親水性試験を行ったところ、次の結果
を得た。 温度 時間 親水性試験結果 100℃ 30時間 A 120℃ 5時間 B(60秒後に吸収) 120℃ 24時間 B(60秒後に吸収) 120℃ 48時間 B(120秒後に吸収) 120℃ 2時間 C又はD 150℃ 24時間 D 200℃ 1時間 D
【0033】(耐酸化性)親水性膜を以下に示す酸化条
件下に以下に示す時間浸漬した後、親水性試験を行った
とろ、次の結果を得た。 酸化剤 温度 時間 親水性試験結果 1N塩酸 80℃ 2時間 A 3N硝酸 室温 350時間 A 12N硝酸 室温 1時間 A
【0034】(耐アルカリ性)親水性膜を以下に示すア
ルカリ性条件下で以下に示す時間浸漬した後、親水性試
験を行ったところ、以下の結果を得た。 アルカリ 温度 時間 親水性試験結果 1N水酸化ナトリウム 80℃ 1時間 A 1N水酸化ナトリウム 80℃ 5時間 D 6N水酸化ナトリウム 室温 36時間 A
【0035】(耐有機溶剤性)親水性膜を以下に示す溶
剤を通じた後、親水性試験を行ったところ、次の結果を
得た。 溶剤 流通量 親水性試験結果 メタノール 300ml A エタノール 2000ml A アセトン 5000ml A
【0036】メタノールは、コポリマーの良好な溶剤で
あるにも拘らず、300mlのメタノール流通後の親水
性はAであった。なお、エタノール及びアセトンは上記
コポリマーの良好な溶剤ではない。
【0037】実施例1 厚さ:40μm、空孔率:80%、細孔径:0.2μm
の多孔質フッ素樹脂フィルム(ポリテトラフルオロエチ
レンフィルム)をアセトンに5分間浸して脱脂洗浄す
る。テトラフルオロエチレン/ビニルアルコール共重合
体(テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル共重合体のケ
ン化物、ケン化度:100%、フッ素含有率:27重量
%、水酸基含有率14.5mmol/g)を2重量部メ
チルアルコール1リットルに溶解し、この溶液を脱脂洗
浄した上記フィルムに含浸させ、60℃で5分間乾燥さ
せた。前記のようにして得た親水性多孔質フッ素樹脂フ
ィルムを、熱融着法によりバック状に成形して、アノー
ドバッグを作成した。
【0038】実施例2 実施例1で示した親水性多孔質フッ素樹脂フィルムと、
多孔質ポリテトラフルオロエチレン製のファイバーから
なる円筒状シームレス織布(ファイバーの太さが200
デニールで、1インチあたり27本のファイバーを平織
りにした基布)とをラミネートしたものをバック状に熱
融着法で成形してアノードバッグを作製した。
【0039】次に、前記で得たアノードバッグの内部に
アノード電極を入れて、常法により電気メッキを行った
ところ、メッキ液はバッグ壁面を容易に通過するととも
に、アノードから発生するスライムのメッキ液への分散
がそのバッグにより防止され、電気メッキを円滑に行う
ことができた。また、バッグ内壁面に付着したスライム
は、乾燥後、機械的振動を与えることにより、容易に剥
離させることができた。さらに、このスライムを剥離除
去したアノードバッグも、前記新鮮なアノードバッグと
同様に長時間使用することができた。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性物質を細孔内壁面に付着結合させ
    た親水性多孔質フッ素樹脂フィルムからなるアノードバ
    ッグ。
  2. 【請求項2】 該フィルムの少なくとも一方の面に、通
    液性の補強材を積層接着させた請求項1のアノードバッ
    グ。
  3. 【請求項3】 該親水性物質が親水基を有する含フッ素
    高分子である請求項1又は2のアノードバッグ。
  4. 【請求項4】 該フッ素樹脂がポリテトラフルオロエチ
    レンである請求項1〜3のいずれかのアノードバッグ。
  5. 【請求項5】 前記請求項1〜4のいずれかのアノード
    バッグ内にアノード電極を収容させてメッキ液中に配設
    するとともに、メッキを施す金属材料をカソード電極と
    してメッキ液中に配設し、両電極間に通電することを特
    徴とする電気メッキ方法。
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