JP6963246B2 - ポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法およびポリエチレン系樹脂の改質剤、ならびにポリエチレン系樹脂の成形品 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法およびポリエチレン系樹脂の改質剤、ならびにポリエチレン系樹脂の成形品 Download PDF

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Description

本発明は、特定の共重合体を用いた、ポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法およびポリエチレン系樹脂の改質剤に関する。また、前記ポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法によって改質されたポリエチレン系樹脂の成形品に関する。
ポリエチレン(PE)は、廉価で、疎水性や耐薬品性に優れていることなどから、容器や包装材等に広く利用されている樹脂である。一方で、ポリエチレンは、表面特性の改質が難しく、本来備えている性質の範囲にその用途が制限されていた。
本発明者らは、ポリエチレンの疎水性を改質し、親水性を付与することができる、SCCBCを利用する技術を提供してきた。例えば、本発明者らは、長鎖アルカン基を保有し側鎖結晶性をしめすモノマーと溶媒親和性を示すモノマーを用いたブロック共重合体である、側鎖結晶性ブロック共重合体(SCCBC:Side Chain Crystalline Block Copolymer)を用いた表面修飾材料を開示している(特許文献1)。
また、本発明者らは、SCCBCを用いて、フッ素樹脂改質用の共重合体を開示している(特許文献2)。この文献は、例えば、親水性基を有するモノマーを用いて得られた共重合体によりフッ素樹脂の表面を改質することで、フッ素樹脂の表面を親水性とすることができる共重合体などの、その側鎖に特定の式で表させるフッ素化アルキル基を有するモノマーと、オキシアルキレン、アミド、アミノ、又はスルホ等の機能性基を有するモノマーとの共重合体に関するものである。
特開2015−229725号公報 特開2016−79389号公報
ポリエチレンの成形品は、一般的に優れた耐溶剤性や、疎水性を有していることから、その改質等を行う場合は、特許文献1のように親水性を付与する等のポリエチレンが本来有していない性質を付与しようとするものであった。また、特許文献2は、フッ素樹脂を改質するために適宜モノマーを選択して共重合体を得るものであるが、例えばフッ素樹脂が有しない特徴である親水性等を付与するため等の目的でモノマーを選択し、具体的にはオキシアルキレン、アミド、アミノ、又はスルホ等の機能性基を有するモノマーを利用するものであった。
一方で、PTFEに代表されるようなフッ素系樹脂は、耐食性や、防汚性、耐溶剤性、疎水性等が非常に優れていることから、それらの特性が求められる特殊な用途にも利用されている。しかし、フッ素系樹脂の構造によっては、その成形条件が極めて特殊なものとなることがあった。また、フッ素系樹脂は原料や製造工程等の理由で高価であることや成形できる形状に制限があること、さらにはフッ素系樹脂を主とするもの単独では柔軟性が高すぎて変形しやすいなどの課題が多く存在した。
係る状況下、本発明は、汎用性が高く、種々の形状に成形しやすいポリエチレン系樹脂の成形品について、耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれかのフッ素系樹脂に相似する機能を付与するための共重合体を用いて、そのポリエチレン系樹脂の成形品を改質する方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するポリエチレン改質用の共重合体であって、前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、前記モノマー(B)が、その側鎖に化学式(b1)で表されるフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体を、溶媒に溶解させた共重合体溶液を調製する工程と、
前記共重合体溶液を、ポリエチレン系樹脂の成形品に接触させる工程と、
前記成形品に接触させた前記共重合体溶液の溶媒を揮発させることで前記成形品の表層に前記共重合体層を形成させる工程と、
を有するポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
Figure 0006963246
化学式(b1)において、nは、2以上の整数である。

<2> 前記共重合体溶液を溶解させる前記溶媒が、酢酸ブチルおよびベンゼン、トルエン、テトラヒドロフランからなる群から選択されるいずれかを用いた溶媒である前記<1>記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
<3> 前記共重合体溶液を調製する工程において、前記共重合体と、前記溶媒とを、60℃以上〜100℃以下の温度で撹拌する前記<1>または<2>記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
<4> 前記共重合体溶液の、共重合体溶液の濃度が、0.1重量%以上、20重量%以下である前記<1>〜<3>のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
<5> 前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合した部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合した部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとを有するブロック共重合体である前記<1>〜<4>のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
<6> 前記モノマー(B)が、下記化学式(B1)で表されるモノマーである前記<1>〜<5>のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
Figure 0006963246
化学式(B1)において、nは、2以上14以下の整数であり、mは、0以上4以下の整数である。また、化学式(B1)において、Xは、HおよびF、CH2F、CHF2、CF3からなる群から選択されるいずれかである。

<7> 前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレートである前記<1>〜<6>のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
<8> 前記共重合体が下記化学式(I)または下記化学式(II)のいずれかで表される構造を有する共重合体である前記<7>記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
Figure 0006963246
化学式(I)において、nは2〜1,000であり、mは2〜1,000である。
Figure 0006963246
化学式(II)において、n1は2〜500であり、n2は2〜500であり、mは2〜1,000である。

<9> 前記モノマー(A)由来のブロックの重量平均分子量が、2,000以上であり、かつ、前記モノマー(B)由来のブロックの重量平均分子量が、1,000以上である前記<8>記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
<10> 第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するポリエチレン改質用の共重合体であって、前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、前記モノマー(B)が、その側鎖に化学式(b1)で表されるフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体を含有するポリエチレン系樹脂の改質剤。
Figure 0006963246
化学式(b1)において、nは、2以上14以下の整数である。

<11> 第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するポリエチレン改質用の共重合体であって、前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、前記モノマー(B)が、その側鎖に化学式(b1)で表されるフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体の層を有するポリエチレン系樹脂の成形品。
Figure 0006963246
化学式(b1)において、nは、2以上14以下の整数である。
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂の成形品に、耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれかのフッ素系樹脂に相似する機能を付与することができる。
本発明の共重合体のFT−IRの測定結果を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
本発明は、第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するポリエチレン改質用の共重合体であって、前記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーであり、前記モノマー(B)が、その側鎖に化学式(b1)で表されるフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである共重合体を溶媒に溶解させた共重合体溶液を調製する工程と、
前記共重合体溶液をポリエチレン系樹脂の成形品に接触させる工程と、
前記成形品に接触させた前記共重合体溶液の溶媒を揮発させることで前記成形品の表層に前記共重合体層を形成させる工程と、を有するポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法に関する。また、前記共重合体を含有するポリエチレン系樹脂の改質剤に関する。また、前記共重合体の層を有するポリエチレン系樹脂の成形品に関する。
Figure 0006963246
化学式(b1)において、nは、2以上の整数である。
[第1のモノマー(A)]
本発明に用いる共重合体は、ポリエチレンとの接着性が優れたSCCBCを得るために第1のモノマー(A)を選択して用いて製造される。そして本発明の共重合体は、このモノマー(A)由来の構造単位を有する。
この第1のモノマー(A)として、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン及び置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーを用いる。この側鎖の炭素数や構造に応じて、ポリエチレン系樹脂の成形品との接着性を調整することができる。なお、ここで、本願において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタアクリレートの両者を意味する。同様に、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドおよびメタアクリルアミドの両者を意味する。
その側鎖として、アルカン鎖を有するものを用いるとき、その炭素数は8以上であり、12以上であることが好ましい。なお、このアルカン鎖は直鎖状のアルカン鎖であることが好ましい。一方、その上限は、共重合体として重合することができ、ポリエチレンとの接着性を維持することができる範囲で適宜設定することができる。現実的には40以下が好ましく、30以下がより好ましい。アルカン鎖が大きすぎると共重合体として適当な立体構造がとれなかったり、重合条件の設定が難しくなったりする場合がある。
このような側鎖を有する具体的なモノマーとしては、側鎖が、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基、ドコシル基およびベヘニル基からなる群から選択されるいずれかのアルキル基を有する(メタ)アクリレートがあげられる。これらのモノマーは、本発明の共重合体の重合反応条件の設定が行いやすく、また、これらのモノマーを用いた共重合体は基材となるポリエチレン樹脂の成形品と接着しやすい。
本発明の共重合体に用いられるモノマー(A)は、前述したアルカン鎖の側鎖を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン、置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである。これらの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン、置換スチレンといった構造が、共重合体としてのモノマー(A)由来の構造の主鎖を形成する。
[第2のモノマー(B)]
本発明に用いる共重合体は、耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれか1以上のフッ素系樹脂に相似する機能を付与するために第2のモノマー(B)を選択して用いる。そして本発明に用いる共重合体は、このモノマー(B)由来の構造単位を有する。
本発明の共重合体に用いられるモノマー(B)は、その側鎖に前述した化学式(b1)で表されるフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン、置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマー(B)であることを特徴とする。
前述のとおり、モノマー(B)は、その側鎖に前述した化学式(b1)のフッ素化アルキル基を有する。ここで、モノマー(B)の側鎖とは、本発明のモノマー(B)を用いて重合体を重合したときに、その側鎖にあたる部分を指す。この側鎖にあたる構造は、前述した化学式(b1)で表されフッ素化アルキル基を有するモノマーを用いる。フッ素樹脂の中でも特にフッ素含有量が多いPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に相当する大きな改質を行うための共重合体を得る場合、PTFEと共通する繰り返し単位の構造を有する共重合体を得るために、この化学式(b1)で表される構造の側鎖を有するモノマーを用いて共重合体を重合することが有効である。
このモノマー(B)の側鎖について、化学式(b1)において、nは、2以上の整数である。すなわち、結晶性を示す繰り返し単位を有する側鎖となる構造を有するものである。よって、このnが2未満であれば、十分な結晶性を示す構造とならないため好ましくない。また、化学式(b1)において、nは重合性等が問題ない範囲で、付与しようとする機能の程度等を考慮し適宜設定されるが、14以下とすることが好ましい。このnが14を超えるとき、側鎖の構造が大きすぎる共重合体となることから、共重合体としての重合性や、重合工程等での取り扱い性が低下する場合がある。nは、共重合体としての重合性およびモノマーの入手しやすさの観点から、2以上10以下であることがより好ましく、2以上8以下であることが特に好ましい。なお、モノマー(B)の側鎖の末端は、HおよびF、CH2F、CHF2、CF3からなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。このような末端を有する構造であれば、化学式(b1)で表される側鎖等により付与される機能を十分に発揮しやすい。
本発明の共重合体に用いられるモノマー(B)は、前述したフッ素化アルキル基の側鎖を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン、置換スチレンからなる群より選ばれるいずれかのモノマーである。これらの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、シロキサン、αオレフィン、置換スチレンといった構造が、共重合体としてのモノマー(B)由来の構造の主鎖を形成する。
このモノマー(B)を例示すると、下記化学式(B1)で表されるモノマーが挙げられる。この化学式(B1)において、nは、2以上14以下の整数である。また、化学式(B1)において、Xは、HおよびF、CH2F、CHF2、CF3からなる群から選択されるいずれかである。例えば、この(B1)で表されるモノマーは、フッ素化アルキル基として、化学式(b1)で表される構造を有するアクリレートである。この化学式(B1)で表される構造のモノマーをモノマー(B)として得られる共重合体は、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に類似し、フッ素が多いことから改質の程度が大きいものとなる。また、(B1)のモノマーはアクリレートの重合によって重合することができ、これらのモノマー由来のブロック構造を有する共重合体の製造を効率よく行いやすい。
Figure 0006963246
化学式(B1)において、nは、2以上14以下の整数であり、mは、0以上4以下の整数である。また、化学式(B1)〜(B5)において、Xは、HおよびF、CH2F、CHF2、CF3からなる群から選択されるいずれかである。
モノマー(B)として使用することができる試薬として市販されているものを、より具体的に例示すると、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,-dodecaflorofepthylacrylate(DFA)や、1H,1H,2H,2H-Heptadecafluorodecyl acrylate(HFD)が挙げられ、これらのモノマーを用いることでフッ素樹脂に相当する機能を付与しやすいと考えられるモノマー(B)を用いた共重合体、特にモノマー(B)が重合した部分を有するブロック共重合体を得やすい。
本発明の共重合体は、前述したモノマー(A)と、モノマー(B)との共重合体である。本発明の共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、トリブロック共重合体等のいずれであってもよいが、好ましくは、ブロック共重合体である。また、本発明の共重合体を製造する方法においても、前記共重合体が、前記モノマー(A)が重合した部分であるモノマー(A)由来重合ブロックと、前記モノマー(B)が重合した部分であるモノマー(B)由来重合ブロックとが、それぞれのブロックを形成しながら結合しているブロック共重合体となるように製造することが好ましい。ブロック共重合体とすることで、モノマー(A)の構造ユニットと、モノマー(B)の構造ユニットとのそれぞれの機能が十分に発揮されやすくなる。モノマー(A)とモノマー(B)との共重合体は、各種リビング重合法(ラジカル、アニオン、カチオン)等の公知の技術により重合することが可能である。リビングラジカル重合法としては、NMP法やATRP法、RAFT法などを用いることができる。
例えば、改質対象となるポリエチレン系樹脂のポリマー構造と化学結合する側鎖を有するモノマー(A)を選択する工程でモノマー(A)を選択する。また、耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれかのフッ素系樹脂に相似する機能を付与する改質のために第2のモノマー(B)を選択する工程でモノマー(B)を選択する。そして、ここで選択されたモノマー(A)を重合溶媒に開始剤と共に混合してモノマー(A)混合溶液を調製するモノマー(A)混合溶液調製工程を行う。次に、この混合溶液調製工程で調製されたモノマー(A)混合溶液を、適当な重合温度(例えば約90〜120℃)で、リアクター内で適宜撹拌しながら、窒素雰囲気等の下でリビングラジカル重合等の開始剤の重合機構に基づくモノマー(A)重合工程を行い、モノマー(A)ブロック重合体を得る。さらに、このモノマー(A)ブロック重合体を混合させている溶液に、別途選択されているモノマー(B)を混合して、溶液中のラジカル等によってさらにモノマー(B)を重合させるモノマー(B)重合工程を行う。これにより、モノマー(A)由来ブロックとモノマー(B)由来ブロックを有するブロック共重合体を得ることができる。モノマー(A)とモノマー(B)との重合を行う順序は、重合させようとするモノマー種や分子量、それぞれの重合条件等に応じて変更してもよい。
本発明の共重合体において、第1のモノマー(A)由来の構造に対応する分子量(g/mol)と、第2のモノマー(B)由来の構造に対応する分子量(g/mol)とは、それぞれ500以上であることが好ましい。第1のモノマー(A)由来の構造に対応する分子量が500以上であることで、ポリエチレン系樹脂により強固に接着することができる。第1のモノマー(A)由来の構造に対応する分子量は、1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。
また、第2のモノマー(B)由来の構造に対応する分子量が500以上であることで、より耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれかのフッ素系樹脂に相似する機能を付与できる共重合体とすることができる。第2のモノマー(B)由来の構造に対応する分子量は、1,000以上であることが好ましく、1,500以上であることが好ましい。共重合体は、第1のモノマー(A)及び第2のモノマー(B)から成るものであってもよいし、本発明の目的を損なわない範囲でさらにその他のモノマーを含んでいてもよい。なお、これらの分子量は、GPCにより得られる結果から、ポリスチレン換算で求めることができる値「Mw:重量平均分子量」である。また、モノマー(B)由来の構造は溶媒に溶けないことから分子量を測定しにくい場合がある。そのような場合には、元素分析、IR、NMRなどの手法により各々の分子量を算出することができる。
本発明の共重合体の一例として、下記化学式(I)で表されるポリマーが挙げられる。これは、モノマー(A)として、ベヘニルアクリレート(BHA:側鎖のアルカン鎖が、炭素数22の直鎖状のアルカン基である。)を重合させ、その後、モノマー(B)として2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)を用いて共重合させたブロック共重合体である。これは、いわゆるAB型のブロック共重合体である。この共重合体は、モノマー(A)であるBHA由来の構造により疎水性を示すブロック共重合体部を有し、一方で、モノマー(B)であるDFHA由来のフッ素化アルキル基構造により、ポリエチレン系樹脂の基材に耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれかのフッ素系樹脂に相似する機能を付与することができる。なお、化学式(I)において、nは2〜1,000であることが好ましく、mは2〜1,000程度であることが好ましい。このnは、より安定してポリエチレン系樹脂の成形品と結合させるためには5以上や、10以上とすることがより好ましい。一方、このmは改質することで付与しようとする耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれかのフッ素系樹脂に相似する機能に応じて選択され、より強い改質効果を得るためには5以上や、10以上とすることがより好ましい。これらのnおよびmは、それぞれの効果が十分に得られる範囲で、それぞれ800以下や、500以下としてもよい。
Figure 0006963246
または、本発明の共重合体の一例として、下記化学式(II)で表されるポリマーが挙げられる。これは、モノマー(B)として2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)由来の重合体の両端に、モノマー(A)のベヘニルアクリレート(BHA:側鎖のアルカン鎖が、炭素数22の直鎖状のアルカン基である。)由来のブロックを共重合させたブロック共重合体である。これは、いわゆるABA型の取ブロック共重合体である。このようなABA型の共重合体とするときの、具体的な繰り返し単位数のn1やn2、mも、前記化学式(I)の共重合体に関して記載したものに準じて設計することができる。このとき、モノマー(A)由来の構造は、両端に存在することから、各ブロックのn1やn2は、その和が化学式(I)におけるときのn相当とすることができるため、n1は2〜500であり、n2は2〜500であり、mは2〜1,000であることが好ましい。また、n1とn2はそれぞれが異なる繰り返し単位数としてもよい。
Figure 0006963246
前記化学式(I)および化学式(II)に示す、モノマー(A)として、ベヘニルアクリレート(BHA)を重合させ、その後、モノマー(B)として2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)を用いて共重合させたブロック共重合体について、前記モノマー(A)由来のブロックの分子量(Mw:重量平均分子量)が2,000以上であり、かつ、前記モノマー(B)由来のブロックの分子量(Mw:重量平均分子量)が、1,000以上であることが好ましい。
この構造の共重合体において、モノマー(A)側の重量平均分子量が2,000未満の場合、モノマー(A)側の側鎖のアルカン鎖が、改質対象となるポリエチレン樹脂成形品との十分な接着性を発揮することができないことがある。また、モノマー(B)側の重量平均分子量が1,000未満の場合、モノマー(B)側の側鎖が結晶性を示さないために、十分にフッ素系樹脂に相当する改質効果を得ることができない場合がある。
この重量平均分子量の上限は、いずれのブロックについても、10,000以下であることが好ましく、8,000以下であることがより好ましい。ブロックが大きくなりすぎると、重合条件の調整が難しく製造しにくくなる場合がある。また溶媒に対する溶解性が著しく劣るようになり、実用に適さなくなる場合がある。
[ポリエチレン系樹脂の成形品]
本発明の共重合体を用いて改質される「ポリエチレン系樹脂の成形品」とは、エチレンを重合することで得られるメチレンが連続する主鎖構造を有する樹脂(ポリマー)を含有する成形品を指す。一般にポリエチレン系樹脂の成形品としては、ポリエチレン構造のみの樹脂の濃度が高い成形品から、ポリエチレンに他の構造を共重合させたポリエチレン系樹脂を用いた成形品や、これらの樹脂に、適宜、ポリエチレン以外のポリオレフィン等の樹脂や成形助剤、顔料、紫外線吸収剤等の機能性付与剤を含有させ、一部不純物等が含まれた状態の混合物を用いた成形品等が用いられている。本発明においては、本発明により改質することができる範囲で、これらのポリエチレン系樹脂の成形品を改質対象となる基材として選択することができる。また、適宜その状態や構造等に応じて、モノマー(A)やモノマー(B)、本発明に係る共重合体を塗工するための溶剤等を選択して、様々なポリエチレン系樹脂の成形品に適した改質を行うことができる。なお、このポリエチレンとしても、LDPEやHDPE等の各種ポリエチレンを対象とすることができる。また、成形品の成形形態としては、特に限定されず、例えば、シート、板、繊維、多孔質材料などの成形体が挙げられる。成形体の表層にあたる表面のみではなく、さらに孔内など、その内部にも浸透させて多孔質材料の全体を改質することができる。
本発明のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法は、前記した共重合体を溶媒に溶解させた共重合体溶液を調製する工程と、前記共重合体溶液をポリエチレン系樹脂の成形品に接触させる工程と、を有する。
[改質剤]
また、本発明は、本発明に用いる共重合体を含有するポリエチレン系樹脂の改質剤(ポリエチレン系樹脂改質剤)とすることができる。このポリエチレン系樹脂改質剤は、例えば、ポリエチレン系樹脂成形体に塗工し、乾燥することでポリエチレン系樹脂表面に、共重合体層を設けるポリエチレン系樹脂改質に利用できる。また、本発明のポリエチレン系樹脂改質剤は、本発明のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法に用いられる。
本発明の共重合体を用いてポリエチレン系樹脂を改質するにあたっては、前記した共重合体を溶媒に溶解させた共重合体溶液を調製する工程を有する。例えば、本発明の共重合体を溶媒に溶解や分散させて溶液(分散液)(以下、分散液も合わせて単に「溶液」と記載する。)とする。そして、前記共重合体溶液をポリエチレン系樹脂の成形品に接触させる工程を有する。例えば、その溶液をポリエチレン系樹脂の成形品に塗工したり、ポリエチレン系樹脂の成形品をその溶液に浸漬させるなどの方法で接触させることができる。
共重合体溶液の溶媒としては、共重合体の溶解性(分散性)に優れ、適宜揮発性に優れたものを用いることができる。このような溶媒として、例えば、酢酸ブチルやベンゼン、トルエン、テトラヒドロフランなどがあげられる。また、溶液とする時の共重合体の濃度は、塗工処理や浸漬処理等に適した粘度や膜厚を得やすいように適宜設定され、例えば0.1〜20重量%程度や、好ましくは0.5〜5重量%程度とすることができる。また、常温で溶解しにくい場合には、溶解するまで溶液温度を上げて上記処理に適用することができる。
本発明に用いる共重合体は、溶媒への溶解性が低く、溶媒に溶かしても常温だと溶けきれずに濁る傾向がみられる。このため、共重合体の融点付近の温度で塗工用の溶液を調製することが好ましい。化学式(I)や(II)であらわされる構造の共重合体の場合、共重合体の融点がおよそ65℃なので、60℃以上100℃以下程度(例えば、70℃)の温度で溶液を調製したほうがよい。これは、一般に親水性基と疎水性基の構造を有する両媒性を有するSCCBCの場合、溶媒に溶解・分散しやすく澄明な溶液を調製しやすい傾向(特に5重量%程度の濃度までは)と大きく異なる傾向である。一般的なSCCBCは、側鎖結晶性部位と、非晶性の機能性部位の構造を有するのに対し、本発明に係る共重合体は、モノマー(A)、(B)双方由来の側鎖が、側鎖結晶性であることが要因である。
また、本発明の共重合体を用いたポリエチレン系樹脂改質剤によれば、基材が物理的に傷みにくいため、基材の力学的強度が劣化しにくく、基材の耐久性が高い。
塗工工程においては、溶液とポリエチレン系樹脂成形体の温度は、0℃以上100℃以下が好ましい。0℃未満であると分子モビリティが低くなり接着時間が掛かり好ましくない。100℃超の温度であるとポリエチレン結晶の局所運動が大きくなり共重合体側鎖が接着しにくくなるので好ましくない。
また、本発明の共重合体を用いてポリエチレン系樹脂を改質するにあたっては、前記成形品に接触させた前記共重合体溶液の溶媒を揮発させることで前記成形品の表層に前記共重合体層を形成させる工程を有する。例えば、前記化学式(I)(または前記化学式(II))記載の共重合体を、ポリエチレン系樹脂のフィルム上に塗工して、加熱乾燥し溶媒を除去する。この乾燥温度としては、基材となるポリエチレン系樹脂の成形品や、SCCBCの溶融温度、溶媒の揮発性等を考慮して、適宜設定される。具体的には、常温(20℃程度)から、80℃以下程度の温度で乾燥することができる。この乾燥は、その成形品の形状等により適宜設定してよく、大気下に静置して自然乾燥してもよいし、適宜温度調整された気体により送風乾燥したり、大気圧を低くした環境下で真空乾燥してもよい。
そして、得られた改質後のポリエチレン系樹脂の成形品のIRスペクトルには、ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)由来のフッ素化アルキル基構造に相当するピークが見られる(図1参照)。すなわち、ポリエチレン系樹脂の成形品に、化学式(I)(または化学式(II))におけるモノマー(B)由来の構造が結合していることを確認することができる。
[改質されたポリエチレン系樹脂の成形品の用途]
本発明により改質されたポリエチレン系樹脂の成形品は、PTFE等のフッ素系樹脂に相似する特性も発揮する。具体的には、一般的なポリエチレン系樹脂よりも優れた耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれかのフッ素系樹脂に相似する機能を有するものとなる。これにより、例えば、繊維や多孔質材として、フッ素系樹脂を用いる場合よりも優れた透湿性を示す一方で防汚性や疎水性(撥水性)に優れた成形品とすることができる。また、ポリエチレン系樹脂の容器や管、被覆材等の内部や外装を、本発明により改質することで、単なるポリエチレン系樹脂の場合よりも優れた耐食性や耐溶剤性を有するものとすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<評価項目>
[接触角]
水接触角測定装置(協和界面科学社製“Dropmaster100”)を用いて、表面の接触角を測定した。
[透湿度]
JIS−Z0208(1976)「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠して、透湿度を測定した。試験条件は40℃とした。ただし、試験に用いた試験片は透湿度が高いため、試験時間を1時間に変更し、その試験から24時間試験を想定した換算値として透湿度を求めた。
[IRスペクトル]
Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光分析装置「Spectrum two(登録商標)」を用いて、測定した。
<重合体の製造>
[原料]
[モノマー(A)]
・モノマー(A−1−1):BHA
ベヘニルアクリレートを用いた。このモノマーは、炭素数22のアルカン鎖を側鎖に有するモノマーである。
[モノマー(B)]
・モノマー(B−1−1):DFHA
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルアクリレート(DFHA)を用いた。このモノマーは、側鎖にフッ素化アルキル基を有するモノマーであり、前記化学式(B1)のnが1、mが3、XがHのモノマーである(下記化学式(B−1−1)参照)。
Figure 0006963246
[重合開始剤] Bloc Builder DB(アルケマ社製)
[ラジカル発生剤] アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
[溶媒] 酢酸ブチル
[ポリエチレン系樹脂の成形品の改質用共重合体の設計]
ポリエチレン系樹脂の成形品に、耐食性や防汚性、耐溶剤性、疎水性等の少なくともいずれかのフッ素系樹脂に相似する機能を付与することができる改質用の共重合体(1)の設計を試みた。まず、ポリエチレン系樹脂との接着性を得るために、炭素数22のアルカン鎖を側鎖として有するアクリレートである、BHA(モノマー(A−1−1))を選択した。次に、高い撥水性を付与するために、PTFEに類似する構造の側鎖を有するアクリレートである前記モノマー(B−1−1)を選択した。そして、ここで選択されたモノマーを用いて、ポリエチレン系樹脂の成形品の改質用の共重合体(1)の製造を行った。
[共重合体(1)の調製]
まず、BHA 10gを同量の酢酸ブチル10gで希釈したものを反応容器に入れた。またDFHA 10gも同様に酢酸ブチル10gで希釈し三又フラスコに入れ十分に窒素置換を行った。一次反応として、オイルバスの温度が60〜65℃のなったことを確認し、反応容器内にBloc Builder DB、AIBNの順番で投入した。BHAの重合が終了したところで、二次反応としてDFHAを投入して反応させる、RAFT法に則った重合を行った。これにより、モノマー(A−1−1)のブロック重合体、モノマー(B−1−1)ブロック重合体とが、ABA型で結合したブロック共重合体である、化学式(II)であらわされる共重合体(1)を得た。なお、得られた共重合体(1)の分子量(Mw:重量平均分子量)を、GPCにより測定し、ポリスチレン換算にて求めた。モノマー(A−1−1)由来の構造は推算値として合計約5,500(g/mol)(両端に約2,250(g/mol)ずつ)、モノマー(B−1−1)由来の構造が約1,800(g/mol)の共重合体であった。また、図1に示すようにIRスペクトル測定の結果、得られた共重合体(1)(SCCBC)はモノマー(A−1−1)の側鎖に相当するピークと、モノマー(B−1−1)の側鎖に相当するピークの双方を確認することができた。
[共重合体(2)の調製]
前記共重合体(1)の調整において、BHA 2gを同量の酢酸ブチル10gで希釈したものを反応容器に入れる変更を行った以外は、同様の調整により、共重合体(2)を製造した。
この共重合体(2)は、モノマー(A−1−1)由来の構造は推算値として合計約1,800(g/mol)(両端に約900(g/mol)ずつ)、モノマー(B−1−1)由来の構造が約1,600(g/mol)の共重合体であった。
Figure 0006963246
[共重合体溶液(塗工用溶液)の調製]
・共重合体(1)の塗工用溶液
前述の方法で入手された共重合体(1)を、酢酸ブチル溶液に、70℃にて混合撹拌することで溶解させて共重合体(1)溶液を調製した。
・共重合体(2)の塗工用溶液
前述の方法で入手された共重合体(2)を、酢酸ブチル溶液に、70℃にて混合撹拌することで溶解させて共重合体(2)溶液を調製した。
なお、共重合体(1)および(2)を、常温で酢酸ブチル溶液に混合すると、溶液が白濁し、静置すると沈殿が生じやすい状態であった。
[塗工工程]
以下の操作を室温で行い、共重合体溶液をポリエチレン系樹脂の成形品に接触させた。
(1)ディッピング
共重合体溶液に、成形品の改質対象となる部分を浸漬させた。
(2)コーティング
共重合体溶液を、塗工厚みが約50μmのアプリケーターを用いて成形品の表面に塗工した。
[乾燥工程]
(1)自然乾燥
前記塗工工程により、共重合体溶液を塗工した後、常温で静置し自然乾燥した。
[基材]
・ポリエチレン(PE)フィルム (直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)をインフレーション成形したフィルム。厚み50μm)
・ポリオレフィン不織布 (繊維構成:外側が高密度ポリエチレン、内側がポリプロピレンの芯鞘構造の複合繊維。繊維径:4.4μm、厚み:19μm、目付重量:7.3g/m2
[実施例1〜実施例6、比較例1]
PEフィルムに共重合体(1)または(2)の濃度が1.0重量%または3.0重量%の共重合体溶液(1)または(2)を塗工し、自然乾燥することで、改質されたPEフィルムを製造した。製造したPEフィルムの具体的な塗工工程は表1に示す。
また、実施例1〜6のPEフィルムについて、接触角を測定した結果を、表1に合わせて示す。なお、比較例1は、塗工を行わないままのPEフィルムを評価した結果である。
Figure 0006963246
[実施例7〜10、比較例2]
ポリオレフィン不織布に、共重合体(1)の濃度が1.0重量%または3.0重量%の共重合体溶液(1)または(2)を塗工(ディッピング)し、自然乾燥することで、改質されたポリオレフィン不織布を製造した。製造した不織布の具体的な塗工工程での浸漬時間は表2に示す。
また、実施例7〜10の不織布について、接触角を測定した結果を、表2に合わせて示す。なお、比較例2は、塗工を行わないままのポリオレフィンの不織布を評価した結果である。
Figure 0006963246
表1における実施例5,6は、改質効果はやや低かった。これは、実施例5、6に用いた共重合体(2)は、モノマー(A−1−1)由来の構造の分子量が小さく、ポリエチレンフィルムの基材への密着性が不安定だったためと考えられる。
[実施例11、比較例3]
ポリオレフィン不織布に、共重合体(1)の濃度が3.0重量%の共重合体溶液(1)を用いて塗工し、乾燥することで、改質されたポリオレフィン不織布を製造した。塗工工程は、塗工工程(1)のディッピングにより、24時間浸漬させた。
なお、比較例2は改質処理なしのポリオレフィンの不織布(ポリオレフィン不織布)である。
Figure 0006963246
これらの評価結果から、本発明の実施例に係る不織布は、従来のポリエチレンよりも接触角が高く、撥水性が向上していることが確認された。また、改質の前後の透湿度の測定を行ったが、同じ共重合体(1)を用いた実施例1〜4よりも接触時間・量が多いと考えられるディッピングによる処理後も、透湿度は維持されており、不織布の閉塞等はなかった。よって、透湿度を維持したまま、撥水性を向上させることができることが確認された。
さらに、その不織布の機械的強度等を折り曲げや引っ張り性等で確認したとき、従来のポリエチレン系樹脂の不織布相当の強度が維持されたものであった。これらは、例えばスポーツ用の衣類等に求められる特性であり、ポリエチレン系樹脂の成形品の用途拡大に寄与することなどが期待される。
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂の成形性や機械特性等を維持したままで、その成形品により優れた耐溶剤性や撥水性等を付与することができ、ポリエチレン系樹脂の成形品の用途が広がり産業上有用である。

Claims (6)

  1. 第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するポリエチレン改質用の共重合体であって、
    記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレートであり、
    記モノマー(B)が、その側鎖に下記化学式(b1)で表されるフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレートである共重合体を、溶媒に溶解させた共重合体溶液を調製する工程と、
    前記共重合体溶液を、ポリエチレン系樹脂の成形品に接触させる工程と、
    前記成形品に接触させた前記共重合体溶液の溶媒を揮発させることで前記成形品の表層に前記共重合体層を形成させる工程と、
    を有し、
    前記共重合体の前記モノマー(A)由来のブロックの重量平均分子量が、2,000以上であり、かつ、前記モノマー(B)由来のブロックの重量平均分子量が、1,000以上であり、
    前記共重合体が下記化学式(I)または下記化学式(II)のいずれかで表される構造を有する共重合体であるポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
    Figure 0006963246
    化学式(b1)において、nは、2以上の整数である。
    Figure 0006963246
    化学式(I)において、nは2〜1,000であり、mは2〜1,000である。
    Figure 0006963246
    化学式(II)において、n1は2〜500であり、n2は2〜500であり、mは2〜1,000である。
  2. 前記共重合体溶液を溶解させる前記溶媒が、酢酸ブチルおよびベンゼン、トルエン、テトラヒドロフランからなる群から選択されるいずれかを用いた溶媒である請求項1記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
  3. 前記共重合体溶液を調製する工程において、前記共重合体と、前記溶媒とを、60℃以上〜100℃以下の温度で撹拌する請求項1または2記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
  4. 前記共重合体溶液の、前記共重合体の濃度が、0.1重量%以上、20重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂の成形品の改質方法。
  5. 第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するポリエチレン改質用の共重合体であって、
    記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレートであり、
    記モノマー(B)が、その側鎖に下記化学式(b1)で表されるフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレートであり、
    記モノマー(A)由来のブロックの重量平均分子量が、2,000以上であり、かつ、前記モノマー(B)由来のブロックの重量平均分子量が、1,000以上であり、
    前記共重合体が下記化学式(I)または下記化学式(II)のいずれかで表される構造を有する共重合体である共重合体を含有するポリエチレン系樹脂の改質剤。
    Figure 0006963246
    化学式(b1)において、nは、2以上14以下の整数である。
    Figure 0006963246
    化学式(I)において、nは2〜1,000であり、mは2〜1,000である。
    Figure 0006963246
    化学式(II)において、n1は2〜500であり、n2は2〜500であり、mは2〜1,000である。
  6. 第1のモノマー(A)由来の構造と、第2のモノマー(B)由来の構造とを有するポリエチレン改質用の共重合体であって、
    記モノマー(A)が、その側鎖に炭素数8以上の長さのアルカン鎖を有する、(メタ)アクリレートであり、
    前記モノマー(B)が、その側鎖に下記化学式(b1)で表されるフッ素化アルキル基を有する、(メタ)アクリレートであり、
    記モノマー(A)由来のブロックの重量平均分子量が、2,000以上であり、かつ、前記モノマー(B)由来のブロックの重量平均分子量が、1,000以上である共重合体の層を有し、
    前記共重合体が下記化学式(I)または下記化学式(II)のいずれかで表される構造を有する共重合体であるポリエチレン系樹脂の成形品。
    Figure 0006963246
    化学式(b1)において、nは、2以上14以下の整数である。
    Figure 0006963246
    化学式(I)において、nは2〜1,000であり、mは2〜1,000である。
    Figure 0006963246
    化学式(II)において、n1は2〜500であり、n2は2〜500であり、mは2〜1,000である。
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