JPWO2013027679A1 - 含フッ素ブロック共重合体およびその製造方法、ならびに表面処理剤 - Google Patents

含フッ素ブロック共重合体およびその製造方法、ならびに表面処理剤 Download PDF

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Abstract

炭素数6以下のRf基を有する含フッ素ブロック共重合体、および該重合体を含む表面処理剤により、優れた静的撥液性と動的撥液性を兼ね備えた塗膜を形成させる。特定の含フッ素単量体に基づく単位(a)を有する含フッ素部位(A)と、非フッ素系単量体に基づく単位(b)を有する非フッ素部位(B)とを有し、全単位に対して、前記単位(a)の割合が15〜40モル%であり、前記単位(b)の割合が60〜85モル%である含フッ素ブロック共重合体、およびその製造方法。また、前記含フッ素ブロック共重合体を含む表面処理剤。

Description

本発明は、含フッ素ブロック共重合体およびその製造方法、ならびに表面処理剤に関する。
含フッ素重合体は、撥水撥油剤等の表面処理剤として利用されている。該表面処理剤を無機基材(金属、ガラス等)、樹脂基材(ポリカーボネート等)の表面に塗布して塗膜を形成することによって、撥水撥油性を有する物品が得られる。含フッ素重合体としては、炭素数8以上のフルオロアルキル基(以下、「R基」という。)を有する含フッ素重合体が知られている。しかし、炭素数7以上のR基を有する含フッ素重合体は、環境負荷が高い点で懸念がある。そのため、炭素数6以下のR基を有し、炭素数7以上のR基を有さない含フッ素重合体を使用することが求められている。
炭素数6以下のR基を有する含フッ素重合体としては、例えば、CF(CF(CHOC(O)C(CH)=CH(以下、「C6FMA」という。)等のペルフルオロアルキル基(以下、「R基」という。)を有する(メタ)アクリレート系単量体と、ステアリルアクリレート等の非フッ素系の(メタ)アクリレート系単量体をブロック共重合して得られる含フッ素ブロック共重合体が知られている(特許文献1)。
日本特開2009−242550号公報
しかし、特許文献1の含フッ素ブロック共重合体を使用して形成した塗膜の撥液性について詳細に検討したところ、優れた静的撥液性(静的撥水性、静的撥油性)は得られるものの、充分な動的撥液性(動的撥水性、動的撥油性)を得ることは困難であることがわかった。
本発明は、炭素数6以下のR基を有し、優れた静的撥液性と動的撥液性を有する塗膜を形成できる含フッ素ブロック共重合体、および該含フッ素ブロック共重合体の製造方法の提供を目的とする。
また、本発明は、物品に優れた静的撥液性と動的撥液性を付与できる表面処理剤の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]下式(1)で表される単量体に基づく単位(a)を有する含フッ素部位(A)と、単独重合体としたときのガラス転移温度が30℃以上となる非フッ素系単量体に基づく単位(b)を有する非フッ素部位(B)とを有し、
全単位に対して、前記単位(a)の割合が15〜40モル%であり、前記単位(b)の割合が60〜85モル%である含フッ素ブロック共重合体。
Figure 2013027679
(ただし、式(1)中、Yは炭素数1〜4の脂肪族基であり、Rは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のR基である。)
[2]前記式(1)のYがエチレン基である[1]に記載の含フッ素ブロック共重合体。
[3]前記式(1)のRが炭素数6のR基である[1]または[2]に記載の含フッ素ブロック共重合体。
[4]前記式(1)で表される単量体が、2−ペルフルオロヘキシルエチルアクリレートである[1]に記載の含フッ素ブロック共重合体。
[5]前記非フッ素系単量体が、(メタ)アクリレート系単量体、アクリルアミド系単量体、芳香族炭化水素系ビニル単量体、およびビニルエーテル系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む[1]〜[4]のいずれか一項に記載の含フッ素ブロック共重合体。
[6]前記非フッ素系単量体が、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、スチレン、およびシクロヘキシルビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む[1]〜[4]のいずれか一項に記載の含フッ素ブロック共重合体。
[7]前記非フッ素系単量体が、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチルである[1]〜[4]のいずれか一項に記載の含フッ素ブロック共重合体。
[8][1]〜[7]のいずれか一項に記載の含フッ素ブロック共重合体を含む表面処理剤。
[9]リビングラジカル重合法により含フッ素ブロック共重合体を製造する方法であって、
RAFT剤の存在下、非フッ素系単量体を重合して重合体(X)を得る工程(I)と、工程(I)で得られた重合体(X)とRAFT剤の存在下、下式(1)で表される単量体を重合して含フッ素ブロック共重合体を得る工程(II)を有し、
重合に使用する全単量体に対して、下式(1)で表される単量体の割合が15〜40モル%であり、前記非フッ素系単量体の割合が60〜85モル%である含フッ素ブロック共重合体の製造方法。
Figure 2013027679
(ただし、式(1)中、Yは炭素数1〜4の脂肪族基であり、Rは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のR基である。)
本発明の含フッ素ブロック共重合体は、炭素数6以下のR基を有し、優れた静的撥液性と動的撥液性を有する塗膜を形成できる。
また、本発明の製造方法によれば、炭素数6以下のR基を有し、優れた静的撥液性と動的撥液性を有する塗膜を形成できる含フッ素ブロック共重合体が得られる。
また、本発明の表面処理剤は、本発明の含フッ素ブロック共重合体を含んでいるため、物品に優れた静的撥液性と動的撥液性を付与できる。
本明細書中において、(メタ)アクリル酸メチルとは、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルを意味し、他の化合物についても同様である。
<含フッ素ブロック共重合体>
本発明の含フッ素ブロック共重合体は、後述する単位(a)を有する含フッ素部位(A)、および単位(b)を有する非フッ素部位(B)を有し、さらに必要に応じて単位(c)を有する他の部位(C)を有するブロック共重合体である。
[含フッ素部位(A)]
含フッ素部位(A)は、下式(1)で表される単量体(以下、「単量体(α)」という。)に基づく単位(a)が2個以上連続したブロック鎖である。
Figure 2013027679
ただし、式(1)中、Yは炭素数1〜4の脂肪族基であり、Rは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のR基である。
基とは、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基である。R基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたR基であってもよく、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子に置換された基でもよい。
Yは、撥水撥油性の点から、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
Rは、撥水撥油性の点から、炭素数4〜6のR基が好ましく、炭素数6のR基がより好ましい。具体的には、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF、または−(CFCF(CFが好ましく、−(CFCF、または−(CFCF(CFがより好ましく、−(CFCFが特に好ましい。
単量体(α)の具体例としては、例えば、2−ペルフルオロヘキシルエチルアクリレート(以下、「C6FA」という。)、2−ペルフルオロブチルエチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,7,7,7−デカフルオロ−6−(トリフルオロメチル)ヘプチルアクリレート等が挙げられる。なかでも、C6FA、または3,3,4,4,5,5,6,7,7,7−デカフルオロ−6−(トリフルオロメチル)ヘプチルアクリレートが好ましく、C6FAが特に好ましい。
含フッ素部位(A)が有する単位(a)は、1種または2種以上であってもよく、1種のみであることが好ましい。
[非フッ素部位(B)]
非フッ素部位(B)は、単独重合体としたときのガラス転移温度(以下、「Tg」という。)が30℃以上となる非フッ素系単量体(以下、「非フッ素系単量体(β)」という。)に基づく単位(b)が2個以上連続したブロック鎖である。
非フッ素系単量体(β)は、単量体(α)と共重合可能な、分子内にフッ素原子を有しない単量体であって、単独重合体としたときのTgが30℃以上となる単量体である。非フッ素系単量体(β)は、静的撥水性および動的撥油性に優れた塗膜が形成しやすくなる点から、単独重合体としたときのTgが50〜300℃となる単量体が好ましく、単独重合体としたときのTgが60〜250℃となる単量体がより好ましい。単独重合体としたときのTgが30℃未満であると、充分な動的撥水性を発現することができず、好ましくない。
なお、前記単独重合体としたときのTgとは、非フッ素系単量体(β)を重合して得られる、数平均分子量(Mn)が10000以上の単独重合体について、示差走査熱量測定法によって求められるTgである。
非フッ素系単量体(β)としては、(メタ)アクリレート系単量体、アクリルアミド系単量体、芳香族炭化水素系ビニル単量体、およびビニルエーテル系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
(メタ)アクリレート系単量体としては、アクリル酸[Tg:106℃]、メタクリル酸[Tg:228℃]、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という。)[Tg:105℃]、メタクリル酸エチル[Tg:65℃]、メタクリル酸n−プロピル[Tg:35℃]メタクリル酸イソプロピル[Tg:81℃]、メタクリル酸イソブチル[Tg:60℃]、メタクリル酸t−ブチル[Tg:118℃]、アクリル酸t−ブチル[Tg:73℃]、アクリル酸ヘキサデシル[Tg:35℃]、アクリル酸ベヘニル[Tg:86℃]、メタクリル酸フェニル[Tg:110℃]、アクリル酸フェニル[Tg:57℃]、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、メタクリル酸シクロヘキシル[Tg:83℃]、メタクリル酸ベンジル[Tg:54℃]、メタクリル酸ヒドロキシエチル[Tg:55℃]、モノ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ヒドロキシプロピル[Tg:76℃]、モノ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、モノ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、2−ヒドロキシ−4−[2−(メタ)アクリルオキシエトキシ]ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−[3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロプポキシ]ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−[3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]ベンゾフェノン、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの四級アンモニウム塩、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルアンモニウムクロライドのような(メタ)アクリル酸から誘導される四級アンモニウム塩等が挙げられる。
アクリルアミド系単量体としては、(メタ)アクリルアミド[Tg:165℃]、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
芳香族炭化水素系ビニル単量体としては、スチレン[Tg:100℃]等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、t−ブチルビニルエーテル[Tg:88℃]やシクロヘキシルビニルエーテル[Tg:81℃]等が挙げられる。
非フッ素系単量体(β)としては、後述する重合溶媒への溶解性および生産性に優れることから、MMA、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、スチレン、およびシクロヘキシルビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、MMA、またはメタクリル酸エチルが特に好ましい。
非フッ素部位(B)における単位(b)は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
[他の部位(C)]
本発明の含フッ素ブロック共重合体は、含フッ素部位(A)および非フッ素部位(B)に加えて、単量体(α)および単位(b)を形成する非フッ素系単量体(β)以外の他の単量体に基づく単位(c)を有する他の部位(C)を有してもよい。他の部位(C)は、単位(c)が1個、または2個以上連続したブロック鎖であってもよい。他の部位(C)としては、単量体(α)以外の他の含フッ素系単量体に基づく単位(c1)を有する他の含フッ素部位(C1)、単位(b)を形成する非フッ素系単量体(β)以外の他の非フッ素系単量体に基づく単位(c2)を有する他の非フッ素系部位(C2)が挙げられる。
他の含フッ素系単量体としては、例えば、2−ペルフルオロヘキシルエチルメタクリレート(C6FMA)、3,3,4,4,5,5,6,7,7,7−デカフルオロ−6−(トリフルオロメチル)ヘプチルメタクリレート等が挙げられる。
他の非フッ素系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル[Tg:10℃]、アクリル酸エチル[Tg:−50℃]、アクリル酸プロピル[Tg:−37℃]、アクリル酸n−ブチル[Tg:−54℃]、メタクリル酸n−ブチル[Tg:20℃]、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル[Tg:15℃]、アクリル酸オクタデシル[Tg:−42℃]、メタクリル酸2−エチルヘキシル、2−クロロエチルメタクリレート、エチルビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の含フッ素ブロック共重合体が他の部位(C)を有する場合、単位(c)は1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
本発明の含フッ素ブロック共重合体の全単位に対する単位(a)の割合は、15〜40モル%である。単位(a)の割合が15モル%以上であれば、優れた撥水撥油性が得られる。単位(a)の割合が40モル%以下であれば、撥水特性が維持される。単位(a)の割合は、15〜35モル%が好ましく、20〜30モル%がより好ましい。
本発明の含フッ素ブロック共重合体の全単位に対する単位(b)の割合は、60〜85モル%である。単位(b)の割合が60モル%以上であれば、撥水特性、特に撥油特性が向上する。単位(b)の割合が85モル%以下であれば、動的撥水特性が維持される。単位(b)の割合は、65〜85モル%が好ましく、70〜80モル%がより好ましい。
本発明の含フッ素ブロック共重合体の全単位に対する単位(c)の割合は、0〜25モル%が好ましく、0〜20モル%がより好ましい。
本発明の含フッ素ブロック共重合体としては、含フッ素部位(A)と非フッ素部位(B)からなることが好ましく、単位(a)が15〜40モル%、単位(b)が60〜85モル%(単位(a)と単位(b)の合計が100モル%)の含フッ素ブロック共重合体が好ましく、単位(a)が20〜30モル%、単位(b)が70〜80モル%(単位(a)と単位(b)の合計が100モル%)の含フッ素ブロック共重合体がより好ましい。
本発明の含フッ素ブロック共重合体は、含フッ素部位(A)に由来する−20〜40℃のガラス転移温度(Tg)、および非フッ素部位(B)に由来する30℃以上のガラス転移温度(Tg)の2つの異なるガラス転移温度を有することによって評価することができる。
本発明の含フッ素ブロック共重合体は、AB型、ABA型、ABAB型(ただし、Aは含フッ素部位(A)、Bは非フッ素部位(B)を示す。)等のいずれの形態の含フッ素ブロック共重合体であってもよく、AB型の含フッ素ブロック共重合体が特に好ましい。本発明の含フッ素ブロック共重合体が他の部位(C)を含む場合は、ABC型(ただし、Cは他の部位(C)を示す。)の含フッ素ブロック共重合体が好ましい。他の部位(C)としては、前記他の含フッ素部位(C1)、または前記他の非フッ素系部位(C2)を単独で用いてもよく、併用して用いてもよい。
本発明の含フッ素ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、5000〜100000が好ましく、10000〜50000がより好ましい。含フッ素ブロック共重合体のMnが下限値以上であれば、優れた塗膜形成能を得やすい。含フッ素ブロック共重合体のMnが上限値以下であれば、優れた溶剤への溶解性を得やすい。
本発明の含フッ素ブロック共重合体のMnに対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は、1.0〜3.0が好ましく、1.3〜1.7がより好ましい。含フッ素ブロック共重合体のMw/Mnが下限値以上であれば、収率良く合成できる。含フッ素ブロック共重合体のMw/Mnが上限値以下であれば、塗膜形成時に含フッ素部位(A)と非フッ素部位(B)が相分離しやすく、優れた撥水撥油性が得られやすくなる。
本発明におけるMnおよびMwは、下記測定条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により算出した値である。GPCにおける含フッ素ブロック共重合体の分子量分布が1つのピークを有する「単分散」であることから、ブロック共重合体であることを評価することができる。
測定温度:40℃。
注入量:50μL。
流出速度:1mL/分。
標準試料:EasiCal PM−2(Polymer laboratories社製)。
溶離液:ジクロロペンタフルオロプロパン(AK−225)/ヘキサフロロイソプロパノール(HFIP)=99/1(体積比)の混合溶媒。
[製造方法]
本発明の含フッ素ブロック共重合体は、例えば、リビングラジカル重合法で得ることができる。なかでも、重合条件が簡便で生産性が高いことから、RAFT剤(可逆的付加開裂型連鎖移動剤)を使用するRAFT重合(可逆的付加開裂連鎖移動重合、reversible addition-fragmentation chain transfer polymerization)によって製造することが好ましい。特に、下記工程(I)および工程(II)を有する方法が好ましい。
(I)RAFT剤の存在下、非フッ素系単量体(β)を重合して重合体(X)を得る工程。
(II)工程(I)で得られた重合体(X)とRAFT剤の存在下、単量体(α)を重合して含フッ素ブロック共重合体を得る工程。
重合に使用する全単量体に対する単量体(α)の割合は15〜40モル%であり、非フッ素系単量体の割合は60〜85モル%である。
工程(I):
RAFT剤の存在下、従来公知のラジカル重合法により非フッ素系単量体(β)を重合して重合体(X)を得る。
RAFT剤としては、例えば、クミルジチオベンゾエート(CDB)、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボナート等が挙げられる。
RAFT剤の使用量は、非フッ素系単量体(β)の100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系化合物が好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、非フッ素系単量体(β)の100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましい。
重合溶媒としては、トルエン、メタキシレンヘキサフルオライド(mxHF)、ジクロロペンタフルオロプロパン(AK−225)等が挙げられる。
重合溶媒の使用量は、非フッ素系単量体(β)の100質量部に対して、0(無溶媒)〜200質量部が好ましい。
重合温度は40〜100℃が好ましい。
工程(II):
工程(I)で得られた重合体(X)とRAFT剤の存在下、従来公知のラジカル重合法により単量体(α)を重合して含フッ素ブロック共重合体を得る。
工程(II)は、工程(I)で得られた重合体(X)と、RAFT剤とを含む反応液に単量体(α)を添加して重合を行う方法が生産性の点で有利である。また、ラジカル重合開始剤は、必要に応じて添加する。
また、工程(II)は、必要に応じて工程(I)で得られた反応液から重合体(X)を分離して洗浄、乾燥等を行ってもよい。この場合は、重合体(X)、RAFT剤、ラジカル重合開始剤、および重合溶媒を再度仕込めばよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体(α)の100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましい。
重合溶媒の使用量は、単量体(α)の100質量部に対して、0(無溶媒)〜200質量部が好ましい。
重合温度は40〜100℃が好ましい。
なお、本発明の含フッ素ブロック共重合体の製造方法は、例えば、他の部位(C)を有する含フッ素ブロック共重合体を製造する場合、工程(I)の前、工程(I)と工程(II)の間等に他の含フッ素系単量体および他の非フッ素系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種を重合する工程を設けてもよい。また、RAFT重合以外にも、リビングラジカル重合の1種であるハロゲン化アルキルを用いる原子移動ラジカル重合、ニトロキシドを介したリビングラジカル重合(NMP、nitroxide mediated polymerizaion)を採用してもよい。
以上説明した本発明の含フッ素ブロック共重合体は、炭素数6以下のR基を有しており、優れた静的撥液性と動的撥液性を兼ね備えた塗膜を形成できる。本発明の含フッ素ブロック共重合体により前記効果が得られる要因は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。本発明の含フッ素ブロック共重合体を使用して形成した塗膜においては、含フッ素部位(A)と非フッ素部位(B)が相分離し、単量体(α)に基づく単位(a)のR基が塗膜表面に密集して表面エネルギーが小さくなっており、優れた静的撥液性が得られると考えられる。また、単独重合体とした際のTgが高い非フッ素系単量体(β)を用いて形成した非フッ素系部位(B)の相が含フッ素部位(A)の相よりも硬くなるため、塗膜表面に密集したR基の運動が抑制され、優れた動的撥液性が得られると考えられる。
<表面処理剤>
本発明の表面処理剤は、本発明の含フッ素ブロック共重合体を必須成分として含み、必要に応じて水や有機溶媒等の媒体、界面活性剤、および添加剤を含む組成物である。本発明の表面処理剤は、溶液、乳濁液、エアゾール等の任意の形態で使用できる。
本発明の含フッ素ブロック共重合体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
媒体としては、水または有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、フッ素系有機溶媒または非フッ素系有機溶媒が挙げられ、不燃性の点、表面張力が低く膜厚斑の小さい均一な塗膜を形成できる点から、フッ素系有機溶媒が好ましい。
フッ素系有機溶媒としては、例えば、ジクロロペンタフルオロプロパン(AK−225、旭硝子社製)、メタキシレンヘキサフルオライド(mxHF、東京化成工業社製)等が挙げられる。
非フッ素系有機溶媒としては、例えば、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン等が挙げられる。
有機溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の表面処理剤が水または有機溶媒を含む場合、表面処理剤の製造直後の表面処理剤(100質量%)における含フッ素ブロック共重合体の含有量は、20〜40質量%が好ましい。
また、本発明の表面処理剤を物品に処理する際には、表面処理剤(100質量%)における含フッ素ブロック共重合体の含有量は、0.2〜5質量%が好ましい。
本発明の表面処理剤は、含フッ素ブロック共重合体と水性媒体を含むことが好ましい。本明細書において水性媒体とは、水のみからなる媒体、または水100質量部に対して80質量部以下の有機溶媒を含む媒体を意味する。
界面活性剤としては、炭化水素系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が挙げられ、それぞれ、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または両性界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、分散安定性の点から、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤もしくは両性界面活性剤との併用、または、アニオン性界面活性剤の単独使用が好ましく、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤との併用がより好ましい。
界面活性剤の含有量は、表面処理剤(100質量%)に対して0〜20質量%が好ましく、0〜15質量%より好ましい。
添加剤としては、浸透剤、消泡剤、吸水剤、帯電防止剤、制電性重合体、防皺剤、風合い調整剤、造膜助剤、水溶性高分子(ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等)、熱硬化剤(メラミン樹脂、ウレタン樹脂、トリアジン環含有化合物、イソシアネート系化合物等)、エポキシ硬化剤(イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジド、スピログリコール等)、熱硬化触媒、架橋触媒(有機酸類、塩化アンモニウム等)、合成樹脂、繊維安定剤、無機微粒子等が挙げられる。
また、本発明の表面処理剤は、必要に応じて、前記含フッ素ブロック共重合体以外の、撥水性および/または撥油性を発現できる共重合体(例えば、市販の撥水剤、市販の撥油剤、市販の撥水撥油剤、市販のSR剤等)、フッ素原子を有しない撥水性化合物等を含んでもよい。フッ素原子を有しない撥水性化合物としては、パラフィン系化合物、脂肪族アマイド系化合物、アルキルエチレン尿素化合物、シリコーン系化合物等が挙げられる。
本発明の表面処理剤は、基材の表面を処理して塗膜を形成することで、該基材に優れた静的撥液性と動的撥液性を付与できる。基材としては、例えば、無機基材(金属、ガラス等)、樹脂基材(ポリカーボネート等)、石材等が挙げられる。
本発明の表面処理剤の塗布方法としては、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法等の公知の方法を採用できる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例3〜5は実施例であり、例1、2、6〜22は比較例である。
[原料等]
本実施例で使用した原料等を以下に示す。
(単量体)
C6FA:2−ペルフルオロヘキシルエチルアクリレート(2−ペルフルオロヘキシルエタノールを原料として公知の方法で合成し、単蒸留精製したもの。)。
C6FMA:2−ペルフルオロヘキシルエチルメタクリレート(2−ペルフルオロヘキシルエタノールを原料として公知の方法で合成し、単蒸留精製したもの。)。
MMA:メタクリル酸メチル(関東化学社製。単蒸留精製したもの。)。
(重合開始剤)
AIBN:α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(関東化学社製。再結晶法で精製したもの。)。(RAFT剤)
CDB:クミルジチオベンゾエート(第五版実験化学講座高分子化学48〜49頁に記載の方法で合成し、精製したもの。)。
(その他の試薬)
アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、メタノール、ヘキサン(以上、関東化学社製)、メタキシレンヘキサフルオライド(mxHF、東京化成工業社製)、ジクロロペンタフルオロプロパン(AK−225、旭硝子社製)、ヘキサフロロイソプロパノール(HFIP、セントラル硝子社製)。
[重合体の組成]
各例で回収した重合体の組成は、H−NMRにより測定した。C6FA単位とMMA単位の比率(モル%)は、4.3ppm付近のC6FA単位のプロトンと、3.6ppm付近のMMA単位のプロトンの積分比により算出した。また、C6FMA単位とMMA単位の比率(モル%)は、4.3ppm付近のC6FMA単位のプロトンと、3.6ppm付近のMMA単位のプロトンの積分比により算出した。
[数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)]
AK−225/HFIP=99/1(体積比)の混合溶媒に、各例で回収した重合体を0.5質量%となるように溶解し、孔径0.2μmのフィルタで濾過して分析サンプルとした。該分析サンプルについて、GPCにより下記測定条件で数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定した。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)。
カラム:MIXED−E(Polymer laboratories社製)を2本直列に連結したもの。
測定温度:40℃。
注入量:50μL。
流出速度:1mL/分。
標準試料:EasiCal PM−2(Polymer laboratories社製)。
溶離液:AK−225/HFIP=99/1(体積比)の混合溶媒。
[ガラス転移温度]
示差走査熱量測定法(DSC法)により、各例で回収した重合体のガラス転移温度(Tg)を測定した。Tgは10℃/分の加熱速度における曲線から読み取った。
装置:DSC Q100(TA Instrument社製)。
走査温度範囲:−50℃〜200℃
走査速度:10℃/分
Tgは、同じサンプルで2度測定し、2度目の測定データを採用した。
[例1〜6]
工程(I):
25mL耐圧ガラス製重合用アンプルに、非フッ素系単量体(β)であるMMA、重合開始剤であるAIBN、RAFT剤であるCDB、および溶媒であるトルエンを表1に示す仕込み量で仕込んだ。次に、アンプル内の混合溶液を凍結脱気法により2回脱気した後、アンプルを密閉し、100℃のオイルバス中で18時間加熱し、重合体(X1)を含む反応液を得た。反応液を冷却後にアンプルを開放し、反応液のH−NMR測定を行ってMMAの重合転化率を求めた。MMAの重合転化率は、例1〜6のいずれについても99%以上であった。
工程(II):
アンプル内の反応液に、単量体(α)であるC6FA、重合開始剤であるAIBN、および溶媒を、表1に示す組成で加え、凍結脱気を2回行った後、アンプルを密閉して100℃で48時間加熱した。その後、重合溶液を20倍質量のヘキサンに滴下し、撹拌して固体を析出させた。得られた固体をろ取し、40℃で一晩真空乾燥してブロック共重合体を得た。
例1〜6で得られたブロック共重合体はいずれも桃色を呈しており、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびAK−225に可溶であった。
Figure 2013027679
[評価方法]
(静的撥水性)
各例で得られた重合体を5質量%となるようにAK−225に溶解して表面処理剤を調製し、該表面処理剤をシリコンウエハ上にスピンコーティング法により塗布して塗膜(膜厚:約100nm)を形成した後、150℃にて1時間熱処理して塗膜サンプルを得た。得られた塗膜サンプルの塗膜上に2μLの水を滴下し、dropmaster700(協和界面科学社製)を用いて接触角を測定した。
(静的撥油性)
水の代わりにヘキサデカンを使用した以外は、前記静的撥水性の評価と同様にして接触角を測定した。
(動的撥水性)
前記静的撥水性の評価と同様にして塗膜サンプルを得た後、該塗膜サンプルの塗膜上に10μLの水を滴下し、塗膜サンプルを傾斜角度が50°となるように傾け、水滴の前進角(滑り落ちる寸前の液滴における下方側の接触角)と後退角(滑り落ちる寸前の液滴における上方側の接触角)を測定した。
また、塗膜サンプルを40℃の蒸留水に3時間浸漬した後、同様に前進角と後退角を測定した。
例1〜6で得られたブロック共重合体の組成、Mn、Mw/MnおよびTgの測定結果、ならびに撥液性の評価結果を表2に示す。なお、表2のTgにおける例2の「−4/120」とは、−4℃と120℃の2つのTgがあったことを意味しており、他の例についても同様である。また、動的撥水性における「×」は、塗膜サンプル上の水滴が傾斜角度50°で滑り落ちなかったことを意味する。
Figure 2013027679
表2に示すように、本発明のブロック共重合体を使用した例3〜5の塗膜は、優れた静的撥水性および静的撥油性に加えて、優れた動的撥水性を有していた。一方、非フッ素系単量体(β)に基づく単位と単量体(α)に基づく単位の比率が本発明の範囲外であるブロック共重合体を使用した例1、2、6の塗膜は、充分な動的撥水性を有していなかった。
[例7〜13]
25mL耐圧ガラス製重合用アンプルに、非フッ素系単量体(β)であるMMA、単量体(α)であるC6FA、重合開始剤であるAIBN、RAFT剤であるCDB、および溶媒であるトルエンを表3に示す仕込み量で仕込んだ。アンプル内の混合溶液を凍結脱気法により2回脱気した後、アンプルを密閉し、100℃のオイルバス中で24時間加熱した。重合溶液を20倍質量のヘキサンに滴下し、撹拌して固体を析出させた。得られた固体をろ取し、40℃で一晩真空乾燥して表4に示す質量のランダム共重合体を得た。例7および例13については単独重合体を得た。
得られた重合体はいずれも桃色を呈しており、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびAK−225に可溶であった。
例7〜13で得られた重合体の組成、Mn、Mw/MnおよびTgの測定結果、ならびに撥液性の評価結果を表4に示す。
Figure 2013027679
Figure 2013027679
表4に示すように、ランダム共重合体を使用した例8〜12の塗膜は、充分な動的撥水性を有していなかった。また、例8〜12の塗膜は、非フッ素系単量体(β)に基づく単位と単量体(α)に基づく単位の比率が同程度のブロック共重合体を使用した例2〜6の塗膜に比べて、静的撥水性および静的撥油性が劣っていた。
MMAの単独重合体を使用した例7は、静的撥水性、静的撥油性、動的撥水性の全てが劣っていた。C6FAの単独重合体を使用した例13は、優れた静的撥水性および静的撥油性が得られるものの、充分な動的撥水性が得られなかった。
[例14〜18]
C6FAの代わりにC6FMAを使用し、各成分の仕込み量を表5に示すとおりに変更した以外は、例1〜6と同様にしてブロック共重合体を得た。例14〜18におけるMMAの重合転化率はいずれも99%以上であった。また、得られたブロック共重合体は桃色を呈しており、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、AK−225に可溶であった。
例14〜18で得られたブロック共重合体の組成、Mn、Mw/MnおよびTgの測定結果、ならびに撥液性の評価結果を表6に示す。なお、撥液性の評価は、シリコンウエハの代わりにガラス基板を使用した以外は例1〜6における撥液性の評価と同様に行った。
Figure 2013027679
Figure 2013027679
表6に示すように、C6FAの代わりに、単量体(α)ではないC6FMAを使用したブロック共重合体を用いた例14〜18の塗膜は、充分な動的撥水性を有していなかった。
[例19〜22]
C6FAの代わりにC6FMAを使用し、各成分の仕込み量を表7に示すとおりに変更した以外は、例1〜6と同様にしてランダム共重合体を得た。例22については単独重合体を得た。
得られた重合体は桃色を呈しており、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、およびAK−225に可溶であった。
例19〜22で得られた重合体の組成、Mn、Mw/MnおよびTgの測定結果、ならびに撥液性の評価結果を表8に示す。なお、撥液性の評価は、シリコンウエハの代わりにガラス基板を使用した以外は例1〜6における撥液性の評価と同様に行った。
Figure 2013027679
Figure 2013027679
表8に示すように、C6FAの代わりに、単量体(α)ではないC6FMAを使用したランダム共重合体を用いた例19〜21の塗膜は、充分な動的撥水性を有していなかった。また、C6FMAの単独重合体を使用した例22は、浸漬後に動的撥水性が低下した。
本発明の含フッ素ブロック共重合体は、物品に優れた静的撥液性と動的撥液性を付与できる表面処理剤の製造に利用できる。
なお、2011年8月24日に出願された日本特許出願2011−182375号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (9)

  1. 下式(1)で表される単量体に基づく単位(a)を有する含フッ素部位(A)と、単独重合体としたときのガラス転移温度が30℃以上となる非フッ素系単量体に基づく単位(b)を有する非フッ素部位(B)とを有し、
    全単位に対して、前記単位(a)の割合が15〜40モル%であり、前記単位(b)の割合が60〜85モル%である含フッ素ブロック共重合体。
    Figure 2013027679
    (ただし、式(1)中、Yは炭素数1〜4の脂肪族基であり、Rは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。)
  2. 前記式(1)のYがエチレン基である請求項1に記載の含フッ素ブロック共重合体。
  3. 前記式(1)のRが炭素数6のペルフルオロアルキル基である請求項1または2に記載の含フッ素ブロック共重合体。
  4. 前記式(1)で表される単量体が、2−ペルフルオロヘキシルエチルアクリレートである請求項1に記載の含フッ素ブロック共重合体。
  5. 前記非フッ素系単量体が、(メタ)アクリレート系単量体、アクリルアミド系単量体、芳香族炭化水素系ビニル単量体、およびビニルエーテル系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素ブロック共重合体。
  6. 前記非フッ素系単量体が、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、スチレン、およびシクロヘキシルビニルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素ブロック共重合体。
  7. 前記非フッ素系単量体が、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の含フッ素ブロック共重合体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の含フッ素ブロック共重合体を含む表面処理剤。
  9. リビングラジカル重合法により含フッ素ブロック共重合体を製造する方法であって、
    RAFT剤の存在下、非フッ素系単量体を重合して重合体(X)を得る工程(I)と、工程(I)で得られた重合体(X)とRAFT剤の存在下、下式(1)で表される単量体を重合して含フッ素ブロック共重合体を得る工程(II)を有し、
    重合に使用する全単量体に対して、下式(1)で表される単量体の割合が15〜40モル%であり、前記非フッ素系単量体の割合が60〜85モル%である含フッ素ブロック共重合体の製造方法。
    Figure 2013027679
    (ただし、式(1)中、Yは炭素数1〜4の脂肪族基であり、Rは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。)
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