JP2015124232A - 含フッ素2ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

含フッ素2ブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】含フッ素ビニル系単量体(A)と非フッ素ビニル系単量体(B)からなる含フッ素2ブロック共重合体(A)m(B)nの製造方法の提供。【解決手段】】〔第一工程〕トリチオ炭酸エステル化合物の存在下、下記一般式(2)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを、ラジカル重合開始剤を用いて重合し、特定の構造を有する含フッ素マクロ開始剤を製造する工程と、〔第二工程〕前記含フッ素マクロ開始剤存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合する工程とを含むことを特徴とする、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックと非フッ素ビニル系単量体の単独重合体ブロックとからなる含フッ素2ブロック共重合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は含フッ素2ブロック共重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、〔第一工程〕含フッ素マクロ開始剤の製造工程および〔第二工程〕第一工程で得られたマクロ開始剤存在下非フッ素ビニル系単量体を重合する工程からなる含フッ素2ブロック共重合体の製造方法に関する。
近年リビングラジカル重合技術の進歩に伴い、重合体の分子量、分子末端、分子量分布、分子鎖分子配列を精密に制御することができるようになった。特に可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシドを介したラジカル重合(NMP)等に代表される制御リビングラジカル重合では、アニオン重合等における低温重合およびモノマーの厳密な精製が不要であり、またモノマーの適用範囲が広いといった特長がある。さらに通常のラジカル重合条件で容易に行うことができる利点があり(工業的汎用性)、種々の構造及び機能をもつ共重合体または単独重合体を容易に作製することが可能となった。
この中で、非特許文献1には、RAFT重合について、反応機構の検討、および置換基による反応性の検討などを含めて種々の研究がなされていることが記載されている。また、非特許文献2には、ATRPについても種々の研究がなされていることが記載されている。非特許文献3には、ニトロキシドが介在するリビングフリーラジカル重合によって、種々のビニル系モノマーの重合を制御する試みが記載されている。
また、これらの手法を用いて含フッ素ブロック共重合体を作製することができる(特許文献1〜6)。
ここで、制御リビングラジカル重合により含フッ素ビニル系単量体(A)と非フッ素ビニル系単量体(B)からなる(A)m(B)n 2ブロック共重合体を製造する方法としては、第一工程で非フッ素ビニル系単量体(B)を重合し非フッ素マクロ開始剤(B)nを製造した後、第二工程で非フッ素マクロ開始剤存在下含フッ素ビニル系単量体(A)を重合し(B)n(A)mとする方法が一般的に用いられる(特許文献2〜6)。
これは、ATRP、RAFTおよびNMP等の制御リビングラジカル重合手法において、含フッ素マクロ開始剤を製造することが難しいことが一因である。
しかしながら、〔第一工程〕非フッ素ビニル系単量体重合(非フッ素マクロ開始剤の製造)〔第二工程〕含フッ素ビニル系単量体重合からなる製造方法にはいくつかの短所が認められる。
特開2004-300313号 特開2006-63132号 特開2008-297522号 特開2009-242550号 特開2010-235784号 WO2011/099540号
Moad, G. et al., Aust. J. Chem. 2005, 58, 379-410 Matyjaszewski, K. et al., Chem. Rev. 2001, 101, 2921-2990 Benoit, D. et al., J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 3904 Koiry, B.R, et al., J. Fluorine Chem., 2013, 153, 137-142
制御リビングラジカル重合により含フッ素ビニル系単量体(A)と非フッ素ビニル系単量体(B)からなる(A)m(B)n 2ブロック共重合体を製造する方法として、第一工程で非フッ素ビニル系単量体(B)を重合し非フッ素マクロ開始剤(B)nを製造した後、第二工程で非フッ素マクロ開始剤存在下含フッ素ビニル系単量体(A)を重合し(B)n(A)mとする方法を採用する場合、いくつかの問題点が生じることがある。例えばRAFT重合に基づく方法の場合、第一工程でアクリル酸ステアリルもしくはメタクリル酸ステアリルのような長い側鎖をもつ非フッ素(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンのような非フッ素ビニル系単量体のマクロ開始剤(B)nは容易に製造することができるが、含フッ素ビニル系単量体を重合する第二重合工程ではリビング性が失われ、含フッ素ビニル系単量体(A)の単独重合体(A)mが多量に生成する等の困難がある。
さらに、非フッ素ビニル系単量体(B)の側鎖が短い場合でも、含フッ素ビニル系単量体(A)の含有量の高い含フッ素2ブロック共重合体を製造する場合のように、第一重合工程で生成する非フッ素マクロ開始剤(B)nにくらべて、第二重合工程で仕込まれる含フッ素ビニル系単量体(A)の重量比が相対的に高い場合(例えば、(B)n:(A)m=20重量%:80重量%)、第二重合工程で含フッ素ビニル系単量体(A)の単独重合体(A)mが副生し、所望の含フッ素2ブロック共重合体(B)n(A)mを効率よく製造することが困難な場合が多い。
そこで、本発明の目的は、このような含フッ素ビニル系単量体(A)の単独重合体(A)mの副生を低減しつつ、所望の含フッ素2ブロック共重合体(A)m(B)nを容易にかつ効率よく製造することを可能とする製造方法を提供することである。
このような状況に鑑み鋭意研究した結果、RAFT重合においていままで製造することが困難とされてきた含フッ素マクロ開始剤(5)を容易にかつ効率的に製造する方法を見出した。
これにより、〔第一工程〕含フッ素マクロ開始剤の製造工程および〔第二工程〕第一工程で得られたマクロ開始剤存在下非フッ素ビニル系単量体を重合する工程、からなる本発明の含フッ素2ブロック共重合体の製造方法に到達した。
具体的には、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックと非フッ素ビニル系単量体の単独重合体ブロックとからなる含フッ素2ブロック共重合体の製造方法として、
〔第一工程〕下記一般式(1)で表わされるトリチオ炭酸エステル化合物存在下、下記一般式(2)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを、ラジカル重合開始剤を用いて重合し、下記一般式(5)で表わされる含フッ素マクロ開始剤を製造する工程と、
〔第二工程〕前記第一工程で得られる含フッ素マクロ開始剤存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合して、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックと非フッ素ビニル系単量体の単独重合体ブロックとからなる含フッ素2ブロック共重合体を製造する工程と
を含む製造方法が提供される:
Figure 2015124232
(上記一般式(1)中、
1は炭素数1〜18の直鎖状アルキル基であり、
2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、かつR2およびR3どちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。)
Figure 2015124232
(上記一般式(2)中、
4は水素原子またはメチル基であり、
Rfはは、下記式(3)で表されるフルオロアルキル基または下記式(4)で表されるフルオロアルキル基である.
Figure 2015124232
上記式(3)中、nは1〜6の整数である。
Figure 2015124232
上記式(4)中、
aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、n'は1〜6の整数であり、
−Cn'2n'+1基は、−(CF2CH2b−基のCH2基に結合しており、
−(CF2CF2a−基は、−(CF2CH2b−基のCF2基に結合している。)
Figure 2015124232
(上記一般式(5)中、
1,R2,R3 は、それぞれ上記一般式(1)で定義されるR1,R2,R3 と同じであり、
Qは、下記一般式(6)で表される構造単位からなる重合体セグメントである。
Figure 2015124232
上記一般式(6)中、
4,Rf は、それぞれ上記一般式(2)で定義されるR4,Rfと同じであり、
kは、0でない適当な整数である。)。
本発明によって提供される含フッ素2ブロック共重合体の製造方法により、RAFT重合では困難であったアクリル酸ステアリルもしくはメタクリル酸ステアリルのような長い側鎖をもつ非フッ素(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンのような非フッ素芳香族ビニル系単量体を含有する含フッ素2ブロック共重合体を製造することが可能となった。また含フッ素ビニル系単量体の含有量の高い含フッ素2ブロック共重合体も製造することが可能となった。
実施例1および比較例1で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 実施例2で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 実施例3で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 実施例5で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。 実施例6で得られた含フッ素2ブロック共重合体についてのGPC分析結果を表すチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の含フッ素2ブロック共重合体の製造方法は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックと非フッ素ビニル系単量体の単独重合体ブロックとからなる含フッ素2ブロック共重合体の製造方法であり、以下に述べる第一工程と第二工程とを含む。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」という語句は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの両方を包含する概念として用いられる。
〔第一工程〕
本発明の製造方法において、第一工程は、下記一般式(1)で表わされるトリチオ炭酸エステル化合物存在下、下記一般式(2)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを、ラジカル重合開始剤を用いて重合し、下記一般式(5)で表わされる含フッ素マクロ開始剤を製造する工程である。
Figure 2015124232
上記一般式(1)中、
1は炭素数1〜18の直鎖状アルキル基であり、
2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、かつR2およびR3どちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。
Figure 2015124232
上記一般式(2)中、
4は水素原子またはメチル基であり、
Rfは、下記式(3)で表されるフルオロアルキル基または下記式(4)で表されるフルオロアルキル基である。
Figure 2015124232
上記式(3)中、nは1〜6の整数である。
Figure 2015124232
上記式(4)中、
aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、n'は1〜6の整数であり、
−Cn'2n'+1基は、−(CF2CH2b−基のCH2基に結合しており、
−(CF2CF2a−基は、−(CF2CH2b−基のCF2基に結合している。
Figure 2015124232
上記一般式(5)中、
1,R2,R3 は、それぞれ上記一般式(1)で定義されるR1,R2,R3 と同じであり、
Qは、下記一般式(6)で表される構造単位からなる重合体セグメントである。
Figure 2015124232
上記一般式(6)中、
4,Rf は、それぞれ上記一般式(2)で定義されるR4,Rfと同じであり、
kは、0でない適当な整数である。
以下に、第一工程について具体的に説明する。
第一工程で用いられるトリチオ炭酸エステル化合物(1)において、R1は炭素数1〜18の直鎖状アルキル基である。ただ、トリチオ炭酸エステル化合物の耐加水分解性を考慮すると炭素数6〜18の直鎖状アルキル基が好ましい。
また、上記R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、R2およびR3どちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。このようなR2およびR3として、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−カルボキシエチル基等が挙げられる。
RAFT剤としては、クミルジチオベンゾエート、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートおよび2−シアノ−2−プロピルジチオベンゾエート等のジヂオベンゾエート化合物を用いることができる。例えば、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独のRAFT重合例がいくつか報告されている(非特許文献4およびその引用文献参照)。しかしながら、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルとしては、側鎖フルオロアルキル鎖が短い含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに限られており重合手法として一般性に欠ける。また非特許文献4で用いられている4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエートの類似化合物である2−シアノ−2−プロピルジチオベンゾエートを用いた、3,3,4,4,5,5,6、6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレートの60℃,16時間の重合実験(本発明者らが実施)では、重合率19%と不満足な結果であった。このような観点から、本発明の含フッ素マクロ開始剤を製造する際に用いられるRAFT剤として上記トリチオ炭酸エステル化合物(1)が用いられる。トリチオ炭酸エステル化合物(1)の好適な具体例としては、2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオ炭酸エステル、4−シアノ−4−〔(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル〕ペンタン酸、シアノメチルドデシルトリチオ炭酸エステル等が挙げられる。
トリチオ炭酸エステル化合物の使用量については一概には言えないものの、一応の目安となる使用量は、下式によって求めることができる。
W(RAFT)=W(FA)×M(RAFT)/MW(PFA)
ここで、
W(RAFT):トリチオ炭酸エステルの使用量(g)
W(FA):含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの使用量(g)
M(RAFT):トリチオ炭酸エステル化合物の分子量(g/mol)
MW(PFA):含フッ素マクロ開始剤の目標分子量(g/mol)
である。
本発明における好適な態様においては、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに対して、通常はおおよそ0.2〜15wt%のトリチオ炭酸エステル化合物(1)が用いられる。
第一工程で用いられる、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)においてRfは
Figure 2015124232
または
Figure 2015124232
で表わされるフルオロアルキル基である。
上記一般式(3)においてnは1〜6の整数である。
上記一般式(4)において、aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、n'は1〜6である。また一般式(4)において、
−Cn'2n'+1基は、−(CF2CH2b−基のCH2基に結合しており、
−(CF2CF2a−基は、−(CF2CH2b−基のCF2基に結合している。
このようなRfの具体例としては、
1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブチル基、
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−トリデカフルオロヘキシル基、
1,1,2,2,3,3,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル基、
1,1,2,2,3,3,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル基、
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル基、
1,1,2,2,3,3,5,5,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル基、
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル基、
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル基、
1,1,2,2,3,3,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル基、
1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロドデシル基
が挙げられる。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)の具体例としては、
3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,13,13,14,14,14−ヘンエイコサフルオロテトラデシルアクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,8−ウンデカフルオロオクチルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,10−ペンタデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,10−トリデカフルオロデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロドデシルメタクリレート、
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,11,11,12,12,13,13,14,14,14−ヘンエイコサフルオロテトラデシルメタクリレート
が例示される。
また、本発明においては、含フッ素マクロ開始剤を製造する際に用いられるラジカル重合開始剤として、例えばアゾ系ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。第一工程で用いられるアゾ系ラジカル重合開始剤としては、特に限定はないものの、好適な具体例として、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。
本発明における好適な態様において、ラジカル重合開始剤はトリチオ炭酸エステル化合物(1)に対して、通常は5〜30モル%、より好ましくは10〜20モル%用いられる。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。また30モル%より多い場合、不活性な(トリチオ炭酸エステル化合物が関与しない)含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)の単独重合体が生成し易くなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の使用量は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)の反応性によっても左右される。一般に、反応性が低い含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)の場合は、ラジカル重合開始剤を高濃度で使用する。逆に反応性が高い場合は低濃度でラジカル重合開始剤を使用する。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)の重合は、無溶媒(塊状)下で、または適当な有機溶媒中で行うことができる。重合反応に用いられる溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素溶媒が好適である。含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)に対して含フッ素溶媒は、一定の重合速度および重合収率を確保する観点から、通常0〜300wt%、より好ましくは0から200wt%用いられる。300wt%より多い場合、重合速度の低下および重合収率の低下につながる場合がある。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)の重合は、通常0〜150℃、好ましくは40〜100℃で行われる。さらに詳しくは、含フッ素アクリル酸エステル(2)の重合は40〜80℃、含フッ素アクリル酸エステルの重合は60〜100℃でそれぞれ行われるのが好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を越えると、望まれない連鎖移動反応がおこる場合がある。
含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)をトリチオ炭酸エステル化合物(1)存在下、ラジカル重合開始剤を用いて重合する際に用いられる反応容器としては、トリチオ炭酸エステル化合物(1)の分解や、重合反応の停止等、重合反応を行う上での不具合が生じない限り特に限定はないものの、硼ケイ酸ガラス製反応容器が好ましい。ここで、本発明で用いることのできる硼ケイ酸ガラス製反応容器として、一般的に市販されている硼ケイ酸ガラス製反応容器を用いても良い場合があるが、重合反応途中でトリチオ炭酸エステル化合物(1)が分解し重合反応が停止する場合があるため、安定的に高い重合収率を達成することができない場合が多い傾向にある。
上述の理由から、本発明において上記重合反応を行う際に用いられる反応容器としては硼ケイ酸強化ガラス製反応容器が推奨される。硼ケイ酸強化ガラスは硼ケイ酸ガラスを風冷強化することによって製造される。
本発明の含フッ素マクロ開始剤が、硼ケイ酸強化ガラス反応容器を用いることで容易かつ効率的に製造できる要因は明らかではないが、おそらく容器表面がトリチオ炭酸エステル化合物(1)に対して化学的または物理的に不活性な構造を有しているためと推測される。
好ましい反応容器の具体例として、耐圧ガラス工業株式会社製Hiper Glass(登録商標)シリンダー等が挙げられる。例えば、HPG−10、HPG−96、TEM−U1000N、TEM−V−100、TEM−V−200、TEM−V−300、TEM−V−500、TEM−4−B1−2L、TEM−4−B1−4L(何れも耐圧ガラス工業株式会社製)が挙げられる。
また、本発明において、本発明者らは、上記重合反応を行う際に用いられる反応容器として、硼ケイ酸強化ガラス製反応容器のほかに、ステンレス製反応容器も好適に用いることができることを確認している。
したがって、本発明に掛かる製造方法においては、上記重合反応を、硼ケイ酸強化ガラス製反応容器またはステンレス製反応容器中で行うことが好ましい。
第一工程で製造される含フッ素マクロ開始剤の具体例として、以下のものが挙げられる(下記式において、k'は0でない適当な整数である。)。
Figure 2015124232
Figure 2015124232
Figure 2015124232
本発明において、第一工程で得られる含フッ素マクロ開始剤の数平均分子量は、好ましくは2,000〜100,000である。この数平均分子量は、上記トリチオ炭酸エステル化合物(1)で表される化合物の分子量をM0 、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)の分子量をM1 とすると、上記kを用いて、M0+M1×kとして求めることができるが、本発明では、便宜上下記実施例に基づき、M1×kとして求めてもよい。ここでいう数平均分子量とは、1H−NMRより求めた分子量である。この数平均分子量についての具体的な算出方法は、第二工程の項で後述する。
〔第二工程〕
本発明の製造方法において、第二工程は、第一工程で得られた上記含フッ素マクロ開始剤(5)の存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合し、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックと非フッ素ビニル系単量体の単独重合体ブロックからなる含フッ素2ブロック共重合体を製造する工程である。
なお、本明細書において、化合物や溶媒について付される「非フッ素」なる語句は、「含フッ素」ではないこと、すなわち、分子内にフッ素原子を含まないことを明確にする意味で用いられる。
以下に、第二工程について具体的に説明する。
含フッ素マクロ開始剤(5)存在下非フッ素ビニル系単量体を重合する工程としては、
A法:第一工程で得られた重合溶液に、非フッ素ビニル系単量体、必要に応じで含フッ素溶媒、非フッ素溶媒およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法
B法:第一工程で製造した含フッ素マクロ開始剤を単離した後、これに含フッ素溶媒、非フッ素溶媒およびラジカル重合開始剤を加えて重合する方法
から選ばれる何れかひとつの方法が採用される。
第二工程で用いられる反応容器としては、非フッ素ビニル系単量体との重合反応を行う上で不具合が生じない限り特に限定はないものの、硼ケイ酸ガラス容器が好ましい。また硼ケイ酸強化ガラス容器またはステンレス製反応容器も用いることができる。
第二工程で用いられる溶媒としては、含フッ素溶媒、非フッ素溶媒または含フッ素溶媒と非フッ素溶媒の混合物が用いられる。具体的に用いられる溶媒は、含フッ素マクロ開始剤(5)および非フッ素ビニル系単量体の溶解性を考慮し適宜選択される。含フッ素溶媒としては、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。非フッ素溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が挙げられる。溶媒の使用量は、含フッ素マクロ開始剤と第二工程で加えられる非フッ素ビニル系単量体の重量和に対して、50〜300重量%が好ましい。50%未満では、重合の進行に伴い反応溶液の粘度が高くなり、撹拌混合が困難となる場合がある。
非フッ素ビニル系単量体の重合は、通常0〜150℃、好ましくは40〜120℃で行われる。さらに詳しくは、非フッ素アクリル酸エステルの重合は40〜80℃、非フッ素メタクリル酸エステルの重合は60〜100℃、非フッ素芳香族ビニル化合物の重合は60〜120℃でそれぞれ行われるのが好ましい。0℃未満では、十分な重合速度が達成されず重合収率の低下につながる場合がある。一方、150℃を越えると、望まれない連鎖移動反応等がおこる場合がある。
第二工程では、必要に応じてラジカル重合開始剤を新たに加えて行う。
第二工程で用いられるラジカル重合開始剤としては、第一工程で用いられるアゾ系ラジカル重合開始剤と同様のものを用いることができ、具体的には2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等が用いられる。
ラジカル重合開始剤は含フッ素マクロ開始剤(5)に含まれるトリチオ炭酸エステル化合物のフラグメントに対して、通常は5〜30モル%。より好ましくは10〜20モル%用いられる。5モル%より少ないと、重合収率の低下につながる場合がある。また30モル%より多い場合、非フッ素ビニル系単量体の単独重合体が副生し易くなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の使用量は、非フッ素ビニル系単量体の反応性によっても左右される。一般に、反応性が低い非フッ素ビニル系単量体の場合は、ラジカル重合開始剤を高濃度で使用する。逆に反応性が高い場合は低濃度でラジカル重合開始剤を使用する。
第二工程で使用される非フッ素ビニル系単量体としては、第一工程で得られた含フッ素マクロ開始剤(5)から含フッ素2ブロック共重合体を形成しうるものが用いられる。好適な非フッ素ビニル系単量体として、具体的には、非フッ素(メタ)アクリル酸エステル、非フッ素芳香族ビニル系化合物等から少なくとも1種の化合物が選ばれる。
非フッ素(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ベンジル等が例示される。
非フッ素芳香族ビニル化合物としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン等が例示される。
本発明により製造される含フッ素2ブロック共重合体は、ひとつの含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体ブロックとひとつの非フッ素ビニル系単量体重合体ブロックからなる。
本発明で製造しうる含フッ素2ブロック共重合体の組成は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロック10〜99モル%、非フッ素ビニル系単量体重合体ブロック90〜1モル%である。特に含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロック40〜99モル%、非フッ素ビニル系単量体重合体60〜1モル%である含フッ素2ブロック共重合体を製造する際本発明の製造方法は好適である。ここで、含フッ素2ブロック共重合体を構成する各単独重合体ブロックについて用いる「モル%」は、含フッ素2ブロック共重合体を構成する各構成単位のモル%を意味し、例えば、ある含フッ素2ブロック共重合体が、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロック40モル%と、非フッ素ビニル系単量体重合体ブロック60モル%とからなるという場合、その含フッ素2ブロック共重合体は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルに対応する構成単位40モル%と、非フッ素ビニル系単量体に対応する構成単位60モル%とからなることを意味する。
また、本発明で製造しうる含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量は、通常3,000〜300,000、好ましくは5,000〜200,000である。ここでいう数平均分子量とは、1H−NMRより求めた分子量である。
ここで、本発明で製造される含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量について、算出方法は特に限定されないものの、例えば、上記トリチオ炭酸エステル化合物(1)に由来するHピークの積算値に対する、上記含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)に由来するHピークの積算値の比および上記非フッ素ビニル系単量体に由来するHピークの積算値の比に基づき求めることができる。
ここで、この数平均分子量は、上記トリチオ炭酸エステル化合物(1)で表される化合物の分子量をM0 、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)の分子量をM1 、非含フッ素ビニル系単量体の分子量をM2 、トリチオ炭酸エステル化合物(1)で表される化合物に特徴的な適当なHピークの積算値および該ピークに対応するHの数をそれぞれI0 およびN0 、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)に特徴的な適当なHピークの積算値および該ピークに対応するHの数をそれぞれI1およびN1、非含フッ素ビニル系単量体に特徴的な適当なHピークの積算値および該ピークに対応するHの数をそれぞれI2 およびN2 として、下記式(Eq−1')
Mn'=M0+〔M1×(I1/N1)/(I0/N0)〕+〔M2×(I2/N2)/(I0/N0)〕 ・・・(Eq−1')
で求められるMn'として求めることができる。ただ、本発明では、便宜上下記実施例に基づき、下記式(Eq−1)
Mn=〔M1×(I1/N1)/(I0/N0)〕+〔M2×(I2/N2)/(I0/N0)〕 ・・・(Eq−1)
で求められるMnをもって、数平均分子量としてもよい。
また、第一工程で得られる含フッ素マクロ開始剤の数平均分子量についても、同様の手順により求めることができる。すなわち、含フッ素マクロ開始剤の数平均分子量は、
上記式(Eq−1')の考え方に基づく場合には、下記式(Eq−2')
M'=M0+〔M1×(I1/N1)/(I0/N0)〕 ・・・(Eq−2')
で求められるM'として求めることができるし、あるいは、
下記実施例に基づき、上記式(Eq−1)と同様の考え方で、下記式(Eq−2)
M=M1×(I1/N1)/(I0/N0) ・・・(Eq−2)
で求められるMとして求めてもよい。
ここで、上記(I1/N1)/(I0/N0)の値が、上記含フッ素マクロ開始剤における上記kに該当することになる。
なお、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックおよび非フッ素ビニル系単量体重合体ブロックについての上記「モル%」についても、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(2)に特徴的な適当なHピークの積算値と非含フッ素ビニル系単量体に特徴的な適当なHピークの積算値に基づいて算出できる。
本発明により含フッ素2ブロック共重合体を容易かつ効率的に製造することができる。特に本発明の製造方法は、非フッ素ビニル系単量体の適用範囲が広く、良好な静的機水機油性および動的機水棲油性能を有する表面処理剤の製造に応用できる。
次に実施例によって本発明を説明する。
〔GPC分析〕
カラム:Shodex(登録商標)KR807L(昭和電工(株)製)×4本
測定温度:40℃
サンプル注入量:100μl
流出速度:1ml/min
溶離液:テトラヒドロフラン
〔数平均分子量測定〕
実施例1〜4、比較例1の含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量は1H−NMR測定により下式から求めた。
Mn(BC)=〔M(FA)×I(Ha)+M(NFA)×I(Hb)〕/I(Hc)
ここで、
Mn(BC):含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量
M(FA):含フッ素(メタ)アクリレートの分子量
M(NFA):フッ素を含まない(メタ)アクリレートの分子量
I(Ha):ピークHa(4.3ppm)の積分値
I(Hb):ピークHb(4.0ppm)の積分値
I(Hc):ピークHc(3.2ppm)の積分値
を表す(下記構造式(7−1)参照)。
Figure 2015124232
実施例5,6の含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量は1H−NMR測定により下式から求めた。
Mn(BC)=〔M(FA)×I(Ha)+M(St)×I(Hd)×2/5〕/I(Hc)
ここで、
Mn(BC):含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量
M(FA):含フッ素(メタ)アクリレートの分子量
M(St):スチレンの分子量
I(Ha):ピークHa(4.3ppm)の積分値
I(Hd):ピークHd(6.3〜7.3ppm)の積分値
I(Hc):ピークHc(3.2ppm)の積分値
を表す(下記化学式(7−2)参照)。
Figure 2015124232
1H−NMR測定に用いた装置および溶媒等:
装置:JEOL:JNM−LA300(日本電子株式会社)
溶媒:クロロホルム−d
ケミカルシフト:1HはTMS基準、19FはCFCl3基準
〔重合率〕
重合率=重合溶液の固形分濃度(実測値)/重合率100%を仮定したときの固形分濃度(計算値)
〔擬水撥油性能〕
スピンコーターによりブロック共重合体6wt%テトラヒドロフラン溶液をSUS304プレー卜(0.8*15*50mm)表面に塗布し、乾燥後DropMaster DM500(協和界面科学株式会社製)で、静的および動的接触角を測定した。
実施例で使用した化学品の略称を以下に示す。
AIBN:2,2'−アゾビス−(イソブチロニトリル)〔和光純薬製〕
V−65:2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔和光純薬製〕
MTF:1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
CDSTSP:4−シアノ−4−〔(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル〕ペンタン酸(Aldrich社製:構造式を下記に示す。)
Figure 2015124232
FAAC6:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート
FAAC10(2H):3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ノナデカフルオロドデシルアクリレート
BA:アクリル酸−n−ブチル
LA:アクリル酸−n−ドデシル
SA:アクリル酸−n−オクタデジル
St:スチレン
(実施例1)
(第一工程:FAAC6の重合)
内容量96mlのHiper Glass(登録商標)シリンダー(HPG−96:耐圧ガラス工業株式会社製)にマグネット攪拌子、FAAC6 4.0g、CDSTSP 0.10g、V−65 12.3mgおよびMTF 2.6gを仕込んだ。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、60℃のオイルバスにシリンダーを浸漬した。16時間後、シリンダーを室温まで冷却しシリンダー内を大気圧に開放し、含フッ素マクロ開始剤の溶液(以下「重合溶液A1」)を得た。内容物の固形分濃度から重合率は99%であった。
(第二工程:アクリル酸オクタデシルの重合)
上記シリンダー内の重合溶液A1に、アクリル酸オクタデシル 1.0g、V−65 6.2mg、MTF 2.0g、およびトルエン 1.0gを加えた。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、60℃のオイルバスにシリンダーを16時間浸漬した。シリンダーを室温まで冷却し、シリンダー内を大気圧に開放し、重合溶液(以下「重合溶液A2」)を得た。第一工程を含めたトータルの重合率は98%であった。
得られた重合溶液A2をメタノールに滴下し、共重合体を再沈した。次いで固形物を80℃、5時間減圧乾燥し揮発成分を除去した。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、単峰性のピークが観察された(図1参照)。この結果から、共重合物は(ポリFAAC6)−b(ブロック)−(ポリアクリル酸オクタデシル)の2ブロック共重合体であることが確認された。
(実施例2)
(第一工程:FAAC10(2H)の重合)
FAAC6の代わりにFAAC10(2H)を用いた以外は、実施例1の第一工程と同様に含フッ素マクロ開始剤を作製した。重合率は96%であった。
ここで、得られた含フッ素マクロ開始剤の溶液を、以下「重合溶液B1」とする。
(第二工程:アクリル酸オクタデシルの重合)
含フッ素マクロ開始剤の溶液として、上記重合溶液A1に代えて上記重合溶液B1を用いたことを除き、実施例1の第二工程と同様に行った。第一工程を含めたトータルの重合率は96%であった。
得られた共重合物をGPCにより分析したところ、単峰性のピークが観察された(図2参照)。この結果から、共重合物は(ポリFAAC10(2H))−b(ブロック)−(ポリアクリル酸オクタデシル)の2ブロック共重合体であることが確認された。
(実施例3)
(第一工程:FAAC6の重合)
FAAC6 2.0g、CDSTSP 16mg、V−65 2.0mgおよびMTF 1.3gを仕込んだ以外は、実施例1の第一工程と同様に行い、含フッ素マクロ開始剤の溶液(以下「重合溶液C1」)を得た。重合率は100%であった。
(第二工程:アクリル酸ブチルの重合)
上記シリンダー内の重合溶液C1にアクリル酸ブチル 0.5g、V−65 2.0mg、MTF 1.0g、およびトルエン 0.5gを加えた以外は、実施例1の第二工程と同様に行った。第一工程を含めたトータルの重合率は96%であった。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、二峰性のピークが観察された(図3参照)。この結果から、共重合物は(ポリFAAC6)−b(ブロック)−(ポリアクリル酸ブチル)の2ブロック共重合体と少量のポリアクリル酸ブチルの混合物であることが確認された。
(実施例4)
(第一工程:FAAC10(2H)の重合)
FAAC10(2H) 2.0g、CDSTSP 50mg、V−65 6.2mgおよびMTF 1.3gを仕込んだ以外は実施例1の第一工程と同様に行い、含フッ素マクロ開始剤の溶液(以下「重合溶液D1」)を得た。重合率は98%であった。
(第二工程:アクリル酸ドデシルの重合)
上記シリンダー内の重合溶液D1にアクリル酸ドデシル 0.5g、V−65 3.1mg、MTF 1.0g、およびトルエン 0.5gを加えた以外は実施例1の第二工程と同様に行った。第一工程を含めたトータルの重合率96%であった。
(実施例5)
(第一工程:FAAC6の重合)
FAAC6 2.0g、CDSTSP 50mg、V−65 6.2mgおよびMTF 1.3gを仕込んだ以外は実施例1の第一工程と同様に行い、含フッ素マクロ開始剤の溶液(以下「重合溶液E1」)を得た。重合率は97%であった。
(第二工程:スチレンの重合)
上記シリンダー内の重合溶液E1に、スチレン 1.0g、AIBN 2.1mg、トルエン 1.5gを加えた。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルプを閉じた後、60℃のオイルバスにシリンダーを16時間浸漬した.シリンダーを室温まで冷却し、シリンダー内を大気圧に開放し、重合溶液(以下「重合溶液E2」)を得た。第一工程を含めたトータルの重合率は81%であった。
得られた重合溶液E2をメタノールに滴下し、共重合体を再沈した。次いで固形物を80℃、5時問減圧乾燥し揮発成分を除去した。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、二峰性のピークが観察された(図4参照)。この結果から、共重合物は(ポリFAAC6)−b(ブロック)−(ポリスチレン)の2ブロック共重合体と少量のポリスチレンの混合物であることが確認された。
(実施例6)
(第一工程:FAAC10(2H)の重合)
FAAC10(2H) 2.0g、CDSTSP 50mg、V−65 6.2mgおよびMTF 1.3gを仕込んだ以外は、実施例5の第一工程と同様に行い、含フッ素マクロ開始剤の溶液(以下「重合溶液F1」)を得た。重合率は98%であった。
(第二工程:スチレンの重合)
上記シリンダー内の重合溶液F1に、スチレン 1.0g、AIBN 2.1mg、トルエン 1.5gを加えた以外は、実施例5の第二工程と同様に行い、重合溶液(以下「重合溶液F2」)を得た。第一工程を含めたトータルの重合率は81%であった。
得られた重合溶液F2をメタノールに滴下し、共重合体を再沈した。次いで固形物を80℃、5時間減圧乾燥し揮発成分を除去した。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、二峰性のピークが観察された(図5参照)。この結果から、共重合物は(ポリFAAC10(2H))−b(ブロック)−(ポリスチレン)の2ブロック共重合体と少量のポリスチレンの混合物であることが確認された。
(比較例1)
(アクリル酸オクタデシルの重合)
内容量96mlのHiper Glass(登録商標)シリンダー(HPG−96:耐圧ガラス工業株式会社製)にマグネット攪拌子、アクリル酸オクタデシル 1.0g、CDSTSP 0.10g、V−65 6.2mgおよびトルエン 1.0gを仕込んだ。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分間脱気した。ニードルバルブを閉じた後、60℃のオイルバスに16時間シリンダーを浸漬した。シリンダーを室温まで冷却し、シリンダー内を大気圧に開放し、含フッ素マクロ開始剤の溶液(以下「重合溶液Z1」)を得た。重合溶液の固形分濃度から重合率は96%であった。
(FAAC6の重合)
上記シリンダー内の重合溶液Z1に、FAAC6 4.0g、V−65 12.3mg、MTF 4.6gを加えた。液体窒素にシリンダーを浸漬し内容物を凍結後、油回転式真空ポンプにより5分問脱気した。ニードルバルブを閉じた後、60℃のオイルパスにシリンダーを16時間浸漬した。シリンダーを室温まで冷却し、シリンダー内を大気圧に開放し、重合溶液(以下「重合溶液Z2」)を得た。アクリル酸オクタデシルの重合を含めたトータルの重合率は97%であった。
得られた重合溶液Z2をメタノールに滴下し、共重合体を再沈した。次いで固形物を80℃、5時間減圧乾燥し揮発成分を除去した。得られた共重合物をGPCにより分析したところ、複数のピークが観察された(図1参照)。この結果から、共重合物は(ポリFAAC6)−b(ブロック)−(ポリアクリル酸オクタデシル)の2ブロック共重合体、ポリアクリル酸オクタデシルおよびポリFAAC6の混合物であることが確認された。
Figure 2015124232

Claims (5)

  1. 〔第一工程〕下記一般式(1)で表わされるトリチオ炭酸エステル化合物存在下、下記一般式(2)で表わされる含フッ素(メタ)アクリル酸エステルを、ラジカル重合開始剤を用いて重合し、下記一般式(5)で表わされる含フッ素マクロ開始剤を製造する工程と、
    〔第二工程〕前記第一工程で得られる含フッ素マクロ開始剤存在下、非フッ素ビニル系単量体を重合して、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックと非フッ素ビニル系単量体の単独重合体ブロックとからなる含フッ素2ブロック共重合体を製造する工程と
    を含むことを特徴とする、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル単独重合体ブロックと非フッ素ビニル系単量体の単独重合体ブロックとからなる含フッ素2ブロック共重合体の製造方法:
    Figure 2015124232
    (上記一般式(1)中、
    1は炭素数1〜18の直鎖状アルキル基であり、
    2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1から3のアルキル基であり、かつR2およびR3どちらか一方にひとつのカルボキシル基を含んでいてもよい。)
    Figure 2015124232
    (上記一般式(2)中、
    4は水素原子またはメチル基であり、
    Rfは、下記式(3)で表されるフルオロアルキル基または下記式(4)で表されるフルオロアルキル基である。
    Figure 2015124232
    上記式(3)中、nは1〜6の整数である。
    Figure 2015124232
    上記式(4)中、
    aは1〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、n'は1〜6の整数であり、
    −Cn'2n'+1基は、−(CF2CH2b−基のCH2基に結合しており、
    −(CF2CF2a−基は、−(CF2CH2b−基のCF2基に結合している。)
    Figure 2015124232
    (上記一般式(5)中、
    1,R2,R3 は、それぞれ上記一般式(1)で定義されるR1,R2,R3 と同じであり、
    Qは、下記一般式(6)で表される構造単位からなる重合体セグメントである。
    Figure 2015124232
    上記一般式(6)中、
    4,Rf は、それぞれ上記一般式(2)で定義されるR4,Rfと同じであり、
    kは、0でない適当な整数である。)。
  2. 前記含フッ素2ブロック共重合体の数平均分子量が5,000〜200,000である請求項1記載の製造方法。
  3. 上記一般式(6)において、Rf基が一般式(3)で表わされるフルオロアルキル基である請求項1記載の製造方法。
  4. 上記一般式(6)において、Rf基が一般式(4)で表わされるフルオロアルキル基である請求項1記載の製造方法。
  5. 硼ケイ酸強化ガラス製反応容器またはステンレス製反応容器内で第一工程を行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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