JP6812167B2 - 超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩、その製造方法及びその用途 - Google Patents

超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩、その製造方法及びその用途 Download PDF

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本発明は、水溶液として利用可能な超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩、ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩をコモノマーとして利用したその製造方法、及び当該超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩を含む増粘剤もしくは分散剤などの用途に関する。
グアガム、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどの天然系ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩などの合成系ポリマーなど、分子量が数百万を超える超高分子量の水溶性又は水膨潤性のポリマーが、合成糊剤、化粧品、トイレタリー用品、錠剤、高分子凝集剤、土壌改質剤、消火器、石油採掘などの用途で使用されている。しかしながら、用途によっては、耐熱性や化学的安定性が不足しており、改良が強く求められている。
例えば、在来型油田における石油の増進回収(EOR)や非在来型油田におけるシェールガス(オイル)採掘において、水溶性又は水膨潤性ポリマーで増粘させた水性流体が使用されているが、採掘深度が深くなるに従って、水溶性又は水膨潤性ポリマーに求められる耐熱性は益々高くなっている。また、地層によっては、多量の酸やアルカリを注入したり、活性酸素ラジカルが発生する場合があるため、これらに対する化学的安定性が要求される。例えば、数年に渡る水性流体の粘度、即ち、ポリマー分子量の維持が必要になる場合もある。しかしながら、従来のポリマーは耐熱性や化学的安定性が不十分であり、厳しい環境下では分子量低下が起こり易いため、改良が強く求められている。例えば、主鎖にエーテル結合を有する上記天然系ポリマーは、アルカリ存在下、50℃を超えた程度で分解すると言われており(例えば、非特許文献1参照)、一方、上記合成系ポリマーは、天然系ポリマーに比べて優れた耐熱性を示すが、活性酸素により容易に分解すると言われている(例えば、非特許文献2参照)。さらに、上記ポリアクリル酸塩などの弱酸系ポリマーは、カルシウムやマグネシウムなどの多価カチオンにより凝集し易い欠点があり、一方、多価カチオンに対する安定性が優れるポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩などのポリマーは、アミド結合を有するため、酸やアルカリで加水分解され易い欠点がある(例えば、非特許文献3参照)。
一方、エーテル、アミド及びエステル結合などを含まないポリスチレンスルホン酸塩は、極めて耐熱性や化学的安定性に優れる水溶性ポリマーであり、毒性も極めて低いことから、古くから合成糊、トイレタリー用品、分散剤などの用途で使用されており、上記用途への応用が期待されている。しかしながら、水溶液として利用可能なポリスチレンスルホン酸塩の分子量は、100万程度が上限であり、上記要求に応えることができなかった。
一般に、高分子量のポリマーを製造する場合、モノマーに対する重合開始剤の添加量を減量するか、あるいはモノマー濃度を高めて重合すれば良く、例えば、上記したアクリル酸系ポリマーやアクリルアミド系ポリマーの超高分子量体が製造されている(例えば、非特許文献4、非特許文献5、特許文献1参照)。
一方、スチレンスルホン酸塩は、少なくとも400℃以下では固体状のモノマーであり、溶媒への溶解性が低いため、工業的には、20重量%程度のモノマー水溶液を用いたラジカル重合によりポリマー化(ポリスチレンスルホン酸塩の水溶液として製造)されている。スチレンスルホン酸塩の場合、重合時のモノマー濃度を高くするには限界があり、重合開始剤を減量しても、アクリル酸やアクリルアミドと比べて分子量が伸び難いだけでなく、未反応モノマーが残り易いという課題があった。
また、スチレンスルホン酸塩は、減圧留去などの簡単な方法で除去することは困難であり、残存モノマーがたとえ少量であっても、当該ポリマーを適用できない用途もある。例えば、ポリスチレンスルホン酸塩を増粘及び分散安定剤として用い、酢酸ビニルなどの共役性の低いモノマーを水中で分散又は乳化重合する場合、共役性の高い(ラジカル反応性が高い)スチレンスルホン酸塩が酢酸ビニルの重合禁止剤として作用し、酢酸ビニルが重合できないなどの課題がある(例えば、非特許文献6参照)。
水への溶解性や増粘効果が不要な用途では、ジビニルベンゼンスルホン酸重合残基を含む超高分子量ポリスチレンスルホン酸塩が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、これらは三次元架橋されたイオン交換膜に関するものであり、水溶性でかつ水溶液として利用可能な超高分子量スチレンスルホン酸又はその塩、及びその製造方法に関する記載はない。
また、ポリスチレンスルホン酸塩の別の工業的製法として、ポリスチレンをハロゲン化溶媒中でスルホン化する方法が知られている(例えば、非特許文献7、非特許文献8参照)。しかしながら、超高分子量ポリスチレンのハロゲン化溶媒への溶解性と溶液粘度、スルホン化後の余剰酸分とハロゲン化溶媒の除去性を考慮すると、工業的に製造できる分子量100万を超える超高分子量ポリスチレンを得ることは依然として困難であった。
特開2005−139462号公報 特許第5089917号公報 国際公開2015/125597号
SPE Reservoir Evaluation&Engineering(Feb.),23〜34page,1988年 Enhanced Oil Recovery-Polymer Flooding,1〜77page(Petroleum Industry Press,2006年) Chemical Industry and Engineering Progress,vol.22,No.3,271〜274page,2003年 東亜合成研究年報TREND、46〜51頁、1998年 改訂 高分子合成の化学、大津隆行 著、53〜55頁、1985年、株式会社化学同人 発行 改訂 高分子合成の化学、大津隆行 著、112、118頁、1985年、株式会社化学同人 発行 Journal of Polymer Science,Part−A,vol.51,2416〜2424page,2013年 Journal of Brazilian Chemical Society,vol.14,797〜802page,2003年
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来困難だった高い分子量又は高い溶液粘度を有し、且つスチレンスルホン酸モノマー含量が少ない水溶性の超高分子量ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩、その製造方法、及び当該超高分子量ポリスチレンスルホン酸もしくはその塩を含む増粘剤もしくは分散剤などの用途を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、スチレンスルホン酸又はその塩(以下、スチレンスルホン酸又はその塩を「SS」と言うことがある)を高分子量化するため、当該高分子量化の反応に供される重合開始剤を減量してスチレンスルホン酸又はその塩をラジカル重合する際に、少量のジビニルベンゼンスルホン酸又は塩を添加し、ラジカル共重合することによって、従来困難だった超高分子量で水溶性ポリマーであるポリスチレンスルホン酸又はその塩(以下、ポリスチレンスルホン酸又はその塩を「PSS」、超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩を「超高分子量PSS」と言うことがある)を、高い重合転化率、言い換えれば低い残存モノマー量で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記繰り返し構造単位(A)及び(B)を含む水溶性ポリマーであって、
当該水溶性ポリマーがゲル浸透クロマトグラフィー(以下、ゲル浸透クロマトグラフィーを「GPC」と言うことがある)により求められる重量平均分子量が90万ダルトン(Da)を超える、及び/又は、5重量%(wt%)水溶液(30℃)として測定される粘度が100mPa・sを超える、超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩に係る。
Figure 0006812167
Figure 0006812167
〔繰り返し構造単位(A)及び(B)中、Mはプロトン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムカチオン又は第四級ホスホニウムカチオンを表す。ここで、xを水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(A)の数、yを水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(B)の数とするとき、70.00≦100x/(x+y)≦99.95、0.05≦100y/(x+y)≦30.00。〕
さらに本発明は、上記水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(A)及び(B)に加え、下記繰り返し構造単位(C)を含む、超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩に係る。
Figure 0006812167
〔繰り返し構造単位(C)中、Qはラジカル重合性モノマー残基を表す。〕
また本発明は、次の(D)及び(E)を含むモノマー混合物を、ラジカル重合の開始剤を加えて水中又は水性溶媒中でラジカル重合する際に、重合溶液における当該モノマー混合物濃度60重量%以下でラジカル重合する、上記した水溶性の超高分子量PSSの製造方法に係る。
(D)スチレンスルホン酸又はその塩
(E)ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩
但し、(D)は99.95〜90.00モル%、及び(E)は0.05〜10.00モル%である。
さらに本発明は、上記水溶性の超高分子量PSSの製造方法に係るモノマー混合物において、(D)及び(E)に加え、下記ラジカル重合性モノマーを含む、超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩の製造方法に係る。
(F)(D)及び(E)とは異なる共重合可能なラジカル重合性モノマー
また本発明は上記した超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩を含む、増粘剤又は分散剤に係る。
本発明の超高分子量PSSの増粘剤としての利用方法は特に限定するものではないが、例えば、上記した石油採掘用の水性流体に用いる場合、水性流体が所望の粘度になるよう超高分子量PSSの添加量を調整すれば良い。この際、より粘度を高めたり、粘性を調整する目的で、一般的な超高分子量の水溶性ポリマー、会合型ポリマー、カチオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、又は両性界面活性剤を添加しても良い。
また、無機顔料の分散や乳化重合、分散重合の分散剤に用いる場合、分散液や乳化液が所望の粘度になるよう超高分子量PSSの添加量を調整すれば良い。この際、分散性を補助するため、一般的な分散剤を添加しても良く、消泡剤や発泡抑制剤などを添加しても良い。
本発明の超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩は、従来にはない高い分子量又は溶液粘度を有する水溶性ポリマーであり、残存するスチレンスルホン酸モノマー量も大きく減少させることができるため、高度な耐久性や低環境負荷が要求される石油採掘などの分野における増粘剤、分散及び乳化重合における分散剤として産業上極めて有用である。
本発明は、特定の繰り返し構造を有する水溶性ポリマーであって、その水溶性ポリマーがゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる重量平均分子量が90万ダルトン(Da)を超える、及び/又は、5重量%水溶液(30℃)として測定される粘度が100mP・sを超える水溶性の超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩、ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩をコモノマーとして利用したその製造方法、及びその増粘剤もしくは分散剤などの用途に関する。なお、水溶性ポリマーの粘度は、本発明において、原則としてブルックフィールド型回転粘度計により測定されるものをいう。
本発明は、(高分子量化するため)重合開始剤を減量してスチレンスルホン酸又はその塩(以下、スチレンスルホン酸又はその塩を「SS」と言うことがある)を水中又は水性溶媒中でラジカル重合する際に、少量のジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩(以下、ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩を「DVBS」と言うことがある)を添加し、ラジカル共重合するところにも特徴がある。
本発明の超高分子量PSSの製造方法の一実施態様として、一般的な溶液ラジカル重合による方法が挙げられる。例えば、反応容器に重合溶媒、スチレンスルホン酸又はその塩とジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩、及びラジカル共重合可能な他のモノマーを仕込み、必要に応じて分子量調節剤を加え、系内を脱酸素した後、所定温度に加熱し、ラジカル重合開始剤を添加しながら重合すれば良い。この際、急激な重合を避けるため、最初に全てのモノマーを反応容器に仕込むのではなく、各々のモノマーを重合開始剤と共に、反応容器に少量ずつ連続添加しても良い。
反応溶媒は特に限定するものではないが、上記モノマー混合物の溶解性、重合反応性、及び増粘剤としての利用を考慮すると、誘電率が高い水が好ましいが、例えば、PSSの界面活性や粘度特性などを調整する目的で、水溶性が乏しいコモノマーを共重合する場合には、水溶性の有機溶剤を併用しても良い。
水溶性の有機溶剤、すなわち水性溶媒としては、上記したモノマー混合物がラジカル共重合できる組成であれば特に制限はないが、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等があげられる。
これらの内でも好ましくは、アセトン、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、およびジメチルホルムアミドである。
これらの溶媒は2種以上を組合せてもよく、さらに水との混合溶媒としてもよい。
重合反応溶媒の使用量は、全モノマー量100重量部に対し、通常、50重量部〜2,000重量部である。重合反応溶媒の量が少ない、即ち、モノマー濃度が高い程、生成するPSSの分子量は増大するため、高いモノマー濃度で重合する場合には、PSSが三次元架橋などによりポリマーが硬化しないよう、DVBSと重合開始剤の添加量を適宜調整すれば良い。重合溶液の硬化リスクを避けるため、重合反応溶媒は66重量部以上(従って、重合溶液中のモノマー濃度60重量%以下)とすることが好ましい。
本発明の超高分子量PSSの分子量について、その水溶性ポリマーがゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる重量平均分子量が90万ダルトン(Da)を超える、及び/又は、5重量%水溶液(30℃)として測定される粘度が100mPa・sを超えるものであれば特に制限はない。上記したように、本発明において水溶性ポリマーの粘度は、原則としてブルックフィールド型回転粘度計により測定されるものをいう。
なお、本発明の超高分子量PSSにおいては、繰り返し構造単位(A)および(B)は、種々の配列となりうる。例えば(A)および(B)の2つの繰り返し構造単位の場合を例とすると、「(A)(B)」の繰り返し、「(A)(A)(A)(B)(B)(B)」のようなある程度の同じ構造単位のまとまりの繰り返しや、さらには(A)および(B)がランダムに配列するなど、種々のパターンとなりうる。さらに(A)および(B)とは異なる構造の(C)が加わった場合も同様である。
本発明の超高分子量PSSの重量平均分子量が90万ダルトン(Da)以下であって、かつ5重量%水溶液として測定される粘度が100mP・a以下では、十分な増粘効果は期待できない。
また、超高分子量PSSに含まれる未反応のスチレンスルホン酸又はその塩の量は、環境負荷の観点、あるいは、分散及び乳化重合における分散剤としての利用の観点から、可能な限り少ない方が良いが、生産性の観点から、超高分子量PSS中2.0重量%以下(例えば、5重量%水溶液換算では0.1重量%以下)が好ましい。ここで言う5重量%水溶液とは、未反応モノマーを除くポリマー濃度を意味する。
本発明の超高分子量PSSの製造に用いるスチレンスルホン酸は、全ての異性体又はそれらの混合物が使用できるが、それらの内でもp−スチレンスルホン酸が好ましく、さらに一般に頒布されているナトリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩の他、第四級アンモニウム塩、アミン塩、第四級ホスホニウム塩など、用途に応じて使用することができる。
本発明の超高分子量PSSの製造に用いるジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩は、ベンゼン環にラジカル重合性のビニル基を二つ以上、スルホン酸基を一つ以上有するものであれば、全ての異性体又はそれらの混合物が使用でき、それらの内でも一般に頒布されているナトリウム塩の他、リチウム塩、アンモニウム塩の他、第四級アンモニウム塩、アミン塩、第四級ホスホニウム塩など、用途に応じて使用することができる。
ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩の使用量は、全モノマー中0.05モル%〜10.00モル%とすることが好ましい。0.05モル%未満ではPSSの高分子量化が不十分となることがあり、10.00モル%を超えると、上記特許文献(例えば、国際公開2015/125597号の段落0162)に、「本発明の高分子硬化物であるイオン交換膜を構成する一般式(I−1)で表される構造単位を有する高分子の質量平均分子量は、三次元架橋が形成されているため数十万以上であり、実質的に測定できない。一般的には無限大とみなされる。」と記載されているように、PSSの三次元架橋化が進行し、水溶液としての使用、即ち、増粘剤としての利用が困難となることがある。DVBSの共重合量を増やす場合、PSSが三次元架橋することで硬化することがないように、重合反応溶媒や重合開始剤を増量したり、分子量調節剤を添加すれば良い。
スチレンスルホン酸又はその塩、及びジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩以外のモノマーとしては、これらとラジカル共重合できるものであれば特に制限はない。例えば、スチレン、クロロスチレン、p−アミノスチレン、ジクロロスチレン、ブロモフロロスチレン、トリフロロスチレン、ニトロスチレン、シアノスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−シアノスチレン、p−アセトキシスチレン、p−t-ブトキシスチレン、p−塩化p−スチレンスルホニル、エチルp−スチレンスルホニル、メチルp−スチレンスルホニル、プロピルp−スチレンスルホニル、4−ビニル安息香酸、p-トリメトキシシリルスチレン、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−フェニルビニルアルキルエーテル、ニトロフェニルビニルエーテル、シアノフェニルビニルエーテル、クロロフェニルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸エチルカルビトール、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、ポリエチレングリコールアクリレート、アクリル酸グリシジル、2−(アクリロイルオキシ)エチルフォスフェート、アクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、アクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸メトキシエチレングリコール、メタクリル酸エチルカルビトール、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルフォスフェート、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、メタクリル酸2−(イソシアナート)エチル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、メタクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、メタクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、メタクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチル、ジアセトンメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類、イソプレンスルホン酸、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2−(N−ピペリジルメチル)−1,3−ブタジエン、2−トリエトキシメチル−1,3−ブタジエン、2−(N,N−ジメチルアミノ)−1,3−ブタジエン、N−(2−メチレン−3−ブテノイル)モルホリン、2−メチレン−3−ブテニルホスホン酸ジエチルなどの1,3−ブタジエン類、N−フェニルマレイミド、N-(クロロフェニル)マレイミド、N-(メチルフェニル)マレイミド、N-(イソプロピルフェニル)マレイミド、N-(スルフォフェニル)マレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ブロモフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−(ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−アセトキシ−1−ナフチル)マレイミド、N−(4−オキシ−1−ナフチル)マレイミド、N−(3−フルオランチル)マレイミド、N−(5−フルオレセイニル)マレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,3−キシリル)マレイミド、N−(2,4−キシリル)マレイミド、N−(2,6−キシリル)マレイミド、N−(アミノフェニル)マレイミド、N−(トリブロモフェニル)マレイミド、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、N−(3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(9−アクリジニル)マレイミド、マレイミド、N-(スルフォフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミドなどのマレイミド類、フマル酸ジブチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジシクロヘキシル、フマル酸ビス2−エチルヘキシル、フマル酸ドデシルなどのフマル酸ジエステル類、フマル酸ブチル、フマル酸プロピル、フマル酸エチルなどのフマル酸モノエステル類、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸ジエステル類、マレイン酸ブチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸エチル、マレイン酸ジシクロヘキシルなどのマレイン酸モノエステル類、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの酸無水物、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルミド、スルフォフェニルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルスルホン酸、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、イソプロピルメタクリルアミド、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムクロライドなどのメタクリルアミド類などが挙げられる。
その他にも、ビニルピロリドン、スルフォフェニルイタコンイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−シアノエチルアクリレート、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ビニル酢酸、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサミック酸ビニル、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルサクシネート、モノ2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、アクロレイン、ビニルメチルケトン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、ビニルエチルケトン、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、デヒドロアラニン、二酸化イオウ、塩化ビニル、イソブテン、N−ビニルカルバゾール、ビニリデンジシアニド、パラキノジメタン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ノルボルネン、N−ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
これらの中で、スチレンスルホン酸又はその塩との共重合性や超高分子量PSSの耐熱性や化学的安定性などを考慮すると、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、N−ビニルピロリドンや、これらの2種以上の組合せが好ましい。
以上に挙げたモノマーが本発明の超高分子量PSSとして製造されると、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、N−ビニルピロリドンの場合には、アクリル酸残基、メタクリル酸残基、マレイン酸残基及びN−ビニルピロリドン残基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組合せとなるラジカル重合性モノマー残基となる。
上記したスチレンスルホン酸又はその塩、及びジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩以外の他のモノマーの使用割合は、全モノマー中で29.95モル%以下が好ましく、さらに、0.0モル%〜29.95モル%である。29.95モル%を超えると、ポリマーに界面活性あるいは疑塑性やダイラタンシーなどの粘度特性を付与することができるが、本発明の主用途である増粘剤もしくは分散剤に使用する場合、耐熱性や化学的安定性が低下することがある。
本発明の目的は超高分子量PSSの製造方法の提供であることから、分子量調節剤は必ずしも使用する必要はないが、分子量分布や分岐点の分布を調整し、三次元架橋を抑制するために使用しても良い。
分子量調節剤としては、例えば、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド、2,2’−ジチオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、4,4’−ジチオジブタン酸、2,2’−ジチオビス安息香酸などのジスルフィド類、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、チオマロン酸、ジチオコハク酸、チオマレイン酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、5−メルカプトテトラゾール酢酸、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、メタリルスルホ酸、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、メルカプトエタノール、1,2−ジメチルメルカプトエタン、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩、6−メルカプト−1−ヘキサノール、2−メルカプト−1−イミダゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、システイン、N−アシルシステイン、グルタチオン、N−ブチルアミノエタンチオール、N,N−ジエチルアミノエタンチオールなどのメルカプタン類、ヨードホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー、ベンジルジチオベンゾエート、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾエート、有機テルル化合物、イオウ、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム等が挙げられる。
分子量調節剤の使用量としては、超高分子量PSSの製造に用いられるモノマー全量100重量部に対し、通常、10重量部以下である。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などのパーオキサイド系化合物、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルメタン)、4,4’−ジアゼンジイルビス(4−シアノペンタン酸)・α−ヒドロ−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)重縮合物などのアゾ化合物等があげられる。
また、必要に応じて、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アニリン、三級アミン、ロンガリット、ハイドロサルファイト、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤を、上記ラジカル重合開始剤と併用して使用しても良い。
ラジカル重合開始剤の使用量は、超高分子量PSSの製造に用いられる全モノマー量100重量部に対し、通常、0.1重量部〜10重量部である。さらに0.1重量部〜5重量部が好ましく、特に0.1重量部〜2重量部がより好ましい。
重合転化率は、95.0%以上が好ましく、98.0%以上がより好ましく、99.9%以上がさらに好ましい。重合開始剤の量を増やせば重合転化率は向上するが重合体の分子量は低下し、重合開始剤の量を減らせば分子量は増大するが重合反応における重合転化率は低下する。特に、重合時のモノマー濃度が高く、DVBSの共重合量が多い場合、PSSが三次元架橋して硬化し易いため、重合開始剤を増量したり、分子量調節剤を添加するなどの調整が必要となることがある。ここで、重合転化率は重合反応時用いられるモノマーの量に対する、重合反応で消費されたモノマーの量をいう。
重合条件は特に限定するものではないが、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、20℃〜120℃で、4時間〜30時間加熱すれば良く、重合反応溶媒、モノマー組成、及び重合開始剤の種類によって適宜調整すれば良い。
本発明の超高分子量ポリスチレンスルホン酸の共重合体は、上記の一般的な溶液ラジカル重合で製造できるが、第二の方法として公知の逆相エマルション重合(例えば、Polymer International,vol.59,78−84頁,2010年;Polymer Bulletin,vol.65,565−576頁,2010年)を適用することもできる。
例えば、スチレンスルホン酸又はその塩を含むモノマー水溶液を、適当な乳化剤を用いて、油相内に乳化分散させた後、上記した溶液ラジカル重合と同様、脱気し、ラジカル重合開始剤を添加しながら重合すれば良い。
乳化分散させる際に用いられる界面活性剤は特に限定されるものではないが、例えば、ロジン酸塩、脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルサクシネートスルホン酸塩、ポリオキシエチレン多環式フェニルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、タウリン誘導体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸スチレン共重合体、ポリスチレンスルホン酸N−ビニルピロリドン共重合体、ポリスチレンスルホン酸N−置換マレイミド共重合体、ポリスチレンスルホン酸メタクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸アクリル酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸アクリル酸エステル共重合体、スチレンスルホン酸マレイン酸共重合体、スチレンスルホン酸アクリルアミド共重合体、スチレンスルホン酸メタクリルアミド共重合体、スチレンスルホン酸2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルホスホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、ポリイソプレンスルホン酸共重合体、ポリアクリル酸エステルアクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸エステルメタクリル酸共重合体、ポリアクリルアミドアクリル酸共重合体、ポリメタクリルアミドメタクリル酸共重合体、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩などのアニオン性乳化剤、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アミンオキシド系ノニオン乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン多環式フェニルエーテル、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコキシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリレート、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリジエチルアミノエチルアクリレート、ポリt−ブチルエチルアミノエチルメタクリレート、ポリt−ブチルアミノエチルアクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルアクリレート/エチルアクリレート共重合体などのノニオン性乳化剤、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノスルホベタイン、アルキルスルホベタインなどの両性乳化剤などがあげられる。
なお、これらの乳化剤の使用量は、上記本発明のPSS成分に対し、0.1重量%〜30重量%の範囲で用いればよい。
上記の逆相エマルション重合における重合開始剤、還元剤、及び分子量調節剤については、上記した溶液ラジカル重合と同様である。その他、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH緩衝剤を添加しても良い。
なお逆相エマルション重合において、油相とは、モノマーのミセル及びモノマー水溶液の液滴を分散させるためのマトリックスであり、この目的に適合するものであれば特に制限はないが、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素の他、ミネラルオイル、合成油、植物油、シリコーンオイルなどが使用できる。
本発明の水溶性の超高分子量PSSは、重合転化率が高く、従って残存モノマー量が少ないため、重合した後、そのまま溶液として使用することができる。また、噴霧乾燥機や押出し乾燥機などの設備により乾燥粉体化して使用することもできる。
本発明の水溶性の超高分子量PSSは、耐熱性と化学的安定性に優れ、残存モノマー量も少ないため、高度な耐久性や低環境負荷が要求される石油採掘分野の他、乳化及び分散重合用の分散剤、化粧品、トイレタリー用品における増粘剤、凝集剤、土壌改質剤として産業上極めて有用である。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
<パラスチレンスルホン酸ナトリウムの純度測定>
酸化還元滴定法により、活性二重結合を定量し、試料中のスチレンスルホン酸ナトリウム含量とした。
(1)器具及び装置
1)秤量瓶:直径50mm、深さ70mm
2)500ml、1000mlメスフラスコ
3)500ml共栓付三角フラスコ
4)電子化学天秤
(2)試薬
1)臭素液:臭化カリウム(KBr)22.00g、臭素酸カリウム(KBrO)3.00gを純水に溶解し、全体を1000mlとした。
2)硫酸水溶液(濃硫酸/純水体積比=1/1)
3)ヨウ化カリウム水溶液(200g/L)
4)0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液
5)でんぷん水溶液:6.00gのでんぷんを純水に溶解し、全体を1000mlとした。
(3)操作
1)試料20gを0.1mgの桁まで秤量瓶に秤取る。
2)500mlメスフラスコに純水で洗い移し、液量を約400mlとする。
3)磁気回転子を入れて撹拌し、試料を溶解する。
4)回転子を取り出し、純水で標線を合わせて振り混ぜ、検液とする。
5)純水200mlを入れた500ml共栓付三角フラスコに臭素液25mlを加える。
6)検液5mlを加えた後、硫酸水溶液10mlを加えて密栓し、20分間放置する。
7)ヨウ化カリウム水溶液10mlを素早く加えて10分間放置する。
8)チオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定し、溶液の黄色が薄くなってから、指示薬として、でんぷん溶液1mlを加え、生じたヨウ素でんぷんの青色が消えるまで滴定する。
9)別に空試験として、純水200mlを加えて共栓付三角フラスコに臭素液25mlを加え、ヨウ化カリウム水溶液10ml、硫酸水溶液10mlを素早く加え、8)の操作を行う。
(4)計算
次式によってスチレンスルホン酸ナトリウム含量を算出する。
A=100×[0.01031×(a−b)×f]/(S×5/500)
A:スチレンスルホン酸ナトリウム含量(%)
a:空試験に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液(ml)
b:本試験に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液(ml)
f:チオ硫酸ナトリウム水溶液の力価
S:試料量(g)
<ジビニルベンゼンスルホン酸塩の純度測定>
核磁気共鳴スペクトルにより純度を測定した。
(1)試料の調製
試料0.02gと内部標準物質としてトリエチルアミン又はメチルイソブチルケトン0.01gを0.1mgの桁まで秤量瓶(50mmφ×70mm)に秤取り、重水又は重アセトンを全量0.6gになるまで加えて溶解し、NMR測定用サンプルを調製した。
(2)測定機器
機種=Bruker製AV−400M
積算回数=16
(3)純度の算出
次式によって生成物の純度を算出した。
純度(重量%)=(B/M)×(a/a)/(b/b)×M/S×100
a:任意の目的物ピークの積分値
b:任意の内部標準物質の積分値
:aで選択した任意の生成物ピークの水素数
:bで選択した任意の生成物ピークの水素数
:目的物の分子量
:内部標準物質の分子量
B:内部標準の採取量(g)
S:試料の採取量(g)
<GPCによる分子量及びモノマー重合転化率の測定>
スチレンスルホン酸塩、ジビニルベンゼンスルホン酸塩の重合転化率及びポリスチレンスルホン酸塩の分子量は、下記の条件で測定した。
機種:東ソー株式会社製、HLC−8320GPC
カラム:TSK guardcolumn AW−H/TSK AW−3000/TSK AW−6000
溶離液:硫酸ナトリウム緩衝液(0.05mol/L):アセトニトリル=90:10(体積比)溶液
カラム温度:40℃
流量:0.6ml/min
検出器:UV検出器(波長230nm)、注入量:10μl
検量線:創和科学株式会社製の単分散ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(3KDa(3000ダルトン)、15KDa、41KDa、300KDa、1000KDa、2350KDa、5000KDa)を検量線作成に用い、各々のピークトップの溶出時間と分子量とから検量線を作成した。
<水溶液粘度の測定>
5重量%のポリマー水溶液を30℃の恒温水槽内で4時間静置後、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて、下記条件で測定した。
機種:芝浦システム株式会社製、ビスメトロンVDA−2
ローター:No.2、回転数:12rpm
<ポリマーの耐過酸化水素性の評価>
5重量%のポリマー水溶液100g、過酸化水素水(和光純薬工業株式会社製、特級)2gを250mlポリビン(株式会社日本メディカルサイエンス社製、アイボーイ)に採取し、振り混ぜ、空間に窒素を流して密閉した後、50℃の恒温槽で4日間エージングした。その後、上記した条件でGPCを測定し、分子量の変化を調べた。
<ポリマーの耐熱性の評価>
真空乾燥したポリマーの熱分解挙動を差動型高温示差熱天秤により、下記の条件で分析した。急激に重量減少が始まる温度を分解温度とした。
機種:株式会社マックサイエンス社製、TG−DTA2000
試料量:5mg(白金オープンパン)
標準試料:酸化アルミニウムAl2、5mg(白金オープンパン)
昇温速度:10℃/min(室温〜600℃)
雰囲気:窒素フロー50ml/min。
実施例1(DVBS 0.47モル%にて実施)
還流冷却管、窒素導入管を取り付けた2Lガラスフラスコ反応器にイオン交換水393.57g、スチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度88.0%)37.51g、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度84.0%)0.2099g及びアゾ開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)0.4601gを仕込んだ後、メカニカルスターラー(150rpm)撹拌下、窒素ガス(0.2L/min)を10分間流して脱気した。その後、反応器を60℃の湯浴に浸漬し、10時間重合した。仕込み組成と重合転化率から、重合溶液中のPSS濃度は7.69重量%であり、ここへイオン交換水を添加してPSS濃度を5.00重量%に調整した。
表1に示した通り、後記する比較例1〜5、及び比較例9に比べて、明らかに高粘度、高重量平均分子量のPSS溶液が得られ、且つ、高転化率まで重合が進行した結果、5重量%水溶液中の残存SSは検出されなかった。また、当該PSSの過酸化水素に対する耐久性と耐熱性(熱分解温度)は、比較例7及び比較例8に記載した市販ポリマーよりも著しく優れていることが明らかである。
本実施例では、撹拌など実験設備上の問題から、5重量%という低いモノマー濃度で重合を実施したが、高いモノマー濃度で重合すれば、さらに高分子量化又は高粘度化できると考えられる。
Figure 0006812167
実施例2(DVBS 0.47モル%、MAA9.6モル%にて実施)
還流冷却管、窒素導入管を取り付けた2Lガラスフラスコ反応器にイオン交換水393.60g、スチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度88.0%)37.50g、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度84.0%)0.2300g、メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製、特級)1.50g、5重量%水酸化ナトリウム水溶液13.20g、及びアゾ開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)0.4642gを仕込んだ後、メカニカルスターラー(150rpm)撹拌下、窒素ガス(0.2L/min)を10分間流して脱気した。その後、反応器を60℃の湯浴に浸漬し、10時間重合した。仕込組成と重合転化率から、重合溶液中のPSS濃度は7.85重量%であり、ここへイオン交換水を添加してPSS濃度を5.00重量%に調整した。
表1に示した通り、後記する比較例1〜6に比べて、明らかに高粘度、高重量平均分子量のPSS水溶液が得られ、且つ、高転化率まで重合が進行した結果、5重量%水溶液中の残存SSは検出されなかった。また、当該PSSの過酸化水素に対する耐久性と耐熱性(熱分解温度)は、比較例7及び比較例8に記載した市販ポリマーよりも著しく優れていることが明らかである。
実施例3(DVBS 0.24モル%、開始剤減量にて実施)
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度84.0%)0.1050g、及びアゾ開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)0.2300gへ減量した他は、全て実施例1と同じ条件で10時間重合した。仕込組成と重合転化率から、重合溶液中のPSS濃度は7.69重量%であり、ここへイオン交換水を添加してPSS濃度を5.00重量%に調整した。
表1に示した通り、後記する比較例1〜6に比べて、明らかに高粘度、高重量平均分子量のPSS水溶液が得られ、且つ、高転化率まで重合が進行した結果、5重量%水溶液中の残存SSは検出されなかった。また、当該PSSの過酸化水素に対する耐久性と耐熱性(熱分解温度)は、比較例7及び比較例8に記載した市販ポリマーよりも著しく優れていることが明らかである。
実施例4(DVBS 0.89モル%、AA11.20モル%、水倍増にて実施)
還流冷却管、窒素導入管を取り付けた2Lガラスフラスコ反応器にイオン交換水626.00g、スチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度88.0%)37.51g、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度84.0%)0.4495g、アクリル酸(和光純薬工業株式会社製、特級)、5重量%水酸化ナトリウム水溶液16.20g及びアゾ開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)0.4642gを仕込んだ後、メカニカルスターラー(150rpm)撹拌下、窒素ガス(0.2L/min)を10分間流して脱気した。その後、反応器を60℃の湯浴に浸漬し、10時間重合した。仕込組成と重合転化率から、重合溶液中のPSS濃度は5.18重量%であり、ここへイオン交換水を添加してPSS濃度を5.00重量%に調整した。表1に示した通り、後記する比較例1〜6に比べて、明らかに高粘度、高重量平均分子量のPSS水溶液が得られ、且つ、高転化率まで重合が進行した結果、5重量%水溶液中の残存SSは検出されなかった。また、当該PSSの過酸化水素に対する耐久性と耐熱性(熱分解温度)は、比較例7及び比較例8に記載した市販ポリマーよりも著しく優れていることが明らかである。
実施例5(DVBS 2.00モル%、水倍増にて実施)
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度84.0%)0.9010g、及びイオン交換水626.00gへ増量した他は、全て実施例1と同じ条件で10時間重合した。仕込み組成と重合転化率から、重合溶液中のPSS濃度は5.00重量%であり、そのまま分析に用いた。
表1に示した通り、後記する比較例1〜6に比べて、明らかに高粘度、高重量平均分子量のPSS水溶液が得られ、且つ、高転化率まで重合が進行した結果、5重量%水溶液中の残存SSは検出されなかった。また、当該PSSの過酸化水素に対する耐久性と耐熱性(熱分解温度)は、比較例7及び比較例8に記載した市販ポリマーよりも著しく優れていることが明らかである。
比較例1(実施例5のDVBSなしにて検討)
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー有機化学株式会社製、純度84.0%)を添加しなかった他は、全て実施例5と同じ条件で10時間重合した。
表1に示した通り、重合は高転化率まで進行したが、実施例1〜5に比べて、PSS水溶液の粘度と重量平均分子量は明らかに低かった。即ち、高粘度、高重量平均分子量、及び高重合転化率を達成するためには、DVBSの使用が不可欠である。
比較例2(比較例1の開始剤減にて検討)
アゾ開始剤V−50を0.1531gへ減量した他は、全て比較例1と同じ条件で10時間重合した。
表1に示した通り、高粘度及び高重量平均分子量のPSS溶液は得られたが、重合転化率は低く、残存モノマー濃度が0.1%(固形PSS換算で2.00重量%)を超えた。即ち、高粘度、高重量平均分子量、及び高重合転化率を達成するためには、DVBSの使用が不可欠である。
比較例3(比較例1の開始剤変種及び減量にて検討)
アゾ開始剤V−50(和光純薬工業株式会社製)0.4590gの代わりに過硫酸アンモニウム(和光純薬工業株式会社製)0.1500gを添加した他は、全て比較例1と同じ条件で10時間重合した。
表1に示した通り、高粘度及び高重量平均分子量のPSS溶液は得られたが、重合転化率は低く、残存モノマー濃度が0.1%(固形PSS換算で2.00重量%)を超えた。即ち、高粘度、高重量平均分子量、及び高重合転化率を達成するためには、DVBSの使用が不可欠である。
比較例4(DBVSの代わりにEG−DMA使用にて検討)
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの代わりにエチレングリコールジメタクリレート(東京化成工業株式会社製、特級)0.6706gを用いた他は、全て実施例5と同じ条件で10時間重合した。仕込組成と重合転化率から、重合溶液中のPSS濃度は5.00重量%であり、このまま分析に用いた。表1に示した通り、重合は高転化率まで進行したが、実施例1〜5に比べて、PSS水溶液の粘度と重量平均分子量は明らかに低かった。即ち、高粘度、高重量平均分子量、及び高重合転化率を達成するためには、多官能ビニルモノマーとして、DVBSの使用が不可欠である。
比較例5(DBVSの代わりにMBAM使用にて検討)
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの代わりにN,N’−メチレンビスアクリルアミド(東京化成工業株式会社製、特殊用)0.5210gを用いた他は、全て実施例5と同じ条件で10時間重合した。仕込組成と重合転化率から、重合溶液中のPSS濃度は5.00重量%であり、このまま分析に用いた。
表1に示した通り、重合は高転化率まで進行したが、実施例1〜5に比べて、PSS水溶液の粘度と重量平均分子量は明らかに低かった。即ち、高粘度、高重量平均分子量、及び高重合転化率を達成するためには、多官能ビニルモノマーとして、DVBSの使用が不可欠である。
比較例6
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムを3.5000gへ、イオン交換水を675.00gへ増量した他は、全て実施例5と同じ条件で10時間重合した。
重合途中で溶液がゲル化し、撹拌及び分析は困難だった。
比較例7(AMPSにて検討)
市販のポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)水溶液(シグマ・アルドリッチジャパン株式会社製、15重量%水溶液)に39.5重量%水酸化ナトリウム水溶液とイオン交換水を添加し、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム)の5重量%水溶液(pH=7.23)を調製した。
表1に示したように、当該ポリマーは、実施例1〜5と同等の高粘度及び高重量平均分子量を示したが、耐過酸化水素性と耐熱性(熱分解温度)は、実施例1〜5のPSSに対して大きく劣った。
比較例8(PAMにて検討)
市販のポリアクリルアミド水溶液(東京化成工業株式会社製、10重量%水溶液)にイオン交換水を添加し、5重量%水溶液を調製した。
表1に示したように、当該ポリマーの重量平均分子量は低めながら、実施例1〜5と同等の高粘度を示した。しかしながら、耐過酸化水素性と耐熱性(熱分解温度)はPSSに対して大きく劣った。
比較例9(市販PSSにて検討)
市販の高分子量ポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(東ソー有機化学株式会社製、21重量%水溶液)にイオン交換水を添加し、5重量%水溶液を調製した。
当該ポリマーの溶液粘度と重量平均分子量は、何れも実施例1〜5に劣った。
本発明の超高分子量で水溶性のポリスチレンスルホン酸又はその塩は、耐熱性と化学的安定性に優れ、残存モノマー量も少ないため、高度な耐久性や低環境負荷が要求される石油採掘分野の他、乳化及び分散重合用の分散剤、化粧品、トイレタリー用品における増粘剤、凝集剤として産業上極めて有用である。

Claims (13)

  1. 下記繰り返し構造単位(A)及び(B)を含む水溶性ポリマーの製造方法であって、
    当該水溶性ポリマーがゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる重量平均分子量が90万ダルトン(Da)を超える、及び/又は、5重量%水溶液(30℃)として測定される粘度が100mPa・sを超える、超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩であり、
    Figure 0006812167
    Figure 0006812167
    〔繰り返し構造単位(A)及び(B)中、Mはプロトン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムカチオン又は第四級ホスホニウムカチオンを表す。ここで、xを水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(A)の数、yを水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(B)の数とするとき、70.00≦100x/(x+y)≦99.95、0.05≦100y/(x+y)≦30.00。〕
    次の(D)及び(E)を含むモノマー混合物を、ラジカル重合の開始剤を加えて水中又は水性溶媒中でラジカル重合する際に、重合溶液における当該モノマー混合物濃度60重量%以下でラジカル重合する、超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
    (D)スチレンスルホン酸又はその塩
    (E)ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩
    〔但し、(D)は99.95〜90.00モル%、及び(E)は0.05〜10.00モル%である。〕
  2. 水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(A)及び(B)に加え、下記繰り返し構造単位(C)を含む、請求項1に記載の超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
    Figure 0006812167
    〔繰り返し構造単位(C)中、Qはラジカル重合性モノマー残基を表す。〕
  3. Qがアクリル酸残基、メタクリル酸残基、マレイン酸残基及びN−ビニルピロリドン残基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組合せとなるラジカル重合性モノマー残基である、請求項2に記載した超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
  4. スチレンスルホン酸モノマー又はその塩の含有量が2.0重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
  5. 前記(D)及び(E)に加え、下記ラジカル重合性モノマーを含む、請求項1に記載の超高分子量スチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
    (F)(D)及び(E)とは異なる共重合可能なラジカル重合性モノマー
  6. 前記(F)がアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びN−ビニルピロリドンからなる群より選ばれる1又は2以上のラジカル重合性モノマーである、請求項5に記載の超高分子量スチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
  7. ラジカル重合の開始剤がパーオキサイド系化合物又はアゾ化合物である請求項1に記載の超高分子量スチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
  8. ラジカル重合の開始剤が全モノマー量100重量部に対し0.1重量部〜2重量部である、請求項1に記載の超高分子量スチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
  9. 重合転化率が98.0%以上である、請求項1に記載の超高分子量スチレンスルホン酸又はその塩の製造方法。
  10. 下記繰り返し構造単位(A)及び(B)を含む水溶性ポリマーであって、
    当該水溶性ポリマーがゲル浸透クロマトグラフィーにより求められる重量平均分子量が90万ダルトン(Da)を超える、及び/又は、5重量%水溶液(30℃)として測定される粘度が100mPa・sを超える、超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩を含む増粘剤又は分散剤。
    Figure 0006812167
    Figure 0006812167
    〔繰り返し構造単位(A)及び(B)中、Mはプロトン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムカチオン又は第四級ホスホニウムカチオンを表す。ここで、xを水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(A)の数、yを水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(B)の数とするとき、70.00≦100x/(x+y)≦99.95、0.05≦100y/(x+y)≦30.00。〕
  11. 水溶性ポリマーに含まれる繰り返し構造単位(A)及び(B)に加え、下記繰り返し構造単位(C)を含む、請求項10に記載の超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩を含む増粘剤又は分散剤。
    Figure 0006812167
    〔繰り返し構造単位(C)中、Qはラジカル重合性モノマー残基を表す。〕
  12. Qがアクリル酸残基、メタクリル酸残基、マレイン酸残基及びN−ビニルピロリドン残基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組合せとなるラジカル重合性モノマー残基である、請求項11に記載の超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩を含む増粘剤又は分散剤。
  13. スチレンスルホン酸モノマー又はその塩の含有量が2.0重量%以下である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩を含む増粘剤又は分散剤。
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