JP2023087752A - 上限臨界溶液温度型の温度応答性を有するカルボン酸系ポリマー及びその用途 - Google Patents

上限臨界溶液温度型の温度応答性を有するカルボン酸系ポリマー及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】上限臨界溶液温度(UCST)型の相分離性を示すカルボン酸系ポリマーとその製造方法、並びに当該ポリマーを含む正浸透膜水処理システム及び浸透圧発電に用いる駆動溶液を提供する。【解決手段】構造単位(A)及び(B)を含み、所定量の芳香族ビニルモノマーを共重合し、且つ分子量と分子量分布を所定範囲に制御されるUCST型相分離性を示すカルボン酸系ポリマー、その製造方法、並びにこれを用いて得られ、UCST未満で相分離し、UCST以上で均一溶液となる水溶液および駆動溶液を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、正浸透膜法水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液として有用な、上限臨界溶液温度(UCST)型の温度応答性を有するカルボン酸系ポリマー及びその用途としての温度応答性を有するカルボン酸系ポリマーを含む正浸透膜法水処理システム及び浸透圧発電の駆動溶液に関する。
刺激応答性ポリマーは、温度、pH、イオン強度、光照射、電磁場の印加などの外部刺激に応答して物理的・化学的特性が変化する材料である。中でも温度応答性ポリマーは、ドラッグデリバリーシステム、遺伝子治療、金属や細胞などの分離、バイオイメージング、カテーテル、人工筋肉、光学デバイス、触媒、正浸透膜法水処理システム、浸透圧発電などの分野への利用が期待されるため、広く研究されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
温度応答性ポリマーは、外部からの温度刺激に応じて、溶媒への溶解性が変化するポリマーであり、温度による相変化により、下限臨界溶液温度(LCST)を有するLCST挙動と上限臨界溶液温度(以下、UCSTということがある。)を有するUCST挙動に分類される。
ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(P-NIPAM)に代表されるLCST型ポリマーは、バイオメディカル分野を中心に盛んに研究されており、P-NIPAMの他、ポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-ビニルカプロラクタム)、ポリ(オリゴエチレングリコール)アクリレートなど多くのLCST型ポリマーが報告されている。しかし、UCST挙動を示すポリマーの報告例はごくわずかに限られており、特に幅広いポリマー濃度領域において分子間相互作用によりUCST挙動を示すイオン性ポリマーはほとんど報告例がない。
イオン性ポリマーに関しては、アクリル酸とアクリロニトリルとの共重合体(例えば非特許文献1)、アクリル酸と耐加水分解性に優れるスチレンとの共重合体(例えば非特許文献2)、ホモポリマーであるポリアクリル酸(PAA)及びそのナトリウム塩(PAA-Na)(例えば非特許文献3)等が知られているが、これらの内、温度応答性ポリマーとして報告があるのはアクリル酸/アクリロニトリル共重合体のみである。
本発明者らは、アニオン性モノマーであるスチレンスルホン酸とカチオン性モノマーである4-ビニルベンジルトリメチルアンモニウムからなるポリアンホライトが、ポリマー分子間の静電相互作用及び疎水相互作用によってUCSTを示し、かつ高い浸透圧と耐加水分解性を示すことから、正浸透膜法水処理システムの駆動溶液として有用なことを見出している(例えば、特許文献3)。
また、カルボキシル基がアミノアルキル化されたエステル構造単位及びスルホ基を含む構造単位を含むポリマー、並びにさらにカルボキシル基含有構造単位を有するポリマーを上記の正浸透膜法水処理システムの駆動溶液に用いることが知られている(例えば、特許文献4)。
特許第4069221号公報 特許第6125863号公報 国際公開第2020/188839号 特開2021-107491号公報
Chuanzhuang Zhaoら;Macromolecules,52巻,4441~4446頁,2019年 S.Toppetら;Journal of Polymer Science Part-A,13巻,8号,1879~1887頁,1975年 Qingchun Geら;Water Research,46巻,1318~1326頁,2012年
非特許文献1では、アクリロニトリル重合単位を4.5モル%~22モル%含み、数平均分子量2.7万ダルトン~3.7万ダルトンを有するアクリル酸共重合体の0.5重量%~2.0重量%水溶液が、7.2℃~37.9℃のUCST性を示すことが記載されている。
しかし、高濃度域の物性については言及されておらず、幅広いポリマー濃度領域におけるUCST挙動の発現に課題があった。分子量が2万を超えるため、この場合は高濃度域の粘度及びUCSTはかなり高いと予想される。また、アクリロニトリル重合単位のシアノ基は、高温水中で加水分解してカルボキシル基へ変化するため、安定的に再現性良く効果を発現する上では、経時的にUCSTが低下もしくは消失するという課題がある。
非特許文献2では、アクリル酸とスチレンとの共重合に関する報告はあるが、UCSTなどポリマー構造と温度応答性に言及した例は無く、当該文献にはアクリル酸のカルボキシル基といった溶媒と水素結合形成可能な官能基を有するモノマーの共重合は、反応性比に対する反応溶媒等の影響が大きいことも報告されており、従来、アニオン性のポリマーとしてUCSTを発現し得る分子設計自体も困難であった。
非特許文献3では、ホモポリマーであるポリアクリル酸ナトリウム塩(PAA-Na)が正浸透膜水処理システムの駆動溶液として可能性があることを示しているが、共重合体の温度応答性を有するカルボン酸系ポリマーに関する記載は無く、UCSTを発現し得る具体的な分子設計は依然として困難であった。
従来の上限臨界溶液温度型の温度応答性を有するポリマー(以下、UCST型ポリマーと言うことがある)は、原料として高価なカチオン性モノマーを使用し、且つUCST及び水溶液粘度が高過ぎるため課題があり、低コストでUCST及び水溶液粘度が低いUCST型ポリマーが求められていた。
正浸透膜法水処理システムの駆動溶液(以下、Draw Solutionの略称としてDSということがある)を用途例として、従来のUCST型ポリマーの課題を以下に説明する。
図1はUCST型ポリマーの相分離曲線を模式的に示した図であり、図1中のに実線で示した曲線の上側がポリマーが溶解している均一相であり、下側に二相分離の状態を示す。図2はUCST型(冷却分離型)の駆動溶液(DS)を利用した正浸透膜法水処理システムの模式図を示す。図1および図2において、図中のa~eは図1および図2の相互に対応する。
例えば以下に記載の、a→b工程、b→c→d/e工程、およびd→a工程の各工程を説明する。
a→b工程;図1及び図2中のaで示される駆動溶液(DS)として十分な浸透圧を有する40重量%ポリマー水溶液が、半透膜を介して50℃で被処理水から水を吸い出し、図1及び図2中のbで示される通り、濃度20重量%まで希釈されて浸透圧(吸水力)が低下する。
b→c→d/e工程;希釈された20重量%ポリマー水溶液bを、図1及び図2中のcで示される通り、20℃まで冷却すると相分離が起こり、図1及び図2中のeで示される淡水と、図1及び図2中のdで示される40重量%ポリマー水溶液が再生される。
d→a工程;再生された40重量%ポリマー水溶液を50℃まで昇温し、再び被処理水から淡水を吸い出す。
以上の一連のサイクルを模式的に示したのが図2であり、各工程におけるポリマー濃度と相分離温度との関係を示したのが図1である。
上記システムにおける理想的な相分離曲線の傾斜と相分離温度は、被処理水の温度、運転温度、駆動溶液の浸透圧と粘度、あるいは使用する半透膜の物性によって変わるため、一概には言えない。例えば図1に図示された相分離曲線の傾斜の場合、1サイクル当たり駆動溶液とほぼ同量の淡水を製造することができる。これに対し、例えば、相分離曲線の傾斜が図1における場合の2倍大きくなれば、1サイクル当たりの淡水製造量は半減する。逆に傾斜が1/2になれば1サイクル当たりの淡水製造量は増大する。
また、相分離温度(溶解温度)が高過ぎると、温海水や石油随伴水からの40℃~60℃程度での淡水製造が困難となる。また、水溶液粘度が高過ぎると、特に駆動溶液を冷却/再生した後の駆動溶液の循環に負荷が掛かり、さらに半透膜内の濃度分極(支持層内へポリマーが拡散し難くなる)によって吸水速度が低下する。
特許文献3(国際公開第2020/188839号)に記載のポリアンホライトは、(1)無機塩の不在下ではUCSTが劇的に上昇し、且つ相分離曲線の傾きが大き過ぎる、(2)水溶液粘度が高過ぎる、(3)高価なカチオン性モノマーを多く使用するため高コストとなる等の課題があった。
特許文献4(特開2021-107491号公報)に記載のポリマーは、ポリマー側鎖にアミノ基及びスルホ基が必須となる強電解質ポリマーであり、さらに上記エステル構造単位を骨格とするため、加水分解が懸念された。
特許文献3、特許文献4に記載の通り、アクリル酸のカルボキシル基といった溶媒と水素結合形成可能な官能基を有するモノマーの共重合は、従来、アニオン性のポリマーとしてUCSTを発現し得る分子設計自体も困難であった。
さらに、従来のUCST型ポリマー(例えば特許文献3、特許文献4)は強電解質ポリマーであり、浸透圧が高いメリットはあるが、無機塩の不存在下では、相分離曲線の傾斜が大き過ぎる、相分離温度が高過ぎる、水溶液粘度が高過ぎるなどの課題があり、強く改良が求められていた。
そこで本発明の目的は上記の従来の課題を解決できる材料及びそれを利用できるシステムを提供することにある。
すなわち、正浸透膜法水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液として有用な、上限臨界溶液温度(UCST)型の温度応答性を有するカルボン酸系ポリマー及びその用途としての温度応答性を有するカルボン酸系ポリマーを含む正浸透膜法水処理システム及び浸透圧発電の駆動溶液を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、アクリル酸やメタクリル酸など、汎用性があり、安価なカルボキシル基含有ビニルモノマーを主成分とし、これにスチレンやビニル安息香酸などの芳香族ビニルモノマーを特定量共重合したポリマーが、特定域の分子量及び分子量分布において、溶液粘度が低く、正浸透膜法水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としてより適正なUCST型の相分離性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下の発明に係る。
[1]
下記構造単位(A)及び(B)を含み、構造単位(B)の含有量が構造単位(A)及び(B)の合計に対して5モル%~30モル%、数平均分子量Mnが500ダルトン~20,000ダルトン(Da)及び数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが1.00~2.00のポリマーであって、水溶性及び上限臨界溶液温度(以下、UCSTと略称することがある)を有し、50重量%水溶液の粘度が25℃で10mPa・s~10,000mPa・sであり、UCST未満の温度で疎水性、UCST以上の温度で親水性を示す、温度応答性のカルボン酸系ポリマー。
構造単位(A)は、下記一般式(1)
Figure 2023087752000001
で表されるカルボキシル基含有ビニルモノマー由来の構造単位(式(1)中、Rは水素原子又はカルボキシル基を表し、Rは水素原子、メチル基、エチル基又はカルボキシメチル基を表し、Mはプロトン、アンモニウムカチオン又はアルカリ金属カチオンを表す。)であり、
構造単位(B)は、下記一般式(2)
Figure 2023087752000002
で表される芳香族ビニルモノマー由来の構造単位(式(2)中、Rは水素原子、水酸基又はカルボキシル基を表す。)である。
[2]
項[1]の構造単位(A)及び(B)に対して、更に下記構造単位(C)を含み、構造単位(C)の含有量が構造単位(A)~(C)の合計に対して0.1モル%~10モル%である項[1]に記載のカルボン酸系ポリマー。
構造単位(C)は、下記一般式(3)
Figure 2023087752000003
で表される構造単位である(式(3)中、Qはアクリルアミド系ビニルモノマー由来の構造単位を表す。)。
[3]
前記数平均分子量Mnが500ダルトン~5,000ダルトン(Da)である、項[1]又は項[2]に記載のカルボン酸系ポリマー。
[4]
前記構造単位(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種のカルボキシル基含有ビニルモノマー由来の構造単位であり、前記構造単位(B)が、スチレン、ビニル安息香酸及びヒドロキシスチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種の芳香族ビニルモノマー由来の構造単位である、項[1]に記載のカルボン酸系ポリマー。
[5]
前記構造単位(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種のビニルモノマー由来の構造単位であり、前記構造単位(B)が、スチレン、ビニル安息香酸及びヒドロキシスチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種のビニルモノマー由来の構造単位であり、前記構造単位(C)が、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-アクロイルモルホリン及び4-メタクリロイルモルホリンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアクリルアミド系ビニルモノマー由来の構造単位である、項[2]に記載のカルボン酸系ポリマー。
[6]
20重量%水溶液のUCSTが50℃~100℃、30重量%水溶液で40℃~90℃、40重量%水溶液で30℃~70℃、且つ50重量%水溶液で10℃~60℃である項[1]~項[5]のいずれかに記載のカルボン酸系ポリマー。
[7]
50重量%水溶液粘度が、40℃で10mPa・s~5000mPa・sである項[1]~項[6]のいずれかに記載のカルボン酸系ポリマー。
[8]
前記ポリマーの末端がカルボキシル基である構造である、項[1]~項[7]のいずれかに記載のカルボン酸系ポリマー。
[9]
カルボキシル基含有ビニルモノマー及び芳香族ビニルモノマーを含むモノマー混合物を、親水性溶媒中、親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤、又は親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤及びRAFT剤若しくは親水性の連鎖移動剤を用いて重合させる、UCST未満で疎水性、UCST以上で親水性を示す温度応答性のカルボン酸系ポリマーの製造方法であって、
前記モノマー混合物中の全モノマーに対する芳香族ビニルモノマーの割合は9.0モル%~20.0モル%であり、
前記モノマー混合物中の全モノマーに対する親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤、RAFT剤及び親水性の連鎖移動剤の割合の総和は0.90モル%~13.0モル%である、
方法。
[10]
前記カルボキシル基含有ビニルモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸からなる群より選ばれる1以上のカルボキシル基含有ビニルモノマーであり、
芳香族ビニルモノマーが、スチレン、ビニル安息香酸及びヒドロキシスチレンからなる群より選ばれる1以上の芳香族ビニルモノマーである、
項[9]に記載の製造方法。
[11]
モノマー混合物が、アクリルアミド系ビニルモノマーをさらに含むモノマー混合物である項[9]又は項[10]に記載の製造方法であって、
前記モノマー混合物中の全モノマーに対する芳香族ビニルモノマーの割合は10.0モル%~15.0モル%、アクリルアミド系ビニルモノマーの割合は0.1モル%~5.0モル%である、
方法。
[12]
前記アクリルアミド系ビニルモノマーが、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-アクロイルモルホリン及び4-メタクリロイルモルホリンからなる群より選ばれる1以上のアクリルアミド系ビニルモノマーである項[11]に記載の製造方法。
[13]
前記親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤がカルボキシル基を有する親水性の重合開始剤であり、前記RAFT剤がカルボキシル基を有するRAFT剤であり、及び前記親水性の連鎖移動剤がカルボキシル基を有する親水性の連鎖移動剤である、項[9]~項[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14]
前記親水性溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン及び水からなる群より選ばれる1または2以上である、項[9]~項[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15]
項[1]~項[8]のいずれかに記載のカルボン酸系ポリマーを1重量%~70重量%含む水溶液であって、UCST未満で相分離し、UCST以上で均一溶液となる水溶液。
[16]
前記カルボン酸系ポリマーの含有量が20重量%~50重量%である、項[15]に記載の水溶液。
[17]
相分離温度が40℃~60℃である、項[15]又は項[16]に記載の水溶液。
[18]
項[1]~項[8]のいずれかに記載のカルボン酸系ポリマーを溶質として含む、正浸透膜法水処理システム用又は浸透圧発電用の駆動溶液。
本発明のUCST型の温度応答性ポリマーは、アクリル酸やメタクリル酸など、汎用性の安価なカルボキシル基含有ビニルモノマーを主成分とし、これにスチレンやビニル安息香酸などの芳香族ビニルモノマーを所定量共重合し、さらに、所定範囲の分子量及び分子量分布を有する水溶性のカルボン酸系ポリマーである。このため、従来のイオン性UCST型ポリマーと比べて、無機塩を含まないか、あるいは無機塩を含んでも僅かであるにも関わらず、UCSTが低く、傾斜の小さい相分離曲線を示す。さらに水溶液の粘度が極めて低いため、正浸透膜法水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液として使用することができる。
UCST型ポリマーの相分離曲線を模式的に示した図であり、横軸はポリマー水溶液濃度(単位はwt%(重量%))を示し、縦軸は相分離温度(単位は℃)を示す。図1中のa~eは正浸透膜法水処理システムの実施態様を示す図2中のa~eに対応する。 UCST型(冷却分離型)の駆動溶液(DS)を利用した正浸透膜法水処理システムの模式図を示す。図2中のa~eはUCST型ポリマーの相分離曲線を示す図1中のa~eに対応する。 実施例6で得られたアクリル酸/スチレン共重合体(1回精製後)の13C-NMRスペクトルであり、横軸は化学シフト(単位はppm)を示し、縦軸はシグナルの相対強度を示す。 図3の13C-NMRスペクトルの高磁場側の拡大図である(各ピークの帰属は表1参照)。 図3の13C-NMRスペクトルの低磁場側の拡大図である(各ピークの帰属は表1参照)。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
本発明に用いられるカルボキシル基含有モノマーは、本発明のUCST型ポリマーの主成分であり、上記一般式(1)で表される構造単位(A)を形成するために必要な水溶性モノマーである。
本発明に用いられるカルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸及びイタコン酸があげられる。この内、重合性の観点から、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく、ポリマーの浸透圧の観点から、アクリル酸がより好ましい。本発明のカルボン酸系ポリマーに含まれる構造単位(A)のカルボキシル基は、浸透圧の観点ではアルカリ中和が有利だが、中和度によって水溶性が鋭敏に変化し、UCSTの制御が難しくなることから、中和度(カルボキシル基に対するアルカリの当量)は基本的には0%で良い。ただし、構造単位(B)の種類や含量によっては、高過ぎるUCSTを中和によって下げることができるため、中和度は0%を超え10%まで、さらに0.01%~10%が好ましい。
本発明に用いられる芳香族ビニルモノマーは、本発明のカルボン酸系ポリマーに含まれる、上記一般式(2)で表される構造単位(B)を形成するために必要な疎水性モノマーであり、特に限定するものではない。例えばスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、α-メチルスチレン、シアノスチレン、メトキシスチレン、パラ-t-ブトキシスチレン、パラ-アセトキシスチレン、パラ-1-エトキシエトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニル安息香酸、スチレンホスホン酸等が挙げられる。これらの内、コストの観点ではスチレンが好ましく、相分離性の制御幅が広い観点では、ビニル安息香酸、スチレンホスホン酸が好ましい。
また本発明に用いられる構造単位(C)を形成するために必要なモノマーは、上記したカルボキシル基含有ビニルモノマー及び芳香族ビニルモノマーと共重合できるものであれば、特に限定するものではなく、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、アクリロニトリル、塩化ビニル等が挙げられるが、共重合性及び相分離性の観点から、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン等の親水性のアクリルアミド系モノマーが好ましい。
本発明のポリマーが示すUCST型相分離挙動は、主としてポリマー中の芳香環に起因する疎水相互作用によると考えられる。このため、ポリマーに含まれる上記した構造単位(A)と(B)のモル比は極めて重要であり、構造単位(A)及び(B)の合計に対する構造単位(B)の含有量は5.00モル%~30.00モル%が好ましい。相分離温度をより適正な範囲に制御するためには、5.00モル%~20.00モル%が好ましく、5.00モル%~15.00モル%がより好ましい。
構造単位(C)を形成するモノマーは、構造単位(A)及び(B)からなるポリマーの耐久性や浸透圧を損なわない範囲で、相分離温度、水溶液粘度等を調整する目的で使用され。このため、構造単位(C)の含有量は、構造単位(A)、(B)及び(C)の合計に対して0.10モル%~10.00モル%が好ましく、1.00モル%~5.00モル%がより好ましい。
上記したように、本発明において、UCST性ポリマーに含まれるカルボキシル基含有ビニルモノマー由来の構造単位(A)と芳香族ビニルモノマー由来の構造単位(B)とのモル比は、温度応答性に影響する最も重要な因子である。また、ポリマーの分子量は相分離温度、浸透圧、透水能に影響する半透膜内の濃度分極及び粘度に影響する重要な因子である。また、後述するように、ポリマーの末端構造も相分離性に影響するため、少なくともポリマー末端の何れか一方にカルボキシル基を有する構造が好ましい。
本発明のUCST性ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で数平均分子量及び重量平均分子量を測定できる。数平均分子量は、500ダルトン~20,000ダルトン(Da)であることが好ましい。数平均分子量が500ダルトン未満の場合、ポリマーは低温でも水に溶解することがある。一方、数平均分子量が20,000ダルトンを超えると加熱してもポリマーは水に溶解しないことがある。さらに相分離性や水溶液の粘度が高粘度になり操作性が悪化するかなどの観点を考慮すると、800ダルトン~13,000ダルトンが好ましく、1,000ダルトン~5,000ダルトンがより好ましい。
また、分子量分布が狭いほど温度応答性や相分離性が良好(シャープ)になるため、重量平均分子量を数平均分子量で除した値(Mw/Mn)は小さいほど良く、1.00~2.00の範囲であれば支障はないが、1.00~1.50が好ましく、1.00~1.20がさらに好ましい。
また、GPCで測定された分子量が同じでも、中和度によってポリマーを含む水溶液の粘度は変化する。水溶液の粘度は低いほど好ましいが、本発明のポリマーは相互作用を有するポリマーであるため、ある程度の粘度の増加あるいは高粘度となることは避けられない。粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いて測定することができる。50重量%ポリマー水溶液粘度は、25℃で10mPa・s~10,000mPa・sであれば良いが、25℃で10mPa・s~10,000mPa・s、かつ40℃及び60℃で10mPa・s~5,000mPa・sであることが好ましく、25℃で100mPa・s~6,000mPa・s、且つ40℃及び60℃で30mPa・s~2,000mPa・sであることがさらに好ましい。
上記したように、本発明のUCST性ポリマーは、共重合組成、分子量及び分子量分布によって相分離性が制御されるが、正浸透膜法水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液として利用を考慮すると、20重量%ポリマー水溶液のUCSTが50℃~100℃の範囲にあり、30重量%ポリマー水溶液のUCSTが40℃~90℃の範囲にあり、40重量%ポリマー水溶液のUCSTが30℃~70℃の範囲にあり、かつ50重量%ポリマー水溶液のUCSTが10℃~60℃の範囲にあるのが好ましい。この範囲を逸脱すると、40℃~60℃の実用的な温度域で効率良く淡水を得ることが難しくなることがある。
浸透圧発電については、原理的には淡水製造と同様である。例えば、淡水(低浸透圧)と、工場廃熱や太陽熱を利用して加熱された駆動溶液(高浸透圧)との浸透圧差によって発電し、希釈された駆動溶液を冷却、再利用するものである。
また本発明には、上記のUCST型の温度応答性を有するカルボン酸系ポリマーを1重量%~70重量%含む水溶液が含まれる。ポリマー濃度は1重量%~70重量%が好ましく、10重量%~70重量%がより好ましく、20重量%~50重量%がさらに好ましい。勿論、正浸透膜法水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液として、実際に循環させて吸水する際には、浸透圧の関係上、ポリマー濃度は20重量%~70重量%が好ましい。
UCST型の温度応答性を有するカルボン酸系ポリマーを含む水溶液の相分離温度は、特に制限はない。実際に正浸透膜法水処理システムや浸透圧発電を実施する際の作業効率性や温度管理の観点からは10℃~100℃が好ましく、30℃~70℃がより好ましく、40℃~60℃がさらに好ましい。
本実施形態の上限臨界溶液型の温度応答性を有するポリマーは、ラジカル重合やアニオン重合で共重合体を製造後、減圧蒸留、ポリマーのUCST性を利用した相分離や限外濾過などの方法により、未反応モノマー、開始剤及び分子量調節剤などに由来する低分子量成分を除去することにより製造できる。
アクリル酸やメタクリル酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマーを用いる場合は、伝統的なラジカル重合やリビングラジカル重合が好ましい。アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを共重合後、加水分解してカルボキシル基を再生する場合は、ラジカル重合だけでなくアニオン重合も適用できる。ラジカル重合の中でも、狭分子量分布のポリマーが得られる観点から、原子移動重合、可逆的付加開裂移動重合、沃素移動重合、安定ニトロキシル媒介重合などのリビングラジカル重合法がより好ましく、公知の方法を適用できる(例えば、山子ら、日本ゴム協会誌、82巻、8号、363~369頁、2009年;上垣外ら、ネットワークポリマー、30巻、5号、234~249頁、2009年)。
上記したリビングラジカル重合法の内、いわゆるRAFT重合と呼ばれる可逆的付加開裂移動重合を例として詳しく説明する。
例えば、アクリル酸やメタクリル酸などのカルボキシル基含有ビニル性モノマー、スチレンやビニル安息香酸などの芳香族ビニルモノマー及び必要に応じてこれらと共重合可能なアクリルアミド等のモノマーを溶解したモノマー溶液、ラジカル重合開始剤及びジチオエステル化合物(可逆的付加開裂移動重合で用いられる所謂RAFT剤)などの重合制御剤を反応容器に仕込み、不活性ガス雰囲気下、40℃~100℃で5時間~48時間重合することにより、本発明のカルボン酸系ポリマーを得ることができる。
カルボキシル基含有ビニル性モノマー、芳香族ビニルモノマー及び必要に応じてこれらと共重合可能なアクリルアミド等のモノマーを溶解したモノマー溶液において、当該モノマー溶液中の全モノマーに対する芳香族ビニルモノマーの割合は5.00モル%~30.00モル%が好ましく、9.00モル%~20.00モル%がより好ましい。
RAFT剤の使用量は、目的とするポリマーの分子量により調整すれば良く、通常、全モノマーのモル数に対して0.01モル%~100.00モル%であればよいが、実用性を考慮すると、0.10モル%~30.00モル%が好ましく、0.50モル%~5.00モル%がより好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は全モノマーのモル数に対して、通常0.01モル%~100.00モル%であればよいが、分子量制御性を考慮すると0.01モル%~20.00モル%が好ましく、0.10モル%~15.00モル%がより好ましい。
RAFT剤として、和光純薬工業株式会社、東京化成工業株式会社、Boron Molecular社などから販売されている公知の化合物が適用できる。例えば、4-シアノ-4-(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸、3-((((1-カルボキシエチル)チオ)カーボノチオイル)チオ)プロパン酸、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸、ベンゾジチオ酸2-シアノプロパン-2-イル、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸、2-メチル-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸、ベンジルジチオベンゾエート、2-シアノプロプ-2-イルジチオベンゾエート、S,S-ジベンジルトリチオカーボネート、シアノメチル(3,5-ジメチル-1H-ピラゾール)カルボジチオエート、N-メチル-N-フェニルジチオカルバミン酸シアノメチルなどのジチオエステル化合物であるRAFT剤を使用することが出来る。
これらの内、本発明のカルボン酸系ポリマーの相分離性の観点から、4-シアノ-4-(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸、3-((((1-カルボキシエチル)チオ)カーボノチオイル)チオ)プロパン酸、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸、ベンゾジチオ酸2-シアノプロパン-2-イル、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸、2-メチル-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸などのカルボキシル基を有するジチオエステル化合物であるRAFT剤が好ましい。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの過酸化物系化合物、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス{2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルメタン)、4,4’-ジアゼンジイルビス(4-シアノペンタン酸)・α-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)重縮合物などのアゾ化合物、N-tert-ブチル-O-[1-[4-(クロロメチル)フェニル]エチル]-N-(2-メチル-1-フェニルプロピル)ヒドロキシルアミン、2,2,6,-テトラメチルピペリジン1-オキシル、N-tert-ブチル-N-(2-メチル-1-フェニルプロピル)-O-(1-フェニルエチル)ヒドロキシルアミンなどの安定ニトロキシルラジカル等があげられる。
これらの内でも、RAFT剤を用いる場合は、分子量制御性の観点から、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス{2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)等のアゾ系のラジカル重合開始剤が好ましく、相分離性の観点から、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1’-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス{2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)など、親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤がより好ましく、さらに4,4’-アゾビス(4-シアノバレリックアシッド)などのカルボキシル基を含有する親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤がさらに好ましい。
重合に用いる溶媒としては、上記モノマー混合物を均一に溶解できるものであれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のセロソルブ類、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどの親水性溶媒、及びこれらと水の混合溶媒、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒、クロロホルム、テトラクロロメタンなどのハロゲン系溶媒が挙げられる。これらの中でも、重合速度や重合開始剤及び連鎖移動剤の溶解性を考慮すると、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、及びこれらと水の混合溶媒である親水性溶媒が好ましい。
重合速度や転化率を高めるためには、モノマー濃度は可能な限り高い方が好ましいが、分子量制御性を考慮すると5.0重量%~50.0重量%が好ましく、反応温度の制御を考慮すると5.0重量%~30.0重量%がより好ましく、9.0重量%~20.0重量%がさらに好ましい。
重合溶液は未反応のモノマー、重合開始剤やRAFT剤由来の不純物、さらに目標分子量よりも低分子量のオリゴマーを含むことがあるため、ポリマーのUCST性を利用して精製することが好ましい。例えば、ポリマーを水に低濃度で加熱溶解した後、冷却して濃厚ポリマー水溶液と低分子量不純物を含む上澄み液に二層分離させて、濃厚ポリマー水溶液を回収する。この操作を繰り返すことにより、ポリマーの純度や分子量の単分散性を向上できる。あるいは限外濾過膜を用いてポリマー溶液中の不純物を除去することもできる。
本発明のカルボン酸系ポリマーの製造方法として、上記したRAFT重合に代表されるリビングラジカル重合の他に、伝統的なラジカル重合が適用できる。例えば、アクリル酸やメタクリル酸などのカルボキシル基含有ビニル性モノマー、スチレンやビニル安息香酸などの芳香族ビニルモノマー及び必要に応じてこれらと共重合可能なアクリルアミド等のモノマーを溶解したモノマー溶液、ラジカル重合開始剤、又はラジカル重合開始剤と連鎖移動剤(分子量調節剤とも言う)を反応容器に仕込み、不活性ガス雰囲気下、50℃~120℃で3時間~20時間重合する一括添加重合法、上記モノマーと分子量調節剤又はこれらの溶液、及び重合開始剤を反応容器へ連続的に供給しながら重合する逐次添加法が挙げられる。
これらの内、重合熱の除去性や分子量制御性が優れる点では逐次添加法が好ましい。また、逐次添加法の中でも、添加するモノマーの組成を連続的に変化させる、所謂、パワーフィード重合法が、共重合組成の均一性がより優れる点で好ましい。
ここで使用されるラジカル重合開始剤は、上記したものと同じであるが、親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤が特に好ましい。ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アニリン、三級アミン、ロンガリット、ハイドロサルファイト、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤を併用しても良い。
ラジカル重合開始剤の使用量は、ラジカル開始剤の種類や重合法によるが、全モノマーに対し、通常0.01モル%~100.00モル%であればよいが、得られるポリマーの純度を考慮すると、0.01モル%~20.00モル%が好ましく、0.10モル%~15.00モル%がより好ましい。
上記連鎖移動剤(分子量調節剤)は、特に限定されるものではないが、例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、3-メルカプト安息香酸、4-メルカプト安息香酸、チオマロン酸、ジチオコハク酸、チオマレイン酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、5-メルカプトテトラゾール酢酸、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸、3-メルカプトプロパン-1,2-ジオール、メルカプトエタノール、1 ,2-ジメチルメルカプトエタン、2-メルカプトエチルアミン塩酸塩、6-メルカプト-1-ヘキサノール、2-メルカプト-1-イミダゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、システイン、N-アシルシステイン、グルタチオン、N-ブチルアミノエタンチオール、N,N-ジエチルアミノエタンチオールなどのメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド、2,2’-ジチオジプロピオン酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸、4,4’-ジチオジブタン酸、2,2’-ジチオビス安息香酸などのジスルフィド類、ヨードホルムなどのハロゲン化炭化水素、α-ヨードベンジルシアニド、1-ヨードエチルベンゼン、エチル2-ヨード-2-フェニルアセテート、2-ヨード-2-フェニル酢酸、2-ヨードプロパン酸、2-ヨード酢酸などの沃化アルキル化合物、ジフェニルエチレン、p-クロロジフェニルエチレン、p-シアノジフェニルエチレン、α-メチルスチレンダイマー、有機テルル化合物、イオウなどが挙げられる。
これらの中で、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオマロン酸、ジチオコハク酸、チオマレイン酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、5-メルカプトテトラゾール酢酸、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸、3-メルカプトプロパン-1,2-ジオール、メルカプトエタノール、1 ,2-ジメチルメルカプトエタン、2-メルカプトエチルアミン塩酸塩、6-メルカプト-1-ヘキサノール、2-メルカプト-1-イミダゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、システイン、N-アシルシステイン、グルタチオン、N-ブチルアミノエタンチオール、N,N-ジエチルアミノエタンチオールなどの親水性の連鎖移動剤が好ましく、さらにチオグリコール酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオマロン酸、ジチオコハク酸、チオマレイン酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、5-メルカプトテトラゾール酢酸、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸等のカルボキシル基を含有する親水性の連鎖移動剤が相分離性向上の観点でより好ましい。
全モノマーに対する重合開始剤、RAFT剤及び連鎖移動剤の割合は、目標とするUCST挙動と低粘度を達成するために、重合開始剤、RAFT剤及び連鎖移動剤の割合の総和が0.90モル%~13.00モル%であることが好ましく、より低粘度を達成するためには、2.00モル%~13.00モル%がより好ましい。
重合溶媒は上記RAFT重合で記載した溶媒を用いることが出来る。
また、上記した伝統的なラジカル重合で得られるポリマーは、上記RAFT重合で記載した方法で精製することが出来る。
また、カルボン酸系ポリマーの別の製造方法として、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステルなど、カルボン酸エステル基含有ビニルモノマーと芳香族ビニルモノマーをラジカル共重合又はアニオン共重合した後、カルボン酸エステルを酸又は塩基で加水分解し、カルボキシル基を再生することが出来る。また、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらのエステルとパラ-t-ブトキシスチレン、パラ-アセトキシスチレン、パラ-1-エトキシエトキシスチレン等の芳香族ビニルモノマーをラジカル又はアニオン共重合した後、塩酸、硫酸などの酸で加水分解することによりカルボキシル基やヒドロキシスチレン構造単位を再生することが出来る。アニオン共重合する場合は、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びこれらの混合溶媒など、活性水素を含まない溶媒を使用し、開始剤としては、アルキルリチウム、ナトリウムナフタレン、アルキルリチウム/ビス(2,6- ジ-t -ブチルフエノキシ)メチルアルミニウムなど、公知の化合物を使用すれば良い。重合開始剤は目標とするポリマー分子量に応じて調整する。重合温度は-30℃~40℃であり、副反応を抑制するためには、-30℃~10℃がより好ましい。
ラジカル重合する場合は、上記したようにカルボキシル基を有する重合開始剤、分子量調節剤あるいは連鎖移動剤を用いるのが好ましいが、アニオン重合の場合も同様であり、炭酸ガスでポリマー成長末端を処理するなどの方法によってカルボキシル基を導入するのが相分離性の観点で好ましい。
ポリマーの分子量分布は狭いほど、低分子量不純物が少ないほど、温度応答性や相分離性が優れるため、上記した方法で精製すれば良い。
本発明のカルボン酸系ポリマーを正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液として利用する場合、界面活性剤や水溶性ポリマー等を添加することにより、運転条件に応じて駆動溶液の粘度やUCSTを調整することが出来る。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
1.ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による重合転化率と分子量の測定
重合前後の反応溶液を下記溶離液に溶解し、下記条件でGPC測定を行った。
各モノマーを用いて作成した検量線から重合転化率を算出し、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウム又は標準ポリエチレンオキサイドを用いて作成した検量線からポリマーの分子量を算出した。
機種:東ソー株式会社製HLC-8320
カラム:TSKガードカラムAW-H/TSK AW-6000/TSK AW-3000/TSK AW-2500
溶離液:0.2M硫酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=65/35(体積比)溶液
流速:0.6ml/min、注入量:10μl、カラム温度:40℃
検出器:UV検出器(波長210nm)またはRI検出器
ポリマー検量線=標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(創和科学製)を用いて、ピークトップ分子量と溶出時間から作成した。ポリアンホライトの場合は標準ポリエチレンオキサイド(シグマアルドリッチ社製)を用いた。
2.ポリマーの13C-NMRによる構造解析
下記条件でポリマーの13C-NMR分析を行い、共重合組成と末端構造を確認した。
機種:Bruker AVANCE NEO 700
プローブ:10mmφPABBO BB
観測核:13C(176.07MHz)
溶媒:ジメチルスルホキシド-d6
濃度:約10%
積算回数:2048回
温度:室温
基準:テトラメチルシラン(TMS)
測定モード:逆ゲーテッドデカップリング(定量的な測定法)
3.ポリマー水溶液のUCSTの測定
ガラスビンにポリマーとイオン交換を採取し、所定濃度のポリマー水溶液を調製した。内容物を磁気撹拌子で撹拌しながら、オイルバスで加熱した。加熱溶解して親水性となり透明な水溶液になった場合は、冷却して疎水性となり不透明な水溶液となった後、再加熱し、再び親水性となり透明な水溶液になった温度をUCSTとした。
4.ポリマー水溶液の浸透圧測定
ポリマー水溶液の水分活性値から下記の換算式を用いて浸透圧(bar)へ換算した〔Divina D.;Separation and Purification Technology 138 (2014) 92-97参照〕。
Figure 2023087752000004
水分活性は、水分活性測定装置(アイネクス株式会社製 AquaLab Series 4TDL)を用いて50℃で測定した。測定は3回行い、平均値を浸透圧の計算に用いた。尚、測定誤差を抑えるため、上記水分活性装置を50℃の恒温槽内に設置して測定した。
5.ポリマー水溶液の粘度
ブルックフィールド粘度計LVDV2T(英弘精機株式会社製)を用い、所定温度で測定した。
<使用試薬>
実施例に記載の化合物は下記を使用したが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
AA:アクリル酸(純度99%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
MAA:メタクリル酸(純度99%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
St:スチレン(純度99%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
αMSt:α-メチルスチレン(純度99%、東京化成工業株式会社製)
4-VBA:4-ビニル安息香酸(純度97%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
AM:アクリルアミド(純度99%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
MAM:メタクリルアミド(純度97%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
NaSS:パラスチレンスルホン酸ナトリウム(純度98%、東京化成工業社製)
VBTAC:塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム(純度99%、シグマアルドリッチ社製)
V-501:4,4’-アゾビス-(4-シアノペンタン酸)(純度98%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
AIBN:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(純度98%、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル))
HP:過酸化水素水(純度30%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
TGL:3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(純度97%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
TMA:チオリンゴ酸(純度98%、富士フイルム和光純薬株式会社製)
RAFT剤-1:3-((((1-カルボキシエチル)チオ)カルボノチオイル)チオ)プロパン酸(純度95%、シグマアルドリッチ社製)
以下に示す構造単位(A)、構造単位(B)及び構造単位(C)は、それぞれ上記した式(1)、式(2)および式(3)における構造単位を意味する。
実施例1
<AA/St共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにアクリル酸(AA)(41.60g,571.52mmol)、スチレン(St)(9.10g,86.46mmol)、RAFT剤-1(3.50g,13.07mmol)、開始剤V-501(0.30g,1.05mmol)、イソプロパノール(150.00g)とイオン交換水(150.00g)を仕込んで溶解し、均一溶液とした(AAとStの合計に対するStの仕込み量=13.14モル%)。
この溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した後、窒素雰囲気下、磁気撹拌子で撹拌しながら70℃で20時間重合した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=82%、St=100%、数平均分子量Mn=3300、重量平均分子量Mw=4700、Mw/Mn=1.42であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は15モル%である。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー44.26gを得た。
<共重合体の物性>
当該ポリマーの水溶液濃度とUCSTの関係を表1に示した。強い静電相互作用を利用した比較例1のポリアンホライト、ポリマー中の構造単位(B)の含量が多い比較例3、ポリマーの分子量分布が広い比較例4、及びポリマーの分子量が大きい比較例5、及び重合開始剤を変更した比較例6~7と比べてUCSTが低く、相分離曲線の傾斜が小さいことが明らかである。一方、疎水成分であるスチレンの含量が少なすぎる比較例2は、広い濃度範囲で水に溶解し、目標とするUCSTを示さなかった。
当該ポリマーの50重量%水溶液の粘度について、温度を変えて測定した結果を以下の表2に示した(No.3ローター、60rpm)。強い静電相互作用を利用した比較例1の比較例1のポリアンホライトと比べて著しく低粘度であることが明らかである。
当該ポリマーは弱電解質型であり、従来の強電解質型のポリアンホライト(比較例1)と比べて浸透圧は低いと予想されるが、極めて低粘度(濃度分極が起こり難いと予想)であるため、正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。
実施例2
<AA/VBA共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにアクリル酸(AA)(41.55g,570.84mmol)、4-ビニル安息香酸(VBA)(15.60g,105.08mmol)、RAFT剤-1(3.90g,14.57mmol)、開始剤V-501(0.60g,2.10mmol)、イソプロパノール(225.00g)とイオン交換水(225.00g)を仕込んで溶解し、均一溶液とした(AAとVBAの合計に対するVBAの仕込み量=15.55モル%)
この溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した後、窒素雰囲気下、磁気撹拌子で攪拌しながら70℃で20時間重合した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=87%、VBA=100%、数平均分子量Mn=3800、重量平均分子量Mw=5200、Mw/Mn=1.37であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とVBA(構造単位(B))の合計に対するVBA(構造単位(B))の含量は17モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー52.96gを得た。
<共重合体の物性>
当該ポリマーの水溶液濃度とUCSTの関係を表2に示した。後述する比較例1及び2~8と比べてUCSTが低く、相分離曲線の傾斜が小さく、さらに50重量%ポリマー水溶液の粘度が著しく低いことが明らかである。
当該ポリマーは弱電解質型であり、従来の強電解質型のポリアンホライト(比較例1)と比べて浸透圧は低いと予想されるが、極めて低粘度(濃度分極が起こり難いと予想)であるため、正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。
実施例3
<AA/VBA共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにアクリル酸(AA)(42.00g,577.02mmol)、4-ビニル安息香酸(VBA)(9.00g,60.62mmol)、RAFT剤-1(1.00g,3.74mmol)、開始剤V-501(0.60g,2.10mmol)、イソプロパノール(225.00g)とイオン交換水(225.00g)を仕込んで溶解し、均一溶液とした(AAとVBAの合計に対するVBAの仕込み量=9.51モル%)
この溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した後、窒素雰囲気下、磁気撹拌子で攪拌しながら70℃で20時間重合した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=91%、VBA=100%、数平均分子量Mn=12900、重量平均分子量Mw=20500、Mw/Mn=1.59であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とVBA(構造単位(B))の合計に対するVBA(構造単位(B))の含量は10モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー46.81gを得た。
<共重合体の物性>
当該ポリマーの水溶液濃度とUCSTの関係を表2に示した。比較例1及び2~8と比べてUCSTが低く、相分離曲線の傾斜が小さく、さらに50重量%ポリマー水溶液の粘度が著しく低いことが明らかである。
当該ポリマーは弱電解質型であり、従来の強電解質型のポリアンホライト(比較例1)と比べて浸透圧は低いと予想されるが、極めて低粘度(濃度分極が起こり難いと予想)であるため、正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。
実施例4
<AA/VBA共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにアクリル酸(AA)(30.00g,412.16mmol)、4-ビニル安息香酸(VBA)(15.00g,101.04mmol)、RAFT剤-1(5.00g,18.68mmol)、開始剤V-501(1.00g,2.10mmol)、イソプロパノール(150.00g)とイオン交換水(150.00g)を仕込んで溶解し、均一溶液とした(AAとVBAの合計に対するVBAの仕込み量=19.69モル%)
この溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した後、窒素雰囲気下、磁気撹拌子で攪拌しながら70℃で20時間重合した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=72%、VBA=100%、数平均分子量Mn=2500、重量平均分子量Mw=4300、Mw/Mn=1.72であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とVBA(構造単位(B))の合計に対するVBA(構造単位(B))の含量は25モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー39.25gを得た。
<共重合体の物性>
当該ポリマーの水溶液濃度とUCSTの関係を表2に示した。比較例1及び2~8と比べてUCSTが低く、相分離曲線の傾斜が小さく、さらに50重量%ポリマー水溶液の粘度が著しく低いことが明らかである。
当該ポリマーは弱電解質型であり、従来の強電解質型のポリアンホライト(比較例1)と比べて浸透圧は低いと予想されるが、極めて低粘度(濃度分極が起こり難いと予想)であるため、正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。
実施例5
<AA/AM/VBA共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにアクリル酸(AA)(40.00g,549.54mmol)、4-ビニル安息香酸(VBA)(7.00g,66.51mmol)、アクリルアミド(AM)(2.00g、27.86mmol、)RAFT剤-1(3.30g,12.33mmol)、開始剤V-501(0.30g,1.05mmol)、イソプロパノール(150.00g)とイオン交換水(150.00g)を仕込んで溶解し、均一溶液とした(AAとVBAの合計に対するVBAの仕込み量=10.80モル%、全モノマーの合計に対するAMの仕込み量=4.33モル%)
この溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した後、窒素雰囲気下、磁気撹拌子で攪拌しながら70℃で20時間重合した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=81%、AM=83%、VBA=100%、数平均分子量Mn=3800、重量平均分子量Mw=5400、Mw/Mn=1.42であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とVBA(構造単位(B))の合計に対するVBA(構造単位(B))の含量は13モル%であり、構造単位(A)~Cの合計に対するAM(構造単位(C))の含量は4モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー44.42gを得た。
<共重合体の物性>
当該ポリマーの水溶液濃度とUCSTの関係を表2に示した。比較例1及び2~8と比べてUCSTが低く、相分離曲線の傾斜が小さく、さらに50重量%ポリマー水溶液の粘度が著しく低いことが明らかである。
当該ポリマーの50重量%水溶液の粘度について、温度を変えて測定した結果を表1に示した(No.3ローター、60rpm)。比較例1のポリアンホライトと比べて著しく低粘度であることが明らかである。
当該ポリマーは弱電解質型であり、従来の強電解質型のポリアンホライト(比較例1)と比べて浸透圧は低いと予想されるが、極めて低粘度(濃度分極が起こり難いと予想)であるため、正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。
実施例6
<AA/St共重合体の合成>
アクリル酸(AA)(43.71g,600.51mmol)、スチレン(St)(7.06g,67.08mmol)及び1-プロパノール(217.00g)からなるモノマー溶液、及び開始剤V-501(17.97g,62.85mmol)、1-プロパノール(285.35g)とイオン交換水(111.82g)からなる開始剤溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した。窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器、磁気撹拌子を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコを96℃のオイルバスに浸漬し、ここへ上記モノマー溶液と開始剤溶液を4.5時間掛けて滴下し、さらに1時間加熱を続けて重合した(AAとStの合計に対するStの仕込み量=10.05モル%)
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=96%、St=100%、数平均分子量Mn=1800、重量平均分子量Mw=3100、Mw/Mn=1.72であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は10モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー45.04gを得た。
<共重合体の精製>
ガラス瓶に上記粉末状ポリマー全量とイオン交換水を加えて20重量%水溶液とし、85℃で加熱溶解後、25℃まで冷却し、一晩静置した。上澄み液を廃棄し、下層の濃厚溶液を回収した。秤量瓶に濃厚溶液を約1g精秤し、85℃で7時間真空乾燥した結果、固形分は53重量%であり、ポリマーの回収率は約80重量%だった。
<共重合体の13C-NMR構造解析>
上記一回精製したポリマーの13C-NMRスペクトルを測定し(図3、図4および図5)、シミュレーション(シミュレーションソフトウェア:ACD/C+H NMR Predictiors)に基づき各ピークを以下の表1に示す通り、帰属した。
Figure 2023087752000005
アクリル酸構造単位の炭素1個当たりの積分値は、
G-(B+D)/2-(A+C)/2=92.74
であり、スチレン構造単位の炭素1個当たりの積分値は、(E+F)/6=12.02であることから、アクリル酸構造単位とスチレン構造単位のモル比は89:11mol%となり、GPC転化率から求めた組成比とほぼ一致した。
また、重合開始剤V-501に由来するメチル基及びシアノ基由来の2種類のピークの内、プロードなピークを、ポリマー末端に結合した、下式(5)で表される開始剤切片(分子量126.13)に由来するものと推定した。よって、アクリル酸構造単位、スチレン構造単位、ポリマー末端に結合した開始剤切片のモル比は、92.74:12.02:5.53=16.8:2.2:1である。ポリマー組成と分子量だけでなく、ポリマー末端に結合したカルボキシル基の効果によって、目的とするUCST挙動が発現したと考えられる。
Figure 2023087752000006
尚、表3中のエステル構造由来のピークは、原料に含まれない筈のものであり、ピーク発現の理由は不明である。また、開始剤残渣とは、ポリマー末端に結合しなかった分解物由来である。
<共重合体の物性>
上記1回精製したポリマーの水溶液濃度とUCSTの関係を表1に示した。比較例1及び2~8と比べてUCSTが低く、相分離曲線の傾斜が小さく、さらに50重量%ポリマー水溶液の粘度が著しく低いことが明らかである。
当該ポリマーは弱電解質型であり、従来の強電解質型のポリアンホライト(比較例1)と比べて浸透圧は低いと予想されるが、極めて低粘度(濃度分極が起こり難いと予想)であるため、正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。
実施例7
<AA/St共重合体の合成>
アクリル酸(AA)(40.00g,549.54mmol)、スチレン(St)(8.70g,82.66mmol)及び1-プロパノール(230.00g)からなるモノマー溶液、及び開始剤V-50(5.00g,18.07mmol)、チオリンゴ酸(4.50g、29.37mmol)及びイオン交換水(100.00g)からなる開始剤溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した。窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器、磁気撹拌子を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコを96℃のオイルバスに浸漬し、ここへ上記モノマー溶液と開始剤溶液を5時間掛けて滴下し、さらに1時間加熱を続けて重合した(AAとStの合計に対するStの仕込み量=13.07モル%)
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=97%、St=100%、数平均分子量Mn=2700、重量平均分子量Mw=4800、Mw/Mn=1.78であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は13モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー45.01gを得た。
<共重合体の物性>
当該ポリマーの水溶液濃度とUCSTの関係を表2に示した。比較例1及び2~8と比べてUCSTが低く、相分離曲線の傾斜が小さく、さらに50重量%ポリマー水溶液の粘度が著しく低いことが明らかである。
当該ポリマーの50重量%水溶液の粘度について、温度を変えて測定した結果を表1に示した(No.3ローター、60rpm)。実施例1、2及び5と比べて粘度は高いが、比較例1のポリアンホライトと比べて著しく低粘度であることが明らかである。
当該ポリマーは弱電解質型であり、従来の強電解質型のポリアンホライト(比較例1)と比べて浸透圧は低いと予想されるが、極めて低粘度(濃度分極が起こり難いと予想)であるため、正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。
実施例8
<MAA/St共重合体の合成-1>
メタクリル酸(MAA)(52.20g,600.49mmol)、スチレン(St)(7.00g,66.51mmol)及び1-プロパノール(200.00g)からなるモノマー溶液、及び開始剤V-50(23.00g,83.12mmol)、1-プロパノール(350.00g)及びイオン交換水(135.00g)からなる開始剤溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した。窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器、磁気撹拌子を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコを96℃のオイルバスに浸漬し、ここへ上記モノマー溶液と開始剤溶液を6時間掛けて滴下し、さらに1時間加熱を続けて重合した(MAAとStの合計に対するStの仕込み量=9.97モル%)
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、MAA=92%、St=100%、数平均分子量Mn=1900、重量平均分子量Mw=2400、Mw/Mn=1.26であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるMAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は11モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー55.01gを得た。
<共重合体の物性>
当該ポリマーの水溶液濃度とUCSTの関係を表2に示した。実施例1~7のアクリル酸系と比べてUCST及び水溶液粘度は高いが、比較例1及び2~8と比べてUCSTが低く、相分離曲線の傾斜が小さく、さらに50重量%ポリマー水溶液の粘度が著しく低いことが明らかである。
当該ポリマーは弱電解質型であり、従来の強電解質型のポリアンホライト(比較例1)と比べて浸透圧は低いと予想されるが、極めて低粘度(濃度分極が起こり難いと予想)であるため、正浸透膜水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。
Figure 2023087752000007
Figure 2023087752000008
比較例1
<NaSS/VBTAC共重合体-の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにイオン交換水55.00gを仕込んだ。ここへ、4-ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)(54.98g、254.48mmol)、スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)(59.17g,254.82mmol)、チオグリセロール(TGL)(1.54g,13.95mmol)及び水溶性アゾ開始剤V-50(6.80g、24.57mmol)をイオン交換551.30gに溶解し、アスピレーター吸引と窒素導入を繰返して脱気したモノマー溶液を3時間掛けて滴下しながら85℃で加熱重合し、さらに85℃で2時間熟成した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、VBTAC=100%、NaSS=100%、数平均分子量Mn=860、重量平均分子量Mw=2200、Mw/Mn=2.56であった。重合溶液をロータリーエバポレータで濃縮し、ポリマーの物性を確認した。
<共重合体の物性>
当該ポリマーの50重量%水溶液の粘度について、温度を変えて測定した結果を表1に示した(No.4ローター、30rpm)。低分子量であり、且つ対イオンとしてNaClを含むにも関わらず、実施例と比べて著しく高粘度であることが明らかである。当該ポリマーは、ポリマー中のアニオン及びカチオンと当量のNaClを含むが、溶解/相分離の操作によってNaClを除去すれば、NaClによる電荷の遮蔽効果がなくなり、ポリマー間の静電相互作用が増大するため、溶液粘度はさらに高くなると考えられる。
当該ポリマーは確かにUCSTを示すが、NaClを含むため、そのまま正浸透膜水処理システムの駆動剤として使用すると、少なくとも初回は淡水ではなく、ポリマー由来のNaClを含む水が得られる。そこで、当該ポリマーの50重量%水溶液に同体積のイオン交換水を加えて、85℃で攪拌、加熱後、静置して相分離させた後、NaClを含む上澄みを廃棄した。残った濃厚層と同体積のイオン交換水を加えて、再度、85℃で攪拌、加熱後、静置して相分離させた後、上澄みを廃棄した。この精製操作を合計4回繰り返した後、当該ポリマーのUCSTを確認し、表3に示した。実施例と比べてUCSTが高く、相分離曲線の傾斜が大きいことが明らかである。
比較例2
<AA/St共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにアクリル酸(AA)(48.00g,659.45mmol)、スチレン(St)(3.00g,28.50mmol)、RAFT剤-1(3.20g,11.95mmol)、開始剤AIBN(0.20g,1.19mmol)、イソプロパノール(150.00g)とイオン交換水(150.00g)を仕込んで溶解し、均一溶液とした(AAとStの合計に対するStの仕込み量=4.14モル%)
この溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した後、窒素雰囲気下、磁気撹拌子で撹拌しながら70℃で20時間重合した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=93%、St=100%、数平均分子量Mn=4200、重量平均分子量Mw=6200、Mw/Mn=1.48であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は4モル%である。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー46.46gを得た。
<共重合体の物性>
表3に示した通り、当該ポリマーの30重量%~50重量%水溶液は、常温では何れも均一溶液となり、常温以上にUCSTは観測されなかった。実施例と比べてポリマー中の構造単位(B)が少なく(表1)、疎水相互作用が弱すぎたためである。
比較例3
<AA/VBA共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにアクリル酸(AA)(12.00g,164.86mmol)、4-ビニル安息香酸(VBA)(15.00g,101.04mmol)、RAFT剤-1(1.50g,5.60mmol)、開始剤V-501(0.15g,0.52mmol)、イソプロパノール(150.00g)とイオン交換水(150.00g)を仕込んで溶解し、均一溶液とした(AAとVBAの合計に対するVBAの仕込み量=38.00モル%)
この溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した後、窒素雰囲気下、磁気撹拌子で攪拌しながら70℃で20時間重合した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=71%、VBA=100%、数平均分子量Mn=4800、重量平均分子量Mw=7500、Mw/Mn=1.56であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とVBA(構造単位(B))の合計に対するVBA(構造単位(B))の含量は46モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー24.98gを得た。
<共重合体の物性>
表3に示した通り、当該ポリマーは温度応答性を示したが、実施例と比較してUCSTが高過ぎることが明らかである。ポリマー中の構造単位(B)が多く、疎水相互作用が強過ぎたためである。
比較例4
<AA/VBA共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコにアクリル酸(AA)(41.55g,570.84mmol)、4-ビニル安息香酸(VBA)(15.60g,105.08mmol)、RAFT剤-1(0.70g,2.61mmol)、開始剤V-501(0.60g,0.2.10mmol)、イソプロパノール(225.00g)とイオン交換水(225.00g)を仕込んで溶解し、均一溶液とした(AAとVBAの合計に対するVBAの仕込み量=15.55モル%)
この溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した後、窒素雰囲気下、磁気撹拌子で攪拌しながら70℃で20時間重合した。
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=89%、VBA=100%、数平均分子量Mn=20800、重量平均分子量Mw=33100、Mw/Mn=1.59であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とVBA(構造単位(B))の合計に対するVBA(構造単位(B))の含量は17モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー52.98gを得た。
<共重合体の物性>
表3に示した通り、当該ポリマーは温度応答性を示したが、実施例と比較してUCSTが高過ぎることが明らかである。ポリマー中の構造単位(B)が多く、疎水相互作用が強過ぎたためである。
比較例5
<AA/St共重合体の合成>
窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器を取り付けた200mLガラス製四つ口フラスコに、上記した方法で予め脱気したアクリル酸(AA)(8.02g,110.18mmol)、スチレン(St)(1.74g,16.53mmol)、開始剤30%過酸化水素水(15.04g,132.67mmol)、1-プロパノール(30.36g)及びイオン交換水(29.71g)からなる水溶液を10時間掛けてゆっくり滴下しながら、97℃で20時間重合した(AAとStの合計に対するStの仕込み量=13.05モル%)
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=70%、St=100%、数平均分子量Mn=7000、重量平均分子量Mw=16300、Mw/Mn=2.33であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は18モル%である。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー7.26gを得た。
<共重合体の物性>
表3に示した通り、当該ポリマーの40重量%~50重量%水溶液は80℃に加熱しても溶解せず、UCSTを示さなかった。分子量分布が広いため、僅かに含まれる高分子量成分によってUCSTが引き上げられたと考えられる。
比較例6
<AA/St共重合体の合成>
アクリル酸(AA)(41.50g,570.15mmol)、スチレン(St)(6.90g,65.56mmol)及び1-プロパノール(250.00g)からなるモノマー溶液、及び水溶性開始剤APS(16.50g,71.58mmol)及びイオン交換水(220.00g)からなる開始剤溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した。窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器、磁気撹拌子を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコを96℃のオイルバスに浸漬し、ここへ上記モノマー溶液と開始剤溶液を5時間掛けて滴下し、さらに1時間加熱を続けて重合した(AAとStの合計に対するStの仕込み量=10.31モル%)
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=100%、St=100%、数平均分子量Mn=1000、重量平均分子量Mw=1900、Mw/Mn=1.90であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は10モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー49.52gを得た
<共重合体の物性>
表3に示した通り、当該ポリマーは分子量が小さく、且つ水溶性のラジカル重合開始剤を使用したにも関わらず、温度応答性が不明瞭で水に溶け難かった。理由は定かではないが、ポリマー末端構造の違い、即ち、ポリマー末端には開始剤由来の疎水基が導入されておりカルボキシル基を含まないことが示唆される。
比較例7
<AA/St共重合体の合成>
アクリル酸(AA)(42.10g,578.39mmol)、スチレン(St)(6.80g,64.61mmol)及び1-プロパノール(220.00g)からなるモノマー溶液、及び油溶性開始剤V-65(20.00g,78.91mmol)及び1-プロパノール(220.00g)からなる開始剤溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した。窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器、磁気撹拌子を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコを96℃のオイルバスに浸漬し、ここへ上記モノマー溶液と開始剤溶液を5時間掛けて滴下し、さらに1時間加熱を続けて重合した(AAとStの合計に対するStの仕込み量=10.05モル%)
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=94%、St=100%、数平均分子量Mn=700、重量平均分子量Mw=1000、Mw/Mn=1.43であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は11モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー45.38gを得た
<共重合体の物性>
表3に示した通り、当該ポリマーは分子量が小さいにも関わらず、温度応答性が不明瞭で水に溶け難かった。理由は必ずしも定かではないが、ポリマー末端に開始剤由来の疎水基が導入されたため、即ちポリマー末端はカルボキシル基を含まないことが示唆される。
比較例8
<AA/St共重合体の合成>
アクリル酸(AA)(50.10g,688.30mmol)、スチレン(St)(11.00g,104.51mmol)及び1-プロパノール(220.00g)からなるモノマー溶液、及び油溶性開始剤V-65(10.00g,39.46mmol)、チオグリセロール(4.30g、38.96mmol)及び1-プロパノール(250.00g)からなる開始剤溶液をアスピレーター減圧と窒素導入を繰り返すことで十分に脱気した。窒素導入管、三方コック、ジムロート冷却器、磁気撹拌子を取り付けた1000mLガラス製四つ口フラスコを96℃のオイルバスに浸漬し、ここへ上記モノマー溶液と開始剤溶液を5時間掛けて滴下し、さらに1時間加熱を続けて重合した(AAとStの合計に対するStの仕込み量=13.18モル%)
GPCで測定した反応終了時の重合転化率は、AA=93%、St=96%、数平均分子量Mn=1400、重量平均分子量Mw=1500、Mw/Mn=1.07であった。即ち、各モノマーの重合転化率から、ポリマーに含まれるAA(構造単位(A))とSt(構造単位(B))の合計に対するSt(構造単位(B))の含量は14モル%であった。重合溶液を85℃で5時間真空乾燥することにより、溶媒と未反応モノマーを除去し、粉末状のポリマー58.05gを得た。
<共重合体の物性>
表3に示した通り、当該ポリマーは分子量が小さいにも関わらず、温度応答性が不明瞭で水に溶け難かった。理由は必ずしも定かではないが、ポリマー末端の親水性が不足している、即ちポリマー末端はカルボキシル基を含まないことが示唆される。
Figure 2023087752000009
Figure 2023087752000010
本発明のカルボン酸系の上限臨界溶液温度(UCST)型ポリマーは、耐加水分解性に優れ、且つ低粘度のイオン性ポリマーであるため、正浸透膜法水処理システムや浸透圧発電の駆動溶液としての利用が期待できる。

Claims (18)

  1. 下記構造単位(A)及び(B)を含み、構造単位(B)の含有量が構造単位(A)及び(B)の合計に対して5モル%~30モル%、数平均分子量Mnが500ダルトン~20,000ダルトン(Da)及び数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが1.00~2.00のポリマーであって、水溶性及び上限臨界溶液温度を有し、50重量%水溶液の粘度が25℃で10mPa・s~10,000mPa・sであり、UCST未満の温度で疎水性、UCST以上の温度で親水性を示す、温度応答性のカルボン酸系ポリマー。
    構造単位(A)は、下記一般式(1)
    Figure 2023087752000011
    で表されるカルボキシル基含有ビニルモノマー由来の構造単位(式(1)中、Rは水素原子又はカルボキシル基を表し、Rは水素原子、メチル基、エチル基又はカルボキシメチル基を表し、Mはプロトン、アンモニウムカチオン又はアルカリ金属カチオンを表す。)であり、
    構造単位(B)は、下記一般式(2)
    Figure 2023087752000012
    で表される芳香族ビニルモノマー由来の構造単位(式(2)中、Rは水素原子、水酸基又はカルボキシル基を表す。)である。
  2. 請求項1の構造単位(A)及び(B)に対して、更に下記構造単位(C)を含み、構造単位(C)の含有量が構造単位(A)~(C)の合計に対して0.1モル%~10モル%である請求項1に記載のカルボン酸系ポリマー。
    構造単位(C)は、下記一般式(3)
    Figure 2023087752000013
    で表される構造単位である(式(3)中、Qはアクリルアミド系ビニルモノマー由来の構造単位を表す。)。
  3. 前記数平均分子量Mnが500ダルトン~5,000ダルトン(Da)である、請求項1又は請求項2に記載のカルボン酸系ポリマー。
  4. 前記構造単位(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種のカルボキシル基含有ビニルモノマー由来の構造単位であり、前記構造単位(B)が、スチレン、ビニル安息香酸及びヒドロキシスチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種の芳香族ビニルモノマー由来の構造単位である、請求項1に記載のカルボン酸系ポリマー。
  5. 前記構造単位(A)が、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種のビニルモノマー由来の構造単位であり、前記構造単位(B)が、スチレン、ビニル安息香酸及びヒドロキシスチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種のビニルモノマー由来の構造単位であり、前記構造単位(C)が、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-アクロイルモルホリン及び4-メタクリロイルモルホリンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアクリルアミド系ビニルモノマー由来の構造単位である、請求項2に記載のカルボン酸系ポリマー。
  6. 20重量%水溶液のUCSTが50℃~100℃、30重量%水溶液で40℃~90℃、40重量%水溶液で30℃~70℃、且つ50重量%水溶液で10℃~60℃である請求項1~5のいずれか1項に記載のカルボン酸系ポリマー。
  7. 50重量%水溶液粘度が、40℃で10mPa・s~5000mPa・sである請求項1~6のいずれか1項に記載のカルボン酸系ポリマー。
  8. 前記ポリマーの末端がカルボキシル基である構造である、請求項1~7のいずれか1項に記載のカルボン酸系ポリマー。
  9. カルボキシル基含有ビニルモノマー及び芳香族ビニルモノマーを含むモノマー混合物を、親水性溶媒中、親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤、又は親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤及びRAFT剤若しくは親水性の連鎖移動剤を用いて重合させる、UCST未満で疎水性、UCST以上で親水性を示す温度応答性のカルボン酸系ポリマーの製造方法であって、
    前記モノマー混合物中の全モノマーに対する芳香族ビニルモノマーの割合は9.0モル%~20.0モル%であり、
    前記モノマー混合物中の全モノマーに対する親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤、RAFT剤及び親水性の連鎖移動剤の割合の総和は0.90モル%~13.0モル%である、
    方法
  10. 前記カルボキシル基含有ビニルモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸からなる群より選ばれる1以上のカルボキシル基含有ビニルモノマーであり、
    芳香族ビニルモノマーが、スチレン、ビニル安息香酸及びヒドロキシスチレンからなる群より選ばれる1以上の芳香族ビニルモノマーである、請求項9に記載の製造方法。
  11. モノマー混合物が、アクリルアミド系ビニルモノマーをさらに含むモノマー混合物である請求項9又は請求項10に記載の製造方法であって、
    前記モノマー混合物中の全モノマーに対する芳香族ビニルモノマーの割合は10.0モル%~15.0モル%、アクリルアミド系ビニルモノマーの割合は0.1モル%~5.0モル%である、
    方法。
  12. 前記アクリルアミド系ビニルモノマーが、アクリルアミド、メタクリルアミド、4-アクロイルモルホリン及び4-メタクリロイルモルホリンからなる群より選ばれる1以上のアクリルアミド系ビニルモノマーである請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記親水性のアゾ系ラジカル重合開始剤がカルボキシル基を有する親水性の重合開始剤であり、前記RAFT剤がカルボキシル基を有するRAFT剤であり、及び前記親水性の連鎖移動剤がカルボキシル基を有する親水性の連鎖移動剤である、請求項9~12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記親水性溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン及び水からなる群より選ばれる1または2以上の親水性溶媒である請求項9~13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 請求項1~8のいずれか1項に記載のカルボン酸系ポリマーを1重量%~70重量%含む水溶液であって、UCST未満で相分離し、UCST以上で均一溶液となる水溶液。
  16. 請求項1~8のいずれか1項に記載のカルボン酸系ポリマーの含有量が20重量%~50重量%である請求項15に記載の水溶液。
  17. 相分離温度が40℃~60℃である請求項15又は請求項16に記載の水溶液。
  18. 請求項1~8のいずれか1項に記載のカルボン酸系ポリマーを溶質として含む正浸透膜法水処理システム用又は浸透圧発電用の駆動溶液。
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