JP7320551B2 - スチレンスルホン酸重合体含有水性組成物及びそれを用いた乾燥塗膜 - Google Patents
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Description
スチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体及び共重合体の脆性を改良する手段として、アクリル酸エステルやビニルエーテル単位など、ガラス転移温度が低いポリマーを与えるモノマーの共重合が考えられるが、前者はモノマー及びポリマー共に高濃度で溶解できる重合溶媒がなく、後者は共重合性比が極めて乏しいため、何れも実用性に乏しい。
そこで本発明の目的は、脆性が改良されたスチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体、又はスチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーとの共重合体を含む水性組成物、並びにそれを用いた乾燥塗膜、及びその簡便な方法を提供することにある。
[1]スチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体と、糖アルコールと、水と、を含む水性組成物であって、
前記スチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体100重量部に対して糖アルコールが10重量部~60重量部の範囲にある、水性組成物。
[2]スチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーとの共重合体と、糖アルコールと、水と、を含む水性組成物であって、
前記スチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーとの共重合体100重量部に対して糖アルコールが10重量部~60重量部の範囲にあり、
スチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーとの共重合比は99.9:0.1モル%~50.0:50.0モル%である、水性組成物。
[3]スチレンスルホン(又はその塩)の重合体、又はスチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーとの共重合体のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が5000ダルトン(Da)~4000000ダルトン(Da)である、上記[1]又は[2]に記載の水性組成物。
[4]糖アルコールが、ソルビトール、マンニトール、アラビトール、キシリトール、エリスリトール、マルビット、ラクチトール、グリセロール、ポリグリセロール、イノシトール及びペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[1]~[3]のいずれかに記載の水性組成物。
[5]スチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーが、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、1-ビニル-2-ピロリドン及びビニルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも一つである、[1]~[4]のいずれかに記載の水性組成物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の水性組成物を基材に塗布し、乾燥してなる乾燥塗膜。
本発明において用いられるスチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体又は共重合体は、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸アンモニウム、スチレンスルホン酸リチウム、スチレンスルホン酸エステル、スチレンスルホニルクロリド、スチレンスルホニル(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等の重合体又は共重合体、及び/又は、これら重合体又は共重合体のカチオン交換体である。あるいはポリスチレンやスチレン共重合体をスルホン化したポリマーでも良い。さらには上記したスチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーとの共重合体である。
第一の製法は、スチレンスルホン酸(又はその塩)を重合する方法、又はスチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーとを共重合する方法である。
第二の製造法は、スチレン、又はスチレンとスチレンに共重合可能なモノマーとを共重合した後、ハロゲン化溶媒など、スルホン化反応に対して不活性な溶媒中、三酸化イオウや発煙硫酸などのスルホン化剤を用いて芳香環をスルホン化する方法である。
まず、第一の方法について詳しく説明する。
第一の製造法は、スチレンスルホン酸(又はその塩)をラジカル重合する方法、又はスチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーとをラジカル共重合する方法である。
例えば、反応に用いられるモノマー、重合開始剤、重合溶媒及び、必要に応じて分子量調節剤あるいは連鎖移動剤を重合容器に一括で仕込んで重合する一括添加重合法、モノマーあるいはモノマーと分子量調節剤との混合溶液と重合開始剤を重合容器へ逐次添加しながら重合する逐次添加重合法などが挙げられる。これらの内でも、重合熱の除去が容易な逐次添加重合法が好ましく用いられる。但し、リビングラジカル重合法を利用する場合、逐次添加重合法よりも全一括添加重合の方が、重合転化率や分子量制御性の面で好ましい場合もある。
これらの中で、リビングラジカル重合法を利用する場合には、制御性の観点から、パーオキサイド系開始剤よりもアゾ系開始剤が好ましい。
経済性の観点から上記したパーオキサイド系重合開始剤を使用する場合、必要に応じて、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アニリン、三級アミン、ロンガリット、ハイドロサルファイト、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤を併用することができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、全モノマーに対し、通常、0.01モル%~10モル%であり、目的物の純度を考慮すると、0.01モル%~5モル%がより好ましい。
これらの中で、リビングラジカル重合によって分子量分布を狭くしたい場合には、制御性の観点から、連鎖移動剤としてチオカルボニルチオ化合物や沃化アルキル化合物が好ましい。
重合時間は、2時間~30時間が好ましく、さらに好ましくは2時間~10時間である。逐次添加法にて重合する場合、分子量調節剤を含むモノマー混合物と重合開始剤の連続添加を行う時間は、通常1時間~4時間である。
上記で得られたスチレンスルホン酸重合体又は共重合体が塩の場合、これらをカチオン交換することにより、例えば、ナトリウムやリチウムなどの金属分を除去することが出来る。
次にスチレンスルホン酸重合体(又はその塩)の第二の製法について詳しく説明する。
第二の製法では、例えば、スチレン単独、又はスチレンとスチレンに共重合可能なモノマーとを、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルシクロヘキサン、アセトン、ジオキサン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどの非ハロゲン系溶媒、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2-トリクロロエタンなどのハロゲン系溶媒など、モノマー混合物を溶解できる溶媒に溶解し、上記したラジカル重合法又はイオン重合法により、最初にスチレン重合体及び共重合体を製造する。
スチレンに共重合可能なモノマーは、上記したスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマーと同じである。第二の製法では重合溶媒として有機溶媒を用いるため、水性溶媒では加水分解により使用が難しい無水マレイン酸や無水シトラコン酸など、カルボン酸無水物モノマーも使用できる。
本発明において用いられる糖アルコールは、スチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体又は共重合体と相溶し、可塑剤として機能する。糖アルコールは、カルボニル基が水酸基へ還元された糖類、糖質の総称であり、例えば、単糖類アルコールや二糖アルコールが知られている。単糖アルコールとしては、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、グリセロール、ポリグリセロールが挙げられ、二糖アルコールとしては還元麦芽糖水あめ、ラクチトール、マルチトール、イソマルト等が挙げられる。これらの内、エリスリトール、ソルビトールがスチレンスルホン酸重合体(又はその塩)の脆性改良効果が高く特に好ましい。
糖アルコールの添加量は、スチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体又は共重合体100重量部に対して10重量部~60重量部である。糖アルコールの添加量が10重量部より少ないと、スチレンスルホン酸重合体(又はその塩)の脆性改良効果が十分でなく、60重量部を超えると、乾燥塗膜の耐水性や耐熱性が低下することがある。好ましくは、20重量部~50重量部である。
本発明の水性組成物は、種々の基材表面に塗布したり、あるいは繊維表面にコーティングした後、風乾、減圧乾燥又は加熱乾燥により溶媒を蒸発等して飛ばした(排除した)後、60℃~150℃で加熱することにより、各種基材や繊維表面にスチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体又は共重合体の乾燥塗膜を形成できる。
東ソー株式会社製 HLC-8320を用いて原料モノマーと重合物の定量(面積%)を行った。試料を下記溶離液に溶解し、0.1wt%又は0.05wt%溶液を調製し、以下の条件でGPC測定を行った。モノマー由来のピーク面積(a)と重合物由来のピーク面積(b)から、下式により重合物の転化率を算出した。
重合物の転化率(面積%)=100×[1-{a/(a+b)}]
カラム=TSK ガードカラムAW-H+TSK AW6000+TSK AW3000
溶離液=硫酸ナトリウム水溶液(0.05mol/L)/アセトニトリル=65/35(Vol比)溶液
流速・注入量・カラム温度=0.6ml/min、注入量=10μl、カラム温度=40℃
検出器=UV検出器(波長230nm)
検量線=標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(創和科学製)を用いて、ピークトップ分子量と溶出時間から作成した。
スチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体又は共重合体の水溶液と糖アルコールの水溶液を、全固形分濃度が20wt%となるよう、各種組成で混合した。当該混合溶液10gを内径49ミリ(全高15ミリ)のガラスシャーレに広げ(液深さは約0.5cm)、70℃、相対湿度29%の恒湿恒温槽内で7日間乾燥後、110℃で5時間真空乾燥し、乾燥塗膜(溶液採取量から計算した平均厚みは約1ミリ)を作製し、状態を観察した。
実施例に記載の化合物は下記を使用したが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム PS-5:東ソー・ファインケム株式会社製、樹脂分20.8wt%
スチレンスルホン酸ナトリウム-スチレン等モル共重合体 ST-5005:東ソー・ファインケム株式会社製、樹脂分20.0wt%
パラスチレンスルホン酸ナトリウム;東ソー・ファインケム株式会社製、純度88.9wt%
パラスチレンスルホン酸アンモニウム;東ソー・ファインケム株式会社製、純度97.0wt%
メタクリル酸;富士フイルム和光純薬株式会社製、特級
1-ビニル-2-ピロリドン;富士フイルム和光純薬株式会社製、特級
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル;富士フイルム和光純薬株式会社製、一級
2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩;富士フイルム和光純薬株式会社製(商品名V-50)
3-メルカプト-1,2-プロパンジオール;富士フイルム和光純薬株式会社製
チオリンゴ酸;富士フイルム和光純薬株式会社製、一級
N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン;富士フイルム和光純薬株式会社製、特級
強酸型カチオン交換樹脂 アンバーライトIR-120B;オルガノ株式会社
D(-)-ソルビトール;富士フイルム和光純薬株式会社製、一級
meso-エリスリトール;富士フイルム和光純薬株式会社製、一級
L(-)-アラビトール;富士フイルム和光純薬株式会社製
キシリトール;富士フイルム和光純薬株式会社製、特級
還流冷却管、窒素導入管、パドル型撹拌機を取り付けた1Lガラス製四つ口フラスコに、純水52.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔パラスチレンスルホン酸ナトリウム100.00g、メタクリル酸4.15gを純水451.66gに溶解し、アスピレーターによる減圧と窒素導入を繰返して脱酸素処理したもの〕を180分、開始剤水溶液〔2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩0.19gを純水30.20gに溶解したもの〕を200分かけて滴下しながら重合を行った。開始剤滴下終了後、バス温を90℃に昇温し、そのまま2時間熟成することにより、スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸(90.0/10.0モル%)共重合体の水溶液を得た。各モノマーの重合転化率は100%であった。GPCで求めたポリマーの数平均分子量は242500(Da)、重量平均分子量は586200(Da)だった。ロータリーエバポレータを用いて濃縮し、固形分を20.0wt%に調整してポリマーAとした。
還流冷却管、窒素導入管、パドル型撹拌機を取り付けた2Lガラス製四つ口フラスコに、純水61.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔パラスチレンスルホン酸ナトリウム270.00g、メタクリル酸102.50gを純水1101.70gに溶解し、アスピレーターによる減圧と窒素導入を繰返して脱酸素処理したもの〕を180分、開始剤水溶液〔2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩5.64gを純水39.77gに溶解したもの〕を200分かけて滴下しながら重合を行った。開始剤滴下終了後、バス温を90℃に昇温し、そのまま2時間熟成することにより、スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸(50.0/50.0モル%)共重合体の水溶液を得た。各モノマーの重合転化率は100%だった。GPCで求めたポリマーの数平均分子量は75100(Da)、重量平均分子量は164200(Da)だった。ロータリーエバポレータを用いて濃縮し、固形分を20.2wt%に調整してポリマーBとした。
還流冷却管、窒素導入管、パドル型撹拌機を取り付けた1Lガラス製四つ口フラスコに、純水52.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔パラスチレンスルホン酸ナトリウム100.00g、メタクリル酸4.15g、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル3.15gを純水465.00gに溶解し、アスピレーターによる減圧と窒素導入を繰返して脱酸素処理したもの〕を180分、開始剤水溶液〔2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩0.12gを純水30.21gに溶解したもの〕を200分かけて滴下しながら重合を行った。開始剤滴下終了後、バス温を90℃に昇温し、そのまま2時間熟成することにより、スチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸/メタクリル酸2-ヒドロキシエチル共(85.6/9.6/4.8モル%)重合体の水溶液を得た。各モノマーの重合転化率は100%であった。GPCで求めたポリマーの数平均分子量は324000(Da)、重量平均分子量は759000(Da)だった。ロータリーエバポレータを用いて濃縮し、固形分を20.0wt%に調整してポリマーCとした。
還流冷却管、窒素導入管、撹拌機を取り付けた500mlガラス製四つ口フラスコに、純水30.21g、1-ビニル-2-ピロリドン7.02gを仕込み、窒素雰囲気下、80℃のオイルバスで加熱を開始した。加熱の開始と同時に、ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔パラスチレンスルホン酸ナトリウム15.00gを純水80.32gに溶解し、アスピレーターによる減圧と窒素導入を繰返して脱酸素処理したもの〕を316分、開始剤水溶液〔2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩0.52gを純水91.03gに溶解したもの〕を540分かけて滴下しながら重合を行った。開始剤滴下終了後、バス温を85℃に昇温し、そのまま1時間熟成することにより、スチレンスルホン酸ナトリウム/1-ビニル-2-ピロリドン(50.0/50.0モル%)共重合体の水溶液を得た。各モノマーの重合転化率は100%であった。GPCで求めたポリマーの数平均分子量は36900(Da)、重量平均分子量は94900(Da)であり、単峰性の分子量分布を示した。ロータリーエバポレータを用いて濃縮し、固形分を20.0wt%に調整してポリマーDとした。
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、純水100.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸アンモニウム水溶液〔パラスチレンスルホン酸アンモニウム240.00gを純水820.00に溶解したもの〕を110分、開始剤水溶液(2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩2.00gを純水120.00gに溶解したもの)を120分かけて滴下し、重合を行った。重合を開始して2時間後、オイルバス温度を90℃に昇温し、更に2時間重合を継続し、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム水溶液を得た。 GPCで求めたポリスチレンスルホン酸アンモニウムの数平均分子量Mnは121000、重量平均分子量Mwは339000だった。ロータリーエバポレータを用いて濃縮調整し、固形分を20.0wt%に調整してポリマーEとした。
0.6Lの強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ株式会社製アンバーライトIR120B、登録商標)を充填した内径5.6cm、長さ40cmのガラスカラムにポリスチレンスルホン酸ナトリウム PS-5(0.5KG)を通液してカチオン交換処理することにより、ポリスチレンスルホン酸の15.6wt%水溶液を得た。その後、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンで中和し、ポリスチレンスルホン酸のN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン塩水溶液を得た。続いてロータリーエバポレータを用いて濃縮調整し、固形分を20.0wt%に調整してポリマーFとした。
スチレンスルホン酸重合体の水溶液と糖アルコールの水溶液を、全固形分濃度が20wt%となるよう、表1及び表2に示した組成で混合した。当該混合溶液10gを内径49ミリ(全高15ミリ)のガラスシャーレに広げ(液深さは約0.5cm)、70℃、相対湿度29%の恒湿恒温槽内で7日間乾燥後、110℃で5時間真空乾燥し、乾燥塗膜(溶液採取量から計算した平均厚みは約1ミリ)を作製し、状態を観察した(表1及び表2参照)。尚、混合溶液を調製した際、増粘現象は認められなかった。
約1ミリの厚膜にも関わらずひび割れがなく透明であり、自立膜を採取できたことから、スチレンスルホン酸重合体の乾燥塗膜の脆性が改良されていることが明らかである。
スチレンスルホン酸重合体の水溶液と糖アルコールの水溶液を、全固形分濃度が20wt%となるよう、表2に示した組成で混合した。当該水溶液10gを内径49ミリ(全高15ミリ)のガラスシャーレに広げ(液深さは約0.5cm)、70℃、相対湿度29%の恒湿恒温槽内で7日間乾燥後、110℃で5時間真空乾燥し、乾燥塗膜(溶液採取量から計算した平均厚みは約1ミリ)を作製し、状態を観察した(表2参照)。
何れもひび割れが酷く、自立膜を採取できなかったことから、従来のスチレンスルホン酸重合体の乾燥塗膜は極めて脆いことが明らかである。
Claims (7)
- スチレンスルホン酸の塩の重合体と、糖アルコールと、水もしくは水と親水性溶剤の混合物と、を含む水性組成物であって、
前記スチレンスルホン酸(又はその塩)の重合体100重量部に対して糖アルコールが10重量部~60重量部の範囲にあり、
前記水もしくは水と親水性溶剤の混合物は、水溶液組成物組成の20.0重量%~95.0重量%の含量である、
スチレンスルホン酸の塩の重合体の乾燥塗膜を形成するための水溶液組成物。 - スチレンスルホン酸の塩の重合体のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が5000ダルトン(Da)~4000000ダルトン(Da)である、請求項1に記載の水溶液組成物。
- スチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマー(マレイン酸を除く)との共重合体と、糖アルコールと、水もしくは水と親水性溶剤の混合物と、を含む水溶液組成物であって、
前記スチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマー(マレイン酸を除く)との共重合体100重量部に対して糖アルコールが10重量部~60重量部の範囲にあり、
スチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマー(マレイン酸を除く)との共重合比は99.9:0.1モル%~50.0:50.0モル%であり、
前記水もしくは水と親水性溶剤の混合物は、水溶液組成物組成の20.0重量%~95.0重量%の含量である、
スチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマー(マレイン酸を除く)との共重合体の乾燥塗膜を形成するための水溶液組成物。 - スチレンスルホン酸(又はその塩)とスチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマー(マレイン酸を除く)との共重合体のゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が5000ダルトン(Da)~4000000ダルトン(Da)である、請求項3に記載の水溶液組成物。
- スチレンスルホン酸(又はその塩)に共重合可能なモノマー(マレイン酸を除く)が、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、1-ビニル-2-ピロリドン及びビニルピリジンからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項3又は4に記載の水溶液組成物。
- 糖アルコールが、ソルビトール、マンニトール、アラビトール、キシリトール、エリスリトール、マルビット、ラクチトール、ポリグリセロール、及びイノシトールからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1~5のいずれか一項に記載の水溶液組成物。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の水溶液組成物を基材に塗布し、乾燥してなる乾燥塗膜。
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