JP2012046605A - 導電性高分子材料及び導電性高分子材料の製造方法 - Google Patents

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【課題】高い電導性を有し、簡便に製造することができる導電性高分子材料及び導電性高分子材料の製造方法を提供する。
【解決手段】PEDOT/PSSのコロイド溶液にアラビトールを添加するアラビトール添加ステップと、前記アラビトール添加ステップで得られた溶液を乾燥させ、加熱する熱処理ステップと、を備えた製造方法により製造される導電性高分子材料。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気伝導性を有する導電性高分子材料及び導電性高分子材料の製造方法に関し、特に伸縮性も備えた導電性高分子材料及び導電性高分子材料の製造方法に関する。
高分子材料の体積変化を電気刺激でコントロールすることができれば、しなやかに動くロボットやソフトなアクチュエータ、人工筋肉などへの応用が期待できる。現在、導電性高分子アクチュエータ、イオン伝導性高分子アクチュエータ、そしてエラストマー高分子アクチュエータ等が小型、軽量、柔軟であって動作音がない次世代アクチュエータとして注目されている。そのため、アクチュエータのフレキシブルな動きに追従できる高電導度、高伸縮性を備える電極が必要とされている。
また、電子ペーパー、有機太陽電池、有機ELなどに代表される有機プリンタブル・エレクトロニクス素子の分野において、柔軟かつしなやかで、伸縮性を有する配線や電極材料の開発が望まれている。
導電性を有するポリマーとしては、PEDOT/PSS(ポリ(3, 4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸))などが知られており、例えば、特許文献1には、PEDOT/PSSを透明電極として使用する静電容量式スイッチの電極構造について記載されている。
また、非特許文献1には、伸縮性を備えた導電性物質として、単層カーボン・ナノチューブ(SWNT)、イオン性液体、弾性のある樹脂などからなる物質について記載されている。
特開2007−52975号公報
野澤哲生=日経エレクトロニクス、 "野澤哲生=日経エレクトロニクス、 "東大が伸びる配線を開発,カーボン・ナノチューブを利用"、2008年8月8日、技術者を応援するサイトTech-on、インターネット< http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080807/156236/ >
しかしながら、特許文献1に記載されたPEDOT/PSSは、伸縮性を有さず、電導度も低いものであった。また、非特許文献1に記載された物質は、伸縮性はあるものの、電導度は高くなく、しかも、3元系の物質なので、製造方法、製造条件も複雑と考えられる。
本発明は、かかる実情に鑑み、伸縮性を有し、電導度が高く、簡便に製造可能な導電性高分子材料及び導電性高分子材料の製造方法を提供しようとするものである。
本発明の導電性高分子材料は、PEDOT/PSSのコロイド溶液にアラビトールを添加するアラビトール添加ステップと、前記アラビトール添加ステップで得られた溶液を乾燥させ、加熱する熱処理ステップと、を備えた製造方法により製造されることを主要な特徴としている。
これにより、高い導電性を備え、簡便に製造可能な導電性高分子材料を得ることができる。
また、本発明の導電性高分子材料は、前記アラビトール添加ステップでは、アラビトールを前記PEDOT/PSSの固形成分に対して40wt%〜90wt%添加することを主要な特徴としている。
これにより、より高い導電性を備えた導電性高分子材料を得ることができる。
更に、本発明の導電性高分子材料は、前記熱処理ステップでの加熱温度は、100℃〜200℃の範囲であることを主要な特徴にしている。
これにより、さらにより高い導電性を備えた導電性高分子材料を得ることができる。
更にまた、本発明の導電性高分子材料は、前記熱処理ステップでの加熱時間は、1時間〜5時間の範囲であることを主要な特徴にしている。
これにより、伸縮性の高い導電性高分子材料を得ることができる。
また、本発明の導電性高分子材料の製造方法は、PEDOT/PSSのコロイド溶液にアラビトールを添加するアラビトール添加ステップと、前記アラビトール添加ステップで得られた溶液を乾燥させ、加熱する熱処理ステップと、を備えたことを主要な特徴にしている。
これにより、高い導電性を備えた導電性高分子材料を簡便に製造することができる。
更に、本発明の導電性高分子材料の製造方法は、前記アラビトール添加ステップでは、アラビトールを前記PEDOT/PSSの固形成分に対して40wt%〜90wt%添加することを主要な特徴にしている。
これにより、より高い導電性を備えた導電性高分子材料を製造することができる。
更にまた、本発明の導電性高分子材料の製造方法は、前記熱処理ステップでの加熱温度は、100℃〜200℃の範囲であることを主要な特徴にしている。
これにより、さらにより高い導電性を備えた導電性高分子材料を製造することができる。
また、本発明の導電性高分子材料の製造方法は、前記熱処理ステップでの加熱時間は、1時間〜5時間の範囲であることを主要な特徴にしている。
これにより、伸縮性の高い導電性高分子材料を得ることができる。
本発明の導電性高分子材料及び導電性高分子材料の製造方法によれば、高い電導性を備えた導電性高分子材料を簡便に製造することができる。
本発明の導電性高分子材料の構造の概念図である。 添加する糖アルコールの種類及び量と電導度の関係を示したグラフである。 糖アルコールとしてアラビトールを添加したPEDOT/PSS高分子フィルムの引っ張り試験結果を示す図である。 糖アルコールとしてソルビトールを添加したPEDOT/PSS高分子フィルムの引っ張り試験結果を示す図である。 糖アルコールとしてキシリトールを添加したPEDOT/PSS高分子フィルムの引っ張り試験結果を示す図である。 糖アルコールとしてグリセロールを添加したPEDOT/PSS高分子フィルムの引っ張り試験結果を示す図である。 糖アルコールを80%添加したときのPEDOT/PSS高分子フィルムの電導度と切断伸度を示す図である。 熱処理温度及びアラビトール添加量と電導度の関係を示すグラフである。 熱処理温度及び時間と電導度の関係を示すグラフである。 アラビトール60%添加高分子フィルムの熱処理前後の応力歪み曲線を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
<導電性高分子材料の構成>
本発明の導電性高分子材料は、導電性高分子であるポリ(3, 4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)と、糖アルコールとを、主に含んで構成される。
本発明の導電性高分子材料について、図を参照して説明する。図1は、本発明の導電性高分子材料の構造の概念図である。本発明の導電性高分子材料(以後、本発明の導電性高分子材料を、本発明の高分子フィルムまたは、単に高分子フィルムと称する場合がある。)を構成するPEDOT/PSSは、原料段階では、コロイド溶液であり、コロイド粒子として分散媒である水(H2O)中に分散している。
このPEDOT/PSSのコロイド溶液に、糖アルコール水溶液を加えて混合し、乾燥、加熱することにより、本発明の高分子フィルムを得ることができる。
図1(A)は、本発明の高分子フィルムの構成を概念的に示した図である。この図に示すように、PEDOT/PSS粒子10は、互いに水素結合によって結合していると考えられる。糖アルコール20は、PEDOT/PSS粒子10同士の間に存在し、PEDOT/PSS粒子10の結合を妨げる。これにより、高分子フィルム同士の水素結合が切れて、高分子フィルムが伸びやすくなるものと考えられる。
図1(B)は、PEDOT/PSS粒子10の構成を概念的に示した図である。この図に示すように、PSS(ポリ(4-スチレンスルホン酸))30は、糸まり状の高分子であり、分子量が1万以上のポリマーである。PEDOT(ポリ(3, 4-エチレンジオキシチオフェン))40は、PSS30よりもかなり分子量が小さいポリマーまたはオリゴマーであり、PSS30に結合している。
図1(C)は、PEDOT40の構造式を示す図であり、図1(D)は、PSS30の構造式を示す図である。
<導電性高分子材料の製造方法及び評価>
次に、本発明の導電性高分子材料の製造方法及び製造された高分子フィルムの特性評価について説明する。
(導電性高分子材料の製造方法)
PEDOT/PSS(H.C.Starck製 CLEVIOS PH1000, CLEVIOS P AG)のコロイド溶液に糖アルコール水溶液を添加、混合した。次に、この混合溶液に対してドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)(東京化成工業製)を0.01wt%混合して良く撹拌した後、テフロン(登録商標)シャーレ(直径105mm)に計り取り、空気中で50℃8時間乾燥させ、更に空気中で理温度と時間を変えながら熱処理を行い、キャストフィルムを作製した。ここで、前記熱処理は、空気中ではなく真空中で行うことも可能であるが、空気中で行った方が良い特性が得られた。また、前記熱処理は、空気中ではなく、不活性気体中やその他の気体中で行うことも可能である。
ここで、ドデシルベンゼンスルホン酸を混合する理由は、ドデシルベンゼンスルホン酸を混合することにより、混合溶液がテフロン(登録商標)シャーレ上に濡れ性良く広がるからである。ドデシルベンゼンスルホン酸を混合しない場合は、テフロ(登録商標)ンシャーレは濡れ性が悪いので、混合溶液とテフロン(登録商標)シャーレの接触角が大きくなり、混合溶液はテフロン(登録商標)シャーレ上ではじかれて、うまく広がらないという現象が発生する。
(導電性高分子材料評価方法)
作製した高分子フィルムの膜厚をデジタルマイクロメータ(MDC-25NJ, ミツトヨ製)を用いて測定した。
作製した高分子フィルムの電導度(電気伝導率)は、抵抗率計(ロレスタGP,三菱化学製)を用いて測定した。具体的には、スタンドにクランクで固定された4探針プローブ(PSP,三菱化学製)を抵抗率計(ロレスタGP,三菱化学製)に接続し、ラボジャッキを用いて高分子フィルムを持ち上げて4探針プローブに押し当てることによって測定した。
このとき、高分子フィルムの形状(膜厚、直径、測定座標)をあらかじめ抵抗率計に流力することによりRCF値を補正し、抵抗値及び伝導度を算出した。
高分子フィルムの引っ張り試験は、引っ張り試験機(EZ-TEST,島津製作所製)を用いて行った。まず、高分子フィルムの切り出しは、クラックが生じないようにカッターナイフの刃を直接切り口に押し当て、上からハンマーで叩くことにより切断した。
切り出した高分子フィルムは、引っ張り試験機のチャック間距離20mmに合わせた台紙に貼り付けられ、両側をセロファンテープで固定された。台紙に貼り付けられた高分子フィルムの膜厚をマイクロメータ(MDC-25MJ,ミツトヨ製)で測定し、幅をカセットメータ(TM,ミツトヨ製)で測定した。
キャリブレーションをかけた引っ張り試験機のチャックにこの高分子フィルムを取り付けて、台紙の真ん中をはさみで切った。試験条件を引っ張り試験機に入力しロードセルに負荷が少しかかる状態(フィルムが張る状態)でゼロ点合わせをし、下記の条件で引っ張り試験を行った。引っ張り試験の際、温度と相対湿度をデジタル温湿度計(CTH-1000,CUSTOM製)で測定した。
試料幅 :2mm
チャック間隔 :20mm
歪み速度 :10%/min
サンプリングタイム:0.05sec
ストレインゲージ :500N
フィルムのヤング率、切断強度、切断伸度をPC上の解析ソフト(Trapezium2)を用いて解析して求めた。
評価1:(添加する糖アルコール種類による物性変化の評価)
上記の高分子フィルム製造方法、評価方法により、高分子フィルムを作製、評価を行った。本評価では、添加する糖アルコール種類による物性の変化を測定した。
具体的には、PEDOT/PSS(H.C.Starck製の CLEVIOS P AGを使用)に添加する糖アルコールとしてアラビトール、グリセロール、キシリトール、ソルビトールを用い、PEDOT/PSSの固形成分に対して糖アルコールを10〜90wt%添加した高分子フィルムを作製し電導度及び引っ張り特性を測定した。このときの熱処理温度は、120℃1時間であった。測定結果を図2から図6に示す。
評価1−(1):糖アルコール種類ごとの電導度測定結果
図2は、添加する糖アルコールの種類及び量と電導度の関係を示したグラフである。図2に示すように、アラビトール、グリセロール、キシリトール、ソルビトールを40%以上添加することで電導度は急激に上昇し、80%で最大になることが分かった。これは、PEDOT/PSSコロイド表面に多く存在する絶縁性のPSSが除去されたことにより粒子間キャリア移動が促進されたためと考えられる。
また、図2に示すように、添加する糖アルコール種類としては、アラビトールを使用したものが、一番電導度が大きくなった。添加する糖アルコール量としては、電導度が大きくなる範囲の40%〜90%が好ましく、より電導度が大きくなる範囲の60%〜80%が更に好ましい。そして、電導度が最大になる80%が最も好ましい。
評価1−(2):引っ張り特性測定結果
図3〜図6は、それぞれ、糖アルコールとしてアラビトール、ソルビトール、キシリトール、グリセロールを添加したPEDOT/PSS高分子フィルムの引っ張り試験結果を示す図である。ここで、図3〜図6において、左上のグラフは糖アルコールの添加量ごとに引っ張り応力と伸びの関係を示したものであり、左下のグラフは糖アルコールの添加量と引っ張り強度の関係を示したものであり、右上のグラフは糖アルコールの添加量とヤング率の関係を示したものであり、右下のグラフは糖アルコールの添加量と切断伸度の関係を示したものである。
図3より、アラビトールの添加量とともにヤング率(図3の右上グラフに示す)と、引っ張り強度(図3の左下グラフに示す)が減少し、切断伸度(図3の右下グラフに示す)が増加することから、高分子フィルムがより柔らかく伸びやすくなっていることが分かった。
また、図2に示すようにアラビトールを80%添加することにより、電導度は1.5 S/cmから131 S/cm(87倍)に向上し、図3に示すように切断伸度は3%から21%(7倍)に向上することが明らかになった。ソルビトール(図4)とキシリトール(図5)も同様の傾向を示したが、グリセロール(図6)では、可塑効果はほとんど見られなかった。
このように、糖アルコール種類や添加量によって、PEDOT/PSS高分子フィルムの電導度及び力学的特性が大きく変化することが分かった。更に糖アルコールの特殊性を検討するために、マルチトール、プロピレングリコール、エリスリトール、スクロース、マンニトールを80%添加した高分子フィルムを上記方法で作製及び評価を行った。図7に得られた結果を示す。
図7は、糖アルコールを80%添加したときのPEDOT/PSS高分子フィルムの電導度と切断伸度を示す図である。この図に示されるように、プロピレングリコールとマルチトールでは、電導度がわずかに向上したが、エリスリトール、スクロース、マンニトールでは逆に低下した。
マルチトール、エリスリトールでは、成膜時の乾燥過程で糖アルコールとPEDOT/PSSが分離・析出し、フィルムの伸縮性向上も認められなかった。以上の評価結果から、アラビトールがPEDOT/PSSの電導性と伸縮性を向上させる添加剤として最も好適であることが分かった。
これにより、非特許文献1に記載されている、伸縮性電極として知られているカーボン・ナノチューブ/イオン液体/フッ素ポリマーの複合材料の電導度57 S/cmよりも、本発明の高分子フィルムは、2倍以上も高い電導度を有し、製造方法も極めて単純かつ簡便である。
評価2:(糖アルコールとしてアラビトールを使用したときの物性変化の詳細評価)
糖アルコールとしてアラビトールを使用し、上記の高分子フィルム製造方法、評価方法により、高分子フィルムを作製、評価を行った。
具体的には、PEDOT/PSS(H.C.Starck製のCLEVIOS PH1000を使用)にアラビトールをPEDOT/PSSの固形成分に対して所定量(wt%)添加した高分子フィルムを作製し、電導度及び引っ張り特性を測定した。測定結果を図8、図9に示す。
評価2−(1):熱処理温度、熱処理時間ごとの電導度測定
糖アルコールとしてアラビトールを用い、PEDOT/PSSの固形成分に対して0〜80wt%アラビトールを添加した高分子フィルムを、様々な温度で、空気中1時間熱処理したときの電導度変化を図8に示す。図8は、熱処理温度及びアラビトール添加量と電導度の関係を示すグラフである。
図8に示すように、電導度は、熱処理温度100℃以上で急激に上昇し、アラビトール60%、熱処理温度140℃で最大341 S/cmに達している。しかしながら、140℃以上の熱処理では、フィルムが硬くなり、伸縮性が低下する傾向が見られた。これは、可塑剤としても働くアラビトールがフィルムから脱離したためと考えられる。
次に、熱処理時間について評価を行った。アラビトールの添加量は60wt%で、熱処理温度を50℃〜140℃とし、熱処理時間を変化させて高分子フィルムを作製して電導度を測定した。測定結果を図9に示す。図9は、熱処理温度及び時間と電導度の関係を示すグラフである。
図9に示すように、熱処理温度が50℃、80℃の低温では、熱処理時間を長くしても電導度の向上が見られなかったが、100℃以上では電導度の急激な上昇が見られた。140℃の熱処理温度では、1時間の熱処理でも高分子フィルムが硬くなった。
図8、図9より、熱処理温度は、100℃〜200℃が好ましく、これにより電導度を向上させることができる。また、熱処理温度は、100℃〜140℃が更に好ましく、これにより電導度の向上が図れるだけでなく、高分子フィルムの硬化を防ぐことができる。最も好ましい熱処理温度は120℃であり、これにより、電導度の向上と伸縮性をどちらも高く保つことができた。
熱処理時間については、図9に示されるように、1時間以上の加熱が好ましい。1時間以上加熱することにより、電導度が急激に上昇するからである。また、熱処理時間は、1時間〜5時間が更に好ましい。5時間以上加熱すると高分子フィルム硬化がかなり進むからである。更に、熱処理時間は、1時間〜3時間がよりいっそう好ましい。加熱時間を3時間以内にすることにより、高分子フィルムの硬化をかなり押さえることができたからである。最も好ましい熱処理時間は、2時間である。これにより、電導度が高く、伸縮性も高い高分子フィルムを得ることができる。
評価2−(2):アラビトール添加高分子フィルムの力学的特性の測定
糖アルコールとしてアラビトールを用い、PEDOT/PSS(H.C.Starck製のCLEVIOS PH1000を使用)の固形成分に対して60wt%アラビトールを添加した高分子フィルムを、120℃で空気中2時間熱処理して高分子フィルムを作製した。この高分子フィルムは、熱処理前後に引っ張り試験及びデータ解析を行った。また、アラビトールを添加していないPEDOT/PSS(H.C.Starck製のCLEVIOS PH1000を使用)高分子フィルムについても引っ張り試験及びデータ解析を行った。図10に、得られた応力歪み曲線を示す。図10は、アラビトール60%添加高分子フィルムの熱処理前後の応力歪み曲線を示すグラフである。
図10中において、PH1000と表示された曲線はアラビトールを添加していないPEDOT/PSS(H.C.Starck製のCLEVIOS PH1000)高分子フィルムを示し、PH1000+60%arabitol(熱処理前)と表示された曲線はアラビトールを60wt%添加した高分子フィルムの熱処理前を示し、PH1000+60%arabitol(熱処理後)と表示された曲線はアラビトールを60wt%添加した高分子フィルムの熱処理後を示している。
図10に示されるように、アラビトールを60wt%添加した高分子フィルム(熱処理前)は、アラビトールを添加していない高分子フィルムと比較して、ヤング率(曲線の傾き)、強度(Y軸)、切断伸度(X軸)のいずれもが低く、力学的特性の向上は見られなかった。
一方、120℃で2時間熱処理を行うことにより、ヤング率が低下し、切断伸度が大きく増加したことから、この熱処理でフィルムがより柔らかく変形しやすくなったといえる。このときの切断伸度は、23%であり、アラビトールを添加していないPEDOT/PSS高分子フィルムの2.5倍に達することが明らかになった。得られた結果から、糖アルコールの添加と熱処理の組み合わせを調整することにより、高電導性、高伸縮性を有するPEDOT/PSS高分子フィルムを作製できることが明らかになった。
PEDOT/PSS粒子…10、糖アルコール…20、PSS…30、PEDOT…40

Claims (8)

  1. PEDOT/PSSのコロイド溶液にアラビトールを添加するアラビトール添加ステップと、
    前記アラビトール添加ステップで得られた溶液を乾燥させ、加熱する熱処理ステップと、
    を備えた製造方法により製造される導電性高分子材料。
  2. 前記アラビトール添加ステップでは、アラビトールを前記PEDOT/PSSの固形成分に対して40wt%〜90wt%添加する、
    請求項1に記載の導電性高分子材料。
  3. 前記熱処理ステップでの加熱温度は、100℃〜200℃の範囲である、
    請求項1または2に記載の導電性高分子材料。
  4. 前記熱処理ステップでの加熱時間は、1時間〜5時間の範囲である、
    請求項1〜3のいずれか一つに記載の導電性高分子材料。
  5. PEDOT/PSSのコロイド溶液にアラビトールを添加するアラビトール添加ステップと、
    前記アラビトール添加ステップで得られた溶液を乾燥させ、加熱する熱処理ステップと、
    を備えた導電性高分子材料の製造方法。
  6. 前記アラビトール添加ステップでは、アラビトールを前記PEDOT/PSSの固形成分に対して40wt%〜90wt%添加する、
    請求項5に記載の導電性高分子材料の製造方法。
  7. 前記熱処理ステップでの加熱温度は、100℃〜200℃の範囲である、
    請求項5または6に記載の導電性高分子材料の製造方法。
  8. 前記熱処理ステップでの加熱時間は、1時間〜5時間の範囲である、
    請求項5〜7のいずれか一つに記載の導電性高分子材料の製造方法。
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