JP2014080505A - 色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊 - Google Patents

色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊 Download PDF

Info

Publication number
JP2014080505A
JP2014080505A JP2012229151A JP2012229151A JP2014080505A JP 2014080505 A JP2014080505 A JP 2014080505A JP 2012229151 A JP2012229151 A JP 2012229151A JP 2012229151 A JP2012229151 A JP 2012229151A JP 2014080505 A JP2014080505 A JP 2014080505A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sodium
sulfonate
hue
acid
purity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012229151A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5946094B2 (ja
Inventor
Shinji Ozoe
真治 尾添
Hideaki Matsunaga
秀秋 松永
Kenichi YAMANOI
健一 山野井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Organic Chemical Co Ltd
Original Assignee
Tosoh Organic Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Organic Chemical Co Ltd filed Critical Tosoh Organic Chemical Co Ltd
Priority to JP2012229151A priority Critical patent/JP5946094B2/ja
Priority to MYPI2015700943A priority patent/MY186412A/en
Priority to PCT/JP2013/073503 priority patent/WO2014061357A1/ja
Priority to CN201380053883.6A priority patent/CN104736516B/zh
Priority to US14/432,049 priority patent/US9505713B2/en
Priority to TW102136196A priority patent/TWI579261B/zh
Publication of JP2014080505A publication Critical patent/JP2014080505A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5946094B2 publication Critical patent/JP5946094B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】ポリマーエマルジョンを製造するための反応性乳化剤や分散剤、あるいは衣料アイロン仕上げ用の合成糊として有用な色相に優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、及びこれを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウムを提供する。
【解決手段】鉄分と異性体などの不純物低減によって色相の優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、これを用いてなる色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、これを有効成分とする分散剤、衣料アイロン仕上げ用の合成糊。
【選択図】なし

Description

本発明は、色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊に関する。
パラスチレンスルホン酸ナトリウムに代表されるパラスチレンスルホン酸(塩)は、分子内にラジカル重合性ビニル基、π電子を有する疎水性のベンゼン環、及び強電解質であるスルホン酸(塩)基を有する機能性モノマーであり、産業上の様々な分野で重用されている。例えば、エマルジョン重合において、エマルジョンの安定性、及び(エマルジョン)ポリマーの耐水性やカチオン染料染色性を向上させるため、反応性乳化剤として使用されている。また、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの重合体や共重合体は、顔料、酸化防止剤、各種ポリマー(粘着付与樹脂、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリシリコーン、導電性ポリマーなど)、ナノカーボン材料、熱間鍛造離型剤や研磨材用のシリカ粒子、電池電極材料(カーボン、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウムなど)、写真用ハロゲン化銀などの各種水性分散体を製造するための分散剤として使用されている。さらに、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの重合体は、アイロン剤などの衣料仕上げ用の合成糊、ヘアケア用品、帯電防止剤、レジスト酸発生剤、水処理剤、アレルゲン補足剤、イオン交換樹脂、メッキ液添加剤、半導体やハードディスク製造用の洗浄剤、シェールオイル採掘用流体の添加剤として利用されている。
上記の利用分野において、パラスチレンスルホン酸ナトリウム、及びその(共)重合体に対して、種々の改良が求められている。そのうち、多くの用途に共通する改良ニーズは色相である。特に、接着剤、塗料用のポリマーエマルジョン、アイロン剤などの衣料仕上げ用の合成糊、帯電防止剤、及び写真用ハロゲン化銀乳剤などの用途では、パラスチレンスルホン酸ナトリウム及びその(共)重合体の色相は製品価値に直接影響する重要因子である。即ち、工業的に入手可能な従来のパラスチレンスルホン酸ナトリウム、及びその(共)重合体は、淡黄色から淡黄褐色を呈しており、淡色化又は無色化が強く求められている。
パラスチレンスルホン酸ナトリウムの色相については、不純物の影響が示唆されている(例えば、特許文献1)。しかし、肝心の不純物については、金属ハロゲン化物について言及されているのみであり、その他の具体的な色相については一切言及されていない。また、パラスチレンスルホン酸ナトリウム(共)重合体の色相については、重合開始剤の影響が示唆されている(例えば、特許文献2)。しかし、原料であるパラスチレンスルホン酸ナトリウムに含まれる鉄分やその他の不純物及びそれらの色相への影響については一切言及されていない。
また、古くから万能接着剤として、クロロプレンゴム系接着剤が使用されている。クロロプレンゴムの製造法は公知であり、例えば、クロロプレン又はクロロプレン及びそれと共重合可能なラジカル重合性モノマーを、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩(乳化剤として作用)とナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩(分散剤として作用)を用いて水中に乳化し、ラジカル重合開始剤を添加してエマルジョン重合する。得られたクロロプレンゴムエマルジョン中の未反応モノマーを、水蒸気蒸留法によって除去する。最後に、凍結凝固などの方法でエマルジョンからクロロプレンゴムを取り出し、水洗、乾燥することにより、固形のクロロプレンゴムが製造できる(例えば、非特許文献1)。上記クロロプレンゴム、及び粘着付与樹脂、金属酸化物、架橋剤などの配合剤をトルエン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、メチルエチルケトン、酢酸エステルなどの有機溶剤に溶解することによって、クロロプレンゴム系接着剤が製造されている。クロロプレンゴム系接着剤を履物やスポーツ用品などの製造に使用する場合、優れた色相(可能な限り無色に近いこと)が要求される。
そこで、接着剤の色相を改良する方法として、上記ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩の代わりに、変色し難いスチレンスルホン酸(共)重合体のアルカリ金属塩を分散剤として用いる方法が提案されている(例えば、特許文献3)。確かに色相は改善されるが、必ずしも満足できるものではなく、さらなる改良が求められている。また、使用されるポリスチレンスルホン酸ナトリウム(共)重合体の色相に関しては一切言及されていない。
また、アイロン剤などの衣料仕上げ剤に使用される合成糊として、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムが知られている(特許文献4)。本用途において色相は極めて重要であり、合成糊の一層の無色化が求められているが、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの色相に関する記載は一切ない。
特開昭51−138645号公報 特開平11−181004号公報 特許3601136号 特許2808205号
接着の技術、21巻、4号、14〜19頁、2002年、日本接着学会発行
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、色相に優れたクロロプレンゴム等のポリマーエマルジョンや衣料仕上げ用合成糊を製造するのに有用な色相に優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム及びスチレンスルホン酸ナトリウム(共)重合体(以下「PSSナトリウム」、あるいは、「ポリスチレンスルホン酸ナトリウム」ともいう)を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、鉄分及び特定の不純物を低減した高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム及びこれを用いて製造されたパラスチレンスルホン酸ナトリウム(共)重合体が極めて色相に優れ、クロロプレンゴム等のポリマーエマルジョンや衣料仕上げ用の合成糊を製造するのに有用なパラスチレンスルホン酸ナトリウム及びPSSナトリウムになることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の鉄分が3.00μg/g未満、臭化ナトリウムが2.50wt%未満であり、(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で求めたピーク面積比が、各々(a)≦0.40%、(b)≦4.00%、(c)≦8.00%、(d)≦0.10%、及び(e)≦0.80(ただし、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと(a)〜(e)ピーク面積の総和は100)である色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム(以下「高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム」ともいう)に関する。
ここで、本発明の色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムは、パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の鉄分が3.00μg/g未満、臭化ナトリウムが2.50wt%未満であり、(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと言う)で求めたピーク面積比が、各々(a)≦0.20%、(b)≦0.50%、(c)≦3.00%、(d)≦0.10%、及び(e)≦0.20%(ただし、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと(a)〜(e)ピーク面積の総和は100)であることが好ましい。
次に、本発明は、上記高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムを用いて製造される、下記繰り返し構造単位A、あるいは下記繰り返し構造単位Aおよび下記繰り返し構造単位Bを有する色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウムに関する。
〔繰り返し構造単位A、B中、Mはナトリウムカチオンを、Qはラジカル重合性モノマー残基を表し、nは1以上の整数を、mは0以上の整数を表す。〕
ここで、本発明のPSSナトリウムのゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと言う)で求めた重量平均分子量は2千〜100万が好ましい。
また、上記繰り返し構造単位B中のQとしては、(メタ)アクリル酸残基、(メタ)アクリル酸エステル残基、無水マレイン酸残基、マレイン酸残基、マレイミド残基、(メタ)アクリルアミド残基、スチレン残基、スチレン誘導体残基からなる群より選ばれる1種以上のラジカル重合性モノマー残基であるのが好ましい。
次に、本発明は、上記のPSSナトリウムを有効成分とする分散剤、あるいはPSSナトリウムを合成糊として用いて製造される衣料アイロン仕上げ剤に関する。
本発明の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム及びこれを用いて製造されてなるパラスチレンスルホン酸ナトリウム(共)重合体は、鉄分やその他の不純物が少ないために色相が優れ、クロロプレンゴムなどの各種水性分散体や衣料仕上げ用合成糊の色相を改良するのに有用である。
実施例1の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムのHPLCクロマトグラフィーであり、図1中、縦軸はピーク強度(検出器の吸収強度であり、単位は任意)を示し、横軸は溶出時間(単位は分)を示す。図1中の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの強度を示す。 比較例1の低純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムのHPLCクロマトグラフィーである。その他は、図1の説明と同様である。 実施例の安息角測定に用いられる安息角測定装置と、これに用いられる分度器、および電子上皿天秤の構成図である。
本発明は、パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の鉄分が3.00μg/g未満、臭化ナトリウムが2.50wt%未満であり、(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で求めたピーク面積比が、各々(a)≦0.40%、(b)≦4.00%、(c)≦8.00%、(d)≦0.10%、及び(e)≦0.80%(ただし、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと(a)〜(e)ピーク面積の総和は100)である色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、並びにこれを用いて製造される上記繰り返し構造単位A、または上記繰り返し構造単位Aおよび(B)を有する色相が優れたPSSナトリウムである。
ここで、「色相が優れた」とは着色がなく、白色又は無色透明に近いことを意味するが、本発明では特に黄色度が低いことを意味する。具体的には、高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの場合は、色差計で求めた結晶紛体の黄色度(YI値)が小さくて白色度(WI値)が高いこと、及び水溶液のAPHA値が小さいことを言い、またPSSナトリウムの場合は、色差計で求めたPSSナトリウム水溶液のAPHA値、黄色度(YI値)、及びb値が小さいことを言う。
本発明では、パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の鉄分が3.00μg/g未満、臭化ナトリウム分が2.50wt%未満、(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの、HPLCで求めたピーク面積比が、各々(a)≦0.20%、(b)≦0.50%、(c)≦3.00%、(d)≦0.10%、及び(e)≦0.20%(すなわち、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと(a)〜(e)ピーク面積の総和は100)である高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、並びにこれを用いて製造される上記繰り返し構造単位A、または上記繰り返し構造単位Aおよび(B)を有するPSSナトリウムであることが好ましい。
本発明のPSSナトリウムは、パラスチレンスルホン酸ナトリウムのホモポリマーに限定される訳ではなく、すなわち上記繰り返し構造単位A、あるいは上記繰り返し構造単位AおよびBを有するものであれば特に限定されるものではなく、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体であっても良い。ここで言うブロック共重合体とは、PSSパラスチレンスルホン酸ナトリウム鎖(上記繰り返し構造単位A)とPSSパラスチレンスルホン酸ナトリウムとは異なるポリマー鎖(上記繰り返し構造単位B)とが、共有結合を介してお互いがブロック的に結合したものであり、ジブロック、トリブロック、マルチブロック型などのタイプが含まれる。また、グラフト共重合体とは、PSSナトリウム(上記繰り返し構造単位A)の幹に、PSSナトリウムとは異なるポリマー鎖(上記繰り返し構造単位B)の枝が、あるいは、PSSナトリウムとは異なるポリマー鎖(上記繰り返し構造単位B)の幹に、PSSナトリウム(上記繰り返し構造単位A)の枝が共有結合を介してお互いが枝(グラフト)状に結合したものである。
本発明の特徴は、PSSナトリウムの製造に用いるモノマー(パラスチレンスルホン酸ナトリウム)を高純度化したことであり、以下に説明する。
市販のパラスチレンスルホン酸ナトリウムは、通常、5.0〜10.0wt%の水分(結晶水及び付着水)を含む。この水分がパラスチレンスルホン酸ナトリウムに含まれる最大の不純物である。本発明のポイントは、下記パラスチレンスルホン酸塩の一般的な製造法から判るように、水に次ぐ主要不純物である臭化ナトリウム(下式においてM=ナトリウムの場合)の他に、未反応臭素化中間体、有機異性体、及び鉄分が不純物として含まれることを見出したこと、及び、これらの不純物を低減することによって、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの色相が大幅に向上することを見出したことである。
パラスチレンスルホン酸ナトリウムに含まれる水分以外の不純物を詳細に分析した結果、主要不純物である臭化ナトリウムの他に、微量の鉄分、(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれることが判明した。
本発明者らは、上記不純物を含むパラスチレンスルホン酸ナトリウムを水性溶媒に一部溶解し、再結晶する方法、純水で洗浄する方法又は反応温度などの製造条件をコントロールすることにより、鉄分3.00μg/g未満、臭化ナトリウムが2.50wt%未満であり、(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で求めたピーク面積比が、各々(a)≦0.40%、(b)≦4.00%、(c)≦8.00%、(d)≦0.10%、及び(e)≦0.80%(ただし、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと(a)〜(e)ピーク面積の総和は100)である高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムを製造したところ、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの色相が著しく向上することを見出した。さらに、上記不純物(a)〜(e)を各々(a)≦0.20%、(b)≦0.50%、(c)≦3.00%、(d)≦0.10%、(e)≦0.20%(ただし、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと(a)〜(e)ピーク面積の総和は100)に低減したところ、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの色相がさらに向上することを見出した。
さらに、これを用いて、従来のラジカル重合法によって高純度のPSSナトリウムを製造したところ、PSSナトリウムの色相が著しく向上することを見出した。当該高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、及びPSSナトリウムは色相が極めて優れるため、上記した各種産業分野での利用価値が極めて高い。例えば、当該PSSナトリウムを分散剤に用いて、(クロロプレンゴムエマルジョン及び)クロロプレンゴムを製造したところ、従来のPSSナトリウムを用いた場合と比較して、クロロプレンゴムの色相がさらに向上することを見出した。また、衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊として当該PSSナトリウムを使用したところ、PSSナトリウムを施した生地の色相が、従来のPSSナトリウムを施した場合に比べてさらに向上することを見出した。
パラスチレンスルホン酸ナトリウムの色相が向上した理由は必ずしも明確ではないが、鉄分及びその他不純物の低減による相乗効果と考えられ、PSSナトリウムの色相が向上した理由は、これらに加え、メタ体、核臭素化体などの異性体やβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの低減によってPSSナトリウムの化学的安定性が向上したためと考えられる。
本発明のPSSナトリウムのGPCで求めた重量平均分子量に制限はないが、2千〜100万が好ましく、クロロプレンなどのエマルジョン重合における分散剤として使用する場合は、エマルジョン粘度と安定性などを考慮すると、比較的低分子量が好ましく、例えば、2千〜5万が好ましい。一方、エマルジョン重合以外の用途、例えば、衣料仕上げ用の合成糊として使用する場合は、粘度や乾燥後の耐水性の点で高分子量体である方が好ましく、取扱い性を考慮すると、5万〜60万が好ましい。
この重量平均分子量は、モノマーに対する重合開始剤や連鎖移動剤の添加量によって容易に調整することができる。
本発明のPSSナトリウムに用いるパラスチレンスルホン酸ナトリウム以外の他のモノマーとしては、PSSナトリウムラジカルによってラジカル重合が進行するもの、又はパラスチレンスルホン酸ナトリウムに対してラジカル重合開始剤になり得るラジカルを生じるもの(換言すれば、パラスチレンスルホン酸ナトリウムとラジカル共重合できるもの)であれば特に制限はない。例えば、スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、フロロスチレン、トリフロロスチレン、ニトロスチレン、シアノスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−シアノスチレン、p−アセトキシスチレン、塩化p−スチレンスルホニル、エチルp−スチレンスルホニル、メチルp−スチレンスルホニル、プロピルp−スチレンスルホニル、p−ブトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−フェニルビニルアルキルエーテル、ニトロフェニルビニルエーテル、シアノフェニルビニルエーテル、クロロフェニルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸エチルカルビトール、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、ポリエチレングリコールアクリレート、アクリル酸グリシジル、2−(アクリロイルオキシ)エチルフォスフェート、アクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、アクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸メトキシエチレングリコール、メタクリル酸エチルカルビトール、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、2−(メタクリロイルオキシ)エチルフォスフェート、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、メタクリル酸2−(イソシアナート)エチル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、メタクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、メタクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、メタクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチル、ジアセトンメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類、イソプレンスルホン酸、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2−(N−ピペリジルメチル)−1,3−ブタジエン、2−トリエトキシメチル−1,3−ブタジエン、2−(N,N−ジメチルアミノ)−1,3−ブタジエン、N−(2−メチレン−3−ブテノイル)モルホリン、2−メチレン−3−ブテニルホスホン酸ジエチルなどの1,3−ブタジエン類、N−フェニルマレイミド、N-(クロロフェニル)マレイミド、N-(メチルフェニル)マレイミド、N-(イソプロピルフェニル)マレイミド、N-(スルフォフェニル)マレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−ブロモフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−(ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−アセトキシ−1−ナフチル)マレイミド、N−(4−オキシ−1−ナフチル)マレイミド、N−(3−フルオランチル)マレイミド、N−(5−フルオレセイニル)マレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、N−(2,3−キシリル)マレイミド、N−(2,4−キシリル)マレイミド、N−(2,6−キシリル)マレイミド、N−(アミノフェニル)マレイミド、N−(トリブロモフェニル)マレイミド、N−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、N−(3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−(9−アクリジニル)マレイミド、マレイミド、N-(スルフォフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミドなどのマレイミド類、フマル酸ジブチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどのフマル酸ジエステル類、フマル酸ブチル、フマル酸プロピル、フマル酸エチルなどのフマル酸モノエステル類、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸ジエステル類、マレイン酸ブチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸エチル、マレイン酸ジシクロヘキシルなどのマレイン酸モノエステル類、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの酸無水物、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルミド、スルフォフェニルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルスルホン酸、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、イソプロピルメタクリルアミド、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムクロライドなどのメタクリルアミド類、その他、ビニルピロリドン、スルフォフェニルイタコンイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−シアノエチルアクリレート、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ビニル酢酸、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサミック酸ビニル、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルサクシネート、モノ2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、アクロレイン、ビニルメチルケトン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、ビニルエチルケトン、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、デヒドロアラニン、二酸化イオウ、イソブテン、N−ビニルカルバゾール、ビニリデンジシアニド、パラキノジメタン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ノルボルネン、N−ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらの中で、パラスチレンスルホン酸(塩)との共重合性や入手性などを考慮すると、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、無水マレイン酸、マレイン酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、メタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、スチレン、スチレン誘導体が好ましい。
上記の他のモノマーの使用割合は、全モノマー中に99wt%以下、好ましくは10〜90wt%程度である。99wt%を超えると、用途によっては極少量のパラスチレンスルホン酸ナトリウムの共重合によって、ポリマーにパラスチレンスルホン酸ナトリウムの特長を付与することができるが、本発明の主用途である衣料仕上げ剤や分散剤に利用する場合、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの特徴が発現し難くなり、好ましくない。
次に、本発明の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの製造法について説明する。
(1)本発明において最も重要な微量不純物である鉄分の除去方法としては、(i)パラスチレンスルホン酸の前駆体である、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸を強酸型カチオン交換樹脂で処理することにより、鉄イオンを除去する方法、(ii)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸と水酸化ナトリウムとの反応晶析で得られるパラスチレンスルホン酸ナトリウムから、水溶性の水酸化第一鉄を濾別する方法、(iii)パラスチレンスルホン酸ナトリウムのアルカリ水溶液に空気を吹き込んだり、酸化剤を添加して水不溶性の水酸化第二鉄を析出させ、濾別する方法がある。
(i)の精製方法の場合、さらに具体的に鉄分の除去法を示すと、例えば、塩酸で再生したスルホン酸型カチオン交換樹脂を、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液(カチオン交換樹脂のイオン交換容量の70〜80%)に投入し、室温で3〜6時間ゆっくり撹拌した後、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸を濾別することにより、鉄イオンを除去することができる。
なお、得られた高純度のβ−ブロモエチルベンゼンを用いて、次いで上記の化学反応式に従い、常法によりビニル化してパラスチレンスルホン酸ナトリウムを得ればよい。すなわち、この際のビニル化の条件としては、例えば、ジャケットを備えた攪拌機付のステンレス製反応釜に、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸及びβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸の2.0〜3.0倍モル、例えば2倍モルの水酸化ナトリウムを2〜5時間かけて同時にフィードしながら、60〜110℃でビニル化する方法が挙げられる。
また、(ii)の精製方法の具体例を示すと、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの結晶及び水酸化第一鉄や臭化ナトリウムなどの水溶性不純物を含むスラリーを、遠心濾過によって固液分離することによって、パラスチレンスルホン酸結晶から、鉄分や臭化ナトリウムなどの不純物を除去する方法が挙げられる。
さらに、(iii)の精製方法の具体例を示すと、パラスチレンスルホン酸ナトリウムのアルカリ水溶液に空気を吹き込むことにより、水溶性の水酸化第一鉄を水不溶性の水酸化第二鉄に析出させた後、遠心分離機にかけることにより、比重が大きいパラスチレンスルホン酸ナトリウム結晶を沈降させ、コロイド状の水酸化第二鉄を浮遊させる。デカンテーションにより浮遊した水酸化第二鉄と水に溶解している臭化ナトリウムなどの不純物を除去することができる。
(2)鉄以外の不純物を除去する方法は、特に限定するものではないが、例えば、市販のパラスチレンスルホン酸ナトリウムを純水、又はアセトン、メタノール、イソプロパノールなどの水溶性溶媒と水の混合溶媒に投入し、40〜70℃で30〜1時間加熱、撹拌、一部溶解させた後、30分〜2時間かけて30℃以下まで冷却し、パラスチレンスルホン酸ナトリウムを洗浄、又は再結晶することによって、臭化ナトリウム、異性体、及びβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの主要不純物を低減できる。この操作を繰返すことにより、鉄以外の不純物を低減できる。この再結晶化の操作は1回以上、生産性やコストを考慮すると、好ましくは1〜3回である。
さらに具体的に上記(2)の精製方法を示すと、例えばパラスチレンスルホン酸ナトリウムを、5〜6wt%濃度でメタノールに加熱溶解(通常、40〜50℃で10〜60分程度)し、ゆっくり常温〜10℃付近まで冷却することにより、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの結晶を析出させた後、濾過、乾燥することによって、高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムを得ることができる。
以上の精製方法(1)で処理して得られる高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムは、さらに上記の精製法(2)にしたがって精製処理してもよい。この処理により、鉄分、臭化ナトリウムなどの不純物、特に(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量をさらに低減させることができる。
なお、本発明において、水酸化ナトリウムとβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムからパラスチレンスルホン酸ナトリウムを合成する際には、下記のような製造方法を採用することが好ましい。
すなわち、反応釜へ水酸化ナトリウムとβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸を一定速度で同時フィードし、パラスチレンスルホン酸ナトリウムを製造する際、反応釜内の水酸化ナトリウム濃度(フィードした全水酸化ナトリウムの重量/反応釜内の全反応液重量×100)を10.00〜20.00wt%に保ち、かつ、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸濃度(フィードした全β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸の重量/反応釜内の全反応液重量×100)を、1〜7時間かけて0.00wt%から30.00〜50.00wt%に増加させるように制御しながら、60〜110℃で1〜7時間反応晶析させ、固液分離して得られた湿潤ケーキを強制流動させる。
この本発明のパラスチレンスルホン酸ナトリウムの製造法について、さらに具体的に説明する。例えば、反応釜内の水酸化ナトリウム濃度(フィードした全水酸化ナトリウムの重量/反応釜内の全反応液重量×100)を10.00〜20.00wt%に保ち、かつ、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸濃度(フィードした全β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸の重量/反応釜内の全反応液重量×100)を、1〜7時間かけて0.00wt%から30.00〜50.00wt%まで増加させるようにフィードしながら、60〜110℃で1〜7時間反応晶析させる。生成したパラスチレンスルホン酸ナトリウムのスラリーを10〜40℃まで冷却後、遠心濾過器で分離して、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの湿潤ケーキを得る。当該湿潤ケーキを一軸のスクリュー式ブレンダーを用いて20〜40℃で5〜30分強制流動させることにより、本発明のパラパラスチレンスルホン酸ナトリウムの半水和物を製造することができる。
全反応液中の濃度が20wt%を超える水酸化ナトリウム水溶液に、例えば、濃度70wt%のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸をフィードすると(例えば、特許第3601222号)、得られるパラスチレンスルホン酸ナトリウム結晶が小さくなりすぎるため、水分が多く、流動性が劣るパラスチレンスルホン酸ナトリウム半水物が得られる。また、水性溶媒を用いて洗浄又は再結晶精製する際、固液分離性が低下して精製効率が悪化する。一方、全反応液中の水酸化ナトリウム濃度が20wt%以下であっても、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸のフィード速度が速すぎる場合(特許第3890642号)、例えば、フィード開始1時間以内に全反応液中のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸濃度が40wt%を超えると、得られるパラスチレンスルホン酸ナトリウム結晶が大きくなりすぎるため、流動性は良好だが溶解性が悪いパラスチレンスルホン酸ナトリウム半水物が得られる。
本発明で製造されるパラスチレンスルホン酸ナトリウムは、反応晶析条件の改良によって、粒径を制御することが可能で、例えばレーザー回折・散乱式粒度分析計で測定したメジアン径が25.00〜150.00μm、10.00μm未満の小粒が10.00%以下の粒子であって、水分が10.00wt%以下、及び安息角が55度以下の製品が得られる。このようなパラスチレンスルホン酸ナトリウムは、優れた溶解性を維持したまま、流動性が向上しているため、取扱い性が良く、さらに、高純度なパラスチレンスルホン酸ナトリウムを効率よく製造できるため、上記した産業分野において利用価値が高い。
なお、本発明のパラスチレンスルホン酸ナトリウムは、後記で定義される安息角が55度以下、好ましくは50度以下である。55度を超えると、流動性が劣るものとなる。安息角が55度以下であると、流動性に優れ、工場で大量使用する際に、ホッパーでの目詰まりなどのトラブルが解消され好ましい。安息角を小さくするためには、粉体の流動性を高くすればよい。流動性とパラスチレンスルホン酸ナトリウム粉体の構造、組成との関係は必ずしも明らかではないが、粉体中の水分の影響が大きいと考えられる。即ち、粉体の粒径が小さいほど、全表面積の増大によって水分が増大する結果、流動性が低下するものと考えられ、水分は上記した粒径制御により調整することができる。
また、本発明のパラスチレンスルホン酸ナトリウムの水への溶解性(後記「溶解速度の測定」を参照)は、好ましくは200秒以下、さらに好ましくは160秒以下である。溶解性が高すぎることによる弊害はないが、200秒を超えると、化学原料としてパラスチレンスルホン酸ナトリウムを工場で大量使用する際に、生産性が低下したり、ストレーナーの目詰まりなどのトラブルが起り易くなり好ましくない。この溶解性は、上記した粒径制御により調整することができる。
次に、本発明のPSSナトリウムの製造法について説明する。
PSSナトリウムの製造法は、特に限定するものではないが、第1例として、一般的なラジカル重合による方法を例示する。例えば、反応容器に水又は水性溶媒ならびにパラスチレンスルホン酸ナトリウム、及び必要に応じてパラスチレンスルホン酸ナトリウムとラジカル共重合可能な他のモノマーの混合物の均一溶液を仕込み、必要に応じて分子量調節剤を加え、系内を脱酸素した後、所定温度に加熱し、ラジカル重合開始剤を添加しながら重合すれば良い。この際、急激な重合を避けるため、及び低分子量域での分子量制御性を考慮する場合、最初に全てのモノマー混合物を反応容器に仕込むのではなく、各々のモノマーを、重合開始剤や分子量調節剤と共に、反応容器に少量ずつ連続添加するのが好ましい。また、パラスチレンスルホン酸ナトリウムなど、水溶性モノマーの水溶液を油中に微分散又は乳化した後、ラジカル重合開始剤を添加しながら重合(所謂、逆相エマルジョン重合)することによってもPSSナトリウムを製造できる。
反応溶媒は特に限定するものではないが、パラスチレンスルホン酸ナトリウム及び共重合可能な他のモノマー(コモノマー)の溶解性、並びにエマルジョン重合における分散剤としての利用、衣料仕上げ剤における合成糊としての利用を考慮すると、水及び水溶性溶剤の混合物が好ましい。水溶性溶剤としては、パラスチレンスルホン酸ナトリウムとコモノマーの混合物が溶解する組成であれば制限はないが、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等があげられる。好ましくは、アセトン、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、およびジメチルホルムアミドである。
反応溶媒である水又は水性溶媒の使用量は、モノマー全量100重量部に対し、通常、150〜2,000重量部である。
分子量調節剤は特に限定されるものではないが、例えば、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド、2,2’−ジチオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、4,4’−ジチオジブタン酸、2,2’−ジチオビス安息香酸などのジスルフィド類、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、チオマロン酸、ジチオコハク酸、チオマレイン酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、5−メルカプトテトラゾール酢酸、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、メルカプトエタノール、1,2−ジメチルメルカプトエタン、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩、6−メルカプト−1−ヘキサノール、2−メルカプト−1−イミダゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、システイン、N−アシルシステイン、グルタチオン、N−ブチルアミノエタンチオール、N,N−ジエチルアミノエタンチオールなどのメルカプタン類、ヨードホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー、ベンジルジチオベンゾエート、2−シアノプロプ−2−イルジチオベンゾエート、有機テルル化合物、イオウ、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム等が挙げられる。
分子量調節剤の使用量は、モノマー全量100重量部に対し、通常、0.1〜10重量部である。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などのパーオキサイド類、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレートなどのアゾ化合物等があげられる。また、必要に応じて、アスコルビン酸、エリソルビン酸、アニリン、三級アミン、ロンガリット、ハイドロサルファイト、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤を併用しても良い。
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマー全量100重量部に対し、通常、0.1〜10重量部である。
重合条件は特に限定するものではないが、不活性ガス雰囲気下、20〜120℃で、4〜50時間加熱すれば良く、重合溶媒、モノマー組成、及び重合開始剤種によって適宜調整すれば良い。
本発明のPSSナトリウムは、上記の一般的なラジカル重合でも製造できるが、リビング重合法を適用すれば分子量分布を狭くしたり、ブロック共重合体を製造することもできる。
パラスチレンスルホン酸ナトリウムのような極性モノマーに対しては、リビングラジカル重合法がより好ましい。
リビングラジカル重合法としては、例えば、原子移動重合法、安定ニトロキシル媒介重合法、可逆的付加解裂移動重合法、有機テルル媒介重合法(高分子論文集、vol.64、No.6、pp.329、2007年)、ヨウ素移動重合法(特開2007−92014号公報;高分子論文集、vol.59、No.10、798頁、2010年;触媒、vol.54、No.4、257頁、2012年)、ホスフィンと二硫化炭素のコンプレックスを用いる重合法(特開2006−233012号公報)、トリアルキルボランを用いる方法(接着、50巻、4号、23頁、2006年)、α−メチルスチレンダイマーを用いる方法(特開2000−169531号公報)があげられ、これらの方法が本発明にも適用できる。
リビングラジカル重合の具体例としては、水性溶媒中でパラスチレンスルホン酸ナトリウム以外のラジカル重合性モノマーをリビングラジカル重合後、本発明のパラスチレンスルホン酸ナトリウムを加え、さらにリビングラジカル重合を継続、又は、水性溶媒中でパラスチレンスルホン酸ナトリウムをリビングラジカル重合後、他のラジカル重合性モノマーを加え、さらにリビングラジカル重合を継続する。例えば、このようなリビングラジカル重合を行うことにより、PSSブロック共重合体を製造することができる。
本発明のPSSナトリウムは、必要に応じて、パラスチレンスルホン酸ナトリウムとラジカル共重合可能なモノマーをランダム共重合しても良い。特に制限はないが、例えば、PSSナトリウムブロック共重合体の説明で記載したモノマーがあげられる。
次に、クロロプレンゴムの製造法について説明する。これらの製造法については特に限定されるものではなく、公知の方法が適用できる(例えば、上記の特許第3601136号)。
例えば、攪拌機と温度調節用のジャケットを備えた反応容器に、水、クロロプレン等のモノマー、乳化剤、分散剤、分子量調節剤、及び必要に応じてpH調整剤を仕込み、系内の酸素を除去し、モノマーを十分乳化させた後、ラジカル開始剤を添加しながら所定温度で重合すれば良い。よりクロロプレンの結晶性や凝集力を高めたい場合には、ラジカル開始剤と還元剤を併用し、低温で重合すれば良い。重合温度は10〜50℃で、3〜10時間重合し、所望の重合転化率に達したところで、重合禁止剤を添加して重合を停止する。分子量調節剤、重合開始剤及び還元剤としては、PSSナトリウムの製造で用いるものが使用できる。さらに、上記で得られたクロロプレンゴムに、極性と凝集力を付与するため、ポリメタクリル酸メチルなどの硬質成分をグラフト重合しても良い。
上記乳化剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性乳化剤としては、例えば、ロジン酸塩、脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルサクシネートスルホン酸塩、ポリオキシエチレン多環式フェニルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリアクリル酸エステルアクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸エステルメタクリル酸共重合体、ポリアクリルアミドアクリル酸共重合体、ポリメタクリルアミドメタクリル酸共重合体、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩等があげられ、ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アミンオキシド系ノニオン乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン多環式フェニルエーテル、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコキシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリレート、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリジエチルアミノエチルアクリレート、ポリt−ブチルエチルアミノエチルメタクリレート、ポリt−ブチルアミノエチルアクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体、ポリジメチルアミノエチルアクリレート/エチルアクリレート共重合体等があげられ、カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキル型四級アンモニウム塩、脂肪酸アミドアミン塩、アルキルアミノ酸塩等があげられ、両性乳化剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノスルホベタイン、アルキルスルホベタイン等があげられる。
上記分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、タウリン誘導体、ポリスチレンスルホン酸(塩)、ポリスチレンスルホン酸/メタクリル酸共重合体(塩)、ポリスチレンスルホン酸/アクリル酸共重合体(塩)、ポリスチレンスルホン酸/アクリル酸エステル共重合体(塩)、スチレンスルホン酸/マレイン酸共重合体(塩)、スチレンスルホン酸/アクリルアミド共重合体(塩)、スチレンスルホン酸/メタクリルアミド共重合体(塩)、スチレンスルホン酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(塩)、スチレンスルホン酸/ビニルピロリドン共重合体(塩)、ポリビニルホスホン酸共重合体(塩)、ポリビニルスルホン酸共重合体(塩)、ポリイソプレンスルホン酸共重合体(塩)等があげられ、特に好ましくは本発明の高純度PSSナトリウムである。
本発明の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムは、従来品に比べて著しく色相が優れるため、高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、及びこれを用いて得られるPSSナトリウムは、クロロプレンゴムなどのポリマーエマルジョンの製造において極めて有用な反応性乳化剤及び分散剤となる。
本発明で製造される色相が優れたPSSナトリウムは、上記で説明したクロロプレンゴムなどのポリマーエマルジョンを製造するための分散剤として利用できる他、色相が重要な衣料アイロン仕上げ用の合成糊、パーソナルケア用品、帯電防止剤、及び顔料などの各種水性分散体を製造するための分散剤として極めて有用である。ここで、衣料用アイロン仕上げ剤における合成糊として用いる場合には、その具体的実施態様としては、本発明のPPSナトリウム水溶液に、シリコーンポリマー(平滑剤として機能)、プロピレングリコール(安定化剤として機能)、防腐剤、香料などを配合する例が挙げられる。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
なお、以下の実施例において、β−ハロエチルベンゼンスルホン酸、パラスチレンスルホン酸ナトリウム、PSSナトリウム、クロロプレンゴムの分析及び評価は以下の条件で実施した。
<ICP−MSによるβ−ハロエチルベンゼンスルホン酸及びパラスチレンスルホン酸ナトリウム中の鉄分の定量>
試料約0.1gを25mlポリメスフラスコに精秤し、68%高純度硝酸1mlを添加し、メスアップ後、パーキンエルマー社製、誘導結合プラズマ質量分析装置NexION300Sにより鉄分を定量した。
<HPLCによるβ−ブロモエチルベンゼンスルホン水溶液濃度の測定>
試料を下記溶離液Aで溶解して濃度1.2〜1.5mg/mlの溶液を調製し、HPLC分析を実施した。測定条件は以下の通りである。なお、70wt%β−ブロモエチルベンゼンスルホン水溶液を標準として検量線を作成した。
機種=東ソー社製LC−8020
(デガッサー:SD−8022、ポンプ:CCPM−II、カラムオーブン:CO−8020、紫外可視検出器:UV−8020)
カラム=TSKgel ODS-80TsQA(4.6mm×25cm)
溶離液=A液)水/アセトニトリル体積比=95/5+0.1wt%トリフルオロ酢酸
B液)水/アセトニトリル体積比=80/20+0.1wt%トリフルオロ酢酸
グラジエント条件=55分までA液100%、55分〜95分までB液100%
流量=0.8ml/min、UV検出条件=230nm、カラム温度=常温、注入量=20μl
<パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の水分の定量>
試料2gを0.1mgの桁まで秤量瓶(直径55mm×高さ30mm)に秤取り、乾燥機(105±5℃)で90分乾燥した。直ちにデシケータに移して室温まで冷却後、その質量を0.1mgの桁まで量り、次式から水分を算出した。
水分(wt%)=100×(a−b)/S
a=乾燥前の試料と秤量瓶の重量(g)、b=乾燥後の試料と秤量瓶の重量(g)、S=試料量(g)
<試料中のスチレンスルホン酸ナトリウム分(純分)の定量>
酸化還元滴定法により、活性二重結合を定量し、試料中のスチレンスルホン酸ナトリウム含量(即ち、パラ体の他、オルソ、メタ体も含む)とした。
(1)器具及び装置
1)秤量瓶:直径50mm、深さ70mm
2)500ml、1000mlメスフラスコ
3)500ml共栓付三角フラスコ
3)電子化学天秤
(2)試薬
1)臭素液:臭化カリウム(KBr)22.00g、臭素酸カリウム(KBrO)3.00gを純水に溶解し、全体を1000mlとした。
2)硫酸水溶液(濃硫酸/純水体積比=1/1)
3)ヨウ化カリウム水溶液(200g/L)
4)0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液
5)でんぷん水溶液:6.00gのでんぷんを純水に溶解し、全体を1000mlとした。
(3)操作
1)試料20gを0.1mgの桁まで秤量瓶に秤取る。
2)500mlメスフラスコに純水で洗い移し、液量を約400mlとする。
3)磁気回転子を入れて撹拌し、試料を溶解する。
4)回転子を取り出し、純水で標線を合わせて振り混ぜ、検液とする。
5)純水200mlを入れた500ml共栓付三角フラスコに臭素液25mlを加える。
6)検液5mlを加えた後、硫酸水溶液10mlを加えて密栓し、20分間放置する。
7)ヨウ化カリウム水溶液10mlを素早く加えて10分間放置する。
8)チオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定し、溶液の黄色が薄くなってから、指示薬として、でんぷん溶液1mlを加え、生じたヨウ素でんぷんの青色が消えるまで滴定する。
9)別に空試験として、純水200mlを加えて共栓付三角フラスコに臭素液25mlを加え、ヨウ化カリウム水溶液10ml、硫酸水溶液10mlを素早く加え、8)の操作を行う。
(4)計算
次式によってスチレンスルホン酸ナトリウム含量を算出する。
A=100×[0.01031×(a−b)×f]/(S×5/500)
A:スチレンスルホン酸ナトリウム含量(%)
a:空試験に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液(ml)
b:本試験に要したチオ硫酸ナトリウム水溶液(ml)
f:チオ硫酸ナトリウム水溶液の力価
S:試料量(g)
<パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の臭化ナトリウムの定量>
(1)試料の調製
試料20gを0.1mgの桁まで秤量瓶(50mmφ×70mm)に秤取り、500mlメスフラスコに純水で洗い移し、液量を約400mlとした。磁気撹拌子を入れて攪拌、溶解後、撹拌子を取出し、標線まで純水を加えて振り混ぜた。当該溶液5mlを100mlメスフラスコに正しく採取し、標線まで純水を加えて試料溶液とした。
上記試料溶液及び混合標準液(関東化学(株)製の標準液を用い、Br=5,000μg/100ml、Cl=500μg/100ml、SO=2,000μg/100mlとなるように調製)をイオンクロマトグラフに注入し、各ピーク面積から試料中の臭化ナトリウム量を算出した。
(2)測定条件
機種=東ソー社製、イオンクロマトグラフィーシステム8020
カラム=TSK−Gel IC−Anion−PW
カラム温度=40℃
試料注入量=100μl
流量=0.7ml
溶離液=フタル酸水素カリウム5gとアセトニトリル300mlに純水を加えてトータル3000mlに調製した。
(3)計算
次式によって臭化ナトリウム(NaBr)の含有量を算出した。
A=〔〔(5,000μg×1.288×a/b)+(500μg×2.899×c/d)〕/(S×5/500)〕×10−4
A:臭化ナトリウム(NaBr)の含有量(%)
a:試料面積(Br)
b:標準面積(Br)
c:試料面積(Cl)
d:標準面積(Cl)
S:試料量(g)
<HPLCによるパラスチレンスルホン酸ナトリウム中の不純物の分析>
測定条件は上記β−ブロモエチルベンゼンスルホン水溶液濃度の測定と同じである。パラスチレンスルホン酸ナトリウム(結晶水及び付着水を含む有姿の試料)試料を上記溶離液Aで溶解して濃度0.5mg/mlの溶液を調製し、HPLC分析を実施した。各不純物(a)〜(e)の含有率は、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと本条件で検出される(a)〜(e)のHPLCピーク面積の総和を100とした面積比である。
なお、HPLCで検出される各ピークは、予め下記の方法で同定した。
HPLCで検出される各成分を分取し、カチオン交換樹脂で処理してパラスチレンスルホン酸塩をスルホン酸型へ変換した後、スルホン酸基をジアゾメタンでメチルエステル化し、ガスクロマトグラフ質量分析(日立製作所製M−80B)、フーリエ変換赤外分析(パーキンエルマー社製、System2000)、有機元素分析(ヤナコ製、CHNコーダーMT−3)、及び核磁気共鳴分析(バリアン社製、VXR−300)を実施し、構造を決定した。
<粒径分布の測定>
試料0.55gとイソプロパノール15.0gを30mlガラス製サンプル瓶に採取し、超音波洗浄機で4分間処理してスラリーを調製後、レーザー回折・散乱式粒度分析計マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)を用い、下記の条件で粒度(メジアン径)分布測定を行なった。
Particle Transparency =Transp
Spherical Particles =No
Particle Refractive Index=1.55
Fluid Refractive Index =1.38
<安息角の測定>
(1) 器具及び装置
1)安息角測定装置、2)分度器、および3)電子上皿天秤は、図3のとおりの構成とした。
(2) 操作
1)試料80gを、装置のロートを通してシャーレ上に自然落下させる。
2)シャーレ上にできた円錐の頂角(a)を分度器で整数の桁まで読みとる。
3)この操作を3回繰り返し、円錐の頂角(a)の平均値を求める。
(3) 計算
次式によって安息角を算出する。安息角が小さいほど流動性が優れる。
A=(180 −a )/2
ここに、A:安息角(度)、a:円錐の頂角(度)
<溶解速度〔水への溶解性〕の測定>
25℃の恒温室で、20mlガラス製サンプルビン(外径27mm×深さ55mm)にパラスチレンスルホン酸ナトリウム粉体(不純物や水分を含む有姿)を1.00g精秤した後、イオン交換水9.00gを素早く加えた。その後、当該サンプル瓶の上下を1秒間に1サイクルの周期で逆転させ、パラスチレンスルホン酸ナトリウムが溶解するまでの時間を目視判定した。
<色差計によるパラスチレンスルホン酸ナトリウムの白色度と黄色度の測定>
色差計(日本電色工業株式会社製、C−106)の電源を入れ30分間安定させた後、投光レンズ(30mmφ)及び試料台(30mmφ)を取付け、標準合わせを行った。試料3.0gをセルに秤取り、1KGの重りを30秒間置いた後、セル低部に空間、シワがないことを確認した。色差計で測定し、白色度(WI値)と黄色度(YI値)を読み取った。
<パラスチレンスルホン酸ナトリウム及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液のAPHA値の測定>
色差計(日本電色工業株式会社製、C−106)の電源を入れ30分間安定させた後、測定方法を透過に変更し、投光レンズ(30mmφ)及び試料台(30mmφ)を取付け、標準白板及び0−CAL板をセットし、零校正を行った。角セルに水を入れて標準校正を行った後、15wt%パラスチレンスルホン酸ナトリウム及び15wt%ポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液サンプルを角セルに移し入れてセットしAPHA値を読み取った(APHA0〜500の標準液を用いて作成した検量線から換算した)。
<衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての色相評価>
直径5cmの円形に裁断した市販ポリエステル綿混紡白色生地を15wt%ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの15wt%水溶液(純分換算)に浸漬した。生地全体に水溶液を馴染ませた後、ピンセットで引上げ、余分な水溶液を振り切った後、180℃のアイロンで3分間乾燥し(アイロンは動かさずに固定)、試験片を作製した。試験片の色相は目視及び上記色差計で分析した。
色差計(日本電色工業株式会社製、C−106)の電源を入れ30分間安定させた後、投光レンズ(30mmφ)及び試料台(30mmφ)を取付け、標準合わせを行った。試料台の裏にサンプル生地を固定した後、試料台に黒いボックスを被せて外からの光を遮断し色相を測定した。黄色度を表すYI値、黄味と青味を表すb値から、衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての性能を簡易的に判定した。
<クロロプレンゴム溶液の色相評価>
クロロプレンゴムの5wt%トルエン溶液を調製し、日立製作所(株)製の吸光光度計 U-1500を用いて波長440nmの吸光度測定により色相(黄色性)を評価した。数値が小さいほど淡色で良い。
<色相の耐熱老化性の評価>
クロロプレンゴムをギヤオーブン中70℃×3日加熱後、上記方法で溶液の色相を評価した。
<GPC分子量及びモノマー重合転化率の測定>
モノマー重合転化率及びPSSナトリウムの分子量は、下記の条件で測定した。
機種=東ソー製、LC−8020
(デガッサー:SD−8022、ポンプ:DP−8020、カラムオーブン:CO−8020、紫外可視検出器:UV−8020)
カラム=TSK guardcolumn α+TSK gel α-6000+TSK gel α−3000
溶離液=リン酸緩衝液(pH=7)とアセトニトリルの体積比9:1溶液
(上記リン酸緩衝液は、0.08モルのKH2POと0.12モルのNa2HPO4を純水に溶解し、全量1Lにして調製した。)
カラム温度=40℃、流量=0.6ml/min
検出器=UV検出器(波長230nm)、注入量=100μl
検量線=創和科学製の単分散ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(3K、15K、41K、300K、1000K、2350K、5000K)のピークトップ分子量と溶出時間から作成した。
実施例1(高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、PSSナトリウムの製造、及び衣料アイロン剤用の合成糊としての評価例1)
(鉄分の低減されたβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸の製造)
ポリプロピレン製ビーカーにカチオン交換樹脂〔オルガノ社製、アンバーライトRB−120(塩酸で再生したもの)〕600mlと73wt%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液400gを採取し、テフロン(ポリテトラフルオロエチレン)製の撹拌羽根を用いて常温で5時間ゆっくり撹拌した。その後、ガラスフィルターでイオン交換樹脂を濾別し、濾液をロータリーエバポレーターで濃度調整し、70wt%のβ−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液350gを得た。水溶液中の鉄分は0.34μg/gであった。
なお、β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸は、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの製造工程で得られる中間製品を用いた。
(高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
ジャケットを備えた攪拌機付のステンレス製反応器に12%苛性ソーダ水溶液390重量部と亜硝酸ソーダ1.2重量部を仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温した。これを90℃に維持して、撹拌下、窒素雰囲気下、48%苛性ソーダ水溶液660重量部と上記で得た70wt%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液1,012重量部とを3時間かけて滴下した。得られたパラスチレンスルホン酸ナトリウム結晶のスラリーを30℃まで冷却後、遠心分離機で固液分離して、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの湿潤ケーキ446重量部を得た。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムの純度は88.8wt%、水分は6.5wt%、鉄分は0.56μg/g、臭化ナトリウム分は2.00wt%、異性体等の有機不純物は、(a)0.16%、(b)0.43%、(c)2.65%、(d)0.04%、(e)0.15%だった(図1にHPLCチャートを示した)。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのメジアン径は81μm、10,00μm未満の小粒は0.5%、安息角は46度で、水への溶解時間は165秒であった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのWI値は95.7、YI値は5.8、及び15wt%水溶液のAPHA値は30であり、従来品(比較例1)と比較して明らかに優れた色相を示した。
(高純度ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、純水100.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔上記で得た高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム240.00gを純水824.00に溶解したもの〕を86分、開始剤水溶液(過硫酸アンモニウム2.00gを純水121.00gに溶解したもの)を220分かけて滴下し、重合を行った。重合を開始して3時間後、オイルバス温度を90℃に昇温し、更に3時間重合を継続し、ポリスチレンスルホンナトリウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホンナトリウムの数平均分子量Mnは170,000、重量平均分子量Mwは360,000だった。当該ポリマーをPSS−1とした。
上記PSS−1の15wt%水溶液のAPHA値は50であり、従来品(比較例1)と比較して明らかに優れた色相を示した。色相の差は目視観察でも歴然としていた。
(衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての評価)
上記PSS−1の15wt%水溶液に含浸させ、アイロン乾燥した生地の色相は、目視評価で僅かに比較例1よりも優れた。生地のb値は−5.4(元の生地のb値は−6.8)、YI値は−11.1(元の生地のYI値は−13.7)であり、黄色ではなくて青色の度合いを示す結果になったが、比較例1と比べて明らかに元の生地に近い色相を示した。即ち、僅かな塗布量であっても、従来品(比較例1)に対する色相の優位性が明らかである。以上の評価結果は表1にまとめた。
実施例2(高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、PSSナトリウムの製造、及び衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての評価例2)
(高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
ジャケットを備えた攪拌機付のステンレス製反応器に、実施例1で得た高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム1,000g、亜硝酸ナトリウム1g、苛性ソーダ20g、純水950gを仕込み、窒素雰囲気下、60℃で1時間撹拌した。その後、3時間かけて室温まで冷却後、遠心分離機で固液分離して、高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの湿潤ケーキ899gを得た。
上記高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの純度は89.1wt%、水分は8.2wt%、鉄分は0.58μg/g、臭化ナトリウム分は0.20wt%、異性体等の有機不純物は、(a)0.05%、(b)0.00%、(c)1.34%、(d)0.01%、(e)0.01%だった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのメジアン径は63μm、10,00μm未満の小粒は2.0%、安息角は49度で、水への溶解時間は155秒であった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのWI値は95.5、YI値は2.9、及び15wt%水溶液のAPHA値は15であり、従来品(比較例1)と比較して明らかに優れた色相を示した。さらに、理由は定かでないが、鉄分は実施例1と同じレベルであっても、臭化ナトリウムや異性体などの不純物を低減することによって、色相が一層向上していることが明らかである。
(高純度ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、純水100.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔上記で得たパラスチレンスルホン酸ナトリウム240.00gを純水824.00に溶解したもの〕を86分、開始剤水溶液(2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩2.00gを純水120.00gに溶解したもの)を220分かけて滴下し、重合を行った。重合を開始して3時間後、オイルバス温度を90℃に昇温し、更に3時間重合を継続し、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホン酸ナトリウムの数平均分子量Mnは160,000、重量平均分子量Mwは350,000だった。当該ポリマーをPSS−2とした。
上記PSS−2の15wt%水溶液のAPHA値は10であり、従来品(比較例1)と比較して優れた色相を有することが明らかである。
(衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての評価)
上記PSS−2の15wt%水溶液に含浸させ、アイロン乾燥した生地の色相は、目視評価で僅かに比較例1よりも優れた。生地のb値は−6.0(元の生地のb値は−6.8)、YI値は−12.2(元の生地のYI値は−13.7)であり、黄色ではなくて青色の度合いを示す結果になったが、比較例1と比べて明らかに元の生地に近い色相を示した。即ち、僅かな塗布量であっても、従来品(比較例1)に対する色相の優位性が明らかである。以上の評価結果は表1にまとめた。
実施例3(PSSナトリウム及びクロロプレンゴムの製造並びに評価例1)
(ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、純水84.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔実施例1で得たパラスチレンスルホン酸ナトリウム193.00g、及びチオグリセロール8.56gを純水700.00に溶解したもの〕を73分、開始剤水溶液(2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩5.10gを純水104.00gに溶解したもの)を130分かけて滴下し、重合を行った。重合を開始して3時間後、オイルバス温度を90℃に昇温し、更に3時間重合を継続し、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホン酸ナトリウムの数平均分子量Mnは4,000、重量平均分子量Mwは5,200だった。当該ポリマーをPSS−3とした。
上記PSS−3の15wt%水溶液のAPHA値は15であり、従来品(比較例1)と比較して優れた色相を有することが明らかである。
(クロロプレンゴムの製造)
ジャケットを備えた攪拌機付の10Lステンレス製反応器に、クロロプレン100重量部、n−ドデシルメルカプタン0.12重量部、不均化ロジン酸カリウム3.00重量部、上記ポリスチレンスルホン酸ナトリウム2.00重量部、水酸化ナトリウム0.20重量部、ハイドロサルファイトナトリウム0.005重量部、及び純水100重量部を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌を開始し、0.35wt%過硫酸カリウム水溶液を連続的に滴下しながら12℃で重合を開始した。重合転化率70%に到達したところで、重合停止剤として2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t-ブチルフェノール)を0.05重量部添加して重合を停止させた。エマルジョン中に凝集物は全く認められなかった。
未反応のクロロプレンをスチームストリッピング法で除去した後、希酢酸でエマルジョンのpHを6に調整し、凍結凝固、水洗、熱風乾燥を行い、固形のクロロプレンゴム71重量部を得た。
(クロロプレンゴムの評価)
クロロプレンゴム溶液の吸光度(色相)は0.03、耐熱老化後の吸光度は0.04であり、明らかに比較例5より優れる結果であった。以上の評価結果は表1にまとめた。
実施例4(PSSナトリウム及びクロロプレンゴムの製造並びに評価例2)
(ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、純水120.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔実施例2で得たパラスチレンスルホン酸ナトリウム210.00g、メタクリル酸19.98g、チオグリセロール6.21g、及び39.45wt%水酸化ナトリウム水溶液23.98gを純水850.00に溶解したもの〕を85分、開始剤水溶液(2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩3.33gを純水120.00gに溶解したもの)を140分かけて滴下し、重合を行った。重合を開始して3時間後、オイルバス温度を90℃に昇温し、更に3時間重合を継続し、PSSナトリウムとして、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸ナトリウム共重合体水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸ナトリウム共重合体の数平均分子量Mnは5,600、重量平均分子量Mwは8,900だった。当該ポリマーをPSS−4とした。
上記PSS−4の15wt%水溶液のAPHA値は10であり、従来品(比較例1)と比較して優れた色相を有することが明らかである。さらに、理由は定かでないが、鉄分は実施例3と同じレベルであっても、臭化ナトリウムや異性体などの不純物を低減することによって、色相が一層向上していることが明らかである。
(クロロプレンゴムの製造)
ジャケットを備えた攪拌機付の10Lステンレス製反応器に、クロロプレン100重量部、n−ドデシルメルカプタン0.12重量部、不均化ロジン酸カリウム3.00重量部、上記ポリスチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸共重合体ナトリウム共重合体2.00重量部、水酸化ナトリウム0.20重量部、ハイドロサルファイトナトリウム0.005重量部、及び純水100重量部を仕込み、窒素雰囲気下、撹拌を開始し、0.35wt%過硫酸カリウム水溶液を連続的に滴下しながら12℃で重合を開始した。重合転化率70%に到達したところで、重合停止剤として2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t-ブチルフェノール)を0.05重量部添加して重合を停止させた。エマルジョン中に凝集物は全く認められなかった。
未反応のクロロプレンをスチームストリッピング法で除去した後、希酢酸でエマルジョンのpHを6に調整し、凍結凝固、水洗、熱風乾燥を行い、固形のクロロプレンゴム71重量部を得た。
(クロロプレンゴムの評価)
クロロプレンゴム溶液の吸光度(色相)は0.03、耐熱老化後の吸光度は0.04であり、明らかに比較例5よりも優れる結果であった。以上の評価結果は表1にまとめた。
実施例5(高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、PSSナトリウムの製造、及び衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての評価例3)
(高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
ジャケットを備えた攪拌機付のステンレス製反応器に、市販のパラスチレンスルホン酸ナトリウム(水分は10.4wt%、鉄分は5.12μg/g、臭化ナトリウムは2.30wt%、異性体等の有機不純物は、(a)0.38%、(b)3.87%、(c)7.77%、(d)0.06%、(e)0.73%のもの)1,000g、亜硝酸ナトリウム1g、苛性ソーダ20g、純水950gを仕込み、窒素雰囲気下、40℃で1時間撹拌した。その後、30分で室温まで冷却後、遠心分離機で固液分離して、高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの湿潤ケーキ900gを得た。
上記高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの純度は83.4wt%、水分は10.2wt%、鉄分は1.03μg/g、臭化ナトリウム分は2.00wt%、異性体等の有機不純物は、(a)0.30%、(b)3.20%、(c)6.40%、(d)0.04%、(e)0.39%だった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのメジアン径は18.6μm、10,00μm未満の小粒は14.3%、安息角は59度で、水への溶解時間は130秒であった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのWI値は95.0、YI値は7.5、及び15wt%水溶液のAPHA値は80であり、実施例1及び2よりも劣ったが、従来品(比較例1)と比較して明らかに優れた色相を示した。さらに、理由は定かでないが、鉄分は比較例5と同等であっても、臭化ナトリウムや異性体などの不純物を低減することによって、色相が一層向上していることが明らかである。
(高純度ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
還流冷却管、窒素導入管、バドル型攪拌機を取り付けた1Lガラスフラスコに、純水100.00gを仕込み、窒素雰囲気下、85℃のオイルバスで加熱した。ここに、別途調製したパラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液〔上記で得たパラスチレンスルホン酸ナトリウム240.00gを純水824.00に溶解したもの〕を86分、開始剤水溶液(過硫酸アンモニウム2.00gを純水121.00gに溶解したもの)を220分かけて滴下し、重合を行った。重合を開始して3時間後、オイルバス温度を90℃に昇温し、更に3時間重合を継続し、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液を得た。
GPCで求めたポリスチレンスルホン酸ナトリウムの数平均分子量Mnは160,000、重量平均分子量Mwは340,000だった。当該ポリマーをPSS−5とした。
上記PSS−5の15wt%水溶液のAPHA値は100であり、比較例1と比較して優れた色相を有することが明らかである。
(衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての評価)
上記PSS−5の15wt%水溶液に含浸させ、アイロン乾燥した生地の色相は、目視評価で僅かに比較例1よりも優れた。生地のb値は−4.9(元の生地のb値は−6.8)、YI値は−10.0(元の生地のYI値は−13.7)であり、黄色ではなくて青色の度合いを示す結果になったが、比較例1と比べて明らかに元の生地に近い色相を示した。即ち、僅かな塗布量であっても、比較例1に対する色相の優位性が明らかである。以上の評価結果は表1にまとめた。
比較例1(PSSナトリウムの製造と衣料アイロン剤用の合成糊としての評価例4)
(ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
市販Aのパラスチレンスルホン酸ナトリウムを分析した結果、純度は82.9wt%、水分は10.4wt%、鉄分は5.12μg/g、臭化ナトリウムは2.30wt%、異性体等の有機不純物は、(a)0.38%、(b)3.87%、(c)7.77%、(d)0.06%、(e)0.62%であった(図2にHPLCチャートを示した)。また、WI値は90.2、YI値は16.5、及び15wt%水溶液のAPHA値は220であり、実施例1の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムより明らかに色相が劣った。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのメジアン径は20.2μm、10,00μm未満の小粒は12.6%、安息角は60度で、水への溶解時間は132秒であった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムを用い、実施例1と同じ条件でポリスチレンスルホン酸ナトリウムを合成した。GPCで求めた数平均分子量Mnは160,000、重量平均分子量Mwは350,000だった。当該ポリマーをPSS−6とした。
上記PSS−6の15wt%水溶液のAPHA値は250であり、原料であるパラスチレンスルホン酸ナトリウム、及び実施例1のポリスチレンスルホン酸ナトリウムと比較して明らかに色相が劣った。
上記PSS−6の15wt%水溶液に含浸させ、アイロン乾燥した生地の色相は、目視評価で僅かに実施例1より劣った。生地のb値は−3.8(元の生地のb値は−6.8)、YI値は−8.3(元の生地のYI値は−13.7)であり、黄色ではなくて青色の度合いを示す結果になったが、実施例1と比べて明らかに元の生地と離れた色相を示した。即ち、僅かな塗布量であっても、実施例1に対する色相の劣位性が明らかである。以上の評価結果は表1にまとめた。
比較例2(PSSナトリウムの製造と衣料アイロン剤用の合成糊としての評価5)
比較例1と同じ市販Aのパラスチレンスルホン酸ナトリウムを用い、実施例2と同じ条件でポリスチレンスルホン酸ナトリウムを合成した。GPCで求めた数平均分子量Mnは150,000、重量平均分子量Mwは340,000だった。当該ポリマーをPSS−7とした。
上記PSS−7の15wt%水溶液のAPHA値は210であり、原料であるパラスチレンスルホン酸ナトリウム、及び実施例2のポリスチレンスルホン酸ナトリウムと比較して明らかに色相が劣った。ここで、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの色相に悪影響を及ぼさない、すなわち良好な色相が得られると報告されているアゾ開始剤2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(例えば、特開平11−181004号公報)を使用しても、原料であるパラスチレンスルホン酸塩が特定の不純物を含む場合には、十分な色相は得られないことが明らかである。
上記PSS−7の15wt%水溶液に含浸させ、アイロン乾燥した生地の色相は、目視評価で僅かに実施例2より劣った。生地のb値は―4.2(元の生地のb値は−6.8)、YI値は−8.8(元の生地のYI値は−13.7)であり、黄色ではなくて青色の度合いを示す結果になったが、実施例2と比べて明らかに元の生地と離れた色相を示した。即ち、僅かな塗布量であっても、実施例2に対する色相の劣位性が明らかである。以上の評価結果は表1にまとめた。
比較例3(PSSナトリウムの製造と衣料アイロン剤用の合成糊としての評価例6)
(パラスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
ジャケットを備えた攪拌機付のステンレス製反応器に、比較例1〜2と同じ市販Aのパラスチレンスルホン酸ナトリウム1,500g、亜硝酸ナトリウム3.0g、イソプロパノール10,800gを仕込み、撹拌、分散させた後、純水2,700gを加え、窒素雰囲気下、70℃で1時間撹拌した。その後、4時間かけて室温まで冷却後、ヌッチェ濾過し、さらに、遠心分離機で溶媒を取り除くことによって、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの湿潤ケーキ1,370gを得た。
上記精製パラスチレンスルホン酸ナトリウムを分析した結果、純度は85.5wt%、水分は10.8wt%、鉄分は5.10μg/g、臭化ナトリウムは0.45wt%、異性体等の有機不純物は、(a)0.01%、(b)0.01%、(c)1.60%、(d)0.03%、(e)0.03%であった。色相を測定した結果、WI値は93.5、YI値は12.5、及び15wt%水溶液のAPHA値は150であり、実施例1の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムより明らかに色相が劣った。即ち、臭化ナトリウム及び異性体等の有機不純物を低減しても、鉄分が多い場合には十分な色相が得られないことが明らかである。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのメジアン径は21.5μm、10,00μm未満の小粒は12.1%、安息角は59度で、水への溶解時間は123秒であった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムを用い、実施例1と同じ条件でポリスチレンスルホン酸ナトリウムを合成した。GPCで求めた数平均分子量Mnは180,000、重量平均分子量Mwは380,000だった。当該ポリマーをPSS−8とした。
上記PSS−8の15wt%水溶液のAPHA値は170であり、実施例1のポリスチレンスルホン酸ナトリウムと比較して明らかに色相が劣った。さらに、パラスチレンスルホン酸ナトリウムに含まれる鉄分が多い場合、ポリマーに変換後のAPHAの増大も大きいことが明らかである。
(衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての評価)
上記PSS−8の15wt%水溶液に含浸させ、アイロン乾燥した生地の色相は、目視評価で僅かに実施例1より劣った。生地のb値は―4.5(元の生地のb値は−6.8)、YI値は−8.9(元の生地のYI値は−13.7)であり、黄色ではなくて青色の度合いを示す結果になったが、実施例1と比べて明らかに元の生地と離れた色相を示した。即ち、僅かな塗布量であっても、実施例1に対する色相の劣位性が明らかである。以上の評価結果は表1にまとめた。
比較例4(パラスチレンスルホン酸ナトリウム、PSSナトリウム、及び衣料アイロン剤用の合成糊としての評価例7)
(パラスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
ジャケットを備えた攪拌機付のステンレス製反応器に35%苛性ソーダ水溶液1,054重量部と亜硝酸ソーダ1.2重量部を仕込み、撹拌しながら105℃まで昇温した。これを105℃に維持して、撹拌下、窒素雰囲気下、1時間かけて、実施例1で得た70wt%β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸水溶液1,012重量部を滴下した。得られたパラスチレンスルホン酸ナトリウム結晶のスラリーを30℃まで冷却後、遠心分離機で固液分離して、パラスチレンスルホン酸ナトリウムの湿潤ケーキ451重量部を得た。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムを分析した結果、純度は82.7wt%、水分は10.5wt%、鉄分は1.05μg/g、臭化ナトリウムは2.51wt%、異性体等の有機不純物は、(a)0.40%、(b)4.20%、(c)8.20%、(d)0.10%、(e)0.72%であった。また、WI値は93.0、YI値は10.1、及び15wt%水溶液のAPHA値は120であり、実施例1の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムより明らかに色相が劣った。即ち、パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の鉄分が3.00μg/g未満であっても、臭化ナトリウム及び異性体等の有機不純物が多い場合、十分な色相が得られないことが明らかである。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのメジアン径は20.6μm、10,00μm未満の小粒は14.3%、安息角は60度で、水への溶解時間は126秒であった。
(ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムを用い、実施例1と同じ条件でポリスチレンスルホン酸ナトリウムを合成した。GPCで求めた数平均分子量Mnは160,000、重量平均分子量Mwは350,000だった。当該ポリマーをPSS−9とした。
上記PSS−9の15wt%水溶液のAPHA値は150であり、実施例1のポリスチレンスルホン酸ナトリウムと比較して明らかに色相が劣った。さらに、パラスチレンスルホン酸ナトリウムに含まれる臭化ナトリウムや異性体等の有機不純物が多い場合、ポリマーに変換後のAPHAの増大も大きいことが明らかである。
(衣料アイロン仕上げ剤用の合成糊としての評価)
上記PSS−9の15wt%水溶液に含浸させ、アイロン乾燥した生地の色相は、目視評価で僅かに実施例1より劣った。生地のb値は−4.3(元の生地のb値は−6.8)、YI値は−8.7(元の生地のYI値は−13.7)であり、黄色ではなくて青色の度合いを示す結果になったが、実施例1と比べて明らかに元の生地と離れた色相を示した。即ち、僅かな塗布量であっても、実施例1に対する色相の劣位性が明らかである。以上の評価結果は表1にまとめた。
比較例5(PSSナトリウム及びクロロプレンゴムの製造、並びに評価例3)
(ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
実施例4において、高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムの代わりに、比較例1で用いた市販のパラスチレンスルホン酸ナトリウムを使用した他は、全て実施例4の条件でポリスチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸ナトリウム共重合体水溶液を合成した。
GPCで求めたポリスチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸ナトリウム共重合体の数平均分子量Mnは5,300、重量平均分子量Mwは9,100だった。当該ポリマーをPSS−10とした。
上記PSS−10の15wt%水溶液のAPHA値は210であり、実施例4のポリスチレンスルホン酸ナトリウム/メタクリル酸ナトリウム共重合体と比較して明らかに色相が劣った。
(クロロプレンゴムの製造)
実施例4において、ポリスチレンスルホン酸/メタクリル酸共重合体ナトリウム塩の代わりに、上記で得たポリスチレンスルホン酸/メタクリル酸共重合体ナトリウム塩を使用した他は、全て実施例4の条件でクロロプレンゴム71重量部を得た。
(クロロプレンゴムの評価)
クロロプレンゴム溶液の吸光度(色相)は0.15、耐熱老化後の吸光度は0.19であり、実施例4に比べて明らかに劣る結果であった。以上の評価結果は表1にまとめた。
比較例6(PSSナトリウムの製造と衣料アイロン剤用の合成糊としての評価例8)
(ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造)
市販Bのパラスチレンスルホン酸ナトリウムを分析した結果、純度は82.3wt%、水分は10.3wt%、鉄分は2.90μg/g、臭化ナトリウムは2.40wt%、異性体等の有機不純物は、(a)0.35%、(b)4.20%、(c)7.90%、(d)0.05%、(e)0.61%であった。また、WI値は91.0、YI値は16.0、及び15wt%水溶液のAPHA値は200であり、実施例1の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムより明らかに色相が劣った。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムのメジアン径は21.3μm、10,00μm未満の小粒は12.7%、安息角は59度で、水への溶解時間は122秒であった。
上記パラスチレンスルホン酸ナトリウムを用い、実施例1と同じ条件でポリスチレンスルホン酸ナトリウムを合成した。GPCで求めた数平均分子量Mnは160,000、重量平均分子量Mwは350,000だった。当該ポリマーをPSS−11とした。
上記PSS−11の15wt%水溶液のAPHA値は230であり、原料であるパラスチレンスルホン酸ナトリウム、及び実施例1のポリスチレンスルホン酸ナトリウムと比較して明らかに色相が劣った。
上記PSS−11の15wt%水溶液に含浸させ、アイロン乾燥した生地の色相は、目視評価で僅かに実施例1より劣った。生地のb値は−4.2(元の生地のb値は−6.8)、YI値は−8.8(元の生地のYI値は−13.7)であり、黄色ではなくて青色の度合いを示す結果になったが、実施例1と比べて明らかに元の生地と離れた色相を示した。即ち、僅かな塗布量であっても、実施例1に対する色相の劣位性が明らかである。以上の評価結果は表1にまとめた。





























本発明の色相が改良された高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いて製造されるポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、色相が優れるため、顔料分散体やポリマーエマルジョンを製造するための分散剤、衣類洗濯及びアイロン仕上げ用の合成糊、パーソナルケア用品、帯電防止剤などの用途に有用である。
(a):オルソスチレンスルホン酸ナトリウムの吸収ピーク
(b):β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの吸収ピーク
(c):メタスチレンスルホン酸ナトリウムの吸収ピーク
(d):ブロモスチレンスルホン酸ナトリウムの吸収ピーク
(e):β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの吸収ピーク
NaSS(para form):パラスチレンスルホン酸ナトリウムの吸収ピーク
elution solvent:溶離液由来の吸収ピーク

Claims (7)

  1. パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の鉄分が3.00μg/g未満、臭化ナトリウムが2.50wt%未満であり、(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で求めたピーク面積比が、各々(a)≦0.40%、(b)≦4.00%、(c)≦8.00%、(d)≦0.10%、及び(e)≦0.80%(ただし、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと(a)〜(e)ピーク面積の総和は100)である色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム。
  2. パラスチレンスルホン酸ナトリウム中の鉄分が3.00μg/g未満、臭化ナトリウムが2.50wt%未満であり、(a)オルソスチレンスルホン酸ナトリウム、(b)β−ブロモエチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(c)メタスチレンスルホン酸ナトリウム、(d)ブロモスチレンスルホン酸ナトリウム、(e)β−ヒドロキシエチルベンゼンスルホン酸ナトリウムの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で求めたピーク面積比が、各々(a)≦0.20%、(b)≦0.50%、(c)≦3.00%、(d)≦0.10%、(e)≦0.20%及び(ただし、パラスチレンスルホン酸ナトリウムと(a)〜(e)ピーク面積の総和は100)である請求項1記載の色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム。
  3. 請求項1または2記載の高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウムを用いて製造される、下記繰り返し構造単位A、あるいは下記繰り返し構造単位Aおよび下記繰り返し構造単位Bを有する色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム。
    〔繰り返し構造単位A,B中、Mはナトリウムカチオンを、Qは他のラジカル重合性モノマー残基を表し、nは1以上の整数を、mは0以上の整数を表す。〕
  4. ゲル浸透クロマトグラフィーで求めた重量平均分子量が2千〜100万である、請求項3記載の色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム。
  5. Qが(メタ)アクリル酸残基、(メタ)アクリル酸エステル残基、(メタ)アクリルアミド残基、無水マレイン酸残基、マレイン酸残基、N−フェニルマレイミド残基、N−シクロヘキシルマレイミド残基、スチレン残基及びスチレン誘導体残基からなる群より選ばれる1種又は2種以上の組合せとなるラジカル重合性モノマー残基である請求項3又は4いずれかに記載の色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム。
  6. 請求項3〜5の何れか1項に記載の色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウムを有効成分とする分散剤。
  7. 請求項3〜5の何れか1項に記載の色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウムを合成糊として用いて製造されてなる衣料用アイロン仕上げ剤。
JP2012229151A 2012-10-15 2012-10-16 色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊 Active JP5946094B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012229151A JP5946094B2 (ja) 2012-10-16 2012-10-16 色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊
MYPI2015700943A MY186412A (en) 2012-10-15 2013-09-02 High-purity sodium p-styrenesulfonate with excellent hue, method for producing the same, poly(sodium p-styrenesulfonate) with excellent hue using the same, and dispersant and synthetic starch for clothing finishing using the poly(sodium p-styrenesulfonate)
PCT/JP2013/073503 WO2014061357A1 (ja) 2012-10-15 2013-09-02 色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、その製造方法、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊
CN201380053883.6A CN104736516B (zh) 2012-10-15 2013-09-02 对苯乙烯磺酸钠及其制造方法、聚对苯乙烯磺酸钠及使用其的分散剂和衣料整理用的合成糊
US14/432,049 US9505713B2 (en) 2012-10-15 2013-09-02 High-purity sodium p-styrenesulfonate with excellent hue, method for producing the same, poly(sodium p-styrenesulfonate) with excellent hue using the same, and dispersant and synthetic starch for clothing finishing using the poly(sodium p-styrenesulfonate)
TW102136196A TWI579261B (zh) 2012-10-15 2013-10-07 Hue excellent high purity p-styrene sulfonate, and its manufacturing method, using its excellent hue Sodium polystyrene sulfonate, and a dispersant using sodium polystyrene sulfonate, and a synthetic paste for finishing the cloth

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012229151A JP5946094B2 (ja) 2012-10-16 2012-10-16 色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014080505A true JP2014080505A (ja) 2014-05-08
JP5946094B2 JP5946094B2 (ja) 2016-07-05

Family

ID=50785008

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012229151A Active JP5946094B2 (ja) 2012-10-15 2012-10-16 色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5946094B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014080380A (ja) * 2012-10-15 2014-05-08 Tosoh Organic Chemical Co Ltd 流動性と溶解性に優れるパラスチレンスルホン酸ナトリウム、及びその製造方法
JP2016185937A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 東ソー株式会社 高純度スチレンスルホン酸リチウム
US9505713B2 (en) 2012-10-15 2016-11-29 Tosoh Organic Chemical Co., Ltd High-purity sodium p-styrenesulfonate with excellent hue, method for producing the same, poly(sodium p-styrenesulfonate) with excellent hue using the same, and dispersant and synthetic starch for clothing finishing using the poly(sodium p-styrenesulfonate)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03168239A (ja) * 1989-11-28 1991-07-22 Mita Ind Co Ltd 粒子表面に極性基を有する樹脂粒子およびその製造方法
JPH05239774A (ja) * 1992-02-21 1993-09-17 Kao Corp 衣料用仕上剤
JPH10152465A (ja) * 1996-11-21 1998-06-09 Tosoh Corp スチレンスルホン酸ナトリウム半水和物、それよりなる組成物及びその製造方法
JPH10182591A (ja) * 1996-12-20 1998-07-07 Tosoh Corp スチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法
JPH11181004A (ja) * 1997-12-18 1999-07-06 Tosoh Corp ポリスチレンスルホン酸塩水溶液の製造法
JP2005263608A (ja) * 2004-03-22 2005-09-29 Kao Corp カーボンナノチューブ用水性分散剤

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03168239A (ja) * 1989-11-28 1991-07-22 Mita Ind Co Ltd 粒子表面に極性基を有する樹脂粒子およびその製造方法
JPH05239774A (ja) * 1992-02-21 1993-09-17 Kao Corp 衣料用仕上剤
JPH10152465A (ja) * 1996-11-21 1998-06-09 Tosoh Corp スチレンスルホン酸ナトリウム半水和物、それよりなる組成物及びその製造方法
JPH10182591A (ja) * 1996-12-20 1998-07-07 Tosoh Corp スチレンスルホン酸アルカリ金属塩の連続式製造方法
JPH11181004A (ja) * 1997-12-18 1999-07-06 Tosoh Corp ポリスチレンスルホン酸塩水溶液の製造法
JP2005263608A (ja) * 2004-03-22 2005-09-29 Kao Corp カーボンナノチューブ用水性分散剤

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014080380A (ja) * 2012-10-15 2014-05-08 Tosoh Organic Chemical Co Ltd 流動性と溶解性に優れるパラスチレンスルホン酸ナトリウム、及びその製造方法
US9505713B2 (en) 2012-10-15 2016-11-29 Tosoh Organic Chemical Co., Ltd High-purity sodium p-styrenesulfonate with excellent hue, method for producing the same, poly(sodium p-styrenesulfonate) with excellent hue using the same, and dispersant and synthetic starch for clothing finishing using the poly(sodium p-styrenesulfonate)
JP2016185937A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 東ソー株式会社 高純度スチレンスルホン酸リチウム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5946094B2 (ja) 2016-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014061357A1 (ja) 色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、その製造方法、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊
JP5954798B2 (ja) 高純度パラスチレンスルホン酸(塩)、それを用いたポリスチレンスルホン酸(塩)、およびポリスチレンスルホン酸(塩)を用いた、分散剤、導電性ポリマードーパント、ナノカーボン材料水性分散体、導電性ポリマー水性分散体、ならびにポリスチレンスルホン酸(塩)の製造方法
JP3696203B2 (ja) リビングタイプのフリーラジカル重合制御剤、重合方法、これを用いたエマルジョン及びポリマー
JP5850474B2 (ja) ポリスチレンスルホン酸共重合体、それを用いた分散剤、およびナノカーボン材料水性分散体、ならびにポリスチレンスルホン酸共重合体の製造方法
TWI511985B (zh) Surfactant composition
JP5201419B2 (ja) 少なくとも1つのハロゲン化ポリマーブロックを含むブロックコポリマーを調製するための水性分散液におけるフリーラジカル重合方法
JP2015105315A (ja) 有機溶剤への溶解性と耐熱性に優れたスチレンスルホン酸リチウム共重合体、ならびに当該スチレンスルホン酸リチウム共重合体を用いた帯電防止剤
JP5946094B2 (ja) 色相が優れた高純度パラスチレンスルホン酸ナトリウム、それを用いた色相が優れたポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ならびに当該ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを用いた分散剤、および衣料仕上げ用の合成糊
JP5281278B2 (ja) 乳化重合用界面活性剤組成物
JP5930307B2 (ja) 流動性と溶解性に優れるパラスチレンスルホン酸ナトリウム、及びその製造方法
CN111386287B (zh) 乳液聚合用表面活性剂组合物
JP7032347B2 (ja) 保存安定性に優れたポリスチレンスルホン酸塩水溶液とその製造方法
CN108779189B (zh) 乳液聚合用阴离子性表面活性剂组合物
JP5717632B2 (ja) 分散剤およびその使用
JP6812167B2 (ja) 超高分子量ポリスチレンスルホン酸又はその塩、その製造方法及びその用途
WO2012036256A1 (ja) N-ビニルラクタム系重合体及びその製造方法
JP5727717B2 (ja) ポリマーエマルジョンの製造方法
JP2018030910A (ja) ポリマーエマルション及びその製造方法
KR101927789B1 (ko) 에멀젼 중합을 위한 연장된 계면활성제
JP2023155952A (ja) スチレンスルホン酸アンモニウム構造単位で分散安定化されたポリマーエマルション組成物及びその製造方法
JP2019104809A (ja) (メタ)アクリル系重合体粒子の製造方法および(メタ)アクリル系重合体粒子
CN110997631B (zh) 高纯度的两亲性芳基磺酸胺盐乙烯基单体及其(共)聚合物
JP2004339347A (ja) カチオン性エマルション重合体及びその製造方法
WO2023052125A1 (en) Preparation raft-mediated seed in aqueous phase and emulsion polymerization by using raft-mediated seed
KR20180066838A (ko) 아콘 형태를 지닌 중합체 입자의 수성 분산액

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160525

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160525

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5946094

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250