JP6825222B2 - 熱硬化性樹脂組成物及びその樹脂成形物 - Google Patents
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Description
上記(A)含フッ素ブロック共重合体は、非フッ素セグメントと、含フッ素セグメントと、からなる。
上記非フッ素セグメントが、(a−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む。
上記非フッ素セグメントのガラス転移温度が40℃以上120℃以下である。
上記含フッ素セグメントを構成する含フッ素単量体が、下記式(1)で表される炭素数6のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体である。
上記(A)含フッ素ブロック共重合体における上記含フッ素単量体の含有量が15重量%以上55重量%以下である。
(式(1)中、R1は、水素原子、メチル基、フッ素原子、又は塩素原子を示し、R2は、炭素数1以上の脂肪族基を示す。)
この構成により、撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に優れた樹脂成形物を作製可能な含フッ素熱硬化性樹脂組成物が得られる。
この構成により、撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に更に優れた樹脂成形物を作製可能な含フッ素熱硬化性樹脂組成物が得られる。
この構成により、更に良好な樹脂成形物が得られる。
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)含フッ素ブロック共重合体と、(B)熱硬化性樹脂と、を含有する。また、この熱硬化性樹脂組成物は、(C)低収縮剤を含有していてもよい。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A)含フッ素共重合体は、非フッ素セグメントと含フッ素セグメントとからなるブロック共重合体(ブロックポリマー)である。
上記式(1)中、R1は、水素原子、メチル基、フッ素原子、又は塩素原子を示す。R2は、炭素数1以上の脂肪族基を示す。また、R2は、炭素数1〜50のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜4、18〜24のアルキレン基であることが更に好ましい。
また、非フッ素セグメントは、(a−2)(メタ)アクリル酸を更に含むことが好ましい。これにより、樹脂成形物の撥水撥油性、防汚性、及び耐久性を向上させることができる。特に、含フッ素セグメント及び非フッ素セグメントの含有量の合計を100重量部として、(a−2)(メタ)アクリル酸の含有量を0.1〜1.0重量部の範囲内とすることにより、上記の効果がより良好に得られる。
この一方で、非フッ素セグメントは、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル(HEMA)を含まない。これにより、樹脂成形物の撥水撥油性、防汚性、及び耐久性を向上させることができる。
なお、非フッ素セグメントのガラス転移温度Tgは、ホモポリマーのガラス転移温度Tgを用いて算出することができる。非フッ素セグメントのガラス転移温度Tgの算出方法は、例えば、「新高分子実験学 高分子の物性(1) 熱的・力学的性質 p45−123
高分子学会編 共立出版 1997年」に記載されている。また、ホモポリマーのガラス転移温度Tgは、例えば、「POLYMER HANDBOOK THIRD EDITTION p VI/209−259 J.BRANDRUP AND E.H.IMMERCUT 著 WILEY 1989年」に記載されている。
上記式(2)で表される非フッ素系単量体は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルであることが好ましい。
また、上記式(2)で表される非フッ素系単量体に加えて、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、メトキシスチレン、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジt−ブチル、フマル酸ジシクロヘキシル、フマル酸ジベンジル、イタコン酸ジメチル等を非フッ素系単量体として用いることができる。
これらの非フッ素系単量体は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
まず、第1工程として、ポリメリックペルオキシドを重合開始剤として用い、非フッ素系セグメントを形成する上記の非フッ素系単量体を溶液中で重合することにより、連鎖中にパーオキサイド結合が導入されたパーオキサイド結合含有非フッ素系重合体が得られる。
次に、第2工程として、第1工程で得られた溶液中に含フッ素単量体を加えて重合を行うことにより、パーオキサイド結合含有非フッ素系重合体中のパーオキサイド結合が開裂し、(A)含フッ素共重合体が得られる。
これにより、(A)含フッ素共重合体が効率よく得られる。なお、上記のような第1工程及び第2工程による二段階重合では、第1工程の非フッ素系単量体を第2工程に用い、第2工程の含フッ素単量体を第1工程に用いてもよい。
(B)熱硬化性樹脂としては公知の熱硬化性樹脂を用いることができる。(B)熱硬化性樹脂としては、例えば、人工大理石、塗料やゲルコート剤に用いられる樹脂等が挙げられる。(B)熱硬化性樹脂の具体例としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、硬化性(メタ)アクリル系樹脂等を挙げることができる。
(B)熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましい。
なお、(B)熱硬化性樹脂は、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールSとエピクロルヒドリンとから合成される。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂又はビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドを酸性触媒存在下反応させて得られるいわゆるフェノールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとから合成される。
ノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、クレゾールとホルムアルデヒドとを酸性触媒存在下で反応させて得られるいわゆるクレゾールノボラック樹脂や、エピクロルヒドリンとから合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(C)低収縮剤とは、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化する際の成形収縮を抑制するための添加物である。(C)低収縮剤としては、ポリスチレン系低収縮剤、アクリル系低収縮剤などが挙げられる。中でもポリスチレン系低収縮剤は、(A)含フッ素共重合体の含フッ素セグメントが樹脂成形物の表面に配向しやすくなる。このため、撥水撥油性が発現しやすいという点でポリスチレン系低収縮剤が好ましい。
その他に例えば、樹脂成形物の機械的強度、熱伝導性、耐熱性などの物性向上のために、充填剤を添加することもできる。
熱硬化性樹脂組成物を硬化させることによって樹脂成形物が得られる。熱硬化性樹脂組成物の成形は、単体として行うことができるほか、物品の表面を被覆した状態で行うことや、基材の全体を覆った状態で行うことも可能である。
(製造例1)
製造例A−1−1〜A−1−5では、上記実施形態の範囲内で非フッ素セグメント及び含フッ素セグメントの種類及び量を変化させて(A)含フッ素共重合体を含む分散液を作製した。表1は、製造例A−1−1〜A−1−5における非フッ素セグメント及び含フッ素セグメントの種類及び量を示している。以下、一例として、製造例A−1−1について説明するが、製造例A−1−1〜A−1−5についても同様である。
製造例A−2−1〜A−2−7では、上記実施形態の範囲内で非フッ素セグメントに(a−2)(メタ)アクリル酸を添加して、(A)含フッ素共重合体を含む分散液を作製した。表1は、製造例A−2−1〜A−2−7における非フッ素セグメント及び含フッ素セグメントの種類及び量を示している。製造例A−2−1〜A−2−7も上記の製造例A−1−1と同様の要領で行った。
比較製造例B−1〜B−12では、上記実施形態の範囲外となる(A)含フッ素共重合体の分散液を作製した。表2は、比較製造例B−1〜B−12における非フッ素セグメント及び含フッ素セグメントの種類及び量を示している。比較製造例B−1〜B−12も上記の製造例A−1−1と同様の要領で行った。
(B)熱硬化性樹脂としては以下に示すもののいずれか1つを用いた。
UP(1):不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット株式会社製、ポリホープ(登録商標)R100AP)
UP(2):不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット株式会社製、ポリホープ(登録商標)6619)
アクリル:アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、ネオポール(登録商標)8101)
(C)低収縮剤としては以下に示すもののいずれか1つを用いた。
PS系(a):PVAc−b−PS=10/90(ポリ酢酸ビニルのセグメント10重量部とポリスチレンのセグメント90重量部から成るブロック共重合体)(日油株式会社製、モディパー(登録商標)SV10B−30)
PS系(b):ポリスチレン95重量部とポリスチレン分離防止剤(BYK製)5重量部の混合物
PS系(c):ポリスチレン70重量部と低収縮剤PS系(a)30重量部の混合物
PS系(d):PVAc−b−PS=50/50(ポリ酢酸ビニルのセグメント50重量部とポリスチレンのセグメント50重量部から成るブロック共重合体)(日油株式会社製、モディパー(登録商標)SV501)
PS系(e):反応性基含有架橋ポリスチレン
以下、実施例1−1〜1−3,2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例1〜19に係る熱硬化性樹脂組成物及び樹脂成形物について説明する。以下、各成分の量は、(B)熱硬化性樹脂及び(C)低収縮剤の含有量の合計を100重量部とした場合の重量比(重量部)で示す。なお、(A)含フッ素共重合体の含有量は、分散液としての量ではなく、(A)含フッ素共重合体のみの量である。
実施例1−1〜1−3、比較例1,3では、(B)熱硬化性樹脂としてUP(1)を用いた。また、実施例1−1〜1−3、比較例1,3では、(C)低収縮剤を用いず、(A)含フッ素共重合体の種類及び量は表4,7に示すとおりである。
実施例2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例2,4〜19では、(B)熱硬化性樹脂としてUP(2)又はアクリルを用いた。実施例2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例2,4〜19における(A)含フッ素共重合体、(B)熱硬化性樹脂、(C)低収縮剤の種類及び量は表5〜7に示すとおりである。
実施例1−1〜1−3,2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例1〜19に係る樹脂成形物について、下記の方法にて撥水撥油性、防汚性、耐久性、及び外観について評価した。
各樹脂成形物について、「JIS R 3257」の液滴法によって、水の接触角及びn−ヘキサデカンの接触角を測定した。つまり、水の接触角によって撥水性を評価し、n−ヘキサデカンの接触角によって撥油性を評価した。水の接触角は100°以上であることが好ましく、n−ドデカンの接触角は40°以上であることが好ましい。接触角の測定には協和界面科学株式会社製「DropMaster500」を使用した。
樹脂成形物の外観について、目視にて以下の基準で判断した。外観の評価結果は、「○」以上であることが好ましい。
◎:表面にツヤ・光沢があり、平滑性に優れる
○:表面にツヤ・光沢があり、平滑性が良好である
×:表面にくすみがあり、平滑性が不良である
原子吸光測定用Si標準液をSi濃度が100ppmになるように希釈し、これを樹脂成形物の表面に0.06g滴下して、50℃の乾燥機にて蒸発させた後、再び同じ箇所に0.06gを滴下して50℃で蒸発完固させるという操作を10回繰り返した。次に、水で濡らしたガーゼで拭き取り、この滴下箇所に10μmol/lの濃度のメチレンブルー溶液を0.06g滴下して、水垢を青色に染色することによって、滴下の前と後の色差ΔEを測定した。色彩色差計はコニカミノルタ社製「CR−400」を使用した。
◎:ΔEが0.1未満
○:ΔEが0.1以上0.5未満
×:ΔEが0.5以上
樹脂成形物を80℃の熱水中に、500時間浸漬し、再度上記の防汚性の評価と同様の方法でΔEを測定した。樹脂成形物の耐久性について以下の基準で判断した。耐久性の評価結果は「○」以上であることが好ましい。
◎:ΔEが0.1未満
○:ΔEが0.1以上0.5未満
×:ΔEが0.5以上
実施例1−1〜1−1−3に係る樹脂成形物の評価結果を表4に示す。
この結果から、(C)低収縮剤を添加した場合にも、良好な評価結果が得られることがわかる。
また、実施例3−1〜3−7に係る樹脂成形物では、特に防汚性及び耐久性において実施例1−1〜1−3,2−1〜2−11係る樹脂成形物よりも更に良好な評価結果が得られた。この結果から、非フッ素セグメントに(a−2)(メタ)アクリル酸を添加することにより防汚性及び耐久性が向上することがわかる。
Claims (2)
- (A)含フッ素ブロック共重合体と、(B)熱硬化性樹脂と、ポリスチレン系の(C)低収縮剤と、を含有し、
前記(A)含フッ素ブロック共重合体は、非フッ素セグメントと、含フッ素セグメントと、からなり、
前記非フッ素セグメントが、下記式(2)で表される(a−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体からなり、
前記非フッ素セグメントのガラス転移温度が40℃以上120℃以下であり、
前記含フッ素セグメントを構成する含フッ素単量体が、下記式(1)で表される炭素数6のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体であり、
前記(A)含フッ素ブロック共重合体における前記含フッ素単量体の含有量が14.5重量%以上55重量%以下である
熱硬化性樹脂組成物。
(式(2)中、R3は、水素原子、又はメチル基を示す。R4は、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基、又はフェニル基を示す。)
(式(1)中、R1は、水素原子、メチル基、又はフッ素原子を示し、R2は、炭素数2の脂肪族基を示す。) - 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる
樹脂成形物。
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