JP2020097642A - 硬化性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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涼平 伊藤
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Abstract

【課題】表面が親水性と親油性を有し、かつその効果が永続的に続く成形体を形成することのできる硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】ビニルエステル樹脂(A)と、エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)と、無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の少なくとも一方とを含み、任意にトリアルコキシシリルモノマー(B)以外のエチレン性不飽和化合物(C)を含む硬化性樹脂組成物であって、ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対して、トリアルコキシシリルモノマー(B)を20〜200質量部含み、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して、無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の合計含有量が150〜2000質量部である硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、硬化性樹脂組成物及び成形体に関する。
土木及び建築材料、車両用部品、電気機器部品、家具、雑貨等の成形品において、硬化性樹脂組成物は広く使用されている。硬化性樹脂組成物はビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などの硬化性樹脂に、用途に応じて繊維強化材又は充填材等を混合して得られる。そのような硬化性樹脂組成物の多くは、ガラス繊維、炭素繊維、ホイスカー等の繊維強化材で強化された、あるいは炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機フィラー、着色顔料等が添加された樹脂組成物として使用されている。これらの硬化性樹脂組成物は、加工性、物性等の性能、又はコスト、入手容易性等において優れており、広範な用途に使用されている。しかし、耐汚染性、塗装性など成形体の表面物性のさらなる改善の必要性があり、種々な試みがなされている。
一般的な表面改質方法として、例えばパラフィン、ワックス、シリコーンオイル、フッ素系オイル等の撥水剤又は防汚剤を表面改質剤として樹脂組成物に添加することにより表面特性を改質する方法が挙げられる(特許文献1:特開2001−234079号公報)。この方法は、硬化に際して添加した表面改質剤が成形体表面にブリードすることで効果を発揮する。しかし、表面を拭ったり、長期間風雨にさらされたりすることにより簡単に表面改質剤が除去されてその効果が失われてしまう。
別の表面改質方法として、長鎖脂肪族基、シリコーン、又はフッ素を含有する、グリコール、多塩基酸、不飽和基を有する重合体又はモノマーを用いて、硬化性樹脂そのものに撥水性、耐水性、又は耐汚染性を付与する方法が挙げられる(特許文献2:特開2015−187205号公報、特許文献3:特開平9−87347号公報)。
特開2001−234079号公報 特開2015−187205号公報 特開平9−87347号公報
これらの方法は、成形体に、撥水性若しくは撥油性、又はその両方を付与することはできるものの、親水性と親油性を同時に付与することは難しい。また、これらの方法では、実使用に耐える強度を有する成形体が得られない、あるいは成形体の製造工程が煩雑となる場合があった。
本開示は、表面が親水性と親油性を有し、かつその効果が永続的に続く成形体を形成することのできる硬化性樹脂組成物を提供する。
即ち本発明は、次の[1]〜[13]を含む。
[1]
ビニルエステル樹脂(A)と、エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)と、無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の少なくとも一方とを含み、任意に前記トリアルコキシシリルモノマー(B)以外のエチレン性不飽和化合物(C)を含む硬化性樹脂組成物であって、前記ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対して、前記トリアルコキシシリルモノマー(B)を20〜200質量部含み、前記ビニルエステル樹脂(A)と、前記トリアルコキシシリルモノマー(B)と、前記エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して、前記無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の合計含有量が150〜2000質量部である硬化性樹脂組成物。
[2]
前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が式(1):
−Si(OR) (1)
で表される基を有し、式(1)中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐の飽和炭化水素基、又は炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基である、[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]
前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が、炭素原子数の合計が3〜6であるトリアルコキシシリル基を有する、[1]又は[2]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[4]
前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[5]
前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が有するエチレン性不飽和基が、ビニル基、スチリル基、及び(メタ)アクリロイル基から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が(メタ)アクリロイル基を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
前記トリアルコキシシリルモノマー(B)の含有量が、前記ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対して35〜150質量部である、[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[8]
さらに、前記エチレン性不飽和化合物(C)を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[9]
前記エチレン性不飽和化合物(C)の含有量が、前記ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対して1〜50質量部である、[8]に記載の硬化性樹脂組成物。
[10]
前記無機充填材(D)及び前記繊維強化材(E)の両方を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[11]
前記繊維強化材(E)の含有量が、前記ビニルエステル樹脂(A)と、前記トリアルコキシシリルモノマー(B)と、前記エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して30〜200質量部である、[1]〜[10]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の成形体。
[13]
[1]〜[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む成形体。
本開示の硬化性樹脂組成物を用いることにより、表面が親水性と親油性を有し、かつその効果が永続的に続く成形体を形成することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[硬化性樹脂組成物]
硬化性樹脂組成物は、ビニルエステル樹脂(A)と、エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)(以下、本開示において単に「トリアルコキシシリルモノマー(B)」ともいう。)と、無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の少なくとも一方とを含む。
<ビニルエステル樹脂(A)>
ビニルエステル樹脂(A)は、一般的には、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)中のエポキシ基と、重合性不飽和結合及びカルボキシ基を有する不飽和一塩基酸(b)のカルボキシ基との開環反応によって得られる重合性不飽和結合を有する化合物である。このようなビニルエステル樹脂(A)は、例えば、ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、1988年発行)等に記載されている。
本開示において、ベース樹脂としてビニルエステル樹脂(A)が選択される理由として、酸性基を有さないこと、及び強度の高い硬化物を与えることが挙げられる。他の一般的なベース樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂は、一般にポリマー末端等にカルボン酸基などの酸性基を有する。不飽和ポリエステル樹脂の酸性基は、硬化物に親水性と親油性の両方を付与するトリアルコキシシリル基を加水分解するため、成形体の製造中及び使用中に成形体の親水性又は親油性が損なわれる場合がある。ウレタンアクリレート樹脂の硬化物は一般的に強度が低いため、ウレタンアクリレート樹脂を用いて実使用に耐えうる硬化物を得ることは難しい。これらの樹脂とは対照的に、ビニルエステル樹脂(A)をベース樹脂として用いることで、実使用に好適な高い強度の成形体を得ることができ、成形体の親水性及び親油性を永続的なものとすることができる。
エポキシ化合物(a)の2個以上のエポキシ基と不飽和一塩基酸(b)のカルボキシ基との開環反応による生成物の構造パターンは、無限に存在するため、一義的に決められない。そのため、ビニルエステル樹脂(A)の構造の全てを網羅的に記載する、即ち、ビニルエステル樹脂(A)の構造を直接特定することは、およそ実際的でない。
<エポキシ化合物(a)>
エポキシ化合物(a)は、2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に制限はない。エポキシ化合物(a)としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノールのジグリシジルエーテル並びにその高分子量同族体であるビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型ポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型ポリグリシジルエーテル等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。合成過程で、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のフェノール化合物を、これらのグリシジルエーテルと反応させて得られたもの、又は脂肪族エポキシ樹脂を用いてもよい。ビスフェノール型エポキシ樹脂又はフェノールノボラック型エポキシ樹脂は、機械的強度及び耐薬品性に優れる硬化物を提供することができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール化合物と、エピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの、あるいはビスフェノールA等のグリシジルエーテルと、上記ビスフェノール化合物の縮合物と、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックと、エピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
<不飽和一塩基酸(b)>
不飽和一塩基酸(b)としては、重合性不飽和結合を有するモノカルボン酸であれば、特に制限はない。不飽和一塩基酸(b)は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、及び桂皮酸から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸であり、さらに好ましくはメタクリル酸である。メタクリル酸とエポキシ化合物(a)との反応により得られるビニルエステル樹脂(A)は、酸及びアルカリに対する高い耐加水分解性を有するため、硬化性樹脂組成物の硬化物の耐食性をより向上させることができる。
エポキシ化合物(a)と不飽和一塩基酸(b)とを開環反応させる際には、不飽和一塩基酸(b)の使用量は、エポキシ化合物(a)のエポキシ基1当量に対して、好ましくは0.3〜1.5当量であり、より好ましくは0.4〜1.2当量であり、さらに好ましくは0.5〜1.0当量である。不飽和一塩基酸(b)の使用量が、エポキシ化合物(a)のエポキシ基1当量に対して、0.3〜1.5当量であれば、硬化性樹脂組成物のラジカル重合反応により、十分な硬度を有する硬化物を得ることができる。
<ビニルエステル樹脂(A)の合成方法>
ビニルエステル樹脂(A)は、公知の合成方法により合成することができる。
ビニルエステル樹脂(A)の合成方法としては、例えば、加熱撹拌可能な反応容器内において、エステル化触媒の存在下、エポキシ化合物(a)及び不飽和一塩基酸(b)を必要に応じて溶剤に溶解させて、70〜150℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜130℃で反応させる方法が挙げられる。
エステル化触媒としては特に制限はないが、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール若しくはシアザビシクロオクタンなどの三級アミン、トリフェニルホスフィン、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドなどのリン化合物、又はジエチルアミン塩酸塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化リチウムなどの公知の触媒を、単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
ビニルエステル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜6,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜5,000であり、さらに好ましくは1,000〜4,000である。ビニルエステル樹脂の重量平均分子量が1,000〜6,000であれば、硬化性樹脂組成物の成形性がより一層良好となる。本開示において、重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:size exclusion chromatography)、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)によって測定される標準ポリスチレン換算値である。
<エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)>
硬化性樹脂組成物は、成分(B)として、エチレン性不飽和基と、トリアルコキシシリル基とを有するモノマー化合物を含有する。エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)は、特に制限されない。トリアルコキシシリルモノマー(B)は、硬化性樹脂組成物の硬化時にビニルエステル樹脂(A)と共重合して硬化物に固定することができるため、硬化物表面の親水性と親油性を永続的に維持することができる。また、ビニルエステル樹脂(A)を変性せずに、トリアルコキシシリルモノマー(B)を配合することのみで硬化性樹脂組成物を製造することができるため、様々なビニルエステル樹脂(A)を用いて硬化性樹脂組成物を簡便に製造することができる。
トリアルコキシシリル基は−Si(OR)で示される構造を有する。置換基Rは炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐の飽和炭化水素基、又は炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であってよく、3つの置換基Rはそれぞれ同じでも異なってもよい。炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐の飽和炭化水素基としては、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましい。炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基としては、炭素原子数6〜8の芳香族炭化水素基が好ましい。これらの中でも、硬化時に硬化性樹脂組成物が接触する鉄、ガラス、樹脂などの基材表面との反応性が良好である点から、トリアルコキシシリル基は、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等の炭素原子数の合計が3〜6のトリアルコキシシリル基であることが好ましく、トリメトキシシリル基であることが特に好ましい。
トリアルコキシシリルモノマー(B)は、エチレン性不飽和基として、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基などのラジカル重合性を有する基を少なくとも1つ有する。本開示において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。ビニルエステル樹脂(A)との反応性が良好である点から、エチレン性不飽和基は(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
トリアルコキシシリルモノマー(B)の具体例としては、ビニル基とトリメトキシシリル基とを有する化合物(例えば、ビニル基を有するシランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン;商品名KBM−1003、信越化学工業株式会社製))、(メタ)アクリロイル基とトリメトキシシリル基とを有する化合物(例えば、アクリロイル基を有するシランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン;商品名KBM−5103、信越化学工業株式会社製)、メタクリロイル基を有するシランカップリング剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;商品名KBM−503、信越化学工業株式会社製))、スチリル基とトリメトキシシリル基とを有する化合物(例えば、スチリル基を有するシランカップリング剤(p−スチリルトリメトキシシラン;商品名KBM−1403、信越化学工業株式会社製))、ビニル基とトリエトキシシリル基とを有する化合物(例えば、ビニル基を有するシランカップリング剤(ビニルトリエトキシシラン;商品名KBE−1003、信越化学工業株式会社製))、(メタ)アクリロイル基とトリエトキシシリル基とを有する化合物(例えば、メタクリロイル基を有するシランカップリング剤(3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン;商品名KBE−503、信越化学工業株式会社製))等が挙げられる。これらの中でも、ビニルエステル樹脂(A)との反応性が良好である点から、メタクリロイル基とトリメトキシシリル基とを有する化合物が特に好ましい。
トリアルコキシシリルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トリアルコキシシリルモノマー(B)の含有量は、ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは20〜200質量部であり、より好ましくは35〜150質量部であり、さらに好ましくは40〜120質量部である。不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)の含有量がビニルエステル樹脂(A)100質量部に対し、20〜200質量部であれば、硬化物表面に親水性及び親油性の両方を同時に付与することができる。このように、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)に含まれるトリアルコキシシリル基との比率を適切に制御することで、成形体表面に存在する官能基の種類及び量を、親水性と親油性の両立に理想的な状態とすることができる。そのため、水性、油性どちらの塗料を用いても、成形体表面に良好に密着した塗膜を形成することができる。
硬化性樹脂組成物及びその硬化物において、トリアルコキシシリルモノマー(B)のトリアルコキシシリル基の少なくとも一部は、トリアルコキシシリルモノマー(B)の他のトリアルコキシシリル基、及び硬化性樹脂組成物のその他の成分に含まれる水酸基との縮合反応、又は加水分解反応で消費されずに、そのまま残存している。このように残存するトリアルコキシシリル基により、硬化物表面に高い親水性及び親油性の両方を同時に付与することができる。
<エチレン性不飽和化合物(C)>
硬化性樹脂組成物は、さらにトリアルコキシシリルモノマー(B)以外のエチレン性不飽和化合物を含んでもよい。エチレン性不飽和化合物(C)としては、ビニルエステル樹脂(A)とラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を1個以上有する化合物であれば特に制限されない。
エチレン性不飽和化合物(C)としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、アセナフチレン等などの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドのジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー;及び上記モノマーが複数個結合したオリゴマー等が挙げられる。これらの中でも、ビニルエステル樹脂(A)との反応性の観点から、エチレン性不飽和化合物(C)は、スチレン又は(メタ)アクリル酸メチルであることが好ましく、スチレンであることが特に好ましい。エチレン性不飽和化合物(C)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物がエチレン性不飽和化合物(C)を含む場合、エチレン性不飽和化合物(C)の含有量は、ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは1〜40質量部であり、さらに好ましくは1〜25質量部である。エチレン性不飽和化合物(C)の含有量がビニルエステル樹脂(A)100質量部に対し、1〜50質量部であれば、トリアルコキシシリルモノマー(B)の添加効果を阻害することなく、硬化物表面に親水性及び親油性の両方を同時に付与することができる。
硬化性樹脂組成物は、無機充填材(D)若しくは繊維強化材(E)、又はそれら両方を含む。無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の配合量は特に制限されず、目的とする物性に応じて適宜調整することができる。
<無機充填材(D)>
無機充填材(D)は、例えば硬化性樹脂組成物の粘度を取り扱いに適した粘度に調整する機能、及び硬化性樹脂組成物の成形性を向上させる機能等、必要とされる機能によって選択することができる。無機充填材(D)として、特に制限されず、本開示の技術分野において公知のものを用いることができる。無機充填材(D)としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、カオリン、ワラストナイト、クレー、タルク、マイカ、石膏、無水ケイ酸、ガラス粉末等が挙げられる。これらの中でも、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びタルクが安価であるため好ましく、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムがより好ましい。無機充填材(D)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機充填材(D)のメジアン径は、硬化性樹脂組成物の硬化物を形成する際における硬化性樹脂組成物の粘度の観点から適宜選択することができる。無機充填材(D)のメジアン径は、一般的には1〜100μmであることが好ましい。無機充填材(D)の形状は、球状でもよく、扁平状などでもよい。
無機充填材(D)の含有量は、硬化性樹脂組成物の硬化物を形成する際における硬化性樹脂組成物の粘度の観点から適宜選択することができる。無機充填材(D)の含有量は、一般的には、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して1〜1000質量部であることが好ましく、200〜800質量部であることがより好ましく、300〜500質量部であることがさらに好ましい。
<繊維強化材(E)>
繊維強化材(E)は、アスペクト比が3以上である繊維状物質である。アスペクト比は、JIS Z 8900−1:2008「粒子径測定装置検定用粒子」に記載されている顕微鏡法によって測定することができる。
繊維強化材(E)として、特に制限されず、本開示の技術分野において公知のものを用いることができる。繊維強化材(E)としては、例えば、ガラス繊維、パルプ、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、ワラストナイト等の様々な有機繊維及び無機繊維を挙げることができる。
繊維強化材(E)は、ガラス繊維であることが好ましく、繊維長1.5〜25mmに切断したチョップドストランドガラスであることがより好ましい。
繊維強化材(E)の含有量は、硬化性樹脂組成物の粘度、及びその硬化物の弾性率の観点から適宜選択することができる。繊維強化材(E)の含有量は、一般的には、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して30〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましく、70〜100質量部であることがさらに好ましい。
無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の合計含有量は、硬化性樹脂組成物の粘度、成形性及び離型性、その硬化物の弾性率等の観点から、一般的には、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して150〜2000質量部である。無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の合計含有量は、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して200〜1000質量部であることが好ましく、300〜800質量部であることがより好ましく、400〜600質量部であることがさらにより好ましい。
<その他の成分>
硬化性樹脂組成物は、上記の成分に加えて、硬化剤、硬化促進剤、低収縮剤、離型剤、増粘剤、着色剤、重合禁止剤等の本開示の技術分野において公知の添加剤を、本開示の効果を阻害しない範囲において含むことができる。
硬化剤としては、光ラジカル発生剤又は熱ラジカル発生剤を使用することができ、熱ラジカル発生剤が好ましい。熱ラジカル発生剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル、パーカーボネート等の過酸化物が挙げられる。過酸化物は、t−ブチルパーオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、又はジ−t−ブチルパーオキサイドであることが好ましい。硬化剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。硬化剤の添加量は、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等の金属石鹸;バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート;アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等の非置換及びN,N−置換アニリン;m−トルイジン、p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン等の非置換及びN,N−置換トルイジン;4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド等の4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド;トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、4−フェニルモルホリン、ピペリジン、ジエタノールアニリン等のアミンが挙げられる。硬化促進剤は、オクチル酸コバルトであることが好ましい。硬化促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤の添加量は、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して、0〜10質量部であることが好ましく、0〜5質量部であることがより好ましい。
低収縮剤として、熱可塑性樹脂が好ましく使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、飽和ポリエステル、ポリカプロラクトン等が挙げられる。低収縮剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。低収縮剤の添加量は、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して、1〜80質量部であることが好ましく、20〜60質量部であることがより好ましい。
離型剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、シリコーンオイル、合成ワックス等が挙げられる。離型剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。離型剤の添加量は、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して、3.0〜8.0質量部であることが好ましく、3.5〜7.0質量部であることがより好ましい。
増粘剤は、増粘効果を示す、無機充填材(D)以外の化合物であり、例えばイソシアネート化合物が挙げられる。増粘剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。増粘剤の添加量は、硬化性樹脂組成物に要求される取り扱い性、流動性等に応じて適宜調整することができる。
着色剤を用いることで硬化物を着色することができる。着色剤として、各種の無機顔料又は有機顔料を使用することができる。着色剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。着色剤の添加量は、硬化物に所望される外観に応じて適宜調整することができる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられる。重合禁止剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。重合禁止剤の添加量は、硬化性樹脂組成物の保管環境及び期間、硬化条件等に応じて適宜調整することができる。
<硬化性樹脂組成物の製造方法>
硬化性樹脂組成物は、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)と、無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の少なくとも一方と、必要に応じて、任意成分であるエチレン性不飽和化合物(C)、添加剤等とを混合することにより製造することができる。混合方法としては、例えば混練が挙げられる。混練方法としては特に制限はなく、例えば、ディスパー、プラネタリーミキサー、ニーダー等を用いて行うことができる。混練温度は、好ましくは5℃〜40℃であり、より好ましくは10〜30℃である。
硬化性樹脂組成物を製造する際の各成分を混合する順番については特に制限はない。例えば、ビニルエステル樹脂(A)、トリアルコキシシリルモノマー(B)、及びエチレン性不飽和化合物(C)の一部又は全部を混合してから他の成分を混合すると、各成分が十分に分散、あるいは均一に混合された硬化性樹脂組成物が得られやすいため好ましい。エチレン性不飽和化合物(C)の少なくとも一部が、溶媒、分散媒等として作用するビニルエステル樹脂(A)と予め混合されていてもよい。
硬化性樹脂組成物の流動性は、スパイラルフロー試験により測定される硬化性樹脂組成物の流動長が、70cm〜140cm、80cm〜120cm、又は90cm〜110cmであるように調整されてもよい。スパイラルフロー試験は、トランスファー成形機にスパイラルフロー金型(断面形状が上辺6mm、底辺8mm、高さ2mmの台形状)を取り付けて金型温度160℃、注入圧力10MPaの条件下で行われる。
<硬化性樹脂組成物の硬化方法>
硬化性樹脂組成物は、公知の方法で硬化させることができる。硬化性樹脂組成物の硬化方法としては、例えば、硬化性樹脂組成物に硬化剤を添加し、常温下又は加熱により硬化させる方法、硬化性樹脂組成物に硬化促進剤を添加して混合した後、硬化剤をさらに添加し、常温下又は加熱により硬化させる方法等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の硬化物表面の親水性及び親油性はそれぞれ、水及びジクロロメタンに対する接触角を測定することにより評価することができる。
硬化性樹脂組成物の硬化物表面の水接触角は、JIS R 3257:1999に準拠して測定したときに、75度以下、70度以下、又は65度以下とすることができる。一実施態様では、硬化性樹脂組成物の硬化物表面の水接触角は、40度以上、45度以上、又は50度以上である。
硬化性樹脂組成物の硬化物表面のジクロロメタン接触角は、JIS R 3257:1999に準拠して測定したときに、32度以下、30度以下、又は28度以下とすることができる。一実施態様では、硬化性樹脂組成物の硬化物表面のジクロロメタン接触角は、10度以上、15度以上、又は20度以上である。
硬化性樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率は、2.5GPa〜25GPa、5GPa〜15GPa、又は7.5GPa〜10GPaであってよい。曲げ弾性率は、JIS K 6911:1995 5.17に準拠して、成形温度160℃、成形圧力10MPa、成形時間3分の条件下で圧縮成形することにより作製した曲げ弾性率試験片(90mm×10mm×4mm)を用いて測定される。
<硬化性樹脂組成物の使用方法>
硬化性樹脂組成物は、単独で成形体としてもよく、繊維強化樹脂の成形体の原料として用いてもよい。繊維強化樹脂の成形体の原料として使用される硬化性樹脂組成物は、繊維強化材を含んでもよく、含まなくてもよい。
硬化性樹脂組成物の成形方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。成形方法としては、例えば、硬化性樹脂組成物を繊維強化材に塗布又は含浸させながら機械成形し、硬化させる方法、硬化性樹脂組成物を機械成形し、硬化させる方法などが挙げられる。硬化性樹脂組成物の成形体を硬化することにより、硬化性樹脂組成物の硬化物を含む成形体を得ることができる。
硬化性樹脂組成物を繊維強化材に塗布又は含浸させながら機械成形し、硬化させる方法の例としては、ハンドレイアップ成形法、レジントランスファー成形法、バキュームアシストレジントランスファー成形法などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、例えば、ハケ、ロール、コテ、ヘラ、シリンジ等の公知の塗布手段を用いて繊維強化材に塗布することができる。
硬化性樹脂組成物を機械成形し、硬化させる方法の例としては、スプレーアップ成形法、フィラメントワインディング成形法、シートワインディング成形法、引き抜き成形法、射出成形法などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を詳細に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
<実施例1>
表1に示す組成で、ビニルエステル樹脂(A)としてVR−77(昭和電工株式会社製)、エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)としてKBM−503(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製)、エチレン性不飽和化合物(C)としてスチレン、無機充填材(D)として炭酸カルシウム、繊維強化材(E)としてガラス繊維、低収縮剤としてポリスチレン(重量平均分子量200,000)、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエートを用いた。これらの成分を、ジャケット温度を30℃に設定した双腕式ニーダーを用いて30分間混合することによって、硬化性樹脂組成物を調製した。
<実施例2及び3、並びに比較例1〜4>
実施例1と同様に、表1に示す組成で硬化性樹脂組成物を調製した。比較例2及び3では不飽和ポリエステル樹脂であるM−532A(昭和電工株式会社製)を使用した。比較例4ではウレタンアクリレート樹脂であるSUA−23(昭和電工株式会社製)を使用した。
<評価方法>
・成形性
JIS K 6911:1995 5.17に規定される曲げ弾性率試験片(90mm×10mm×4mm)を、成形温度160℃、成形圧力10MPa、成形時間3分の条件下で圧縮成形(株式会社テクノマルシチ製コンプレッション成形機)することによって作製し、目視で評価した。表面クラックの発生していないものを良好、発生しているものを不良とした。
・接触角
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた硬化性樹脂組成物について、成形温度80℃、成形時間8時間で成形した硬化物を基材として、JIS R 3257:1999に準じた手法にて接触角を評価した。親水性の評価試料としては純水、親油性の評価試料としてはジクロロメタンを用いた。
・流動性
トランスファー成形機(株式会社テクノマルシチ製)にスパイラルフロー金型(断面形状が上辺6mm、底辺8mm、高さ2mmの台形状)を取り付けて金型温度160℃、注入圧力10MPaの条件下でスパイラルフロー試験を行い、実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた硬化性樹脂組成物の流動長を測定した。
・弾性率
成形性の評価により得られた曲げ弾性率試験片を用い、JIS K 6911:1995 5.17に準拠して曲げ弾性率を測定した。
Figure 2020097642
表1の結果より、実施例1〜3と比較例1を比べると、エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)の添加により、水、ジクロロメタンともに接触角が低減しており、硬化物表面の親水性及び親油性が両方とも向上していることが分かる。実施例2は特に親水性に優れており、ビニルエステル樹脂(A)と、トリアルコキシシリルモノマー(B)の比率を適切に制御することで、本発明の効果をより高めることができる。
表1の比較例2及び3、並びに実施例1〜3との比較から、実施例で使用した不飽和ポリエステル樹脂では、エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)の添加による表面改質の効果が得られなかったことが分かる。
表1の比較例4と実施例1〜3との比較から、ウレタンアクリレート樹脂では十分な弾性率が得られなかったことが分かる。
硬化性樹脂組成物から得られる成形体の表面は親水性と親油性を同時に有するため、塗料の種類を選ぶことなく成形体を塗装することが可能であり、かつその効果を永続的に維持することができる。硬化性樹脂組成物は、土木及び建築材料、車両用部品、電気機器部品、家具、雑貨等の成形品の製造に好適に使用することができる。

Claims (13)

  1. ビニルエステル樹脂(A)と、エチレン性不飽和基を有するトリアルコキシシリルモノマー(B)と、無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の少なくとも一方とを含み、任意に前記トリアルコキシシリルモノマー(B)以外のエチレン性不飽和化合物(C)を含む硬化性樹脂組成物であって、前記ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対して、前記トリアルコキシシリルモノマー(B)を20〜200質量部含み、前記ビニルエステル樹脂(A)と、前記トリアルコキシシリルモノマー(B)と、前記エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して、前記無機充填材(D)及び繊維強化材(E)の合計含有量が150〜2000質量部である硬化性樹脂組成物。
  2. 前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が式(1):
    −Si(OR) (1)
    で表される基を有し、式(1)中、Rはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐の飽和炭化水素基、又は炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が、炭素原子数の合計が3〜6であるトリアルコキシシリル基を有する、請求項1又は2のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が有するエチレン性不飽和基が、ビニル基、スチリル基、及び(メタ)アクリロイル基から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記トリアルコキシシリルモノマー(B)が(メタ)アクリロイル基を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記トリアルコキシシリルモノマー(B)の含有量が、前記ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対して35〜150質量部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. さらに、前記エチレン性不飽和化合物(C)を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記エチレン性不飽和化合物(C)の含有量が、前記ビニルエステル樹脂(A)100質量部に対して1〜50質量部である、請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 前記無機充填材(D)及び前記繊維強化材(E)の両方を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 前記繊維強化材(E)の含有量が、前記ビニルエステル樹脂(A)と、前記トリアルコキシシリルモノマー(B)と、前記エチレン性不飽和化合物(C)との合計100質量部に対して30〜200質量部である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の成形体。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022044507A1 (ja) * 2020-08-31 2022-03-03 昭和電工株式会社 硬化性樹脂組成物、電気電子部品、及び電気電子部品の製造方法

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