JP2005132673A - 人工大理石 - Google Patents

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JP2005132673A
JP2005132673A JP2003370497A JP2003370497A JP2005132673A JP 2005132673 A JP2005132673 A JP 2005132673A JP 2003370497 A JP2003370497 A JP 2003370497A JP 2003370497 A JP2003370497 A JP 2003370497A JP 2005132673 A JP2005132673 A JP 2005132673A
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mass
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protective film
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JP2003370497A
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Shoichi Ito
正一 伊藤
Yuji Inoue
裕司 井上
Akira Motonaga
彰 元永
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

【課題】 耐擦傷性を有する人工大理石を提供する。
【解決手段】 樹脂と水酸化アルミニウムとを含む人工大理石であって、その表面に保護
皮膜を有し、鉛筆硬度が7H以上である人工大理石;樹脂と水酸化アルミニウムと無機充
填剤含有樹脂粒子とを含む人工大理石であって、その表面に保護皮膜を有し、鉛筆硬度が
7H以上である人工大理石;保護被膜は下記式(1)で表されるオルガノシラン類(A)
の加水分解物(a)、コロイド状シリカ(B)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得ら
れる保護皮膜であることが好ましい。R Si(OR4−n ・・・(1)
【選択図】 無し

Description

本発明は、耐擦傷性に優れた人工大理石に関する。
樹脂及び無機充填剤、必要に応じて石目調を現出させるための樹脂粒子や無機充填剤含
有樹脂粒子からなる人工大理石は、優美な外観と容易な加工性とを有している。それらの
なかでもアクリル系人工大理石は施工性、加工性、メンテナンス性、耐衝撃性、耐候性、
難燃性等に優れていることから、キッチンカウンター等のカウンター類、洗面化粧台、ア
イランドテーブル、家具、内装材、トイレブースパネル板等多くの用途に用いられている
。しかしながら、無機充填剤として水酸化アルミニウムを含有するアクリル系人工大理石
においては、加工性や成形性に優れている反面、その表面が比較的軟らかい場合がある。
即ち、表面硬度が低いために、摩擦や接触によって表面に傷がつきやすい。傷がついた場
合、その部分を研磨することによって傷の修復が行われている。しかしながら、特に色の
濃い人工大理石については、研磨した部分と研磨しない部分との表面形状が異なってしま
うため、狭い範囲を研磨した場合には元の優美な外観を回復することが難しく、広い範囲
にわたっての研磨が必要になる。
そこで、無機充填剤としてシリカ、ガラスビーズ等の硬度の高い無機充填剤を含有させ
ることによって、人工大理石表面の硬度を高くする試みがなされているが、無機充填剤自
身が硬いため、成形法によっては多大な金型磨耗を起こす恐れがある。また、チップソー
やルーターでの切削加工性、成形性などに劣り、キッチンカウンターやテーブルトップな
どの現場施工が困難となる問題点を有している。
一方、加工性や成形性を損なうことなく耐擦傷性を向上させるための方法として、人工
大理石の表面に界面活性剤を付与させて表面硬度等を改良する試みがなされている。例え
ば、人工大理石表面に、一端に−CF基を有し、他端にクロロシリル基またはアルコキ
シル基を有するシラン系界面活性剤を化学結合させた人工大理石(特許文献1参照。)が
開示されている。
特開平11−92251号公報
しかしながら、特許文献1の人工大理石は界面活性剤からなる表面膜の硬度が十分高く
はないため、実用上の耐擦傷性を有していないという問題があった。
本発明の要旨は、樹脂と水酸化アルミニウムとを含む人工大理石であって、その表面に
保護皮膜を有し、鉛筆硬度が7H以上である人工大理石にある。
また、本発明の要旨は、樹脂と水酸化アルミニウムと無機充填剤含有樹脂粒子とを含む
人工大理石であって、その表面に保護皮膜を有し、鉛筆硬度が7H以上である人工大理石
にある。
前述の人工大理石において、保護被膜は下記式(1)で表されるオルガノシラン類(A
)の加水分解物(a)、コロイド状シリカ(B)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得
られる保護皮膜が好ましい。
Si(OR4−n ・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜10の有機基、Rは炭素数1〜5のアルキル基または炭素数
1〜4のアシル基を示し、nは1または2である。)
本発明の人工大理石は、加工性や成形性を損なうことなく耐擦傷性が向上したものであ
る。
本発明の人工大理石は樹脂と水酸化アルミニウムとを含む。
本発明の人工大理石を構成する樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂
、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。それらのなかでも
、透明感と深みのある優美な外観が得られ、加工性が良く、耐熱性、耐水性、耐光性に優
れた人工大理石となるためアクリル樹脂が好ましい。
本発明の人工大理石を構成する水酸化アルミニウムは、人工大理石に優れた質感や耐熱
性を付与する成分である。樹脂100質量部に対して、100〜400質量部の範囲内で
使用されるのが好ましい。水酸化アルミニウムの使用量が100質量部以上の場合には得
られる人工大理石の質感や耐熱性等が良好となる。また400質量部以下の場合には人工
大理石の強度が高くなる。なお、成形性、加工性等の本発明の人工大理石の性能を損なわ
ない範囲内であれば、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、リン
酸カルシウム、硫酸バリウムタルク、クレー、酸化チタン、ガラスパウダー等の水酸化ア
ルミニウム以外の無機充填剤を含有させることもできる。
本発明の人工大理石は、無機充填剤含有樹脂粒子を含有することができる。この粒子は
人工大理石に石目模様を付与するために使用されるものである。無機充填剤含有樹脂粒子
の配合量は、特に制限はないが、樹脂100質量部に対して、10〜200質量部の範囲
内であることが好ましく、20〜150質量部の範囲内であることがより好ましい。
無機充填剤含有樹脂粒子の配合量が10質量部以上の場合、意匠性のよい石目模様が得
られる。200質量部以下の場合、人工大理石における無機充填剤含有樹脂粒子の分散性
が良好になる。例えば、アクリル系人工大理石の場合、無機充填剤含有樹脂粒子を構成す
る樹脂は、メタクリル酸メチルに溶解しない樹脂であれば制限はなく、例えば、架橋アク
リル樹脂、架橋ポリエステル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂等が挙げられる。親和性が高く
、美しい外観を得られることから架橋アクリル樹脂が好ましい。また、無機充填剤含有微
粒子には顔料を含有させることが好ましい。無機充填剤含有樹脂粒子は、色の異なる2種
類以上を併用することもできる。
無機充填剤含有樹脂粒子中、無機充填剤の含有量は50〜80質量%の範囲内であるこ
とが好ましい。無機充填剤の含有量が50質量%以上の場合、人工大理石の質感や耐熱性
等が良好となる。含有量が80質量%以下の場合、人工大理石の強度が高くなる。
無機充填剤としては、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、水
酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウムタルク、クレー、酸化チタン、ガラ
スパウダー等の無機充填剤が挙げられる。これらのなかでも、石目調の柄の発現性がよく
、人工大理石の加工性、成形性が良いことから水酸化アルミニウムが好ましい。
本発明の人工大理石の製造方法として、それがアクリル系人工大理石の場合について説
明する。
メチルメタクリレート(以下、適宜「MMA」という)、またはMMAを主成分とする
単量体との混合物からなる重合性原料に水酸化アルミニウムを含有させて重合硬化させる
方法が好ましい。なお「主成分」とは重合性原料中、50質量%以上含まれる成分のこと
である。
重合性原料に併用されるMMA以外の単量体としては、例えば、炭素数1〜20のアル
キル基を有するMMA以外の(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸金属塩、フマル酸、フマル酸エステル、マレ
イン酸、マレイン酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸アミド、
アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸などの単官能性単量体が挙げられる。ま
た、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,3ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,6ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチ
ロールエタンジ(メタ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリ
レート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン
トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラ
メチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリ
レート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸とポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとの多価エステル、ジビニル
ベンゼン、トリアリールイソシアヌレート、アリールメタクリレート等の多官能性単量体
が挙げられる。これらは単独あるいは二種以上を併用することができる。
なお「(メタ)アクリル酸」とは「メタクリル酸」または「アクリル酸」、「(メタ)
アクリレート」とは「メタクリレート」または「アクリレート」を意味する。
また、重合性原料はポリMMAまたは、MMAを主成分とする共重合体を含有してもよ
い。ここで「主成分とする共重合体」とは、MMA単位を50質量%以上含む共重合体の
ことである。共重合体におけるMMA以外の構成成分としては、先に記載した単量体単位
が上げられる。それらは2種類以上を併用することができる。また、ポリMMAや共重合
体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の公知の方法で得ることが
できる。
また、重合性原料は、前述の単量体または、単量体混合物に重合体を溶解したものでも
よく、単量体もしくは単量体混合物の一部を重合した重合体と単量体とからなるシラップ
または共重合体と単量体混合物とからなるシラップでもよい。また、これらのシラップに
さらに単量体もしくは単量体混合物を添加したもの、またはシラップに重合体を添加した
ものであってもよい。
また、重合性原料には、必要に応じて顔料を含有させてもよい。
重合性原料100質量部あたり、水酸化アルミニウムを100〜400質量部混合して
人工大理石原料とすることが好ましい。
人工大理石原料には、必要に応じて、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキ
サイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエ
チルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、アゾビスイソブチロニトリル等の有機過酸化物やアゾ化合物
などの硬化剤、ガラス繊維、炭素繊維などの補強材、着色剤、低収縮材などの各種添加剤
を添加することができる。
また、人工大理石原料に増粘剤を含有させることができる。増粘剤としては前述の無機
充填剤含有樹脂粒子、酸化マグネシウム粉末、重合体粉末等を使用することができる。
増粘剤の含有量は、重合性原料100質量部当たり0.1〜100質量部の範囲内であ
ることが好ましい。増粘剤の含有量が0.1質量部以上であると、高い増粘効果が発現さ
れる傾向にある。含有量が100質量部以下であると、重合性原料中における増粘剤の分
散性が良好になり、かつ、コスト的に有利になる傾向にある。増粘剤の含有量は1質量部
以上であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましい。
特に、得られる人工大理石の耐水性を向上させるには、増粘剤として重合体粉末を用い
ることが好ましい。重合体粉末としては、非架橋重合体粉末、架橋重合体粉末が挙げられ
るが、非架橋重合体粉末が好ましい。これは、重合体粉末が非架橋重合体粉末であること
によって、十分な増粘効果が短時間で得られ、石目調人工大理石の製造に使用する際には
、石目模様の鮮明性が良くなり、また、石目の模様ムラがなくなる傾向にあるためである
。なお、本発明において非架橋重合体粉末とは、少なくとも表層部が非架橋重合体から構
成されている重合体粉末も含む。
重合体粉末を構成する重合体としては、種々のものを必要に応じて適宜選択して使用で
き、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系人工大理石の場合、外観などの
点を考慮に入れると、アクリル系重合体であることが好ましい。
重合体粉末の構成成分としては、具体例として、例えば、炭素数1〜20のアルキル基
を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5
・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(
メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)
アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸金属塩、フマル酸、フマル酸エ
ステル、マレイン酸、マレイン酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリ
ル酸アミド、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸等の単官能性単量
体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジ
メチロールエタンジ(メタ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパンジ(メタ)ア
クリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエ
タントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テ
トラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及び、(メタ)アクリル
酸と多価アルコール[ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール等]の多価アルコールとの多価エステル、ジビニル
ベンゼン、トリアリールイソシアヌレート、アリール(メタ)アクリレート等の多官能性
単量体;などが挙げられる。
これらは、必要に応じて単独で重合しても良いし、二種以上を併用して共重合しても良
いが、アクリル系人工大理石の場合には重合性原料との親和性を考慮に入れて(メタ)ア
クリル系単量体が好ましい。
また、重合体粉末は、その嵩密度が0.1〜0.7g/mlの範囲であることが好まし
い。これは、重合体粉末の嵩密度を0.1g/ml以上とすることによって、重合体粉末
が飛散しにくくなり、その製造時における歩留まりが良好となり、重合体粉末を重合性原
料に添加、混合する際の粉立ちが減少し、作業性が良好になる傾向にあるためである。ま
た、嵩密度を0.7g/ml以下とすることによって、少量の重合体粉末の使用で十分な
増粘効果を得ることが可能となる傾向にあり、さらにその増粘時間が短時間で済むため、
生産性が向上し、コスト的にも有利になる傾向にあるためである。この嵩密度は0.15
g/ml以上であることがより好ましく、0.2g/ml以上であることが特に好ましい
。また、嵩密度は0.65g/ml以下であることがより好ましく、0.6g/ml以下
であることが特に好ましい。
増粘剤として使用される重合体粉末の重量平均分子量は10万〜200万の範囲内であ
ることが好ましい。30万以上であることがより好ましく、40万以上であることが特に
好ましい。また、150万以下であることがより好ましく、100万以下であることが特
に好ましい。
また重合体粉末の平均粒子径は、1〜250μmの範囲であることが好ましい。平均粒
子径を1μm以上とすることによって、重合体粉末の粉立ちが減少し、重合体粉末の取扱
い性が良好となる傾向にある。250μm以下とすることによって、得られる人工大理石
の外観、特に光沢と表面平滑性が良好となる傾向にあるためである。平均粒子径は5μm
以上であることがより好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。また、150
μm以下であることがより好ましく、70μm以下であることが特に好ましい。
増粘剤として用いることができる重合体粉末は、それらを形成する重合体の化学的組成
、構造、分子量等が互いに異なったコア相とシェル相から構成された、いわゆるコア/シ
ェル構造を有する重合体粉末であってもよい。この場合、コア相は非架橋重合体であって
も架橋性重合体であっても良いが、シェル相は非架橋重合体であることが好ましい。
重合体粉末のコア相及びシェル相の構成成分としては、例えば、先に重合体粉末の構成
成分の例として列挙した各種成分等が挙げられる。これらは、必要に応じて単独で重合し
ても良いし、二種以上を併用して共重合しても良いが、アクリル系人工大理石の場合、そ
れを構成する単量体成分との親和性が高まる点から、シェル相はメチルメタクリレートを
主成分とすることが好ましい。
この重合体粉末の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、塊状重合、溶液重
合、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の公知の方法で得ることができる。このうち、乳化
重合で得られたエマルションに噴霧乾燥、フリーズドライ、塩/酸沈殿等の処理を行って
重合体粉末を得る方法が、製造効率が良好であり好ましい。
人工大理石原料の混合方法は、高粘度の物質を効率よく混合できる方法であれば特に限
定されない。例えば、ニーダー、ミキサー、ロール、押出機などを使用することができる
本発明の人工大理石は、上述の人工大理石原料を、成形型内に注入し、これを硬化する
ことによって得ることができる。硬化の具体的な方法としては、注型法、圧縮成形法、射
出成形法、押出成形法等があるが、特に限定されるものではない。
また、得られた人工大理石を粉砕することによって、無機充填剤として水酸化アルミニ
ウムを含有する樹脂粒子を得ることができる。
別途、調製した人工大理石原料に、水酸化アルミニウム等の無機充填剤を含有する樹脂
粒子を含有させて、それを硬化することによって石目調人工大理石を得ることができる。
無機充填剤含有樹脂粒子は、1種類を使用しても良いし、色や粒子径の異なる2種類以上
を併用しても良い。無機充填剤含有樹脂粒子の粒子径は、得られる人工大理石の肉厚以下
であれば特に限定されないが、0.1mm〜5mm程度であることが好ましい。無機充填
剤含有樹脂粒子の含有量は、重合性原料100質量部に対して、10〜200質量部の範
囲内であることが好ましい。より好ましくは、20〜150質量部の範囲内である。
本発明の人工大理石表面の保護被膜としては、アクリルシリコン樹脂、珪素窒素化合物
塗布型ポリマー(ポリペルヒドロシラザン)、加水分解性ケイ素化合物を原料としたゾル
ゲル法によるものなどが挙げられ、その鉛筆硬度は7H以上である。鉛筆硬度が7H以上
であることによって耐擦傷性が良好となる。鉛筆硬度の上限は8H程度である。
人工大理石表面の耐擦傷性ならびに保護被膜の密着性の点から、加水分解性ケイ素化合
物を原料としたゾルゲル法によって得られた保護被膜が好ましい。特に、式(1)で表さ
れるオルガノシラン類(A)の加水分解物(a)、コロイド状シリカ(B)を含むシリカ
系組成物を加熱硬化して得られる保護被膜が好ましい。
Si(OR4−n ・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜10の有機基、Rは炭素数1〜5のアルキル基または炭素数
1〜4のアシル基を示す。nは1または2を示す。)
式(1)においてR1は炭素数1〜10の有機基であり、その具体例としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブ
チル基、n−デシル基等のアルキル基や、アリル基、3−(2−アミノエチルアミノプロ
ピル)基、3−アミノプロピル基、ビニル基、3−グリシドキシプロピル基、3−メタク
リロキシプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−クロロブチル基、3,4−エポキ
シシクロヘキシルエチル基、3,3,3−トリフロロブチル基、置換基を有してもよいフ
ェニル基等が挙げられる。なお、nが2のとき、Rは、2つが同一である必要はなく、
異なっていてもよい。
式(1)において、Rは炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基で
あり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アセチル基等が挙げられる。なお、Rは、
同一である必要はなく、異なっていてもよい。
加水分解物(a)は、式(1)で表されるオルガノシラン類(A)のアルコキシ基また
はアシルオキシ基の一部または全部が水酸基に置換されたものである。また、(a)成分
の分子間で置換された水酸基同士が縮合していても良い。
これらの加水分解物の製造方法としては、例えば式(1)で表されるオルガノシラン類
(A)に、水(オルガノシラン類(A)1モルに対して、例えば1〜10モル)、および
塩酸や酢酸などを加え溶液を酸性(例えばpH2〜5)とし、撹拌することによって製造
することができる。
また、オルガノシラン類(A)は、1種類を単独で使用しても良いし、数種類を混合し
て使用しても良い。
中でも、オルガノシラン類(A)として、式(2)で表される3官能オルガノシラン類
(a−1)と、式(3)で表されるフェニルシラン類(a−2)と、式(4)で表される
2官能オルガノシラン類(a−3)を混合して使用することが好ましい。さらに、(a−
1)、(a−2)、(a−3)3種を混合して使用することが特に好ましい。
3Si(OR43 ・・・(2)
(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、R4は炭素数1〜5のアルキル基または炭素
数1〜4のアシル基を示す。)
PhSi(OR53 ・・・(3)
(式中、Phは置換基を有してもよいフェニル基、R5は炭素数1〜5のアルキル基また
は炭素数1〜4のアシル基を示す。)
6 Si(OR7 ・・・(4)
(式中、R6は炭素数1〜10の有機基、R7は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1
〜4のアシル基を示す。)
式(2)で表される3官能オルガノシラン類(a−1)は、保護被膜形成用シリカ系組
成物に使用することで、保護被膜の硬度、耐擦傷性を発現させる成分である。
式(2)において、R3は炭素数1〜10のアルキル基であり、その具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n
−デシル基等が挙げられる。
式(2)において、R4は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基で
あり、その具体例としては、先に挙げた式(1)のRと同様のものが挙げられる。
式(2)で表される3官能オルガノシラン類の具体例としては、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシ
ラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリアセトキシ
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロ
ピルトリプロポキシシラン、n−プロピルトリブトキシシラン、n−プロピルトリアセト
キシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソ
プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリブトキシシラン、イソプロピルトリア
セトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−
ブチルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリブトキシシラン、n−ブチルトリアセトキ
シシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチル
トリプロポキシシラン、イソブチルトリブトキシシラン、イソブチルトリアセトキシシラ
ン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチル
トリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でも、加水分解
や縮合の速度、および得られる保護被膜の硬度、強度、耐擦傷性の点から、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエト
キシシランが好ましい。特に、メチルトリメトキシシランが好ましい。
式(3)で表されるフェニルシラン類(a−2)は、保護被膜形成用シリカ系組成物に
使用することで、基材との密着性を向上させる。
式(3)において、Phは置換基を有してもよいフェニル基であり、置換基としては、
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ハロゲ
ン基等が挙げられる。R5は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基で
あり、その具体例としては、先に挙げた式(1)のRと同様のものが挙げられる。
フェニルシラン類(a−2)の具体例としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、
フェニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。中でも、加水分解、縮合の速度の速い点
から、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
式(4)で表される2官能オルガノシラン類(a−3)は、保護被膜形成用シリカ系組
成物に使用することで、得られる保護被膜の強靱性を付与することができる。
式(4)において、R6は炭素数1〜10の有機基である。なお、R6は、2つが同一で
ある必要はなく、異なっていてもよい。その具体例としては、先に挙げた式(1)のR
と同様のものが挙げられる。R7は炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシ
ル基を示す。その具体例としては、先に挙げた式(1)のRと同様のものが挙げられる
式(4)で表される2官能オルガノシラン類(a−3)の具体例としては、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエ
トキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げるこ
とができる。加水分解速度、縮合速度の速い点から、ジメチルジメトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランが好ましい
。中でも、ジメチルジメトキシシランが特に好ましい。
また、保護被膜において、1官能あるいは4官能オルガノシラン類(式(1)中、nが
3、または0を示す。)を、保護被膜の性能を損なわない範囲で併用することもできる。
保護被膜において、コロイド状シリカ(B)は、例えば、シリカ微粒子が水に均一に分
散したシリカゾル、または親水性溶剤に均一に分散したオルガノシリカゾルである。分散
液中のシリカ含有率(固形分濃度)は、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%
がより好ましい。
このコロイド状シリカ(B)は、保護被膜に高硬度、耐擦傷性を付与する成分である。
コロイド状シリカの粒子径は、保護被膜としたときの透明性の点から、100nm以下
が好ましい。粒子径の下限は1nm以上であるものが好ましい。コロイド状シリカの溶剤
は、保護被膜形成用シリカ系組成物に配合した際オルガノシラン類(A)の加水分解物(
a)を凝集、沈殿させることなく均一に分散させ、かつ加水分解、縮合等の反応を妨げな
いという点から、水、メタノール、エタノール、イソブタノール、イソプロパノール、エ
チレングリコール等の親水性溶剤であることが好ましい。
コロイド状シリカ(B)の具体例としては、水分散コロイド状シリカ、メタノール分散
コロイド状シリカ、エタノール分散コロイド状シリカ、イソプロパノール分散コロイド状
シリカ、エチレングリコール分散コロイド状シリカ、イソブタノール分散コロイド状シリ
カ等が挙げられる。中でも、他成分と混合した際の安定性の点から、イソプロパノール分
散コロイド状シリカが好ましい。市販品としては、日産化学工業(株)製 スノーテック
スIPA−ST、触媒化成工業(株)製 OSCAL1432などが挙げられる。
また、コロイド状シリカにコロイド状のアルミナやチタンを混合して用いることもでき
る。
保護被膜形成用シリカ系組成物としては、例えば、式(1)で表されるオルガノシラン
類(A)(好ましくは(a−1)、(a−2)、(a−3)混合物)、コロイド状シリカ
(B)と、水(全シラン化合物の合計1モルに対して、例えば1〜10モル)とを混合し
、さらに塩酸、酢酸等を加えて混合液を酸性(例えばpH2〜5)にして数時間から数日
間撹拌し続け加水分解を充分に進行させる方法がある。このとき、エタノール、イソプロ
パノール等の親水性溶剤を加えても良い。
また、通常加水分解反応に続いて、縮合反応も進行するが、加水分解が充分に進行した
後、縮合反応を進めるために水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどを添加してpHを中
性付近(例えば、pH6〜7)に制御しても良い。
保護被膜形成用シリカ系組成物中の、オルガノシラン類(A)、コロイド状シリカ(B
)の使用量比率に関しては、特に制限はなく、所望の保護被膜の性能に応じて適宜決定す
ればよい。
好ましくは(A)成分に対する(B)成分の仕込みモル数比が、(B)/(A)=25
0/100〜25/100であることが好ましい。(B)成分の仕込みモル数比が(B)
/(A)=250/100より小さいと、得られる保護被膜のクラック発生が抑制される
。また、基材との密着性も向上する。一方、(B)の仕込みモル数比が(B)/(A)=
25/100より大きいと、得られる保護被膜の表面硬度および耐擦傷性が向上する。よ
り好ましい仕込みモル数比は(B)/(A)=200/100〜50/100である。
オルガノシラン類(A)は、式(2)で表される3官能オルガノシラン類(a−1)、
式(3)で表されるフェニルシラン類(a−2)、式(4)で表される2官能オルガノシ
ラン類(a−3)を併用するのが好ましい。
その、使用比率に制限はなく、所望の保護被膜の性能に応じて適宜決定すればよい。好
ましい使用比率は、(a−1)、(a−2)、(a−3)成分の仕込みモル比の合計量を
100モルとしたとき、それぞれ、40〜94モル、3〜30モル、3〜30モルとする
のが好ましい。
(a−1)の好ましい使用比率は、(a−1)、(a−2)、(a−3)成分の仕込み
モル比の合計量を100モルとしたとき、40〜94モルである。(a−1)成分を40
モル以上とすることで、保護被膜の硬度、耐擦傷性が向上する。94モル以下とすること
で、保護被膜の強度がまし、クラックが発生しにくくなる。より好ましい使用比率は、6
0〜90モルである。
(a−2)の好ましい使用比率は、(a−1)、(a−2)、(a−3)成分の仕込み
モル比の合計量を100モルとしたとき、3〜30モルである。(E−2)成分を3モル
以上とすることで、得られる保護被膜とプラスチック基材との密着性が向上する。また、
30モル以下とすることで、得られる保護被膜の硬度と耐擦傷性の低下を抑制することが
できる。より好ましい使用比率は、5〜20モルである。
(a−3)の好ましい使用比率は、(a−1)、(a−2)、(a−3)成分の仕込み
モル比の合計量を100モルとしたとき、3〜30モルである。(a−3)成分を3モル
以上とすることで、得られる保護被膜の強靱性が向上する。また、30モル以下とするこ
とで、得られる保護被膜の硬度と耐擦傷性の低下を抑制することができる。より好ましい
使用比率は、5〜20モルである。
なお、上述した(A)、(a−1)、(a−2)、(a−3)、(B)成分の各モル数
は、以下の式で示されるものである。
(A)成分のモル数=(オルガノシラン類(A)の仕込み質量)/(オルガノシラン類(
A)の仕込み質量)
(a−1)成分のモル数=(3官能オルガノシラン類(a−1)の仕込み質量)/(3官
能オルガノシラン類(a−1)の分子量)
(a−2)成分のモル数=(フェニルシラン類(a−2)の仕込み質量)/(フェニルシ
ラン類(a−2)の分子量)
(a−3)成分のモル数=(2官能オルガノシラン類(a−3)の仕込み質量)/(2官
能オルガノシラン類(a−3)の分子量)
(B)成分のモル数=(コロイド状シリカ溶液中の仕込みシリカ(固形分)質量)/(シ
リカの分子量;60.1(SiO2として))。
保護被膜形成用シリカ系組成物は、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上を目
的として、有機溶媒を含有することが好ましい。有機溶媒としては、アルコール類、ケト
ン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、芳香族化合物類、エステル類などを挙げ
ることができる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパ
ノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、イソブタノール、ジア
セトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上
を混合して使用することもできる。
保護被膜形成用シリカ系組成物の全固形分濃度は1〜50質量%とするのが好ましい。
全固形分濃度を50質量%以下とすることで、シリカ系組成物の保存安定性を保ち、なら
びに液の粘度が高くなり過ぎるのを防止して良好な塗膜を得る点で意義が有る。
また、全固形分濃度を1質量%以上とすることで、固形分が低くなりすぎて塗膜が薄く
なり、十分な耐擦傷性が得られなくなるのを避ける点で意義が有る。より好ましい全固形
分濃度は、5〜40質量%である。
保護被膜形成用組成物には、比較的低い温度でより速く硬化させるために硬化触媒を加
えることができる。硬化触媒としては、例えば、カルボン酸のアルカリ金属塩およびアン
モニウム塩、過塩素酸塩、アセチルアセトン酸の金属塩、第四級アンモニウムおよび第四
級アンモニウム塩等が挙げられる。また、被膜表面の平滑性を向上させるためのレベリン
グ剤(シリコン系、フッ素系界面活性剤等)、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、
導電性微粒子等を添加することもできる。
保護被膜形成用の組成物を調製する方法の好適な一例を説明する。まず、式(1)で表
されるオルガノシラン類(A)を良く混合・撹拌する。この混合液を攪拌しながら、適量
の水を入れ充分に加水分解する。その際、加水分解を促進するために塩酸、酢酸などによ
りpH2〜5に調整する。さらにコロイド状シリカ(B)を加え、攪拌を続ける。3〜5
時間程度攪拌を、NMR法により充分に加水分解されているのを確認した後、アンモニウ
ム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム水溶液などを添加し、pHを6〜7程度に調整し
、約20時間程度攪拌を続け縮合を行う。その後、有機溶媒、必要に応じ硬化剤、紫外線
吸収剤、レベリング剤などを添加し、均一に混合して、保護被膜形成用シリカ系組成物を
得ることができる。
この方法において、式(1)で表されるオルガノシラン類(A)を複数種類使用する場
合(例えば式(3)で表される(a−1)、式(4)で表される(a−2)、式(5)で
表される(a−3)を併用する場合)は、それぞれに適量の水で加水分解した後、混合し
てもよいし、予め複数種のオルガノシラン類(A)を混合した後、適量の水を加え加水分
解しても良い。さらには、式(1)で表される、オルガノシラン類(A)およびコロイド
状シリカ(B)を予め混合し、その後加水分解を行っても良い。
このようにして得た保護被膜形成用シリカ系組成物を用いて、保護被膜を形成する方法
の好適な一例を説明する。まず、人工大理石上に、保護被膜形成用シリカ系組成物を刷毛
塗り、ディップコート、スピンコート、フローコート、スプレーコート、ロールコート等
の塗装手段により塗布し、塗膜を形成する。次いで、この塗膜を20〜60℃で0〜60
分間乾燥させ、その後80〜150℃で1〜5時間加熱、硬化させることにより、保護被
膜が得られる。
本発明における保護被膜の膜厚は、1〜10μmとするのが好ましい。厚さを1μm以
上とすることで、耐擦傷性を向上させることができる。また、膜厚を10μm以下とする
ことで、保護被膜を形成する際のクラックが発生し難くなる。特に好ましい膜厚は、2〜
5μmである。
本発明の人工大理石は、アイランドテーブル、カウンター、家具、内装材、トイレブー
スパネル板、花台などの人工大理石成型物やシート類に好適である。
以下、実施例により具体的に詳明する。なお、実施例中の保護被膜の物性は、下記の方
法による測定結果を表す。
1)耐擦傷性(スチールウール試験)
保護被膜を有する人工大理石の表面に、スチールウールの円形パッド(φ25mm)を
一定荷重で押し付けながら10往復させ、試料に傷が付き始める最低荷重(g)を求めた
2)保護被膜密着性
人工大理石の保護被膜へ、カミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつの切れ目を入れ
て100個の碁盤目を作り、セロハンテープをよく密着させた後、45度手前方向に急激
に剥がした後、保護被膜が剥離せずに残存したときのマス目数により以下の基準で評価す
る。
○ … 剥離したマス目が無い(密着性良好)。
△ … 剥離したマス目が5/100以下(密着性中程度)。
× … 剥離したマス目が6/100以上(密着性不良)。
3)鉛筆硬度
JIS K5400の鉛筆硬度試験によった。
[実施例1]
[保護被膜形成用シリカ系組成物の調製]
(a−1)成分としてメチルトリメトキシシラン0.128mol(17.4g)、(a
−2)成分としてフェニルトリメトキシシラン0.008mol(1.58g)、(a−
3)成分としてジメチルジメトキシシラン0.015mol(1.80g)、(B)成分
としてイソプロピルアルコール分散コロイド状シリカ(粒子径10〜20nm、固形分3
0質量部、日産化学工業(株)製、商品名スノーテックスIPA−ST)0.100mo
l(20.0g)、水20.0gを混合した。この溶液を攪拌しつつ、さらに溶液がpH
2.0となるように0.05N塩酸を加えた。溶液が発熱するので、水浴で冷却しつつ、
液温を約10℃に維持しながら4時間攪拌を続けた。次いで、溶液がpH6.8となるよ
うに、酢酸ナトリウムを加え、さらに20時間攪拌した。有機溶剤としてγ−ブチロラク
トン12.0gおよびブチルセロソルブ13.9gを加え攪拌し均一溶液とした。さらに
、日本ユニカー(株)製シリコーン系界面活性剤L−7001を0.01g添加し、約1
時間室温で攪拌し、保護被膜形成組成物を得た。
[重合体粉末製造]
冷却管、温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管を備えた反応装置に、純水925質量
部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名ペレックス
SS−H)5質量部、過硫酸カリウム1質量部仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら70
℃に加熱した。これにメチルメタクリレート500質量部、ジアルキルスルホコハク酸ナ
トリウム(花王(株)製、商品名ペレックスOT−P)5質量部からなる混合物を3時間かけ
て滴下した後、1時間保持し、さらに80℃に昇温して1時間保持し乳化重合を終了し、
エマルジョンを得た。
得られたエマルジョンを大河原化工機社製L−8型噴霧乾燥装置を用いて噴霧乾燥処理
し、平均粒子径が30μmの熱可塑性重合体粉末を得た。得られた非架橋重合体粉末は、
メチルメタクリレートに完全に溶解した。嵩密度は、0.40g/ml、重量平均分子量
は60万であった。
[ポリメチルメタクリレートの製造]
冷却管、温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管を備えた反応装置に、純水800質量
部、ポリビニルアルコール(けん化度88%、重合度1000)1質量部を溶解させた後
、メチルメタクリレート400質量部、ノルマルドデシルメルカプタン2質量部、アゾビ
スイソブチルニトリル2質量部を溶解させた単量体溶液を投入し、窒素雰囲気下で攪拌し
ながら1時間で80℃に昇温し、そのまま2時間加熱した。その後、90℃に昇温し、2
時間加熱後、さらに120℃に加熱して残存モノマーを水と共に留去してスラリーを得て
、懸濁重合を終了した。得られたスラリーを濾過、洗浄した後、50℃の熱風乾燥機で乾
燥し、平均粒子径93μmのポリメチルメタクリレートを得た。嵩密度は、0.72g/
ml、重量平均分子量は4万であった。
[人工大理石の製造]
重合性原料としてメチルメタクリレート48質量部とネオペンチルグリコールジメタク
リレート27質量部、上記製造法にて得られたポリメチルメタクリレート25質量部から
なる重合性原料100質量部に、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本
油脂(株)製、商品名パーブチルZ)3.0質量部、内部離型剤としてステリアン酸亜鉛
0.5質量部を添加した後に、水酸化アルミニウム(昭和電工(株)社製、商品名ハイジ
ライトH−310、)200質量部ならびに増粘剤として上記製造法で得た重合体粉末3
0質量部を添加して、ニーダーで10分間混錬した。
次に、この得られた混合物を200mm角の平型成形用金型に充填し、金型温度130
℃、圧力9.8MPaの条件で10分間加熱加圧硬化させ、厚さ10mmのアクリル系人
工大理石を得た。
この人工大理石を10cm角の大きさに切り、調製した保護被膜用シリカ系組成物をデ
ィップコート法(引き上げ速度 約50cm/分)にて塗布し、20℃で20分間乾燥し
、さらに100℃の硬化炉内にて2時間加熱乾燥させて、厚み4μmの保護被膜を形成し
た。得られた保護被膜を有する人工大理石については、クラック、白化などの欠点もなく
良好であり、密着性も良好であった。鉛筆硬度は8Hと良好であり、耐擦傷性も良好であ
った。評価結果を表2に示した。
[実施例2]
保護被膜形成用シリカ系組成物の調製、重合体粉末、ポリメチルメタクリレートの製造
は実施例1と同様に行った。
[無機充填剤含有樹脂粒子の製造]
無機充填剤含有樹脂粒子は、メチルメタクリレート69質量部、エチレングリコールジ
メタクリレート2質量部、上記製造法にて得られたポリメチルメタクリレート29質量部
からなる重合性原料100質量部に硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日
本油脂(株)製、商品名パーブチルZ)2.0質量部、内部離型剤としてステリアン酸亜
鉛0.5質量部、着色剤として白色無機顔料又は黒色無機顔料0.25質量部を添加した
後に、無機充填剤として水酸化アルミニウム(昭和電工(株)社製、商品名ハイジライト
H−310)200質量部ならびに増粘剤として上記製造法で得た重合体粉末30質量部
を添加し、ニーダーで10分間混錬した。次に、この得られた混合物を200mm角の平
型成形用金型に充填し、金型温度130℃、圧力9.8MPaの条件で10分間加熱加圧
硬化させ、厚さ10mmのアクリル系人工大理石を得た。
続いてこのアクリル系人工大理石をクラッシャーで粉砕することによって、平均粒径が
350μmの黒色と白色との2種類の無機充填剤含有樹脂粒子を得た。
[人工大理石の作成]
重合性原料としてメチルメタクリレート48質量部とネオペンチルグリコールジメタク
リレート27質量部、上記製造法にて得られたポリメチルメタクリレート25質量部から
なる重合性原料100質量部に、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本
油脂(株)製、商品名パーブチルZ)3.0質量部、内部離型剤としてステリアン酸亜鉛
0.5質量部を添加した後に、無機充填剤として水酸化アルミニウム(昭和電工(株)社
製、商品名ハイジライトH−310)150質量部と、上記製造方法で得た黒色と白色との無機充填剤含有樹脂粒子35質量部ずつの合わせて70質量部を添加し、さらに増粘剤として上記製造法で得た重合体粉末30質量部を添加し、ニーダーで10分間混錬した。
次に、この得られた混合物を200mm角の平型成形用金型に充填し、金型温度130
℃、圧力9.8MPaの条件で10分間加熱加圧硬化させ、厚さ10mmのアクリル系人
工大理石を得た。
この人工大理石を10cm角の大きさに切り、実施例1と同様に調製した保護被膜用シ
リカ系組成物をディップコート法(引き上げ速度 約50cm/分)にて塗布した後、2
0℃で20分間乾燥し、さらに100℃の硬化炉内にて2時間加熱乾燥させて、厚み4μ
mの保護被膜を形成した。得られた保護被膜を有する人工大理石については、クラック、
白化などの欠点もなく良好であり、密着性も良好であった。鉛筆硬度は8Hと良好であり
、耐擦傷性も良好であった。評価結果を表2に示した。
[比較例1]
人工大理石表面に保護被膜を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、耐擦傷
性を評価した。その結果を表2に示した。鉛筆硬度が低く耐擦傷性は良好でなかった。
[比較例2]
人工大理石表面に保護被膜を形成しなかったこと以外は実施例2と同様にして、耐擦傷
性を評価した。その結果を表2に示した。鉛筆硬度が低く耐擦傷性は良好でなかった。
Figure 2005132673
表中の記号
MMA:メチルメタクリレート
NPGMA:ネオペンチルグリコールジメタクリレート
PMMA:ポリメチルメタクリレート
Figure 2005132673
表中の記号
MTMS:メチルトリメトキシシラン
PhTMS:フェニルトリメトキシシラン
DMDMS:ジメチルジメトキシシラン
IPA−ST:イソプロピルアルコール分散コロイド状シリカ(固形分濃度30質量部、
日産化学工業(株)製、スノーテックスIPA−ST)
本発明の保護被膜を施した人工大理石は、耐擦傷性が良好であり、アイランドテーブル
、カウンター、家具、内装材、トイレブースパネル板などの各種の用途に好適である。

Claims (3)

  1. 樹脂と水酸化アルミニウムとを含む人工大理石であって、その表面に保護皮膜を有し、
    鉛筆硬度が7H以上である人工大理石。
  2. 樹脂と水酸化アルミニウムと無機充填剤含有樹脂粒子とを含む人工大理石であって、そ
    の表面に保護皮膜を有し、鉛筆硬度が7H以上である人工大理石。
  3. 保護被膜が下記式(1)で表されるオルガノシラン類(A)の加水分解物(a)、コロ
    イド状シリカ(B)を含むシリカ系組成物を加熱硬化して得られる保護皮膜である請求項
    1または請求項2に記載の人工大理石。
    Si(OR4−n ・・・(1)
    (式中、Rは炭素数1〜10の有機基、Rは炭素数1〜5のアルキル基または炭素数
    1〜4のアシル基を示し、nは1または2である。)

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