JP2017014481A - 熱硬化性樹脂組成物及びその樹脂成形物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物及びその樹脂成形物 Download PDF

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Abstract

【課題】撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に優れた樹脂成形物を得る技術の提供。【解決手段】(A)含フッ素ブロック共重合体と、(B)熱硬化性樹脂と、を含有する熱硬化性樹脂組成物。(A)含フッ素ブロック共重合体は、非フッ素セグメントと、含フッ素セグメントと、からなり、非フッ素セグメントが、(a−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含み、前記非フッ素セグメントのガラス転移温度が40〜120℃であり、含フッ素セグメントを構成する含フッ素単量体が、末端に炭素数6のパーフルオロアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである熱硬化性樹脂。(A)含フッ素ブロック共重合体における前記含フッ素単量体の含有量が15〜55重量%である熱硬化性樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、人工大理石などに利用可能な樹脂成形物に関する。
人工大理石は、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等を主成分とした樹脂であり、外観において天然石によく似た風合いを持ちながら、天然石にはない高い加工性と高い強度とを持ち合わせている。
特許文献1には、人工大理石を作製可能な熱硬化性樹脂組成物が開示されている。特許文献1に記載の熱硬化性樹脂組成物は、フッ素系樹脂と熱硬化性樹脂とを含有している。熱硬化性樹脂組成物では、フッ素系樹脂と熱硬化性樹脂との高い相容性により、フッ素系樹脂と熱硬化性樹脂とが互いに均一に混合する。
したがって、特許文献1に記載の熱硬化性樹脂組成物から得られる人工大理石では、優れた外観が得られるとともに、フッ素系樹脂の作用により優れた撥水撥油性や防汚性が得られる。このため、この人工大理石は、特に、浴槽、キッチンカウンター、洗面台、洗い場、及び内装材等の用途に適している。
特開2013−173840号公報
上記の用途に用いられる人工大理石には、更なる撥水撥油性や防汚性の向上が求められるとともに、長期の使用に耐えうる高い耐久性が求められる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に優れた樹脂成形物を得るための技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)含フッ素ブロック共重合体と、(B)熱硬化性樹脂と、を含有する。
上記(A)含フッ素ブロック共重合体は、非フッ素セグメントと、含フッ素セグメントと、からなる。
上記非フッ素セグメントが、(a−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む。
上記非フッ素セグメントのガラス転移温度が40℃以上120℃以下である。
上記含フッ素セグメントを構成する含フッ素単量体が、下記式(1)で表される炭素数6のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体である。
上記(A)含フッ素ブロック共重合体における上記含フッ素単量体の含有量が15重量%以上55重量%以下である。
Figure 2017014481
…(1)
(式(1)中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子、又は塩素原子を示し、Rは、炭素数1以上の脂肪族基を示す。)
この構成により、撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に優れた樹脂成形物を作製可能な含フッ素熱硬化性樹脂組成物が得られる。
上記非フッ素セグメントが(a−2)(メタ)アクリル酸を更に含んでいてもよい。
この構成により、撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に更に優れた樹脂成形物を作製可能な含フッ素熱硬化性樹脂組成物が得られる。
上記熱硬化性樹脂組成物は、ポリスチレン系の(C)低収縮剤を更に含有していてもよい。
この構成により、更に良好な樹脂成形物が得られる。
本発明の一形態に係る樹脂成形物は、上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる。
撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に優れた樹脂成形物を得るための技術を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明において数値範囲を示す「N〜N」とは、特に明示しない限り「N以上N以下」を意味する。また、「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸とアクリル酸の双方を含むものとする。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、(A)含フッ素ブロック共重合体と、(B)熱硬化性樹脂と、を含有する。また、この熱硬化性樹脂組成物は、(C)低収縮剤を含有していてもよい。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を硬化させることによって樹脂成形物が得られる。これにより得られる樹脂成形物は、人工大理石として充分な美しい外観が得られるとともに、撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に優れる。したがって、この樹脂成形物は、浴室やキッチンなどの水回りの用途に特に適し、一例としては、浴槽などとして利用することが可能である。
[(A)含フッ素共重合体]
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物に含まれる(A)含フッ素共重合体は、非フッ素セグメントと含フッ素セグメントとからなるブロック共重合体(ブロックポリマー)である。
(A)含フッ素共重合体の含有量は、(B)熱硬化性樹脂及び(C)低収縮剤の含有量の合計を100重量部として、(A)含フッ素共重合体の含有量が、0.1〜10重量部の範囲内であることが好ましく、2重量部程度であることがより好ましい。
(A)含フッ素共重合体における含フッ素セグメントの含有量は、15〜55重量%の範囲内である。これにより、撥水撥油性、防汚性、及び耐久性に優れた樹脂成形物が得られる。この一方で、含フッ素セグメントの含有量が15%未満の場合、又は含フッ素セグメントの含有量が55%を超える場合には、樹脂組成物において充分な耐久性が得られない。
(A)含フッ素共重合体に含まれる含フッ素セグメントは、含フッ素単量体の単独重合体、又は含フッ素単量体と非フッ素系単量体との共重合体で構成される。含フッ素セグメントを構成する含フッ素単量体は、炭素数6のパーフルオロアルキル基を有し、下記式(1)で表される。
Figure 2017014481
…(1)
上記式(1)中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子、又は塩素原子を示す。Rは、炭素数1以上の脂肪族基を示す。また、Rは、炭素数1〜50のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜4、18〜24のアルキレン基であることが更に好ましい。
また、含フッ素単量体と非フッ素系単量体との共重合体で構成される含フッ素セグメントを形成するための非フッ素系単量体には、フッ素を含有しないラジカル重合可能な公知の単量体を用いることができる。このような含フッ素セグメントでは、含フッ素セグメント中に占める含フッ素単量体に基づく重合部分の割合が、80重量%以上であることが好ましく、85重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが更に好ましい。これにより、樹脂成形物において、充分な撥水撥油性が得られる。
(A)含フッ素共重合体に含まれる非フッ素セグメントは、(a−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む。
また、非フッ素セグメントは、(a−2)(メタ)アクリル酸を更に含むことが好ましい。これにより、樹脂成形物の撥水撥油性、防汚性、及び耐久性を向上させることができる。特に、含フッ素セグメント及び非フッ素セグメントの含有量の合計を100重量部として、(a−2)(メタ)アクリル酸の含有量を0.1〜1.0重量部の範囲内とすることにより、上記の効果がより良好に得られる。
この一方で、非フッ素セグメントは、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル(HEMA)を含まない。これにより、樹脂成形物の撥水撥油性、防汚性、及び耐久性を向上させることができる。
更に、非フッ素セグメントのガラス転移温度Tgは、40℃以上120℃以下である。これにより、樹脂成形物の撥水撥油性、防汚性、及び耐久性を更に向上させることができる。
なお、非フッ素セグメントのガラス転移温度Tgは、ホモポリマーのガラス転移温度Tgを用いて算出することができる。非フッ素セグメントのガラス転移温度Tgの算出方法は、例えば、「新高分子実験学 高分子の物性(1) 熱的・力学的性質 p45−123
高分子学会編 共立出版 1997年」に記載されている。また、ホモポリマーのガラス転移温度Tgは、例えば、「POLYMER HANDBOOK THIRD EDITTION p VI/209−259 J.BRANDRUP AND E.H.IMMERCUT 著 WILEY 1989年」に記載されている。
非フッ素セグメントは、非フッ素系単量体のみによって、又は非フッ素系単量体を主体として形成される。非フッ素セグメントの形成に用いられる非フッ素系単量体は、フッ素を含有しないラジカル重合可能な公知の単量体を用いることができる。また、非フッ素系単量体としては、含フッ素セグメントを形成するために用いられる非フッ素系単量体と同様のものを用いることができる。
例えば、非フッ素系単量体として、下記式(2)で表される単量体((メタ)アクリル酸アルキルエステル)を用いることができる。下記式(2)で表される非フッ素系単量体では、充分な重合転化率が得られ、かつ、(B)熱硬化性樹脂の成分との相容性が確保され、そして樹脂成形物としての撥水性を損なわない。下記式(2)で表される非フッ素系単量体は、単一の種類で用いられても、複数種類を組み合わせて用いられてもよい。
Figure 2017014481
…(2)
上記式(2)中、Rは、水素原子、又はメチル基を示す。Rは、炭素数1〜22のアルキル基若しくは置換アルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基若しくは置換シクロアルキル基、又は、フェニル基若しくは置換フェニル基を示す。
上記式(2)で表される非フッ素系単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
上記式(2)で表される非フッ素系単量体は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルであることが好ましい。
また、上記式(2)で表される非フッ素系単量体に加えて、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、メトキシスチレン、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジt−ブチル、フマル酸ジシクロヘキシル、フマル酸ジベンジル、イタコン酸ジメチル等を非フッ素系単量体として用いることができる。
これらの非フッ素系単量体は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
(A)含フッ素共重合体の数平均分子量は、5,000〜1,000,000の範囲内とすることができ、10,000〜300,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜100,000の範囲内であることが更に好ましい。数平均分子量を5,000以上とすることにより、フッ素の性能、即ち、撥水撥油性がより良好に発揮される。また、数平均分子量を1,000,000以下とすることによって、より容易に製造可能となる。
次に、(A)含フッ素共重合体の製造方法について説明する。(A)含フッ素共重合体の製造には、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、エマルション重合法等を用いることが可能である。(A)含フッ素共重合体は、含フッ素セグメントを構成する単量体と、非フッ素セグメントを構成する単量体とを混合し、重合開始剤を添加することにより合成することができる。
重合開始剤としては、有機過酸化物や無機過酸化物、アゾ化合物等を用いることができる。重合開始剤としては、ポリメリックペルオキシドを用いることが好ましい。重合開始剤としてポリメリックペルオキシドを用いる場合、パーオキサイド結合含有共重合体中のパーオキサイド結合の開裂を制御することで、触媒等を用いることなく、効率よく(A)含フッ素共重合体を得ることが可能となる。
ポリメリックペルオキシドを重合開始剤とする(A)含フッ素共重合体の製造方法としては、公知の製造方法(例えば、特公平5−41668号公報、特公平5−59942号公報参照)を用いることができる。
ポリメリックペルオキシドとは、1分子中に2個以上のペルオキシ結合を持つ化合物である。ポリメリックペルオキシドとしては、特公平5−59942号公報に記載されている各種ポリメリックペルオキシドの一種又は二種以上を使用することができる。ポリメリックペルオキシドとしては、例えば、下記式(3)、(4)、及び(5)で表されるものを利用可能である。
Figure 2017014481
…(3)
上記式(3)中、nは1〜10の整数を示し、mは2〜20の整数を示す。
Figure 2017014481
…(4)
上記式(4)中、nは2〜20の整数を示す。
Figure 2017014481
…(5)
上記式(5)中、nは3〜20を示す。
ポリメリックペルオキシドを重合開始剤とする溶液重合法による(A)含フッ素共重合体の合成は、例えば、以下の第1工程及び第2工程によって行うことができる。
まず、第1工程として、ポリメリックペルオキシドを重合開始剤として用い、非フッ素系セグメントを形成する上記の非フッ素系単量体を溶液中で重合することにより、連鎖中にパーオキサイド結合が導入されたパーオキサイド結合含有非フッ素系重合体が得られる。
次に、第2工程として、第1工程で得られた溶液中に含フッ素単量体を加えて重合を行うことにより、パーオキサイド結合含有非フッ素系重合体中のパーオキサイド結合が開裂し、(A)含フッ素共重合体が得られる。
これにより、(A)含フッ素共重合体が効率よく得られる。なお、上記のような第1工程及び第2工程による二段階重合では、第1工程の非フッ素系単量体を第2工程に用い、第2工程の含フッ素単量体を第1工程に用いてもよい。
[(B)熱硬化性樹脂]
(B)熱硬化性樹脂としては公知の熱硬化性樹脂を用いることができる。(B)熱硬化性樹脂としては、例えば、人工大理石、塗料やゲルコート剤に用いられる樹脂等が挙げられる。(B)熱硬化性樹脂の具体例としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、硬化性(メタ)アクリル系樹脂等を挙げることができる。
(B)熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂、硬化性(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましい。
なお、(B)熱硬化性樹脂は、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
(B)熱硬化性樹脂として利用可能な不飽和ポリエステル樹脂とは、不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸、及び多価アルコールを特定の割合で加熱・脱水縮合させて得られる不飽和ポリエステルをラジカル重合性単量体に溶解させた液状樹脂である。不飽和ポリエステル樹脂としては、公知のものを用いることができる。
不飽和二塩基酸としては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。不飽和二塩基酸は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
飽和二塩基酸としては、例えば、芳香族二塩基酸や脂肪族二塩基酸等が挙げられる。芳香族二塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。脂肪族二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸等が挙げられる。飽和二塩基酸は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。多価アルコールは、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
ラジカル重合性単量体としては、上記式(2)で表される単量体や、その他の非フッ素系単量体や、含フッ素単量体等を用いることができる。ラジカル重合性単量体は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
不飽和ポリエステル樹脂における不飽和ポリエステルの含有量は、30〜90重量%の範囲内であることが好ましい。不飽和ポリエステルの含有量を30重量%以上とすることにより、樹脂成形物の機械的特性が向上する。また、不飽和エポキシ樹脂の含有量を80重量%以下とすることにより、不飽和ポリエステル樹脂の粘度が高くなりすぎないため、優れた作業性が得られる。
(B)熱硬化性樹脂として利用可能なビニルエステル樹脂とは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸やメタクリル酸等の不飽和一塩基酸又はマレイン酸やフマル酸等の不飽和二塩基酸のモノエステルを開環付加させた反応生成物をラジカル重合性単量体に溶解させた液状樹脂である。ビニルエステル樹脂としては、公知のものを用いることができる。
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、ビスフェノール型エポキシ樹脂や、フェノールノボラック型エポキシ樹脂や、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールSとエピクロルヒドリンとから合成される。フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂又はビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドを酸性触媒存在下反応させて得られるいわゆるフェノールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとから合成される。
ノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、クレゾールとホルムアルデヒドとを酸性触媒存在下で反応させて得られるいわゆるクレゾールノボラック樹脂や、エピクロルヒドリンとから合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ラジカル重合性単量体としては、上記の不飽和ポリエステル樹脂と同様に、上記式(2)で表される単量体や、その他の非フッ素系単量体や、含フッ素単量体等を用いることができる。ラジカル重合性単量体は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
ビニルエステル樹脂における不飽和エポキシ樹脂の含有量は30〜90重量%の範囲内であることが好ましい。不飽和エポキシ樹脂の含有量を30重量%以上とすることにより、耐蝕性や耐熱性に優れたビニルエステル樹脂の硬化物が得られる。また、不飽和エポキシ樹脂の含有量を90重量%以下とすることにより、ビニルエステル樹脂の粘度が高くなりすぎないため、優れた作業性が得られる。
(B)熱硬化性樹脂として利用可能な硬化性(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル樹脂と1分子中に不飽和基を2個以上有するラジカル重合性単量体(以下、「架橋剤」とも呼ぶ。)を溶媒としてのラジカル重合性単量体に溶解させた(メタ)アクリルシラップとして構成される。硬化性(メタ)アクリル系樹脂としては、公知のものを用いることができる。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを有機過酸化物あるいはアゾ化合物で重合することにより得られる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、公知の(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、上記式(2)で表される単量体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。(メタ)アクリル酸エステルは、特にメタクリル酸メチルの含有量が50重量%以上であることが好ましい。メタクリル酸メチルの含有量を50重量%以上とすることにより、耐候性や透明性、表面光沢に優れる樹脂成形物が得られる。
また、(メタ)アクリル樹脂の他の構成成分として、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和一塩基酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和二塩基酸、これら不飽和二塩基酸のモノエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類を30重量%以下の範囲で含有させることもできる。
溶媒として利用されるラジカル重合性単量体としては、上記の不飽和ポリエステル樹脂と同様に、上記式(2)で表される単量体や、その他の非フッ素系単量体や、含フッ素単量体等を用いることができる。ラジカル重合性単量体は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
架橋剤の具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、フタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル等が挙げられる。架橋剤は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
溶媒及び架橋剤の総量における架橋剤の含有量は、1〜20重量%の範囲内であることが好ましく、3〜15重量%の範囲内であることがより好ましい。架橋剤の含有量を1重量%以上とすることにより、耐熱性に優れた樹脂成形物が得られる。また、架橋剤の含有量を20重量%以下とすることにより、充分な強度を有する樹脂成形物が得られる。
熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂における(メタ)アクリル樹脂の含有量は、10〜50重量%であることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂の含有量を10重量%以上とすることにより、樹脂成形物にクラックが入ることを効果的に防止することができる。(メタ)アクリル樹脂を50重量%以下とすることにより、熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂の粘度の上昇が抑制され、高い作業性が得られる。
熱硬化性樹脂組成物における(B)熱硬化性樹脂の含有量は、10〜85重量%の範囲内であることが好ましく、15〜45重量%の範囲内であることがより好ましく、20〜40重量%の範囲内であることが更に好ましい。(B)熱硬化性樹脂の含有量を10重量%以上とすることにより、充分な強度を有する樹脂成形物が得られる。また、(B)熱硬化性樹脂の含有量を60重量%以下とすることにより、成形時の収縮が抑制されるため、容易に成形可能となる。
(B)熱硬化性樹脂組成物中には、樹脂成形物の用途などに応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種添加物を添加することもできる。このような添加物としては、例えば、(C)低収縮剤が挙げられる。
[(C)低収縮剤]
(C)低収縮剤とは、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化する際の成形収縮を抑制するための添加物である。(C)低収縮剤としては、ポリスチレン系低収縮剤、アクリル系低収縮剤などが挙げられる。中でもポリスチレン系低収縮剤は、(A)含フッ素共重合体の含フッ素セグメントが樹脂成形物の表面に配向しやすくなる。このため、撥水撥油性が発現しやすいという点でポリスチレン系低収縮剤が好ましい。
ポリスチレン系低収縮剤としては、ポリスチレン、セグメントとしてポリスチレンを10〜99.9重量部含んだブロック共重合体、架橋ポリスチレン、これらの混合物が挙げられる。これらの(C)低収縮剤はいずれも反応性基を有していてもよい。また、ポリスチレン系低収縮剤にポリスチレン分離防止剤が0.1〜50重量%添加されていてもよい。ポリスチレン分離防止剤とは、ポリスチレンの凝集を抑えて熱硬化性樹脂組成物中にポリスチレンを均一に分散させるものである。ポリスチレン分離防止剤としては、(B)熱硬化性樹脂とポリスチレンの相容性に優れたブロック共重合体やグラフト共重合体などを用いることができる。
また、(C)低収縮剤の含有量は、(B)熱硬化性樹脂100重量部に対して、1〜150重量部の範囲内であることが好ましく、5〜100重量部の範囲内であることが更に好ましい。(C)低収縮剤の含有量を1重量部以上とすることにより、成形収縮を抑制することが可能となる。また、(C)低収縮剤の含有量を150重量部以下とすることにより、充分な強度の樹脂成形物が得られる。
[その他の添加物]
その他に例えば、樹脂成形物の機械的強度、熱伝導性、耐熱性などの物性向上のために、充填剤を添加することもできる。
充填剤としては、無機及び有機の公知の充填剤を用いることができ、特定の種類に限定されない。好ましい充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ガラスフリット、シリカ、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、三酸化アンチモン、粉末タルク、粉末石英、方解石、珪藻土、粘土鉱物質、粉末チョーク、大理石、石灰岩、ホウ砂等が挙げられる。なお、充填剤は、単一の種類で構成されていても、複数種類を組み合わせて構成されていてもよい。
充填剤の粒径は、1〜200μmの範囲内であることが好ましく、5〜150μmの範囲内であることがより好ましく、10〜80μmの範囲内であることが更に好ましい。充填剤の粒径を1μm以上とすることにより、樹脂成形物の耐熱性を良好に保つことができる。また、充填剤の粒径を200μm以下とすることにより、樹脂成形物の表面平滑性を良好に保つことができる。
熱硬化性樹脂組成物における無機充填剤の含有量は、35〜85重量%の範囲内であることが好ましく、50〜80重量%の範囲内であることがより好ましく、55〜75重量%の範囲内であることが更に好ましい。無機充填剤の使用量を35重量%以上とすることにより成形時の収縮が大きくなりすぎず、容易に成形可能となる。また、無機充填剤の使用量を85重量%以下とすることにより、充分な強度の樹脂成形物が得られる。
また、その他、添加物として、例えば、抗菌剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、架橋剤、酸化防止剤、増粘剤、内部離型剤、ガラス繊維、樹脂系繊維等を用いることもできる。
[樹脂成形物の成形方法]
熱硬化性樹脂組成物を硬化させることによって樹脂成形物が得られる。熱硬化性樹脂組成物の成形は、単体として行うことができるほか、物品の表面を被覆した状態で行うことや、基材の全体を覆った状態で行うことも可能である。
熱硬化性樹脂組成物の硬化には、硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、例えば、ケトンペルオキシド類、ペルオキシケタール類、ヒドロペルオキシド類、ジアルキルペルオキシド類、ジアシルペルオキシド類、ペルオキシジカーボネート類、ペルオキシエステル類等の各種公知の有機過酸化物を用いることができる。硬化の条件は、用いられる硬化剤の種類により異なるが、例えば、70〜180℃で0.5〜60分とすることができる。
また、熱硬化性樹脂組成物の硬化には、過酸化物化合物を分解させるための触媒を利用することもできる。このような触媒としては、例えば、N,N−ジブチルアニリンやトリブチルアミン等の第三級アミン、アセト酢酸エチルやアセト酢酸プロピル等のアセト酢酸エステル、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルトなどのコバルト塩等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物の硬化にこれらの触媒を用いることにより、低温での成形が可能となり、例えば0〜80℃での成形が可能となる。この触媒の使用量としては熱硬化性樹脂組成物全量に対し0.005〜0.2重量%の範囲内とすることができる。
熱硬化性樹脂組成物を硬化させる具体的な方法は特定の種類に限定されない。このような方法としては、例えば、室温におけるハンドレイアップ成形法、スプレーアップ成形法、SMC・BMCプレス法、室温又はそれ以上の温度におけるレジントランスファーモールディング法、波板・平板の室温以上の温度における連続成形法等のFRP製品を製造するための成形法、室温又はそれ以上の温度における注型法、そしてゲルコート、ライニング、化粧板を製造するためのフローコート法を挙げることができる。
本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限を受けるものではない。
[(A)含フッ素共重合体]
(製造例1)
製造例A−1−1〜A−1−5では、上記実施形態の範囲内で非フッ素セグメント及び含フッ素セグメントの種類及び量を変化させて(A)含フッ素共重合体を含む分散液を作製した。表1は、製造例A−1−1〜A−1−5における非フッ素セグメント及び含フッ素セグメントの種類及び量を示している。以下、一例として、製造例A−1−1について説明するが、製造例A−1−1〜A−1−5についても同様である。
製造例A−1−1では、温度計、撹拌機、及び還流冷却管を備えた5リットルの4つ口フラスコに、メチルエチルケトン600gを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱した。その後、メタクリル酸メチル(MMA)253g、メタクリル酸ブチル(BMA)247gから成る混合液と、メチルエチルケトン400g及びポリメリックペルオキシド110gから成る混合液の両液を同時に2時間かけて仕込み、更に4時間重合反応を行った。
これにより、非フッ素セグメントを構成するMMA、BMA重合体の分散液を得た。得られた非フッ素セグメント中の各単量体の組成比(MMA/BMA)は、表1に示されるとおりである。続いて、メチルエチルケトン850g、フッ素単量体CH=CHCOO(CH)2(CF)5CF〈FA(C6)〉317g、メタクリル酸メチル(MMA)17gの混合液を40分かけて仕込み、1.5時間重合反応を行った。更に80℃で3時間重合反応を行うことで、(A)含フッ素共重合体(Mw=40000)を含む分散液を得た。得られた(A)含フッ素共重合体中の非フッ素セグメントと含フッ素セグメントとの組成比は、表1に示されるように、75:25であり、含フッ素セグメントにおけるFA(C6)とMMAの比(FA(C6)/MMA)は、表1に示されるように24/1である。
Figure 2017014481
(製造例2)
製造例A−2−1〜A−2−7では、上記実施形態の範囲内で非フッ素セグメントに(a−2)(メタ)アクリル酸を添加して、(A)含フッ素共重合体を含む分散液を作製した。表1は、製造例A−2−1〜A−2−7における非フッ素セグメント及び含フッ素セグメントの種類及び量を示している。製造例A−2−1〜A−2−7も上記の製造例A−1−1と同様の要領で行った。
Figure 2017014481
(比較製造例)
比較製造例B−1〜B−12では、上記実施形態の範囲外となる(A)含フッ素共重合体の分散液を作製した。表2は、比較製造例B−1〜B−12における非フッ素セグメント及び含フッ素セグメントの種類及び量を示している。比較製造例B−1〜B−12も上記の製造例A−1−1と同様の要領で行った。
Figure 2017014481
比較製造例B−1,B−2は、非フッ素セグメントに、HEMAが含まれる点で上記実施形態とは異なる。
比較製造例B−3〜B−5は、非フッ素セグメントのガラス転移温度Tgが40℃より低い点で上記実施形態とは異なる。
比較製造例B−6〜B−9は、含フッ素セグメントを構成する含フッ素単量体の種類が上記実施形態と異なる。具体的には、比較製造例B−6では(Cl)FA(C6)を使用し、比較製造例B−7では(FA(C18)(C6)を使用し、比較製造例B−8ではFA(C4)を使用し、比較製造例B−9ではFA(C8)を使用した。
比較製造例B−10,B−11は、含フッ素セグメントにおける含フッ素単量体の含有量が上記実施形態の範囲外である。具体的には、比較製造例B−10では含フッ素単量体の含有量が上記実施形態より多く、比較製造例B−11では含フッ素単量体の含有量が上記実施形態より少ない。
比較製造例B−12では、(A)含フッ素共重合体の種類が上記実施形態とは異なり、ブロック共重合体ではなく、ランダム共重合体である。
[(B)熱硬化性樹脂]
(B)熱硬化性樹脂としては以下に示すもののいずれか1つを用いた。
UP(1):不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット株式会社製、ポリホープ(登録商標)R100AP)
UP(2):不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット株式会社製、ポリホープ(登録商標)6619)
アクリル:アクリル樹脂(日本ユピカ株式会社製、ネオポール(登録商標)8101)
[(C)低収縮剤]
(C)低収縮剤としては以下に示すもののいずれか1つを用いた。
PS系(a):PVAc−b−PS=10/90(ポリ酢酸ビニルのセグメント10重量部とポリスチレンのセグメント90重量部から成るブロック共重合体)(日油株式会社製、モディパー(登録商標)SV10B−30)
PS系(b):ポリスチレン95重量部とポリスチレン分離防止剤(BYK製)5重量部の混合物
PS系(c):ポリスチレン70重量部と低収縮剤PS系(a)30重量部の混合物
PS系(d):PVAc−b−PS=50/50(ポリ酢酸ビニルのセグメント50重量部とポリスチレンのセグメント50重量部から成るブロック共重合体)(日油株式会社製、モディパー(登録商標)SV501)
PS系(e):反応性基含有架橋ポリスチレン
[樹脂成形物]
以下、実施例1−1〜1−3,2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例1〜19に係る熱硬化性樹脂組成物及び樹脂成形物について説明する。以下、各成分の量は、(B)熱硬化性樹脂及び(C)低収縮剤の含有量の合計を100重量部とした場合の重量比(重量部)で示す。なお、(A)含フッ素共重合体の含有量は、分散液としての量ではなく、(A)含フッ素共重合体のみの量である。
(実施例1−1〜1−3、比較例1,3)
実施例1−1〜1−3、比較例1,3では、(B)熱硬化性樹脂としてUP(1)を用いた。また、実施例1−1〜1−3、比較例1,3では、(C)低収縮剤を用いず、(A)含フッ素共重合体の種類及び量は表4,7に示すとおりである。
実施例1−1〜1−3、比較例1,3では、上記の成分を含む混合物に、硬化剤として2.0重量部のメチルエチルケトンパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:パーメックN)を、硬化促進剤として0.5重量部のナフテン酸コバルトをそれぞれ加え、撹拌機で15分間混合して液状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
そして、PETフィルムを貼付したガラス板上で、調整した樹脂組成物を♯450のチョップドストランドマットに含浸させ、25℃の恒温槽内で30分放置して樹脂成形物を得た。
(実施例2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例2,4〜19)
実施例2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例2,4〜19では、(B)熱硬化性樹脂としてUP(2)又はアクリルを用いた。実施例2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例2,4〜19における(A)含フッ素共重合体、(B)熱硬化性樹脂、(C)低収縮剤の種類及び量は表5〜7に示すとおりである。
実施例2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例2,4〜19では、上記の成分を含む混合物に、充填剤として200重量部の炭酸カルシウム粉末(日東粉化工業株式会社製、商品名:NS−100)、硬化剤として2.0重量部のt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(日油株式会社製、商品名:パーブチルI−75)を、重合禁止剤として0.05重量部のパラベンゾキノンを、内部離型剤として5.0重量部のステアリン酸亜鉛を、増粘剤として2.0重量部の酸化マグネシウムをそれぞれ加え、撹拌機で15分間混合してペーストを得た。
その後、得られたペーストをニーダーに移し、ガラス繊維(6mmチョップドストランドマット;日本ガラス繊維株式会社製、商品名:EM450G−1)を内割りで10重量%となるように添加し、ニーダーで5分間混練して熱硬化性樹脂組成物を得た。
得られた熱硬化性樹脂組成物をポリエチレンフィルムでシート状にはさみ、ロールにて押圧一体化した。この一体化物を40℃の雰囲気下に24時間放置し、SMC(FRP作成過程の複合体)を作製した。得られたSMCを、100トンプレスを用い、金型温度145℃/130℃(下型/上型)、10MPaの成形圧力で4分間圧縮成形し、150mm×100mm×4mmの平板状の樹脂成形物を得た。
[評価方法]
実施例1−1〜1−3,2−1〜2−11,3−1〜3−7、比較例1〜19に係る樹脂成形物について、下記の方法にて撥水撥油性、防汚性、耐久性、及び外観について評価した。
(撥水撥油性)
各樹脂成形物について、「JIS R 3257」の液滴法によって、水の接触角及びn−ヘキサデカンの接触角を測定した。つまり、水の接触角によって撥水性を評価し、n−ヘキサデカンの接触角によって撥油性を評価した。水の接触角は100°以上であることが好ましく、n−ドデカンの接触角は40°以上であることが好ましい。接触角の測定には協和界面科学株式会社製「DropMaster500」を使用した。
(外観)
樹脂成形物の外観について、目視にて以下の基準で判断した。外観の評価結果は、「○」以上であることが好ましい。
◎:表面にツヤ・光沢があり、平滑性に優れる
○:表面にツヤ・光沢があり、平滑性が良好である
×:表面にくすみがあり、平滑性が不良である
(防汚性)
原子吸光測定用Si標準液をSi濃度が100ppmになるように希釈し、これを樹脂成形物の表面に0.06g滴下して、50℃の乾燥機にて蒸発させた後、再び同じ箇所に0.06gを滴下して50℃で蒸発完固させるという操作を10回繰り返した。次に、水で濡らしたガーゼで拭き取り、この滴下箇所に10μmol/lの濃度のメチレンブルー溶液を0.06g滴下して、水垢を青色に染色することによって、滴下の前と後の色差ΔEを測定した。色彩色差計はコニカミノルタ社製「CR−400」を使用した。
樹脂成形物の防汚性について以下の基準で判断した。防汚性の評価結果は「○」以上であることが好ましい。
◎:ΔEが0.1未満
○:ΔEが0.1以上0.5未満
×:ΔEが0.5以上
(耐久性)
樹脂成形物を80℃の熱水中に、500時間浸漬し、再度上記の防汚性の評価と同様の方法でΔEを測定した。樹脂成形物の耐久性について以下の基準で判断した。耐久性の評価結果は「○」以上であることが好ましい。
◎:ΔEが0.1未満
○:ΔEが0.1以上0.5未満
×:ΔEが0.5以上
[評価結果]
実施例1−1〜1−1−3に係る樹脂成形物の評価結果を表4に示す。
Figure 2017014481
(C)低収縮剤を含まず、かつ非フッ素セグメントが(a−2)(メタ)アクリル酸を含まない実施例1−1〜1−1−3に係る樹脂成形物では、撥水撥油性、防汚性及び耐久性において良好な評価結果が得られ、外観において特に良好な評価結果が得られた。
実施例2−1〜2−11に係る樹脂成形物の評価結果を表5に示す。
Figure 2017014481
(C)低収縮剤を含み、かつ非フッ素セグメントが(a−2)(メタ)アクリル酸を含まない実施例2−1〜2−11に係る樹脂成形物では、撥水撥油性、防汚性、耐久性、及び外観のいずれにおいても良好な評価結果が得られた。実施例2−1〜2−3,2−11に係る樹脂成形物では、外観において特に良好な評価結果が得られた。
この結果から、(C)低収縮剤を添加した場合にも、良好な評価結果が得られることがわかる。
実施例3−1〜3−7に係る樹脂成形物の評価結果を表6に示す。
Figure 2017014481
(C)低収縮剤を含み、かつ非フッ素セグメントが(a−2)(メタ)アクリル酸を含む実施例3−1〜3−7に係る樹脂成形物では、撥水撥油性、防汚性、耐久性、及び外観のいずれにおいても良好な評価結果が得られた。
また、実施例3−1〜3−7に係る樹脂成形物では、特に防汚性及び耐久性において実施例1−1〜1−3,2−1〜2−11係る樹脂成形物よりも更に良好な評価結果が得られた。この結果から、非フッ素セグメントに(a−2)(メタ)アクリル酸を添加することにより防汚性及び耐久性が向上することがわかる。
比較例1〜19に係る樹脂成形物の評価結果を表7に示す。
Figure 2017014481
(A)含フッ素共重合体を用いない比較例1,2では、防汚性、耐久性、及び撥油性において充分な評価結果が得られなかった。
また、比較製造例B−1に係る(A)含フッ素共重合体を用いた比較例3〜8では、撥水撥油性、防汚性、耐久性、及び外観の少なくとも1つにおいて充分な評価結果が得られなかった。具体的には、比較例3では、撥油性、防汚性、及び耐久性において充分な評価結果が得られなかった。比較例4,5,8では、耐久性において充分な評価結果が得られなかった。比較例6,7では、外観において充分な評価結果が得られなかった。
更に、比較製造例B−2〜B−12に係る(A)含フッ素共重合体を用いた比較例9〜19では、いずれも耐久性において充分な評価結果が得られなかった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。

Claims (4)

  1. (A)含フッ素ブロック共重合体と、(B)熱硬化性樹脂と、を含有し、
    前記(A)含フッ素ブロック共重合体は、非フッ素セグメントと、含フッ素セグメントと、からなり、
    前記非フッ素セグメントが、(a−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含み、
    前記非フッ素セグメントのガラス転移温度が40℃以上120℃以下であり、
    前記含フッ素セグメントを構成する含フッ素単量体が、下記式(1)で表される炭素数6のパーフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体であり、
    前記(A)含フッ素ブロック共重合体における前記含フッ素単量体の含有量が15重量%以上55重量%以下である
    熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2017014481
    …(1)
    (式(1)中、Rは、水素原子、メチル基、フッ素原子、又は塩素原子を示し、Rは、炭素数1以上の脂肪族基を示す。)
  2. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記非フッ素セグメントが(a−2)(メタ)アクリル酸を更に含む、
    熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    ポリスチレン系の(C)低収縮剤を更に含有する
    熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる
    樹脂成形物。
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