JP5982735B2 - 被記録材料の画像消去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法やホットメルト・インクや熱昇華性染料を用いる熱転写法、インクジェットインクを用いるインクジェット法等のように、被記録媒体表面に記録された画像の消去方法および被記録媒体の再生方法に関し、特に、インクジェット記録やロイコ型染料使用の感熱記録(可逆性感熱記録を含む)による色画像のように、比較的親水性の受像表面を有する被記録媒体上に設けられた画像の消去方法および被記録媒体の再生方法、該画像消去及び被記録媒体再生方法で使用する画像消去装置、再生装置、該画像消去と再生方法に適した被記録材に関する。このような本発明は、生産管理や在庫管理用のタグカード(ICチップ入りでも可、以下同様)やOHP用フィルム、クレジットカードやメンバーズカード、通行許可証、入場許可証や社員証、繰返し書込み消去が可能な電子黒板のように、表面がセルロース質繊維材料以外の材料で形成された被記録媒体の表面再生に、特に有利に応用することができる。
近年、電子写真法、熱転写法、ホットメルト・インクを用いるラベル印刷法、インクジェット印刷法等のような画像形成方法を用いたプリンタや複写機、印刷機が普及し紙が大量に使用されている。ところが、被記録材として一般に用いられる紙は木材より得られるパルプを原料とするため、紙を大量に消費することは、森林の伐採、地球環境の悪化につながることになり、近年、社会問題となってきつつある。更に、これらの画像形成方法により画像形成された被記録材が大量に廃棄されるため、ごみの処分が困難となるという問題も生じている。また、オーバーヘッド・プロジェクター(OHP)用の透明シートを被記録媒体として用いる時には、通常、ポリエステル・フィルム等の透明プラスチック・フィルムがベース材料として用いられ、さらに、ソーター用カードを含む各種カード類の場合には、紙質芯材又はプラスチック材料芯材に樹脂を含浸コートしたもの、或いは芯材の両面又は片面にオーバーシートといわれるフィルムをラミネートしたものが用いられることがある。樹脂やフィルムの原材料はほとんど石油等の化石材料から来るものであり、この場合石油の枯渇が懸念されていることから資源の有効活用が望まれている。フィルムの場合には、資源の有効活用の面ばかりなく、プラスチック・フィルムの多くが生分解性のないものであり、これらが海洋に浮遊するなど、ゴミとして環境破壊の原因となりうることが問題となっている。これらの問題に対処するため、不要になった用紙やフィルムを回収し、一旦、パルプの状態まで離解したり、再溶融したりして再利用する方法が行なわれている。しかしながら、この方法では、再生のためのエネルギー効率が悪く、再生された製品は、新しい原料を用いるよりも割高になったり、質の悪いものになったりしてしまうという欠点があった。また、各種カード類のなかには、使用者の住所、氏名など個人情報を含むものも多く、その廃棄や再生プロセスを行う業者への外部委託は、秘密保持を損なう危険性がほんの僅かでもあればすることができない。個人情報秘密保持の問題は、そのための契約が仮に破られたときには、社会的影響力の甚大さからして、一般的な損害賠償により償なうことができない性質のものであるから、秘密保持性を破ろうとしても破ることができない環境整備こそがポイントになる。収集されたタグカードのデータ漏洩による企業秘密漏洩の阻止についても同様である。
そこで、被記録媒体表面に記録された画像の消去および被記録媒体の再生のための技術は、近年非常に重要になってきており、特に、オンデマンドにより処理可能な技術も多く提案されている。
例えば、これら問題を解決する方法として、特許文献1の特開平1−101576号、特許文献2の特開平1−101577号には、電子写真方式により形成された紙あるいはフィルムを、トナーを溶解する溶剤中に浸漬し、超音波振動を印加することにより、トナー像を紙面あるいはフィルム面より遊離せしめて、画像が形成された用紙あるいはフィルムを再生する方法が開示されている。この方法では溶剤として、アセトン/トリクレン、メチルイソブチルケトンを用いているが、これらの溶剤を用いることは、発火、毒性等の問題があり、安全衛生上好ましくない。また、この場合、トナーが溶剤に溶解するため、溶剤が急速に汚れてしまい大量の溶剤を必要とすることになったり、用紙の表面に一度溶解したトナーが再付着してしまって地汚れが生じてしまったりするという問題もあり、それらの問題を解決することは、きわめて困難であった。特許文献3の特開平1−297294号には、プラスチック、金属、液浸透性の悪い紙あるいはセラミックス等の非吸収性材料で形成された被記録材を使用し、熱溶融性剥離体を加熱しながら該被記録材上に重ね、画像を被記録媒体から剥ぎ取る方法が開示されている。また、特許文献4の特開平4−67043号には、表面に離型処理してなり、かつ、離型処理したものを処理したことを示す印を付けることにより普通紙と区別するようにしたシート状の画像支持体が開示されている。
我々は古くから、このような記録画像の消去、被記録画像の再生問題に鋭意取り組んできた結果、1998年以降の最近だけでも特許文献5の特許第3566545号公報、特許文献6の特許第3585371号公報、特許文献7の特許第3541595号公報、特許文献8の特許第3668606号公報、特許文献9の特開2002−266296号公報、特許文献10の特開2002−268262号公報、特許文献11の特開2000−206844号公報、特許文献12の特許第4033825号公報、特許文献13の特開2003−005435号公報、特許文献14の特許第3854758号公報、特許文献15の特許第4172963号公報等により、記録画像の消去、被記録画像の再生に関する多くの技術的提案をしてきた。
そして、例えば、インクジェット記録やロイコ型染料使用の感熱記録(可逆性感熱記録を含む)による色画像のように、比較的親水性の受像表面を有する被記録媒体上に設けられた画像の消去技術および被記録媒体の再生技術に限って見ても、特許文献16の特開平10−166747号公報には、加熱することにより画像消去可能な可逆性感熱記録媒体を撓めた状態で収納することが可能な筒状収納容器に内部を加熱できるヒータを設けてなる画像消去装置が記載されており、特許文献17の特開平11−48627号公報および特許文献18の特開平11−235863号公報には、紫外線照射により消色する塩基性染料を含む親水性有機溶媒のインク液で印刷された印刷物に紫外線を照射して画像を消し被記録媒体フィルムを再利用可能にすることが記載されており、特許文献19の特開2000−81816号公報には、近赤外線吸収性イオン染料−ホウ素陰イオン錯体からなる近赤外線消色型色素含有の水性液インクで記録した被記録媒体表面に、近赤外線消色型色素分解能を有する消色触媒含有の親水性溶媒であるアルコール、アセトン又は水等の消色触媒液を供給し、近赤外線を照射することにより消色、被記録媒体を再生することが記載されている。
これら従来技術は、トナーやインク、ロイコ染料/顕色剤等の色材のみを被記録媒体表面から除去又は消色させる一方、被記録媒体の表面は全く損傷、変質させず、再度、画像形成材料を満足裡に保持しバージン状態と同レベルの被記録媒体表面を再現することを意図したものであるが、色材を完全に除去又は消色させる一方、被記録媒体の表面状態は全く損傷、変質させないということは現実的には非常に難しく、経時により又は環境変化により、多少とも表面層内部に残存する色材が再度薄く顕色するか、或いは、被記録媒体の表面が多少研摩損傷を受けたり受像性が多少変質したりするかのいずれかの問題が発生することはほとんど避け難かった。
そのため、特許文献20の特表2000−516868号公報には、多孔質で液浸透性の高い基質上に親水性コーティング層を有する被記録媒体上の印刷画像に水又は親水性液体を供給して、色材を除去又は多孔質で液浸透性の高い被記録媒体基質内部に浸透させる消色処理の後、被記録媒体表面に不透過性コーティングを施すことが記載されている。また、我々の提案に係る特許文献21の特開平9−169162号公報には、ロイコ染料/顕色剤の結合状態を弱める消色剤を含む画像消色液を画像面に塗布した後、画像面の画像保持層を画像剥離ベルトと画像剥離ローラの間を通過させることにより画像保持層の表面部分のみを僅かに擦削して消色処理することが記載されており、この提案は、色材の完全消色と被記録媒体の表面特性の完全維持との双方を同時に満たすことが難しいとしたときに、被記録媒体の表面特性を多少犠牲にしても、色材の完全除去を優先すべきことを志向している点で注目に値するが、感熱記録媒体の分野に属する技術であって、インクジェット記録分野のものではない。また、特許文献22の特開昭64−69345号公報には、テレホンカードのようなプリペイドカードの印刷面に、塩化メチレンのような除去液を供給し回転ブラシで摺擦することにより印刷インク層を除去することが記載されているが、塩化メチレンのような塩素含有有機溶媒使用は、環境上、健康上の問題あることは明らかである。ハロゲン化有機溶剤でなくとも、洗浄や不用物除去のための有機溶剤の使用は、環境問題上および経済上の観点からも極力避けることが好ましい。
したがって本発明の目的は、叙上の従来技術の現状に鑑みて、被記録媒体表面に記録された画像を完全に消去し、かつ、被記録媒体の基材を、再度成型し直しする必要がない程度にほぼ完全な形で再生することにより、再使用容易な状態で取得するための、オンデマンド処理が容易な画像の消去方法および被記録媒体の再生方法、該画像消去、及び被記録媒体再生方法で使用する画像消去装置、再生装置、該画像消去と再生方法に適した被記録材を提供することにある。
而して、上記目的は、以下の本発明により解決される。
(1)「親水性の画像形成材料で形成された画像を表面に有する被記録材料から、該画像形成材料を除去して該被記録材料の少なくとも基質を再生する方法であって、該被記録材料の画像保持面に水又は水性液からなる画像材料除去液を供給する除去液供給処理と、該被記録材料の画像保持面を擦掃する擦掃処理とを有し、前記被記録材料は、前記基質上の少なくとも1方の面に画像形成材料受容層を有するものであり、前記親水性画像形成材料は、少なくとも1部が前記画像形成材料受容層中に浸透しており、前記被記録材料の基質は前記画像材料除去液の供給により変質しないものであり、前記画像形成材料受容層は前記画像材料除去液の供給により溶解又は膨潤する未硬化水溶性高分子材料を主成分として含有するものであり、前記画像材料除去液により前記基質との接着状態が弛緩され、前記擦掃処理により前記画像形成材料および前記画像形成材料受容層を基質から完全に除去するものであることを特徴とする被記録材料の画像消去方」。
(2)「前記画像形成材料がインクジェット記録用インク由来のものであることを特徴とする前記(1)項に記載の被記録材料の画像消去方法」。
(3)「前記被記録材料の基質がプラスチックフィルム、光沢紙、半光沢紙又はラミネート紙であることを特徴とする前記(1)項又は(2)に記載の被記録材料の画像消去方法」。
(4)「前記基質が感熱記録材料媒体であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の被記録材料の画像消去方法」。
(5)「前記基質が可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする前記(4)項に記載の被記録材料の画像消去方法」。
(6)「前記水溶性高分子材料が酸価5mg/KOH〜150mg/KOHのものであることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法」。
(7)「前記水溶性高分子材料が水溶性ポリエステルであることを特徴とする前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法」」。
(8)「前記水溶性ポリエステルが、−CO・Ar・CO−O・R・O−の構造単位、または−CO・R・CO−O・Ar・O−(Arは2価の芳香族基、Rは2価の脂肪族含有基)の形の構造単位を含むものであることを前記(7)項に記載の被記録材料の画像消去方法」。
(9)「前記画像形成材料受容層は、前記水溶性高分子材料の水溶性塗工液または前記水溶性高分子材料の親水性エマルション塗工液の塗工により得られるものであることを特徴とする前記(1)項乃至(8)項のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法」。
(10)「前記画像材料除去液が加温されたものであることを特徴とする前記(1)項乃至(9)項のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法」。
(11)「前記除去液供給処理が、該除去液の画像保持面への塗布または噴射であることを特徴とする前記(1)項乃至(10)項のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法」。
(12)「前記擦掃処理が、被記録材料表面のブラッシング又は拭払であることを特徴とする前記(1)項乃至(11)項のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法」。
(13)「前記擦掃処理が、前記除去液供給処理と同時に行われることを特徴とする前記(1)項乃至(12)項のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法」。
(14)「親水性の画像形成材料で形成された画像を表面に有する被記録材料から、該画像形成材料を除去して該被記録材料の少なくとも基質を再生する被記録材料の基質再生装置であって、該被記録材料の画像保持面に水又は水性液からなる画像材料除去液を供給する除去液供給手段と、該被記録材料の画像保持面を擦掃する擦掃手段とを有し、前記親水性画像形成材料は、少なくとも1部が前記画像形成材料受容層中に浸透しており、前記被記録材料は、前記基質上の少なくとも1方の面に画像形成材料受容層を有するものであり、前記被記録材料の基質は前記画像材料除去液の供給により変質しないものであり、前記画像形成材料受容層は前記画像材料除去液の供給により溶解又は膨潤する未硬化水溶性高分子材料を一部含有するものであり、前記画像材料除去液により前記基質との接着状態が弛緩されるものであることを特徴とする被記録材料の基質再生装置」。
(15)「親水性の画像形成材料で形成された画像を表面に有する被記録材料から、該画像形成材料を除去して該被記録材料の少なくとも基質を再生する方法に用いられる被記録材料であって、前記被記録材料の基質再生方法は、該被記録材料の画像保持面に水又は水性液からなる画像材料除去液を供給する除去液供給手段と、該被記録材料の画像保持面を擦掃する擦掃手段とを有し、前記親水性画像形成材料は、少なくとも1部が前記画像形成材料受容層中に浸透しており、前記被記録材料は、前記基質上の少なくとも1方の面に画像形成材料受容層を有するものであり、前記被記録材料の基質は前記画像材料除去液の供給により変質しないものであり、前記画像形成材料受容層は前記画像材料除去液の供給により溶解又は膨潤する未硬化水溶性高分子材料を一部含有するものであり、前記画像材料除去液により前記基質との接着状態が弛緩されるものであることを特徴とする再生可能な被記録材料」。

以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、被記録媒体表面に記録された画像を完全に消去することができ、かつ、被記録媒体の基材を、再度成型し直しする必要がない程度にほぼ完全な形で再生することができ、再使用容易な状態で取得することができ、作業者の健康上の問題がないオンデマンド処理が容易な画像の消去方法および被記録媒体の再生方法、該画像消去、及び被記録媒体再生方法で使用する画像消去装置、再生装置、該画像消去と再生方法に適した被記録材が提供されるという極めて優れた効果が発揮される。
本発明における被画像記録媒体の1例を示す図である。 本発明における被画像記録媒体の別の1例を示す図である。 本発明における被画像記録媒体のさらに別の1例を示す図である。 本発明における被画像記録媒体のさらに別の1例を示す図である。 本発明の被記録材料の画像消去方法を実施するのに適した画像消去装置の1例を示す図である。 本発明の被記録材料の画像消去方法を実施するのに適した画像消去装置の別の1例を示す図である。 本発明の被記録材料の画像消去方法を実施するのに適した画像消去装置のさらに別の1例を示す図である。 本発明の液噴射孔付きブラシ構成例の図である。
[被記録材料]
[被記録材料基質]
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、種々の記録方式により、特に、親水性の画像形成材料で形成された画像を有する被記録材料からの画像形成材料の除去及び被記録材料基質の再生に適しており、例えば、インクジェット記録方式による画像を有する被記録材料からの画像形成材料の除去及び被記録材料基質の再生に適している。以下、インクジェット記録方式による画像を有する被記録材料からの画像形成材料の除去及び被記録材料基質の再生を中心に詳細に説明する。
本発明における被記録材料は、前記のように、基質(支持体)上の少なくとも1方の面に画像形成材料受容層を有するものであるが、被記録材料の基質は、前記画像材料除去液の供給により変質しない耐水性あるものが好ましく、例えばICチップが埋め込まれている支持体の場合は、画像材料除去液の供給によっても、その性能を損なわないものであることが好ましい。また、支持体としては高級印刷用紙、電子写真用記録用紙、及び感熱記録紙等を用いることができる。特に可逆性感熱記録紙は記録層がサーマルヘッドによる繰返し画像形成と画像消去に耐えられるように表面に硬化樹脂層を有するものが多く、このような可逆性感熱記録紙は好ましく用いることができる。
基質としては、透明支持体、不透明支持体のいずれも使用することができ、例えば、透明支持体である場合、OHPやバックライトディスプレイに使用されるときに光源からの輻射熱に耐えうるフィルムや樹脂コート紙、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリウレタン、ABS,ポリスチレン、フッ素樹脂等のフィルムの他、アート紙、樹脂コート又はキャストコートされた普通紙、上質紙、グラシン紙等の樹脂加工紙、ラミネート紙、バライタ紙、不織紙等を用いることができる。また、金属箔やセラミックス表面を有する基質であってもよい。すなわち強光沢紙でなくとも、耐水性ある光沢紙、準光沢紙であればよい。これらは、通常、加熱プラテンローラに接触させる工程を含むキャスティングコート法により得られているが、本発明においてはそのようなものだけに限定されない。また、架橋表面層を有するもの例えば可逆性感熱記録媒体等を用いることができる。これら基質は、所望により下塗層層等、その余の層を有していてもよく、例えば、地肌面の平滑性改良や反射率改良のための白色顔料塗工層や、基質表面と中間層との接着性調節のための改質塗工層、電子写真記録用紙における静電特性改良のための下塗り層やバリヤー層であってもよい。
基質の厚さは、使途等によっても異なるが、30μm〜1000μmであることが好ましく、60μm〜800μmであることがより好ましい。厚さは使途やシートサイズ、材質等によっても異なり、例えば、貼着ラベル等の場合は比較的薄くてもよく、逆にICチップを埋め込む支持体の場合は通常600μm〜800μmと比較的厚くなり、ある種のソート用磁気カードの場合、さらに厚くなる傾向があるが、いずれにしても、30μm未満では強度や所謂コシがなく、シワ発生やインクジェット印字マシンでの搬送正確性に欠ける場合が多く、1000μmを超えるとマシンでの搬送性に支障を生じる場合が多くなる。
上記のように、本発明においては、被記録媒体基質として感熱記録媒体や熱転写記録媒体等を用いることもできるので、この種の記録媒体のうち典型例として可逆性感熱記録媒体を取り上げ以下にその概要を念のため説明する。
このような可逆性感熱記録媒体は、顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基(アミノカルボニル基−NHCO−やカルボニルアミノ基−CONH−基、エ−テル結合−O−、アミノ結合−NH−、チオエーテル結合−S−、カルボニル結合−CO−など2価の結合手で連結された長鎖脂肪族炭化水素基を含む)をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料と組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、その上発色と消色を安定して繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物、およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体であり得る。これは発色の安定性と消色性のバランスや発色濃度の点で実用レベルの性能を持ち、また、高速消去性と耐熱保存安定性を両立し、耐久性、耐光性も良好なものである。
用いられる発色剤は電子供与性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の染料前駆体(ロイコ染料)であり、とくに限定されず、従来公知のもの、たとえばフタリド系化合物、アザフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物などから選択できる。このような発色剤の具体例としては、たとえば次の化合物が挙げられる。2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメトルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(N−n−パルミチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロロアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシカルボニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロロ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリフロロメチルアニリノ)−4−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、2−メシジノ−4’,5’−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4ベンゾ−4’−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロロフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−6−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−[3,6−ジエチルアミノ)]−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3、3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス−(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4−クロロ−5−メトキシフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン等が挙げられる。この可逆性感熱発色組成物は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものであり、はじめ消色状態(A)にある組成物を昇温していくと、溶融し始める温度Tで発色が起こり、溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると、発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態
が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと、発色温度より低い温度Tで消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので、目的に合わせて選択できる。また、溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合が多い。たとえば、加熱された溶融状態(B)では、ほとんど発色していないが、急冷するとその過程で発色が起こり、結果的に室温で安定な発色状態(C)が形成できる組成物もある。この組成物では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は、顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態である。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化したりした状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。この組成物を可逆性感熱記録媒体として用いる場合、発色記録の形成はサーマルヘッドなどによりいったん溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持したりするという意味で同じである。
発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度または結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組合せにより変化する。この組成物中の発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の組合せにより適切な範囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に対し顕色剤が0.1から20の範囲であり、好ましくは0.2から10の範囲である、この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し、実用に適さない。この可逆性感熱記録媒体は、支持体上に前記の組成物を主成分として含む記録層を設けたものである。支持体としては紙、樹脂フィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、記録層を保持できるものであればよい。支持体には、磁気記録層や可逆性のない感熱記録層など、他の記録層が形成されていても良く、ICチップ(例えばDRAM素子、CPU+DRAM素子等)が埋め込まれて入れもよい。記録層は上記記録層の発色―消色性組成物が存在していればどのようなものでもよいが、一般的にはバインダー樹脂中に発色剤と顕色剤が細かく均一に分散した状態が用いられる。発色剤と顕色剤は個々に粒子を形成していてもよいが、より好ましくは複合された粒子として分散された状態を形成する。これは発色剤と顕色剤をいったん溶融したり溶解したりすることによって達成できる。このような記録層の形成は、各材料をそれぞれ溶剤中で分散溶解したのち混合した液、あるいは各材料を混合して溶剤中で分散または溶解した液を支持体上に塗布し、乾燥することによって行なわれる。発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。この可逆性感熱記録媒体には、必要に応じて記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり制御したりするための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば分散剤、界面活性剤、導電剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、発色安定化剤、消色促進剤などがある。
記録層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、たとえばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類などがある。これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。たとえば、熱、紫外線、電子線などで、バインダー樹脂を架橋させてもよい。
架橋可能なる樹脂、すなわち硬化性樹脂としては、たとえば架橋剤およびこの架橋剤と反応する活性基を有する樹脂の組合せであり、熱、電子線、紫外線等により架橋硬化できる樹脂である。熱硬化で用いられる樹脂は、たとえばフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど、水酸基、カルボキシル基など架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または水酸基、カルボキシル基などを持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂がある。共重合樹脂には、たとえば塩ビ系、アクリル系、スチレン系などの樹脂があり、具体的には塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等が例示できる。
熱架橋の架橋剤としては、たとえばイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等が挙げられる。たとえば、イソシアネート類としては、イソシアネート基を複数持つポリイソシアネート化合物であり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等、およびこれらのトリメチロールプロパンなどによるアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプおよびブロック化イソシアネート類等が挙げられる。架橋剤の樹脂に対する添加量としては、樹脂中の含まれる活性基の数に対する架橋剤の官能基の比が0.01〜2.0が好ましく、これ以下では熱強度が不足してしまい、またこれ以上添加すると発色・消色特性に悪影響をおよぼす。またさらに、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、たとえば1,4−ジアザービシクロ〔2,2,2〕オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。
次に、電子線および紫外線硬化の際に用いられるモノマーとしては、たとえば以下のものが挙げられる。
単官能性モノマーの例メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸2−エトキシエチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジシクロペンテニルエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル等。
2官能性モノマーの例1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ネオペンチルグリコールのプロピレンオキサイド2モル付加物のジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールのエステルのジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテルのジアクリレート等。
多官能性モノマーの例トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加アクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート、ジペンタエリスリトール・ポリアクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のポリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物等。
オリゴマーの例;ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加物等。
また、紫外線を用いて架橋させる場合には、次のような光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。光重合開始剤の例としては、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のα−アシロキシムエステル;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタール類;ジエトキシアセトンフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導体;ベンゾフェノン、1−クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロベンゾフェノン等のケトン類が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独でまたは2種類以上併用して使用される。添加量としてはモノマーまたはオリゴマー1重量部に対して0.005〜1.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
光重合促進剤としては、芳香族系の第3アミンや脂肪族系アミンがある。具体的には、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらの光重合促進剤は、単独でまたは2種類以上併用して使用される。添加量としては光重合開始剤1重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3重量部である。
紫外線照射の際の光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどがあるが、前記した光重合開始剤および光重合促進剤の紫外線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を使用すればよい。また、紫外線照射条件としては、樹脂を架橋させるために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度を決めればよい。また、電子線照射装置としては、照射面積、照射線量などの目的に応じて走査形、非走査形いずれかを選べば良く、照射条件としては樹脂を架橋するのに必要な線量に応じて、電子流、照射幅、搬送速度を決めれば良い。
このような可逆性感熱記録媒体は、基本的に支持体上に上記の記録層が設けられたものであるが、記録媒体としての特性を向上するため、保護層、接着層、中間層、アンダーコート層、バックコート層などを設けることができる。サーマルヘッドを用いた印字では、熱と圧力のため記録層の表面が変形し、いわゆる打痕ができる場合がある。これを防止するため、表面に保護層を設けることが好ましい。保護層には、ポリビニルアルコール、スチレン無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂のほか、紫外線硬化樹脂および電子線硬化樹脂などが使用できる。また、保護層中には紫外線吸収剤などの添加剤を含有させることができる。記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層への移行を防止する目的で、両者の間に中間介在層を設けることも好ましい。
また、記録層の上に設置される保護層、中間介在層には酸素透過性の低い樹脂を用いることが好ましい。記録層中の発色剤および顕色剤の酸化を防止または低減することが可能になる。
また、印加した熱を有効に利用するため、支持体と記録層の間に断熱性のアンダーコート層を設けることができる。断熱層は、有機または無機の微小中空体粒子を、バインダー樹脂を用いて塗布することにより形成できる。支持体と記録層の接着性の改善や支持体への記録層材料の浸透防止を目的としたアンダーコート層を設けることもできる。
中間介在層、アンダーコート層には、前記の記録層用の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。また、保護層、中間介在層、記録層およびアンダーコート層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどのフィラーを含有させることができる。その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
このような可逆性感熱記録媒体を用いて発色画像を形成させるためには、いったん発色温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよい。具体的には、たとえばサーマルヘッドやレーザー光で短時間加熱すると記録層が局部的に加熱されるため、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定できる。一方、消色させるためには適当な熱源を用いて比較的長時間加熱し冷却するか、発色温度よりやや低い温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で消色が起きる。この場合の加熱方法には、熱ローラー、熱スタンプ、熱風などを用いてもよいし、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。記録層を消色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッドへの印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加エネルギーを記録時よりやや低下させればよい。この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・消去ができ、いわゆるオーバーライトが可能になる。もちろん、熱ローラ、熱スタンプによって消色温度域に加熱して消去することもできる。また、このような可逆性感熱記録媒体は、必要に応じ、1層あるいは多層の着色層を記録媒体の全面もしくは一部分に設けても良く、これらの着色層上にさらに保護層を設けていても良い。このとき着色層および保護層は、繰り返し耐久性を満足するものが好ましい。また、保護層は着色層を覆っていれば良く、着色層が記録媒体の一部分に設けられている場合には着色層を覆う部分だけでも良く、記録媒体全体を覆っていても良い。また、可逆性感熱記録媒体の表面および裏面の最上層が具備すべき特性としては、前記の繰り返し耐久性に加え、搬送性、耐指紋性などの汚れ・付着物に対する耐性、印字装置のクリーニング性などが挙げられる。また、可逆性感熱記録媒体は任意の形状に加工することができ、また、粘着剤などを介して他の媒体に貼り付けることもできる。
[受容層(溶解・膨潤成分)]
インクジェット被記録材料の場合、基質にインク受容層を設けるとすると、ほとんどの場合、基質表面との強固な接着性を得るため、また、印字されたインクによるビーデイング防止、ブリーデイング防止の観点から、ラテックスと称する親水性高分子材料又は本来疎水性高分子材料の水系エマルジョン塗工液(多量の強力な乳化剤;界面活性による本来水不溶性樹脂の強制的な乳化物)が用いられてきた。多量の強力な乳化剤の使用による弊害は既に知られている。水溶性樹脂塗工液を稀に用いたときには、構成する樹脂と化学結合可能な官能基を有する架橋剤で架橋反応処理されてきた。従来技術においては、主に、強固な接着性出現が考慮され、水又は水系液体を付与することによる受容層の削除を志向したものでないから当然ではある。
例えばメチロール化合物(ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン等のメチロール化メラミン、ジメチロール化尿素、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等、イソシアネート化合物、アルデヒド化合物(グリオキザール、グルタルアルデヒド等)、エポキシ化合物(ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等)、アジリジン化合物等が用いられ、具体的には、水溶性樹脂がポリビニルアルコールやメチルセルロースなどの水酸基を有する樹脂である場合、メチロール化合物、イソシアネート化合物(例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(融点39℃)、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート(融点45℃)、トリス(p−イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト、トリス(p−イソシアネートフェニル)メタン、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート3付加物、分子内に親水性基を有する脂肪族ポリイソシアネート等)、アルデヒド化合物、エポキシ化合物が、ポリアクリル酸などのカルボキシル基を有する樹脂である場合、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物等の架橋剤により、架橋処理されてきた。
これに対し本発明では対照的に、画像材料除去液の供給により溶解又は膨潤する未硬化水溶性高分子材料を主成分として含有するものである。ここで、「主成分」とは、乾燥重量で60%以上であることを意味する。後程詳述されるように、本発明における被記録媒体の受容層は、本発明の目的を損なわない範囲で、無機微粒子、有機微粒子、少量の界面活性剤、酸化防止剤、レベリング剤等々の各種副成分を所望により含有することができる。本発明の被記録材料の受容層に一部含有する水溶性高分子材料は、それ自体成膜性があり、基材の接着性に優れるが、画像材料除去液の供給により、溶解又は膨潤して基材との接着性を減少するものである。
本発明の受容層に一部含有する水溶性樹脂としては分子中にカルボキシル基、水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、チオール基、スルホン酸基等の親水性基、エーテル結合などの親水性部位を持つ水溶性樹脂、例えばポリエステル、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリシアノアクリレート、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸、マンナン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。好ましくはポリエステル、メチルセルロース、ポリアクリル酸を使用することができ、カルボキシル基、水酸基を多く持つポリエステル、ポリアクリル酸が特に好ましく、分子量が500〜100000、好ましくは800〜50000のものがよい。
最も好ましいものはポリエステルである。このようなポリエステルは、例えば、鎖状構造のポリカルボン酸例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ポリカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アントラセン−マレイン酸付加物、ロジン−マレイン酸付加物等の不飽和ポリカルボン酸由来の部位(−CO・R・CO−)と、鎖状ジヒドロキシ化合物例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール−1,5、へキサンジオール−1,6、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールF−エチレンオキサイド付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、トリメチレングリコール、フエニルグリシジルエーテル等の鎖状ポリオール由来の部位(−O・R‘・O−)を有する鎖状骨格のポリエステルを含む。特に、ポリオールとポリカルボン酸部位のいずれかが脂肪族のもので他方が芳香族のもの(すなわち、−CO・Ar・CO−O・R・O−(Arは2価の芳香族基、Rは2価の脂肪族含有基)の構造単位を含む形のもの)、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸と、ポリオールとしての例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール−1,5、へキサンジオール−1,6のような脂肪族ジオールとの縮重合体の形のものがより好ましく用いられる。又は、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、琥珀酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸のような脂肪族ジカルボン酸と、ポリオールとしてのビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールH、4,4’−ジヒドロキシビフエニル、エチレンオキサイドの付加比率が比較的少ない(ジヒドロキシ化合物1モル当りエチレンオキサイド60モル以下)これらビスフェノールのエチレンオキサイド付加物との縮重合体の形のもの(すなわち、−CO・R・CO−O・Ar・O−(Arは2価の芳香族基、Rは2価の脂肪族含有基)の形の構造単位を含むもの)がより好ましく用いられる。うち、酸価5mg/KOH〜150mg/KOHのものが殊によい。このような水溶性高分子材料の多くは、市販品として入手することができ、例えば水溶性ポリエステルとしては、互応化学工業(株)社製のプラスコートZ−211、プラスコートZ−446、プラスコートZ−561、プラスコートZ−687(以上、無溶剤、ソープフリーのタイプ)、プラスコートZ−565、プラスコートZ−690、プラスコートZ−880、プラスコートZ−3310、プラスコートRZ−105、プラスコートRZ−570(以上、有機溶剤液、ソープフリーのタイプ)、プラスコートZ−730、プラスコートZ−735(以上、反応性タイプ)、プラスコートFR−550、プラスコートFR−627(以上、無溶剤でノニオン性界面活性剤含有タイプ)等を挙げることができるが、これらはほんの1例であって、むろん、本発明はこれらに限ったものではない。
このような水溶性高分子材料は水性媒体100重量部に対して0〜40重量部、好ましくは0〜30重量部溶解させて用いるのが適当である。
[受容層(インク受容成分)]
本発明における被記録媒体のインク受容成分の役割は、インクジェット記録ヘッドから送られてきたインク滴を、ビーデイング、ブリーデイングなしに好適に受容し画像形成するためのものと言う点では、通常のインクジェットにおける光沢記録紙のインク受容層と本質的に大きな差異はない。しかし、従来は通常、そのためのインク着色料を吸収する多量の無機微粒子、有機微粒子とこれらを固定するための少量のバインダー樹脂を含む塗工液を塗工、乾燥することにより形成していた。
これに対し本発明においては、後程の画像材料(例えばインクジェットインクの着色料)除去処理過程で、通水性を有するものであることが必要で、かつ、通常のインクジェットにおける光沢記録紙のインク受容層の場合よりも、無機微粒子、有機微粒子添加量は零または非常に少なく、材料のほとんどは樹脂であることが好ましい点で、従来のインク受容層とは技術思想を異にする。インク吸収のためのBET表面積の比較的大きい微粒子の添加量は、控え目(バインダー樹脂100部当たり、50部以下、好ましくは30部以下、より好ましくは25部以下)であることが好ましい。以下、本発明におけるインク受容成分について詳細に説明する。
本発明におけるインク受容成分は、着色料を含むインクジェット記録用インク液を吸収、受容するための微粒子を含んでいてもよい樹脂材料を含み、更に所望により、安定剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、酸化防止剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、耐水化剤等の各種の助剤を配合した水溶液あるいは水系のエマルジョンからなる塗工剤の塗工層として形成してもよい。バインダー樹脂は、例えば微粒子に超微細なシリカを併用する場合には、添加しないでも済ませることができるが一方、このような受容成分は、除去液の通過性に問題がある場合がある。
微粒子フィラーとしては、例えば天然シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、擬ベーマイト、コロイダルアルミナ、アルミナ水和物など公知のものが用いられる。特にアルミナ水和物、シリカ、コロイダルシリカなどが好ましい。合成シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土、珪酸カルシウム、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミナ等の無機質顔料、プラスチックピグメント、尿素樹脂顔料、メラミン樹脂顔料等の有機質顔料、有機/無機複合系顔料等が挙げられる。これらの微粒子は、インク画像受容成分中で空隙状に構成されてインク着色料を吸着し、インクの滲みを防止することができる。
更にインク受容成分中には、特にインクの定着作用を有する染料固着剤、例えば、ジシアン系やアミン系の重縮合物、ポリカチオン系の重合物、付加重合物、共重合物等を含有させることにより、インクの流れ出し防止作用が有効に奏されるインク受容成分にするのがよい。
インク受容成分に使用するバインダー成分としての樹脂は、インクに対する親和性、透過性又は膨潤性を有する水溶性のもの又は親水性ラテックスが好ましく、例えばポリビニルアルコール、澱粉及び澱粉誘導体、メチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が使用でき、また水性ラテックス(エマルジョン)としては、塩化ビニル−酢酸ビニル系、塩化ビニル−アクリル系、塩化ビニル−塩化ビニリデン系、塩化ビニリデン−アクリル系、SBR系、NBR系などのラテックス、これらの2元以上の共重合体のラテックス、例えばSBR系/NBR系混合物や塩化ビニル−アクリル系/酢酸ビニル系混合物などのラテックスが挙げられる。本発明において、これらは受容層の主成分であり、微粒子重量は、1/3以下、好ましくは1/5以下である。
受容層を基材上にコートするには、上記溶解又は膨潤成分及びインク受容成分の両者を含む高分子材料を含む受容層塗工液をまたはこれを水又は適当水系液に溶解させた溶液を塗布乾燥する溶剤塗布法や溶融塗布法等で行うことができる。
溶解又は膨潤成分としては、水溶性または親水性のポリウレタンやポリエステルなどの樹脂を水に溶解または分散した樹脂液使用することができ、溶解又は膨潤成分と、インク受容成分を混合したものを基材上にコートする。
このような樹脂液は市販されており、これらを用いると、水又は親水性有機溶剤を使用することなく塗膜を形成できるという利点がある。このため、製造時の安全性を向上することができる。水性溶媒を使用する場合、少量(10%以下、好ましくは7%以下)の界面活性剤を添加しておくと受容層を塗布するのが容易になる(使用しなくてもよい)。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性等の各種の界面活性剤が使用でき、特に制約はない。
また受容層には通水性を上げるために必要に応じてカチオン性界面活性剤等の帯電防止処理を施しても良い。帯電防止剤は受容層を形成する材料に添加しても良いし、受容層を形成した後に、適当な溶媒に溶解・分散させたものを塗布するようにしてもよい。さらに、受容層の劣化防止のため、紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させることができる。紫外線吸収剤や酸化防止剤の添加量は5重量%以下であることが好ましい。
上記塗布法による受容層の膜厚は、0.5〜ら170μm程度、好ましくは2.5〜80μm、より好ましくは、2.5〜75μm程度である。厚さが0.5μm未満では塗布ムラによる未コート部分ができやすくなったり、皮膜化したときの耐水性、耐磨耗性、耐候性などの耐環境性、加工上の効果が十分でない恐れがあったりするので好ましくない。
また、170μmを超えると、被記録材の強度、耐熱性等に問題が生じる恐れがある。
インク吸収用微粒子粉末の粒径は、特に制限するものではないが、画像の品位、被記録材料被表面の風合いから、平均粒径は1〜18μm、好ましくは2〜10μmとなるようにする。粒径の測定は、コールターカウンターモデルTA−II(コールターエレクトロニクス社製)により測定した。平均粒径は数平均のメジアン径で表す。また、受容層を形成するために、緻密な層とはならないが一定の機械的強度を持つ程度には微粉末のBET吸収性能を損なわないような条件で層形成することが好ましい。
[インクジェットインク及びインクジェット記録]
本発明におけるインクジェットインクは、親水性液媒体中に着色料および所望により添加される他の補助材料を含むものである。着色料は通常のインクジェットインクに含まれる各種染料及び顔料でありうる。
また、使用されるインク組成物の溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;セロソルブ、ブチロセロソルブ等のエーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素複素環式ケトン類;イオン交換水などが挙げられ、これらの2種以上を混合して使用することも可能である。
このようなインク組成物は着色料0.1〜20重量%及び上記の溶媒99.9〜80重量%からなることが好ましい。このインク組成物は、更に必要に応じて、電動度調整材、界面活性剤、消光剤、分散剤、防腐剤等の添加剤を含有することができる。
上記の電導度調整剤としては、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ハロゲン化リチウム、チオシアン酸ソーダ等を挙げることができる。更に、上記の界面活性剤、消光剤、分散剤、防腐剤等はインク組成物に通常用いられているものである。このようなインク組成物はそれらの添加剤をインク組成物の0.1〜5重量%の量で含有することができる。このインク組成物は、インク印刷法に適応した特性をもっているものであり、そのため該組成物の粘度は1〜10センチポイズ(20℃)、表面張力が20〜60ダイン/cm、比抵抗が200〜3000Ωcm、比重が0.8〜1.2の範囲内にあることが望ましい。このようなインク組成物を調製する際には、各成分を混合攪拌した後、使用するジェットプリンタのノズル径の、例えば、約1/10以下のポアーサイズを有するフィルターを用いてその混合物を濾過し、精製することが好ましい。このようなインク組成物は、従来公知のジェットプリンタを用いて印刷用基材上に印字することができる。このようなジェットプリンタとしては、例えば、荷電量制御方式、インクオンディマンド方式、バブルジェット(登録商標)方式、サーマルヘッドによりインクを噴出される方式のもの等がある。インクジェット印刷されたインクは、常温〜数百℃で乾燥することにより、乾燥被膜を形成する。
[画像材料除去液及び除去処理]
本発明における画像材料除去液は、水または水に少量(10%以下、好ましくは5%以下)の界面活性剤を含む水性液であることができる。このような画像材料除去液は、加温されたものであってもよい。
このような画像材料除去液は、ディップコート、ロールコート、スプレーコート、転写コート、噴射ノズルコート、流下コート等種々の付与態様で被記録材表面に付与することができ、また、除去液が水であるときは水蒸気の形で噴出し、被記録材料表面を曝すことができる。そして次に又は除去液付与と同時に、被記録材表面に付与された画像材料除去液は、拭布、ブラシ等の擦掃手段により画像保持面を擦掃する擦掃処理で、除去され、而して、受容層の膨潤→ブラッシング等による物理的摺擦→乾燥過程を経る記録材料の除去方法に好適に使用でき、リサイクル可能となる。
インク受容成分と膨潤又は溶解成分が別々の層として塗工されていてこのような過程に被記録材を適用する場合、ブラッシング等による物理的摺擦力は非常に大きいため、表層自体の膨潤時の強度が弱ければ、ブラッシング等の摺擦力によって表層が剥離しやすくなるが、本発明では、インク受容成分と膨潤又は溶解成分が混合されているため、画像材料ごと完全に除去することができる一方、被記録材を傷つけることなく回収することができる。
以下、図面を参照してさらに詳細に説明する。
図1は、本発明における被画像記録媒体の1例を示す図である。この例において被画像記録媒体は、耐水性ある基質(3)上に本発明の受容層(1)が設けられており、このような被画像記録媒体における画像形成材料(4)の一部は受容層(1)表面に付着し、他の一部は受容層(1)の内部まで浸透している。受容層(1)表面に存在する画像形成材料(4)はともかくとして、受容層(1)の内部まで浸透した画像形成材料(4)は、前述のように除去し難いものであるが、本発明によれば完全に除去することができる。
図2は、被画像記録媒体基質(3)が可逆的感熱記録媒体である場合の例を示しており、図3は、裏面を感熱記録層とする可逆的感熱記録媒体が被画像記録媒体基質(3)である場合の例を示しており、図4は、バック塗工層(33)を有する可逆的感熱記録媒体が被画像記録媒体基質(3)である場合の1例を示している。本発明における被画像記録媒体の基質(3)は、このように、耐水性あるものであれば、どのようなものであってもかまわない。
図5は、本発明の被記録材料の画像消去方法を実施するのに適した画像消去装置の1例を示す。本発明の被記録材料の画像消去方法は、被記録材料の画像保持面に水又は水性液からなる画像材料除去液を供給する除去液供給処理と、該被記録材料の画像保持面を擦掃する擦掃処理を有するが、これら処理は同時に進行してもよいが、この例の装置においては逐次遂行される。
図に示される画像消去装置(50)において、被記録材料は、搬送ローラ対(51)により装置内に搬送され、画像材料除去液付与箇所で画像材料除去液槽(52)内の除去液中に一部が浸漬された液汲上ローラ(53)から供給される除去液が液付与ローラ(54)により画像材料を有する画像受容層面に付与され、受容層が膨潤される。過剰の液はスキーズローラ(55)と液付与ローラ(54)との間で除かれる。次に被記録材料は、擦掃処理に導かれ、保持ローラ対(56)と保持ローラ対(57)で保持された状態でブラシローラ(58)によりブラッシングされ、膨潤した受容層が除去される。しかし、本発明においては、ブラッシングに代え、織布等による拭払であってもよい。図中、符号(59)は、ブラシローラ(58)に付いたペースト状の屑を除去するためのブラシクローニングベルトである。その後、この例においては、被記録材料は、残った受容層材料をより完全に除去するため、バックアップローラ(60)の助けのもとで表面掃掻ブレ−ド(61)により屑材料が掻き取られて、トレー(63)上に排出されるが、このような表面掃掻ブレ−ド(61)は、本発明において必要不可欠ではない。
図6は、本発明の被記録材料の画像消去方法を実施するのに適した画像消去装置の別の1例を示すものであり、前記例においては、除去液の供給付与が、液塗布によるもののであったのに対し、この例においては、除去液が加圧され液噴射ノズル(65)から被記録材料表面に噴射される。液噴射ノズル(65)は複数のノズルヘッドからなるノズルアレイであってもよく、また、スリット式の噴射ヘッドであってもよい。
図7は、本発明の被記録材料の画像消去方法を実施するのに適した画像消去装置のさらに別の1例を示すものであり、この例は、除去液の供給付与と表面掃掻が同時に行われる液噴射孔付きブラシ(66)であって、円筒状の回転ブラシ基体表面(67)に放射状に植毛されたブラシ毛列(68)と、このブラシ毛列(68)間に穿孔された除去液噴射用孔ノズル孔のアレイ(69)からなる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、この実施例にむろん限定されるものではない。各例中、「部」及び「%」は、別段の断りないかぎり重量基準の「部」及び「%」を表わす。
[被記録材料1の製造]
[(i)インク受容層の形成]
表面に感熱可逆記録層(ロイコ染料)を有し、裏面にPETシートを貼付してなる可逆性感熱記録媒体((株)リコー製RECO−View)を基質(3)とし、その裏面(PETシート側)にインク受容層(1)として水溶性ポリエステル樹脂、互応化学製プラコートZ−221に「RY−2」活性剤 添加量1000ppm(0.1%)を添加した溶液と、プロテインパウダー(出光テクノファイン製水溶性材料 WR−452)の吸水性を活かした水溶性インク受容材料をそれぞれ50%、50%混合し(不揮発成分比67:33)、その溶液を、ワイヤーバーを用いて、ウエット膜厚80μm(ドライ膜厚25μm)塗布して受容層(3)を塗工し、ドライヤーにて溶液が固化するまで乾燥させ、被記録材1を得た。
[(ii)水性インクの画像形成材料による記録]
このようにして得られた被記録材1に、リコー製インクジェットプリンターGX 3300により、印字し、印字材料として高粘度顔料インクのGELJETビスカスインクを添付画像で印字した。
[(iii)画像形成材料の除去]
該被記録材料のサンプルの印字表面に、ブラシをノズル先端に有するスチーム洗浄機(ケルヒャー社製スチームクリーナー SC 1002)を用い、100℃の水蒸気を噴射しながら先端のブラシでサンプルの印字部分をこすった。すると、インク受容層(1)に水が吸収され、層材料(水溶性ポリエステル樹脂)は膨潤、溶解し、インク受容層(1)のプロテインパウダー(出光テクノファイン製水溶性材料 WR−452)も水蒸気から液化した水に完全に溶解した排水液状態となり、20秒後RECO−Viewの裏面(PETシート側)に塗布された受容層(3)およびインク(4)は除去され、被記録材料の基質(感熱記録媒体)の状態に戻った。
この基質は、可逆性感熱記録媒体としてバージンの可逆性感熱記録媒体と遜色ない画像が得られるものであることを、リコー製の感熱記録機(かんばんサイズ用プリンターRP−K)を用いた印字処理の結果により確認した。また、この基質上に、再度、前記、インク受容層の形成処理を施し、前記水性インクの画像形成材料による記録を行うことにより、非記録材料は完全に初期状態に戻ったことを確認した。
実施例1の(iii)画像形成材料の除去で用いたスチーム洗浄機の替わりに、水を含ませた綿の布で、実施例1で用いた被記録材料のサンプルの印字表面を擦った以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。すると、インク受容層(1)およびインク(4)は完全に除去され、初期の被記録材基質(可逆性感熱記録媒体)の状態に戻ったことが、同様な操作により確認された。
実施例1の(iii)画像形成材料の除去で用いたスチーム洗浄機の替わりに、水を含ませた発泡ウレタンスポンジローラで、実施例1で用いた被記録材料のサンプルの印字表面を擦った以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。すると、インク受容層(1)およびインク(4)は完全に除去され、初期の被記録材基質(可逆性感熱記録媒体)の状態に戻ったことが、同様に確認された。これら3つの例の比較の結果、水の温度は高い方(実施例1の方)が早く除去できること、しかし、実施例2、3の場合もインク受容層(1)およびインク(4)が完全に除去されること、が同様に確認された。
実施例1の(iii)画像形成材料の除去で用いたスチーム洗浄機の替わりに、消しゴムで、実施例1で用いた被記録材料のサンプルの印字表面を擦った以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。すると、インク受容層(1)およびインク(4)は完全に除去され、初期の被記録材基質(可逆性感熱記録媒体)の状態に戻ったことが、同様に確認された。
1 受容層
3 耐水性基質
4 画像形成材料
33 バック塗工層
50 画像消去装置
51 搬送ローラ対
52 除去液槽
53 液汲上ローラ
54 液付与ローラ
55 スキーズローラ
56 保持ローラ対
57 保持ローラ対
58 ブラシローラ
59 ブラシクローニングベルト
60 バックアップローラ
61 表面掃掻
63 トレー
65 除去液噴射ノズル
66 液噴射孔付きブラシ
67 ブラシ基体表面
68 ブラシ毛列
69 液噴射用孔ノズル孔のアレイ
特開平1−101576号公報 特開平1−101577号公報 特開平1−297294号公報 特開平4−67043号公報 特許第3566545号公報 特許第3585371号公報 特許第3541595号公報 特許第3668606号公報 特開2002−266296号公報 特開2002−268262号公報 特開2000−206844号公報 特許第4033825号公報 特開2003−005435号公報 特許第3854758号公報 特許第4172963号公報 特開平10−166747号公報 特開平11−48627号公報 特開平11−235863号公報 特開2000−81816号公報 特表2000−516868号公報 特開平9−169162号公報 特開昭64−69345号公報

Claims (13)

  1. 親水性の画像形成材料で形成された画像を表面に有する被記録材料から、該画像形成材料を除去して該被記録材料の少なくとも基質を再生する被記録材料の画像消去方法であって、
    該被記録材料の画像保持面に水又は水性液からなる画像材料除去液を供給する除去液供給処理と、該被記録材料の画像保持面を擦掃する擦掃処理とを有し、
    前記被記録材料は、前記基質上の少なくとも1方の面に画像形成材料受容層を有するものであり、
    前記親水性画像形成材料は、少なくとも1部が前記画像形成材料受容層中に浸透しており、前記被記録材料の基質は前記画像材料除去液の供給により変質しないものであり、
    前記画像形成材料受容層は前記画像材料除去液の供給により溶解又は膨潤する水溶性ポリエステルを主成分として含有するものであり、
    前記水溶性ポリエステルが、−CO・Ar・CO−O・R・O−(Arは2価の芳香族基、Rは2価の脂肪族含有基)で表される構造単位、または−CO・R・CO−O・Ar・O−(Arは2価の芳香族基、Rは2価の脂肪族含有基)で表される構造単位を含み、
    前記画像材料除去液により前記基質との接着状態が弛緩され、前記擦掃処理により前記画像形成材料および前記画像形成材料受容層を基質から完全に除去するものであることを特徴とする被記録材料の画像消去方法。
  2. 前記画像形成材料がインクジェット記録用インク由来のものであることを特徴とする請求項1に記載の被記録材料の画像消去方法。
  3. 前記被記録材料の基質がプラスチックフィルム、光沢紙、半光沢紙又はラミネート紙であることを特徴とする請求項1又は2に記載の被記録材料の画像消去方法。
  4. 前記基質が感熱記録材料媒体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の被記録材料の画像消去方法。
  5. 前記基質が可逆性感熱記録媒体であることを特徴とする請求項4に記載の被記録材料の画像消去方法。
  6. 前記水溶性ポリエステルの酸価が、5mgKOH/g〜150mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法。
  7. 前記画像形成材料受容層の膜厚が、0.5μm〜170μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法。
  8. 前記画像形成材料受容層中の水溶性ポリエステルの含有量が、画像形成材料受容層の乾燥重量全量に対して、60質量%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法。
  9. 前記画像形成材料受容層は、前記水溶性ポリエステルの水溶性塗工液または前記水溶性ポリエステルの親水性エマルション塗工液の塗工により得られるものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法。
  10. 前記画像材料除去液が加温されたものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法。
  11. 前記除去液供給処理が、該除去液の画像保持面への塗布または噴射であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法。
  12. 前記擦掃処理が、被記録材料表面のブラッシング又は拭払であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法。
  13. 前記擦掃処理が、前記除去液供給処理と同時に行われることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の被記録材料の画像消去方法。
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