JP4332456B2 - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

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Description

本発明は、熱エネルギーを制御することにより記録画像の形成と消去とを多数回にわたって繰り返し可能な可逆性感熱記録材料に関する。
近年、一時的な画像の形成が行なえ、不要となった時にはその画像の消去が出来るようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。その代表的なものとしては、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱によりこの染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性顕色剤を用いた可逆性感熱記録材料が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。この記録材料によれば、高コントラストで高感度な記録画像の形成と消去が多数回にわたって可能であり、ICカードや磁気カード等の媒体において、カード内の情報を可視化する目的で広く使われるようになってきた。
このような染料前駆体による可逆性感熱記録材料を用いた媒体に於いては、長期間にわたり過酷な条件のもとに曝され、発色と消色を繰り返し使用されるものである。特に、長期間にわたり蛍光灯や太陽光の光(特に紫外線)が照射された状態に曝された場合には、発色部、消色部(1回以上発色して消去された部位)、及び地肌部(1回も発色されてない部位)のそれぞれ異なる劣化状態が生じることが知られている。それぞれの劣化状態の差により、同じ発色及び消色工程を経ても消え残りが発生したり、消去部と地肌とのコントラストの違いが生じて消去部が残像として浮き出てきたり、全体に褐色に変色するといった問題となっていた。このような耐光性の問題に対し、これまで様々な耐光性向上方法が提案されてきており、有機紫外線吸収剤や紫外線遮蔽性顔料を添加して染料前駆体に紫外線が到達しないようにする方法が一般的である。
有機紫外線吸収剤を添加する場合(例えば、特許文献4〜5参照)、一般に融点がそれほど高くないため、紫外線吸収能を高くするために大量に添加していくと、長期間にわたる発色及び消去時の熱履歴により紫外線吸収剤自身が溶け出して、染料前駆体を発色させたり、媒体表面やサーマルヘッドを汚染するといった問題があった。しかしながら、有機紫外線吸収剤は広波長域にわたる紫外線吸収能力があるため、紫外線吸収剤自身をマイクロカプセル中に内包して添加する方法も試みたが、マイクロカプセル自身の強度には限界があり、完全に問題を解決するには至らなかった。
また、特定の金属酸化物のような紫外線遮蔽性顔料を添加した耐光性付与方法も見られる(例えば、特許文献6参照)。これらの無機顔料は多かれ少なかれ光触媒作用を有しているため、それによる染料前駆体やバインダー樹脂成分の劣化や、微量に溶け出した染料前駆体を発色させるといった問題が発生する。そのため、紫外線遮蔽性を犠牲にしても、顔料自身の活性を考慮して比較的粒径の大きい顔料が適用される傾向にあるが、用途によってはさらなる耐光性が要求されている。また、粒子径の大きい顔料を用いた場合には、多量に添加した場合に透明性が損なわれやすく、発色濃度の低下のみならず、媒体にした際の印刷の濃度を低下させてしまうという問題も顕著であった。さらには、微小な粒子径の紫外線遮蔽性を有する金属酸化物を添加して可視光透過性の高い紫外線遮蔽層を設けることができた場合でも、高エネルギー下に於いて消去印字処理を繰り返し行うと、顔料の粒子径が小さいためバインダー樹脂の種類に依存して消去印字跡が劣化しやすくなるという傾向があり、可逆性感熱記録材料に必要とされる繰り返し耐久性を得ることが困難となる。したがって、染料前駆体を使用する可逆性感熱記録材料に於いて、耐光性と透明性と繰り返し耐久性の両立が大きな課題となっている。
さらに、紫外線遮蔽性を有する金属酸化物を表面活性の少ない他の金属酸化物で複合化させた無機顔料を添加することにより、顔料の表面活性を低下させて染料前駆体やバインダー樹脂成分の劣化を抑える試みも見られるが、これらでは十分な透明性を確保することが困難であった。また近年の多様化した用途の中で必要とされているような十分な耐光性を得るためには、比較的粒径の大きい粒子を使用するこれらの系では困難と成りつつあるばかりでなく、粒径が大きいため液の分散性や塗工性は必ずしも良いとは言えなかった(例えば、特許文献7参照)。
特開平6−171225号公報 特開平6−210954号公報 特開平7−68934号公報 特開昭62−48585号公報 特開平7−205547号公報 特開平10−100541号公報 特開2003−118235号公報
本発明の課題は、高コントラスト、高感度な記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であり、優れた耐光性と透明性と繰り返し耐久性を両立する可逆性感熱記録材料を提供することである。
本発明は、基材上に、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体、及び加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを主成分として含有する可逆性感熱記録層を少なくとも有する可逆性感熱記録材料に於いて、該可逆性感熱記録層上の少なくとも1層に、平均粒径が0.5μm以上5.0μm以下の紫外線遮蔽性を有する金属酸化物粒子A、及び平均粒径が0.01μm以上0.1μm以下の紫外線遮蔽性を有する金属酸化物粒子Bを少なくとも含有し、金属酸化物粒子Aに対する金属酸化物粒子Bの含有率が10重量%以上80重量%以下であることを特徴とする可逆性感熱記録材料を提供する。
さらに、上記課題は、上記の金属酸化物粒子A及びBを少なくとも含有する紫外線遮蔽層全体に対し、バインダーの使用量が25重量%以上75重量%以下であることを特徴とする前記記載の可逆性感熱記録材料によっても好適に達成される。
さらに、上記課題は、金属酸化物粒子Aまたは/及びBが、シロキサン及びシランカップリング剤から選ばれる化合物により被覆処理された紫外線遮蔽性金属酸化物であることを特徴とする前記いずれか記載の可逆性感熱記録材料によっても好適に達成される。
したがって、本発明に於いては、金属酸化物粒子A及びBを上記特定の比率で含有する層が可逆性感熱記録層上の少なくとも1層に含有されておれば良く、可逆性感熱記録層上に連続して積層されても、中間層を介して積層されても良い。粒径の大きい金属酸化物粒子Aと微細な金属酸化物粒子Bを併用することにより、金属酸化物粒子Aの顔料効果による繰り返し耐久性の維持と、金属酸化物粒子Bによる透明性の確保がバランス良く達成されるものであり、耐光性に関しても、前記の特性を両立したまま従来より多量に紫外線吸収剤を添加することが可能となり、さらに良好な特性をもたらす。
さらには、紫外線遮蔽性の金属酸化物粒子Aの表面がシロキサン及びシランカップリング剤から選ばれる化合物により被覆処理されたものを用いることにより、粒子表面が親油性となるため2次凝集等を起こしにくく、これと粒径の小さい金属酸化物粒子Bとを併用することにより、簡便な塗工液組成でも分散性が格段に良い状態を維持することが可能となり、したがって、塗膜の透明性や緻密性が向上されるため、安定して高い耐光性を付与することが可能となる。
本発明によれば、上記の説明の如く、高コントラスト、高感度な記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であり、それぞれ特定範囲の平均粒径を有する粒径の異なる2種類の紫外線遮蔽性を有する金属酸化物粒子を特定の比率で併用することにより、優れた耐光性と透明性と繰り返し耐久性とを両立する非常に実用性の高い可逆性感熱記録材料が提供される。
以下、本発明の可逆性感熱記録材料について、さらに詳細に説明する。本発明に用いられる、加熱により染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤としては、公知のものを使用することができる。中でも下記一般式(1)で表されるものが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004332456
一般式(1)に於いて、Xa及びXbはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい酸素原子、硫黄原子または両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。ここで−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基の具体例としては、アミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−NHCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジン(−CONHNHCO−)、シュウ酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2CONH−)等の基が挙げられる。R1は単結合または炭素数1から12の二価の炭化水素基を表す。R2は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1から4の二価の炭化水素基である。R3は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R1、R2及びR3の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R1、R2及びR3は主として、各々アルキレン基及びアルキル基を表す。R1の場合は、芳香環を含んでいてもよい。mは0から4の整数を表し、mが2以上のとき繰り返されるR2及びXbは同一であっても異なっていてもよい。
本発明に用いられる一般式(1)で示される可逆性顕色剤において、mが0で、Xaが両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基であるものが特に好ましい。
以下に一般式(1)で表される具体的化合物を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]カルバミン酸−n−オクタデシル、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキシル]カルバミン酸−n−テトラデシル、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]カルバミン酸−n−ドデシル、N−n−オクタデシルカルバミン酸−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]、N−n−デシルカルバミン酸−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]、N−n−テトラデシルカルバミン酸−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノイル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−(p−n−オクチルベンゾイル)アミン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−ドデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−(p−n−オクチルベンゾ)ヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニルオキシ)ウンデカノ−N′−11−ドデセノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−(6−フェニル)ヘキサノヒドラジド、N−[11−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ウンデカノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニルメチル)ベンゾ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−テトラデシルオキサミド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]−N′−n−デシルオキサミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N′−n−ドデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−ドデカノイル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデカノイル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデカノイル尿素、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノイル]−4−n−デシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデカノイルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデデカノイルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−オクタデカノイルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−ドデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−n−デカノイルアミノメタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−ドデシルウレイド)メタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−(3−n−デシルウレイド)メタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−{3−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−{3−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデシルマロンアミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデシルマロンアミド、N−4−チアヘキサデカノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−12−チアドコサノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−オキサヘキサデカノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−チアヘキサデカノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−オキサドコサノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−チアドコサノヒドラジド、 N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−チアヘキサデカノオキサミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−オキサドコサノオキサミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−チアドコサノオキサミド、 N−p−ヒドロキシフェニルエチル−N′−12−チアドコシルオキサミド、N−p−ヒドロキシベンジル−N′−12−チアドコシル尿素、N−p−ヒドロキシベンジル−N′−12−オキサドコシル尿素、1−(p−ヒドロキシフェニルエチル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、1−(p−ヒドロキシベンジル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、等が挙げられる。
本発明に用いられる、一般式(1)で示される可逆性顕色剤はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、通常無色ないし淡色の染料前駆体に対する使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
本発明に用いられる、通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられるものがよく知られている。具体的な例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。またこれら染料前駆体は、それぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよい。
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)イソアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)テトラヒドロフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等、
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等が挙げられる。
本発明に係る可逆性感熱記録層を得るために使用されるバインダーとしては耐熱性を有するものであれば良く、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を適用することが可能であるが、耐熱性の点から熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂を適用する場合は架橋剤を含む液を塗工、成膜した後に熱により架橋させて用いる。熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びポリオール樹脂等が挙げられる。またこれらの熱硬化性樹脂に使用される硬化剤は、有機酸類、アミン類、イソシアネート類、エポキシ類、フェノール類等が挙げられるが、熱硬化性樹脂の種類により好適な反応性のものを選定すれば良い。特にこれらの中で、特開平10−230680号公報や同11−58963号公報に記載の、ポリオール樹脂をイソシアネート化合物で熱硬化して得られる架橋樹脂であることが好ましい。
本発明に係る可逆性感熱記録層におけるバインダーの使用量としては、該可逆性感熱記録層全質量に対する該バインダー成分の質量百分率が35%以上65%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲より大きくなると著しく発色濃度が低下し、逆にこの範囲より小さくなると、可逆性感熱記録層の耐熱性や機械的強度が低下し、層の変形や発色濃度の低下が起きる。可逆性感熱記録層における該バインダー成分の質量百分率は、40%以上60%以下がより好ましく、45%以上55%以下がなお一層好ましい。
本発明に係る可逆性感熱記録層の膜厚は該可逆性感熱記録層の組成と所望発色濃度により決定されるものであり、具体的には、0.5〜20μmの範囲が好ましく、3〜15μmがより好ましい。さらに、該記録層の形成に際しては、染料前駆体や可逆性顕色剤等の組成物を熱硬化性樹脂及び硬化剤と共に混合した分散液を基材上に塗工するが、必要に応じて、熱硬化性樹脂及び硬化剤と非反応性の溶剤で希釈して使用することもできる。使用できる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解し、且つ染料前駆体や可逆性顕色剤等の組成物を分散・溶解させるものが好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系、ジエチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素系、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クレゾール等の塩素化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ペンタン、ヘキサン等のものが使用でき、これに限定されるものではないが活性水素を有しない有機溶媒を用いることが好ましい。
本発明の可逆性感熱記録材料の層構成としては、基材上に少なくとも可逆性感熱記録層及び保護層をこの順に積層しておれば良く、必要に応じて各層間にさらに層を設けても良い。本発明に係る紫外線遮蔽性の金属酸化物A及びBは、前記のうち可逆性感熱記録材料以外の少なくとも1層に添加して用いればその目的を達成し、複数の層に添加することも可能である。基材と可逆性感熱記録層の間に断熱層を設けることもできる。さらに、可逆性感熱記録層が設けられている面および/または反対側の面に、電気的、磁気的、光学的に情報が記録可能な材料を含んでも良い。また、可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面にカール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
本発明に係る紫外線遮蔽性の金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、及び酸化セリウム、酸化水酸化鉄等が好ましく用いられ、これらのうちのいずれかで、平均粒径が0.5μm以上5.0μm以下のもの(金属酸化物粒子A)と平均粒径が0.01μm以上0.1μm以下のもの(金属酸化物粒子B)を併用する。これは、粒径の大きい金属酸化物粒子Aと微細な金属酸化物粒子Bを併用することにより、金属酸化物粒子Aの顔料効果による繰り返し耐久性の維持と、金属酸化物粒子Bによる透明性の確保がバランス良く達成されるものであり、耐光性に関しても、前記の特性を両立したまま従来より多量に紫外線遮蔽性の金属酸化物粒子を添加することが可能となる。具体的に説明すると、金属酸化物粒子Aの平均粒径が5.0μmより大きくなると紫外線遮蔽性を確保しにくくなるばかりでなく塗布膜の透明性が低下も問題となる。また、0.5μmより小さくなると高負荷の感熱記録消去処理に対して層の構造をほとんどバインダーだけで維持することになり、繰り返し耐久性を確保することが困難になってくる。また、金属酸化物粒子Bの平均粒径が0.1μmより大きくなると全体の紫外線遮蔽物質の添加量を多くして且つ透明性を維持する効果が小さくなり、0.01μmより小さいものは非常に表面活性が高いばかりでなく、現実的に得ることは難しい。ここで各金属酸化物の平均粒子径は、一般的な光散乱式の粒度分布計により確認することができる。金属酸化物粒子B程度の粒径を得る場合は分散液の形で供給されているものを適用することが好ましい。また、金属酸化物Aと金属酸化物Bは、基本組成が上記の同じものでも異なるものでも良く、さらに合計3成分以上の紫外線遮蔽性の金属酸化物を本発明の趣旨に沿う方法で適用しても同様の効果が得られることは言うまでもない。また、金属酸化物粒子Aに対する金属酸化物粒子Bの含有率は10重量%以上80重量%以下で用いる
本発明に係る紫外線遮蔽性の金属酸化物粒子を被覆処理するためのシロキサン化合物としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、及びデカメチルテトラシロキサン等が挙げられる。さらに、シランカップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシラン、及びトリメチルメトキシシラン等の一般的なシランカップリング剤を用いることが可能である。シロキサン化合物及び/またはシランカップリング剤は、単独もしくは2種以上を用いることができ、これらの被覆処理方法は一般的な処理方法によれば良い。また、被覆処理量は処理後の重量に対して0.5重量%以上40重量%以下が好ましく、さらには2重量%以上30重量%以下がより好適である。また、被覆処理後にさらに各種シリコンオイルや界面活性剤等の表面処理剤を添加することも可能である。
本発明に係る紫外線遮蔽性の金属酸化物粒子を含有する層(以下、紫外線遮蔽層)を得るために使用されるバインダーと紫外線遮蔽層の形成方法に関しては、基本的に可逆性感熱記録層と同様のものを適用することが可能であり、バインダーの使用量としては、上記の金属酸化物粒子A及びBの配合比によっても左右されるが、紫外線遮蔽層全体に対して、25重量%以上75重量%以下が好ましく、さらには40重量%以上65重量%以下でより好適に用いられる。また、紫外線遮蔽層の厚みに関してもバインダーの使用量との関係により均衡が保たれるものであるが、0.3μm以上5μm以下が好ましく、1〜3μmがより好適である。
本発明に係る保護層には、スチレン無水マレイン酸共重合体、メラミン−ホルマリン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂等を用いることができるが、機械的強度や耐熱性の点から紫外線硬化樹脂が好ましい。紫外線硬化樹脂の具体例としては、例えば特開平6−344672号公報に記載されているようなエチレン性不飽和結合を有する化合物がある。これらの化合物の紫外線による硬化を効率よく進めるために、トリクロロアセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等の光反応開始剤を使用できる。保護層の厚みは0.5〜5μmが好ましい。これより薄いと記録画像の形成と消去を多数回にわたって繰り返すことができず、また厚いと記録感度が低下する。保護層は複数の構成であってもよい。
さらに、保護層にはスティッキングやヘッド摩耗を防止、ないしは減少させるため、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化珪素、水酸化アルミニウム、澱粉粒、尿素−ホルマリン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン粒子等の顔料や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、単独もしくは2種以上含有させることができる。また、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料などを1種以上含有させることもできる。
本発明に用いられる基材としては、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができ、透明、半透明或いは不透明のいずれであっても良い。また、これらに限定されるものでもない。
可逆性感熱記録層、紫外線遮蔽層、場合によっては他の中間層のいずれの層においても、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、澱粉粒、尿素−ホルマリン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン粒子等の顔料や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等のワックス類、及びベンゾフェノン系もしくはベンゾトリアゾール系の有機紫外線吸収剤を、単独もしくは2種以上含有させることができる。また、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料などを1種以上含有させることもできる。
本発明に用いられる可逆性感熱記録材料の発色を行うには、加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、例えばサーマルヘッド、レーザー光等による加熱により可能である。また、加熱後ゆっくり冷却すれば消色し、例えば熱ロール、熱スタンプ、サーマルヘッド、高周波加熱、熱風、電熱ヒーター或いはハロゲンランプ等の光源からの輻射熱等を用いることにより行える。加熱に使用するレーザーとしては半導体レーザーやYAGレーザーを挙げることができるが、これらに限定されない。これらのレーザー光による加熱を効率よく行うためには、可逆性感熱記録層中に近赤外部に吸収を有する光熱変換材料を含有させるか、あるいは、該光熱変換材料を含有する光熱変換層を可逆性感熱記録層に直接隣接して設けることが好ましい。近赤外部に吸収を有する光熱変換材料としては、たとえば白金、チタン、シリコン、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属または半金属の層、日本化薬製のIRG002(商品名)やIRG022(商品名)等のインモニウム化合物、金属錯体化合物、シアニン色素、スクワリリウム色素、ナフトキノン色素、フタロシアニン化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましい光熱変換材料としては、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性の点でフタロシアニン化合物及び金属錯体化合物が挙げられる。光熱変換材料は単独使用はもとより、2種類以上を混合して用いることができる。その添加量は1mg/m2から200mg/m2が適当であり、5mg/m2から50mg/m2が好ましい。この量より少ないと画像消去に必要なエネルギーを十分に低減できず、印字消去の繰り返し特性が劣化する。またこの量より多いと、光熱変換材料が若干なりとも有している可視部の吸収が大きくなりすぎて画像の視認性が低下する。
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する各層を基材上に形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の塗抹装置、平板、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いることができる。さらに通常の乾燥工程の他、必要に応じて紫外線照射または電子線照射により各層を保持させることができる。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗布、印刷することができる。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は重量基準である。
実施例1
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、可逆性顕色剤であるN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド100部、及びポリエステルポリオール87部(武田薬品工業社製タケラックU−21)、メチルエチルケトン950部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで5時間分散し分散液を得た。次いで得られた分散液にイソシアネート化合物144部(日本ポリウレタン工業社製コロネートL)とメチルエチルケトン62部を加え、よく混合し可逆性感熱記録層用塗液を作製した。この塗液を用いて、厚さ100μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、層形成後の厚さが8μmとなるように塗布し、120℃で3分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。
金属酸化物粒子Aとして酸化亜鉛粒子35部(住友大阪セメント製ZnO−350(平均粒径0.72μm))、金属酸化物粒子Bとして酸化亜鉛30重量%分散液17部(住友大阪セメント製ZS−303(平均粒径0.05μm))、アクリルポリオール樹脂溶液45部(大日本インキ化学工業製A814)、及び2−ブタノン238部の混合物をホモジナイザーを用いて3000rpmで10分間分散した後、イソシアネート化合物溶液6部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX)を加え、よく混合し紫外線遮蔽層用塗液を作製した。この塗液を用いて、上記で形成した可逆性感熱記録層上に層形成後の厚さが2μmとなるように塗布し、120℃で1分乾燥後、さらに50℃にて24時間加温し、紫外線遮蔽層を形成した。さらにその後、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製C7−157)15部、メチルエチルケトン85部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの保護層を設けて、可逆感熱記録材料を作製した。
実施例2
紫外線遮蔽層の金属酸化物粒子Aとして酸化亜鉛粒子35部(堺化学工業製LPZINC−2(平均粒径2.4μm))を用いたことを除いては、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例3
紫外線遮蔽層の金属酸化物粒子Aとしてポリシロキサン処理された酸化亜鉛粒子35部(堺化学工業製50−LP(平均粒径1.2μm))を用いたことを除いては、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例4
金属酸化物粒子Aとしてポリシロキサン処理された酸化亜鉛粒子35部(堺化学工業製50−LP(平均粒径1.2μm))、金属酸化物粒子Bとしてトリメチルメトキシシランでシランカップリング剤処理した酸化亜鉛30重量%分散液18部(住友大阪セメント製ZS−303(平均粒径0.05μm))、アクリルポリオール樹脂溶液45部(大日本インキ化学工業製A814)、及び2−ブタノン238部の混合物をホモジナイザーを用いて3000rpmで10分間分散した後、イソシアネート化合物溶液6部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX)を加え、金属酸化物粒子Bの含有量を変更した紫外線遮蔽層用塗液を作製した。それを用いたことを除いては実施例1と同様にして可逆感熱記録材料を作製した。
実施例5
金属酸化物粒子Aとして酸化亜鉛粒子35部(住友大阪セメント製ZnO−350(平均2次粒径0.72μm))、金属酸化物粒子Bとして酸化亜鉛30重量%分散液89.6部(住友大阪セメント製ZS−303(平均粒径0.05μm))、アクリルポリオール樹脂溶液68部(大日本インキ化学工業製A814)、及び2−ブタノン313部の混合物をホモジナイザーを用いて3000rpmで10分間分散した後、イソシアネート化合物溶液9部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX)を加え、金属酸化物粒子Bの含有量を変更した紫外線遮蔽層用塗液を作製した。それを用いたことを除いては実施例1と同様にして可逆感熱記録材料を作製した。
実施例6
金属酸化物粒子Aとして酸化亜鉛粒子35部(住友大阪セメント製ZnO−350(平均2次粒径0.72μm))、金属酸化物粒子Bとして酸化亜鉛30重量%分散液12.7部(住友大阪セメント製ZS−303(平均粒径0.05μm))、アクリルポリオール樹脂溶液42部(大日本インキ化学工業製A814)、及び2−ブタノン275部の混合物をホモジナイザーを用いて3000rpmで10分間分散した後、イソシアネート化合物溶液5.6部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX)を加え、金属酸化物粒子Bの含有量を変更した紫外線遮蔽層用塗液を作製した。それを用いたことを除いては実施例1と同様にして可逆感熱記録材料を作製した。
参考例1
金属酸化物粒子Aとして酸化亜鉛粒子35部(住友大阪セメント製ZnO−350(平均2次粒径0.72μm))、金属酸化物粒子Bとして酸化亜鉛30重量%分散液94.5部(住友大阪セメント製ZS−303(平均粒径0.05μm))、アクリルポリオール樹脂溶液68部(大日本インキ化学工業製A814)、及び2−ブタノン313部の混合物をホモジナイザーを用いて3000rpmで10分間分散した後、イソシアネート化合物溶液9部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX)を加え、金属酸化物粒子Bの含有量を変更した紫外線遮蔽層用塗液を作製した。それを用いたことを除いては実施例1と同様にして可逆感熱記録材料を作製した。
参考例2
金属酸化物粒子Aとして酸化亜鉛粒子35部(住友大阪セメント製ZnO−350(平均2次粒径0.72μm))、金属酸化物粒子Bとして酸化亜鉛30重量%分散液11部(住友大阪セメント製ZS−303(平均粒径0.05μm))、アクリルポリオール樹脂溶液42部(大日本インキ化学工業製A814)、及び2−ブタノン242部の混合物をホモジナイザーを用いて3000rpmで10分間分散した後、イソシアネート化合物溶液8部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX)を加え、金属酸化物粒子Bの含有量を変更した紫外線遮蔽層用塗液を作製した。それを用いたことを除いては実施例1と同様にして可逆感熱記録材料を作製した。
(比較例1)
紫外線遮蔽層の金属酸化物粒子Aとして酸化亜鉛粒子35部(堺化学工業製LPZINC−5(平均粒径5.2μm))を用いたことを除いては、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
(比較例2)
紫外線遮蔽層の金属酸化物粒子Aとして酸化亜鉛粒子35部(堺化学工業製LPZINC−2(平均粒径2.4μm))を、金属酸化物粒子Bとして酸化亜鉛粒子5.1部(チタン工業製TZ−100(平均粒径0.15μm))を用いたことを除いては、実施例1と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
(比較例3)
紫外線遮蔽層の金属酸化物粒子としてアルミナ被覆型酸化亜鉛粒子35部(堺化学工業製50A−LP(平均粒径2.1μm))のみを用い、アクリルポリオール樹脂溶液31.5部(大日本インキ化学工業製A814)、及び2−ブタノン235部の混合物をホモジナイザーを用いて3000rpmで10分間分散した後、イソシアネート化合物溶液6部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX)を加え、金属酸化物粒子を1種類だけ含有した紫外線遮蔽層用塗液を作製した。それを用いたことを除いては実施例1と同様にして可逆感熱記録材料を作製した。
(比較例4)
紫外線遮蔽層の金属酸化物粒子として、ポリシロキサン処理された酸化亜鉛粒子35部(堺化学工業製50−LP(平均粒径1.2μm))を用いたことを除いては、比較例3と同様にして可逆性感熱記録材料を作製した。
試験1(耐光性試験)
実施例1〜8および比較例1〜4で作製した可逆性感熱記録材料に、三和ニューテック製プリンター(ABS−3001KMT)の印字テストモード(印字スピード69mm/s、サーマルヘッド抵抗値450Ω)で消去印字処理を10回繰り返した記録材料に対し、2000luxの照度で蛍光灯の光を75時間照射した。その後、同じプリンタで全面消去して消去部の濃度と地肌濃度の差をマクベスRD918により測定し、光照射後の消え残りを評価し、0.02以下を合格としている。さらに、光照射前後の地肌変色の度合いを色差ΔE*ab値で評価し、5未満を合格としている。結果を表1に示す。
試験2(実機繰り返し消去印字試験)
実施例1〜8および比較例1〜4で得た可逆性感熱記録材料を、三和ニューテック製プリンター(ABS−3001KMT)の印字テストモード(印字スピード69mm/s、サーマルヘッド抵抗値450Ω)で印字テストを行い、次いで消去する作業を2分間隔で300回繰り返し、終了後のの印字の状態と記録媒体の表面状態を目視で観察し、下記のレベルで評価した。結果を表1に示す。
◎:画像部は良好な発色状態で、消え残りも見られなかった。
○:画像部は良好な発色状態であるが、やや消え残りが見られた。
×:画像部にムラが見られ、消え残りや変色が顕著に見られた
試験3(透明性評価)
実施例1〜8および比較例1〜4で得た可逆性感熱記録材料を、それぞれ濃度が既知の塩ビ製印刷シートに貼り付けた後、該記録材料上から反射濃度を測定し、貼り付け前後の反射濃度の比により透明性の低下度合いを評価した。反射濃度測定には試験1と同様にマクベスRD918を用いた。結果を表1に示す。
Figure 0004332456
高コントラストで高感度な記録画像の形成と消去が多数回にわたって可能な本発明の可逆性感熱記録材料を用いたICや磁気カードは情報を可視化する目的で使用される。さらに、直接光に暴露されるような環境に於いても、良好な耐光性と繰り返し耐久性により長期間使用される。

Claims (2)

  1. 基材上に、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体、及び加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを主成分として含有する可逆性感熱記録層を少なくとも有する可逆性感熱記録材料に於いて、該可逆性感熱記録層上の少なくとも1層に、平均粒径が0.5μm以上5.0μm以下の紫外線遮蔽性を有する金属酸化物粒子A、及び平均粒径が0.01μm以上0.1μm以下の紫外線遮蔽性を有する金属酸化物粒子Bを少なくとも含有し、金属酸化物粒子Aに対する金属酸化物粒子Bの含有率が10重量%以上80重量%以下であることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
  2. 上記金属酸化物粒子A及びBを少なくとも含有する紫外線遮蔽層全体に対し、バインダーの使用量が25重量%以上75重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の可逆性感熱記録材料。
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