本発明は、熱エネルギーを制御することにより記録画像の形成と消去とを多数回にわたって繰り返し可能な可逆性感熱記録材料に関する。
近年、一時的な画像の形成が行なえ、不要となった時にはその画像の消去が出来るようにした可逆性感熱記録材料が注目されている。その代表的なものとしては、通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱によりこの染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆性顕色剤を用いた可逆性感熱記録材料が知られている。この記録材料によれば、高コントラストで高感度な記録画像の形成と消去が多数回にわたって可能であり、ICカードや磁気カード等の媒体において、カード内の情報を可視化する目的で広く使われるようになってきた。このような可逆性感熱記録材料に於いては、連続して多数の媒体の記録画像を書き換えるようなアプリケーションも多く見られる。このような場合には、記録画像の消去と再形成にかかる所用時間を極力短くすることが望まれている。こうした背景から、消去印字装置に於いては、サーマルヘッド等の画像記録手段(消去手段)により所定の熱エネルギーを短時間で接触印加するため、その結果記録材料にかかる熱的負荷は大きくなる傾向にあり、材料自身の感度や消去印字条件のラチチュードを向上することも重要である(例えば、特許文献1〜3参照)。
可逆性感熱記録材料の構成としては、前記のように基材上に電子供与性染料前駆体、及び加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤等の主成分を分散マトリクスとしてバインダー樹脂により成膜して成る可逆性感熱記録層と、画像耐光性や繰り返し消去印字時の耐久性を確保するために該可逆性感熱記録層上に単独もしくは複数の保護層とを積層して設けることが一般的である。このような繰り返し使用する可逆性感熱記録材料に於いては、十分なコントラストの発色と良好な消色の特性を得るためには、形成される可逆性感熱記録層の感熱組成物の量を所望の発色濃度が得られるように導入する必要があり、且つ消去感度も確保する必要があることから、感熱組成物とバインダー樹脂の組成比や可逆性感熱記録層の厚み等に挙げられるような処方の選択幅が狭いものであった。使用する材料にもよるが、具体的には、感熱組成物の組成比は大きくなる傾向にあり、感熱層の厚みは大きくするには制約があるため、その結果、可逆性感熱層自身の強度を保持することが困難となり、層が脆いことによる耐久性低下が問題となっていた。
また、可逆性感熱記録層上に形成される単独もしくは複数の保護層に関しても、繰り返し使用時の耐久性を確保するためには、耐熱性が高い材料を選択したり、場合によっては無機顔料を添加して硬度や艶消し面を確保する必要がある。しかし、前記のように可逆性感熱記録層の物理的強度が低い場合や、保護層に用いる材料によっては、消去印字時に過剰なエネルギーが印加されると繰り返し時に印字部位表面が割れる現象が見受けられ問題となることもあった。さらには、一般的な熱硬化樹脂やオーバーコート用の紫外線硬化樹脂等を用いた場合には、多かれ少なかれ硬化収縮によりシートカールが発生し、後工程のハンドリング性低下が問題となっていた。
樹状分岐樹脂は、一般にはデンドリマーやハイパーブランチポリマー(Hyperblanched Polymer)と呼ばれる高分子化合物であり、その分子構造が直線状ではなく、核になる構造部分から放射状に枝分かれした3次元構造を有するものである。このような樹状分岐樹脂は、高分子でありながら低分子成分を用いなくても低粘度で使用することが可能であることや、分子表面の末端官能基を高密度に配置できることから樹状分岐樹脂を硬化させて得られる硬化樹脂は非常に架橋密度の高い皮膜を形成されるため、他の低分子成分のマイグレーション防止やガスバリアー性が得られるとする応用例も見られる(例えば、特許文献4及び5、及び非特許文献1及び2参照)。
特開平6−171225号公報
特開平6−210954号公報
特開平7−68934号公報
特開平10−337963号公報
特開平2004−323648号公報
J.Am.Chem.Soc.,1996,118,3785
Prog.Polym.Sci.,2000,25,453
本発明の課題は、高コントラスト、高感度な記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であると同時に、繰り返し耐久性と低カール特性を両立する優れた可逆性感熱記録材料を提供することである。
本発明は、基材上に、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを主成分として含有する可逆性感熱記録層、及び該可逆性感熱記録層上に単独もしくは複数の保護層を設けてなる可逆性感熱記録材料に於いて、該可逆性感熱記録層及び保護層のうち、少なくとも1層が分子末端にエチレン性不飽和結合基、イソシアネート基、及び水酸基から選択される官能基を有する樹状分岐樹脂を少なくとも1種含有し、且つ該樹状分岐樹脂を硬化させてなることを特徴とする可逆性感熱記録材料を提供する。
さらに、上記課題は、樹状分岐樹脂を用いた層に於ける架橋後の硬化樹脂成分に占める樹状分岐樹脂の質量含有率が40%以上100%以下であることを特徴とする前記の可逆性感熱記録材料によっても好適に達成される。
本発明によれば、上記の説明の如く、高コントラスト、高感度な記録画像の形成あるいは消去が多数回にわたって可能であり、繰り返し耐久性と低カール特性を両立する優れた可逆性感熱記録材料が提供される。
本発明に於いては、分子末端に上記の官能基を有する樹状分岐樹脂が可逆性感熱記録層または保護層の少なくとも1層に含有されておれば良い。すなわち、樹状分岐樹脂は3次元構造を有し、分子末端近傍では非常に原子密度が高く自由度が低いため剛直な構造を有するため、硬化剤等により得られる硬化樹脂膜に関しても架橋密度が高く、且つ硬化収縮が非常に小さいものとなるため、機械的強度や耐熱性を向上することが可能となり、さらにはカールの低減も実現することができる。そのような観点からも、架橋後の硬化樹脂成分に占める樹状分岐樹脂の割合が40%以上の質量含有率となるように適用することが好ましく、これより低いと可逆性感熱記録材料の十分な繰り返し耐久性と層の低収縮性が得られない。
以下、本発明の可逆性感熱記録材料について、さらに詳細に説明する。本発明に係る可逆性感熱記録材料は、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを主成分として、これらをバインダー樹脂と共に分散した塗液を成膜して得られる可逆性感熱記録層、及び該可逆性感熱記録層上に単独もしくは複数の保護層を基材上に順に設けることにより得られる。本発明に係る樹状分岐樹脂は、可逆性感熱記録層のバインダー樹脂及び/または保護層の樹脂成分を構成する複数の化合物のうちの少なくとも1成分であり、複数の樹状分岐樹脂を混合して用いても良い。さらに、樹状分岐樹脂を含めた樹脂成分に関しては、繰り返し耐久性を有する必要性から、最終的に成膜後に耐熱性の高い3次元架橋構造を構成するように、使用する樹脂に対応する反応性化合物を硬化剤として添加したり、樹状分岐樹脂自身で重合等の架橋性官能基を有するものから構成されるものである。
本発明に係る樹状分岐樹脂としては、コア分子から逐次反応させて規則的に分岐構造を形成したデンドリマーや、ランダムな分岐構造を有するハイパーブランチポリマーが好適に挙げられ、デンドリマーの世代数については特に制限はなく、合成の容易性とデンドリマーとしての特異性を発現するという観点から4世代〜7世代が好ましい。さらには、本発明に係る樹状分岐樹脂は、分子末端にエチレン性不飽和結合、イソシアネート基及び水酸基から選択される1種類の官能基を複数有する構造のものであれば良く、分子末端の官能基数が10以上40以下であるものが好適に用いられる。分子末端の官能基数が10未満になると耐熱性の点で劣るものとなり、40より多くなっても全ての官能基が有効に反応に寄与しないので特性が著しく向上するものではない。また、可逆性感熱記録層及び/または保護層に使用される樹脂としては、樹状分岐樹脂以外の反応性モノマー、オリゴマー、またはポリマーを併用しても構わないが、樹状分岐樹脂の硬化樹脂成分に占める割合が40%以上100%以下の質量含有率となるように適用することが好ましく、さらに好ましくは60%以上100%以下が良い。デンドリマーの製造は、Convergent法、またはDivergent法により行うことができ、Convergent法としては、例えば、Macromolecules,23,4726(1990)等に記載される方法を適用すればよく、Divergent法では、Polyme.J.,17,117(1985)等が好適に適用される。ハイパーブランチポリマーの製造方法としては、例えば、Macromolecules,31,1716,(1998)等に記載の方法を用いればよい。
また、樹状分岐樹脂に於ける分子末端の官能基の種類は使用条件に合わせて適宜選択すれば良く、例えば、樹状分岐樹脂の分子末端にエチレン性不飽和結合を有する場合は、重合開始剤により適切な条件で重合して硬化すれば良い。また、イソシアネート基を有する場合には、水酸基、アミノ基、またはカルボキシル基から選択される官能基を2官能以上有する化合物を硬化剤として用いて熱硬化すれば良い。水酸基を有する場合には、イソシアネート基を2官能以上有する化合物を硬化剤として用いて熱硬化すれば良い。さらには、前記の官能基を2官能以上有する硬化剤は樹状分岐樹脂であっても良い。
本発明に係る可逆性感熱記録層を得るために使用されるバインダー樹脂としては、本発明で使用する樹状分岐樹脂と併用して、以下に示すような熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を適用することが可能である。耐熱性の点から熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂を適用する場合は硬化剤を含む液を塗工、成膜した後に熱により架橋させて用いる。
熱可塑性樹脂の具体例としては、でんぷん類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ポリビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びポリオール樹脂等が挙げられる。またこれらの熱硬化性樹脂に使用される硬化剤は、有機酸類、アミン類、イソシアネート類、エポキシ類、フェノール類等が挙げられるが、熱硬化性樹脂の種類により好適な反応性のものを選定すれば良い。特にこれらの中で、特開平10−230680号公報や同11−58963号公報に記載の、ポリオール樹脂をイソシアネート化合物で熱硬化して得られる架橋樹脂であることが好ましい。本発明に係る可逆性感熱記録層を得るために使用されるバインダー樹脂として、本発明で使用する樹状分岐樹脂を用いない場合も、これらの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
本発明に係る可逆性感熱記録層におけるバインダー樹脂の使用量としては、該可逆性感熱記録層全質量に対する硬化剤を含めた硬化樹脂成分の質量百分率が35%以上65%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲より大きくなると著しく発色濃度が低下し、逆にこの範囲より小さくなると、可逆性感熱記録層の耐熱性や機械的強度が低下し、層の変形や発色濃度の低下が起きる。可逆性感熱記録層における該バインダー成分の質量百分率は、40%以上60%以下がより好ましく、45%以上55%以下がなお一層好ましい。
本発明に係る可逆性感熱記録層の膜厚は該可逆性感熱記録層の組成と所望発色濃度により決定されるものであり、具体的には、0.5〜20μmの範囲が好ましく、3〜15μmがより好ましい。さらに、該記録層の形成に際しては、染料前駆体や可逆性顕色剤等の組成物を硬化性樹脂及び必要に応じて硬化剤と共に混合した分散液を基材上に塗工するが、熱硬化性樹脂及び硬化剤等の組成物と非反応性の溶剤で希釈して使用することもできる。使用できる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解し、且つ染料前駆体や可逆性顕色剤等の組成物を分散・溶解させるものが好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系、ジエチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、グリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素系、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クレゾール等の塩素化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ペンタン、ヘキサン等のものが使用でき、これに限定されるものではないが使用するバインダー樹脂の硬化反応に関与しない有機溶媒を用いることが好ましい。
本発明に用いられる、加熱により染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤としては、公知のものを使用することができる。中でも下記一般式(1)で表されるものが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(1)に於いて、X及びXはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい酸素原子、硫黄原子または両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。ここで−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基の具体例としては、アミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−NHCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジン(−CONHNHCO−)、シュウ酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2NHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHCH2NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2CONH−)等の基が挙げられる。R1は単結合または炭素数1から12の二価の炭化水素基を表す。R2は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1から4の二価の炭化水素基である。R3は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R1、R2及びR3の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R1、R2及びR3は主として、各々アルキレン基及びアルキル基を表す。R1の場合は、芳香環を含んでいてもよい。mは0から4の整数を表し、mが2以上のとき繰り返されるR2及びXは同一であっても異なっていてもよい。
本発明に用いられる一般式(1)で示される可逆性顕色剤において、mが0で、Xが両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基であるものが特に好ましい。
以下に一般式(1)で表される具体的化合物を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]カルバミン酸−n−オクタデシル、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキシル]カルバミン酸−n−テトラデシル、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]カルバミン酸−n−ドデシル、N−n−オクタデシルカルバミン酸−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]、N−n−デシルカルバミン酸−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]、N−n−テトラデシルカルバミン酸−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノイル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−(p−n−オクチルベンゾイル)アミン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−ドデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−(p−n−オクチルベンゾ)ヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニルオキシ)ウンデカノ−N′−11−ドデセノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ−N′−(6−フェニル)ヘキサノヒドラジド、N−[11−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ウンデカノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニルメチル)ベンゾ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−テトラデシルオキサミド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]−N′−n−デシルオキサミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N′−n−ドデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−ドデカノイル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデカノイル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデカノイル尿素、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノイル]−4−n−デシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデカノイルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデデカノイルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−オクタデカノイルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−ドデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−n−デカノイルアミノメタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−ドデシルウレイド)メタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−(3−n−デシルウレイド)メタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−{3−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−{3−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデシルマロンアミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデシルマロンアミド、N−4−チアヘキサデカノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−12−チアドコサノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−オキサヘキサデカノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−チアヘキサデカノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−オキサドコサノヒドラジド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−チアドコサノヒドラジド、 N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−4−チアヘキサデカノオキサミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−オキサドコサノオキサミド、N−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ−N′−12−チアドコサノオキサミド、 N−p−ヒドロキシフェニルエチル−N′−12−チアドコシルオキサミド、N−p−ヒドロキシベンジル−N′−12−チアドコシル尿素、N−p−ヒドロキシベンジル−N′−12−オキサドコシル尿素、1−(p−ヒドロキシフェニルエチル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、1−(p−ヒドロキシベンジル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、等が挙げられる。
本発明に用いられる、一般式(1)で示される可逆性顕色剤はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、通常無色ないし淡色の染料前駆体に対する使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
本発明に用いられる、通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられるものがよく知られている。具体的な例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。またこれら染料前駆体は、それぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよい。
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)イソアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)テトラヒドロフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等、
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等が挙げられる。
本発明に係る保護層には、熱硬化樹脂もしくは紫外線硬化樹脂等の機械的強度や耐熱性有するものを用いることができる。保護層に於いて、本発明で使用する樹状分岐樹脂と併用した場合、もしくは、樹状分岐樹脂を用いない場合には、一般的なエポキシ樹脂、尿素樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びポリオール樹脂等の熱硬化性樹脂や、例えば特開平6−344672号公報に記載されているようなエチレン性不飽和結合を有する紫外線硬化樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂に使用される硬化剤は、有機酸類、アミン類、イソシアネート類、エポキシ類、フェノール類等が挙げられるが、熱硬化性樹脂の種類により好適な反応性のものを選定すれば良く、紫外線硬化樹脂に関しては、紫外線による硬化を効率よく進めるために、トリクロロアセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等の光反応開始剤を使用できる。保護層の厚みは0.5〜7μmが好ましい。これより薄いと記録画像の形成と消去を多数回にわたって繰り返すことができず、また厚いと記録感度が低下する。保護層は複数の構成であっても良く、複数層の厚みの合計が3〜7μmであることが好ましい。
また、本発明に係る保護層にはスティッキングやヘッド摩耗を防止、ないしは減少させるため、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、澱粉粒、尿素−ホルマリン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン粒子等の顔料や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、単独もしくは2種以上含有させることができる。また、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料などを1種以上含有させることもできる。
さらに、保護層には可逆性感熱記録層の紫外線劣化を防ぐことを目的に紫外線遮蔽性を有する無機系の金属酸化物粒子や有機紫外線吸収剤を含有させることができる。紫外線遮蔽性の金属酸化物粒子の具体例としては、酸化亜鉛、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、酸化セリウム、及び酸化水酸化鉄等が挙げられ、必要に応じてシロキサン化合物や別の無機材料で被覆処理したものを用いても良い。有機紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシ)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等のアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いられる基材としては、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができ、透明、半透明或いは不透明のいずれであっても良い。また、これらに限定されるものでもない。
本発明の可逆性感熱記録材料の層構成は、基材上に可逆性感熱記録層及び単独もしくは複数の保護層をこの順に設ければ良いが、必要に応じて、基材と可逆性感熱記録層の間にアンカー層や断熱層を設けることもできる。さらに、可逆性感熱記録層が設けられている面および/または反対側の面に、電気的、磁気的、光学的に情報が記録可能な材料を含んでも良い。また、可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面にカール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。これらのアンカー層、断熱層、記録層、またはバックコート層に樹状分岐樹脂を使用することも可能である。
本発明に用いられる可逆性感熱記録材料の発色を行うには、加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、例えばサーマルヘッド、レーザー光等による加熱により可能である。また、加熱後ゆっくり冷却すれば消色し、例えば熱ロール、熱スタンプ、サーマルヘッド、高周波加熱、熱風、電熱ヒーター或いはハロゲンランプ等の光源からの輻射熱等を用いることにより行える。加熱に使用するレーザーとしては半導体レーザーやYAGレーザーを挙げることができるが、これらに限定されない。これらのレーザー光による加熱を効率よく行うためには、可逆性感熱記録層中に近赤外部に吸収を有する光熱変換材料を含有させるか、あるいは、該光熱変換材料を含有する光熱変換層を可逆性感熱記録層に直接隣接して設けることが好ましい。近赤外部に吸収を有する光熱変換材料としては、たとえば白金、チタン、シリコン、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属または半金属の層、日本化薬製のIRG002(商品名)やIRG022(商品名)等のインモニウム化合物、金属錯体化合物、シアニン色素、スクワリリウム色素、ナフトキノン色素、フタロシアニン化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましい光熱変換材料としては、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性の点でフタロシアニン化合物及び金属錯体化合物が挙げられる。光熱変換材料は単独使用はもとより、2種類以上を混合して用いることができる。その添加量は1mg/m2から200mg/m2が適当であり、5mg/m2から50mg/m2が好ましい。この量より少ないと画像消去に必要なエネルギーを十分に低減できず、印字消去の繰り返し特性が劣化する。またこの量より多いと、光熱変換材料が若干なりとも有している可視部の吸収が大きくなりすぎて画像の視認性が低下する。
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する各層を基材上に形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の塗抹装置、平板、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いることができる。さらに通常の乾燥工程の他、必要に応じて紫外線照射または電子線照射により各層を保持させることができる。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗布、印刷することができる。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
下記構造式で表される水酸基を分子末端に有するデンドリマー100部とm−キシリレンジイソシアネート180部を酢酸エチル260部に混合した懸濁溶液へオクチル酸第一錫0.3部を酢酸エチル20部に溶解した溶液を撹拌しながら滴下した。滴下終了後撹拌を1時間、次いで70℃で4時間撹拌を行った。これによりイソシアネート基を末端に有する固形分50%のイソシアネート基付加デンドリマー溶液を作製した。
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、可逆性顕色剤であるN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド100部、ポリエステルポリオール86部(武田薬品工業社製タケラックU−21、濃度70%)、メチルエチルケトン885部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで10時間分散し分散液を得た。次いで得られた分散液に上記のイソシアネート基付加デンドリマー溶液を200部とメチルエチルケトン200部を加え、よく混合し可逆性感熱記録層用塗液を作製した。このとき、架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は62.4%であった。この塗液を用いて、厚さ100μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、層形成後の厚さが8μmとなるように塗布し、120℃で3分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。
ポリエステルポリオール樹脂溶液100部(三井化学社製Q161−45、濃度45%)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール10部、及びメチルエチルケトン160部をガラスビーズと共にペイントシェーカーで3時間分散し、これにイソシアネート化合物溶液41部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX、濃度100%)をよく混合した後、得られた塗布液を上記の可逆性感熱記録層上に塗布し、120℃で2分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、膜厚2μmの第1の保護層を設けた。さらにその後、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製C7−157、濃度100%)15部、メチルエチルケトン85部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの第2の保護層を設けて、可逆感熱記録材料を作製した。
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、可逆性顕色剤であるN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド100部、ポリエステルポリオール86部(武田薬品工業社製タケラックU−21、濃度70%)、メチルエチルケトン885部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで10時間分散し分散液を得た。次いで得られた分散液に実施例1で作製したイソシアネート基付加デンドリマー溶液を132部とイソシアネート化合物41部(日本ポリウレタン工業社製コロネートL、濃度75%)とメチルエチルケトン200部とを加え、よく混合し可逆性感熱記録層用塗液を作製した。このとき、架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は42.1%であった。この塗液を用いて、厚さ100μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、層形成後の厚さが8μmとなるように塗布し、120℃で3分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その後、実施例1と同様にして保護層を形成し、本発明の可逆性感熱記録材料を作製した。
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、可逆性顕色剤であるN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド100部、ポリエステルポリオール86部(武田薬品工業社製タケラックU−21、濃度70%)、メチルエチルケトン885部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで10時間分散し分散液を得た。次いで得られた分散液に実施例1で作製したイソシアネート基付加デンドリマー溶液を120部とイソシアネート化合物48部(日本ポリウレタン工業社製コロネートL、濃度75%)とメチルエチルケトン200部とを加え、よく混合し可逆性感熱記録層用塗液を作製した。このとき、架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は38.4%であった。この塗液を用いて、厚さ100μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、層形成後の厚さが8μmとなるように塗布し、120℃で3分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その後、実施例1と同様にして保護層を形成し、本発明の可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例3と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその上に、ポリエステルポリオール樹脂溶液67部(三井化学社製Q161−45、濃度45%)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール15部、及びメチルエチルケトン120部をガラスビーズと共にペイントシェーカーで3時間分散し、これに実施例1で作製したイソシアネート基付加デンドリマー溶液53部、及びイソシアネート化合物溶液3.7部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX、濃度100%)をよく混合した後、得られた塗布液を上記の可逆性感熱記録層上に塗布し、120℃で2分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、膜厚2μmの第1の保護層を設けた。このとき架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は43.9%であった。さらにその後、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製C7−157、濃度100%)15部、メチルエチルケトン85部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの第2の保護層を設けて、本発明の可逆感熱記録材料を作製した。
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、可逆性顕色剤であるN−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド100部、及びポリエステルポリオール87部(武田薬品工業社製タケラックU−21、濃度70%)、メチルエチルケトン950部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで5時間分散し分散液を得た。次いで得られた分散液にイソシアネート化合物144部(日本ポリウレタン工業社製コロネートL、濃度75%)とメチルエチルケトン62部を加え、よく混合し可逆性感熱記録層用塗液を作製した。この塗液を用いて、厚さ100μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに、層形成後の厚さが8μmとなるように塗布し、120℃で3分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。
ポリエステルポリオール樹脂溶液67部(三井化学社製Q161−45、濃度45%)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール15部、及びメチルエチルケトン120部をガラスビーズと共にペイントシェーカーで3時間分散し、これに実施例1で作製したイソシアネート基付加デンドリマー溶液47部、及びイソシアネート化合物溶液3.7部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX、濃度100%)をよく混合した後、得られた塗布液を上記の可逆性感熱記録層上に塗布し、120℃で2分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、膜厚2μmの第1の保護層を設けた。このとき架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は41.0%であった。さらにその後、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製C7−157、濃度100%)15部、メチルエチルケトン85部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの第2の保護層を設けて、本発明の可逆感熱記録材料を作製した。
実施例5と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその上に、ポリエステルポリオール樹脂溶液67部(三井化学社製Q161−45、濃度45%)、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール15部、及びメチルエチルケトン120部をガラスビーズと共にペイントシェーカーで3時間分散し、これに実施例1で作製したイソシアネート基付加デンドリマー溶液40部、及びイソシアネート化合物溶液4.6部(日本ポリウレタン工業社製コロネートHX、濃度100%)をよく混合した後、得られた塗布液を上記の可逆性感熱記録層上に塗布し、120℃で2分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、膜厚2μmの第1の保護層を設けた。このとき架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は37.1%であった。さらにその後、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製C7−157、濃度100%)15部、メチルエチルケトン85部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの第2の保護層を設けて、本発明の可逆感熱記録材料を作製した。
実施例1で使用した水酸基を分子末端に有するデンドリマー100部とトリエチルアミン53部をアセトン200部に溶解し、アクリロイルクロライド44部を撹拌しながら滴下し、滴下終了後12時間撹拌した。その後、アセトンを留去し、反応物を200部の塩化メチレンに溶解し、これを10%塩化アンモニウム水溶液、1%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。これにより分子末端にアクリロイル基を有する液状デンドリマーを作製した。
実施例5と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその上に上記の分子末端にアクリロイル基を有するデンドリマー50部、イルガキュア184を光重合開始剤として2.5部、メチルエチルケトン80部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの保護層を設けて、本発明の可逆感熱記録材料を作製した。このとき架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は100%であった。
実施例5と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその上に実施例7で作製した分子末端にアクリロイル基を有するデンドリマー50部、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(新中村化学工業社製UA−122P、濃度100%)70部、イルガキュア184を光重合開始剤として2.5部、メチルエチルケトン180部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの保護層を設けて、本発明の可逆感熱記録材料を作製した。このとき架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は41.7%であった。
実施例5と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその上に実施例7で作製した分子末端にアクリロイル基を有するデンドリマー50部、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(新中村化学工業社製UA−122P、濃度100%)85部、イルガキュア184を光重合開始剤として2.5部、メチルエチルケトン200部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの保護層を設けて、本発明の可逆感熱記録材料を作製した。このとき架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は37.0%であった。
実施例3と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその上に、実施例9と同様にして保護層を形成し、本発明の可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例4と同様に第1の保護層まで形成した後、実施例9の保護層と同様にして第2の保護層を形成し、本発明の可逆性感熱記録材料を作製した。
実施例5と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその上に上記の水酸基を分子末端に有するデンドリマー50部、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール15部、及びメチルエチルケトン120部をガラスビーズと共にペイントシェーカーで3時間分散し、これに実施例1で作製したイソシアネート基付加デンドリマー溶液50部をよく混合した後、得られた塗布液を上記の可逆性感熱記録層上に塗布し、120℃で2分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、膜厚2μmの第1の保護層を設けた。このとき架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は100%であった。さらにその後、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製C7−157、濃度100%)15部、メチルエチルケトン85部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの第2の保護層を設けて、本発明の可逆感熱記録材料を作製した。
実施例1で使用した水酸基を分子末端に有するデンドリマー100部とジブチル錫ジラウレート0.049部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.022部をアセトン200部に溶解し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート75.4部撹拌しながら滴下し、滴下終了後40℃で4時間撹拌した。その後、アセトンを留去し、反応物を200部の塩化メチレンに溶解し、1%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。これにより分子末端にメタクリロイル基を有する液状デンドリマーを作製した。
実施例5と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその上に上記の分子末端にメタクリロイル基を有するデンドリマー50部、イルガキュア184を光重合開始剤として2.5部、メチルエチルケトン80部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚3μmの保護層を設けて、本発明の可逆感熱記録材料を作製した。このとき架橋に寄与する硬化樹脂成分に占めるデンドリマー成分の質量含有率は100%であった。
(比較例1)
実施例5と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらに実施例1と同様に第1及び第2の保護層を形成して可逆性感熱記録材料を作製した。
(比較例2)
実施例5と同様に可逆性感熱記録層を形成し、さらにその後、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業社製C7−157、濃度100%)25部、メチルエチルケトン85部の混合液を塗布し、120℃で1分間乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、膜厚5μmの保護層を設けて、比較例の可逆感熱記録材料を作製した。
試験1(発色濃度と消去性試験)
実施例1〜11および比較例1〜2で作製した可逆性感熱記録材料に、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて、印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボルトの条件で印字した。さらに、その一部を熱スタンプを用いて140℃で3カ所にそれぞれ1秒間加熱した。得られた発色部の濃度、及び消去性(消色部と地肌部との濃度差、3カ所の算術平均値)を濃度計マクベスRD918を用いて測定した。発色部の濃度に関しては、本実施例に使用した可逆性感熱記録層では1.0以上であれば良く、消去性は、0.01以下であれば問題無しと見なされる。結果を表1に示す。
試験2(実機繰り返し消去印字試験)
実施例1〜11および比較例1〜2で得た可逆性感熱記録材料を厚み760μmのカードに成形した後、三和ニューテック製プリンター(ABS−3001KMT)の印字テストモード(印字スピード69mm/s、サーマルヘッド抵抗値450Ω)で印字テストを行い、次いで消去する作業を3分間隔で500回繰り返し、終了後の印字の状態と記録媒体の表面状態を目視で観察し、下記のレベルで評価した。結果を表1に示す。
◎:画像部は良好な発色状態で、消え残りも見られない。
○:画像部は良好な発色状態であるが、やや消え残りが見られた。
×:画像部にムラが見られ、消え残りや変色が顕著に見られた。
試験3(シートカール評価)
実施例1〜11および比較例1〜2で得た可逆性感熱記録材料を250mm×350mmの大きさに切り出し、可逆性感熱記録層を上面にして水平な台の上に置いた際に、四隅それぞれの反りによる浮き上がり量を測定し、その算術平均値で評価した。結果を表1に示す。
高コントラストで高感度な記録画像の形成と消去が多数回にわたって可能な本発明の可逆性感熱記録材料を用いたICや磁気カードは情報を可視化する目的で使用される。さらに、材料の後加工時のハンドリングに優れるため生産性を向上し、良好な繰り返し耐久性により長期間使用される。