JP5927779B2 - エンコーダ、駆動システム、及び制御装置 - Google Patents
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また、例えば、上述のようなエンコーダでは、原点位置を高精度に検出するために、原点から離れた位置と、原点位置に近い原点位置近傍とにおいて処理を切り替えている。この場合、原点位置を高精度に検出するためには、原点の近傍を検出するセンサをエンコーダの外部に設ける必要があった。
このように、上述したようなエンコーダでは、基準位置を高精度に検出することが困難であるという問題があった。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態によるエンコーダ1の構成を示す概略ブロック図である。
この図において、エンコーダ1は、スケール3、ヘッド部4、及びエンコーダ処理部5を備えている。
位置情報検出部41は、位置情報パターン31を検出した位置情報信号を出力する。
原点検出部42は、原点位置パターン32を検出して、第1信号Z1と第2信号Z2とを出力する。
また、本実施形態におけるエンコーダ1は、ヘッド部4が固定され、スケール3が変位方向に移動する。なお、スケール3及びヘッド部4の構成は、図2及び図3を参照して後述する。
主信号アナログ処理部51は、ヘッド部4の位置情報検出部41から出力された位置情報信号に、例えば、アンプによる信号増幅、及びフィルタ処理などのアナログ処理を行う。また、主信号アナログ処理部51は、例えば、アナログ処理した信号をアナログ/デジタル変換を行い、アナログ/デジタル変換した信号(デジタル信号)を主信号処理部52に出力する。
主信号処理部52は、主信号アナログ処理部51から出力されたデジタル信号に基づいて、例えば、内挿処理を行い、位置情報(例えば、相対位置情報)を生成する。
原点信号アナログ処理部10は、主に、ヘッド部4の原点検出部42から出力された第1信号Z1及び第2信号Z2をアナログ処理し、原点信号処理部60は、原点信号アナログ処理部10によってアナログ処理された信号に基づいて、上述した原点近傍信号Z_EN、及び原点信号Zを生成する。
なお、原点信号生成部50の詳細な構成については、図5を参照して後述する。
図2は、本実施形態におけるヘッド部4及びスケール3の構成を示す図である。
また、図3は、本実施形態におけるスケール3の構成を示す図である。図3は、スケール3を光源43方向(光の照射方向)から見た場合の正面図を示している。
なお、本実施形態におけるエンコーダ1は、光学式の透過型の検出方式によって、位置情報を検出する実施形態である。
図2及び図3において、スケール3は、位置情報パターン31及び原点トラック35を備えている。
原点トラック35は、位置情報パターン31とスケール位置検出方向に平行に配置され、原点位置パターン32及び端部位置パターン(33、34)が形成されている。すなわち、原点位置パターン32と端部位置パターン(33、34)とは、同じトラック(原点トラック35)に形成されている。
原点位置パターン32は、スケール3の原点位置PZを検出するためのパターンであり、光源43からレンズ44を介して照射された光を透過するように形成されている。
端部位置パターン(33、34)は、スケール3の両端である両端部の位置を検出するためのパターンであり、光源43からレンズ44を介して照射された光を透過するように形成されている。
光源43は、例えば、半導体レーザであり、レンズ44を介してスケール3に光を照射する。
レンズ44は、例えば、コリメータレンズであり、光源43とスケール3との間に配置されている。レンズ44は、光源43から照射された光を受光し、平行光に変換する。この平行光は、位置情報パターン31、原点位置パターン32、及び端部位置パターン(33、34)に照射される。
原点検出部42は、原点位置パターン32及び端部位置パターン(33、34)を検出して、第1信号Z1と第2信号Z2とを出力する。すなわち、原点検出部42は、原点位置パターン32及び端部位置パターン(33、34)を透過した光を受光し、第1信号Z1と第2信号Z2とを出力する。
第1受光素子421は、原点位置パターン32及び端部位置パターン(33、34)を透過した光を検出して第1信号Z1を生成し、生成した第1信号Z1を出力する。一例として、第1受光素子421は、原点位置パターン32及び端部位置パターン(33、34)を検出していない場合に、第1信号Z1を信号レベルLV1に遷移させる(信号レベルLV1の信号を第1信号Z1として出力する)。また、第1受光素子421は、原点位置パターン32及び端部位置パターン(33、34)を検出している場合に、第1信号Z1を信号レベルLV1より電位の高い信号レベルLV2に遷移させる(信号レベルLV2の信号を第1信号Z1として出力する)。
例えば、スケール3をスケール位置検出方向に移動させると、図4(a)に示すように位置P1(位置情報検出部41が黒三角印の位置)に到達する。この位置P1において、第1受光素子421が原点位置パターン32を検出できるようになるため、原点信号生成部50は、原点近傍信号Z_ENの出力を開始する。
さらにスケール3をスケール位置検出方向に移動させると、図4(b)に示すように原点位置PZ(位置情報検出部41が黒丸印の位置)に到達する。この原点位置PZにおいて、原点信号生成部50は、原点信号Zを出力する。なお、スケール3が、図4(a)の位置(位置P1)から図4(b)の位置(原点位置PZ)に移動した長さは、間隔L1になる。
なお、原点信号生成部50が、原点信号Z及び原点近傍信号Z_ENを生成する動作については、図6及び図7を参照して後述する。
図5は、本実施形態における原点検出部42及び原点信号生成部50の構成を示す概略ブロック図である。
この図5において、原点信号生成部50は、原点信号アナログ処理部10及び原点信号処理部60を備えている。
減算回路11は、オペアンプなどにより構成され、第1受光素子421から出力された第1信号Z1を、第2受光素子422から出力された第2信号Z2によって減算した減算信号Zdefを生成する。減算回路11は、生成した減算信号Zdefを原点信号処理部60の2値化部63に出力する。これにより、減算信号Zdefは、原点位置PZに対して急峻なエッジを持ったエッジ信号となる。
2値化部61は、例えば、比較演算器であり、第1受光素子421から出力された第1信号Z1を予め定められた基準電圧V0により2値化した2値化信号Z1dを生成する。2値化部61は、生成した2値化信号Z1dをXOR回路64に出力する。なお、2値化信号Z1dは、例えば、第1受光素子421が原点位置パターン32を検出している場合に、H(ハイ:High)レベルになり、第1受光素子421が原点位置パターン32を検出していない場合に、L(ロウ:Low)レベルになる。
XOR回路64は、排他的論理和演算を行う回路である。XOR回路64は、2値化部61から出力された2値化信号Z1dと、2値化部62から出力された2値化信号Z2dとを排他的論理和演算して原点近傍信号Z_ENを生成する。XOR回路64は、2値化信号Z1d及び2値化信号Z2dに基づいて生成したこの原点近傍信号Z_ENを出力する。ここで、原点近傍信号Z_ENとは、スケール3の原点位置PZの近傍位置を示す信号であり、原点近傍信号Z_ENは、例えば、原点位置PZの近傍位置である場合に、Hレベルに遷移する。また、原点近傍信号Z_ENは、原点位置PZの近傍位置でない場合に、Lレベルに遷移する。
まず、エンコーダ1における原点信号Zの生成処理について説明する。
図6は、本実施形態における原点信号Zの生成処理の一例を説明する波形図である。
図6(a)は、第1信号Z1、第2信号Z2、及び減算信号Zdefのスケール位置に対する電圧波形を示している。この図6(a)において、横軸はスケール3の位置検出方向におけるスケール位置を示し、縦軸は電圧(信号振幅)を示している。
図6(b)は、原点信号Zのスケール位置に対する電圧波形を示している。この図6(b)において、横軸はスケール3の位置検出方向におけるスケール位置を示し、縦軸は電圧(信号レベル)を示している。
図6(a)が示すように、第1信号Z1と第2信号Z2とは、原点位置PZに対して互いに異なる信号レベルに遷移する信号である。図3及び図4に示すように、スケール3を端部位置PLから位置検出方向(例、+X方向)に移動させて原点位置PZを通過した場合に、第1信号Z1は、位置PZ1から位置PZ2までの間において信号レベルLV2から信号レベルLV1に遷移される。また、この場合、第2信号Z2は、位置PZ1から位置PZ2までの間において信号レベルLV1から信号レベルLV2に遷移される。すなわち、原点位置PZにおいて、第1信号Z1は信号レベルLV2から信号レベルLV1に遷移され、第2信号Z2は信号レベルLV1から信号レベルLV2に遷移される。
図6(b)が示すように、スケール3を位置検出方向に移動させて原点位置PZを通過した場合に、原点信号Zの信号レベルは、原点位置PZにおいてLレベルからHレベルに遷移される。また、スケール3を上述とは逆方向に移動させて原点位置PZを通過した場合には、原点信号Zの信号レベルは、原点位置PZにおいてHレベルからLレベルに遷移される。
このように、原点信号生成部50(原点信号処理部60)は、第1信号Z1及び第2信号Z2が共に、互いに異なる信号レベルに遷移する場合に原点信号Zの信号レベルを遷移させる。これにより、原点信号Zの信号レベルが遷移するエッジを検出することにより、スケール3の原点位置PZを検出することができる。
図7は、本実施形態における原点近傍信号Z_ENの生成処理の一例を説明する波形図である。
図7(a)は、原点検出部42の検出信号である第1信号Z1及び第2信号Z2のスケール位置に対する電圧波形を示している。この図7(a)において、横軸はスケール3の位置検出方向におけるスケール位置を示し、縦軸は電圧(信号振幅)を示している。
図7(b)は、2値化信号Z1d及びZ2dのスケール位置に対する電圧波形を示している。この図7(b)において、横軸はスケール3の位置検出方向におけるスケール位置を示し、縦軸は電圧(信号レベル)を示している。
図7(c)は、原点近傍信号Z_ENのスケール位置に対する電圧波形を示している。この図において、横軸はスケール3の位置検出方向におけるスケール位置を示し、縦軸は電圧(信号レベル)を示している。
ここでは、図3及び図4に示すように、スケール3を端部位置PLから位置検出方向(+X方向)に移動させて原点位置PZを通過した場合について説明する。
そして、位置P1において、XOR回路64は、2値化部61から出力された2値化信号Z1d(Hレベル)と、2値化部62から出力された2値化信号Z2d(Lレベル)とを排他的論理和演算して原点近傍信号Z_ENの信号レベルをLレベルからHレベルに遷移させる(図7(c))。
なお、この間隔L1+間隔L2の範囲は、原点位置パターン32の位置検出方向の長さ及び原点検出部42の配置を変更することによって、任意に変更することができる。
すなわち、原点信号生成部50は、原点位置PZを検出するための原点位置パターン32によって検出された第1信号Z1と第2信号Z2とに基づいて原点近傍信号Z_ENを生成するため、エンコーダ1は、自装置内で原点近傍信号Z_ENを生成することができる。つまり、本実施形態におけるエンコーダ1は、原点の近傍を検出するセンサ(例、干渉計など)をエンコーダ1の外部に設ける必要がなく、簡易な構成により、原点近傍信号Z_ENを生成することができる。
このように、本実施形態におけるエンコーダ1は、原点近傍信号Z_ENに基づいて、処理を変更することができる。よって、本実施形態におけるエンコーダ1は、原点位置を高精度に検出することができる。
これにより、原点信号生成部50は、互いに異なる信号レベルに遷移するエッジを検出することにより、簡易な方法によって正確に原点位置PZを検出することができる。また、原点信号生成部50は、第1信号Z1又は第2信号Z2に基づいて簡易な方法によって正確に原点近傍信号Z_ENを検出することができる。そのため、本実施形態におけるエンコーダ1は、原点位置PZを高精度に検出することができる。
次に、第2の実施形態におけるエンコーダ1について説明する。
図8は、本実施形態における原点検出部42及び原点信号生成部50の構成を示す概略ブロック図である。
なお、本実施形態では、原点近傍信号Z_ENを生成する構成が異なる点を除き、第1の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態において、エンコーダ1、ヘッド部4、及びスケール3の構成は、図1から図3に示される第1の実施形態における構成と同様である。
また、図8において、図5と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
加算回路12は、オペアンプなどにより構成され、第1受光素子421から出力された第1信号Z1と、第2受光素子422から出力された第2信号Z2とを加算処理(和算処理)して、和算信号(Z1+Z2)を生成する。加算回路12は、生成した和算信号(Z1+Z2)を原点信号処理部60の2値化部65に出力する。
なお、加算回路12が出力する信号レベルは、低信号レベル(2LV1)、中信号レベル(LV1+LV2)、及び高信号レベル(2LV2)の3種類である。低信号レベル(2LV1)は、第1信号Z1と第2信号Z2とが共に信号レベルLV1である場合であり、信号レベルLV1の2倍の信号レベル(2LV1)である。中信号レベル(LV1+LV2)は、第1信号Z1と第2信号Z2とのうち、一方が信号レベルLV1であり、他方が信号レベルLV2である場合である。また、高信号レベル(2LV2)は、第1信号Z1と第2信号Z2とが共に信号レベルLV2である場合であり、信号レベルLV2の2倍の信号レベル(2LV2)である。
2値化部65は、例えば、比較演算器であり、加算回路12から出力された和算信号(Z1+Z2)を予め定められた基準電圧(例えば、(LV1+LV2)/2)により2値化した2値化信号を生成する。2値化部65は、生成した2値化信号を原点近傍信号Z_ENとして出力する。
このように、原点信号生成部50は、第1信号Z1と第2信号Z2とを和算処理した信号に基づいて、原点近傍信号Z_ENを生成する。
本実施形態におけるエンコーダ1において、位置情報を生成する基本処理、及び、原点信号Zの生成処理は、第1の実施形態における処理と同様である。本実施形態では、原点近傍信号Z_ENの生成処理が第1の実施形態と異なる。
図9(a)は、原点検出部42の検出信号である第1信号Z1及び第2信号Z2のスケール位置に対する電圧波形を示している。この図において、横軸はスケール3の位置検出方向におけるスケール位置を示し、縦軸は電圧(信号振幅)を示している。なお、図9(a)における原点検出部42の動作は、図7(a)に示される第1の実施形態における原点検出部42の動作と同様である。
図9(c)は、原点近傍信号Z_ENのスケール位置に対する電圧波形を示している。この図において、横軸はスケール3の位置検出方向におけるスケール位置を示し、縦軸は電圧(信号レベル)を示している。
次に、第3の実施形態におけるエンコーダ1aについて説明する。
図10は、本実施形態によるエンコーダ1aの構成を示す概略ブロック図である。
この図において、本実施形態によるエンコーダ1aは、原点信号Z及び原点近傍信号Z_ENの他に、スケール3の位置情報を検出可能な範囲を示すオーバートラベル信号Z_OTを生成する原点信号処理部60aを備える点を除き、図1に示されるエンコーダ1と同様である。この図において、図1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
なお、本実施形態では、オーバートラベル信号Z_OTを生成する構成が異なる点を除き、図5に示される第1の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態において、エンコーダ1a、ヘッド部4、及びスケール3の構成は、図1から図3に示される第1の実施形態における構成と同様である。この図おいて、図5と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
NAND回路66は、否定論理積演算を行う回路である。NAND回路66は、2値化部61から出力された2値化信号Z1dと、2値化部62から出力された2値化信号Z2dとを否定論理積演算してオーバートラベル信号Z_OTを生成する。NAND回路66は、2値化信号Z1d及び2値化信号Z2dに基づいて生成したこのオーバートラベル信号Z_OTを出力する。ここで、オーバートラベル信号Z_OTとは、スケール3の端部位置(PL、PR)を示す信号であり、すなわち、スケール3の位置情報を検出可能な範囲を示す信号である。オーバートラベル信号Z_OTは、例えば、端部位置(PL、PR)である場合に、LレベルからHレベル、又は、HレベルからLレベルに遷移する。また、オーバートラベル信号Z_OTは、スケール3の位置情報を検出可能な範囲である場合に、Hレベルに遷移される。ここで、端部位置(PL、PR)は、オーバートラベル位置に対応する。
本実施形態におけるエンコーダ1aにおいて、位置情報を生成する基本処理、及び、原点信号Zの生成処理は、第1の実施形態における処理と同様である。本実施形態では、オーバートラベル信号Z_OTの生成処理が追加されている点が第1の実施形態と異なる。
図12(a)は、原点検出部42の検出信号である第1信号Z1及び第2信号Z2のスケール位置に対する電圧波形を示している。なお、図12(a)における原点検出部42の動作は、図7(a)に示される第1の実施形態における原点検出部42の動作と基本的に同様であるが、図12(a)では、端部位置(PL、PR)の近傍位置における第1信号Z1及び第2信号Z2の電圧波形が追加されている。
ここでは、図3に示すように、スケール3を端部位置パターン33、原点位置パターン32、端部位置パターン34の順に検出するように位置検出方向に沿って移動させた場合について説明する。
そして、位置PLにおいて、XOR回路64は、2値化部61から出力された2値化信号Z1d(Lレベル)と、2値化部62から出力された2値化信号Z2d(Hレベル)とを排他的論理和演算して原点近傍信号Z_ENの信号レベルをLレベルからHレベルに遷移させる(図12(c))。
また、位置PLにおいて、NAND回路66は、2値化信号Z1d(Lレベル)と、2値化信号Z2d(Hレベル)とを否定論理積演算してオーバートラベル信号Z_OTの信号レベルをLレベルからHレベルに遷移させる(図12(d))。
また、位置P3において、XOR回路64は、原点近傍信号Z_ENの信号レベルをHレベルからLレベルに遷移させる(図12(c))。
位置P1から位置P3における動作は、図7と同様であるため、説明を省略する。
また、位置P4において、XOR回路64は、原点近傍信号Z_ENの信号レベルをLレベルからHレベルに遷移させる(図12(c))。
また、位置PRにおいて、XOR回路64は、原点近傍信号Z_ENの信号レベルをHレベルからLレベルに遷移させる(図12(c))。
そして、位置PRにおいて、NAND回路66は、オーバートラベル信号Z_OTの信号レベルをHレベルからLレベルに遷移させる(図12(d))。
これにより、本実施形態におけるエンコーダ1aは、上記の各実施形態と同様に、原点位置PZを高精度に検出することができる。
これにより、エンコーダ1aは、自装置内でオーバートラベル信号Z_OTを生成することができる。つまり、本実施形態におけるエンコーダ1aは、オーバートラベル位置(PL、PR)を検出するセンサ(例、干渉計など)をエンコーダ1aの外部に設ける必要がなく、簡易な構成により、オーバートラベル信号Z_OTを生成することができる。よって、本実施形態におけるエンコーダ1aは、オーバートラベル位置(PL、PR)を検出することができる。
次に、第4の実施形態におけるエンコーダ1aについて説明する。
図13は、本実施形態における原点検出部42及び原点信号生成部50の構成を示す概略ブロック図である。
なお、本実施形態では、オーバートラベル信号Z_OTを生成する構成が異なる点を除き、第3の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態において、エンコーダ1a、ヘッド部4、及びスケール3の構成は、図1から図3に示される第1の実施形態における構成と同様である。また、本実施形態における原点信号アナログ処理部10は、図8に示される第2の実施形態における構成と同様である。
また、図13において、図11と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
2値化部67は、2段階の閾値電圧(第1閾値電圧V1、第2閾値電圧V2)に基づいて、加算回路12から出力された和算信号(Z1+Z2)を2値化し、原点近傍信号Z_EN及びオーバートラベル信号Z_OTの2種類の信号を生成する。すなわち、2値化部67は、原点近傍信号Z_ENを生成する場合に、和算信号(Z1+Z2)を第2閾値電圧V2に基づいて2値化した2値化信号を生成する。ここで、第2閾値電圧V2は、第1閾値電圧V1より低い閾値電圧であり、例えば、上述した基準電圧((LV1+LV2)/2)である。2値化部67は、生成した2値化信号を原点近傍信号Z_ENとして出力する。
このように、原点信号生成部50は、第1信号Z1と第2信号Z2とを和算処理した信号に基づいて、オーバートラベル信号Z_OTを生成する。
本実施形態におけるエンコーダ1aにおいて、位置情報を生成する基本処理、原点信号Zの生成処理、及び、原点近傍信号Z_ENの生成処理は、第2の実施形態における処理と同様である。本実施形態では、オーバートラベル信号Z_OTを生成する処理が追加されている第2の実施形態と異なる。
図14(a)は、原点検出部42の検出信号である第1信号Z1及び第2信号Z2のスケール位置に対する電圧波形を示している。また、図14(b)は、和算信号(Z1+Z2)のスケール位置に対する電圧波形を示している。また、図14(c)は、原点近傍信号Z_ENのスケール位置に対する電圧波形を示している。また、図14(d)は、オーバートラベル信号Z_OTのスケール位置に対する電圧波形を示している。
位置P4及び位置PRにおいても、位置PL及び位置P3においてと同様の処理がされる。その結果、2値化部67は、位置PLから位置PRまでの範囲で、オーバートラベル信号Z_OTの信号レベルをHレベルに遷移させる。
以下、ヘッド部4及びスケール3の変形例について説明する。
図15及び図16は、ヘッド部4及びスケール3の第1の変形例の構成を示す図である。図15及び図16において、図2及び図3と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
また、第2の原点トラック352には、原点位置パターン322及び端部位置パターン(332、342)が形成されている。すなわち、原点位置パターン322と端部位置パターン(332、342)とは、同じトラック(原点トラック352)に形成されている。
端部位置パターン33は、スケール3の一方の端部位置(PL)を検出するためのパターンであり、端部位置パターン331及び端部位置パターン332を有している。
端部位置パターン34は、スケール3の他方の端部位置(PR)を検出するためのパターンであり、端部位置パターン331及び端部位置パターン332を有している。
第1受光素子422は、第2の原点位置パターン322及び端部位置パターン(332、342)を透過した光を検出して第2信号Z2を生成し、生成した第2信号Z2を出力する。
また、第1の変形例では、端部位置パターン331及び端部位置パターン332の位置検出方向におけるパターンの位置を一致させて形成することにより、図12(a)の波形における位置PLと位置P3を一致させることができる。また、端部位置パターン341及び端部位置パターン342の位置検出方向におけるパターンの位置を一致させて形成することにより、図12(a)の波形における位置P4と位置PRを一致させることができる。
これにより、図12(c)の位置PLから位置P3までの範囲、及び、位置P4から位置PRまでの範囲において、原点近傍信号Z_ENの信号レベルがHレベルに遷移されることを防止することができる。
図17は、ヘッド部4及びスケール3の第2の変形例の構成を示す図である。
第2の変形例は、第1の変形例における第1受光素子421と第2受光素子422との配置を変更した変形例である。
図17に示すように、第2の変形例では、第1受光素子421は第1の原点位置パターン321の位置PL側の境界を検出する位置に配置され、第2受光素子422は第2の原点位置パターン322の位置PR側の境界を検出する位置に配置されている。第1受光素子421及び第2受光素子422は、原点位置PZを中心に対称に配置されている。
また、端部位置パターン331及び端部位置パターン332の位置検出方向におけるパターンの位置をずらして形成することにより、図12(a)の波形における位置PLと位置P3を一致させることができる。また、端部位置パターン341及び端部位置パターン342の位置検出方向におけるパターンの位置をずらして形成することにより、図12(a)の波形における位置P4と位置PRを一致させることができる。
これにより、図12(c)の位置PLから位置P3までの範囲、及び、位置P4から位置PRまでの範囲において、原点近傍信号Z_ENの信号レベルがHレベルに遷移されることを防止することができる。
図18は、ヘッド部4及びスケール3の第3の変形例の構成を示す図である。
第3の変形例は、上記の各実施形態における透過型の検出方式を反射型の検出方式に変更した変形例である。
図18において、ヘッド部4は、位置情報検出部41、原点検出部42(421、422)、光源43、レンズ44、インデックス格子45、及び原点用スリット46を備えている。
インデックス格子45は、レンズ44と位置情報パターン31との間に配置されている。インデックス格子45は、例えば、所定のピッチで格子状のパターンが形成された回折格子であって、位置検出方向に沿って周期的に形成された回折パターンを有する透過型の回折格子である。インデックス格子45は、レンズ44を透過した平行光を受光し、回折光を位置情報パターン31に出射する。
位置情報検出部41及び原点検出部42(421、422)は、スケール3の反射光を受光するため、スケール3のパターン面に対向して配置されている。位置情報検出部41は、上述した回折光の反射光を受光して、位置情報信号を出力する。
図19は、ヘッド部4及びスケール3の第4の変形例の構成を示す図である。
第4の変形例は、波長変調による検出方式を適用した変形例である。なお、第4の変形例において、原点位置パターン32及び端部位置パターン(33、34)の検出方式は、上記の各実施形態と同様である。
図15において、ヘッド部4は、光源部40、インデックス格子45、一対のミラー48a、48b、位置情報検出部41、及びガラスブロック47を有する。
変調部49は、例えば、光源43に供給される電流を変化させることによって、光源43から出射される光の波長を周期的に変化させる。変調部49は、例えば、光源43から出射される光の波長λ=850nmを、Δλ=±5nm分だけ変化させることができる。つまり、変調部49は、光源43から出射される光の波長をλ=845〜855nmの範囲で変化させることができる。
光源43は、例えばレーザ光を出射するレーザ素子であって、変調部49により変調されたコヒーレントな光を−Y軸方向に向けて出射する。
レンズ44は、光源43から出射された光を受光し、平行光に変換する。
インデックス格子45によって回折された回折光のうち、レンズ44からインデックス格子45にそのまま入射し、インデックス格子45から出射した光を第1の光LL1とし、ガラスブロック47を透過後、インデックス格子45から出射した光を第2の光LL2とする。ここで、第1の光LL1は、インデックス格子45から所定の回折角で−X軸方向側に回折された−1次回折光であって、第2の光LL2は、インデックス格子45から所定の回折角で+X軸方向側に回折された+1次回折光である。
位置情報パターン31は、例えば、透過型の回折格子であって、第1の光LL1および第2の光LL2に基づく干渉光を回折し、同一方向(−Y軸方向)、すなわち位置情報検出部41に向けて出射する。
本実施の形態において、ガラスブロック47は、第2の光LL2の光路上に配置される。
これにより、ガラスブロック47を透過する第2の光LL2の光路長は、この屈折率N1および厚さDの大きさに応じて、空気中を透過する第1の光LL1の光路長に比べて長くなる。つまり、第2の光LL2の光源43から位置情報パターン31における第2の光路の光路長は、第1の光LL1の光源43から位置情報パターン31における第1の光路の光路長に比べて長くなる。ここで、光路長とは、空間的な距離(行路)に屈折率をかけた光学的距離である。
変調部49により光の波長が変調された変調光は、光源43から−Y軸方向に出射される。光源43から出射された変調光は、レンズ44を透過して平行光に変換される。レンズ44により変換された平行光は、一部がそのままインデックス格子45に入射し、インデックス格子45によって第1の光LL1に回折される。
この第1の光LL1は、インデックス格子45から−X軸方向側に偏向して出射する。
一方、レンズ44から出射した平行光の他の一部は、ガラスブロック47を透過し、インデックス格子45に入射する。ガラスブロック47を介してインデックス格子45を透過した光は、インデックス格子45により第2の光LL2に回折される。この第2の光LL2は、インデックス格子45から+X軸方向側に偏向して出射する。なお、第1の光LLおよび第2の光LL2は、インデックス格子45の異なる位置から出射している。
位置情報パターン31に入射した第1の光LL1および第2の光LL2は、位置情報パターン31の回折パターン上において一部が重なり合っており、位置情報パターン31上には周期的に変化する干渉縞が形成される。
位置情報パターン31が移動した場合、位置情報パターン31に入射した第1の光LL1および第2の光LL2の干渉状態が変化し、位置情報検出部41に入射する光の光量が正弦波状に変化する。
図20は、ヘッド部4及びスケール3の第5の変形例の構成を示す図である。
第5の変形例は、第4の変形例の波長変調による検出方式を反射型に適用した変形例である。なお、第5の変形例において、位置情報検出部41が、第1の位置情報検出部411と第2の位置情報検出部412との2つ検出部を有している点を除き、第4の変形例と同様である。したがって、第5の変形例を適用したエンコーダ1(1a)は、第4の変形例と同様に、高精度に位置情報を検出することができる。
次に、第5の実施形態における駆動システムについて説明する。
図21は、本実施形態における駆動システム100の構成を示す概略ブロック図である。この図において、図1及び図10と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態は、上記の各実施形態におけるエンコーダ1(1a)を使用して、駆動対象を駆動する駆動システム100である。なお、本実施形態では、駆動対象の一例としてステージ6を駆動する駆動システム100について説明する。
エンコーダ1(1a)は、スケール3、ヘッド部4、及びエンコーダ処理部5を備えている。
駆動部7は、ステージ6をスケール3における位置検出方向に相対的に駆動する。
制御装置2は、制御信号線C1を介してエンコーダ1(1a)のエンコーダ処理部5と接続されている。この制御信号線C1を介して、エンコーダ1(1a)は、上述した位置情報、原点信号Z、原点近傍信号Z_EN、及びオーバートラベル信号Z_OTを制御装置2に供給する。
また、制御装置2は、制御信号線C2を介して駆動部7と接続されている。制御装置2は、この制御信号線C2を介して駆動部7を制御する。
制御部21は、原点近傍信号Z_ENに基づいて、ステージ6の位置が原点位置PZの近傍であるか否かを判定し、原点位置PZの近傍であると判定した場合に、原点信号Zに基づいて原点位置PZを検出する。
これにより、エンコーダ1(1a)が生成した原点近傍信号Z_ENにより、原点近傍位置を検出できるため、本実施形態における駆動システム100は、外乱などのノイズによる原点位置PZの誤検出を低減することができる。また、原点近傍位置を検出するセンサをエンコーダ1(1a)の外部(例、干渉計など)に設ける必要がなく、本実施形態における駆動システム100は、簡易な構成により、高精度に原点位置PZを検出することができる。
これにより、本実施形態における駆動システム100は、高精度に原点位置PZを検出することができる。
これにより、本実施形態における駆動システム100は、エンコーダ1aが生成したオーバートラベル信号Z_OTに基づいてオーバートラベル位置(PL、PR)を検出することができる。そのため、オーバートラベル位置(PL、PR)を検出するセンサをエンコーダ1aの外部に設ける必要がなく、本実施形態における駆動システム100は、簡易な構成により、ステージ6を安全に駆動することができる。
上記の各実施形態において、エンコーダ処理部5(制御部)は、生成したオーバートラベル信号Z_OTを外部の制御装置2に出力する形態を説明したが、オーバートラベル信号Z_OTに基づいてオーバートラベル情報を生成し、生成したオーバートラベル情報を外部の制御装置2に出力する形態でもよい。また、エンコーダ処理部5は、位置情報信号に基づいて算出された位置情報と、このオーバートラベル情報と、を外部の制御装置2に出力する形態でもよい。
また、上記の各実施形態において、原点信号Zと原点近傍信号Z_ENとは、常に出力される形態を説明したが、エンコーダ処理部5が原点近傍信号Z_ENに基づいて原点信号Zの出力を停止させる制御を行う形態でもよい。なお、上記の各実施形態において、生成した原点近傍信号Z_ENは、原点近傍位置P1、P2でHレベルからLレベルに遷移する形態でもよい。また、上記の各実施形態において、生成したオーバートラベル信号Z_OTは、オーバートラベル位置(PL、PR)でHレベルからLレベルに遷移する形態でもよい。
また、上記の各実施形態において、ヘッド部4が固定され、スケール3が変位方向に移動する形態を説明したが、スケール3が固定され、ヘッド部4が変位方向に移動する形態でもよい。
また、上記の第5の実施例において、ステージ6を駆動する駆動システム100にエンコーダ1(1a)を適用する形態を説明したが、この形態に限定されるものではない。例えば、工作機械、精密機械、半導体のチップマウンタ、ステッパ装置などの駆動システムに適用してもよい。
Claims (15)
- スケールとヘッド部とを備え、
前記スケールは、位置情報を検出するための位置情報パターンと基準位置を示す基準位置パターンとを有し、第1のトラックと第2のトラックとが、前記位置情報パターンを間に配置するように、スケール位置検出方向に平行に配置されており、
前記基準位置パターンには、前記第1のトラックに形成されている第1の基準位置パターンと、前記第2のトラックに形成されている第2の基準位置パターンとが含まれ、
前記第1の基準位置パターンと、前記第2の基準位置パターンとは、前記基準位置を中心に対称に形成されており、
前記ヘッド部は、
光源から出射される光を周期的に変化させて変調する変調部と、
前記変調された光を前記位置情報パターンに入射する光学素子と、
前記位置情報パターンを検出した位置情報信号を出力する位置情報検出部と、
前記基準位置パターンを検出して、第1信号と第2信号とを出力する基準位置検出部と、
前記第1信号と前記第2信号とに基づいて、前記基準位置の近傍位置を示す基準位置近傍信号、及び、前記基準位置を示す基準信号を生成する信号生成部と、
を備えるエンコーダ。 - 前記変調部は、前記光源から出射される光の波長を周期的に変化させる請求項1に記載のエンコーダ。
- 前記光学素子は、前記基準位置パターンに前記変調された光を入射する請求項1又は請求項2に記載のエンコーダ。
- 前記第1信号と前記第2信号とは、前記基準位置に対して互いに異なる信号レベルに遷移する信号である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエンコーダ。 - 前記信号生成部は、
前記第1信号及び前記第2信号が共に、互いに異なる信号レベルに遷移する場合に前記基準信号の信号レベルを遷移させ、前記第1信号又は前記第2信号が前記基準位置パターンを検出している信号レベルである場合に、前記基準位置の近傍位置であることを示す信号レベルに前記基準位置近傍信号を遷移させる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエンコーダ。 - 前記第1信号と前記第2信号とは、前記基準位置に対して対称な信号である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエンコーダ。 - 前記信号生成部は、
前記第1信号と前記第2信号との排他的論理和に基づいて、前記基準位置近傍信号を生成する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエンコーダ。 - 前記信号生成部は、
前記第1信号と前記第2信号とを和算処理した信号に基づいて、前記基準位置近傍信号を生成する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のエンコーダ。 - 前記基準位置検出部は、第一受光部と、第二受光部とを備え、
前記第一受光部は、前記第1の基準位置パターンを検出し、
前記第二受光部は、前記第2の基準位置パターンを検出する、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のエンコーダ。 - 前記スケールは、前記スケールにおける端部の位置を示す端部位置パターンを有し、
前記基準位置検出部は、前記端部位置パターンを検出して、当該検出結果に応じた信号レベルに前記第1信号及び前記第2信号を遷移させ、
前記信号生成部は、前記第1信号と前記第2信号とを和算処理した信号を第1閾値電圧により2値化して、前記基準位置検出部が前記スケールの位置情報を検出可能な範囲を示すオーバートラベル信号を生成するとともに、前記和算処理した信号を前記第1閾値電圧より低い閾値電圧である第2閾値電圧により2値化して前記基準位置近傍信号を生成する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエンコーダ。 - 前記位置情報信号に基づいて算出された位置情報と、前記オーバートラベル信号に基づいてオーバートラベル情報と、を外部の制御装置に出力する制御部を備える、
請求項10に記載のエンコーダ。 - 前記位置情報信号に基づいて算出された位置情報と、前記基準位置近傍信号に基づいて算出された近傍位置情報と、を外部の制御装置に出力する制御部を備える、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のエンコーダ。 - 請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のエンコーダと、
駆動対象を前記スケールにおける位置検出方向に相対的に駆動する駆動部と、
前記エンコーダによって検出された前記駆動対象の位置情報に基づいて前記駆動部を制御する制御部を有する制御装置と、
を備える駆動システム。 - 前記制御部は、
前記基準位置の近傍位置であると判定した場合に、前記駆動部に前記駆動対象を駆動する速度を低減させる、
請求項13に記載の駆動システム。 - 請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のエンコーダによって検出された駆動対象の位置情報に基づいて、前記駆動対象を前記スケールにおける位置検出方向に相対的に駆動させる駆動部を制御する制御部を備える制御装置。
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