JP2014202720A - 光学式エンコーダ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で高精度な光学式エンコーダを提供する。
【解決手段】光学式エンコーダは、光源と、前記光源に対向配置されたスケールと、前記スケールを介した前記光源からの光束を受光する受光素子と、前記受光素子の出力信号を処理する信号処理回路とを有し、前記光源の発光窓は、複数の点光源の集合体として構成され、以下の式を満たす形状を有する。
【数1】

ただし、Sは積分範囲である発光窓内全域、Po(x1、y1)は発光窓のXY座標(x1、y1)における近視野での発光強度分布を表す関数、pはスケールの格子ピッチ、Nは高調波成分の特定の次数(N:1、2、3、…)、x2は受光素子面上の変位検出方向軸である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学式エンコーダに関する。
従来から、物体の変位情報を得るための変位測定装置として、三重格子測定系(光学式エンコーダ)が用いられている。光学式エンコーダは、その光源として半導体レーザー(LD)、面発光レーザー(VCSEL)、LED等の光半導体素子を採用することにより小型化が可能となる。
しかしながら、半導体レーザーや面発光レーザーは、その特性が温度変化により大きく変化し、また、静電破壊しやすいことや高価格である等の問題がある。さらに、これらの光源からの光束は可干渉性が高いため、出力信号波形には多くの高調波歪み成分が含まれる。
一方、LEDは、高調波の歪みは少ないが、発光サイズが大きいため空間的な可干渉性が低くて基本波の信号振幅が得られにくい。近年では、発光窓が小さく、高出力な光源として電流狭窄型LEDが普及し、空間的可干渉性が向上し、高分解能な検出が可能となっている(非特許文献1)。
従来から、光学式エンコーダにおいて、高調波の波形歪を除去するための種々の方法が提案されている。しかし、異なる次数の高調波成分除去を1つの手段で同時に除去するような方法では、波形歪成分の効果的な除去は困難であり残存成分が生じる。このため、各次数の高調波成分に対して、次数毎に異なる除去手段を適用する方法がある。
特許文献1には、第2スケールと第3スケールの光透過部と不透過部の幅をそれぞれN次、N+1次の高調波が除去可能な比率にそれぞれ設定し、除去対象の次数の歪成分を第1スケールと第3のスケールで分担して除去する方法が開示されている。特許文献1の方法では、第2スケールと第3スケールでそれぞれ異なる次数の高調波を除去することができる。このため、各次数の高調波成分に対して最適な除去条件を割り当てることが可能であり、高精度な内挿分割信号が得られる。
特許第3045452号明細書
曽根,加藤,坂,廣谷:電気製鋼,67(1996),247
しかし、特許文献1に示されているように第2スケールに相当する部分を光源と一体的に構成して小型化を図ろうとすると、非特許文献で示されるように、光源の発光窓内の発光強度分布が不均一であるため、歪み成分を効果的に除去することができず、位置検出の高精度化が困難となる。また、第3スケールを受光素子と一体的に構成した場合、複数の位相差信号(例えば、A+、B+、A―、B―の4相信号。)を得るため、多数の受光窓を密接して配置する必要がある。このとき、複数の信号源におけるクロストークによる波形の歪みやオフセット誤差が、エンコーダの位置検出精度を劣化させる。
そこで本発明は、上記の課題を解決した小型で高精度な光学式エンコーダを提供する。
本発明の一側面としての光学式エンコーダは、光源と、前記光源に対向配置されたスケールと、前記スケールを介した前記光源からの光束を受光する受光素子と、前記受光素子の出力信号を処理する信号処理回路とを有し、前記光源の発光窓は、複数の点光源の集合体として構成され、以下の式を満たす形状を有する。
ただし、Sは積分範囲である発光窓内全域、Po(x1、y1)は発光窓のXY座標(x1、y1)における近視野での発光強度分布を表す関数、pはスケールの格子ピッチ、Nは高調波成分の特定の次数(N:1、2、3、…)、x2は受光素子面上の変位検出方向軸である。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
本発明によれば、小型で高精度な光学式エンコーダを提供することができる。
実施例2における光学式エンコーダの構成図及び特性図である。 実施例2におけるフォトIC素子の構成図である。 実施例2における反射スケールを示す図である。 本実施形態における三重格子測定系の構成図である。 本実施形態における三重格子測定系の等価光学系を示す図である。 本実施形態における受光素子面上での光強度分布図である。 本実施形態における光源の断面図である。 実施例2における光源の構造図及び特性図である。 本実施形態における電流狭窄型LEDの発光強度分布の説明図である。 実施例2における実際の電流狭窄型LEDの発光強度分布を示す図である。 実施例2における受光素子の受光窓の形状を示す図である。 実施例3の光学式エンコーダにおいて、複数の発光窓を備えた光源を示す図である。 実施例3の光源を用いた場合における光学式エンコーダの等価光学系を示す図である。 内挿誤差と波形歪率(高調波振幅/基本波振幅)の関係を机上計算で求めた結果である。 実施例4の光学式エンコーダにおいて、複数の発光窓を備えた光源を示す図である。 実施例4の光源を用いた場合における光学式エンコーダの等価光学系を示す図である。 実施例4の別の光源を用いた場合における光学式エンコーダの等価光学系を示す図である。 実施例4の光学式エンコーダにおいて、複数組の発光窓対を備えた光源を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本実施形態における三重格子測定系(光学式エンコーダ)の検出原理について説明する。本実施形態の三重格子測定系は、第1〜第3スケールの3つの(スケール)格子を備える。本実施形態では、特に、光源及び受光素子がそれぞれ第2スケール及び第3スケールと一体的に構成されていることが好ましい。三重格子測定系では、一般的に、次の式(1)〜(3)に基づいて各格子の最適なピッチ及びその相対位置関係が与えられる。
PG1/PG2=V/(U+V) …(1)
PG1/PG3=U/(U+V) …(2)
1/U+1/V=λ/(n・(PG1)2) …(3)
ここで、PG1、PG2、PG3は、それぞれ、第1スケールG1、第2スケールG2、第3スケールG3の格子ピッチである。U、Vは、それぞれ、第1スケールG1と第2スケールG2の間の距離、第1スケールG1と第2スケールG3との間の距離である。λは光源の発光中心波長であり、nは任意の自然数(n:1、2、3、…)である。
また、三重格子測定系の変位検出方式として透過型及び反射型が知られているが、透過型よりも反射型に利点が多く、実用例も多い。反射型の構成では、特にU=Vの関係が成立するため、上記の式(3)は次の式(4)のように変形される。
V=U=2・n・(PG1)2/λ …(4)
式(4)は、三重格子測定系の反射型構成における実質的な最適格子ピッチと各格子(第1〜第3スケール)の最適配置を与える一般的な式である。
次に、図4を参照して、本実施形態の三重格子測定系の構成について説明する。図4(A)は、反射型の三重格子測定系の要部斜視図である。反射スケール20は、上述の第1スケールG1に相当し、光源10に対向配置されている。光源10の発光窓11は、第2スケールG2に相当する。さらに、フォトIC素子30の受光素子部31(受光窓)は、第3スケールG3に相当する。
図4(B)は、軸Y0、軸Y1を含む三重格子測定系の要部断面図であり、Gは座標軸Y0―Y1間の距離(ギャップ)である。本実施形態の三重格子測定系では、ギャップGの変動に対してV=U(≒G)の関係が常に維持される。このため、上述の式(1)、(2)より、ギャップGが変動した場合でも、各スケールの格子ピッチとして、2×PG1=PG2=PG3の最適な条件が常時満たされる。特に、式(4)において、nが自然数(n=1、2、3、…)の場合、基本周期Piのコントラストの高い干渉縞が受光素子(第3スケール)面上に形成される。このとき、干渉縞の基本周期Piは、第3スケールの格子ピッチPG3と一致し、第1スケールの2倍の周期構造の干渉縞となる。
図5(A)は、図4(A)における三重格子測定系の等価光学系を示す図である。ここで、変位測定方向をX軸方向とし、第1スケール、第2スケール、第3スケールにそれぞれX0軸、X1軸、X2軸が対応している。図4(A)に対応させると、反射スケール20の移動方向軸をX0軸、受光素子部31の面をX2軸、光源10の発光窓11をX1軸上にそれぞれ配置している。軸X0−軸X1間、及び、軸X0−軸X2間の距離U、Vは、それぞれ、図4(B)で示される光源10の発光窓11から反射スケール20までの光路長、及び、反射スケール20から受光素子部31までの光路長を表す。距離U、Vは、U=Vの関係が成立し、ギャップGと略同一の長さである。また同図において、光の進行方向を共通のZ軸としている。
次に、図5(A)を参照して、三重格子測定系の受光素子部31上に形成される光の強度分布特性とその特性分布に含まれる空間周波数成分について説明する。図5(A)の等価光学系では、光源10の発光窓11を多数の単色光の無限小点光源の集合体と考え、その中のm番目の1点である点光源Lm0に着目する。軸X1上に位置する点光源Lm0を中心とする発散球面波によって、軸X0上に配置された反射スケール20の回折格子面(矩形振幅型回折格子)を照射すると、回折現象により多数の回折波が発生する。これらの複数の回折波が重なる空間領域には、フーリエイメージ(周期的な強度分布をもった干渉縞)が形成される。
点光源Lm0から反射スケール20の格子面上の軸X0の原点(x0、z0)=(0、0)に届いた光は、回折角θ1(図5(A)中の角度θ1)で回折して受光素子部31に達する。ここで、回折した光線を光の進行方向とは反対方向に延長し、軸X0上の原点(0、0)を中心とする半径U(=V)の円との交点をLm+1とする。このとき、回折格子で分波した角度θ1方向の回折光は、点Lm+1の位置に点光源を仮想配置した場合の光波と同様の発散球面波を形成して進行する。
そこで、軸X2上に配置された受光面上のフーリエイメージの強度分布を得るため、仮想点光源を軸X0上の原点(0、0)を中心とする半径Uの円周上にLm+1、Lm−1、Lm+2、Lm−2、Lm+3、Lm−3…のように配置する(図5(B)参照)。これらの仮想点光源の発光強度は、各回折次数の回折効率から算出される回折光強度と等価であるとして与えられる。
また、反射スケール20の格子面で発生する回折光として、4次回折光以上の光波の強度は極めて小さい。このため、0次、±1次〜3次の7波の回折光の球面波のみを考え、それぞれの球面波を、u0、u1p、u1m、u2p、u2m、u3p、u3m(p:プラス、m:マイナス)と表す。また、それぞれの球面波の複素共役をuu0、uu1p、uu1m、uu2p、uu2m、uu3p、uu3mとする。このとき、合成波振幅f1及びその複素共役f2は、それぞれ以下の式(5)、(6)のように表される。
・・・ (5)
・・・ (6)
第1スケール上の回折格子からの干渉像は、合成波振幅f1及びその複素共役f2の積で求められる。このため、m番目の点光源Lm0を理想点光源(PS:Point Source)とし、その発光強度をPom(x1、z1)とすれば、軸x2の受光素子面上のX軸方向の光の強度分布I_ps(x2、z2、p、d、λ)は、以下の式(7)で表される。
・・・ (7)
ただし、dは第1スケールの格子の開口幅(図中ds)、pは第1スケールの格子ピッチ(図中Ps)、λは光源の発光中心波長である。また、x1は光源面x座標(X1、図5(B))、x2は観測面x座標(X2、図5(B))、z2は観測面z座標(Z2、図5(B))である。式(7)は、理想点光源を中心とする発散球面波で、軸x0上に配置された反射スケール20に相当する回折格子面(矩形振幅型回折格子)を照射した場合における軸X2の受光素子面上の光の強度分布導出結果である。
次に、図6を参照して、光強度分布とその分布に含まれる高次高調波成分について説明する。図6は、光強度I(X2、Z2)を、式(7)を用いて計算した結果である。ここでは、軸X1の原点(X1=0)に配置した点光源Lm0からの発散光束で第1スケールを照射し、第1スケールのピッチP(=Ps=64μm)、光源の中心波長λ(=0.65μm)、回折格子の開口幅d(=ds=32μm)の条件で計算されている。図6では、Z2(=ギャップ=−Z1)の値として式(4)のnの値を用い、0.1n〜1.0nの範囲における受光面でのX2軸方向の光強度分布が示される。図6に示されるように、回折格子から多数の高次の回折光成分が重畳しているため、種々の高調波成分が含まれる。その結果、光の空間強度分布は、ギャップzに依存して変化する。
この計算結果から、受光素子面上に形成される干渉縞の強度分布は、反射スケール20の格子ピッチPs(=64μm)の2倍周期に相当する干渉縞(=128μm)が基本周期Piとして形成されることが示される。また、反射スケール20が格子1ピッチ分変化すると、受光素子面上の干渉縞は、格子ピッチの2倍周期分(=128μm)移動する。
光源10として可干渉性を有する半導体レーザー(LD)や面発光レーザー(VCSEL)を用いると、そのビームウエスト位置に単一の点光源を置いた光源として扱うことができる。その点光源を前述の点Lm0に置き換えると、上述の式(7)がそのまま適用可能である。このため、軸X2の受光素子面上の光の強度分布I_laser(x2、z2、p、d、λ)は、点光源Lm0の発光強度をPom(x1、z1)として、以下の式(8)のように表される。
・・・(8)
図7(B)は、本実施形態における光源としての面発光レーザー(VCSEL)の断面図である。BWは実質的なビームウエストであり、Actは活性層の位置を表す。図7(B)では、レーザー発振時の放射光の波面を表しており、発光窓WL−VCSEL全面で位相の揃った波面が形成され、射出される。このとき、ビームウエストBWの位置は、面発光レーザーの活性層Actから距離Dep分だけ深いところに存在する。このため、図5(A)における等価光学系での点光源Lm0がビームウエストBWの位置に配置されていると考えることができる。なお、面発光レーザー(VCSEL)を用いた場合、距離Uは、活性層ActではなくビームウエストBWを基準として測定される。
一方、光源10として電流狭窄型LEDを用いると、有限の大きさを持つ発光窓11は無数の点光源の集合体で構成され、点光源間での相互の可干渉性はないものとして扱うことができる。このため、面発光レーザーの場合とは異なり、発光窓11の大きさや形状、その発光強度分布は、受光素子面上の干渉縞のコントラストや高調波成分の発生に大きな影響を与える。
電流狭窄構造LEDを光源とした場合、受光素子面上の光強度分布は、干渉縞の受光素子面上での強度を発光窓11の全体で積分することにより表される。具体的には、光源は、図7(A)に示されるように電流狭窄型LEDの活性層Actの発光窓WL−LEDに単色光点光源が分布し、発光窓WL−LEDから初期位相の異なる光波が独立に放出される点光源群として扱われる。このため、式(7)を用いて、発光窓11に含まれる各々の点光源によって形成される受光素子面上の各々の光強度分布の強度の和をとればよい。
光源10を電流狭窄型LEDとした場合、発光源の発光強度分布と受光素子面上の光の強度分布との関係は、発光窓11内に点在する点光源Lm0の発光強度をPom(x1,y1)とすると、以下の式(9)のように表される。
・・・ (9)
図9は、本実施形態における電流狭窄型LEDの発光強度分布の説明図である。図9A、9Bは、電流狭窄型LEDの発光窓11の形状が矩形形状、円形形状の場合をそれぞれ示している。図9(2)Aおよび図9(2)Bは、図9(1)Aおよび図(1)B中におけるS−S断面での近視野発光強度分布を示し、同図9(3)Aおよび図9(3)Bは、発光窓11の発光強度分布を示す斜視図である。図9(2)Aおよび図9(2)Bに示されるように、それぞれの発光窓11内の発光強度Pomは一様な分布Po1であり、以下の式(10)で表される。
・・・ (10)
図9(4)Aおよび図9(4)Bは、縦軸を発光強度Pom(X1,Z1)、横軸を軸X1とした場合において、1次元配列に変換した発光強度分布である。
図9Aの発光窓11が矩形形状の場合、発光強度Pom(X1,Z1)は、以下の式(11)で表されるように、一様な矩形の強度分布(定数)となる。ここで、矩形形状のX軸方向の幅WL=a+bである。
・・・ (11)
一方、図9Bの発光窓11が円形形状の場合、発光強度Pom(X1,Z1)は、以下の式(12)で表されるように、釣鐘型の強度分布となる。
・・・ (12)
したがって、図9A、Bに示される光源を用いた場合の受光素子面上の光強度分布は、式(9)に式(11)、(12)をそれぞれ適用し、以下の式(13)、(14)のように表される。
・・・ (13)
・・・ (14)
[実施例1]
次に、本発明の実施例1について説明する。本実施例では、受光素子面上の光の強度分布の特定次数の高調波成分に着目し、その成分を除去する方法について説明する。まず本実施例では、矩形形状の発光窓11で且つ発光領域内で一様な発光強度分布を示す図9Aの光源10を用いた場合について説明する。
上記の式(13)で表される受光素子面上の光強度分布において、3次成分を除去するため、式(13)中の3次成分のみを抽出してその振幅成分が0になるような発光窓11の形状を決定すればよい。上記の式(7)の展開式において、(0次、+3次)、(0次、−3次)、(+1次、−2次)、(−1次、+2次)の組合せ項が3次高調波成分に関与する。3次成分のみの光強度分布I3(x1、x2、z2、p、d、λ)は、次の式(15)のように表される。
・・・ (15)
ここで、Piは受光素子面上に形成される干渉縞の基本周期であり、Psは第1スケールに相当する格子ピッチである。また、Kは3次成分の振幅成分を表す。
本実施例では、U=VであるからPi=2×Psとなり、上記の式(15)のようにPs=Pの関係が成立する。一般的には、干渉縞のピッチPiを基準として高調波の除去条件が決定される。式(15)を式(13)に代入し、3次成分のみの光強度分布I3(x1、x2、z2、p、d、λ)の受光素子面上の位置x2の値に依存しないで0となる発光窓11の形状が、3次高調波成分の除去条件となる。この条件は以下の式(16)で表される。
・・・ (16)
上記の式(16)より、矩形形状の発光窓11で且つ発光領域内で一様な発光強度分布を示す図9(A)の光源10では、X軸方向の幅WLが2P/3となるとき、3次成分除去の条件が成立する。
また、一様な発光強度分布の矩形形状発光窓の場合のN次の高調波成分の除去一般条件式は、以下の式(17)のように表される。
・・・ (17)
式(17)より、矩形形状のX軸方向の幅WLが2P/Nのとき、N次成分除去の条件が成立する。
次に、円形形状の発光窓11で且つ発光領域内で一様な発光強度分布を示す図9(B)の光源10の場合について説明する。この場合も、3次成分のみの光強度分布I3(x1、x2、z2、p、d、λ)の値がx2の値に依存しないで定数(=0)となる発光窓11の形状が、3次高調波成分の除去条件となる。この条件は以下の式(18)で表される。
・・・(18)
式(18)より、円形形状の発光窓11を有し、発光窓内で一様な発光強度分布を示す光源10では、発光窓11の直径WLが0.813×pμm(第1スケール格子ピッチPs=p)であることが、3次成分除去のための発光窓11の形状の条件となる。このとき、以下の式(19)が成立する。
・・・(19)
式(19)より、円形形状の発光窓11の直径WLが2P/Nであるとき、N次成分除去の条件が満たされる。
上記の式(17)、(19)を満たす解はそれぞれ複数存在し、その結果は以下の表1に示される。表1は、発光窓11の形状と高調波成分除去次数との関係を示す。なお、発光窓11内の発光強度分布は一様であるとしている。
本実施例で示した考え方に基き算出された結果は、U=Vであるため、Pi=2・Ps=2×pの関係が成立するとして得られている。ただし、一般的なN次除去時の寸法は、発光窓形状が矩形形状の場合、N次除去時の幅WLrec.が(1/N)×n×Pi=(2/N)×n×Psとなる。これらの関係はすでに公知の事実である。
本発明の目的は、非特許文献で示されるように、実用に供されるLED光源の発光窓内の発光強度分布が不均一であるため、適切に波形歪みの除去が行われないことを改善しようとするものである。また、発光窓形状が円形形状の場合においても適正な形状を得ようとするものである。
また、円形形状の場合、N次除去時の直径WLcir.が1.22×(1/N)×n×Pi=1.22×(2/N)×n×Psとなる。なお、発光窓11内の近視野発光強度分布は一様であるとする。ただし、ここでnは自然数(n=1、2、3、・・・)である。
表1のように、円形形状の発光窓を採用した場合、矩形形状の場合の変位計測方向の幅WLrec.よりも約1.22倍だけ大きな値の直径値WLcir.となる。ただし実際には、発光窓内の近視野での発光強度分布の不均一性を考慮して発光窓の形状及びその寸法を決定する必要がある。特に、電流狭窄型LEDを用いた場合、図1(C)、(D)に示されるように、発光窓の周縁部において発光強度が強く、窓の中央部では強度が弱くなる傾向がある。このときの最適な発光窓の寸法は、上記の表の寸法WLrec.、WLcir.よりも小さい。
次の実施例によれば、発光窓内の発光強度分布が不均一な光源である場合でも、特定の次数の高調波を効果的に除去することができる。
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について説明する。図1は、本発明の実施例2における光学式エンコーダ(三重格子測定系)の構成図及び特性図である。
まず、図1(A)を参照して、本実施例の光学式エンコーダの全体構成について説明する。図1(A)は、本実施例における反射型の光学式エンコーダの構成を示す斜視図である。同図において、反射スケール20は、スケール支持体(不図示)に両面テープ(不図示)で接着固定されており、反射スケール20上に形成された回折格子のピッチPsは64μmに設定されている。また、本実施例の光学式エンコーダでは、検出ヘッド40が反射スケール20に対向するように配置されている。検出ヘッド40は、電流狭窄型のLED素子からなる光源10、及び、受光素子と信号処理回路とを内蔵した半導体素子であるフォトIC素子30(受光素子)を主体として構成されている。以下、図1〜3を参照して、光源10、フォトIC素子30、検出ヘッド40、及び、反射スケール20のそれぞれについて説明する。
図1(B)は、電流狭窄構造を備えたLED素子(光源10)を示す図である。発光窓11は、直径WLの円形形状の有効発光窓である。また、光源10には電極12及びワイヤ13が設けられている。円形の発光窓11から放出される光の発光中心波長は、例えば650nmである。図1(C)は、図1(B)中のS−S断面(y=0)の近視野発光強度Po(x、y)の特性図である。図1(D)は、近視野での発光強度Po(x、y)を斜視図で示した特性分布図であり、同図中にY軸方向の光強度の和(ΣPo(x))の領域が示されている。図1(E)は、光強度の和(ΣPo(x))と座標Xの関係を示す特性図である。
次に、図8を参照して、電流狭窄型のLED素子(光源10)の構造及び特性について詳述する。図8は、本実施例における光源10の構造図及び特性図である。図8(A)は光源10の発光窓11の拡大図であり、図8(B)は図8(A)中のS−S断面における内部構造図である。図8(B)に示されるように、基板232上に、多層反射膜層239、第1クラッド層233、活性層234、第2クラッド層235、ブロック層236、及び、Zn(亜鉛)拡散層237を順次結晶成長させる。その後、基板232の下面に下部電極231を蒸着させ、また、ブロック層236の上面に上部電極238を蒸着させることにより、本実施例の光源10が形成される。
基板232は、例えば150〜250μm程度の厚さの化合物半導体である。本実施例の光源10は、基板232と第2クラッド層235との間の所定の範囲に動作電流が通電されることにより、活性層234内で発生した光を第2クラッド層235側から取り出すための電流狭窄構造を備える。また、本実施例の光源10は、光の取り出し効率を高めるための多層反射膜層239を備え、活性層234で発生した基板232の底面側に向かう光を第2クラッド層235側に導くことにより、高出力化が図られている。
一般的に、LED(光源10)の発光強度分布は、活性層に注入されるキャリア密度分布に支配され、LED内部の電流密度分布によって決定される。特に、電流狭窄構造のLEDでは、その内部に電流を制限する領域が形成され、発光窓直下の活性層にのみキャリアが注入されるように構成されている。発光窓から放出される光の強度分布は、ほぼその直下の活性層部分の電流密度分布を反映する。
図8(C)は、図8(A)中のS−S断面における近視野の発光強度分布を示している。発光窓11の中心部分と周縁部分との間で上部電極238からの距離が異なるため、発光窓11の直下における活性層234に流れる電流分布は均一にならず、発光窓11の光強度分布は一様ではない。
本実施例では、上述の実施例2とは異なり、発光窓内の発光強度分布が一様ではない。このため、発光窓11内の発光強度分布と受光素子面上の光強度分布との関係を表す以下の一般式(式(20))を用いて考える。
・・・(20)
ここで、I(X2)は受光素子面上のX2軸方向の光強度分布を表し、Po(X1、Y1)は発光窓11の近視野での発光強度分布を表す。また、I(X1,X2)は三重格子測定系の原理に基づいて生成される干渉縞を表現する項である。
I(X2)で表される光強度分布の中に含まれるN次高調波成分を除去するには、以下の式(21)の関係を満たす発光窓Sの形状を決定すればよい。
・・・(21)
ここでは、3次の高調波成分を除去するため、N=3とすると、上述の式(21)は以下の式(22)のように表される。
・・・(22)
本実施例の発光窓11は、図8(C)に示されるようにバスタブ型形状の不均一な発光特性を有し、その発光強度分布関数は、図10(A)のように示される。また、図10(A)に示される発光強度分布関数をY軸方向(dy1)で積分したPo(X1)は、図10(b)に示される分布となる。
3次高調波除去のための条件は、図10(C)に示される式が0となる場合である。本実施例では、実際のバスタブ型の分布から同定された定数k=0.004の値を代入する。図10(C)は、横軸に円形発光窓の直径WLをとり、図10(C)中の式の値を縦軸として、その変化の様子を示したものである。左辺の値が0となる点は複数存在する。図10(C)の表示範囲では、WL1(=47.00μm)と、WL2(=87.33μm)が3次高調波成分の除去が可能な円形形状の発光窓の直径である。図10(C)の縦軸は、3次高調波成分の大きさを表しており、WL2を発光窓の寸法として採用した場合、わずかな寸法誤差が発生すると3次成分が大きく残存する。この場合には、WL1が好適な寸法となる。
以上のとおり、本実施例によれば、発光部が不均一な発光強度分布を有する場合でも、高精度に発光窓の形状及び寸法を決定することができる。発光窓Sの形状及び寸法は、上記の式(21)が成立するように決定される。図14は、内挿誤差と波形歪率(高調波振幅/基本波振幅)との関係を机上計算で求めた結果である。この結果によれば、400分割程度までの信号内挿を想定した場合、内挿誤差を仮に±0.5パルス以内に抑えるには、基本波(次数N=1)成分の振幅に対する高調波の次数(N)成分の振幅割合(波形歪率)を約2%(0.02)以下にする必要がある。図14に示される結果によれば、波形歪率(高調波振幅/基本波振幅)の許容範囲は、下記の式(23)のように表される。
・・・(23)
ここで、Sは積分範囲である発光窓内全域、Po(x1、y1)は発光窓のXY座標(x1、y1)における近視野での発光強度分布を表す関数である。また、pはスケールの格子ピッチ、Nは高調波成分の特定の次数(N:1、2、3、…)、x2は受光素子面上の変位検出方向軸である。
具体的には、例えば、可動可能なスケールのピッチを20μmとして電気的な内挿手段により400逞倍の信号を生成する場合、検出分解能は0.05μmとなる。上記の式(23)の許容範囲内で発光窓の形状を決定すれば、±0.025μmの内挿ピッチ精度を確保することができる。なお、式(23)で表される波形歪率(許容範囲)は、本実施例だけでなく、上述の実施例1及び後述の実施例3にも適用される。
図2は、本実施例におけるフォトIC素子の構成図である。図2(A)に示されるように、発光部である光源10の下方にはフォトIC素子30が配置されている。同図において、フォトIC素子30は、光源10に近い側に配置した受光素子部31と信号処理回路部39(信号処理回路)とから構成される。受光素子部31は、同図の水平方向に16個のフォトダイオード32a、32b、…、35c、35dが等間隔で配列されている。
本実施例では、反射スケール20上の格子の基本周期Ps(=64μm)の2倍を基本周期λ(=128μm)とする干渉縞が受光素子面上に形成される。反射スケール20が格子の基本周期Psだけ移動すると、その干渉縞は受光素子面上をPi分だけ同方向に移動する。フォトIC素子30(受光素子)には、この干渉縞の基本周期Piが検出できるように受光素子群32、33、34、35が基本ピッチPdで配列されている(Pi=Pd)。16個のフォトダイオード(最小単位の受光素子)は、Pd/4ピッチ(=32μm)で配列されている。各受光素子群は、互いに90°位相のずれたA相及びB相の出力信号を得る2つのフォトダイオード、及び、これらとそれぞれ180°位相のずれたAB相及びBB相の出力を得る2つのフォトダイオードの4つのフォトダイオードから構成される。これらの4つのフォトダイオードをそれぞれ、A+相,B+相,A−相,B−相と表記し、それぞれ、図中のフォトダイオード32a、32b、32c、32dが対応する。
本実施例では、4つの受光素子群32、33、34、35が配置されている。各群の同相の信号は、その和を得るために電気的に接続されている。
以上の受光素子の配列によって、反射スケール20の移動に伴い、90°ずつ位相のずれたA+相,B+相,A−相,B−相の出力電流が得られる。そして、これらを電流電圧変換器で電圧値に変換した後、A+相とA−相、及び、B+相とB−相を差動増幅器に入力し、その出力信号を90°位相のずれたA,B相の2相アナログ変位出力信号として出力する。受光素子(フォトIC素子30)に内蔵された信号処理回路部39(プッシュプル回路を含む。)において所定の信号処理が実行され、受光素子の出力信号である4相信号に含まれる直流成分及び偶数次の高調波成分が除去される。
本実施例では、不図示の付加手段によって、位置検出分解能を向上させるため、A相及びB相の正弦波状信号を逆正接演算して逆正接値(ArcTan値)を求めて位相角を算出する。付加手段としては、例えば、A/Dコンバータとルックアップテーブルを記憶したメモリとから構成される。
また本実施例では、A相及びB相正弦波状信号における振幅誤差、位相誤差及びオフセットはデジタル的に補正される。しかし、補正後の正弦波状信号にも、理想的な正弦波信号波形からのズレ(波形形状歪)が存在する。この波形形状歪は、特に、検出ヘッド40と反射スケール20との間の間隔変動に大きく依存し、この波形形状歪の多くは高調波成分によるのである。
本実施例では、前述のように、光源10の発光窓を所定の形状とすることで、第3次の高調波成分が除去されている。また、前述の信号処理回路部39(差動回路)の構成により、偶数次の高調波成分は効果的に除去される。このため、出力信号に含まれる残存高調波成分として支配的なのは、5次以上の奇数次成分となる。
図11は、本実施例における受光素子(フォトIC素子30)の受光窓の形状を示す図である。図11に示されるように、受光素子の受光窓の形状は、第5次の高調波成分を除去するため、その有効受光窓の幅(図中のWp)がPi/5に設定されている。本実施例において、受光面上に形成される干渉縞の基本周期Piは128μmである。このため、本実施例では、受光窓の幅Wpは25.6μm(=128/5)に設定され、各受光窓の間の不感帯部分の幅Wsは6.4μmに設定される。
このように、受光窓部の寸法WpをPi/5に設定すること、すなわち第5次の高調波成分の空間周期と受光窓の幅Wpを同じ値の幅にすることで、第5次波成分の積分光量が常に一定となる。このため、出力信号の波形から第5次高調波成分を効果的に除去することができる。さらに、本実施例によれば、受光窓の縁部間(図中Ws)に十分な寸法マージンが与えられる。このため、隣接する受光信号源からのクロストークによる波形の歪みや、オフセット誤差によるエンコーダの位置検出精度の劣化を防止することができる。
このように、複数の受光窓の各々の幅Wpは、第5次の高調波成分を除去するため、受光素子面上に形成される干渉縞の基本周期の1/5に設定される。ただし、第5次以上の高調波成分を除去するため、干渉縞の基本周期の1/M(M≧5)に設定してもよい。
図2(B)及び図2(C)は、フォトIC素子30を封止するパッケージを示す図である。図2(B)は、光源10の発光窓11からのパッケージ内を伝搬した光束が受光素子部31に直接入らないように配設された遮光壁48を示している。図2(C)は、検出ヘッド40及び反射スケール20の各断面と簡単な光線光路を示している。検出ヘッド40は、光源10及びフォトIC素子30に加え、配線基板44と、光源10及びフォトIC素子30を封止した透光性の封止樹脂45と、封止樹脂45上に配設された透明ガラス46とから構成されている。
次に、図3を参照して、本実施例の反射スケール20について説明する。図3(B)に示されるように、反射スケール20は、パターン形成シート23と反射層形成シート24とから構成されている。パターン形成シート23は、例えば工業用写真製版フィルムであり、その素材は透明なPETフィルムである。その素材の厚みは約0.1〜0.2mm程度で、工業用写真製版フィルム表層に設けられた乳剤層により、露光及び現像工程を経て必要なパターンが形成される。パターン形成シート23の基材部23a上には、光吸収部分の非反射部23bと光線透過部23cとからなるパターンが交互に設けられている。
一方、反射層形成シート24には、基材とするPETフィルムからなる反射層24aの下面に蒸着膜からなる反射層24bが形成されている。図3(C)に示されるように、反射スケール20は、これらのパターン形成シート23と反射層形成シート24とを透明な接着剤からなる接着層25で接合した構造を有する。
本実施例では、パターン形成シート23として、光吸収部分の非反射部23bと光線透過部23cとの寸法比(以下、反射スケールの開口比と呼ぶ)を1:1とした矩形波振幅格子が形成されている。図3(D)に示されるように、変位検出方向をX軸とした場合、スケールの近視野での反射光強度分布は、AP/Ps=50%の矩形分布となる。本実施例での反射スケール20は、その厚みが0.1〜0.3mm前後で、可撓性を有し、円筒体の内外側面に湾曲させて装着することも可能である。このため、種々の用途への展開が可能である。
本実施例では、光源の発光窓内の発光強度分布特性に応じて有効発光径を決定することで第3次高調波成分が効果的に除去される。また、受光素子の受光窓寸法Wpに対して、受光面上に投射される干渉縞の基本周期Piの1/5(1/M)に相当する幅に設定することで第5次高調波成分(第M次高調波成分)が効果的に除去される。また、このとき、複数の受光窓の各々の幅は、反射スケール20の格子ピッチの2/M(M≧5)の長さに設定されることになる。
さらに、4相信号の差動回路(プッシュプル回路)を用いた信号処理方法により、偶数次の高調波成分が効果的に除去される。このように、本実施例では、光源部、受光部、信号処理部の構成要素の各部分に、除去対象とする高調波成分を次数毎に配分し、各部分でそれぞれ異なる手法を用いて実効的且つ高精度に高調波成分を除去することができる。このため、理想的な正弦波のアナログ出力信号が得られ、電気的な内挿手段を適用した場合に高分解能且つ高精度に位置を検出することが可能となる。また本実施例によれば、安価かつ小型の光学式エンコーダを提供することができる。
[実施例3]
次に、本発明の実施例3について説明する。図12は、本実施例の光学式エンコーダにおいて、複数の発光窓11を備えた光源10(LED光源)を示す図である。図12(A)は矩形形状の複数の発光窓を備えた光源を示し、図12(B)は円形形状の複数の発光窓を備えた光源を示す。本実施例において、複数の発光窓11は、第1スケールの格子ピッチPsの2倍の間隔(格子ピッチPG2)で配置される。1つの発光窓11の幅WL(図12(A))及び直径WL(図12(B))としては、それぞれ、上述の実施例1及び2における値と同じ値を適用することで、高調波成分を除去することができる。
図13は、本実施例の光源を用いた場合における光学式エンコーダの等価光学系を示す図である。複数の発光窓11の中心間距離を2×Psに設定すると、受光素子面上における光強度分布の位相関係が重なる。このため、単一の発光窓11を配置した場合と同様の光強度分布が受光素子面上に形成される。このように、複数の発光窓11を備えた光学式エンコーダにおいても、上述の実施例1、2と同様の効果を得ることができる。
[実施例4]
次に、本発明の実施例4について説明する。図15は、本実施例の光学式エンコーダにおいて、2個の発光窓11A、11Bを備えた光源10(LED光源)を示す図である。図15(A)は矩形形状の2個の発光窓11Aおよび11Bを備えた光源を示し、図15(B)は円形形状の2個の発光窓11A、11Bを備えた光源を示す。本実施例において、実施例3との相違する点は、2個の発光窓11A、11Bは、第1スケールの格子ピッチPsの2×(5/6)倍の間隔WDで配置されることと、1個の発光窓11の幅WL(図15(A))及び直径WL(図15(B))としては、それぞれ、前記の実施例1及び2における値と同じ値を適用しなくても、3次の高調波成分を除去することができるところにある。
図16は、本実施例の光源を用いた場合における光学式エンコーダの等価光学系を示す
図である。単一の発光窓11Aを配置した場合において実施例1および2で示した数式(23)で示される条件式を満足せず、受光面上には図中A3に示す3次の高調波成分が残存した状態を表している。同様に発光窓11Bを配置した場合においても受光面上には図中B3に示す3次の高調波成分が残存した状態を表している。本実施例のごとく2個の発光窓11A、11Bの中心間距離を2×Ps×(5/6)に設定すると、これらの単一の発光窓11A、11Bの受光素子面上における3次高調波成分の光強度分布の位相がちょうど打ち消しあう関係になり、3次の高調波成分の除去が可能となる。
図17は、同様の考え方にもとづき、5次の高調波成分除去を実施する場合における光学式エンコーダの等価光学系を示す。この例では、図中、発光窓11A11Bは、第1のスケールの格子ピッチPsの2×(9/10)倍の間隔WDで配置することにより図中A5、B5に示す5次の高調波成分が180度の位相関係となり、その成分はキャンセルされる。
このように2個の発光窓11A、11Bを備え、それらの強度分布がほぼ等しい場合では、N次の高調波成分を除去するには2個の発光窓の中心間距離WDを以下の関係になるように配置することで発光窓内の強度分布に依存しないでN次の高調波成分除去が可能となる。

WD=2・Ps・|n±(1/(2・N))|
ただし、
WL<Ps・(1/(2・N))の時、nは0以上の整数値
WL>Ps・(1/(2・N))の時、nは1以上の整数値
・・・ (24)
[実施例5]
次に、本発明の実施例5について説明する。前記の実施例4では2個の発光窓を取り扱ったが、この2個の発光窓を1組とし複数組配置して、同様の効果を得ることも当然可能である。
図18では3次の高調波成分除去を目的に発光窓が適切に配置された例であり、2組4個の発光窓11を備えた光源10(LED光源)を示す図である。図18において発光窓11Aと11Bは実施例4に示す関係で配置された第一の組で、発光窓11Cと11Dは同様に配置された第二の組である。第一組と第二組は第1スケールの格子ピッチPsの4倍の距離で配置されている。第一組、第二組でそれぞれ3次高調波除去の効果が発揮され、最大の基本波の振幅を得る為には本実施例のように各組の距離をスケールピッチPsの偶数倍の関係で置くことが好ましい。このように多点発光化により容易に発光パワーを稼ぐことが可能でエンコーダシステムとして利用価値の高い光源窓構成とすることが可能となる。
本発明によれば、実施例1および2で示したような光源の形状、発光窓内の強度分布、
あるいは、実施例3で示した発光窓の数は発明の限定要素とはならず、また、実施例4および実施例5で示した複数の発光窓の間隔WDを含むその配置の問題も発明の限定要素とはならない。実施例3〜5に示した複数の発光窓の場合には数式(23)の積分範囲Sを全ての複数窓にとり、数式(23)で示された条件式を満たす光源であれば任意の高調波の歪除去が可能となる。
なお、上述の実施例1〜3の光学式エンコーダは、その出力信号に含まれる高調波成分を除去するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例1〜3とは反対に、特定の高調波成分を残存させることで、光学式エンコーダの出力信号を三角波形状にすることも可能である。例えば、2次の成分が除去されるように光源の発光窓形状を決定し、さらに、奇数次が残存するように受光窓の形状(受光素子の幅)を決定することで、奇数次を積極的に残存させて出力信号を三角波にすることが可能となる。特に、出力信号のうち直線性に優れた信号成分を部分的に選択し、その信号成分の内挿演算で位置検出を行う方法(直線部切り出し方式)等の電気的内挿方法を適用する場合、このような三角波の出力信号の形状精度が重要となる。
上述の実施例1〜3では反射型の光学式エンコーダについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば透過型の光学式エンコーダにも適用可能である。また、実施例1〜3では、第2スケール及び第3スケールをそれぞれ光源及び受光部と一体的に構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、第2スケールを光源とは別に構成した場合、又は、第3スケールを受光部とは別に構成した場合にも適用可能である。
上記各実施例によれば、小型で高精度な光学式エンコーダを提供することができる。
以上、本発明の実施例について具体的に説明した。ただし、本発明は上記実施例として記載された事項に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。
10 光源
11 発光窓
20 反射スケール
30 フォトIC素子
32〜35 受光窓
39 信号処理回路

Claims (5)

  1. 光源と、
    前記光源に対向配置されたスケールと、
    前記スケールを介した前記光源からの光束を受光する受光素子と、
    前記受光素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有し、
    前記光源の発光窓は、複数の点光源の集合体として構成され、以下の式を満たす形状を
    有することを特徴とする光学式エンコーダ。
    ただし、Sは積分範囲である発光窓内全域、Po(x1、y1)は発光窓のXY座標(x1、y1)における近視野での発光強度分布を表す関数、pはスケールの格子ピッチ、Nは高調波成分の特定の次数(N:1、2、3、…)、x2は受光素子面上の変位検出方向軸である。
  2. 前記受光素子は、複数の受光窓を有し、
    前記複数の受光窓の各々の幅は、受光素子面上に形成される干渉縞の基本周期の1/M(M≧5)に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光学式エンコーダ。
  3. 前記光源は、電流狭窄型LEDであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式エンコーダ。
  4. 前記信号処理回路は、プッシュプル回路を含み、
    前記プッシュプル回路は、前記出力信号から偶数次の高調波成分を除去し、
    前記受光素子は、複数の受光窓を有し、
    前記複数の受光窓の各々の幅は、前記スケールの格子ピッチの2/M(M≧5)の長さに設定されていることにより、前記出力信号から第M次高調波成分を除去し、
    前記光源は、電流狭窄型LEDであり、
    前記光源の発光窓は、前記式を満たす形状を有することにより前記出力信号から第3次高調波成分を除去することを特徴とする請求項1に記載の光学式エンコーダ。
  5. 前記光源は、少なくとも2個以上の発光窓で構成され、以下の式を満たす偶数個の発光窓を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学式エンコーダ。
    WD=2・Ps・|n±(1/(2・N))|
    ただし、
    WL<Ps・(1/(2・N))の時、nは0以上の整数値
    WL>Ps・(1/(2・N))の時、nは1以上の整数値
    Psはスケールの格子ピッチ、
    Nは高調波成分の特定の次数(N:1、2、3、…)
    WLは発光窓における変位検出方向の幅
    WDは任意の2個の発光窓中心間距離
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