JP5895381B2 - 冊子搬送装置及び画像形成システム - Google Patents

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Description

本発明は、冊子搬送装置、画像形成システム及び冊子搬送方法に係り、特に用紙、記録紙、転写紙などのシート状記録媒体(以下、単に、「シート」と称する)を折って形成される冊子を搬送する冊子搬送装置、及びこの冊子搬送装置を備えた画像形成システムに関する。
画像形成装置本体の下流側へ配置され、出力される記録紙などに綴じなどの後処理を施すシート処理装置は広く知られている。昨今その機能は多機能化され、従来の端面綴じに加えて中綴じ、製本処理も一般化している。この中綴じ、製本処理では、さらにアウトプット品質の向上のため、製本処理後に、製本した冊子の端部を断裁装置によって断裁するものもある。
このような断裁装置では、断裁処理を行う過程で、冊子はベルト等の搬送手段によって搬送され、冊子のサイズ、断裁量等に合わせて設置された突き当てストッパに当接させて位置を合わせる。その後、押圧手段により押圧して冊子を固定し、断裁ユニットにより冊子の端部を断裁する。これにより、製本された冊子は端部が切り揃えられた状態となる。
しかし、従来の断裁装置では、冊子が位置決めストッパに当接した状態でベルト等の搬送手段が回転しているため、表面シートに膨らみが生じ、このまま冊子を固定して断裁処理を行うと、処理後の端部にずれが生じる。また、押圧手段によって冊子の膨らみを潰し、押圧すると、その過程で、冊子表面あるいは背表紙側に撓みが生じ、さらには冊子が前後に動いてずれた状態で押圧されることがある。そのため、このような押圧状態で断裁処理を施すと、処理後の冊子の端部にずれが生じてしまうことになる。
そこで、このような撓みを生じさせないようにして断裁する装置として、例えば特許文献1(特開2004−196494号公報)記載の発明が公知である。この発明は、折り処理を行った後のシートを束押さえ部材で押さえて固定する前に、シートの背表紙側(例えば折り処理を施された側の端部)から、板、又はローラ等により、徐々に押圧力をかけつつ端面方向に移動するようにして、押さえられた位置とシート背表紙側との間に撓みが生じないようにしたものである。
なお、本明細書では、押圧とは押して圧力を生じさせることを意味し、押圧力は押圧によって生じる圧力であり、いわば押す力である。押圧時とは、押圧する動作を行ったとき、すなわち、押したときのことである。なお、当接とは、対象物に突き当たってその突き当たった(接触した)状態が維持されることをいう。
特許文献1記載の発明は、冊子押圧前に冊子の撓みやずれを補正するものであり、冊子の撓みやずれを矯正することが可能である。また、前記発明は冊子押圧時に撓みを生じさせないための発明であり、冊子の撓みを矯正する効果があると考えられるが、押圧力をかける際に冊子が端面方向に動いてしまうことがあり、このように動いた状態でそのまま切断すると切断面が斜めに切り揃えられてしまう場合もある。
この端面方向に動く理由を少し掘り下げて具体的に説明する。図20及び図21は従来技術の問題点を示す説明図である。図20は上側のガイド部材321によって冊子BTを押さえ付ける例である。同図において、この例では、冊子搬送部の上部に設けられたガイド部材321によって冊子BTを冊子搬送部の下部に設けられた第1の搬送ベルト310側に押さえ付け、第1の搬送ベルト310によって冊子BTを搬送するように構成している。
このような構成では、ガイド部材321を下降させて冊子BTに搬送圧を付与しているが、第1の搬送ベルト310と冊子BTとの摩擦力が、ガイド部材321と冊子BTとの摩擦力より大きい(大きくないと搬送することができない)。そのため、冊子BTを搬送して位置決めストッパ317に突き当てて整合を行う際、冊子BTが位置決めストッパ317に突き当たった後も第1の搬送ベルト310は回転する。その結果、矢印D11の方向に回転力が発生し、冊子BTの上側は、下側に対して矢印D12に示すように動き、冊子BTの小口部にずれが生じてしまう。また、冊子BTの位置決め後、押圧して固定する際にも、冊子BTの上下のガイド部材であるガイド部材321と第1の搬送ベルト310の摩擦係数が異なると、冊子BTの整合時と同様に冊子BTにずれが生じてしまう。
また、冊子BTを位置決めストッパ317に突き当てて位置決めした後、ガイド部材321を下降させて固定する際にも、冊子BTに接触する上下部材の摩擦係数が異なると、冊子BTの整合時と同様に冊子BTにずれが生じてしまう。
図21は上側の第2の搬送ベルト312によって冊子BTを押さえ付ける例である。同図において、この例では、冊子搬送部の上部に設けられた第2の搬送ベルト312を冊子搬送部の下部に設けられた第1の搬送ベルト310側に近接させ、冊子BTを第1及び第2の搬送ベルト310,312間に挟み込んで第1及び第2の搬送ベルト310,312によって冊子BTを搬送するように構成している。
このように構成すると、冊子BTを位置決めストッパ317に当接させて整合を行う際に、冊子BTが位置決めストッパ317に当接した状態で第1及び第2の搬送ベルト310,312が回転するため、冊子BTの表面のシートに搬送力が働き、冊子BTの背表紙付近に撓みBT10が生じてしまう。この状態で冊子BTを固定して断裁を行うと、表面のシートがずれた分だけ処理後に戻るので、製本後の冊子BTの小口部にずれが生じてしまう。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、表面のシートにずれを生じさせることなく冊子を押圧し、固定できるようにすることにある。
前記課題を解決するため、本発明は、 シート束を折って形成された冊子を搬送し、両者間の間隔が可変の一対の搬送手段と、 前記搬送手段によって搬送される前記冊子の先端部が突き当たり、位置決めする位置決め手段と、 前記位置決め手段によって位置決めされた前記冊子を前記搬送手段の一方に押し付けて押圧固定する押圧手段と、 前記搬送手段から前記冊子に作用する力を変更する変更手段と、を備えた冊子搬送装置であって、 前記変更手段は、前記冊子の搬送の過程で、前記搬送手段と前記冊子との間に摩擦力のみが作用する第1の状態、当該摩擦力に冊子を吸着する力が付加された第2の状態、及び冊子を前記搬送手段から離間させる力が作用する第3の状態に変更するものであり前記変更手段により、前記搬送手段から前記冊子に作用する力は、前記冊子を搬送する際前記第1の状態から前記第2の状態となり、前記搬送手段により前記冊子が搬送され、当該冊子先端部が前記位置決め手段に突き当たるまでは前記第2の状態であり、前記冊子先端部が前記位置決め手段に突き当たった後は、前記第2の状態から前記第1の状態となり、前記搬送手段により前記冊子が搬送されない押圧固定時には、前記第1の状態から前記第3の状態となり、前記押圧手段による押圧固定動作が終了すると前記第3の状態から前記第1の状態となり、前記押圧手段は、前記押圧固定時における前記第3の状態で前記冊子を押圧固定することを特徴とする。
本発明によれば、表面のシートにずれを生じさせることなく冊子を押圧し、固定することができる。
本発明の実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図である。 図1における第2のシート後処理装置(中綴じ製本装置)の詳細な構成を示す図である。 中綴じ製本装置の動作説明図で、シート束の搬入時の状態を示す。 中綴じ製本装置の動作説明図で、シート束の中綴じ時の状態を示す。 中綴じ製本装置の動作説明図で、シート束の中折り位置への移動完了時の状態を示す。 中綴じ製本装置の動作説明図で、シート束の中折り処理実行時の状態を示す。 中綴じ製本装置の動作説明図で、シート束の中折り終了後の排紙時の状態を示す。 図1における第3のシート処理装置(断裁装置)の詳細な構成を示す図である。 断裁装置の断裁処理動作を示す動作説明図で、冊子が断裁装置内に搬入された直後の状態を示す。 断裁装置の断裁処理動作を示す動作説明図で、搬入後停止した冊子を一定の厚さまで押さえ付ける動作を示す。 断裁装置の断裁処理動作を示す動作説明図で、冊子のスキューを補正するときの動作を示す。 断裁装置の断裁処理動作を示す動作説明図で、冊子を押圧して固定するときの動作を示す。 断裁装置の断裁処理動作を示す動作説明図で、スキュー補正後に断裁するときの動作を示す。 断裁装置の断裁処理動作を示す動作説明図で、断裁終了後の動作を示す。 本発明の実施形態における画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態における搬送力を変更する機構を備えた上部及び下部ユニットを示す正面図である。 本発明の実施形態における搬送力を変更する機構を備えた下部ユニットの斜視図である。 冊子搬送時の搬送力を変更する制御手順を示すフローチャートである。 冊子固定時の搬送力(抵抗力)を変更する制御手順を示すフローチャートである。 従来技術の問題点を示す説明図で、上側のガイド部材によって冊子を押さえ付ける例を示す。 従来技術の問題点を示す説明図で、上側の搬送ベルトによって冊子を押さえ付ける例を示す。 本願発明の原理を説明するための図で、押圧固定時における搬送ガイド及び位置決めストッパと冊子のシートの状態を示す。
本発明は、搬送されてきた冊子を停止させて固定する場合に、冊子の表側のシートと当該シートに接する面との間の摩擦力(抵抗力)を小さくし、搬送時には、搬送する手段との間の摩擦力(搬送力)を大きくして、押圧固定時には前記表側のシートに撓みが生じないようにし、搬送時には確実に冊子を搬送することができるようにしたことを特徴としている。
図22は、本願発明の原理を説明するための図で、押圧固定時における搬送ガイド及び位置決めストッパと冊子のシートの状態を示す。冊子BTが図21に示すように搬送され、図22(a)に示すように上側の搬送ガイド(ここでは搬送ベルトとは限らないので搬送ガイドと称する)322が下側の搬送ベルト310に対してシート搬入時の第1の間隔d1から図22(b)に示す冊子BTを整合する整合間隔である第2の間隔d2まで下降し、下側の搬送ベルト310との間の間隔を狭くし、冊子BTを押圧すると、図22(c)に示すような力が冊子BTの表側のシートBT11に発生する。
すなわち、一定の整合間隔、ここでは第2の間隔d2になるように搬送ガイド322が下降したとき、冊子BTの反力に相当する押圧力Pが冊子BTに加わる。この押圧力Pは冊子BTからの反力なので、冊子BTの折り高さで異なってくる。
この押圧力により冊子BTの先端部BT2は、位置決めストッパ317と表側のシートBT1との間の静摩擦係数μ3と、シートBT1が位置決めストッパ317に突き当たった状態での圧力P1より、押圧方向とは逆の方向に静摩擦力Fが、
F=μ3・P1
として発生する。
一方、搬送ガイド322の間隔が小さいほど押圧力Pが大きくなり、また、表側のシートBT1を小口側に戻す力の水平方向成分が大きくなる。このことは、間隔が小さくなるほど、冊子BTの表側のシートBT1を小口側に戻す力が大きくなることを示す。なお、表側のシートBT1の先端部BT2の位置決めストッパ317との接触部に生じる静摩擦力Fは接触部からシート表面側に沿って生じるベクトルの大きさに対応し、このベクトルA1,A2の大きさがシートBT1のコシの強さとして認識される。
また、μ1を表側のシートBT1と搬送ガイド322との間の静摩擦係数、μ2を表側のシートBT1と搬送ベルト310との間の静摩擦係数としたとき、前記表側のシートBT1と搬送ガイド322及び搬送ベルト310との間には小口側に戻す方とは逆の方向に、静摩擦力B1,B2が
B1=μ1・P
B2=μ2・P
として発生する。このため、前記静摩擦力F1と、静摩擦力B1,B2の水平成分との作用により、撓みBT3が表側のシートBT1とその内側のシートBT4の間に生じる場合がある。
すなわち、図22(c)の状態からさらに押圧して図22(d)に示す最終的な冊子BTを押圧し、固定する位置(第3の間隔d3の位置)まで移動させたとき、
A1x<B1
であれば(ガイド部材側の抵抗力がベクトルA1の大きさより大きいときは)、内側のシートBT4と表側のシートBT1との間の静摩擦係数は小さいので、表側のシートBT1だけが撓むことになる。このように表側のシートBT1のみが撓んだ状態で断裁処理を行うと、断裁処理後に冊子BTの表側のシートBT11の撓みが伸び、冊子BTの小口部にシートのずれが生じてしまう。
そこで、本発明では、表側のシートBT1と搬送ガイド322との間の静摩擦力を小さくし、
A1x>B1
というようにすると、表側のシートBT1が搬送ガイド322に対して滑るので、撓みBT3が生じなくなる。
図22(e)は、搬送ガイド322と表側のシートBT1との間の静摩擦力も、搬送ベルト310と表側のシートBT1との間の静摩擦力も、位置決めストッパ317と表側のシートBT1との静摩擦力よりも小さくしたときの冊子BTの状態を示す図で、間隔をd3の間隔まで縮めたとしても表側のシートBT1に撓みが生じないので小口側が揃い、断裁処理後に冊子BTの小口部にずれが生じることがなくなる。
なお、ここでは、前記μ1及びμ2の両者を小さくしているが、下側の第1の搬送ベルト310側よりも上側の搬送ガイド322の静摩擦係数μ2(若しくは静摩擦力)を小さくした方が、撓み防止の効果が認められる。これは、冊子BTの上側のシートの方が、荷重が小さいので隣接するシート間の接触面積が小さく、内側のシートBT3と表側のシートBT1との間の摩擦力が下側のそれよりも小さくなるからであると考えられる。
このように冊子BTを押圧固定する場合には、搬送ガイド322の冊子BTの表側のシートBT1と接する面の当該シートBT11との間の静摩擦係数を低いものにすれば、シートが滑りやすくなり、押圧時に表側のシートBT1が当該シートBT1のコシによって断裁面側に滑って揃うので、冊子BTの小口の断裁面は整いやすくなる。しかし、両者間の静摩擦係数を低くすると、冊子BTを搬送する搬送力が低下する。そこで、本実施形態では、搬送時のみ搬送力を増加できる搬送力変更手段としてCPU351によって搬送力を制御できるようにした。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同等な各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像処理システムのシステム構成を示す図である。本実施形態では、画像形成装置PRの後段に第1ないし第3のシート後処理装置1,2,3がこの順で連結されている。
第1のシート後処理装置1は、画像形成装置PRからシートを1枚ずつ受け取り、順次重ね合わせ整合し、スタック部でシート束を作成するシート束作成機能を有するシート後処理装置で、シート束排紙ローラ10から後段の第2のシート処理装置2にシート束を排紙する。第2のシート後処理装置2は、搬送されてきたシート束を受け取り、中綴じ中折りを施す中綴じ製本装置である(本明細書では、第2のシート後処理装置について中綴じ製本装置とも称する)。
中綴じ製本装置2は製本した冊子を第3のシート処理装置3に排紙する。第3のシート処理装置3は、搬送されてきたシートの小口を断裁する断裁装置である(以下、第3のシート後処理装置について断裁装置とも称する)。断裁装置3で断裁処理された冊子は、そのまま装置外に排紙され、図示しない排紙トレイに積載される。あるいは、この後段にさらにシート処理装置が連結されていれば、そのまま当該シート処理装置に排紙される。画像形成装置PRは入力された画像データ、若しくは読み取った画像の画像データに基づいてシート状の記録媒体に可視画像を形成するものである。例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機などがこれに相当する。
図2は図1における中綴じ製本装置2の詳細な構成を示す図である。同図において、中綴じ製本装置2は入口搬送路241、シートスルー搬送路242、及び中折り搬送路243を備えている。入口搬送路241のシート搬送方向最上流部には、入口ローラ201が設けられ、画像形成装置1の前記シート束排紙ローラ10から整合されたシート束が装置内に搬入される。なお、以下の説明では、シート搬送方向上流側を単に上流側と、シート搬送方向下流側を単に下流側と称す。
入口搬送路241の入口ローラの201の下流側には、分岐爪202が設けられている。この分岐爪202は図において水平方向に設置され、シート束の搬送方向をシートスルー搬送路242あるいは中折り搬送路243に分岐する。シートスルー搬送路242は、入口搬送路241から水平に延び、後段の図示しない処理装置若しくは排紙トレイにシート束を導く搬送路であり、シート束は上排紙ローラ203によって後段に排紙される。中折り搬送路243は分岐爪202から垂直下方に延び、シート束に対して中綴じ、中折り処理を行うための搬送路である。
中折り搬送路243は、中折りするための折りプレート215の上部でシート束を案内する束搬送ガイド板上207と、折りプレートの215の下部でシート束を案内する束搬送ガイド板下208を備えている。束搬送ガイド板207には、上部から束搬送ローラ上205、後端叩き爪221、束搬送ローラ下206が設けられている。後端叩き爪221は、図示しない駆動モータによって駆動される後端叩き爪駆動ベルト222に立設されている。後端叩き爪221は駆動ベルト222の往復回転動作により、シート束の後端を後述の可動フェンス側に叩き(押圧し)、シート束の整合動作を行う。また、シート束が搬入される際、及びシート束が中折りのための上昇する際には、束搬送ガイド板上207の中折り搬送路243から退避する(図2破線位置)。
符号294は後端叩き爪221のホームポジションを検出するための後端叩き爪HPセンサであり、中折り搬送路243から退避した図2破線位置をホームポジションとして検出する。後端叩き爪221は、このホームポジションを基準に制御される。
束搬送ガイド板下208には、上方から中綴じステープラS1、中綴じジョガーフェンス225、及び可動フェンス210が設けられている。束搬送ガイド板下208は束搬送ガイド板上207を通って搬送されてきたシート束を受け入れるガイド板であり、幅方向には一対の前記中綴じジョガーフェンス225が設置され、下方にシート束先端が当接(支持)し、上下動可能に前記可動フェンス210が設けられている。
中綴じステープラS1はシート束の中央部を綴じるステープラである。可動フェンス210はシート束の先端部を支持した状態で上下方向に移動し、シート束の中央位置を中綴じステープラS1に対向する位置に位置させ、その位置でステープル処理、すなわち中綴じが行われる。可動フェンス210は可動フェンス駆動機構210aによって支持されるともに、図示上方の可動フェンスHPセンサ292位置から最下方位置まで移動可能である。シート束の先端が当接する可動フェンスの可動範囲は、中綴じ製本装置2の処理可能な最大サイズから最小サイズまで処理可能なストロークが確保されている。なお、可動フェンス駆動機構210aとしては、例えばラックアンドピニオン機構が使用される。
束搬送ガイド板上207と下208との間、すなわち中折り搬送路243のほぼ中央部には折りプレート215、折りローラ対230、排紙搬送路244、及び下排紙ローラ231が設けられている。折りプレート215は、図示水平方向に往復動可能であり、折り動作を行う際の動作方向には、折りローラ対230のニップが位置し、その延長上に排紙搬送路244が設置されている。下排紙ローラ231は、排紙搬送路244の最下流に設けられ、後段に折り処理されたシート束を排紙する。
束搬送ガイド板上207の下端側には、シート束検知センサ291が設けられ、中折り搬送路243に搬入され、中折り位置を通過するシート束の先端を検知する。また、排紙搬送路224には、折り目部通過センサ293が設けられ、中折りされたシート束の先端を検知し、シート束の通過を認識する。
大略、図2に示すように構成された中綴じ製本装置2では、図3ないし図7の動作説明図に示すようにして中綴じ及び中折り動作が行われる。すなわち、画像形成装置1の操作パネルPN(図15参照)から中綴じ中折りが選択されると、当該中綴じ中折りが選択されたシート束は、分岐爪202の反時計方向の偏倚動作により中折り搬送路243側に導かれる。なお、分岐爪202はソレノイドによって駆動される。なお、ソレノイドに代えてモータ駆動でも良い。
中折り搬送路243内に搬入されたシート束SBは、入口ローラ201と束搬送ローラ上205によって中折り搬送路243を下方に搬送され、シート束検知センサ291によって通過が確認された後、図3に示すように束搬送ローラ下206によって可動フェンス210にシート束SBの先端が当接する位置まで搬送される。その際、画像形成装置1からのシートサイズ情報、ここでは、各シート束SBの搬送方向のサイズ情報に応じて可動フェンス210は異なる停止位置で待機している。このとき、図3では、束搬送ローラ下206はニップにシート束SBを挟持し、後端叩き爪221はホームポジション位置に待機している。
この状態で、図4に示すように束搬送ローラ下206の挟持圧が解除され(矢印a方向)、可動フェンス210にシート束先端が当接し、後端がフリーになった状態でスタックされると、後端叩き爪221が駆動され、シート束SBの後端を叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う(矢印c方向)。
次いで、中綴じジョガーフェンス225によって幅方向(シート搬送方向に対して直交する方向)の揃え動作が、また、可動フェンス210と後端叩き爪221により搬送方向の揃え動作がそれぞれ実行され、シート束SBの幅方向及び搬送方向の整合動作が完了する。このとき、シートのサイズ情報、シート束の枚数情報、シート束厚み情報によって、後端叩き爪221、中綴じジョガーフェンス225の押し込み量を最適の値に変更し整合する。
また、束の厚みがあると搬送路内の空間が減少するため、一度の整合動作では整合しきれないケースが多い。そこで、このような場合には、整合回数を増加させる。これにより、より良い整合状態を実現することができる。さらに、上流側でシートを順次重ね合わせる時間はシート枚数が多ければ多いほど増加するので、次のシート束SBを受け入れるまでの時間が長くなる。その結果、整合回数を増加してもシステムとして時間の損失はないことから、効率的に良好な整合状態を実現できる。したがって、上流の処理時間に応じ、整合回数を制御することも可能である。
なお、前記可動フェンス210の待機位置は、通常、シート束SBの中綴じ位置が中綴じステープラS1の綴じ位置に対向する位置に設定される。この位置で整合すると、可動フェンス210をシート束SBの中綴じ位置に移動させることなく、スタックされた位置でそのまま綴じ処理が可能となるからである。そこで、この待機位置でシート束SBの中央部に中綴じステープラS1のステッチャを矢印b方向に駆動し、クリンチャとの間で綴じ処理が行われ、シート束SBは中綴じされる。
可動フェンス210は可動フェンスHPセンサ292からのパルス制御により位置決めされ、後端叩き爪221は後端叩き爪HPセンサ294からのパルス制御により位置決めされる。可動フェンス210及び後端叩き爪221の位置決め制御は、シート後処理装置2の制御回路250のCPU251によって実行される(図15参照)。
図4の状態で中綴じされたシート束SBは、図5に示すように束搬送ローラ下206の加圧が解除された状態で可動フェンス210の上方移動に伴って中綴じ位置(シート束SBの搬送方向の中央位置)が折りプレート215に対向する位置まで移送される。この位置も可動フェンスHPセンサ292の検出位置を基準に制御される。
図5の位置にシート束SBが達すると、図6に示すように折りプレート215が折りローラ対230のニップ方向に移動し、シート束SBの綴じられた針部近傍のシート束SBに対して略直角方向から当接し、前記ニップ側に押し出す。シート束SBは折りプレート215により押されて折りローラ対30のニップへと導かれ、予め回転していた折りローラ対230のニップに押し込まれる。折りローラ対230は、ニップに押し込まれたシート束SBを加圧し、搬送する。この加圧搬送動作によりシート束SBの中央に折りが施され、簡易製本された冊子BTが形成される。図6は、シート束SBの折り目部先端が折りローラ対230のニップに挟持され、加圧されているときの状態を示す。
図6の状態で中央部が2つ折りされたシート束SBは、図7に示すように冊子BTとして折りローラ対230によって搬送され、さらに下排紙ローラ231に挟持されて後段に排出される。このとき、冊子BT後端が折り目部通過センサ293に検知されると、折りプレート215及び可動フェンス210はホームポジションに、束搬送ローラ下206は加圧状態にそれぞれ復帰し、次のシート束SBの搬入に備える。また、次のジョブが同サイズ同枚数であれば、可動フェンス210は再び図3の位置に移動し、待機するようにしても良い。なお、これらの制御も前記制御回路250のCPU251によって実行される。
図8は断裁装置3の詳細な構成を示す図である。
同図において、断裁装置3には、冊子の搬送路300(矢印は搬送中心を示す)に沿って上流側から、搬送部300a、断裁部300b、整合部300cが設けられている。
搬送部300aは断裁処理装置入口部に当たり、入口ガイド板301a、上下の搬送コロ対302,303及び冊子BTの搬送方向(小口側)を整合するためのジョガー319を備えている(図11参照)。搬送部300aは、冊子受入口301の入口ガイド板301aから中綴じ製本装置2の下排紙ローラ231によって中折り中綴じされた冊子BTを受け入れる。なお、搬送コロ対302,303に代えて、冊子BTを所定圧で挟持し、搬送可能な上下に配置された搬送ベルト対を使用することもできる。
断裁部300bには、搬送路300を挟んで断裁刃と押圧部が設けられている。断裁刃は、断裁上刃305と断裁下刃307とが対となって搬送路300の上下に対向して配置されている。断裁上刃305は可動、断裁下刃307は固定である。固定側の断裁下刃307上に位置した冊子BTに対して可動側の断裁上刃305が下降し、両者の間で冊子BTの小口側を断裁する。また、断裁された冊子屑を受ける屑受け320が段裁部300bの下方に設けられている。
押圧部は、可動側の押圧部材306と固定側であるベース308とからなり、搬送路300を挟んで前者は上側、後者は下側にそれぞれ配置されている。ベース308の冊子搬送方向最上流側の縁部には、前記断裁下刃307が固定されている。固定位置は、前記断裁上刃305の刃先と断裁下刃307の刃先で断裁可能な位置に設定されている。断裁上刃305は図示しない駆動機構によって断裁下刃307を越える位置まで下側に駆動され、冊子BTを受け入れる際に障害にならない位置まで上側に駆動される。上側の待機位置が初期位置となる。
ベース308の上側に位置する押圧部材306は、図示しない駆動機構によって上下方向に駆動され、断裁上刃305が下降して冊子BTを断裁する際に冊子BTをベース308側に断裁刃305の近傍で押圧して保持する機能を有する。なお、断裁上刃305及び押圧部材306はそれぞれモータ及び当該モータと連結された減速機構を用いた図示しない駆動機構により駆動されるが、モータと減速機構に代えて油圧により上下方向に駆動するように構成することもできる。
整合部300cは、搬送路300を挟んで下側に位置する下部ユニット300c1及び上側に位置する上部ユニット300c2を含む。下部ユニット300c1は、固定側の第1の搬送ベルト310、位置決めストッパ317及びガイド板318を備える。第1の搬送ベルト310は、駆動プーリ309aと従動プーリ309bとの間に掛け渡されている。第1の搬送ベルト310の上面はベース308の上面と同一平面上に位置し、冊子BTの搬送の基準面としても機能する。
上部ユニット300c2は、第2の搬送ベルト312、駆動プーリ311a、従動プーリ311b、支持部材313、ガイド軸315、加圧プレート316及び圧縮ばね314を含む。第2の搬送ベルト312は駆動プーリ311aと従動プーリ311bとの間に掛け渡されている。支持部材313は、第2の搬送ベルト312、駆動プーリ311a及び従動プーリ311bを一体的に支持する。ガイド軸315は支持部材の313の上面に取り付けられ、加圧プレート316が上下方向に移動可能に装着されている。また、支持部材313と加圧プレート316との間のガイド軸315には、両者が互いに離れる方向に弾性力を付与する圧縮ばね314が装着されている。第2の搬送ベルト312、駆動プーリ311a、従動プーリ311b、支持部材313、ガイド軸315、及び加圧プレート316は上部ユニット101aとして一体的に上下動可能であり、第1の搬送ベルト310の上面と第2の搬送ベルト312の下面との間の間隔を相対的に変更することができる。
この構成により、第1及び第2の搬送ベルト310,312間で冊子BTを挟み込む際には、両者の間隔を狭めることができる。その際、加圧プレート316と支持部材313間の間隔も変更可能となっているので、第2の搬送ベルト312によって冊子BTの上面を押さえた後、さらに加圧プレート316を下降させると、圧縮ばね314がさらに圧縮され、冊子BTの保持力、あるいは押圧力をより大きくすることができる。なお、上部ユニット300c2の図示しない上下方向の駆動機構は、直接的には加圧プレート316を上下方向に移動させるモータと動力伝達機構と上下方向のガイドを含み、加圧プレート316と支持部材313間の初期間隔のまま加圧プレート316を上下方向に移動させると、上部ユニット300c2全体が上下方向に移動する。また、第2の搬送ベルト312が冊子BTの上面に接触した状態で、さらに加圧プレート316を下方に移動させると、その分、圧縮ばね314が圧縮され、圧縮ばね314による加圧力が生じる。この加圧力が冊子BTの保持力若しくは押圧力となる。
第1の搬送ベルト310は、第2の搬送ベルト312とともに、冊子BTを搬送する機能と、シート整合時のガイドとしての機能も有する。第1及び第2の搬送ベルト310,312はスキュー補正時のガイドとしての機能も兼ねるため、冊子BTと接する面のシートとの摩擦係数が低くなるような材質を使用し、かつ、両搬送ベルト310,312の摩擦係数は同程度に設定されている。これにより、押圧時に冊子上部、下部にかかる力が低く、かつ、上部と下部で同程度となるので、押圧時のずれを低減することができる。
なお、本実施形態においては、第1及び第2の搬送ベルト310,312にガイド手段としてのガイド機能も持たせているが、図8に示すように下側の第1の搬送ベルト310に沿ってガイド板318を設け、当該ガイド板318にガイドとしての機能を持たせ、冊子BTの搬送機能は第1の搬送ベルト310あるいは搬送ローラなどの他の搬送手段を使用することもできる。その際、ガイド板318の上面はベース308の上面と同一平面上若しくは若干後退した平面上に位置し、冊子BTの搬送の基準面としても機能する。
また、上側の第2の搬送ベルト312によって冊子BTをガイド板318側に押圧するように構成することも可能である。あるいは、上側の第2の搬送ベルト312の背面側に上側のガイド板を設けることも可能である。
また、本実施形態では、下側の第1の搬送ベルト310は固定で上側の第2の搬送ベルト312側が昇降動作するようになっているが、上側の第2の搬送ベルト312側を固定側に、下側の第1の搬送ベルト311側を移動側とすること、あるいは、第1及び第2の搬送ベルト310,312がともに、移動するように構成することもできる。
さらに、整合部300cに設けられた位置決めストッパ317は、冊子搬送方向に移動可能な図示しない移動機構を備え、冊子BTのサイズ、断裁量等の情報に基づいて移動機構によって所定の位置に移動し、冊子BTの背側を当接させて位置決めを行う。なお、移動機構はモータとモータの駆動力伝達機構を含む。
図9ないし図14は、本実施形態における断裁装置の断裁処理動作を示す動作説明図、図15は本実施形態における画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
図15において、本実施形態に係る画像形成システムでは、図1に示したように画像形成装置PRの後段に第1のシート後処理装置1、第2のシート後処理装置(中綴じ製本装置)2、及び第3のシート後処理装置(断裁装置)3が連結されている。画像形成装置PR及び各シート後処理装置1,2,3はそれぞれCPU(Central Processing Unit)PR1,151,251,351、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/Oインターフェース等を有するマイクロコンピュータをそれぞれ搭載した制御回路PR0,150,250,350を搭載し、通信ポートPR2,161,162、261,262、361を介して制御的に直列に接続されている。さらに、第1ないし第3のシート後処理装置1、2,3の制御回路150,250,350のCPU151,251,351は画像形成装置PRの制御回路PR0のCPU_PR1をメインCPUとしてこのCPU_PR1の制御下におかれ、サブCPUとして機能する。また、画像形成装置PRにはマン−マシンインターフェースとして機能する操作パネルPNが接続され、操作者からの入力及び操作者への表示装置を介しての通知が可能となっている。
すなわち、各シート後処理装置1,2,3の各部は各装置に搭載されたCPU151,251,351によって制御され、システム的な制御は画像形成装置PRのCPU_PR1によって実行される。なお、各装置で実行される制御は、各装置のROMに格納されたプログラムコードを各装置のCPU151、251,351が読み込み、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。また、第1のシート後処理装置1のCPU151は通信ポート161から画像形成装置PRの通信ポートPR2を介して画像形成装置PRのCPU_PR1と相互に通信可能である。さらに、第2及び第3のシート後処理装置2,3のCPU251,351は、前段の通信ポート及びCPUを介して画像形成装置PRのCPU_PR1と相互に通信可能となっている。このような構成により、画像形成装置PRのCPU_PR1による制御に必要な情報は第3のシート後処理装置3、第2のシート後処理装置2及び第1のシート後処理装置1のCPU351,251,151から画像形成装置PR側に送信され、画像形成装置PRのCPU_PR1からの制御信号は第1のシート後処理装置1、第2のシート後処理装置2、第3のシート後処理装置3のCPU151,251,351へと送信される。
このようにして前記冊子情報は画像形成装置PRのCPU_PR1から第3のシート後処理装置である断裁装置3のCPU351に送信される。断裁装置3のCPU351は、受信した冊子情報に基づいて前述の押圧処理及び断裁処理を実行することになる。
以下、図9ないし図14の動作説明図を参照しながら断裁装置3における動作とそのときの処理について説明する。
図9は冊子BTが断裁装置3内に搬入された直後の状態を示す図である。同図において、冊子BTは入口ガイド板301aから断裁装置3に搬入される。その際、冊子受入口301の下流側直後に設けられた入口センサSN1からの冊子先端検出信号又は中綴じ製本装置2の折り目通過センサ293によってシート束SBの折り目先端検出信号を検知すると、断裁装置3の各部は冊子受け入れ準備動作を開始する。冊子受け入れ準備動作とは上部ユニット300c2を初期位置から下降させる動作である。受け入れ準備動作により、第2の搬送ベルト312の下面と第1の搬送ベルト310の上面との間の間隔がシート搬入時の第1の間隔d1となる位置に移動する。なお、後述するが、第1の間隔d1は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、特殊紙等の冊子情報から断裁装置3の制御回路350内の図示しないメモリに格納されたデータベースを参照し、CPU351が決定する。また、間隔d1は冊子BTが搬送ローラ302,303対によって断裁装置3内に搬入された後、第1及び第2の搬送ベルト310,312により搬送可能な摩擦力を付与できる間隔である。すなわち、間隔d1は冊子BTを搬送できるだけの間隔であれば良い。
位置決めストッパ117は、冊子のサイズ、断裁量等の情報によりシートの位置決めを行う位置まで移動する。移動を完了すると、搬送コロ302,303対、第1及び第2の搬送ベルト310,312は回転を開始し、冊子BTの受け入れを開始する。第1及び第2の搬送ベルト310,312は回転の位相を合わせるため、両者の駆動プーリ309a,311aは駆動を連結してある。このような状態で、断裁装置3に搬入された冊子BTの背部(折り目)先端が入口センサSN1で検出されたタイミングから所定の時間経過したタイミングで第1及び第2の搬送ベルト310,312は回転を停止し、冊子BTの先端(折り目若しくは背部剪断)は位置決めストッパ117の所定量手前で停止する。
図10は、停止した冊子を一定の厚さまで押さえ付ける動作を示す動作説明図である。冊子BTが図9の状態で停止した後、上部ユニット300c2は第1の搬送ベルト310の上面と第2の搬送ベルト312の下面との間隔が第2の間隔d2となる位置に下降する。これにより、膨らんで厚みのある冊子BTを一定の高さまで押さえ付ける。なお、第2の間隔d2も、第1の間隔d1と同様に整合間隔としてシート厚、シートサイズ、綴じ枚数、特殊紙等の冊子情報に対応して決定される。この状態では、まだ、支持部材313の位置が整合位置に変更されただけである。
図11は、冊子の搬送方向を整合し、スキュー補正を行う動作を示す動作説明図である。図10の状態で、冊子BTが第2の間隔d2に押し込まれ、間隔を第2の間隔d2に維持した状態で、後端ジョガー319を駆動する。後端ジョガー319は、冊子BTの小口側(後端部BT1)を位置決めストッパ317方向に押し、冊子BTの背側(搬送方向先端部BT2)を位置決めストッパ317に突き当てる。これにより、冊子BTの搬送方向の位置決めが行われる。したがって、間隔d2は冊子BTを押さえ、冊子BTにゆがみやひずみが生じない状態で後端ジョガー319により冊子BTを位置決めストッパ317側に移動可能な間隔、すなわち、シート高さを絞り込み、整合処理が可能な間隔である。
なお、冊子BTを位置決めストッパ317に突き当てる手段としては、第1及び第2の搬送ベルト310,312により冊子BTを移動させる方法も採用することが可能である。しかし、第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送力が大きいと冊子BTの表面紙にめくれが発生する場合もある。その場合には、第1及び第2の搬送ベルト310,312により冊子BTに前記めくれが発生しないように搬送力を設定する必要がある。本実施形態では、このようなめくれの発生を避けるために後端ジョガー319を使用している。
図12は冊子を押圧して固定するときの動作を示す動作説明図である。冊子BTが図11のようにして後端ジョガー319によって位置決めストッパ317との間で位置決めされると、上部ユニット300c2をさらに下降させ、第3の間隔d3の位置に移動させる。これにより、冊子BTを下部ユニット300c1側に押圧して冊子BTを第1及び第2の搬送ベルト310,312間で固定する。
その際、第1の搬送ベルト312が冊子BTの上面に当接した後に、加圧プレート316をさらに下降させる。これにより、冊子BTを最小厚に保持した状態で、圧縮ばね314の弾性力が加圧力として冊子BTに加えられる。したがって、加圧プレート316の下降量を変更し、若しくは設定することにより冊子BTに付与される加圧力を制御することができる。上部ユニット300c2の下降量(第1及び第2の搬送ベルト310,312間の間隔)及び加圧プレート316の下降量は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、紙種(特殊紙等)の冊子情報に対応して決定される。間隔d3は、冊子BTの各シートが伸びた状態で冊子BTを最小厚に押圧し、最終厚さに仕上げるに足る間隔、すなわち、冊子BTを押圧し、固定することが可能な間隔である。
図13は冊子整合後に断裁するときの動作を示す動作説明図である。図12で示したように冊子BTの位置を整合し、押圧して固定した後、断裁上刃305の近傍に設けられた押圧部材306を下降させて冊子BTの断裁位置近傍をベース307の上面に押さえ付け、断裁上刃305を下降させることにより断裁下刃307との間で冊子BTの小口の断裁が行われる。断裁された小口側の冊子片は屑受け320に収容される。また、加圧プレート316の下降量は、押圧部材306が下降して冊子BTの小口側をベース306の上面に押さえる付ける際に、冊子BTの各シート特に表面紙がずれないように保持し、固定できるような押圧力を圧縮ばね314によって付与可能な量である。
図14は断裁終了後の動作を示す動作説明図である。図13に示す断裁が行われた後、断裁上刃105及び押圧部材106が断裁位置から上方の初期位置に待避する。次いで、加圧プレート316及び上部ユニット300c2が上昇し、冊子搬送可能程度の加圧力になるまで冊子BTに加わる圧力を解除する。このときの上方への移動距離は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、紙質(特殊紙)等の冊子情報に対応して決定される。その後、第1及び第2の搬送ベルト310,312を搬送方向に回転させ、小口が断裁された冊子BTを断裁装置300の機外に排出し、排紙が完了した時点で断裁装置300内の一連の動作が完了する。
なお、第1ないし第3の間隔d1,d2,d3、及び加圧プレート316の下降量について参照するデータベースは、断裁装置3で断裁処理される可能性のある冊子BTのシート厚、シートサイズ、綴じ枚数、紙種(特殊紙等)の各要素の組み合わせについて、予め出荷前に実機により最適な前記間隔d1,d2,d3及び下降量を求めておき、これをデータベース化したものである。例えば、画像形成装置PRのCPU_PR1からシート厚が通常厚(薄紙、通常紙、厚紙と分けた場合の通常紙の厚さ:例えば、メートル坪量g/m2で表される)、シートサイズがA3、綴じ枚数が10枚、紙種が普通紙という冊子情報が断裁装置3のCPU351に送信されてくると、CPU351はメモリのデータベースを参照し、前記冊子情報に対応する第1ないし第3の間隔d1,d2,d3、及び加圧プレート316の下降量を求め、第1ないし第3の間隔d1,d2,d3、及び加圧プレート316の下降量を決定する。これにより、最適な保持力若しくは押圧力で冊子BTを保持した状態で断裁処理が可能となる。
このように保持することにより、冊子BTにおける撓みの発生を抑制するとともに冊子BTを押圧部材で押圧したときのずれの発生を防止し、精度の良いシート処理が可能となる。
このように本実施形態では、冊子BTにおける撓みの発生を抑制するとともに冊子BTを押圧部材で押圧したときのずれの発生を防止し、精度の良いシート処理が可能となるが、第1及び第2の搬送ベルト310,312の静摩擦係数が小さいので、従来の静摩擦係数が大きい場合に比べて、小さくなった分、冊子BTの搬送力が落ちすることになる。そのため、今度は、冊子BTの位置決め、スキュー補正、及び断裁処理後の冊子BTの持ち出し(搬送)などが問題となる。
そこで、本実施形態では、冊子BTに対する搬送力を押圧固定時と搬送時で変更することができるようにした。図16及び図17は本実施形態における搬送力を変更する機構を備えた上部及び下部ユニットを示す図で、図16は正面図、図17は下部ユニットの斜視図である。
本実施形態では、下部ユニット300c1の第1の搬送ベルト310のベルトの間、上部ユニット300c2の第2の搬送ベルト312のベルトの間にそれぞれ第1及び第2のバキュームベルト装置325,326を設け、第1及び第2の搬送ベルト310,312を有する第1及び第2のバキュームベルト310a,312aとして構成した。第1のバキュームベルト装置325は、図17に示すように位置決めストッパ317との干渉を防止するため平面視U字状の本体を有し、U字状の内側の空間部325aに位置決めストッパ317が位置するようになっている。第2のバキュームベルト装置326も同様である。
また、第1のバキュームベルト装置325の本体の冊子BTの搬送側にはエアーの吸引・噴出口327が多数設けられている。また、本体内部は空洞であり、外部エアー吸引・噴出部328を介して外部の図示しない送風機に連結されている。これにより、当該送風機の回転方向に応じて吸引・噴出口327からのエアー吸引及びエアー噴出が行われる。第2のバキュームベルト装置326はエアーの吸引・噴出口327が下向きになるだけで、第1のバキュームベルト装置325と同様に構成されている。
第1及び第2のバキュームベルト310a,312aは、吸引・噴出口327から吸引され、噴出するエアー流通孔が多数形成されたエンドレスベルトであり、第1及び第2のバキュームベルト装置325,326と組み合わされる。この組み合わせにより、搬送路300のエアーを吸引し、また、搬送路300にエアーを噴出させることができる。その結果として、搬送路300に沿って搬送される冊子BTをバキュームベルト側に引き寄せ、あるいはバキュームベルト側から引き離すことができる。
なお、送風機のモータは断裁装置3のCPU351によって駆動制御される。そのため、送風機の回転速度(単位時間当たりの回転数)を制御すると、吸引力を制御することが可能となり、ひいてはバキュームベルトの搬送力を制御することができる。
すなわち、第1及び第2の搬送ベルト310a,312aでは、送風機を用いて外部エアー吸引・噴出部328からエアーの吸引量及び供給量を制御する。エアーはエアー吸引・噴出口327を介して第1及び第2のバキュームベルト310a,312aの搬送路300側の面から本体内に吸引され、あるいは本体内から第1及び第2のバキュームベルト310a,312aの搬送路300側の面へ供給される。冊子BTの搬送時は搬送力を増加させるためにエアー吸引を行い、押圧固定時は抵抗力を生むためエアー吸引は行わない。さらに、表側のシートBT10に関する冊子情報に応じてさらに抵抗を小さくする必要があれば、押圧時にエアーの吸引・噴出口327からエアーを噴出させて表側のシートBT10表面との抵抗を小さくすることも可能である。
図18及び図19は、搬送力あるいは抵抗力を変更する制御手順を示すフローチャートで、断裁装置3のCPU351によって実行される。図18は冊子搬送時の制御手順を示すフローチャートであり、この処理手順では、まず、画像形成装置PRのCPU_PR1からの冊子情報を認識し(ステップS101)、認識した冊子情報に基づいて搬送力を設定する(ステップS102)。ここでいう搬送力とは、エアーの吸引・噴出口327から吸引されるエアーの吸引力である。そして、初期状態(エアーを吸引も噴出もしていない状態)からエアーの吸引を開始し、搬送力を増加させ(ステップS103)、冊子BTを搬送する(ステップS104)。所定位置までの搬送が終了すると、エアーの吸引を停止し、搬送力を元の状態、すなわち第1及び第2の搬送ベルト310,312と冊子BTの表側のシートBT1との間の摩擦力のみが作用して生成される搬送力の状態に戻す(ステップS105)。
他方、冊子BTの押圧固定時には、図19に示すように冊子情報を認識し(ステップS201)、認識した冊子情報に基づいて搬送力を設定する(ステップS202)。ここでいう搬送力とは、エアーの吸引・噴出口327から噴出されるエアーの噴出力であり、初期状態(エアーを吸引も噴出もしていない状態)からエアーの噴出を開始し、抵抗力を低減させる(ステップS203)。そして、この状態で冊子BTを第3の間隔d3まで押圧する(ステップS204)。そして、整合処理が終了すると、エアーの噴出を停止し、搬送力を元の状態、すなわち第1及び第2の搬送ベルト310,312と冊子BTの表側のシートBT1との間の摩擦力のみが作用して生成される搬送力(抵抗力)の状態に戻す(ステップS205)。
これにより、押圧固定時には搬送力(抵抗力)を低くして撓みBT10の発生を防止し、搬送時には、搬送力(抵抗力)を大きくして十分な搬送力で冊子BTを搬送することができる。
なお、図16及び図17はバキュームベルト装置326を使用して搬送力を変更しているが、この他に静電吸着ベルトを用い、静電吸着ベルトに発生する静電量を制御することにより冊子BTの表側のシートBT1に対する吸着力を変更し、搬送力を変更するように構成することも可能である。
また、図18及び図19に示した制御手順においても、冊子情報を使用しているが、この場合も冊子情報であるシート厚、シートサイズ、綴じ枚数、特殊紙等の各要素の情報の組み合わせについて、予め出荷前に実機により最適な送風機の回転方向と回転速度とを求め、これをデータベース化して例えばメモリテーブルに保持しておき、取得された冊子情報に基づいてメモリテーブルを参照し、最適な搬送力(抵抗力)及び搬送力に対応する送風機の回転方向と回転速度を設定する。送風機の回転方向と回転速度は、送風機を駆動するモータを前述のようにCPU351によって制御することによって設定される。また、静電吸着ベルトの場合には、例えば印加する電圧をCPU351によって制御して設定する。
なお、本実施形態では、画像形成システムの中の1つの構成要素として断裁装置3が備えられ、前記制御は断裁装置3で実行されることから、システムのメインCPUとして機能する画像形成装置PRのCPU_PR1によって前記制御を実行するように構成することもできる。
以上のように本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1)第1及び/又は第2の搬送ベルト310,312の搬送力を変更する手段を備えているので、搬送力の必要性に応じて搬送力を変更することにより、搬送されてきた冊子BTにずれを生じさせることなく冊子BTを押圧し、固定することができる。
2)冊子BTを搬送する場合は、冊子BTを押圧固定する場合よりも大きな搬送力に変更するので、冊子BTに撓みが生じないようにした上で、冊子BTの搬送力を確保することができる。
3)搬送力は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、特殊紙の少なくとも1つの情報を含む冊子情報に基づいて変更されるので、冊子BTのシート厚、シートサイズ、綴じ枚数、シートの種類に応じた適切な押圧固定動作と搬送動作が可能になり、冊子BTにずれが生じる虞がなくなる。
4)第1及び第2の搬送ベルトとして、静電吸着ベルト又はバキュームベルト310a,312aを使用することにより、容易に搬送力の変更が可能となる。
5)冊子BTを押圧固定する際に前記静電吸着ベルト又はバキュームベルト310a,312aによって冊子BTを前記ベルトから離間させる動作を実行させ、搬送力を弱くするので、冊子BTにずれが生じる虞がなくなる。
6)冊子BTを押圧固定する場合には、冊子BTを搬送する際に搬送力が大きくなるように変更したものを、変更する前の搬送力に戻すので、冊子BTにずれが生じる虞がなくなる。
7)弱い抵抗力で押圧固定した状態で冊子BTの小口部を断裁する断裁上刃305及び断裁下刃307を備えているので、断裁後、撓みが戻ることがなくなり、綺麗な小口部を保持することができる。
8)画像形成装置PR、第1ないし第3のシート後処理装置1,2,3からなる画像形成システムが本実施形態に係る冊子搬送装置を備えているので、画像形成されたシートを2つ折りして冊子BTを形成し、その冊子BTの小口を断裁するまでを一連の動作として実行することが可能であり、その際、冊子搬送装置を含む断裁装置(第3のシート後処理装置)3で小口部を断裁することにより、綺麗な小口部の製本とすることができる。
なお、特許請求の範囲におけるシート束は符号SBに、冊子は符号BTに、一対の搬送手段は第1及び第2の搬送ベルト310,312に、冊子の先端部は符号BT2に、位置決め手段は位置決めストッパ317に、押圧手段は上部ユニット300c2及び第2の搬送ベルト312に、搬送力変更手段はCPU351、送風機及びモータに、バキュームベルトは符号310a,312aに、断裁手段は断裁上刃305及び断裁下刃307に、画像形成システムは画像形成装置PR、第1ないし第3のシート後処理装置1,2,3に、第2のシート後処理装置2は中綴じ製本装置に、第3のシート後処理装置3は断裁装置に、それぞれ対応する。
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
1 第1のシート後処理装置
2 第2のシート後処理装置(中綴じ製本装置)
3 第3のシート後処理装置(断裁装置)
300c2 上部ユニット
305 断裁上刃
307 断裁下刃
310 第1の搬送ベルト
310a 第1のバキュームベルト
312 第2の搬送ベルト
312a 第2のバキュームベルト
317 位置決めストッパ
325 第1のバキュームベルト装置
326 第2のバキュームベルト装置
351 CPU
BT 冊子
BT1 表側のシート
BT2 冊子の先端部
PR 画像形成装置
PR1 CPU
SB シート束
特開2004−196494号公報

Claims (5)

  1. シート束を折って形成された冊子を搬送し、両者間の間隔が可変の一対の搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される前記冊子の先端部が突き当たり、位置決めする位置決め手段と、
    前記位置決め手段によって位置決めされた前記冊子を前記搬送手段の一方に押し付けて押圧固定する押圧手段と、
    前記搬送手段から前記冊子に作用する力を変更する変更手段と、
    を備えた冊子搬送装置であって、
    前記変更手段は、前記冊子の搬送の過程で、前記搬送手段と前記冊子との間に摩擦力のみが作用する第1の状態、当該摩擦力に冊子を吸着する力が付加された第2の状態、及び冊子を前記搬送手段から離間させる力が作用する第3の状態に変更するものであり
    前記変更手段により、前記搬送手段から前記冊子に作用する力は、前記冊子を搬送する際前記第1の状態から前記第2の状態となり、前記搬送手段により前記冊子が搬送され、当該冊子先端部が前記位置決め手段に突き当たるまでは前記第2の状態であり、前記冊子先端部が前記位置決め手段に突き当たった後は、前記第2の状態から前記第1の状態となり、前記搬送手段により前記冊子が搬送されない押圧固定時には、前記第1の状態から前記第3の状態となり、前記押圧手段による押圧固定動作が終了すると前記第3の状態から前記第1の状態となり、
    前記押圧手段は、前記押圧固定時における前記第3の状態で前記冊子を押圧固定することを特徴とする冊子搬送装置。
  2. 請求項1記載の冊子搬送装置であって、
    前記変更手段は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、特殊紙の少なくとも1つの情報を含む冊子情報に基づいて前記冊子に作用する力を変更すること
    を特徴とする冊子搬送装置。
  3. 請求項1又は2に記載の冊子搬送装置であって、
    前記搬送手段が、電荷によって前記冊子を吸着しあるいは離間させる静電吸着ベルト、又はエアーを吸引しあるいは噴出することによって前記冊子を吸着しあるいは離間させるバキュームベルトであること
    を特徴とする冊子搬送装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の冊子搬送装置であって、
    前記押圧手段によって押圧固定した位置で前記冊子の小口部を断裁する断裁手段を備えていること
    を特徴とする冊子搬送装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の冊子搬送装置を備えていることを特徴とする画像形成システム。
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