以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する本発明の実施の形態は、本発明の代表的な形態を示したものに過ぎず、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明は、本発明の骨子を逸脱しない範囲、即ち、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲で種々変形して実施することができる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成システム1の構成図である。図2は、画像形成システム1の制御構成のブロック図である。図3は、画像形成システム1における中折り中綴じ製本装置4の構成図である。図4は、画像形成システム1における断裁装置5の構成図である。
本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成システム1は、例えば、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置で記録された用紙、記録紙、転写紙などのシートを綴じ処理した後、折り処理を施し、冊子とした後、該冊子の端部を断裁して製本する画像形成システムとして用いられる。
本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成システム1は、図1に示すように、画像形成装置2と、シート束処理装置3と、中折り中綴じ製本装置(以下、「製本装置」という。)4と、用紙処理装置としての断裁装置5と、を備えており、画像形成装置2、シート束処理装置3、製本装置4、および、断裁装置5がこの順で連結されている。
本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成システム1では、図2に示すように、画像形成装置2は、CPU(Central Processing Unit)192とRAM(Random Access Memory)とI/Oインタフェース等とを有するマイクロコンピュータが搭載された制御回路191と、通信ポート193と、を備え、シート束処理装置3は、CPU195とRAMとI/Oインタフェース等とを有するマイクロコンピュータが搭載された制御回路194と、通信ポート196,197と、を備え、製本装置4は、CPU199とRAMとI/Oインタフェース等とを有するマイクロコンピュータが搭載された制御回路198と、通信ポート200,201と、を備え、断裁装置5は、CPU203とRAMとI/Oインタフェース等とを有するマイクロコンピュータが搭載された制御回路202と、通信ポート204と、を備えており、画像形成装置2、シート束処理装置3、製本装置4、断裁装置5が、それぞれの通信ポート193,196,197,200,201,204を介して制御的に直列に接続されている。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成システム1では、シート束処理装置3の制御回路194のCPU195、製本装置4の制御回路198のCPU199、断裁装置5の制御回路202のCPU203のそれぞれは、画像形成装置1の制御回路191のCPU192をメインCPUとして、このCPU192の制御下におかれ、サブCPUとして機能する。すなわち、シート束処理装置3、製本装置4、断裁装置5のそれぞれは、それぞれに搭載されたCPU195,199,203によって制御され、システム的な制御は画像形成装置2のCPU192によって実行される。
なお、シート束処理装置3、製本装置4、断裁装置5のそれぞれで実行される制御は、各装置の制御回路194,198,202のROMに格納されたプログラムコードを各装置の制御手段としての制御回路194,198,202のCPU195,199,203が読み込み、各装置の制御回路194,198,202のRAMをワークエリアおよびデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
シート束処理装置3の制御回路194のCPU195は、シート束処理装置3の通信ポート196と、画像形成装置2の通信ポート193とを介して、画像形成装置2の制御回路191のCPU192と相互に通信可能である。
製本装置4の制御回路198のCPU199は、製本装置4の通信ポート200と、シート束処理装置3の通信ポート196,197および制御回路194のCPU195と、画像形成装置2の通信ポート193とを介して、画像形成装置2の制御回路191のCPU192と相互に通信可能である。
断裁装置5の制御回路202のCPU203は、製本装置4の通信ポート200,201および制御回路198のCPU199と、シート束処理装置3の通信ポート196,197および制御回路194のCPU195と、画像形成装置2の通信ポート193とを介して、画像形成装置2の制御回路191のCPU192と相互に通信可能である。
このように、シート束処理装置3、製本装置4、断裁装置5のそれぞれの制御回路194,198,202のCPU195,199,203が、画像形成装置2の制御回路191のCPU192と相互に通信可能であるので、画像形成装置2の制御回路191のCPU192による制御に必要な情報は、断裁装置5の制御回路202のCPU203、製本装置4の制御回路198のCPU199、シート束処理装置3の制御回路194のCPU195から画像形成装置2側に送信され、画像形成装置2の制御回路191のCPU192からの制御信号は、シート束処理装置3、製本装置4、断裁装置5へと送信される。
画像形成装置2は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの複合機として公知の電子写真式画像形成装置が用いられ、モノクロあるいはフルカラーの画像をシート上に形成するものである。
画像形成装置2には、マン−マシンインタフェースとして機能する操作パネルPNが設けられており、該操作パネルPNによって、操作者からの入力および操作者への表示装置を介しての通知が可能となっている。
シート束処理装置3は、図1に示すように、画像形成装置2の後段に連結されており、画像形成装置2からのシートを重ね合わせて整合してシート束Sを形成し、後段の製本装置4にシート束Sを排紙するものである。
シート束処理装置3は、画像形成装置2からシートを1枚ずつ受け取るとともに順次重ね合わせて整合してシート束Sを作成するスタック部6と、作成したシート束Sを後段の製本装置4に排紙するためのシート束排紙ローラ7と、を備えている。
製本装置4は、シート束処理装置3の後段に連結されており、シート束処理装置3からのシート束Sを中綴じするとともに中折りして冊子Pを作成し、後段の断裁装置5に排紙するものである。
製本装置4は、図3に示すように、シート束処理装置3からのシート束Sを受け入れる入口搬送路11と、シート束Sを中綴じするとともに中折りするための搬送路13と、シート束Sが中折りされて作成された冊子Pを排紙するための排紙搬送路15と、シート束処理装置3からのシート束Sを中綴じ処理および中折り処理せずに排紙するためのシートスルー搬送路17と、シート束処理装置3からのシート束Sを前記搬送路13と前記シートスルー搬送路17とに振り分けるための分岐爪21と、を備えている。
入口搬送路11には、シート束処理装置3からのシート束Sを製本装置4内に送り込むための一対の入口ローラ19が設けられ、シートスルー搬送路17には、シート束処理装置3からのシート束Sを製本装置4から排紙するための一対の排紙ローラ31が設けられている。入口搬送路11およびシートスルー搬送路17は、水平方向に設けられているとともに一直線上に並んで設けられている。
搬送路13には、シート束Sを搬送するための一対の第1搬送ローラ23と、シート束Sを案内する第1搬送ガイド板33と、前記搬送路13内に搬送されたシート束Sの後端部分を叩いて揃える後端叩き爪35と、シート束Sを搬送路13の末端側にさらに搬送するための一対の第2搬送ローラ25と、前記搬送路13内のシート束Sの有無を検知するシート束検知センサ41と、前記搬送路13内のシート束Sの中折り処理をする中折り機構12と、前記搬送路13内のシート束Sの中綴じ処理をする中綴じ製本機構14と、前記搬送路13内のシート束Sの先端部分を一対の中綴じジョガフェンス47に案内する第2搬送ガイド板45と、前記一対の中綴じジョガフェンス47内のシート束Sの先端部分に当接して該シート束Sの位置決めをするための可動フェンス51と、が設けられている。搬送路13は、垂直方向に設けられている。
中折り機構12は、図示しない駆動モータによって水平方向に往復駆動される中折りプレート43を備えている。中綴じ製本機構14は、中綴じステイプラ49を備えている。後端叩き爪35は、前記後端叩き爪35を駆動するための駆動ベルト37と、前記後端叩き爪35のホームポジションを検知するための位置検知センサ39と、を備えている。
後端叩き爪35は、図示しない駆動モータによって駆動される駆動ベルト37上に設けられ、図面上に破線で示す位置をホームポジションとし、このホームポジションを基準として制御される。詳しくは、後端叩き爪35は、駆動ベルト37の往復回転動作によって、シート束Sの後端部分を可動フェンス51に向かって叩いて押圧し、シート束Sの整合動作を行い、また、シート束Sが搬送路13内に搬送される際、および、シート束Sが中折りのために上昇する際には、搬送路13からホームポジションに退避する。
可動フェンス51は、前記可動フェンス51を上下方向に往復動作させる可動フェンス駆動機構53と、前記可動フェンス51の上下方向の位置を検知するための位置検知センサ55と、を備えている。可動フェンス51の可動範囲は、製本装置4の処理可能な最大サイズから最小サイズまで処理可能な範囲に設定され、位置検知センサ55の位置から製本装置4の筐体の底面の近傍の位置までとされている。
可動フェンス51は、シート束Sの先端部分を支持した状態で上下方向に移動して、シート束Sの中央位置(中綴じ位置)を中綴じステイプラ49に対向する位置に合わせる。可動フェンス駆動機構53としては、例えば、ラックアンドピニオン機構が用いられる。
中折りプレート43は、水平方向に往復動可能であり、中折り処理を行う際の動作方向には、一対の中折りローラ27のニップが位置し、その延長上に排紙搬送路15が設けられている。
排紙搬送路15には、中折りプレート43によって中綴じ部分を中折りされたシート束Sを押圧して搬送するとともに簡易製本して冊子Pを作成するための一対の中折りローラ27と、前記一対の中折りローラ27で簡易製本された冊子Pを断裁装置5に排紙するための一対の冊子排紙ローラ29と、簡易製本された冊子Pの先端部分(冊子Pの折り目部分)を検知する通過検知センサ57と、を備えている。
断裁装置5は、製本装置4の後段に連結されており、製本装置4からの冊子Pの小口(冊子Pの後端部分)を断裁するものである。断裁装置5は、小口断裁処理、天地断裁処理、スクウェアホールド処理など、冊子Pの用途などに応じて種々の断裁処理を行うことができるものであり、本実施の形態では、小口断裁処理を行うものについて説明する。
断裁装置5は、図4に示すように、製本装置4からの冊子Pを断裁装置5内に搬送するための搬送部63と、冊子Pの後端部分を断裁するための断裁手段としての断裁部65と、冊子Pの整合を行うための整合部67と、冊子Pが搬送される冊子搬送路61と、を備えている。冊子搬送路61は、搬送部63、断裁部65、整合部67を貫いて水平方向に設けられている。冊子搬送路61の矢印は、冊子Pの搬送中心を示している。
搬送部63は、製本装置4からの冊子Pを冊子搬送路61に案内する一対のガイド板72と、冊子Pを冊子搬送路61内に搬送するための一対の搬送ローラ71と、冊子Pの後端部分(冊子Pの小口)を整合するためのジョガ(図13に示す)155と、を備えている。なお、一対の搬送ローラ71に代えて、冊子搬送路61の上下に一対の搬送ベルトを設け、この一対の搬送ベルトによって冊子Pを所定圧で狭持しながら搬送することもできる。
ジョガ155は、図示しないモータと、モータの駆動力によってジョガ155を水平方向に往復動させる動力伝達機構と、を備えている。
断裁部65は、冊子搬送路61の上側に上下動自在に設けられて冊子Pの後端部分(小口側)を断裁する断裁刃73と、冊子搬送路61の下側に固定された固定刃75と、冊子搬送路61の上側に上下動自在に設けられて冊子Pを押圧して固定する押圧部材77と、冊子搬送路61の下側に固定されて前記押圧部材77によって押圧された冊子Pを支持するベース部材79と、を備えている。
断裁刃73は、図示しない駆動機構によって固定刃75の刃先を超える位置にまで下方に駆動され、また、冊子Pが冊子搬送路61に搬送される際には、冊子Pの搬送の障害にならない位置にまで上方に駆動される。図面上の位置が待機位置であって、初期位置となる。
固定刃75は、ベース部材79に固定されており、その固定位置は、断裁刃73の刃先と、固定刃75の刃先とによって断裁可能な位置に設定されている。
断裁刃73と固定刃75とは、一対として設けられており、冊子Pに対して断裁刃73が下降し、断裁刃73と固定刃75との間で冊子Pの後端部分(冊子Pの小口側)が断裁される。なお、断裁された冊子屑を受け入れる屑受け69が断裁部65の下部に設けられている。
押圧部材77は、図示しない駆動機構によって上下動自在に駆動され、断裁刃73が下降して冊子Pを断裁する際には、ベース部材79の固定刃75の近傍で冊子Pを押圧して保持する。なお、断裁刃73および押圧部材77は、それぞれモータおよび該モータに連結された減速機構を用いた図示しない駆動機構によって駆動されるが、モータおよび減速機構に代えて、油圧によって上下方向に駆動するように構成することもできる。
整合部67は、冊子搬送路61の上部に設けられた第1ユニット81と、冊子搬送路61の下部に設けられた第2ユニット83と、を備えている。整合部67には、第1搬送手段91と第2搬送手段99との間に冊子Pを狭持して搬送する冊子搬送手段90と、前記第1搬送手段91と前記第2搬送手段99との間隔を調整する間隔調整手段(不図示)と、が設けられている。
第1ユニット81は、垂直方向に設けられたガイド軸85と、前記ガイド軸85に設けられるとともに該ガイド軸85に沿って上下動可能に設けられた加圧プレート87と、前記ガイド軸85の下側に設けられた支持部材92と、前記ガイド軸85に外挿され且つ前記加圧プレート87と前記支持部材92とを離間させる方向に付勢する圧縮バネ89と、前記支持部材92に支持された第1搬送手段91と、を備えている。
第1ユニット81は、図示しない間隔調整手段によって、ガイド軸85、加圧プレート87、支持部材92、圧縮バネ89、第1搬送手段91が一体的に上下動可能であり、第1搬送手段91と後述する第2搬送手段99との相対的な間隔を変更可能である。
なお、第1ユニット81を上下動させて第1搬送手段91と第2搬送手段99との相対的な間隔を調整する間隔調整手段は、モータと、前記モータの駆動力によって第1ユニット81を上下方向に移動させる動力伝達機構と、上下方向のガイドとを備えている。また、加圧プレート87を上下動させる駆動手段は、モータと、前記モータの駆動力によって加圧プレート87を上下方向に移動させる動力伝達機構と、を備えている。
そして、間隔調整手段によって第1ユニット81を下降させて第1搬送手段91に冊子Pの上面を押し当てた後、加圧プレート87および支持部材92の初期間隔の状態から前記加圧プレート87を下降させると、圧縮バネ89がさらに圧縮され、この圧縮バネ89による加圧力が生じ、冊子Pの保持力、あるいは押圧力をより大きくすることができる。
第1搬送手段91は、図示しないモータで回転駆動される駆動プーリ93と、回転自在に設けられた従動プーリ95と、前記駆動プーリ93と前記従動プーリ95とに掛架された無端状の第1搬送ベルト97と、を備えている。第1搬送手段91は、支持部材92に一体的に支持されている。
第2ユニット83は、冊子Pを搬送する第2搬送手段99と、冊子Pの先端部分に当接して該冊子Pの位置決めをするストッパ109と、冊子Pを円滑に案内するためのガイド板107と、を備えている。
第2搬送手段99は、図示しないモータで回転駆動される駆動プーリ101と、回転自在に設けられた従動プーリ103と、前記駆動プーリ101と前記受動プーリ103とに掛架された無端状の第2搬送ベルト105と、を備えている。第2搬送手段99は、断裁装置5の筐体に一体的に支持されている。第2搬送ベルト105の上面は、ベース部材79の上面と同一平面上に位置し、冊子Pの搬送の基準面としても機能する。
ストッパ109は、冊子Pの先端部分が当接される立設壁と、前記立設壁の下端部分から冊子受入口70に向かって延長された延長片と、を備えている。ストッパ109は、図示しないモータと、前記モータの駆動力によってストッパ109を水平方向に往復動させる動力伝達機構と、を備えており、その往復動する可動範囲が、断裁部65の押圧部材77の近傍から冊子排紙口183の近傍までに設定されている。
ストッパ109の延長片には、冊子Pの先端部分がストッパ109の立設壁に当接して前記冊子Pの整合が完了したことを検知する第1検知手段としての第1センサ113と、ストッパ109と冊子Pの先端部分とが当接する前に該先端部分を検知する第2検知手段としての第2センサ111と、が設けられている。
第1センサ113は、ストッパ109の延長片の先端部分に設けられ、第2センサ111は、ストッパ109の延長片の基端部分に設けられている。第1センサ113および第2センサ111は、それぞれ断裁装置5の制御手段としての制御回路202に接続されており、制御回路202によって、冊子Pの整合が完了したことを前記第1センサ113が検知するまでは、断裁部65での断裁処理を中断するように制御し、冊子Pの先端部分を前記第2センサ111が検知した時に、冊子搬送手段90による冊子Pの搬送を中断するとともに、ジョガ155によって冊子Pの後端部分を押圧するように制御する。
第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105は、冊子Pの搬送機能を有するとともに、冊子Pの整合時のガイド手段としての機能も有しており、冊子Pと接する面は、シートとの摩擦係数が低くなるような材質が使用され、かつ、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105の摩擦係数が同程度に設定されている。このため、冊子Pの押圧時に該冊子Pの上部および下部にかかる力が低くなり、前記上部および前記下部にかかる力が同程度になるので、押圧時のズレを低減化することができる。
第1搬送手段91および第2搬送手段99を有する冊子搬送手段90は、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105の搬送位置の位相がズレないように、第1搬送ベルト97の駆動プーリ93および第2搬送ベルト105の駆動プーリ101の駆動を連結している。
次に、図5〜図16を参照して、上述の如く構成された画像形成システム1における動作およびそのときの処理について説明する。図5は、断裁装置5に設けられた制御手段によって実行される制御の手順を示すフローチャートである。図6〜図10は、製本装置4における中綴じ処理および中折り処理の動作を示す説明図である。図11〜図16は、断裁装置5における押圧処理および断裁処理の動作を示す説明図である。
図6に示すように、画像形成装置2の操作パネル(図2参照)PNから中綴じ中折りが選択されると、この中綴じ中折りが選択されたシート束Sは、製本装置4の分岐爪21の反時計方向への偏倚動作によって搬送路13側に導かれる。なお、分岐爪21は、コイルと鉄心とを有するソレノイドで駆動されるが、ソレノイドに代わって、モータ駆動であってもよい。
搬送路13内に搬入されたシート束Sは、入口ローラ(図3参照)19と第1搬送ローラ23とによって搬送路13の下方に搬送され、シート束検知センサ41によって通過が確認された後、第2搬送ローラ25によって可動フェンス51にシート束Sの先端部分が当接する位置まで搬送される。
その際に、画像形成装置2からのシートサイズ情報、ここでは、各シート束Sの搬送方向のサイズ情報に応じて可動フェンス51が、各シート束Sに適した停止位置で待機している。このとき、第2搬送ローラ25は、ニップにシート束Sを狭持し、後端叩き爪35は、ホームポジションに待機している。
この状態で、図7に示すように、第2搬送ローラ25のうちの一方が矢印a方向に移動して狭持圧が解除され、可動フェンス51にシート束Sの先端部分が当接して該シート束Sが支持され、シート束Sの後端部分がフリーになった状態でスタックされると、後端叩き爪35が矢印c方向に駆動され、シート束Sの後端部分を後端叩き爪35が叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う。
次いで、中綴じジョガフェンス47によってシート束Sの幅方向(搬送路13におけるシート束Sの搬送方向に対して直交する方向)の揃え動作が実行され、また、可動フェンス51と後端叩き爪35とによって搬送方向の揃え動作が実行され、シート束Sの幅方向および搬送方向の整合動作が完了する。このとき、シートのサイズ情報、シート束Sの枚数情報、シート束Sの厚み情報によって、後端叩き爪35、中綴じジョガフェンス47の押し込み量を最適の値に変更して整合する。
なお、シート束Sの厚みが大きいと搬送路13内の空間が減少するので、一度の整合動作では整合しきれない場合がある。そこで、このような場合には、整合回数を増加させることによって、より良好な整合状態を実現することができる。また、シート束Sを構成するシート枚数が多いほど、シート束処理装置(図1参照)3でシートを順次重ね合わせる時間が長くなるが、整合回数を増加させると整合処理時間も長くなるので、システムとしての時間の損失はない。したがって、シート束Sの厚みが大きい場合であっても、効率的に良好な整合状態を実現することができる。
次いで、シート束Sの中央部に中綴じステイプラ49のステッチャ49aを矢印b方向に駆動し、クリンチャ49bとの間で針171によって綴じ処理し、シート束Sを中綴じする。この際には、可動フェンス51の待機位置は、通常、シート束Sの中綴じ位置が、中綴じステイプラ49の綴じ位置に対向する位置に設定される。この位置でシート束Sを整合すると、可動フェンス51をシート束Sの中綴じ位置に移動させることなく、スタックされた位置でそのまま綴じ処理が可能となるからである。
なお、可動フェンス51は、該可動フェンス51の位置を検知する位置検知センサ55からのパルス制御によって位置決めされ、後端叩き爪35は、該後端叩き爪35のホームポジションを検知する位置検知センサ39からのパルス制御によって位置決めされる。可動フェンス51および後端叩き爪35の位置決め制御は、製本装置4の制御回路198のCPU199によって実行される(図2参照)。
この状態で、図8に示すように、中綴じされたシート束Sは、第2搬送ローラ25の狭持圧が解除された状態で可動フェンス51を上方(矢印d方向)に移動させ、この可動フェンス51の上方移動に伴って中綴じ位置(シート束Sの中央部)が中折りプレート43に対向する位置にまで移送される。この位置も可動フェンス51の位置を検知する位置検知センサ55の検知位置を基準に制御される。
次いで、図9に示すように、中折りプレート43が中折りローラ27のニップに向かって矢印e方向に移動し、中綴じした針171近傍のシート束Sに対して略直交方向で当接して、前記ニップ側に押し出す。押し出されたシート束Sは、中折りプレート43によって押されて中折りローラ27のニップに導かれ、予め回転していた中折りローラ27のニップに押し込まれる。中折りローラ27は、ニップに押し込まれたシート束Sを加圧し、搬送する。この加圧搬送動作によって、シート束Sの中央に折りが施され、簡易製本された冊子Pが形成される。
次いで、図10に示すように、シート束Sの中央部が2つ折りされて加圧されて形成された冊子Pは、排紙搬送路15内を搬送され、冊子排紙ローラ29のニップに狭持されて断裁装置5に排紙される。このとき、冊子Pの後端部分が通過検知センサ57に検知されると、中折りプレート43および可動フェンス51は、ホームポジションに復帰し、第2搬送ローラ25は、加圧状態に復帰して、次のシート束Sの搬入に備える。なお、次のジョブが同サイズかつ同枚数であれば、可動フェンス51は、図6の位置に移動して待機するようにしてもよい。これらの制御も製本装置4の制御回路198のCPU199によって実行される。
次いで、図5および図11に示すように、冊子Pがガイド板72にガイドされて断裁装置5に搬入される。その際に、冊子受入口70に設けられた図示しない入口センサからの冊子先端部分検知信号、または、製本装置4の通過検知センサ57からの冊子Pの折り目先端検知信号を検知すると(ステップS1)、断裁装置5の各部は冊子Pの受け入れ準備動作を開始する(ステップS2)。なお、ここでいう冊子Pの受け入れ準備動作とは、第1ユニット81を初期位置から下降させる動作である。
次いで、受け入れ準備動作によって、第1搬送手段91の第1搬送ベルト97の下面と、第2搬送手段99の第2搬送ベルト105の上面との間隔が、冊子Pの搬入時の第1間隔d1となる位置に移動する(ステップS3)。
なお、第1間隔d1は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、特殊紙等の冊子情報から、断裁装置5の制御回路202内の図示しないメモリに格納されたデータベースを参照し、CPU203が決定している。すなわち、CPU203は、画像形成装置2の制御回路191のCPU192から前記CPU203に送信された冊子情報に基づいて、押圧処理および断裁処理を実行する。
また、第1間隔d1は、冊子Pが搬送ローラ71によって断裁装置5内に搬入された際に、第1搬送手段91の第1搬送ベルト97と第2搬送手段99の第2搬送ベルト105とによって冊子Pを狭持して搬送可能な摩擦力を付与できる間隔である。すなわち、第1間隔d1は、冊子Pを搬送できるだけの間隔であればよい。
続いて、ストッパ109が、冊子Pのサイズ、断裁量等の情報によって冊子Pの位置決めを行う位置にまで移動する(ステップS4)。移動が完了すると(ステップS5:YES)、搬送ローラ72、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105は回転を開始し、冊子Pの受け入れを開始する(ステップS6)。
このような状態で、ストッパ109の第2センサ111が冊子Pの背部(折り目)先端を検知し(ステップS7:YES)、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105は回転を停止し、冊子Pの先端部分(折り目もしくは背部)が、ストッパ109の所定量手前で停止する(ステップS8)。このストッパ109が所定量の手前で停止する位置は、画像形成装置2の制御回路191のCPU192から断裁装置5の制御回路202のCPU203に送信された冊子情報のシートサイズ情報に基づいて、前記CPU203が決定している。
なお、ストッパ109の延長片の先端部分に第2センサ111を設けることによって、冊子のPの先端部分がストッパ109の所定量手間で停止するようにしており、その所定量に応じて延長片の延長量や第2センサ111の取付位置を変更してもよい。
次いで、図12に示すように、冊子Pが停止した状態で、第1ユニット81は、第1搬送ベルト97の下面と第2搬送ベルト105の上面との間隔が第2間隔d2となる位置に下降する(ステップS9,S10)。これにより、膨らんで厚みのある冊子Pを一定の高さにまで押さえ付ける。なお、第2間隔d2も、第1間隔d1と同様に、整合間隔としてシート厚、シートサイズ、綴じ枚数、特殊紙等の冊子情報に対応して決定される。この状態では、まだ、支持部材92の位置が整合位置に変更されただけである。このようにして、停止した冊子Pを一定の厚さにまで押さえ付ける動作が行われる。
次いで、図13に示すように、冊子Pが第2間隔d2に押し込まれ、この第2間隔d2に維持した状態で、ジョガ155を駆動する。ジョガ155は、冊子Pの小口側(冊子Pの後端部分)をストッパ109に向かって押し、冊子Pの背側(搬送方向先端部分)をストッパ109に突き当てる(ステップS11)。これにより、冊子Pの搬送方向の位置決め、および、整合が行われ、整合が完了したことが第1センサ113に検知される(ステップS12)。このようにして、冊子Pの搬送方向を整合する整合動作が行われる。
なお、冊子Pをストッパ109に突き当てる手段としては、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105によって冊子Pを移動させる方法も採用可能である。しかし、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105の搬送力が大きいと、冊子Pの表面紙にめくれが発生する場合もある。その場合には、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105によって冊子Pにめくれが発生しないように、搬送力を設定する必要がある。本実施形態では、このようなめくれの発生を避けるために、ジョガ155を使用している。
また、第2間隔d2は、冊子Pを押さえ、冊子Pにゆがみやひずみが生じない状態で、ジョガ155によって冊子Pをストッパ109側に移動可能な間隔、すなわち、シート高さを絞り込み、整合処理が可能な間隔である。
次いで、図14に示すように、冊子Pがジョガ155とストッパ109との間で位置決めされ、冊子Pの整合の完了が第1センサ113に検知されると、第1ユニット81をさらに下降させ、第3間隔d3の位置に移動させる(ステップS13,S14)。これにより、冊子Pを第2ユニット83側に押圧して、冊子Pを第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105の間で固定する(ステップS15)。このようにして、冊子Pを押圧して固定する。
その際に、第1搬送ベルト97が冊子Pの上面に当接した後に、加圧プレート87をさらに下降させる。これにより、冊子Pを最小厚に保持した状態で、圧縮バネ89の弾性力が加圧力として冊子Pに加えられる。したがって、加圧プレート87の下降量を変更し、もしくは設定することによって、冊子Pに付与される加圧力を制御することができる。
このような第1ユニット81の下降量(第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105の間隔)および加圧プレート87の下降量は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、紙種(特殊紙等)の冊子情報に対応して決定される。第3間隔d3は、冊子Pの各シートが伸びた状態で該冊子Pを最小厚に押圧し、最終厚さに仕上げるに足る間隔、すなわち、冊子Pを押圧し、固定することができる間隔である。
次いで、図15に示すように、冊子Pの位置を整合し、押圧して固定した後、断裁刃73の近傍に設けられた押圧部材77を下降させて冊子Pの断裁位置近傍をベース部材79の上面に押さえ付け(ステップS16)、断裁刃73を下降させることによって固定刃75との間で冊子Pの小口の断裁が行われる(ステップS17)。断裁された冊子屑は、屑受け69に収容される。また、ステップS15における加圧プレート87の下降量は、押圧部材77が下降して冊子Pの小口側をベース部材79の上面に押さえ付ける際に、冊子Pの各シート、特に表面紙がズレないように保持し、固定できるような押圧力を圧縮バネ89によって付与可能な量である。
次いで、図16に示すように、断裁が行われた後、断裁刃73および押圧部材77が、断裁位置から上方の初期位置に退避する(ステップS18)。次いで、加圧プレート87および第1ユニット81が上昇し、冊子Pの搬送が可能な程度の加圧力になるまで該冊子Pに加わる圧力を解除する(ステップS19)。このときの加圧プレート87および第1ユニット81の上方への移動距離は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、紙質(特殊紙等)などの冊子情報に対応して決定される。
次いで、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105を搬送方向に回転させ(ステップS20)、小口が切断されて製本された冊子Pを断裁装置5から排紙し、排紙が完了した時点(ステップS21)で、断裁装置5内の一連の動作が完了する。
なお、冊子Pを断裁装置5から排紙する際に、ストッパ109を冊子排紙口183の近傍に移動させ、第1センサ113または第2センサ111のうちの一つに冊子Pの排紙の完了を検知させるようにしてもよい。これにより、断裁装置5の制御回路202のCPU203から画像形成装置2の制御回路191のCPU192に、冊子の排紙の完了を送信し、画像形成装置2の操作パネルPNに用紙処理の完了を表示させたり、通知させたりするようにしてもよい。
なお、ステップS3,S10,S14における第1間隔ないし第3間隔d1,d2,d3、および、ステップS15における加圧プレート87の下降量について参照するデータベースは、断裁装置5で断裁処理される可能性のある冊子Pのシート厚、シートサイズ、綴じ枚数、紙種(特殊紙等)の各要素の組み合わせについて、予め出荷前に実機により最適な間隔d1,d2,d3および下降量を求めておき、これをデータベース化したものである。
このようなデータベースとしては、例えば、画像形成装置2の制御回路191のCPU192からシート厚が通常厚(薄紙、通常紙、厚紙と分類した場合の通常紙の厚さ:例えば、メートル秤量g/m2で表される。)、シートサイズがA3、綴じ枚数が10枚、紙種が普通紙という冊子情報が、断裁装置5の制御回路202のCPU203に送信されてくると、前記CPU203は、制御回路202のメモリ内のデータベースを参照し、前記冊子情報に対応する第1間隔ないし第3間隔d1,d2,d3および加圧プレート87の下降量を求め、ステップS3,S10,S14における第1間隔ないし第3間隔d1,d2,d3およびステップS15における加圧プレート87の下降量を決定する。これにより、最適な保持力もしくは押圧力で冊子Pを保持した状態で断裁処理が可能となる。
このようにして冊子Pを保持することによって、冊子Pにおける撓みの発生を抑制するとともに、冊子Pを押圧部材77で押圧したときのズレの発生を防止し、精度の良い断裁処理が可能となる。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態にかかる用紙処理装置は、冊子Pを搬送する冊子搬送手段90と、前記冊子Pの先端部分に当接して該冊子Pの位置決めをするストッパ109と、前記冊子Pの後端部分を前記ストッパ109に向かって押圧して該冊子Pの整合をするジョガ155と、前記冊子Pを断裁する断裁手段としての断裁部65と、を有する断裁装置5であって、前記ストッパ109には、前記ジョガ155によって前記後端部分が押圧されることによって、前記先端部分が前記ストッパ109に当接して前記冊子Pの整合が完了したことを検知する第1検知手段としての第1センサ113が設けられ、かつ、断裁装置5には、前記冊子Pの整合が完了したことを前記第1センサ113が検知するまでは、前記断裁部65による前記冊子Pの断裁処理を中断するように制御する制御手段としての制御回路202が設けられている。
このように、ストッパ109に設けた第1センサ113によって、冊子Pの先端部分がストッパ109に当接して該冊子Pの整合が完了したことを検知するとともに、断裁装置5に設けた制御回路202によって、冊子Pの整合が完了したことが前記第1センサ113に検知されるまでは、断裁部65による冊子Pの断裁処理を中断するように制御するので、冊子Pの整合の完了時にジョガ155の押圧を停止させることができ、前記ジョガ155の押圧量が適切になり、ジョガ155の押圧量の過不足に伴う整合不良を防止することができる。
また、冊子Pの整合が完了したことが前記第1センサ113に検知されるまでは、断裁部65による冊子Pの断裁処理を中断するように制御回路202が制御するので、ジョガ155の押圧量の不足によって発生する冊子Pの断裁ミスを防ぐことができる。
また、冊子Pの整合の完了を第1センサ113が検知した時に、制御回路202によって、搬送手段90を停止させるように制御することで、ストッパ109に冊子Pが当接して整合された状態で搬送手段90が稼働し続けることに起因する前記冊子Pの表面用紙に撓みが生じることを防止することができ、断裁処理後の冊子Pの端部のズレを防止することができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる断裁装置5は、ストッパ109には、該ストッパ109と冊子Pの先端部分とが当接する前に該先端部分を検知する第2検知手段としての第2センサ111が設けられ、かつ、断裁装置5には、前記第2センサに前記先端部分が検知された時に、冊子搬送手段90による前記冊子Pの搬送を中断するとともに、ジョガ155によって前記後端部分を押圧するように制御する制御手段としての制御回路202が設けられている。
このように、ストッパ109に設けた第2センサによって、冊子Pの先端部分がストッパ109に当接する前に該先端部分を検知するとともに、断裁装置5に設けた制御回路202によって、第2センサに前記先端部分が検知された時に冊子搬送手段90による冊子Pの搬送を中断するとともにジョガ155によって前記後端部分を押圧するように制御するので、後端部分押圧するジョガ155によって冊子を整合することができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる断裁装置5には、冊子Pの冊子排出口183側にストッパ109を移動させることによって、少なくとも第1センサ113または第2センサ111のうちの一つに前記冊子Pの排出の完了を検知させるように制御する制御手段が設けられているので、新たにセンサを設けることなく、冊子Pの排出の完了を検知することができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成システム1は、前述した断裁装置5と、中折り機構12および中綴じ製本機構14を有する製本装置4と、を備えているので、中綴じされて中折りされて製本された冊子Pの端部のズレの発生を防止し、精度の良い断裁処理が可能となり、その結果、整合不良の発生を防止することができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成システム1における断裁装置5は、小口断裁処理、天地断裁処理、スクウェアホールド処理のうちのいずれであるので、冊子Pの用途に応じて種々の断裁処理を行うことができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる断裁装置5の制御手段によって実行される処理手順について、添付図面を参照して説明する。図17は、断裁装置5の制御手段としての制御回路202によって実行される押圧処理および断裁処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、前述した第1の実施の形態と同一部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態にかかる断裁装置5は、前述した第1の実施の形態にかかる断裁装置と同様に、冊子Pを搬送する冊子搬送手段90と、前記冊子Pの先端部分に当接して該冊子Pの位置決めをするストッパ109と、前記冊子Pの後端部分を前記ストッパ109に向かって押圧して該冊子Pの整合をするジョガ155と、前記冊子Pを断裁する断裁部65と、を有しているが、ストッパ109に設けられた第1検知センサ113および第2検知センサ111のうち、ストッパ109と冊子Pの先端部分とが当接する前に該先端部分を検知する第2検知センサ111のみを備えている。
図17に示すように、断裁装置5の冊子受入口70に設けられた図示しない入口センサからの冊子先端部分検知信号、または、製本装置4の通過検知センサ57からの冊子Pの折り目先端検知信号を検知すると(ステップS1)、断裁装置5の各部は冊子Pの受け入れ準備動作を開始する(ステップS2)。
次いで、受け入れ準備動作によって、第1搬送手段91の第1搬送ベルト97の下面と、第2搬送手段99の第2搬送ベルト105の上面との間隔が、冊子Pの搬入時の第1間隔d1となる位置に移動する(ステップS3)。
次いで、ストッパ109が、冊子Pの位置決めを行う位置の手前、かつ、ストッパ109の延長片に設けられた第2センサが冊子Pの先端部分を検知しない箇所にまで移動する(ステップS4)。
なお、ステップS4でストッパ109が停止する位置は、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、紙質(特殊紙等)の冊子情報に基づいて、断裁装置5の制御回路202内のメモリに格納されたデータベースを参照し、制御回路202のCPU203が決定している。
ストッパ109の移動が完了すると(ステップS5:YES)、ストッパ109は停止し(ステップS6)、搬送ローラ72、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105は回転を開始し、冊子Pの受け入れを開始する(ステップS7)。
このような状態で、断裁装置5に搬入された冊子Pの背部(折り目)先端が入口センサで検出されたタイミングから所定の時間を経過したタイミングで(ステップS8:YES)、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105は回転を停止し、冊子Pの先端部分(折り目もしくは背部)が、ストッパ109の第2センサ111が冊子Pの背部(折り目)先端を検知する手前で停止する(ステップS9)。
なお、断裁装置5に搬入された冊子Pの背部(折り目)先端が入口センサで検出されたタイミングから所定の時間を経過したタイミングは、シート厚、シートサイズ、綴じ枚数、紙質(特殊紙等)の冊子情報に基づいて、断裁装置5の制御回路202内のメモリに格納されたデータベースを参照し、制御回路202のCPU203が決定している。
次いで、第1ユニット81が、第1搬送ベルト97の下面と第2搬送ベルト105の上面との間隔が第2間隔d2となる位置に下降する(ステップS10,S11)。
次いで、ジョガ155を駆動し、冊子Pの小口側(冊子Pの後端部分)をストッパ109に向かって押圧し(ステップS12)、ストッパ109の第2センサ111が冊子Pの先端部分を検知すると(ステップS13)、ストッパ109を駆動し、位置決め位置にまでストッパ109を移動させる(ステップ14)。これにより、ストッパ109と冊子Pの先端部分とが当接し(ステップ15)、冊子Pの搬送方向の位置決め、および、整合が行われる。
このように、ステップS13〜S15によって、ストッパ109と冊子Pの先端部分とを確実に当接させることができるので、第2センサ111のみであっても、ジョガ155の押圧量(押し込み量)を適切にすることができ、整合不良を防止することができる。
次いで、第1ユニット81をさらに下降させ、第3間隔d2の位置に移動させ(ステップS16,S17)、加圧プレート87をさらに下降させて冊子Pを固定する(ステップS18)。これにより、冊子Pを第2ユニット83側に押圧して、冊子Pを第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105の間で固定する。
次いで、押圧部材77を下降させて冊子Pの断裁位置近傍をベース部材79の上面に押さえ付け(ステップS19)、断裁刃73を下降させることによって固定刃75との間で冊子Pの小口の断裁を行う(ステップS20)。
次いで、断裁刃73および押圧部材77を断裁位置から上方の初期位置に退避させ(ステップS21)、加圧プレート87および第1ユニット81を上昇させて、冊子Pの搬送が可能な程度の加圧力になるまで該冊子Pに加わる圧力を解除する(ステップS22)。
次いで、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105を搬送方向に回転させ(ステップS23)、小口が切断されて製本された冊子Pを断裁装置5から排紙し、排紙が完了した時点(ステップS24)で、断裁装置5内の一連の動作が完了する。
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態にかかる断裁装置5は、冊子Pを搬送する冊子搬送手段90と、前記冊子Pの先端部分に当接して該冊子Pの位置決めをするストッパ109と、前記冊子Pの後端部分を前記ストッパ109に向かって押圧して該冊子Pの整合をするジョガ155と、前記冊子Pを断裁する断裁部65と、を有し、前記ストッパ109には、該ストッパ109と前記先端部分とが当接する前に該先端部分を検知する第2検知手段としての第2センサ111が設けられ、かつ、前記断裁装置5には、前記冊子Pの位置決め箇所の手前かつ前記第2センサ111に前記先端部分が検知されない箇所でストッパ109を停止し、前記第2センサ111に前記先端部分が検知されるまで前記ジョガ155によって前記後端部分を押圧し、前記先端部分が前記第2センサ111に検知された時に、前記冊子Pの位置決め箇所に前記ストッパ109を移動することによって、前記第2センサ111に前記冊子Pの整合の完了を検知させるように制御する制御手段としての制御回路202が設けられている。
このように、冊子Pの先端部分と当接する前に該先端部分を検知する第2センサ111をストッパ109に設け、前記先端部分が第2センサ111に検知された時に、冊子Pの位置決め箇所にストッパ109を移動させて前記第2センサ111に前記冊子Pの整合の完了を検知させるように制御する制御回路202を断裁装置5に設けたので、第2センサ111のみであっても、ジョガ155の押圧量(押し込み量)を適切にすることができ、整合不良を防止することができる。
なお、前述した実施の形態は、断裁装置5の断裁処理に適用した例であるが、この他にも、冊子の天地断裁、冊子の背の部分が平らになるように角処理を施すスクウェアホールドなど、シートを押さえて処理する装置において、シートの搬送位置を段階的に変更する処理に本発明を適用することが可能である。
また、第1搬送ベルト97および第2搬送ベルト105にガイド手段としての機能を持たせているが、ガイド手段にガイド板を使用し、冊子Pの搬送は別途の搬送手段を用いることが可能である。
また、第1ユニット81を上下動させるように構成したが、第2ユニット83を上下動させるように構成したり、両ユニット81,83を上下動させるように構成したり、第1搬送手段91および第2搬送手段99を個別に上下動させるように構成したりすることも可能である。