本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の中綴じ折り装置を含む中綴じ折りシステム1を示す正面図である。この中綴じ折りシステム1は、丁合機100と、この丁合機100で形成された用紙束を加工して中綴じ折り冊子を作成する中綴じ折り装置200とを有している。
(丁合機100)
丁合機100は、縦方向に複数配列した給紙部101を有する。この給紙部101には、それぞれ分離手段102が設けられている。分離手段102は、給紙部101に縦方向に積載された複数の用紙から1枚のみを分離して取り出すもので、エアの吸引力やゴムローラの摩擦力等を利用して、積載した用紙のうち最上位の1枚を取り出す。この分離手段102によって、それぞれの給紙部101から1枚ずつ取り出された用紙は、丁合搬送路103において搬送しながら重ねられ、用紙束が形成される。用紙束は搬送ブリッジ104を経由して、中綴じ折り装置200へ供給される。
それぞれの給紙部101には、その上に用紙を積載する給紙棚105を有し、この給紙棚105に用紙が積載されているか否かを検知する用紙積載検知センサ106を有する。
(中綴じ折り装置200)
図2は中綴じ折り装置200を示す正面図、図3はその平面図である。中綴じ折り装置200は、用紙束を機内に搬入する搬入ローラ対201、搬入された用紙束をいったん停止させて揃え、その搬送方向中央部を綴じる揃え綴じ部210、綴じられた用紙束を、その綴じた部分で二つ折りする折り部240、二つ折りされた用紙束をいったん停止させ、その折り目を、互いに対向するプレス面で表裏から挟んでプレス圧をかけるプレス部260とを有する。搬入ローラ201には図示しないインデックスが取り付けられており、その回転量に比例したパルスを発生できるようになっている。さらに、搬入ローラ201周辺には、用紙束の通過を検知できる図示しないセンサが設けられている。
(揃え綴じ部210)
揃え綴じ部210は、搬入ローラ対201により搬入された用紙束を図示左方向に搬送する搬送ベルト211、搬送ベルト211で搬送されてきた用紙束の先端を当接させて停止させる綴じストッパ212、ストッパ212に当接して停止した用紙束の後端に当接し、用紙束の搬送方向前端と後端の縁を揃えるバックジョガー213と、ストッパ212に当接して停止した用紙束の両側端に当接し、両側端の縁を揃えるサイドジョガー214と、バックジョガー213及びサイドジョガー214とで揃えた用紙束の中央に綴じ針を打ち込むステッチャ215とを有する。
バックジョガー213は板状の部材であり、その図2における左側の面であるの当接面213bを、用紙束の後端に当接させるようになっている。このバックジョガー213は、回動軸213aを中心に回動することにより、用紙束の後端に当接面213bが当接する当接位置(図2における実線位置)と、その当接位置よりも用紙束搬送方向上流側に退避した退避位置(図2における一点鎖線位置)との間を往復移動可能に設けられている。回動軸213aは回転量制御可能なパルスモータM1により駆動される。このパルスモータM1が所定量回転すると、回動軸213aが回動し、バックジョガー213は退避位置から当接位置へ移動する。その後パルスモータM1が同じ所定量だけ逆回転すると、回動軸213aが逆方向に回動し、バックジョガー213は退避位置に戻る。
サイドジョガー214は、用紙束搬送方向に対し左側に設けられた第1サイドジョガー214a、右側に設けられた第2サイドジョガー214bを有する。第1、第2サイドジョガー214a、214bは、それぞれ用紙搬送方向に直交する方向(以下、幅方向という)の中央のライン(以下、搬送中央ラインという)に対し、幅方向の左右両側に対称配置されたL型の板状の部材であり、搬送中央ラインを挟んで、外側にL型の上方への立ち上がり部が来るように配置されている。
サイドジョガー214a、214bは、このL型の立ち上がり部内側の当接面214c、214dが用紙束の幅方向両端に当接する当接位置と、用紙束の幅方向両端から一定距離離間した離間位置との間を、往復移動可能になっている。サイドジョガー214a、214bの移動範囲の幅方向両外側に、プーリ2141a,2141bがそれぞれ設けられ、この両プーリ2141a,2141b間に、駆動ベルト2142が掛けられている。駆動ベルト2142の下流側直線走行部2142aは、サイドジョガー214aのL型の水平面部の下面に固定されている。また、駆動ベルト2142の上流側直線走行部2142bは、サイドジョガー214bのL型の水平面部の下面に固定されている。
プーリ2141aにはこれを回転駆動させるパルスモータM2が接続されている。このパルスモータM2が所定量回転すると、プーリ2141aが回転し、ベルト2142が周回移動することにより、サイドジョガー214は互いに近づく方向、または遠ざかる方向に移動する。パルスモータM2が所定量回転及び逆回転することにより、サイドジョガー214は、その当接面214c、214dが用紙束の側端に当接する当接位置と、用紙束の側端から所定距離離間する離間位置との間を、往復移動する。
綴じストッパ212は、L型の板状部材である。そのL型の立ち上がり部が、搬送ベルト211の上面に突出する当接位置と、搬送ベルト211の上面よりも下方に退避した退避位置との間を移動可能になっている。用紙束が揃え綴じ部210に搬入されるとき、この綴じストッパ212は当接位置にあり、搬入された用紙束の先端が、綴じストッパ212のL型立ち上がり部の搬送方向上流側の当接面212aに当接して、用紙束を停止させるようになっている。
搬送ベルト211は、上流側プーリ2111と下流側プーリ2112との間に掛けられており、その上面に載置される用紙束を搬送する。この搬送ベルト211には、その外周面から突出した2つの爪211a、211bを有し、この爪211a、211bは、ステッチャ215で綴じられた用紙束を図示左方へ押し出す。プーリ2112にはモータM3が接続され、このモータM3によりプーリ2112を回転駆動し、搬送ベルト211を周回駆動する。そしてこのモータM3により搬送駆動される区間、すなわち搬送ベルト211の上流側端から下流側端までの区間が、揃え綴じ搬送区間217を形成している。
(折り部240)
揃え綴じ部210の下流側には、用紙束をその搬送方向中央部でまとめて二つ折りする折り部240が設けられている。折り部240は、用紙束を挟んで折り目をつける折りローラ対241と、用紙束をこの折りローラ対241の間に押し込むように、用紙束に当接する折ナイフ242、この折ナイフ242の上流側に配置された第1折り搬送手段243、折りナイフ242の下流側に配置された第2折り搬送手段244、第1折り搬送手段243及び第2折り搬送手段244で搬送されてきた用紙束の先端を当接させて停止させる折ストッパ245、折りローラ対241で折られた用紙束(以下、折り用紙束という)をさらに下流側に搬送する第3折り搬送手段246を有する。
第1折り搬送手段243は、プーリ2432、プーリ2433と、この両プーリ間に掛けられた搬送ベルト2431、この搬送ベルト2431の上面に接触転動する搬送コロ2435とを有する。プーリ2432はプーリ2112と同軸上に、回転自在に支持されている。
第2折り搬送手段244は、プーリ2442、プーリ2443と、この両プーリ間に掛けられた搬送ベルト2441を有する。この搬送ベルト2441の上面と、第1折り搬送手段243の搬送ベルト2431の上面とが、同一の搬送面を形成するように配置されている。プーリ2442には、電磁クラッチCL1を介してモータM4から回転駆動力が与えられる。
折りストッパ245は、L型の板状部材である。そのL型の立ち上がり部が、搬送ベルト2441の上面に突出する当接位置と、搬送ベルト2441の上面よりも下方に退避した退避位置との間を移動可能になっている。用紙束が折り部240に搬入されるとき、この折りストッパ245は当接位置にあり、搬入された用紙束の先端が、折りストッパ245のL型立ち上がり部の搬送方向上流側の当接面245aに当接して、用紙束を停止させるようになっている。
折りローラ対241は、幅方向に長く設けられた折りローラが2個1組で構成され、このローラが互いに近づく方向にバネ等(図示せず)で付勢されている。そして折りローラ対241の両方の折りローラにモータM5が接続され、回転駆動力が付与されている。
折りナイフ242は、幅方向に長く設けられた板状の部材である。折りナイフ242は、その板状部分の先端が折りローラ対241のニップへ向くように配置されている。この折ナイフ242は、モータM6で駆動されるクランク機構(図示せず)により、その板状部分の先端が折りローラ対241のニップに近づく位置と、搬送ベルト2431、2441の上面が形成する搬送面よりも下方に退避した退避位置との間を往復移動可能である。
第3折り搬送手段246は、折り用紙束Sをその表裏から挟んで搬送する搬送ベルト2461、2462と、この搬送ベルト2461、2462を掛けまわすための複数のプーリを有している。この第3折り搬送手段246を構成するプーリ群が、折りローラ対241と共通のモータM5により駆動されるように、駆動伝達機構(図示せず)が構成されている。
(プレス部260)
折り部240の下流側には、プレス部260が設けられている。プレス部260は、搬送されてくる折り用紙束Sの折り目を表裏から挟むように、互いに対向するプレス面が設けられたプレス機構270と、このプレス機構270で折り目をプレス可能な位置で折り用紙束Sを停止させるために、折り用紙束Sの先端を検知するセンサS1と、プレス機構270でプレスされた折り用紙束Sを機外に排出する排出ローラ対261を有する。
センサS1は折り用紙束搬送路を挟んで上下に設けられた発光受光センサであり、このセンサS1の光軸を折り用紙束Sがふさぐことにより、折り用紙束Sの先端が検知可能になっている。排出ローラ対261は第3折り搬送手段246と、駆動伝達機構(図示せず)により駆動連結され、従ってモータM5から回転駆動力が与えられる。そしてこのモータM5により搬送駆動される区間、すなわち折りローラ対241から、第3折り搬送手段246を経て、排出ローラ対261までの区間が、プレス搬送区間262を形成している。
(プレス機構270)
図4ないし図6はプレス機構270の詳細を示す図面であって、図4は図2におけるA−A断面図であり、図5はプレス機構270の正面図であり、図6は図4におけるB−B断面においてプレス機構270のプレス動作を示す図である。以下図4ないし図6を参照して、プレス機構270を説明する。
プレス機構270には、停止又は搬送される折り用紙束Sの下面側を受ける搬送板271と、この搬送板271に対し、折り用紙束Sを挟んで上方に、プレスユニット272を有する。このプレスユニット272は後述するクランク機構290により上下動可能に設けられている。搬送板271の上面は、停止又は搬送される折り用紙束Sの下面側を受けるとともに、下降してきたプレスユニット272とともに折り用紙束Sを挟む下方プレス面271aを有している。
プレスユニット272は、プレス板273と、加圧板274、軸受け275、加圧バネ276、緩衝バネ277、バネ軸278、フランジ279を有する。プレス板273は、上方が開口した幅方向に長い箱形状の部材であって、その下面に折り用紙束Sの折り目を上方から圧接する上方プレス面273aを形成している。加圧板274は、下方が開口した幅方向に長い箱形状の部材であって、その立ち上がり壁部が、プレス板273の立ち上がり壁部と一部重なるように、互いの開口を向かい合わせて配置されている。
加圧板274の上面には、搬送中央ラインを中心に幅方向に2個対称配置された軸受け275が固定され、この軸受け275にバネ軸278が挿通されている。このバネ軸278は搬送面に対して垂直方向に立てられていて、その下端はプレス板273に固定されている。加圧バネ276は、プレス板273と軸受け275との間に、バネ軸278に巻きつけるように設けられている。バネ軸278の上端にはフランジ279が固定され、緩衝バネ277は、軸受け275とフランジ279との間に、バネ軸278に巻きつけるように設けられている。
プレスユニット272を上下動させるクランク機構290は、駆動源であるモータM7、このモータM7により回転駆動される駆動軸291、この駆動軸291に固定されたクランク部材292、このクランク部材292にピン293を介して接続された連接ロッド294、この連接ロッド294の上端に支持されたスライド軸295を有する。このクランク機構290により、駆動軸291の回転運動を、スライド軸295の上下動運動に変換する。
スライド軸295は、一端側で連接ロッド294を回転自在に支持し、他端側は加圧板274に固定されている。このスライド軸295は中綴じ折り装置200のフレームFに縦長に形成された開口F1に通されている。この開口F1の両サイドに、樹脂等の滑りやすい材質で形成されたスライドガイド296が固定されており、スライド軸295に固定支持されたスライダ297が、このスライドガイド296の間に挟まるように配置されている。
この構成によって、モータM7が回転駆動されると、スライダ297に固定されたスライド軸295が、垂直方向に上下動する。従ってプレスユニット272も上下に移動する。図6(a)は上昇時の、図6(b)は下降時のプレスユニット272を示す。上昇時は上方プレス面273aは下方プレス面271aから所定距離離間した位置にあり、その間を折り用紙束Sが通り抜けることが可能になっている。これに対し、加圧板274が下降すると、加圧板274とともにプレス板273も下降し、プレス板273の上方プレス面273aと、搬送板271の下方プレス面271aとの間で、折り用紙束Sの折り目を挟む。
上方プレス面273aと下方プレス面271aとで折り目を挟むまでは、加圧板274の上面274aと上方プレス面273aとの距離は、バネ278により一定に保たれる。しかし、上方プレス面273aと下方プレス面271aとで折り目を挟んで以降、加圧板274はなおも下降し、加圧バネ276を圧縮する。するとバネ278の全長が短くなって反発力が増すことにより、上方プレス面273aと下方プレス面271aとの間で折り用紙束Sの折り目を挟む力が大きくなり、強い力で折り用紙束Sの折り目を加圧し、用紙束Sの折り目を強力にプレスする。
モータM7がさらに回転を続けると、プレスユニットは再び上昇し、加圧バネ276と緩衝バネ277とのバランスが取れた時点で上方プレス面273aが折り用紙束Sの折り目から離間し、図6(a)に示す上昇位置に戻る。このとき、緩衝バネ277により、上昇時に加圧バネ276のバネ圧で加圧板274が上方に跳ね上がる衝撃を緩和する。したがって衝撃による騒音を防ぐことができ、また、繰り返し衝撃がかかることによる耐久性低下を招くことがない。
さらにこのプレス部260は、揃え綴じ部210、折り部240とともに、同一の筐体すなわちフレームF1、F2に支持されており、装置をコンパクトに形成している。
(第1実施形態)
図7は、本発明の第1実施形態に係る中綴じ折り装置200aの制御ブロック図である。中綴じ折り装置200aの機械構成は、前記した中綴じ折り装置200と同じである。中綴じ折り装置200aは、ユーザが操作可能な操作パネル301を有する。この操作パネル301はボタン操作やタッチパネルへの接触、あるいはマウス操作等により、中綴じ折り装置200aの各種機能の選択、設定、メンテナンス等が可能である。また、丁合機100aにもユーザが操作可能な操作パネル111が設けられており、丁合機100aの各種機能の選択、設定、メンテナンス等が可能である。
また、中綴じ折り装置200aには、中綴じ折り装置200aの揃え、綴じ、折り、搬送等各種制御を行う中央制御部300aが設けられている。この中央制御部300aは、折り用紙束Sの折り目にプレス圧をかけるプレス回数を決定し、決定したプレス回数だけプレスを行うようにプレス部260を制御するプレス回数制御手段302a、用紙束を搬送するための駆動及び停止をそれぞれ個別に制御可能な複数の搬送区間の駆動及び停止を制御する搬送制御手段303、揃え綴じ部210で用紙束を揃える際にサイドジョガー214、及びバックジョガー213が往復動作して、それぞれの当接面213b、214c、214dが用紙束の端縁に当接して揃える回数(ジョグ回数)を決定し、決定したジョグ回数だけジョグを行うように、サイドジョガー214及びバックジョガー213をそれぞれ制御するジョグ回数制御手段304a、折りナイフ242の往復動作(モータM6の駆動)を制御する折ナイフ制御手段305、ステッチャ215の動作を制御するステッチャ制御手段306、中綴じ折り機200aに用紙束を連続的に搬入する間隔を算出する間隔算出手段307aを有する。
プレス回数制御手段302aはプレス機構270を駆動するモータM7を制御する。ジョグ回数制御手段304aはバックジョガー213を駆動するモータM1と、サイドジョガー214を駆動するモータM2を、それぞれ制御する。搬送制御手段303は用紙束の搬送に係るモータM3,M4,M5,電磁クラッチCL1をそれぞれ制御する。
図8はこの第1の実施形態に係る中綴じ折り装置200aの、プレス回数P1、ジョグ回数J1の入力と、間隔T1決定の流れを示すフローチャートである。まず、操作パネル301(または操作パネル111)において、ユーザは数値P1およびJ1を入力する(S401)。プレス回数制御手段302aは、P1をプレス回数に決定するとともに、ジョグ回数制御手段304aは、J1をジョグ回数に決定し(S402)、それぞれ間隔算出手段307aに送る。
間隔算出手段307aは、プレス回数P1に基づいて、時間PT1を算出する(S403)。この時間PT1は、プレス搬送区間262の搬送駆動が停止している間に次の折り用紙束Sが進入しないようにするために、プレス搬送区間262に先行の折り用紙束Sの先端が進入してから次の折り用紙束Sの先端が進入するまでの間に確保しなければならない時間である。この間隔PT1について詳しく以下説明する。
紙束を搬送するための駆動及び停止をそれぞれ個別に制御可能な複数の搬送区間のうち、プレスを行うプレス部260を含むプレス搬送区間262は、モータM5で駆動される。このプレス搬送区間262は、折りローラ対241、第3折り搬送手段246、排出ローラ対261を含む。すなわちモータM5が停止すると、これらいずれのローラも停止する。
折りローラ対241によって二つ折りされた折り用紙束Sは、第3折り搬送手段246により搬送される。折り用紙束Sの先端がセンサS1で検知されると、折り用紙束Sの先端である折り目が、上方プレス面273aと下方プレス面271aとの間で停止するタイミングで、第3折り搬送手段246は停止する。そして停止させられた折り用紙束Sの折り目に対して、プレスユニット272がP1回だけ下降して、折り用紙束Sの折り目を挟んでプレスする。
すなわち、折り用紙束Sがプレスのために停止している間は、モータM5が停止しているので、折りローラ対241を含め、プレス搬送区間262に含まれるすべての搬送ベルト、ローラが停止している。P1回のプレスが終了すると、モータM5は再び駆動開始し、プレス搬送区間262に含まれるすべての搬送ベルト、ローラが駆動を再開する。用紙束を折りナイフ242で突き上げて折りローラ対241の間に挟んで二つ折りするためには、折りローラ対241が回転駆動している必要がある。したがって、折り用紙束Sをプレスしている間、すなわちプレス搬送区間262が駆動停止している間は、折りローラ241も駆動停止しているから、次に送られてきた用紙束を受け入れることができない。プレス動作が終了し、プレス搬送区間262の駆動が再開すると、折りローラ対241も駆動を再開するので、次に送られてきた用紙束を受け入れることができるようになる。従って間隔PT1は、折り用紙束Sのプレスを終えてプレス搬送区間262が駆動を再開して以降に、このプレス搬送区間262に次の用紙束が入ってくるようなタイミングになるように決めればよい。
間隔PT1を算出する方法を、図9を参照して詳述する。図9は、プレス搬送区間262における折り用紙束Sの先端の位置と、プレスユニット272の動作及びプレス搬送区間262の駆動及び停止を表したタイムチャートである。なお、図9においては、プレス回数P1=2と設定された場合のチャートである。折り用紙束Sの先端の位置は、折りローラ対241から排出ローラ対261までの距離を縦軸にとって表現してある。
図中T11は、折りナイフ242が駆動開始してから、用紙束を折りローラ対241間に押し込んで二つ折りし、第3折り搬送手段246によって搬送され、その先端がセンサS1を通過して、先端である折り目が上方プレス面273aと下方プレス面271aとの間で停止するまでの時間である。Tpは、モータM7により駆動される駆動軸291が1回転する時間、すなわち、プレスユニット272が図6(a)に示す上昇位置から下降開始し、いったん図6(b)に示す位置まで下降して折り用紙束Sの折り目をプレスしてから、再上昇して図6(a)に示す位置まで上昇するのにかかる時間である。Tαは、上方プレス面271aが折り用紙束Sの折り目から離間した後に、プレス搬送区間262が駆動開始してから、プレスユニット272が上昇位置に達するまでの時間である。プレスユニット272が上昇位置まで達していなくても、上方プレス面271aが折り用紙束Sの折り目が離間すれば、折り用紙束Sは搬送可能となる。したがって、プレスユニット272が上昇位置に達するよりも時間Tαだけ早く、モータM5の駆動を再開できる。
この図9によれば、PT1=T11+(Tp×P1)−Tα(式1)でPT1を算出することができる。すると、プレス搬送区間262に折り用紙束Sの先端が進入してから、次の折り用紙束Sの先端が進入するまで、少なくとも時間PT1以上を確保することによって、先行の折り用紙束Sがプレスされて再び搬送開始されるまでの間は、次の用紙束がプレス搬送区間262に入らないように制御することができる。
図8に戻る。ステップS403においては、間隔算出手段307aは時間JT1も算出する。この時間JT1は、揃え綴じ搬送区間217の搬送駆動が停止している間に次の用紙束が進入しないようにするために、揃え綴じ搬送区間217に先行の用紙束の先端が進入してから次の用紙束の先端が進入するまでの間に確保しなければならない時間である。
この間隔JT1の算出方法を、図10を参照して詳述する。図10は、揃え綴じ搬送区間217における用紙束の先端の位置と、サイドジョガー214、バックジョガー213、ステッチャ215の動作及び揃え綴じ搬送区間217の駆動及び停止を表したタイムチャートである。なお、図10においては、ジョグ回数J1=3と設定された場合のチャートである。用紙束の先端の位置は、搬送ベルト211の上流側端から下流側端までの距離を縦軸にとって表現してある。
図中T21は、用紙束の先端が搬送ベルト211上に進入してから、搬送ベルト211によって搬送され、その先端が綴じストッパ212に当接して停止するまでの時間である。Tjは、モータM1により駆動されるバックジョガー213及び、モータM2により駆動されるサイドジョガー214が、退避位置から当接位置へ移動して用紙束の端縁に当接してから退避位置に戻るまでの時間、すなわち1回のジョグ動作にかかる時間である。Tjeは、最終ジョグ動作にかかる時間である。最終ジョグ動作においては、バックジョガー213及びサイドジョガー214は当接位置でいったん停止し、その状態でステッチャ215が綴じ針を打ち込み、搬送ベルト211が搬送再開してから退避位置に戻るので、TjeはTjよりも長めになっている。Tβは搬送ベルト211が搬送駆動を再開してから、バックジョガー213及びサイドジョガー214が退避位置に戻るまでの時間である。
この図10によれば、JT1=T21+(Tj×(J1−1)+Tje)−Tβ(式2)で、JT1を算出することができる。すると、揃え綴じ搬送区間217に用紙束の先端が進入してから、次の用紙束の先端が進入するまで、少なくとも時間JT1以上を確保することによって、先行の用紙束が揃えられ綴じられて再び搬送開始されるまでの間は、次の用紙束が揃え綴じ搬送区間217に入らないように制御することができる。
図8に戻り、間隔算出手段307aは、このPT1、JT1のうち、どちらか大きい方を、間隔T1とする(S404)。このとき、PT1、JT1のうち、どちらか大きい方に、適宜の余裕時間を加えて間隔T1を決定しても良い。次に、この間隔T1を、中綴じ折り機200aに用紙束を供給すべく連結されている用紙供給装置(図1に図示したシステムでは、丁合機100a)の中央制御部112へ送る(S405)。用紙供給装置(丁合機100a)は、送られてきた間隔T1に従って、用紙束を中綴じ折り機200aに向かって順次送り込む。
(動作)
この第1実施形態に係る中綴じ折り機200aを含む中綴じ折りシステム1aの動作を説明する。丁合機100aまたは中綴じ折り機200aに設けられたスタートスイッチを押すと、丁合機100aの各用紙積載棚101から用紙が1枚ずつ取り出される。
取り出された各用紙は丁合搬送路103に進入し、搬送しながら重ね合わせられ、用紙束を形成する。この用紙束は搬送ブリッジ104を経由して、中綴じ折り装置200aへ供給される。このとき、先行する用紙束の先端が中綴じ折り機200aに進入してから、次の用紙束の先端が中綴じ折り機200aに進入するまでの時間を、間隔T1として順次用紙束を供給する。
用紙束は搬入ローラ201で中綴じ折機200a内に搬入し、揃え綴じ部210の搬送ベルト211上を、図2に示す左方へ搬送される。用紙束の先端が、搬入ローラ201周辺に設けられている図示しないセンサに検知されてから、搬入ローラ201に取り付けられた図示しないインデックスが発生するパルスを計数し、用紙束の先端がどこまで進んだかを監視する。
その結果、用紙束の先端が綴じストッパ212に当接したと判断すると、搬送制御手段303は、モータM3を停止させ、搬送ベルト211の駆動を止める。そしてジョグ回数制御手段304aがモータM1、M2を駆動させ、バックジョガー213とサイドジョガー214のジョグ動作を行わせる。ジョグ動作は、設定されたジョグ回数J1に基づき、各ジョガーが退避位置から当接位置へ移動し、再び退避位置に戻るジョグ動作をJ1回行う。このジョグ動作により用紙束の両側端と後端の縁が揃えられる。J1回のジョグ動作のうち、最後のジョグ動作においてはバックジョガー213とサイドジョガー214は当接位置でいったん停止し、ステッチャ215により用紙束の搬送方向中央に、綴じ針の打ち込みが行われる。ステッチャ215による綴じ針の打ち込みは、図示しない駆動機構をステッチャ制御手段306により駆動制御して行う。
綴じ針の打ち込み後、バックジョガー213とサイドジョガー214は退避位置へ移動開始する。そして綴じストッパ212は搬送ベルト211の搬送面よりも下方に退避し、搬送制御手段303はモータM3の駆動を再開し、搬送ベルト211は再び駆動開始する。ベルト面に設けられた爪211a、211bのいずれかが用紙束の後端を押し、用紙束を左方へ送り出す。
用紙束は第1折り搬送手段243、第2折り搬送手段244によりさらに搬送され、用紙束先端が折りストッパ245に当接する。この当接が図示しないセンサで検知されると、搬送制御手段303は、モータM4の駆動を止めて、第1折り搬送手段243、第2折り搬送手段244はいったん停止する。そして電磁クラッチCL1を消磁させ、モータM4の駆動を再開し、第2折り搬送手段244を停止させたまま、第1折り搬送手段243のみ駆動開始する。
さらにナイフ制御手段305がモータM6を回転させ、折りナイフ242の先端が用紙束を折りローラ対241に押し込む。用紙束は折りローラ対241により二つ折りされ、折り用紙束Sとなって、折り目を前方にして第3折り搬送手段246により搬送される。
ここで、用紙束が折りローラ対241に押し込まれる際には、確実にモータM5が駆動されていなければならない。したがって、先行する折り用紙束Sのプレスが完了してモータM5の駆動が再開してから、次の用紙束が折りローラ対241に押し込まれるように、ナイフ制御手段305及び搬送制御手段303は、必要に応じ、モータM4の駆動再開と、モータM6の駆動開始のタイミングを遅らせ、用紙束が折りストッパ245に当接した状態で待機させる。
折り用紙束Sの先端がセンサS1で検知されると、この検知信号が搬送制御手段303に送られる。すると搬送制御手段303は、所定時間t後にモータM5を停止させる。所定時間tとは、折り用紙束Sの先端がセンサS1を通過してから、上方プレス面273aと下方プレス面271aに挟まれた部分の、搬送方向略中央まで達する時間である。従って、折り用紙束Sの先端である折り目は、上方プレス面273aと下方プレス面271aに挟まれた部分の、搬送方向略中央に停止する。
次にプレス回数制御手段302aは、モータM7を駆動する。モータM7の駆動は、図5に示す駆動軸291を、P1回転させる量だけ行われる。すると、プレスユニット272が上昇位置から下降して、折り目を挟んでプレスして、再び上昇位置に戻るというプレス動作がP1回繰り返される。
プレス動作においては、上方プレス面273aと下方プレス面271aとで折り目を挟んでからも、加圧板274はなおも下降する。すると、圧縮された加圧バネ276のバネ圧がプレス圧になる。加圧板274が最下位まで下降すると再び上昇に転じ、加圧バネ276と緩衝バネ277とのバランスが取れた時点で上方プレス面273aが折り用紙束Sの折り目から離間する。このように上方プレス面273aと下方プレス面271aとが折り用紙束Sの折り目を挟んでから離間するまで、継続的に強力な圧でプレスすることができる。
したがって、ローラニップの通過という一瞬の加圧により折り目をつけるか、もしくは強化する従来技術よりも、折り目強化の効果が高い装置を得ることができる。また、この動作は駆動軸291の回転により、同一のプレス機構で繰り返し行われるので、加圧ローラを複数設けたり、折り用紙束Sをいったん逆方向に搬送して同じ加圧ローラに複数回通したりする従来技術に比較して、極めて簡単かつ短時間に折り目を強化することができる。
また、プレスユニット272が図6(a)に示す上昇位置に戻るとき、緩衝バネ277により、上昇時に加圧バネ276のバネ圧で加圧板274が上方に跳ね上がる衝撃を緩和するので、騒音の少ない耐久性に優れた装置を得ることができる。P1回のプレス動作のうち、最終のプレス動作において、上方プレス面273aが上昇して折り用紙束Sから離間すると、搬送制御手段303はモータM5の駆動を再開し、折り用紙束Sは排出ローラ対261により機外に排出される。
(第2実施形態)
続いて本発明の第2実施形態の中綴じ折り装置200b、及びこれを含む中綴じ折りシステム1bを説明する。中綴じ折り装置200b、中綴じ折りシステム1bの機械構成は、前記した中綴じ折り装置200、中綴じ折りシステム1と同じである。
第1実施形態では、ユーザが入力した入力情報に基づいてプレス回数及びジョグ回数を決定する形態であるのに対し、第2実施形態では、用紙束の枚数情報に基づいてプレス回数及びジョグ回数を決定する。
図11は本発明の第2実施形態に係る中綴じ折りシステム1bの制御ブロック図である。丁合機100bはユーザが操作可能な操作パネル111を有する。この操作パネル111は、ボタン操作やタッチパネルへの接触、あるいはマウス操作等により、丁合機100bの各種機能の選択、設定、メンテナンス等が可能である。ユーザはこの丁合機100bの操作パネル111か、もしくは中綴じ折り装置200bの操作パネル300から、用紙束1セット分の枚数N1を入力する。この用紙束1セット分の枚数N1は、プレス回数制御手段302b、及びジョグ回数制御手段304bに送られる。プレス回数制御手段302bには、枚数N1とプレス回数P2を互いに対応させたプレス回数テーブルが記憶されている。プレス回数制御手段302bは、枚数N1を受信すると、このプレス回数テーブルを呼び出して参照し、枚数N1に対応したプレス回数P2を決定する。
図12はこのプレス回数テーブルの一例である。このプレス回数テーブルによれば、例えば、1セット分の枚数が3枚である場合は、プレス回数は1回となる。1セット分の枚数が16枚である場合は、プレス回数は4回である。1セット分の枚数とプレス回数の対応は適宜決めればよいのであり、図12のプレス回数テーブルに限られないことは言うまでもない。
また、このプレス回数テーブルを複数記憶させておき、ユーザが選択可能としてもよい。用紙束1セット分の枚数が同じであっても、用紙そのものの厚みが増すほど、二つ折りした後の折り目が開きやすくなる。また、腰が強い用紙や、サイズの大きい用紙も、折り目が開きやすくなる。このような場合はプレス回数は多めにすることが望ましい。プレス回数テーブルを複数記憶させておくことにより、ユーザは用紙の厚さ、紙質、サイズの相違を考慮した最適なプレス回数テーブルを選択することができ、折り目の強化をより確実なものとすることができる。
また、プレス回数テーブルに代えて、用紙1セット分の枚数からプレス回数を算出する計算式を記憶させても良い。例えば、用紙1セット分の枚数を5で割った数値の整数部分+1で得られる数値をプレス回数とする。すると、用紙1セット分の枚数が1枚であった場合、5で割れば0.2であり、その整数部分である0に1を足せば1となり、すなわちプレス回数1回となる。1セット分の枚数が4枚である場合は、5で割れば0.8となるから、その整数部分である0に1を足せば1となり、すなわちプレス回数は1回となる。1セット文の枚数が6枚である場合は、5で割れば1.2となるから、その整数部分である1に1を足せば2となり、すなわちプレス回数は2回となる。このように、折目がつきにくくなる多枚数になるほどプレス回数が増えるように、計算式を適宜決めておけばよい。
また、用紙束1セット分の枚数は、丁合機100bにおいて、用紙が積載された給紙棚105の数を数えることにより取得しても良い。給紙棚105に用紙が積載されているか否かは、各給紙棚105にそれぞれ設けられた用紙積載検知センサ106によって判断可能である。用紙積載検知センサ106は、給紙棚105の用紙積載部分を上下に挟んで設けられた発光受光センサ等により構成される。用紙が積載されている給紙棚105においては、積載されている用紙が用紙積載検知センサ106の光軸を遮断する。
丁合機100bの中央制御部112は、各棚の用紙積載検知センサ106の検知結果を参照し、用紙が積載されている給紙棚105がいくつあるかを数える。丁合機100bは用紙が積載された各給紙棚から1枚ずつ取り出して重ねて1セット分の用紙束とするから、用紙が積載されている給紙棚105の数=1セット分の用紙束の枚数N1、となる。
この形態によれば、ユーザはわざわざ操作パネルから1セット分の枚数N1を入力しなくても、丁合機100bの給紙棚105に用紙を積載するだけで、1セット分の枚数N1が取得され、これを参照してプレス回数P2が決まるので、わずらわしい操作なく、枚数に適したプレス回数で処理を行うことができる。
なお、ジョグ回数制御手段304bには、枚数N1とジョグ回数J2を互いに対応させたジョグ回数テーブルが記憶されており、プレス回数制御手段302bがプレス回数テーブルを決定するのと同様に、ジョグ回数テーブルを参照して、ジョグ回数J2を決定する。
決定されたプレス回数P2、ジョグ回数J2より、丁合機から用紙束を送り込む間隔T2を決定する方法は、第1実施形態におけるプレス回数P1、ジョグ回数J1より、丁合機から用紙束を送り込む間隔T1を決定する方法と同じである。装置をスタートさせてからの動作も、第1実施形態と同じである。
(第3実施形態)
続いて本発明の第3実施形態の中綴じ折り装置200c、及びこれを含む中綴じ折りシステム1cを説明する。中綴じ折り装置200c、中綴じ折りシステム1cの機械構成は、前記した中綴じ折り装置200、中綴じ折りシステム1と同じである。第1実施形態では、ユーザが入力した入力情報に基づいてプレス回数及びジョグ回数を決定する形態であるのに対し、第3実施形態では、単位時間当たりに搬入される用紙束数情報に基づいてプレス回数及びジョグ回数を決定する。
図13は本発明の第3実施形態に係る中綴じ折りシステム1cの制御ブロック図である。図14は、本発明の第3実施形態に係るタイムチャートであって、プレス搬送区間262における折り用紙束Sの先端の位置と、プレスユニット272の動作及びプレス搬送区間262の駆動及び停止を表したタイムチャートである。図15は本発明の第3実施形態に係る、プレス回数及びジョグ回数決定の流れを示すフローチャートである。ユーザは丁合機100cの操作パネル111か、もしくは中綴じ折り装置200cの操作パネル301から、中綴じ折り装置200cに搬入される単位時間当たりの用紙束数情報を入力する(S501)。
この単位時間当たりの用紙束数情報は、間隔算出手段307cに与えられ、間隔算出手段307cは間隔T3を算出する(S502)。
間隔T3は、揃え綴じ搬送区間217またはプレス搬送区間262の入口を、先行用紙束の先端が通過してから、次の用紙束の先端が通過するまでの間隔であって、単位時間当たりの用紙束数で、その単位時間を除したときの商として算出できる。例えば、処理速度が1分間に用紙束60セットであれば、間隔T3=60秒÷60分=1秒である。単位時間当たりの用紙束数は必ずしも操作パネルから入力する必要はなく、予め複数決められたデフォルト値からユーザがスイッチ等で選択したり、デフォルトで固定値が決められていたりしても良い。次にこの間隔T3がプレス回数制御手段302cに送られ、プレス回数制御手段302cは、間隔T3をもとに、プレス回数P3を算出する(S503)。その算出方法を以下説明する。
図14において、折り用紙束Sの先端がプレス搬送区間262に入ってから、時間T11後に上方プレス面273aと下方プレス面271aとの間で停止する。この後、次の折り用紙束Sの先端がプレス搬送区間262の入口(折りローラ対241)に到来する時点では、プレス搬送区間262は駆動していなければならない。すなわち、折り用紙束Sが上方プレス面273aと下方プレス面271aとの間で停止している時間は、T3−T11以下である必要がある。この停止時間中に、プレス動作をn回行うには、少なくともnTp−Tαだけ停止時間が必要である。
すなわち、T3−T11≧nTp−Tαとなる範囲で、nの最大値(nmax)を求めれば、間隔T3で送り込まれてくる折り用紙束Sに対して、その停止時間内で可能な最大のプレス回数P3(=nmax)を決定することができる。その結果、プレス搬送区間262に用紙束の先端が進入して、上方プレス面273aと下方プレス面271aとの間で停止してから、P3回プレスを行うとともに、停止時間がT3−T11を超えないように搬送を再開することにより、プレス搬送区間262の搬送再開前に次の用紙束がプレス搬送区間262に入ることがないように制御することができる。
次に、間隔T3はジョグ回数制御手段304cにも送られ、ジョグ回数制御手段304cは、間隔T3をもとに、バックジョガー213と、サイドジョガー214の往復回数であるジョグ回数J3を算出する(S504)。その算出方法を以下説明する。
図16は、第3実施形態における、揃え綴じ搬送区間217における用紙束の先端の位置と、サイドジョガー214、バックジョガー213、ステッチャ215の動作及び揃え綴じ搬送区間217の駆動及び停止を表したタイムチャートである。
図16において、用紙束の先端が揃え綴じ搬送区間217に入ってから、時間T21後に綴じストッパ212に当接して停止する。この後、次の用紙束の先端が揃え綴じ搬送区間217の入口(ベルト211の上流側端)に到来する時点では、揃え綴じ搬送区間217は駆動していなければならない。すなわち、用紙束が綴じストッパ212に当接して停止している時間はT3−T21以下である必要がある。この停止時間中に、ジョグ動作をm回行うには、少なくとも(m−1)Tj+Tje−Tβだけ停止時間が必要である。
すなわち、T3−T21≧(m−1)Tj+Tje−Tβとなる範囲で、mの最大値(mmax)を求めれば、間隔T3で送り込まれてくる用紙束に対して、その停止時間内で可能な最大のジョグ回数J3(=mmax)を決定することができる。その結果、揃え綴じ搬送区間217に用紙束の先端が進入して綴じストッパ212に当接して停止してから、綴じ動作を含めてJ3回ジョグを行うとともに、停止時間がT3−T21を超えないように搬送を再開することにより、揃え綴じ搬送区間217の搬送再開前に次の用紙束が揃え綴じ搬送区間217に入ることがないように制御することができる。
このように、この中綴じ折りシステム1cは、単位時間当たりに搬入される用紙束数情報に基づいて、間隔T3を算出し、プレス回数P3及びジョグ回数J3を決定する。なお、この中綴じ折り機200cを含む中綴じ折りシステム1cの動作は、間隔T1が間隔T3、ジョグ回数J1がJ3、プレス回数P1がP3である他は、第1実施形態の動作と同様である。
(第4実施形態)
続いて本発明の第4実施形態の中綴じ折り装置200d、及びこれを含む中綴じ折りシステム1dを説明する。中綴じ折り装置200d、中綴じ折りシステム1dの機械構成は、前記した中綴じ折り装置200、中綴じ折りシステム1と同じである。第4実施形態では、ユーザが入力した入力情報、または用紙束の枚数情報に基づいてプレス回数を決定し、このプレス回数より算出された単位時間当たりに搬入される用紙束数に基づいて、ジョグ回数を決定する。
図17は、本発明の第4実施形態に係る中綴じ折り装置200dの制御ブロック図である。中綴じ折り装置200dは、ユーザが操作可能な操作パネル301を有する。この操作パネル301はボタン操作やタッチパネルへの接触、あるいはマウス操作等により、中綴じ折り装置200dの各種機能の選択、設定、メンテナンス等が可能である。
また、中綴じ折り装置200dには、中綴じ折り装置200dの揃え、綴じ、折り、搬送等各種制御を行う中央制御部300dが設けられている。この中央制御部300dは、折り用紙束Sの折り目にプレス圧をかけるプレス回数を決定し、決定したプレス回数だけプレスを行うようにプレス部260を制御するプレス回数制御手段302d、用紙束を搬送するための駆動及び停止をそれぞれ個別に制御可能な複数の搬送区間の駆動及び停止を制御する搬送制御手段303、揃え綴じ部210で用紙束を揃える際にサイドジョガー214、及びバックジョガー213が往復動作して、それぞれの当接面213b、214c、214dが用紙束の端縁に当接して揃える回数(ジョグ回数)を決定し、決定したジョグ回数だけジョグを行うように、サイドジョガー214及びバックジョガー213をそれぞれ制御するジョグ回数制御手段304d、折りナイフ242の往復動作(モータM6の駆動)を制御する折ナイフ制御手段305、ステッチャ215の動作を制御するステッチャ制御手段306、中綴じ折り機200dに用紙束を連続的に搬入する間隔を算出する間隔算出手段307dを有する。
プレス回数制御手段302dはプレス機構270を駆動するモータM7を制御する。ジョグ回数制御手段304dはバックジョガー213を駆動するモータM1と、サイドジョガー214を駆動するモータM2を、それぞれ制御する。搬送制御手段303は用紙束の搬送に係るモータM3,M4,M5,電磁クラッチCL1をそれぞれ制御する。
図18はこの第4の実施形態に係る中綴じ折り装置200dの、プレス回数P4の入力と、間隔T4、ジョグ回数J4決定の流れを示すフローチャートである。まず、ユーザは丁合機100dの操作パネル111か、もしくは中綴じ折り装置200dの操作パネル301から、数値P4を入力する(S601)。プレス回数制御手段302dは、P4をプレス回数に決定し(S602)、このプレス回数P4を間隔算出手段307dに送る。
間隔算出手段307dは、プレス回数P4に基づいて、時間PT4を算出する(S603)。この時間PT4は、プレス搬送区間262の搬送駆動が停止している間に次の折り用紙束Sが進入しないようにするために、プレス搬送区間262に先行の折り用紙束Sの先端が進入してから次の折り用紙束Sの先端が進入するまでの間に確保しなければならない時間であり、次の式で算出される。
PT4=T11+(Tp×P4)−Tα(式3)
この式3は、式1のP1をP4に、PT1をPT4に置き換えたものである。したがって、P4からPT4を算出する方法は、第1実施形態におけるP1からPT1を算出する方法と同一である。
そうすると、プレス搬送区間262に折り用紙束Sの先端が進入してから、次の折り用紙束Sの先端が進入するまで、少なくとも時間PT4以上を確保することによって、先行の折り用紙束Sがプレスされて再び搬送開始されるまでの間は、次の用紙束がプレス搬送区間262に入らないように制御することができる。
間隔算出手段307dは、このPT4を間隔T4とする(S604)。あるいは、PT4に適宜の余裕時間を加えてT4を決定しても良い。さらにこの間隔T4を、用紙供給装置(図1に図示したシステムでは、丁合機100d)の中央制御部112へ送るとともに、ジョグ回数制御手段304dへ送る(S605)。
次に、ジョグ回数制御手段304dは、間隔T4をもとに、バックジョガー213と、サイドジョガー214の往復回数であるジョグ回数J4を算出する(S606)。その算出方法を以下説明する。
図19は、第4実施形態における、揃え綴じ搬送区間217における用紙束の先端の位置と、サイドジョガー214、バックジョガー213、ステッチャ215の動作及び揃え綴じ搬送区間217の駆動及び停止を表したタイムチャートであって、間隔T3が間隔T4である点を除いて、第3実施形態に係る図16と同一である。
間隔T4からジョグ回数J4を算出する方法も、第3実施形態における間隔T3からジョグ回数J3を算出する方法と同様である。すなわち、用紙束が綴じストッパ212に当接して停止している時間はT4−T21以下である必要があり、この停止時間中にジョグ動作をm回行うには、少なくとも(m−1)Tj+Tje−Tβだけ停止時間が必要である。すなわち、T4−T21≧(m−1)Tj+Tje−Tβとなる範囲で、mの最大値(mmax)を求めれば、間隔T4で送り込まれてくる用紙束に対して、その停止時間内で可能な最大のジョグ回数J4(=mmax)を決定することができる。その結果、揃え綴じ搬送区間217に用紙束の先端が進入して綴じストッパ212に当接して停止してから、綴じ動作を含めてJ4回ジョグを行うとともに、停止時間がT4−T21を超えないように搬送を再開することにより、揃え綴じ搬送区間217の搬送再開前に次の用紙束が揃え綴じ搬送区間217に入ることがないように制御することができる。
このように、この中綴じ折りシステム1dは、プレス回数制御手段が決定したプレス回数P4より算出された単位時間当たりに搬入される用紙束数情報に基づいて、間隔T4を算出し、ジョグ回数J4を決定する。
なお、第4実施形態では、プレス回数制御手段302dは、操作パネル301からユーザが入力した数値をプレス回数に決定している。が、これに限られることなく、用紙1セット分の枚数情報に基づいてプレス回数P4を決定しても良い。
なお、この中綴じ折り機200dを含む中綴じ折りシステム1dの動作は、間隔T1が間隔T4、ジョグ回数J1がJ4、プレス回数P1がP4である他は、第1実施形態の動作と同様である。
(第5実施形態)
続いて本発明の第5実施形態の中綴じ折り装置200e、及びこれを含む中綴じ折りシステム1eを説明する。中綴じ折り装置200e、中綴じ折りシステム1eの機械構成は、前記した中綴じ折り装置200、中綴じ折りシステム1と同じである。第5実施形態では、ユーザが入力した入力情報、または用紙束の枚数情報に基づいてジョグ回数を決定し、このジョグ回数に基づいて、このジョグ回数より算出された単位時間当たりに搬入される用紙束数に基づいて、プレス回数を決定する。
図20は、本発明の第5実施形態に係る中綴じ折り装置200eの制御ブロック図である。中綴じ折り装置200eは、ユーザが操作可能な操作パネル301を有する。この操作パネル301はボタン操作やタッチパネルへの接触、あるいはマウス操作等により、中綴じ折り装置200eの各種機能の選択、設定、メンテナンス等が可能である。
また、中綴じ折り装置200eには、中綴じ折り装置200eの揃え、綴じ、折り、搬送等各種制御を行う中央制御部300eが設けられている。この中央制御部300eは、折り用紙束Sの折り目にプレス圧をかけるプレス回数を決定し、決定したプレス回数だけプレスを行うようにプレス部260を制御するプレス回数制御手段302e、用紙束を搬送するための駆動及び停止をそれぞれ個別に制御可能な複数の搬送区間の駆動及び停止を制御する搬送制御手段303、揃え綴じ部210で用紙束を揃える際にサイドジョガー214、及びバックジョガー213が往復動作して、それぞれの当接面213b、214c、214dが用紙束の端縁に当接して揃える回数(ジョグ回数)を決定し、決定したジョグ回数だけジョグを行うように、サイドジョガー214及びバックジョガー213をそれぞれ制御するジョグ回数制御手段304e、折りナイフ242の往復動作(モータM6の駆動)を制御する折ナイフ制御手段305、ステッチャ215の動作を制御するステッチャ制御手段306、中綴じ折り機200eに用紙束を連続的に搬入する間隔を算出する間隔算出手段307eを有する。
プレス回数制御手段302eはプレス機構270を駆動するモータM7を制御する。ジョグ回数制御手段304eはバックジョガー213を駆動するモータM1と、サイドジョガー214を駆動するモータM2を、それぞれ制御する。搬送制御手段303は用紙束の搬送に係るモータM3,M4,M5,電磁クラッチCL1をそれぞれ制御する。
図21はこの第5の実施形態に係る中綴じ折り装置200eの、ジョグ回数J5の入力と、間隔T5、プレス回数P5決定の流れを示すフローチャートである。まず、ユーザは丁合機100eの操作パネル111か、もしくは中綴じ折り装置200eの操作パネル301から数値J5を入力する(S701)。ジョグ回数制御手段304eは、J5をジョグ回数に決定し(S702)、このジョグ回数J5を間隔算出手段307eに送る。
間隔算出手段307eは、ジョグ回数J5に基づいて、時間JT5を算出する(S703)。この時間JT5は、揃え綴じ搬送区間217の搬送駆動が停止している間に次の用紙束が進入しないようにするために、揃え綴じ搬送区間217に先行の用紙束の先端が進入してから次の用紙束の先端が進入するまでの間に確保しなければならない時間であり、次の式で算出される。
JT5=T21+(Tj×(J5−1)+Tje)−Tβ(式4)
この式4は、式2のJ1をJ5に、JT1をJT5に置き換えたものである。したがって、J5からJT5を算出する方法は、第1実施形態におけるJ1からJT1を算出する方法と同一である。
そうすると、揃え綴じ搬送区間217に用紙束の先端が進入してから、次の用紙束の先端が進入するまで、少なくとも時間JT5以上を確保することによって、先行の用紙束が揃えて綴じられて再び搬送開始されるまでの間は、次の用紙束が揃え綴じ搬送区間217に入らないように制御することができる。
間隔算出手段307eは、このJT5を間隔T5とする(S704)。あるいは、JT5に適宜の余裕時間を加えて間隔T5を決定しても良い。さらにこの間隔T5を、用紙供給装置(図1に図示したシステムでは、丁合機100e)の中央制御部112へ送るとともに、プレス回数制御手段302eへ送る(S705)。
次に、プレス回数制御手段302eは、間隔T5をもとに、プレスユニット272が用紙束の折目をプレスする回数であるプレス回数P5を算出する(S706)。その算出方法を以下説明する。
図22は、第5実施形態における、プレス搬送区間262における折り用紙束Sの先端の位置と、プレスユニット272の動作及びプレス搬送区間262の駆動及び停止を表したタイムチャートであって、間隔T3が間隔T5である点を除いて、第3実施形態に係る図14と同一である。
間隔T5からプレス回数P5を算出する方法も、第3実施形態における間隔T3からプレス回数P3を算出する方法と同様である。すなわち、折り用紙束Sが上方プレス面273aと下方プレス面271aとの間で停止している時間はT5−T11以下である必要があり、この停止時間中にプレス動作をn回行うには、少なくともnTp−Tαだけ停止時間が必要である。すなわち、T5−T11≧nTp−Tαとなる範囲で、nの最大値(nmax)を求めれば、間隔T5で送り込まれてくる折り用紙束Sに対して、その停止時間内で可能な最大のプレス回数P5(=nmax)を決定することができる。その結果、プレス搬送区間262に用紙束の先端が進入して、上方プレス面273aと下方プレス面271aとの間で停止してから、P5回プレスを行うとともに、停止時間がT5−T11を超えないように搬送を再開することにより、プレス搬送区間262の搬送再開前に次の用紙束がプレス搬送区間262に入ることがないように制御することができる。
このように、この中綴じ折りシステム1eは、ジョグ回数制御手段304eが決定したジョグ回数J5より算出された単位時間当たりに搬入される用紙束数情報に基づいて、間隔T5を算出し、プレス回数P5を決定する。
なお、第5実施形態では、ジョグ回数制御手段304eは、操作パネル301からユーザが入力した数値をジョグ回数に決定している。が、これに限られることなく、用紙1セット分の枚数情報に基づいてジョグ回数J5を決定しても良い。
なお、この中綴じ折り機200eを含む中綴じ折りシステム1eの動作は、間隔T1が間隔T5、ジョグ回数J1がJ5、プレス回数P1がP5である他は、第1実施形態の動作と同様である。