JP5831096B2 - 電磁結合構造、多層伝送線路板、電磁結合構造の製造方法、及び多層伝送線路板の製造方法 - Google Patents

電磁結合構造、多層伝送線路板、電磁結合構造の製造方法、及び多層伝送線路板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電磁結合構造、多層伝送線路板、電磁結合構造の製造方法、及び多層伝送線路板の製造方法に関する。
マイクロ波帯やミリ波帯の高周波数帯における伝送線路基板の層間を電気的に接続する方法として、電磁界結合を用いた方式が提案されている。例えば特許文献1には、多層配線板における層間が電磁界結合されたものが記載されている。
特許3323087号公報
特許文献1の多層配線板では、第1の伝送線路と、第1の誘電体と、スロット孔を有する地導体と、第2の誘電体と、第2の伝送線路とがこの順に積層されて形成されている。第1の伝送線路は、地導体のスロット孔を介して第2の伝送線路と電磁結合される。
ところで、特許文献1では、高周波信号の損失を小さくするために、伝送線路を伝送する高周波信号の周波数f(Hz)、誘電体の比誘電率ε、スロット孔中心直上から伝送線路端部までの距離ML(mm)、スロット孔の長さSL(mm)、及びスロット孔の幅SW(mm)をパラメータとして、所定の4つの不等式の条件をすべて満たす必要がある。このように、従来の電磁結合構造では、所望の伝送特性を得るためには高い寸法精度を必要としていた。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、高い寸法精度を必要とせずに低損失な伝送特性を有する電磁結合構造、多層伝送線路板、電磁結合構造の製造方法、及び多層伝送線路板の製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明のマイクロ波帯の周波数帯域で使用される電磁結合構造は、複数のグランド層となる内側導体層の間に内側誘電体層が挟まれて積層された積層体と、積層体を間に挟んで対向する一対の外側誘電体層と、一対の外側誘電体層を間に挟んで対向する一対の外側導体層と、を備える。一対の外側導体層の各々は、配線部と、当該配線部の先端に設けられた導体パッチ部とをそれぞれ含み、導体パッチ部は、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する。積層体には、内側誘電体層及び複数のグランド層となる内側導体層を貫通する孔が設けられており、孔の内壁に形成された管状の金属膜を介して、複数のグランド層となる内側導体層が電気的に接続されることにより、一対の外側導体層が電磁結合されることを特徴とする。
この電磁結合構造では、電磁結合される一対の外側導体層の配線部の先端に、導体パッチ部がそれぞれ設けられている。このように一対の外側導体層の配線部の先端をパッチ形状とすることにより、導体パッチ部と孔とのインピーダンス整合を容易にとることができる。この際、従来のように、伝送信号の周波数と誘電体の比誘電率に応じて、所定の不等式の条件を満たすように、電磁結合部の種々の寸法を厳密に管理する必要がない。つまり、本発明の電磁結合構造では、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する導体パッチ部を用いることにより、製造段階で電磁結合部の種々の寸法にばらつきが生じても、寸法精度の影響を受けにくくなり、優れた伝送特性を維持できる。よって、高い寸法精度を必要とせずに、低損失な伝送特性を有する電磁結合構造を提供できる。
また、本発明のマイクロ波帯の周波数帯域で使用される電磁結合構造では、第一導体層、第一誘電体層、第二導体層、第二誘電体層、第三導体層、第三誘電体層、及び第四導体層がこの順に積層されている。第一導体層及び第四導体層の各々は、配線部と、当該配線部の先端に設けられた導体パッチ部とをそれぞれ含む。導体パッチ部は、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する。第二導体層、第二誘電体層、及び第三導体層を貫通する孔が設けられており、当該孔の内壁に形成された管状の金属膜を介して、第二導体層と第三導体層とが電気的に接続されることにより、第一導体層が第四導体層と電磁結合されることを特徴とする。
この電磁結合構造では、電磁結合される第一導体層及び第四導体層の配線部の先端に、導体パッチ部がそれぞれ設けられている。このように第一導体層及び第四導体層の配線部の先端をパッチ形状とすることにより、導体パッチ部と孔とのインピーダンス整合を容易にとることができる。この際、従来のように、伝送信号の周波数と誘電体の比誘電率に応じて、所定の不等式の条件を満たすように、電磁結合部の種々の寸法を厳密に管理する必要がない。つまり、本発明の電磁結合構造では、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する導体パッチ部を用いることにより、製造段階で電磁結合部の種々の寸法にばらつきが生じても、寸法精度の影響を受けにくくなり、優れた伝送特性を維持できる。よって、高い寸法精度を必要とせずに、低損失な伝送特性を有する電磁結合構造を提供できる。
また、本発明のマイクロ波帯の周波数帯域で使用される多層伝送線路板は、複数のグランド層となる内側導体層の間に内側誘電体層が挟まれて積層された積層体と、積層体を間に挟んで対向する一対の外側誘電体層と、一対の外側誘電体層を間に挟んで対向し、伝送線路をなす一対の外側導体層と、を備える。一対の外側導体層の各々は、配線部と、当該配線部の先端に設けられた導体パッチ部とをそれぞれ含み、導体パッチ部は、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する。積層体には、内側誘電体層及び複数のグランド層となる内側導体層を貫通する孔が設けられており、孔の内壁に形成された管状の金属膜を介して、複数のグランド層となる内側導体層が電気的に接続されることにより、一対の外側導体層が電磁結合されることを特徴とする。
この多層伝送線路板では、電磁結合される一対の外側導体層の配線部の先端に、導体パッチ部がそれぞれ設けられている。このように一対の外側導体層の配線部の先端をパッチ形状とすることにより、導体パッチ部と孔とのインピーダンス整合を容易にとることができる。この際、従来のように、伝送信号の周波数と誘電体の比誘電率に応じて、所定の不等式の条件を満たすように、電磁結合部の種々の寸法を厳密に管理する必要がない。つまり、本発明の多層伝送線路板では、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する導体パッチ部を用いることにより、製造段階で電磁結合部の種々の寸法にばらつきが生じても、寸法精度の影響を受けにくくなり、優れた伝送特性を維持できる。よって、高い寸法精度を必要とせずに、低損失な伝送特性を有する多層伝送線路板を提供できる。
また、本発明のマイクロ波帯の周波数帯域で使用される多層伝送線路板は、第一伝送線路をなす第一導体層、第一誘電体層、第二導体層、第二誘電体層、第三導体層、第三誘電体層、及び第二伝送線路をなす第四導体層がこの順に積層されている。第一導体層及び第四導体層の各々は、配線部と、当該配線部の先端に設けられた導体パッチ部とをそれぞれ含み、導体パッチ部は、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する。第二導体層、第二誘電体層、及び第三導体層を貫通する孔が設けられており、孔の内壁に形成された管状の金属膜を介して、第二導体層と第三導体層とが電気的に接続されることにより、第一導体層が第四導体層と電磁結合されることを特徴とする。
この多層伝送線路板では、電磁結合される第一導体層及び第四導体層の配線部の先端に、導体パッチ部がそれぞれ設けられている。このように第一導体層及び第四導体層の配線部の先端をパッチ形状とすることにより、導体パッチ部と孔とのインピーダンス整合を容易にとることができる。この際、従来のように、伝送信号の周波数と誘電体の比誘電率に応じて、所定の不等式の条件を満たすように、電磁結合部の種々の寸法を厳密に管理する必要がない。つまり、本発明の多層伝送線路板では、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する導体パッチ部を用いることにより、製造段階で電磁結合部の種々の寸法にばらつきが生じても、寸法精度の影響を受けにくくなり、優れた伝送特性を維持できる。よって、高い寸法精度を必要とせずに、低損失な伝送特性を有する多層伝送線路板を提供できる。
また、上述の電磁結合構造において、配線部の延在方向と直交する方向における孔の幅は、使用する周波数に対応する実効波長以下に設定されていることが好ましい。
また、上述の多層伝送線路板において、配線部の延在方向と直交する方向における孔の幅は、使用する周波数に対応する実効波長以下に設定されていることが好ましい。
このように孔の幅を設定することにより、低損失な伝送特性を有する電磁結合構造とすることができる。
また、上述の電磁結合構造あるいは多層伝送線路板において、管状の金属膜が形成された前記孔内に、10GHzにおける誘電正接が0〜0.0300である誘電体が充填されていることが好ましい。
伝送損失は材料の誘電正接に比例して大きくなるので、このように誘電正接が低い誘電体を孔内に充填することにより、伝送損失が抑制される。
また、管状の金属膜が形成された前記孔内に空気を充填させてもよい。この場合も、誘電体を孔内に充填した場合と同様に、伝送損失が抑制される。また、誘電体を充填する工程をより簡略化できるので好ましい。
また、本発明のマイクロ波帯の周波数帯域で使用される電磁結合構造の製造方法は、複数のグランド層となる内側導体層の間に内側誘電体層が配置される積層体を形成する工程と、積層体における内側誘電体層及び複数のグランド層となる内側導体層を貫通する孔を設ける工程と、孔の内壁に管状の金属膜を設ける工程と、積層体を間に挟んで対向する一対の外側誘電体層を形成する工程と、一対の外側誘電体層を間に挟んで対向する一対の外側導体層を形成する工程と、を備える。一対の外側導体層の各々が、配線部と、当該配線部の先端に設けられた導体パッチ部とをそれぞれ含み、なおかつ導体パッチ部が、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有するように、一対の外側導体層を形成する。この製造方法によれば、上述の電磁結合構造を効率よく生産することができる。
また、本発明のマイクロ波帯の周波数帯域で使用される多層伝送線路板の製造方法は、複数のグランド層となる内側導体層の間に内側誘電体層が配置される積層体を形成する工程と、積層体における内側誘電体層及び複数のグランド層となる内側導体層を貫通する孔を設ける工程と、孔の内壁に管状の金属膜を設ける工程と、積層体を間に挟んで対向する一対の外側誘電体層を形成する工程と、一対の外側誘電体層を間に挟んで対向する一対の外側導体層を形成する工程と、を備える。一対の外側導体層の各々が、配線部と、当該配線部の先端に設けられた導体パッチ部とをそれぞれ含み、なおかつ導体パッチ部が、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有するように、一対の外側導体層を形成する。この製造方法によれば、上述の伝送線路板を効率よく生産することができる。
また、上述の電磁結合構造あるいは多層伝送線路板の製造方法において、管状の金属膜をめっきによって形成することが、さらなる生産効率向上の観点から好ましい。
また、上述の電磁結合構造の製造方法あるいは多層伝送線路板の製造方法において、管状の金属膜が形成された前記孔内に、10GHzにおける誘電正接が0〜0.0300である誘電体が充填する工程を備えることが好ましい。
伝送損失は材料の誘電正接に比例して大きくなるので、このように誘電正接が低い誘電体を孔内に充填することにより、伝送損失が抑制される。
また、管状の金属膜が形成された前記孔内に空気を充填する工程を備えることも好ましい。この場合も、誘電体を孔内に充填した場合と同様に、伝送損失が抑制される。また、誘電体を充填する工程をより簡略化できるので好ましい。
本発明によれば、高い寸法精度を必要とせずに低損失な伝送特性を有する電磁結合構造、多層伝送線路板、電磁結合構造の製造方法、及び多層伝送線路板の製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板を示す分解斜視図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。 図3(a)〜図3(d)は、導体パッチ部と孔との関係を示す上面図である。 図4(a)〜図4(c)は、本実施形態に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板の製造方法の一例を示す図である。 図5(a)〜図5(c)は、本実施形態に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板の製造方法の一例を示す図である。 図6(a)〜図6(d)は、導体パッチ部と孔との距離の関係の変形例を示す上面図である。 図7は、本実施形態に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板の変形例を示す断面図である。 図8(a)は、実施例に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板における高周波特性を測定するための構造を示す断面図である。図8(b)は、実施例に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板における高周波特性を測定するための構造を示す上面図である。 図9は、比較例に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板を示す分解斜視図である。 図10は、図9のIII−III線に沿った断面図である。 図11は、比較例に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板における高周波特性を測定するための構造を示す断面図である。 図12は、実施例1及び比較例1の高周波特性の測定結果を示すグラフである。 図13は、実施例1及び比較例1の高周波特性の測定結果を示すグラフである。 図14は、実施例1、2及び比較例1、2の高周波特性の測定結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板の好適な実施形態について詳細に説明する。図中には、XYZ直交座標軸系Cが示されている。
本実施形態に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板は、マイクロ波帯の高周波数帯域で使用されるものである。ここでいうマイクロ波帯の周波数帯域とは、具体的に10GHz〜100GHzの周波数帯域である。
図1は、本実施形態に係る電磁結合構造を有する多層伝送線路板1を示す分解斜視図である。図2に、図1のII−II線に沿った断面図を示す。多層伝送線路板1では、第一導体層11、第一誘電体層21、第二導体層12、第二誘電体層23、第三導体層15、第三誘電体層25、及び第四導体層16がこの順に積層されている。ここで、第二誘電体層23は内側誘電体層に相当し、第二導体層12及び第三導体層15は複数のグランド層となる内側導体層に相当し、第一誘電体層21及び第三誘電体層25は一対の外側誘電体層に相当し、第一導体層11及び第四導体層16は一対の外側導体層に相当する。
第一導体層11は、第一伝送線路をなす部分である。同様に、第四導体層16は、第二伝送線路をなす部分である。これら第一伝送線路と第二伝送線路は、電磁界的に接続されるべき高周波伝送線路である。第一伝送線路をなす第一導体層11は第一誘電体層21の面内方向に延在しており、第二伝送線路をなす第四導体層16は第三誘電体層25の面内方向に延在している。
電磁結合される一対の外側導体層11、16の先端は、パッチ形状をなしている。より具体的に第一導体層11は、配線部11Wと、当該配線部11Wの先端に設けられた導体パッチ部11Pとを含む。同様に、第四導体層16は、配線部16Wと、当該配線部16Wの先端に設けられた導体パッチ部16Pとを含む。
配線部11W及び配線部16Wは、長方形状をなし、Y方向を長軸として延在している。導体パッチ部11P及び導体パッチ部16Pは、長方形状をなし、X方向を長軸として延在している。つまり、第一導体層11において、導体パッチ部11Pは、配線部11Wが延在する方向(図1に示す例ではY方向)に対して直交する方向(図1に示す例ではX方向)に延在している。同様に、第四導体層16において、導体パッチ部16Pは、配線部16Wが延在する方向(図1に示す例ではY方向)に対して直交する方向(図1に示す例ではX方向)に延在している。
導体パッチ部11P、16Pは、配線部11W、16Wの延在方向(図1の例ではY方向)に対して直交する方向(図1の例ではX方向)において、配線部11W、16Wの長さよりも長い部分を有する。つまり、導体パッチ部11P、16Pは、配線部11W、16Wの先端に、つぎあて部として形成されている。ただし、後述のように、導体パッチ部11P、16Pは、配線部11W、16Wと同時にパターン形成されるものである。すなわち、導体パッチ部11P、16Pは、配線部11W、16Wと同一材料からなり、配線部11W、16Wと共通の主面を有する。
なお、これら導体パッチ部11P、16Pや配線部11W、16Wの延在方向(図1に示すY方向及びX方向)は、第一導体層11、第一誘電体層21、第二導体層12、第二誘電体層23、第三導体層15、第三誘電体層25、及び第四導体層16の積層方向(図1や図2に示すZ方向)と直交している。
第二導体層12及び第三導体層15は、グランド層をなす地導体である。
第一誘電体層21、第二誘電体層23、及び第三誘電体層25は、第一導体層11、第二導体層12、第三導体層15、及び第四導体層16を互いに電気的に絶縁するための部分である。第一誘電体層21、第二誘電体層23、及び第三誘電体層25は、例えばセラミック、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンエーテルの変性物、液晶ポリマなどの絶縁材料である。なお、第一誘電体層21及び第三誘電体層25として、ガラス繊維を含んでいてもよい。第二誘電体層23は、低損失材料を用いると伝送線路板全体として低損失になるので好ましいが、電磁結合構造の損失には影響しないので、コストを考慮してFR−4レベルの通常のエポキシ基板等を用いてもよい。なお、第二誘電体層23として、ガラス繊維を含んでいてもよい。
多層伝送線路板1には、第二導体層12、第二誘電体層23、及び第三導体層15を貫通する孔Sが設けられている。図1及び図2の例では、貫通穴である孔Sは、一方の導体パッチ部11Pと他方の導体パッチ部16Pとが対向する領域に設けられている。孔Sの内壁には、管状の金属膜3が形成されている。金属膜3は、例えば無電解めっきなどで形成されためっき膜である。金属膜3は、孔Sの内壁の全面に亘って形成されている。第二導体層12及び第三導体層15は、金属膜3を介して電気的に接続されるので、第一伝送線路をなす第一導体層11と第二伝送線路をなす第四導体層16とが電磁結合される。
金属膜3が形成された孔S内には、誘電正接の低い誘電体4が充填されている。本実施形態では、10GHzにおける誘電正接が0〜0.0300である誘電体4が孔S内に充填されている。伝送損失は材料の誘電正接に比例して大きくなるので、孔S内が低誘電正接の誘電体で充填されていることにより伝送損失を抑制できる。また、孔S内に充填する誘電体4は空気であってもよい。この場合も伝送損失の抑制が可能である。また、誘電体4を充填する工程をより簡略化できるので好ましい。
図1に示す例では、XY平面に平行となるように切った孔Sの断面は、X方向に延びる帯状部分の両端のそれぞれにおいて、この帯状部分の外側に向かって半円部分が突出するようにして設けられた形状をなしている。
図3(a)は、導体パッチ部11P、16Pと孔Sとの関係を示す上面図である。図3(a)に示すように、本実施形態では、導体パッチ部11P、16Pは、積層方向から見て孔Sの領域と重なっている。ここで、導体パッチ部11P、16Pにおける長軸方向の長さL2及び短軸方向の長さL3は共に、多層伝送線路板1で使用される周波数帯域の周波数に対応する実効波長λ以下であるのが好適であり、λ/2以下であるのがより好適であり、λ/4以下であるのがさらに好適である。なお、かかるλは、例えば1.5mm〜30mmである。
かかる長さをλ以下とすることにより、孔Sと導体パッチ部11P、16Pとの強い電磁結合が得られるので、伝送損失を抑制できる。導体パッチ部11P、16Pの寸法が大き過ぎると導体パッチ部11P、16Pからの放射が発生するため、損失が増大する可能性がある。また、かかる長さをλ/2以下とすることにより、パターン面積を縮小できるので、効率的なパターン配置を図ることができる。より好ましくは、λ/16以上λ/2以下である。さらに、かかる長さをλ/4以下とすることにより、孔Sと導体パッチ部11P、16Pとのより強い電磁結合が得られ、低損失な信号伝送に最も適した形態となる。ただし、かかる長さがλ/16未満になると、多層伝送線路板1の基板製造時の寸法精度(例えばパターニングにおけるエッチングの精度など)の影響が大きくなる傾向にある。
配線部11W、16Wの延在方向と直交する方向における孔Sの幅L4は、多層伝送線路板1で使用される周波数帯域の周波数に対応する実効波長λ以下となるように設定されている。このように孔Sの幅L4を設定することにより、低損失な伝送特性を有する電磁結合構造とすることができる。なお、配線部11W、16Wの延在方向における孔の幅L5は、配線部11W、16Wの延在方向と直交する方向における孔Sの幅L4よりも短い。
以下に、図4及び図5を用いて、多層伝送線路板1の製造方法の一例を示す。まず、図4(a)に示すように、誘電体層23aの両面に銅箔などの導体層12a、15aが形成された積層体を準備する。次いで、図4(b)に示すように、この積層体にドリルなどで穴開けをすることにより、孔Sを有し、導体層12a、15aを両面に備える誘電体層23を形成する。続いて、孔Sの内壁に金属膜3を形成する。例えば図4(c)に示すように、孔Sが形成された積層体に例えば無電解めっき処理を行うことにより、孔Sの内壁に金属膜3が形成されるとともに、図4(b)に示す導体層12a、15aよりも厚い導体層12、15が誘電体層23の両面に形成される。これにより、図4(c)に示すように、誘電体層23を間に挟んで対向する一対の導体層12、15を貫通する孔Sの内壁に金属膜3が形成された積層体30が得られる。なお、金属膜3の厚みは5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。金属膜3の厚みが5μm未満であると、金属膜3を均一に形成できなくなる恐れがある。
次いで、金属膜3が形成された孔S内に誘電体4を充填する。図5(a)に示すように、誘電体4の表面を研磨して平坦化する。次いで、図5(b)に示すように、一対の誘電体層21、25を、積層体30を間に挟んで対向させ、さらに一対の導体層11a、16aを、誘電体層21、25を間に挟んで対向させた上で、これらを加熱圧着させる。これにより、導体層11a、誘電体層21、導体層12、誘電体層23、導体層15、誘電体層25、及び導体層16aがこの順に積層された構造体とすることができる。最後に、一対の導体層11a、16aを例えばエッチングでパターニングすることにより、配線部11W、16Wと、当該配線部11W、16Wの先端に設けられた導体パッチ部11P、16Pと、をそれぞれ含む一対の外側導体層11、16を形成する。この際、図5(c)に示すように、孔Sを間に挟んで対向する位置に、導体パッチ部11P、16Pを配置する。以上のようにして、図1及び図2に示した電磁結合構造を有する多層伝送線路板1が得られる。
以上のような電磁結合構造を有する多層伝送線路板1では伝送損失を小さくすることができる。なぜならば、図2に示すように、多層伝送線路板1では、一対の導体パッチ部11P、16Pを有し、伝送線路をなす第一導体層11及び第四導体層16の上の電磁界モードが、グランド層をなす第二導体層12及び第三導体層15と、これら第二導体層12及び第三導体層15を電気的に接続する金属膜3との積層体を間に挟んで、「鏡像」の関係にある。つまり、この積層体は、伝送線路の鏡像現象の中心位置である多層伝送線路板1の積層方向の中央に配置されている。この構成により、電磁界が安定し、強いモード結合を得られるので、伝送損失が抑制される。
また、上述の電磁結合構造を有する多層伝送線路板1では、電磁結合される一対の外側導体層(すなわち第一導体層11及び第四導体層16)の配線部11W、16Wの先端に、導体パッチ部11P、16Pがそれぞれ設けられている。このように一対の外側導体層11、16の配線部11W、16Wの先端をパッチ形状とすることにより、導体パッチ部11P、16Pと孔Sとのインピーダンス整合を容易にとることができる。この際、従来のように、伝送信号の周波数と誘電体の比誘電率に応じて、所定の不等式の条件を満たすように、電磁結合部の種々の寸法を厳密に管理する必要がない。つまり、本実施形態にかかる電磁結合構造を有する多層伝送線路板1では、配線部11W、16Wの延在方向と直交する方向において、配線部11W、16Wの長さよりも長い部分を有する導体パッチ部11P、16Pを用いることにより、製造段階で電磁結合部の種々の寸法にばらつきが生じても、寸法精度の影響を受けにくくなり、優れた伝送特性を維持できる。よって、高い寸法精度を必要とせずに、低損失な伝送特性を有する多層伝送線路板1を提供できる。
以上、本実施形態における電磁結合構造を有する多層伝送線路板1を説明したが、本発明はこれらに限定されない。例えば、導体パッチ部11P、16Pの長軸方向の長さL2に対する短軸方向の長さL3の比率は、上記の寸法の範囲内であれば適宜変更できる。また、導体パッチ部11P、16Pの形状は、長方形状に限られることなく、例えば、図3(b)に示すように正方形、図3(c)に示すように円形、図3(d)に示すように星形でも良い。ここで、星形とは、多角形の各辺を延長し、得られた交点を結んだ図形から、多角形を取り除いた形を言う。
また、孔Sの断面形状は、上述したような帯状部分と半円部分とからなる形状をなしていることが好ましいが、この形状に限られず、例えば円形、矩形などでもよい。また、金属膜3が形成された孔S内は、誘電体材料で充填される必要はなく、例えば空気層とすることができる。空気は、誘電率、誘電正接ともに低いので、多層伝送線路板1の伝送損失が抑制される。
また、上記実施形態では、導体パッチ部11P、16Pが、積層方向から見て孔Sの領域と重なっている例を示したが、導体パッチ部11P、16Pと孔Sは、ある程度の距離を隔てていても電磁的に結合するため信号の伝送が可能である。ただし、多層伝送線路板1で使用される周波数帯域の周波数に対応する実効波長をλとする場合、導体パッチ部11P、16Pと孔Sとの最短距離は、λ/2以下であるのが好適である。より具体的には、図6(a)に示すように、導体パッチ部11P、16Pにおける配線部11W、16W側の端部Q1と、孔Sにおける導体パッチ部11P、16P側の端部R1との最短距離L6が、λ/2以下であるのが好適である。あるいは、図6(b)に示すように、導体パッチ部11P、16Pにおける配線部11W、16W側とは反対側の端部Q2と、孔Sにおける導体パッチ部11P、16P側の端部R2との最短距離L7が、λ/2以下であるのが好適である。このように、導体パッチ部11P、16Pと孔Sとの最短距離がλ/2以下であると、信号の伝送を好適に行うことができる。
導体パッチ部11P、16Pと孔Sとの最短距離が小さいほど電磁結合が強くなるので、導体パッチ部11P、16Pと孔Sとの最短距離は、λ/4以下であるのがより好適である。さらに、図6(c)や図6(d)に示すように、導体パッチ部11P、16Pが、積層方向から見て孔Sの少なくとも一部に重なることがさらにより好適である。このような配置にすることにより、効率的なパターン配置を図ることができる。なお、導体パッチ部11P、16Pの形状が図6に示したもの以外であっても、同様である。例えば、図3(d)に示す星形の場合には、導体パッチ部11P、16Pと孔Sとの最短距離は、突起の先端と孔Sとの最短距離とする。
また、上記では、複数のグランド層となる内側導体層の間に内側誘電体層が挟まれて積層された積層体の例を示したが、積層体の形態はこれに限定されない。例えば、このような積層体中において、内側誘電体層以外にグランド層とならない導体層があってもよい。この場合には、例えば、グランド層となる内側導体層の間において、グランド層とならない導体層及び内側誘電体層が挟まれる構造となる。
また、上記電磁結合構造を実現するための具体的な構造としては、第二誘電体層23の厚みは0.02mm以上4mm以下であることが好ましく、0.02mm以上2mm以下であることがより好ましい。第二導体層12の第一誘電体層21側の表面及び第三導体層15の第三誘電体層25側の表面は、表皮効果を考慮して表面粗さが小さい方が好ましく、表面粗さ(十点平均粗さ;Rz)が0.1μm以上9μm以下であることが好ましく、0.1μm以上6μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。第二導体層12及び第三導体層15の厚みは、5μm以上50μm以下であることが好ましく、12μm以上50μm以下であることがより好ましい。
このような構造を得るための材料としては、一般的な多層配線板材料であれば特に問題はなく、セラミック系や有機系の配線板材料を用いることができる。安価な多層伝送線路板1を得るために、高周波信号を流さない配線層には、汎用的な多層配線板材料を用いることができる。よって、第二導体層12、第二誘電体層23、及び第三導体層15として、例えば、両面銅張り積層板であるMCL−E−679(日立化成工業株式会社製、商品名)を適用できる。また、高周波信号を流す伝送線路の伝送損失を抑制するためには、低誘電率かつ低誘電正接の配線板材料が好ましい。第一誘電体層21や第三誘電体層25の厚みは、0.02mm以上0.8mm以下であることが好ましく、0.07mm以上0.2mm以下であることがより好ましい。例えば、第一誘電体層21や第三誘電体層25として、低誘電正接高耐熱多層材料である両面銅張り積層板MCL−FX−2(日立化成工業株式会社製、商品名)やプリプレグGFA−2(日立化成工業株式会社製、商品名)が適用できる。
また、第一伝送線路をなす導体層11や第二伝送線路をなす導体層16を作製する際に用いられる銅箔に関しては、第一導体層11の第一誘電体層21側の表面及び第四導体層16の第三誘電体層25側の表面は、表皮効果を考慮して表面粗さが小さい方が好ましく、表面粗さ(Rz)が0.1μm以上9μm以下であることが好ましく、0.1μm以上6μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。また、第一導体層11及び第四導体層16の厚みは、5μm以上50μm以下であることが好ましく、12μm以上50μm以下であることがより好ましい。このような材料として、例えば3EC−VLP−18(三井金属鉱業株式会社製、商品名)などがある。
また、上記では導体層が第一導体層11、第二導体層12、第三導体層15、第四導体層16の計4層である例を示したが、導体層は4層以上とすることができる。例えば、図7に示すように導体層を6層とすることができる。図7に示す多層伝送線路板2が図2に示した多層伝送線路板1と異なるのは、第二導体層12と第三導体層15との間に、更に第五導体層13と第六導体層14を備え、これら第二導体層12、第五導体層13、第六導体層14、及び第三導体層15の間を絶縁するための誘電体層31,32,33が設けられている点である。
ここで、第五導体層13と第六導体層14は、内層の信号線をなす部分である。図7に示すように、第五導体層13と第六導体層14は、孔Sの内壁に形成された金属膜3とは誘電体層31、32、33によって絶縁されている。このように、多層伝送線路板2は、複数の誘電体層31、32、33及び複数の導体層12、13、14、15が交互に積層された積層体と、当該積層体を間に挟んで対向する一対の誘電体層21、25と、この一対の誘電体層21、25を間に挟んで対向する一対の導体層11、16と、を備えている。そして、この多層伝送線路板2は、複数の誘電体層31、32、33及び複数の導体層12、13、14、15を貫通する孔Sの内壁に形成された金属膜3を介して、一対の導体パッチ及び伝送線路をなす導体層11、16間が電磁結合している電磁結合構造を有する。従って、上記と同様に、層数が変わっても第一導体層11及び第四導体層16の先端がパッチ形状をなしている。すなわち、第一導体層11及び第四導体層16が、配線部11W、16Wの延在方向と直交する方向において、配線部11W、16Wの長さよりも長い部分を有する導体パッチ部11P、16Pをそれぞれ有しているので、上述と同様に、寸法ばらつきの影響を受けにくくなり、電磁結合部における寸法精度を高くすることなく、低損失で安定な伝送特性を有する多層伝送線路板2を提供できる。
以下、実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例では、周波数帯が60〜80GHzである場合における電磁結合構造の伝送損失の測定を行った。ここで、上記で説明した電磁結合構造は多層伝送線路板の表面と裏面に配線(すなわち導体層11,16)が分かれているために、そのままではウェハプローバ等を使って高周波測定をすることが困難である。そのため、以下の実施例では、図8(a)及び図8(b)に示すような2個の孔S1、S2を有する多層伝送線路板1Aを代わりに用いて、2個の孔S1、S2を直列に接続することでプロービングによる測定を可能にした。
[実施例1]
まず、誘電体層の両面に銅箔が形成された積層板(日立化成工業株式会社製、商品名MCL−E−679)を準備した。この積層板の厚さは0.5mmであり、銅箔の厚さは18μmであった。次いで、この積層体に直径0.25mmのドリルを用いて直径0.25mm、幅1.45mmの穴明けをして2つの孔S1、S2を形成した。この2つの孔S1、S2の内壁に銅メッキを施した後、各孔S1、S2内に誘電体4である穴埋め樹脂(太陽インキ製造株式会社製、商品名DX−1、10GHzにおける誘電正接0.03)を印刷し、表面を研磨して内層回路板を作製した。
次に、厚さ18μmの銅箔(三井金属鉱業株式会社製、商品名3EC−VLP−18)、プリプレグ(日立化成工業株式会社製、商品名GFA−2)、上記内層回路板、プリプレグ(日立化成工業株式会社製、商品名GFA−2)、厚さ18μmの銅箔(三井金属鉱業株式会社製、商品名3EC−VLP−18)の順にこれらを重ねて、温度180℃、圧力3MPa、時間80分の条件で積層一体化した多層伝送線路板を作製した。
最後に、この多層伝送線路板に対し、分割投影露光によりエッチングレジストを形成し、上下の銅箔をエッチングでパターニングすることにより、内層回路板で形成した一方の孔S1に対応する位置に、長方形状の導体パッチ部16P(X方向の長さ:長径600μm、Y方向の長さ:短径250μm)と、配線部16W(X方向の長さ:220μm)とを有する伝送線路16A、及び長方形状の導体パッチ部11P(X方向の長さ:長径600μm、Y方向の長さ:短径250μm)と、配線部11W(X方向の長さ:220μm)とを有する伝送線路11Aを対向配置した。同様に、もう一方の孔S2に対応する位置に、長方形状の導体パッチ部16P(X方向の長さ:長径600μm、Y方向の長さ:短径250μm)と、配線部16W(X方向の長さ:220μm)とを有する伝送線路16B、及び長方形状の導体パッチ部11P(X方向の長さ:長径600μm、Y方向の長さ:短径250μm)と、配線部11W(X方向の長さ:220μm)とを有する伝送線路11Aを対向配置した。これらの伝送線路16A、16B、11Aは、特性インピーダンスを50Ωとしたマイクロストリップラインである。以上のようにして、図8(a)や図8(b)に示すような、2個の孔S1、S2を有する電磁結合構造100を有する多層伝送線路板1Aを作製した。
補足すると、多層伝送線路板1Aでは、伝送線路である第一導体層11Aと、第一誘電体層21と、第二導体層12と、第二誘電体層23と、第三導体層15と、第三誘電体層25と、2つの伝送線路である第四導体層16A、16Bとをこの順に積層した。当該第一導体層11Aとしては、配線部11Wと、配線部11Wの両端にそれぞれ設けられた導体パッチ部11P、11Pとを有する伝送線路を形成した。また、第四導体層16A、16Bとしては、配線部16Wと、配線部16Wの先端に設けられた導体パッチ部16Pとをそれぞれ有する伝送線路を形成した。かかる多層伝送線路板1Aは、2個の孔S1、S2の各々において内壁に形成された金属膜3を介して、第二導体層12と第三導体層15とが電気的に接続されることにより、伝送線路11Aと伝送線路16Aとが電磁結合されるとともに、伝送線路11Aと伝送線路16Bとが電磁結合される電磁結合構造100を有する。
このようにして数パネル作製した電磁結合構造100を有する多層伝送線路板1Aにおいて、光学顕微鏡で仕上がり寸法を測定した。その結果、孔S1から伝送線路16Aの開放端16Jまでの距離L8と、孔S1から伝送線路11Aの一方の開放端11Jまでの距離L8と、孔S2から伝送線路16Bの開放端16Kまでの距離L9と、孔S2から伝送線路11Aの他方の開放端11Kまでの距離L9とは、それぞれ設計値に対して±20μmの範囲であった。
[実施例2]
最後の工程において、上下の銅箔にエッチングレジストを形成する際に一括平行露光を用いる以外は実施例1と同様にして多層伝送線路板1Aを作製した。
このようにして数パネル作製した電磁結合構造100を有する多層伝送線路板1Aにおいて、光学顕微鏡で位置ずれ量を測定した。その結果、孔S1のX方向における中心から伝送線路16AのX方向における中心までの距離、孔S1のX方向における中心から伝送線路11AのX方向における中心までの距離、孔S2のX方向における中心から伝送線路16BのX方向における中心までの距離、及び、孔S2のX方向における中心から伝送線路11AのX方向における中心までの距離は、それぞれ設計値に対して最大−100μm、+100μm、−100μm、+100μmであった。
[比較例1]
比較例では、図9及び図10に示すような、第二導体層12のみを貫通するスロット孔S3と、第三導体層15のみを貫通するスロット孔S4とを有する多層伝送線路板10を作製した。ここでスロット孔とは、導体層のみに設けられた孔のことである。よって、比較例の多層伝送線路板10では、実施例のように第二誘電体層23を貫通する孔は、設けられていない。
ただし、多層伝送線路板10の表面と裏面に配線(すなわち導体層111、161)が分かれているために、上述したように、そのままではウェハプローバ等を使って高周波測定をすることが困難である。このため実際は図11に示すような、表面に2つの配線(すなわち導体層161A、161B)を有し、裏面に1つの配線(すなわち導体層111A)を有し、さらに4つのスロット孔S11、S12、S13、S14を有する多層伝送線路板10Aを作製した。以下に、その作製方法を説明する。
まず、板厚0.5mm及び銅箔厚さ18μmの両面銅張り積層板(日立化成工業株式会社製、商品名MCL−E−679)を準備した。銅箔をエッチングによりパターニングすることにより、長径1.9mm×短径0.4mmの4つのスロット孔S11、S12、S13、S14を有する内層回路板を作製した。スロット孔S11及びスロット孔S13は、導体層12となる銅箔のみを貫通するように形成し、スロット孔S12及びスロット孔S14は、導体層15となる銅箔のみを貫通するように形成した。また、スロット孔S11とスロット孔S12とが積層方向において対向するように配置し、スロット孔S13とスロット孔S14とが積層方向において対向するように配置した。
次に、厚さ18μmの銅箔(三井金属鉱業株式会社製、商品名3EC−VLP−18)、プリプレグ(日立化成工業株式会社製、商品名GFA−2)、上記内層回路板、プリプレグ(日立化成工業株式会社製、商品名GFA−2)、厚さ18μmの銅箔(三井金属鉱業株式会社製、商品名3EC−VLP−18)の順にこれらを重ね、温度180℃、圧力3MPa、時間80分の条件で積層一体化した多層伝送線路板を作製した。
最後に、分割投影露光によりエッチングレジストを形成し、上下の銅箔をエッチングでパターニングすることにより、幅220μmの伝送線路161Aの開放端161J及び幅220μmの伝送線路111Aの一方の開放端111Jと、内層回路板で形成したスロット孔S11、S12との距離L10が、それぞれ700μmとなるように、伝送線路161Aの開放端161Jと、伝送線路111Aの開放端111Jとを対向して配置した。同様に、幅220μmの伝送線路161Bの他方の開放端161K及び幅220μmの伝送線路111Aの開放端111Kと、内層回路板で形成したスロット孔S13、S14との距離L11が、それぞれ700μmとなるように、伝送線路161Bの開放端161Kと、伝送線路111Aの開放端111Kとを対向して配置した。
なお、伝送線路161A、161B、111Aは、特性インピーダンスを50Ωとしたマイクロストリップラインである。以上のようにして、図11に示すような4個のスロット孔S11、S12、S13、S14を有する電磁結合構造1000を有する多層伝送線路板10Aを作製した。補足すると、多層伝送線路板10Aは、伝送線路111A、第一誘電体層21、第二導体層12、第二誘電体層23、第三導体層15、第三誘電体層25、及び2つの伝送線路161A,161Bがこの順に積層され、スロット孔S11及びスロット孔S12を介して、伝送線路111Aと伝送線路161Aとが電磁結合されるとともに、スロット孔S13及びスロット孔S14を介して、伝送線路111Aと伝送線路161Bとが電磁結合される電磁結合構造1000を有する。この多層伝送線路板10Aでは、伝送線路161A、161B、111Aには、導体パッチ部を設けなかった。
このようにして数パネル作製した電磁結合構造1000を有する多層伝送線路板10Aにおいて、光学顕微鏡で仕上がり寸法を測定した。その結果、上記距離L10及び距離L11は、それぞれ設計値に対して±20μmの範囲であった。
[比較例2]
最後の工程において、上下の銅箔にエッチングレジストを形成する際に一括平行露光を用いる以外は比較例1と同様にして多層伝送線路板10Aを作製した。
このようにして数パネル作製した電磁結合構造1000を有する多層伝送線路板10Aにおいて、光学顕微鏡で位置ずれ量を測定した。その結果、孔S11、孔S12のX方向における中心から伝送線路161AのX方向における中心までの距離、孔S11、孔S12のX方向における中心から伝送線路111AのX方向における中心までの距離、孔S13、孔S14のX方向における中心から伝送線路161BのX方向における中心までの距離、及び、孔S13、孔S14のX方向における中心から伝送線路111AのX方向における中心までの距離は、それぞれ設計値に対して最大−100μm、+100μm、−100μm、+100μmであった。
[測定結果]
以上のように実施例で作製した電磁結合構造100及び比較例で作製した電磁結合構造1000に対して、伝送線路16A、161Aと伝送線路16B、161Bに、高周波プローブ(カスケードマイクロテック社製、商品名ACP−L−GSG150)を接触させ、同軸ケーブル(アジレントテクノロジー社製、商品名E7342)を介して接続されたネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製、商品名HP8510C)から電力を供給すると共に、伝送線路16A、161Aと伝送線路16B、161Bの端面に電力が通過する際の伝送損失を測定した。
図12〜図14は、実施例1、2及び比較例1、2の高周波特性の測定結果を示すグラフである。これらのグラフに示す特性は全て孔あるいはスロット孔を介した電磁結合が2個分の特性である。従って、孔あるいはスロット孔を介した電磁結合が1個分の伝送損失は、これらのグラフの伝送損失の概ね半分の特性となる。なお、測定結果のグラフには、測定したマイクロストリップラインの伝送損失も併せて示した。これにより、孔あるいはスロット孔を介した電磁結合部の伝送損失が算出できるようにした。以下、その算出方法とともに具体的に説明する。
図12において、G1はマイクロストリップラインの伝送損失を示す。G2は、実施例1におけるマイクロストリップラインの孔を介した電磁結合が2個分の電磁結合構造100の伝送損失を示す。G3は、比較例1におけるマイクロストリップラインのスロット孔を介した電磁結合が2個分の電磁結合構造1000の伝送損失を示す。また、図13において、G4、G5は実施例1における電磁結合構造100の伝送損失のばらつきを示す。G6、G7は比較例1における電磁結合構造1000の伝送損失のばらつきを示す。図14において、G8は実施例2における電磁結合構造100の伝送損失のばらつきを示す。G9は比較例2における電磁結合構造1000の伝送損失のばらつきを示す。
表1に、実施例1における電磁結合構造100、及び比較例1における電磁結合構造1000の75GHz時の特性をまとめて示す。
Figure 0005831096
図12のG2あるいは表1に示すように、75GHz時では、実施例の電磁結合構造100において、上記距離L8及び距離L9が、それぞれ設計値通りの場合、測定した基板の伝送損失は−3.62dBであった。この値から図12のG1、あるいは表1に示すマイクロストリップラインの伝送損失−1.92dBを引くと、−1.70dBとなる。この−1.70dBという値は、マイクロストリップラインの孔を介した電磁結合が2個分の電磁結合構造100の伝送損失であるので、この半分の値である−0.85dBが1個分の伝送損失となる。
同様に図13のG4,G5、あるいは表1に示すように、実施例の電磁結合構造100において上記距離L8及び距離L9が、それぞれ設計値に対して−20μmあるいは+20μmであった場合、測定した基板の伝送損失は−3.73dBあるいは−3.58dBであった。この値から図9のG1、あるいは表1に示すマイクロストリップラインの伝送損失−1.92dBを引くと、−1.82dBあるいは−1.66dBとなる。この−1.82あるいは−1.66dBという値は、マイクロストリップラインの孔を介した電磁結合が2個分の電磁結合構造100の伝送損失であるので、この半分の値である−0.91あるいは−0.83dBが1個分の伝送損失となる。
また、図13のG3、あるいは表1に示すように、75GHz時では、比較例1の電磁結合構造1000において、上記距離L10及び距離L11が、それぞれ設計値通りの場合、測定した基板の伝送損失は−15.90dBであり、この値から図12のG1、あるいは表1に示すマイクロストリップラインの伝送損失−1.92dBを引くと、−13.98dBとなる。この−13.98dBという値は、マイクロストリップラインのスロット孔を介した電磁結合が2個分の電磁結合構造1000の伝送損失であるので、この半分の値である−6.99dBが1個分の伝送損失となる。
同様に図13のG6、G7、あるいは表1に示すように、比較例1の電磁結合構造1000において上記距離L10及び距離L11が、それぞれ設計値に対して−20μmあるいは+20μmであった場合、測定した基板の伝送損失は−14.65dBあるいは−16.87dBであった。この値から図12のG1、あるいは表1に示すマイクロストリップラインの伝送損失−1.92dBを引くと、−12.73dBあるいは−14.95dBとなる。この−12.73あるいは−14.95dBという値は、マイクロストリップラインのスロット孔を介した電磁結合が2個分の電磁結合構造1000の伝送損失であるので、この半分の値である−6.37あるいは−7.48dBが1個分の伝送損失となる。
さらに、表2に、実施例2における電磁結合構造100及び比較例2における電磁結合構造1000の75GHz時の特性をまとめて示す。
Figure 0005831096
図14のG8、あるいは表2に示すように、実施例2の電磁結合構造100において上記孔S1のX方向における中心から伝送線路16AのX方向における中心までの距離、孔S1のX方向における中心から伝送線路11AのX方向における中心までの距離、孔S2のX方向における中心から伝送線路16BのX方向における中心までの距離、及び、孔S2のX方向における中心から伝送線路11AのX方向における中心までの距離が、それぞれ設計値に対して±100μmであった場合、測定した基板の伝送損失は−3.66dBであった。これから求めた層間接続部1個分の伝送損失は−0.87dBであった。
同様に、図14のG9、あるいは表2に示すように、比較例2の電磁結合構造1000において上記孔S11、孔S12のX方向における中心から伝送線路161AのX方向における中心までの距離、孔S11、孔S12のX方向における中心から伝送線路111AのX方向における中心までの距離、孔S13、孔S14のX方向における中心から伝送線路161BのX方向における中心までの距離、及び、孔S13、孔S14のX方向における中心から伝送線路111AのX方向における中心までの距離が、それぞれ設計値に対して±100μmであった場合、測定した基板の伝送損失は−16.66dBであった。これから求めた層間接続部1個分の伝送損失は−7.37dBであった。
従って、75GHz帯での伝送損失は、実施例1、2の電磁結合構造100の方が、比較例1、2の電磁結合構造1000よりも小さい。また、図12に示されるように、60〜80GHzの周波数帯域にわたって、実施例1、2の電磁結合構造100の方が、比較例1、2の電磁結合構造1000よりも伝送損失が小さい。
さらに、75GHz時における層間接続部の最大伝送損失から最小伝送損失を引いた損失ばらつきは、実施例1では0.08dB、比較例1では1.11dBであった。また、実施例2では0.02dB、比較例2では0.38dBであった。従って、実施例1、2の電磁結合構造100の方が、比較例1、2の電磁結合構造1000よりも損失ばらつきも大幅に低減する。
このように、実施例のような多層伝送線路板1Aでは、比較例のような従来の多層伝送線路板10Aと比較して伝送損失が少なくなる。これは、従来の多層伝送線路板では、伝送線路間の電磁結合が弱いことに起因する。電磁結合が弱まる理由は2つある。第1は、伝送線路間の距離が伝送線路の間に存在する多層構造の厚み分だけ遠くなるためである。第2は、従来の多層伝送線路板では「鏡像」関係を利用して電磁結合を強める設計手法が取れないためである。
実施例のような多層伝送線路板1Aでは、伝送線路をなす導体層11A及び導体層16A,16Bの上の電磁界モードが、グランド層をなす導体層12及び導体層15と、これら導体層12及び導体層15を電気的に接続する金属膜3との積層体を間に挟んで、「鏡像」の関係にある。つまり、この積層体は、伝送線路の鏡像現象の中心位置である多層伝送線路板1Aの積層方向の中央に、配置されている。この構成により、電磁界が安定して強いモード結合を得られるので、伝送損失が抑制される。
これに対し、比較例のような従来の多層伝送線路板10Aでは、伝送線路をなす導体層111A及び導体層161A、161Bの鏡像現象の中心位置には誘電体層23が存在し、導体層(グランド層)がないため鏡像原理によってモード結合を強めることができない。
また、実施例のような多層伝送線路板1Aでは、比較例のような従来の多層伝送線路板10Aと比較して損失ばらつきが小さくなる。これは、伝送線路の先端をパッチ形状にすることによって(すなわち、配線部の延在方向と直交する方向において、配線部の長さよりも長い部分を有する導体パッチ部を用いることによって)、孔とのインピーダンスを整合させる構造をなしていることに起因する。このような構造では、導体パッチ部の寸法等の変化よる伝送損失への影響が比較的小さい。実施例2で行った一括平行露光法は、分割投影露光法に比べ、線路形成精度のばらつきが比較的大きいが、本発明にかかる構造を有することによって、導体パッチ部の寸法の変化や位置ずれによる伝送損失への影響が小さい。
これに対し、従来の多層伝送線路板10Aでは、電磁波の位相を考慮してスロット孔と開放端の距離を決める。これは進行波と反射波の干渉によりスロット孔上部で電磁波が弱まらないようにする必要があるためである。このような構造では伝送線路の開放端とスロット孔との距離が極めて重要になるため、パターンの寸法変化による伝送損失への影響が大きい。
1…多層伝送線路板、11…第一導体層、11W…配線部、11P…導体パッチ部、12…第二導体層、15…第三導体層、16…第四導体層、16W…配線部、16P…導体パッチ部、21…第一誘電体層、23…第二誘電体層、25…第三誘電体層、3…金属膜、S…孔。

Claims (8)

  1. マイクロ波帯の周波数帯域で使用される電磁結合構造の製造方法であって、
    複数のグランド層となる内側導体層の間に内側誘電体層が配置される積層体を形成する工程と、
    前記積層体における前記内側誘電体層及び前記複数のグランド層となる内側導体層を貫通する孔を設ける工程と、
    前記孔の内壁に管状の金属膜を設ける工程と、
    前記積層体を間に挟んで対向する一対の外側誘電体層を形成する工程と、
    前記一対の外側誘電体層を間に挟んで対向する一対の外側導体層を形成する工程と、を備え、
    前記一対の外側導体層の各々が、配線部と、当該配線部の先端に設けられた導体パッチ部とをそれぞれ含み、前記導体パッチ部が、前記配線部の延在方向と直交する方向において、前記配線部の長さよりも長い部分を有するように、前記一対の外側導体層を形成する、電磁結合構造の製造方法。
  2. 前記管状の金属膜をめっきによって形成する、請求項に記載の電磁結合構造の製造方法。
  3. 前記管状の金属膜が形成された前記孔内に、10GHzにおける誘電正接が0〜0.0300である誘電体を充填する工程を有する、請求項又はに記載の電磁結合構造の製造方法。
  4. 前記管状の金属膜が形成された前記孔内に、空気を充填する工程を有する、請求項又はに記載の電磁結合構造の製造方法。
  5. マイクロ波帯の周波数帯域で使用される多層伝送線路板の製造方法であって、
    複数のグランド層となる内側導体層の間に内側誘電体層が配置される積層体を形成する工程と、
    前記積層体における前記内側誘電体層及び前記複数のグランド層となる内側導体層を貫通する孔を設ける工程と、
    前記孔の内壁に管状の金属膜を設ける工程と、
    前記積層体を間に挟んで対向する一対の外側誘電体層を形成する工程と、
    前記一対の外側誘電体層を間に挟んで対向する一対の外側導体層を形成する工程と、を備え、
    前記一対の外側導体層の各々が、配線部と、当該配線部の先端に設けられた導体パッチ部とをそれぞれ含み、前記導体パッチ部が、前記配線部の延在方向と直交する方向において、前記配線部の長さよりも長い部分を有するように、前記一対の外側導体層を形成する、多層伝送線路板の製造方法。
  6. 前記管状の金属膜をめっきによって形成する、請求項に記載の多層伝送線路板の製造方法。
  7. 前記管状の金属膜が形成された前記孔内に、10GHzにおける誘電正接が0〜0.0300である誘電体を充填する工程を有する、請求項又はに記載の多層伝送線路板の製造方法。
  8. 前記管状の金属膜が形成された前記孔内に、空気を充填する工程を有する、請求項又はに記載の多層伝送線路板の製造方法。
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