JP5764639B2 - モード変換器 - Google Patents
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Description
特許文献1の図1〜図7に示すように、上記技術は、従来の導波路の側壁(金属壁)を、プリント基板のスルーホール群(ポスト群)で置き換えている。無線通信IC(CMOS−IC)がPWAの上に実装されており、ワイヤボンド、バンプ接続などの方法で無線通信IC(特許文献1の明細書中では半導体チップ4と表記。以下同)から出力されたミリ波信号は、一旦、平面回路による伝送線路(マイクロストリップ、コプレーナ、ストリップ等の線路24と表記)を伝わり、平面回路・導波路変換構造(中心導体23と表記)を経て、最終的には導波路構造部(導波路2と表記)へと導かれる。
このため、実際の使用においては、励振ビアの金属柱が、筐体等の他の金属体の影響を受け、励振ビア端面から見た入力インピーダンスが変動し、反射損失の大きさが変動するという問題があった。
その結果、金属が近接していない状態(a)と、金属が近接している状態(b)とでは明らかに反射損失の大きさに差があることがわかった。
一方、紙を挟んだ場合(c)では、反射損失は金属の影響がない(a)にほぼ等しいことがわかった。本発明は、この知見に基づき、金属の影響を低減するべく、以下のように構成した。
前記伝送路は、マイクロストリップラインを構成しており、一端側が前記励起ピンに接続され、他端側がパッドに接続され、前記パッドを挟んだ両側には、それぞれGNDパッドが前記パッドから離間して形成され、前記GNDパッドは、GND接続ビアを介して前記接地導体層と接続されていてもよい。
前記絶縁樹脂層は、熱硬化性樹脂からなる構成としてよい。
前記絶縁樹脂層は、液晶ポリマーからなる構成としてよい。
前記絶縁樹脂層は、液晶ポリマーからなる液晶ポリマー層と、前記液晶ポリマー層と前記第二主面の接地導体層との間に介在する熱硬化性樹脂層とを有する構成としてよい。
前記壁部は、前記第一基板の両主面間を貫通する複数の貫通孔の内部にそれぞれ形成された複数の導電性のポストからなるポスト壁であることが好ましい。
本発明の第一実施形態について図1〜図16を参照して説明する。
なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明に用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
基材2は、例えば単一層のLCP(液晶ポリマー)からなる。LCPは熱可塑性の樹脂であるため、LCPの両面に所望の銅箔3a、3bを貼り合せ、熱プレスにより熱融着することによってCCLを作製することが可能である。また、LCPは、誘電率、比誘電率が低く、また、ほとんど吸水をしないために、高周波伝送に適した材料であり、ミリ波帯においても十分な特性を発揮することが可能である。
導体柱21は、第一貫通孔11の内壁11aに設けられた金属層21a、21b(導体層)を有する。金属層21aは、第一基板10の主面10a、10bに形成された導体膜14および導体膜15に達している。
GND接続ビア23は、第三貫通孔13の内壁13aに設けられた金属層23a(導体層)を有する。金属層23aは、信号伝送路C1に達している。
以下、導体柱21、励振ピン22、GND接続ビア23をピン20と総称することがある。
平面回路Cでは、信号伝送路C1の端部に高周波信号(ミリ波信号)を印加すると、信号伝送路C1と接地導体層30との間を、TEMモードの電磁波が伝搬する。
これら接地導体層30、31は、それぞれ銅等の導体によって構成され、電気的に接地された配線(GND)として機能する。
なお、銅箔3aは接地導体層30の一部として扱うことができるため、基材2の上面を主面10aとみなすこともできる。同様に、銅箔3bは接地導体層31の一部として扱うことができるため、基材2の下面を主面10bとみなすこともできる。
ポスト壁21Aを構成する複数の導体柱21は、図1(A)に示すように、第一基板10の平面視において励振ピン22をU字形に囲むように配置されている。
アンチパッド32、33は、励振ピン22の周囲に環状に形成され、接地導体層30、31と励振ピン22とを絶縁する領域を確保することにより、平面回路Cおよび励振ピン22の入力インピーダンスとのインピーダンス整合を図るものである。
アンチパッド32、33は、電気的な絶縁領域であればよく、励振ピン22と接地導体層30、31との間に確保された空隙により構成してもよいし、この空隙に充填された絶縁体(樹脂等)により構成してもよい。
図示例では、主面10b側のアンチパッド33には、絶縁樹脂層41を構成する樹脂が充填されている。
GSGパッド34の両外側には、図2に示すように、GSGパッド34から離間してGNDパッド35が形成される。GNDパッド35には、GND接続ビア23が接続される。GND接続ビア23は、接地導体膜31に達して形成される。
前述した導体柱21、励振ピン22、およびGND接続ビア23は、少なくとも表面がCu、Ag、Auなどの導体から形成されていればよく、内部については、表面と同様の導体、空洞、あるいは、絶縁樹脂などで占有された構造とすることができる。
図3に示すように、この例では、第一基板10の他方の主面10b側に設けた絶縁樹脂層41を構成する樹脂が導体柱21、励振ピン22、GND接続ビア23内に充填されている。
図示例の絶縁樹脂層41は、接地導体層31の下面側の全領域に形成されているが、絶縁樹脂層41は、接地導体層31の下面側の全領域に形成する必要はなく、少なくとも、励振ピン22の端部22b(第二主面10b側の端部)およびアンチパッド33を覆っていればよい。例えば、接地導体層31の下面側の領域のうち、励振ピン22の端部22bおよびアンチパッド33を含む一部領域のみに形成してもよい。
「少なくとも励振ピン22の端部22bおよびアンチパッド33を覆う」とは、平面視において、励振ピン22の端部22bおよびアンチパッド33と重なる領域を有することをいう。
電磁波は、励振ピン22を新たなTEモードの励振源として導波路基板10内にTEモードを誘起させ、TEモードとして導波路基板10内を伝搬する。
まず、第一工程として、図4に示すように、基材となるLCPフィルム102の両面に、銅箔103aおよび銅箔103bが張り合わされた、いわゆる銅張積層板(Copper Clad Laminate(CCL))からなる第一基板110を準備する。なお、この第一基板110は、図1〜図3の第一基板10に相当する。
なお、銅箔103a、103bの厚さは、後の回路形成性に影響するため、電気信号を流す際に影響が無い範囲で、薄い方が好ましい。また、LCPフィルム102の厚さは、例えば100μm〜750μmである。銅箔103a、103bの厚さは、例えば2〜18μmである。
第一貫通孔111の孔径は、使用するドリル刃の径によって調整可能であり、製造する部品の用途に応じて、例えば75μm〜500μmの範囲で、適宜設定することができる。
なお、第一貫通孔111は、図1〜図3の第一貫通孔11に相当している。
この導電性被膜は、パラジウムやカーボンなどによって構成することが可能であるが、後述する第三工程での電解銅めっき処理によって、銅めっきが可能であればよく、導電性被膜の構成材料には特に制限はない。
また、銅箔103aおよびめっき層114からなる導体層を接地導体層130とし、銅箔103bおよびめっき層115からなる導体層を接地導体層131という。
めっき層の厚みは、ミリ波帯の信号による表皮深さよりも厚いことが望ましいという観点で考えた場合、60GHzの信号における表皮深さが270nmであることから、第一貫通孔壁面のめっき厚が2μm以上とすれば十分と考えられる。
なお、導体柱121、接地導体層130、接地導体層131は、図1〜図3の導体柱21、接地導体層30、接地導体層31にそれぞれ相当している。
エッチングレジスト150、151を形成する方法としては既知の手法が可能であるが、例えば次の手法が可能である。まず、第一基板の接地導体層130および接地導体層131に、感光性ドライフィルムを、熱ロールによってラミネートする。次いで、フォトリソグラフィー法を用いて、ドライフィルムを所望の形状にパターニングし、エッチングレジストとする。
なお、本構造では、第四工程において接地導体層131には、アンチパッド等の回路形成は実施しないため、接地導体層131面にはエッチングレジスト151が全面に形成されることになる。すなわち、接地導体層131に形成されるエッチングレジスト151は、銅のエッチング液から接地導体層131を保護するためにのみ、使用される。
エッチング後、エッチングレジストを剥離する。剥離液は、水酸化ナトリウム水溶液や、水酸化カリウム水溶液を使用するのが一般的である。剥離液は、使用するエッチングレジストに応じて、推奨される薬液を用いるのが好ましい。
なお、第二基板142は、図1〜図3の第二基板42に相当している。
第二貫通孔112は、接地導体層130に形成されたアンチパッド132の内側に形成される。
本実施形態において、第二貫通孔112および第三貫通孔113の孔径は、使用するドリル刃の径によって調整可能であり、製造する部品の用途に応じて、例えば75μm〜500μmの範囲で適宜設定することができる。
なお、第二貫通孔112および第三貫通孔113は、図1〜図3の第二貫通孔12および第三貫通孔13にそれぞれ相当している。
一例を挙げると、接地導体層130へのアンチパッド132の形成と同時に、接地導体層130に位置合せ用のガイドマークを形成する。第五工程での積層後、X線画像処理装置によって、接地導体層130に形成されたガイドマークを認識することで、そのガイドマークに目がけて、ピンを挿入するためのピン孔を開ける。さらに、このピン孔に対して、積層基板200の厚さよりも長いピンを挿入する。さらに、挿入したピンを、ドリル装置の加工ステージ上にある基準孔に差し込むことで、基板とドリル装置との位置合せ行う、と言った手法が採用可能である。
ここで、主面200a側のめっき層をめっき層201aとし、主面200b側のめっき層をめっき層201bとし、第二貫通孔112の内部に形成されためっき層を励振ピン122とし、第三貫通孔113の内部に形成されためっき層をGND接続ビア123としてそれぞれ表記する。
また、積層基板200の一方の主面200a側の、銅箔およびめっき層をまとめて接地導体層202と表記し、他方の主面200b側の銅箔およびめっき層をまとめて接地導体層203と表記する。
また、励振ピン122、GND接続ビア123は、図1〜図3の励振ピン22、GND接続ビア23に相当している。
エッチングレジストを形成する方法としては、第四工程で挙げた、既知の方法が利用可能である。
エッチング方法としては、第四工程で挙げたような、既知の方法であるウェットエッチングを用いることが可能である。
図16に、第九工程の本工程として、第一基板110の接地導体層203に、熱硬化性樹脂層141Aをラミネートし、熱プレスにより単層の絶縁樹脂層141を形成する。
これにより、図1〜図3に示すモード変換器1を得る。
熱プレスの際に、励振ピン122内部やGND接続ビア内部に樹脂が埋め込まれるが、いずれの場合も、モード変換器への特性には影響を及ぼさず、問題とはならない。
なお、絶縁樹脂層141は、図1〜図3の絶縁樹脂層41に相当している。
絶縁樹脂層41(141)により、励振ピン21(121)端面から見た入力インピーダンスの変動を防止し、反射損失への変動を抑えることが可能となる。
「少なくとも励振ピン122の端部122bおよびアンチパッド133を覆う」とは、平面視において、励振ピン122の端部122bおよびアンチパッド133と重なる領域を有することをいう。
本発明の第二実施形態について図17及び図18を参照して説明する。
第二実施形態のモード変換器1Aが、第一実施形態と異なるのは、第九工程(図15及び図16参照)に示される絶縁樹脂層141の具体的構成である。
図18に示すように、第九工程の本工程として、接地導体層203に熱硬化性樹脂層141Bを熱ラミネートし、さらにこの熱硬化性樹脂層141Bに、絶縁樹脂層であるLCPフィルム141Cを熱ラミネートする。その後、熱プレスを実施し、熱硬化性樹脂層141BとLCPフィルム141C(液晶ポリマー層)とを一体化した絶縁樹脂層141を形成する。
熱硬化性樹脂層141Bは、LCPフィルム141Cと接地導体層203との間に介在する。
また、熱硬化性樹脂層141B上の層としては、LCPフィルム141Cの他、ポリイミド、テフロン(登録商標)、ガラスエポキシ板等も使用可能である。
なお、熱硬化性樹脂層141Bは、厚さ12μm〜50μmとすることができ、LCPフィルム141Cは、厚さ25〜500μmのものが使用可能である。
絶縁樹脂層41(141)により、励振ピン21(121)端面から見た入力インピーダンスの変動を防止し、反射損失の変動を抑えることが可能となる。
本発明の第三実施形態について図19及び図20を参照して説明する。
第三実施形態に示されるモード変換器1Bが、第一、第二実施形態と異なるのは、第九工程(図15〜図18参照)に示される絶縁樹脂層141の具体的構成である。
図20に示すように、第九工程の本工程として、接地導体層203にLCPフィルム141Dをラミネートし、熱プレスにより単層の絶縁樹脂層141を形成する。
具体的には、接地導体層203にLCPフィルム141Dを重ねた後、熱プレスを用いて、温度300℃、圧力45kfg/cm2、時間10分程度、処理することにより、熱融着させて絶縁樹脂層141を形成する。なお、LCPフィルムの厚さは、例えば25μm〜500μmである。
そして、第三実施形態では、第一、第二実施形態とは異なり、絶縁樹脂層141がLCP単層となるので、より、低誘電率、低誘電正接な絶縁層を形成することが可能となり、反射損失を抑えられる効果が期待できる。
本実施形態によるモード変換器を用いた場合において、マイクロストリップ線路の端部をポートとし、反射損失に関するシミュレーションを行った。シミュレーションには3次元電磁界解析ソフトHFSSを用いた。結果を図21に示す。
なお、本実施形態のモード変換器では、励振ピンが200μm径であり、励振ピンのランド部の径が350μmであり、励振ピンの周囲に位置するアンチパッド(32、33)のスペース幅(励振ピンの径方向に沿う幅)を、85μm、100μm、125μm、135μm、150μmとした。また、グラフの横軸は周波数を示し、縦軸は反射損失の大きさを示している。
この図より、反射損失の大きさは、アンチパッドのサイズによって変化することがわかった。したがって、この結果から、アンチパッドのサイズを調整することによって、ピン入力端における入力インピーダンスの制御が可能であることがわかった。
また、アンチパッドのサイズには100μm〜150μm、最適値として125μmを選択することが好ましく、当該最適値の選択によって、反射損失を著しく低減させ得ることもわかった。
Claims (6)
- 伝送路と導波路との間で信号を相互に変換するモード変換器であって、
第一主面およびその反対面である第二主面を有する第一基板と、
前記第一基板の第一主面側に積層された第二基板と、
前記伝送路を含み、前記第二基板上に形成されて高周波信号を伝播する平面回路と、
前記平面回路と接続され、前記第一基板および第二基板を貫通する導電性の励振ピンと、
前記第一基板の両主面にそれぞれ形成された接地導体層およびこれらを互いに連結する導電性の壁部を有する前記導波路と、を備え、
前記励振ピンは、前記第一基板および第二基板を貫通する導電性の貫通部と、前記第一主面側において前記貫通部から拡径方向に突出した導電性の第一部分と、前記第二主面側において前記貫通部から拡径方向に突出した導電性の第二部分と、を有し、
前記第一主面側の接地導体層と前記励振ピンの第一部分との間、および、第二主面側の接地導体層と前記励振ピンの第二部分との間に、それぞれアンチパッドが形成され、
前記第二主面側の接地導体層には、少なくとも前記励振ピンの端部およびアンチパッドを覆う絶縁樹脂層が設けられているモード変換器。 - 前記伝送路は、マイクロストリップラインを構成しており、一端側が前記励起ピンに接続され、他端側が前記第二基板上に形成されたパッドに接続され、
前記パッドを挟んだ両側には、それぞれGNDパッドが前記パッドから離間して形成され、
前記GNDパッドは、GND接続ビアを介して前記接地導体層と接続されている請求項1に記載のモード変換器。 - 前記絶縁樹脂層は、熱硬化性樹脂からなる請求項1または2に記載のモード変換器。
- 前記絶縁樹脂層は、液晶ポリマーからなる請求項1または2に記載のモード変換器。
- 前記絶縁樹脂層は、液晶ポリマーからなる液晶ポリマー層と、前記液晶ポリマー層と前記第二主面の接地導体層との間に介在する熱硬化性樹脂層とからなる請求項1または2に記載のモード変換器。
- 前記壁部は、前記第一基板の両主面間を貫通する複数の貫通孔の内部にそれぞれ形成された複数の導電性のポストからなるポスト壁である請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のモード変換器。
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