以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。液浸空間とは、液体で満たされた部分(空間、領域)をいう。基板Pは、液浸空間LSの液体LQを介して露光光ELで露光される。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
また、本実施形態の露光装置EXは、例えば米国特許第6897963号明細書、及び欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、基板Pを保持せずに、露光光ELを計測する計測部材C及び計測器を搭載して移動可能な計測ステージ3と、マスクステージ1を移動する駆動システム4と、基板ステージ2を移動する駆動システム5と、計測ステージ3を移動する駆動システム6と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材7と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置8と、制御装置8に接続され、露光に関する各種の情報を記憶する記憶装置8Rとを備えている。記憶装置8Rは、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置8Rには、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
また、露光装置EXは、マスクステージ1、基板ステージ2、及び計測ステージ3の位置を計測する干渉計システム11と、検出システム300とを備えている。検出システム300は、基板Pのアライメントマークを検出するアライメントシステム302と、基板Pの上面(表面)Paの位置を検出する表面位置検出システム303とを含む。なお、検出システム300が、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書に開示されているような、基板ステージ2の位置を検出するエンコーダシステムを備えてもよい。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
また、露光装置EXは、露光光ELが進行する空間102の環境(温度、湿度、圧力、及びクリーン度の少なくとも一つ)を調整するチャンバ装置103を備えている。チャンバ装置103は、空間102を形成するチャンバ部材104と、その空間102の環境を調整する空調システム105とを有する。
空間102は、空間102A及び空間102Bを含む。空間102Aは、基板Pが処理される空間である。基板ステージ2及び計測ステージ3は、空間102Aを移動する。
空調システム105は、空間102A、102Bに気体を供給する給気部105Sを有し、その給気部105Sから空間102A、102Bに気体を供給して、その空間102A、102Bの環境を調整する。本実施形態においては、少なくとも基板ステージ2、計測ステージ3、及び投影光学系PLの終端光学素子12が空間102Aに配置される。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材9のガイド面9G上を移動可能である。駆動システム4は、ガイド面9G上でマスクステージ1を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材9に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システム4の作動により、ガイド面9G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸は、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
基板ステージ2は、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に移動可能である。基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。計測ステージ3は、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に移動可能である。計測ステージ3は、計測部材Cを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。基板ステージ2と計測ステージ3とは、ガイド面10G上を独立して移動可能である。
基板ステージ2を移動するための駆動システム5は、ガイド面10G上で基板ステージ2を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、基板ステージ2に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。同様に、計測ステージ3を移動するための駆動システム6は、平面モータを含み、計測ステージ3に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。
本実施形態において、基板ステージ2は、基板Pの下面Pbをリリース可能に保持する第1保持部31と、基板Pが配置可能な開口Thを規定し、基板Pが第1保持部31に保持されている状態において基板Pの上面Paの周囲に配置される上面とを有する。
本実施形態において、基板ステージ2は、例えば米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、第1保持部31の周囲に配置され、カバー部材Tの下面Tbをリリース可能に保持する第2保持部32を有する。カバー部材Tは、第1保持部31に保持された基板Pの周囲に配置される。本実施形態においては、カバー部材Tが、第1保持部31に保持された基板Pが配置される開口Thを有する。本実施形態においては、カバー部材Tが上面2Uを有する。
本実施形態において、第1保持部31は、基板Pの上面PaとXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。第2保持部32は、カバー部材Tの上面2UとXY平面とがほぼ平行となるように、カバー部材Tを保持する。本実施形態において、第1保持部31に保持された基板Pの上面Paと第2保持部32に保持されたカバー部材Tの上面2Uとは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。
なお、カバー部材Tは、基板ステージ2に一体的に形成されていてもよい。例えば、基板ステージ2の少なくとも一部の部材が上面2Uを有してもよい。
本実施形態において、計測ステージ3は、計測部材Cをリリース可能に保持する第3保持部33と、第3保持部33の周囲に配置され、カバー部材Qをリリース可能に保持する第4保持部34とを有する。第3,第4保持部33,34は、ピンチャック機構を有する。カバー部材Qは、第3保持部33に保持された計測部材Cの周囲に配置される。なお、第3保持部33及び第4保持部34の少なくとも一方で使用される保持機構はピンチャック機構に限られない。また、計測部材C及びカバー部材Qの少なくとも一方は、計測ステージ3に一体的に形成されていてもよい。
本実施形態において、第3保持部33は、計測部材Cの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、計測部材Cを保持する。第4保持部34は、カバー部材Qの上面とXY平面とがほぼ平行となるように、カバー部材Qを保持する。本実施形態において、第3保持部33に保持された計測部材Cの上面と第4保持部34に保持されたカバー部材Qの上面とは、ほぼ同一平面内に配置される(ほぼ面一である)。
ここで、以下の説明において、第2保持部32に保持されたカバー部材Tの上面2Uを適宜、基板ステージ2の上面2U、と称し、第3保持部33に保持された計測部材Cの上面及び第4保持部34に保持されたカバー部材Qの上面を合わせて適宜、計測ステージ3の上面3U、と称する。
干渉計システム11は、マスクステージ1の位置を計測するレーザ干渉計ユニット11Aと、基板ステージ2及び計測ステージ3の位置を計測するレーザ干渉計ユニット11Bとを含む。レーザ干渉計ユニット11Aは、マスクステージ1に配置された計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1の位置を計測可能である。レーザ干渉計ユニット11Bは、基板ステージ2に配置された計測ミラー2R、及び計測ステージ3に配置された計測ミラー3Rを用いて、基板ステージ2及び計測ステージ3それぞれの位置を計測可能である。
アライメントシステム302は、基板Pのアライメントマークを検出して、その基板Pのショット領域Sの位置を検出する。アライメントシステム302は、基板ステージ2(基板P)が対向可能な下面を有する。基板ステージ2の上面2U、及び基板ステージ2に保持されている基板Pの上面(表面)Paは、−Z方向を向くアライメントシステム302の下面と対向可能である。
表面位置検出システム303は、例えばオートフォーカス・レベリングシステムとも呼ばれ、基板ステージ2に保持された基板Pの上面(表面)Paに検出光を照射して、その基板Pの上面Paの位置を検出する。表面位置検出システム303は、基板ステージ2(基板P)が対向可能な下面を有する。基板ステージ2の上面2U、及び基板ステージ2に保持されている基板Pの上面Paは、−Z方向を向く表面位置検出システム303の下面と対向可能である。
基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果、及び検出システム300の検出結果に基づいて、駆動システム4,5,6を作動し、マスクステージ1(マスクM)、基板ステージ2(基板P)、及び計測ステージ3(計測部材C)の位置制御を実行する。
液浸部材7は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能である。液浸部材7は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子12の近傍に配置される。本実施形態において、液浸部材7は、環状の部材であり、露光光ELの光路の周囲に配置される。本実施形態においては、液浸部材7の少なくとも一部が、終端光学素子12の周囲に配置される。
終端光学素子12は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面13を有する。本実施形態において、射出面13側に液浸空間LSが形成される。液浸空間LSは、射出面13から射出される露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように形成される。射出面13から射出される露光光ELは、−Z方向に進行する。射出面13は、露光光ELの進行方向(−Z方向)を向く。本実施形態において、射出面13は、XY平面とほぼ平行な平面である。なお、射出面13がXY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。
液浸部材7は、少なくとも一部が−Z方向を向く下面14を有する。本実施形態において、射出面13及び下面14は、射出面13から射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に配置される物体との間で液体LQを保持することができる。液浸空間LSは、射出面13及び下面14の少なくとも一部と投影領域PRに配置される物体との間に保持された液体LQによって形成される。液浸空間LSは、射出面13と、投影領域PRに配置される物体との間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように形成される。液浸部材7は、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように物体との間で液体LQを保持可能である。
本実施形態において、投影領域PRに配置可能な物体は、投影光学系PLの像面側(終端光学素子12の射出面13側)で投影領域PRに対して移動可能な物体を含む。その物体は、終端光学素子12及び液浸部材7に対して移動可能である。その物体は、射出面13及び下面14の少なくとも一方と対向可能な上面(表面)を有する。物体の上面は、射出面13との間に液浸空間LSを形成可能である。その物体は、終端光学素子12の光軸(Z軸)と垂直な面内(XY平面内)において移動可能である。本実施形態において、物体の上面は、射出面13及び下面14の少なくとも一部との間に液浸空間LSを形成可能である。一方側の射出面13及び下面14と、他方側の物体の上面(表面)との間に液体LQが保持されることによって、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
本実施形態において、その物体は、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、計測ステージ3、及び計測ステージ3に保持された計測部材Cの少なくとも一つを含む。例えば、基板ステージ2の上面2U、及び基板ステージ2に保持されている基板Pの表面(上面)Paは、−Z方向を向く終端光学素子12の射出面13、及び−Z方向を向く液浸部材7の下面14と対向可能である。もちろん、投影領域PRに配置可能な物体は、基板ステージ2、基板ステージ2に保持された基板P、計測ステージ3、及び計測ステージ3に保持された計測部材Cの少なくとも一つに限られない。また、それら物体は、検出システム300の少なくとも一部と対向可能である。
本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。基板Pの露光時において、液浸部材7は、終端光学素子12と基板Pとの間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように基板Pとの間で液体LQを保持可能である。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGの少なくとも一部は、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
図2は、本実施形態に係る液浸部材7及び基板ステージ2の一例を示す側断面図である。図3は、図2の一部を拡大した図である。なお、図2においては、投影領域PR(終端光学素子12及び液浸部材7と対向する位置)に基板Pが配置されているが、上述のように、基板ステージ2(カバー部材T)、及び計測ステージ3(カバー部材Q、計測部材C)を配置することもできる。
図2に示すように、液浸部材7は、少なくとも一部が終端光学素子12の射出面13と対向する対向部71と、少なくとも一部が終端光学素子12の周囲に配置される本体部72とを含む。対向部71は、射出面13と対向する位置に孔(開口)7Kを有する。対向部71は、少なくとも一部が射出面13とギャップを介して対向する上面7Uと、基板P(物体)が対向可能な下面7Hとを有する。孔7Kは、上面7Uと下面7Hとを結ぶように形成される。上面7Uは、孔7Kの上端の周囲に配置され、下面7Hは、孔7Kの下端の周囲に配置される。射出面13から射出された露光光ELは、孔7Kを通過して、基板Pに照射可能である。
本実施形態において、上面7U及び下面7Hのそれぞれは、光路Kの周囲に配置される。本実施形態において、下面7Hは、平坦面である。下面7Hは、基板P(物体)との間で液体LQを保持可能である。以下の説明において、下面7Hを適宜、保持面7H、と称する。
また、液浸部材7は、液体LQを供給可能な供給口15と、液体LQを回収可能な回収口16とを有する。供給口15は、例えば基板Pの露光時において液体LQを供給する。
回収口16は、例えば基板Pの露光時において液体LQを回収する。なお、供給口15は、基板Pの露光時及び非露光時の一方又は両方において液体LQを供給可能である。なお、回収口16は、基板Pの露光時及び非露光時の一方又は両方において液体LQを回収可能である。
供給口15は、射出面13から射出される露光光ELの光路Kの近傍において、その光路Kに面するように配置されている。なお、供給口15は、射出面13と開口7Kとの間の空間及び終端光学素子12の側面の一方又は両方に面していればよい。本実施形態において、供給口15は、上面7Uと射出面13との間の空間に液体LQを供給する。供給口15から供給された液体LQは、その上面7Uと射出面13との間の空間を流れた後、開口7Kを介して、基板P(物体)上に供給される。
供給口15は、流路17を介して、液体供給装置18と接続されている。液体供給装置18は、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。流路17は、液浸部材7の内部に形成された供給流路17R、及びその供給流路17Rと液体供給装置18とを接続する供給管で形成される流路を含む。液体供給装置18から送出された液体LQは、流路17を介して供給口15に供給される。少なくとも基板Pの露光において、供給口15は、液体LQを供給する。
回収口16は、液浸部材7の下面14と対向する物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。回収口16は、露光光ELが通過する開口7Kの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態においては、回収口16は、保持面7Hの周囲の少なくとも一部に配置される。回収口16は、物体の表面と対向する液浸部材7の所定位置に配置されている。少なくとも基板Pの露光において、回収口16に基板Pが対向する。基板Pの露光において、回収口16は、基板P上の液体LQを回収する。
本実施形態において、本体部72は、基板P(物体)に面する開口7Pを有する。開口7Pは、保持面7Hの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材7は、開口7Pに配置された多孔部材19を有する。本実施形態において、多孔部材19は、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の部材である。なお、開口7Pに、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。
本実施形態において、多孔部材19は、基板P(物体)が対向可能な下面19Hと、下面19Hの反対方向を向く上面19Uと、上面19Uと下面19Hとを結ぶ複数の孔とを有する。下面19Hは、保持面7Hの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材7の下面14の少なくとも一部は、保持面7H及び下面19Hを含む。
本実施形態において、回収口16は、多孔部材19の孔を含む。本実施形態において、基板P(物体)上の液体LQは、多孔部材19の孔(回収口16)を介して回収される。
なお、多孔部材19が配置されなくてもよい。
回収口16は、流路20を介して、液体回収装置21と接続されている。液体回収装置21は、回収口16を真空システムに接続可能であり、回収口16を介して液体LQを吸引可能である。流路20は、液浸部材7の内部に形成された回収流路20R、及びその回収流路20Rと液体回収装置21とを接続する回収管で形成される流路を含む。回収口16から回収された液体LQは、流路20を介して、液体回収装置21に回収される。
本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子12及び液浸部材7と、他方側の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
なお、液浸部材7として、例えば米国特許出願公開第2007/0132976号明細書、欧州特許出願公開第1768170号明細書に開示されているような液浸部材(ノズル部材)を用いることができる。
図2及び図3に示すように、基板ステージ2は、少なくとも一部が基板Pとカバー部材T(基板ステージ2)との間の間隙Gaに配置される多孔部材80を備えている。本実施形態において、間隙Gaに流入する液体LQの少なくとも一部は、多孔部材80を介して回収される。
本実施形態において、多孔部材80は、射出面13及び下面14の少なくとも一方が対向可能な上面80Aと、第1保持部31に保持された基板Pの側面Pcが対向可能な第1側面80Bと、第2保持部32に保持されたカバー部材Tの内面Tcが対向可能な第2側面80Cとを有する。基板Pの側面Pcは、基板Pの上面Paと、上面Paの反対方向を向く基板Pの下面Pbとを結ぶ。カバー部材Tの内面Tcは、カバー部材Tの上面Taと、上面Taの反対方向を向くカバー部材Tの下面Tbとを結ぶ。カバー部材Tの上面Taは、基板ステージ2の上面2Uを含む。多孔部材80が配置されない状態において、基板Pの側面Pcとカバー部材Tの内面Tcとは、対向可能である。
本実施形態において、多孔部材80は、例えばチタン製である。多孔部材80は、例えば焼結法により形成可能である。
本実施形態において、多孔部材80の上面80Aは、液体LQに対して撥液性である。
本実施形態において、液体LQに対する上面80Aの接触角は、例えば90度よりも大きい。液体LQに対する上面80Aの接触角は、例えば100度以上でもよいし、110度以上でもよい。
本実施形態においては、多孔部材80の上面80Aに、フッ素を含む撥液性の材料がコーティングされている。すなわち、上面80Aに、撥液性の材料を含む膜80Fが配置されている。撥液性の材料は、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)でもよいし、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)でもよいし、PEEK(polyetheretherketone)でもよいし、テフロン(登録商標)でもよい。
本実施形態において、液体LQに対する多孔部材80の上面80Aの接触角は、第1側面80Bの接触角よりも大きい。また、本実施形態において、液体LQに対する多孔部材80の上面80Aの接触角は、第2側面80Cの接触角よりも大きい。
なお、液体LQに対する多孔部材80の上面80Aの接触角は、第1側面80Bの接触角よりも小さくてもよいし、第1側面80Bの接触角とほぼ同じでもよい。なお、液体LQに対する多孔部材80の上面80Aの接触角は、第2側面80Cの接触角よりも小さくてもよいし、第2側面80Cの接触角とほぼ同じでもよい。
本実施形態において、液体LQに対する基板Pの上面Paの接触角、及びカバー部材Tの上面Taの接触角は、第1側面80Bの接触角よりも大きい。また、本実施形態において、液体LQに対する基板Pの上面Paの接触角、及びカバー部材Tの上面Taの接触角は、第2側面80Cの接触角よりも大きい。
なお、液体LQに対する基板Pの上面Paの接触角、及びカバー部材Tの上面Taの接触角は、第1側面80Bの接触角よりも小さくてもよいし、第1側面80Bの接触角とほぼ同じでもよい。なお、液体LQに対する基板Pの上面Paの接触角、及びカバー部材Tの上面Taの接触角は、第2側面80Cの接触角よりも小さくてもよいし、第2側面80Cの接触角とほぼ同じでもよい。
また、本実施形態において、多孔部材80の上面80Aは、第1保持部31に保持された基板Pの上面Pa、及び第2保持部32に保持されたカバー部材Tの上面Taとほぼ面一である。
なお、多孔部材80の上面80Aは、基板Pの上面Pa及びカバー部材Tの上面Taよりも低い位置(−Z側の位置)に配置されてもよいし、高い位置(+Z側の位置)に配置されてもよい。
本実施形態において、第1保持部31に保持された基板Pの側面Pcと、多孔部材80の第1側面80Bとの距離L1は、第2保持部32に保持されたカバー部材Tの内面Tcと多孔部材80の第2側面80Cとの距離L2よりも大きい。
なお、側面Pcと第1側面80Bとの距離L1は、内面Tcと第2側面80Cとの距離L2よりも小さくてもよいし、距離L2とほぼ同じでもよい。
本実施形態において、基板ステージ2は、間隙Gaに通じる空間部23を有する。空間部23は、間隙Gaの下方に位置する。本実施形態において、多孔部材80の少なくとも一部は、空間部23に配置される。本実施形態において、多孔部材80は、間隙Gaに配置される第1部分801と、空間部23に配置される第2部分802とを含む。
本実施形態において、第1保持部31の中心に対する放射方向に関して、間隙Gaの寸法Waは、空間部23の寸法Wbよりも小さい。なお、寸法Waは、寸法Wbよりも大きくてもよいし、寸法Wbとほぼ同じでもよい。
また、本実施形態において、第1保持部31の中心に対する放射方向に関して、第2部分802の寸法W2は、第1部分801の寸法W1よりも大きい。なお、寸法W2は、寸法W1よりも小さくてもよいし、寸法W1とほぼ同じでもよい。
なお、第1保持部31の中心に対する放射方向の寸法とは、XY平面内における放射方向に関する寸法をいう。
本実施形態において、多孔部材80は、ケース81に支持されている。ケース81は、空間部23において、第2部分802の少なくとも一部に接触するように配置される。本実施形態において、ケース81は、第2部分802の下面及び側面の少なくとも一部に接触するように配置される。本実施形態において、ケース81は、例えばセラミック製である。なお、ケース81が金属製でもよい。
また、本実施形態において、多孔部材80及びケース81とカバー部材Tとの間に、支持部材82が配置される。支持部材82は、多孔部材80(第2部分802)及びケース81の少なくとも一部に支持される。支持部材82は、カバー部材Tの下面Tbの少なくとも一部と対向可能である。支持部材82は、カバー部材Tの下面Tbの少なくとも一部を支持する。
本実施形態において、基板ステージ2は、空間部23に配置される吸引口24を有する。本実施形態において、吸引口24は、空間部23を形成する基板ステージ2の内面の少なくとも一部に形成されている。吸引口24は、空間部23が負圧になるように、空間部23の流体の少なくとも一部を吸引する。吸引口24は、空間部23の液体及び気体の一方又は両方を吸引可能である。
吸引口24は、流路25を介して、流体吸引装置26と接続されている。流体吸引装置26は、吸引口24を真空システムに接続可能であり、吸引口24を介して液体及び気体の一方又は両方を吸引可能である。流路25の少なくとも一部は、基板ステージ2の内部に形成される。吸引口24から吸引された流体(液体及び気体の少なくとも一方)は、流路25を介して、流体吸引装置26に吸引される。
本実施形態において、ケース81は、ケース81の外面と内面とを結ぶ孔(開口)81Hを有する。孔81Hの上端の開口83は、多孔部材80の下面に面する。孔81Hの下端の開口は、吸引口24と結ばれる。吸引口24は、ケース81の内側の空間が負圧になるように、そのケース81の内側の空間の流体を、孔81Hを介して吸引可能である。
本実施形態において、第1保持部31は、例えばピンチャック機構を有する。第1保持部31は、基板ステージ2の支持面31Sに配置され、基板Pの下面Pbが対向可能な周壁部35と、周壁部35の内側の支持面31Sに配置され、複数のピン部材を含む支持部36と、支持面31Sに配置され、流体を吸引する吸引口37とを有する。吸引口37は、流体吸引装置と接続される。流体吸引装置は、制御装置8に制御される。周壁部35の上面は、基板Pの下面Pbと対向可能である。周壁部35は、基板Pの下面Pbとの間の少なくとも一部に負圧空間を形成可能である。なお、支持面31において、周壁部35は実質的に円形であり、前述、及び後述の説明において、第1保持部31の中心は、周壁部35の中心である。なお、本実施形態においては、XY平面内において、周壁部35は、実質的に円形(円環状)である。制御装置8は、基板Pの下面Pbと周壁部35の上面とが接触された状態で、吸引口37の吸引動作を実行することによって、周壁部35と基板Pの下面Pbと支持面31Sとで形成される空間31Hを負圧にすることができる。これにより、基板Pが第1保持部31に保持される。また、吸引口37の吸引動作が解除されることによって、基板Pは第1保持部31から解放される。
本実施形態においては、空間31Hを負圧にすることにより、基板Pの下面が支持部36(複数のピン部材)の上端に保持される。すなわち、支持部36(複数のピン部材)の上端によって基板Pを保持する保持面36Sの少なくとも一部が規定されている。
本実施形態において、第2保持部32は、例えばピンチャック機構を有する。第2保持部32は、基板ステージ2の支持面32Sにおいて周壁部35を囲むように配置され、カバー部材Tの下面Tbが対向可能な周壁部38と、支持面32Sにおいて周壁部38を囲むように配置され、カバー部材Tの下面Tbが対向可能な周壁部39と、周壁部38と周壁部39との間の支持面32Sに配置され、複数のピン部材を含む支持部40と、支持面32Sに配置され、流体を吸引する吸引口41とを有する。吸引口41は、流体吸引装置と接続される。流体吸引装置は、制御装置8に制御される。周壁部38、39の上面は、カバー部材Tの下面Tbと対向可能である。周壁部38、39は、カバー部材Tの下面Tbとの間の少なくとも一部に負圧空間を形成可能である。制御装置8は、カバー部材Tの下面Tbと周壁部38、39の上面とが接触された状態で、吸引口41の吸引動作を実行することによって、周壁部38と周壁部39とカバー部材Tの下面Tbと支持面32Sとで形成される空間32Hを負圧にすることができる。これにより、カバー部材Tが第2保持部32に保持される。また、吸引口41の吸引動作が解除されることによって、カバー部材Tは第2保持部32から解放される。
空間部23は、周壁部35の周囲の空間を含む。本実施形態において、空間部23は、周壁部35と周壁部38との間の空間を含む。
図4は、間隙Gaに流入する液体LQの少なくとも一部が、多孔部材80を介して回収される状態の一例を示す図である。本実施形態においては、終端光学素子12及び液浸部材7と第1保持部31に保持された基板P及び第2保持部32に保持されたカバー部材Tの少なくとも一方との間に液浸空間LSが形成される。また、液浸空間LSは、間隙Ga上に形成される可能性がある。その液浸空間LSの液体LQの少なくとも一部が、間隙Gaに流入する可能性がある。
本実施形態において、制御装置8は、間隙Gaに流入した液体LQの少なくとも一部を、多孔部材80を介して回収する。間隙Gaに流入した液体LQを回収するとき、制御装置8は、流体吸引装置26を制御して、吸引口24を真空システムに接続する。これにより、空間部23の流体が、吸引口24から吸引され、空間部23が負圧になる。
上述のように、吸引口24は、孔81Hを介して、ケース81の内側の空間の流体を吸引可能である。吸引口24の吸引動作が行われることによって、ケース81の内側の空間、及びそのケース81の内側の空間に配置されている多孔部材80の孔が負圧になる。これにより、多孔部材80の周囲の流体が、多孔部材80の孔から吸引される。
図4に示すように、吸引口24の吸引動作が行われることによって、多孔部材80の第1側面80Bと基板Pの側面Pcとの間に流入した液体LQは、第1側面80Bの孔に吸引される。すなわち、多孔部材80は、第1側面80Bと基板Pの側面Pcとの間に流入した液体LQを、基板Pの側面Pcと対向する第1側面80Bの孔から回収する。
また、図4に示すように、吸引口24の吸引動作が行われることによって、多孔部材80の第2側面80Cとカバー部材Tの内面Tcとの間に流入した液体LQは、第2側面80Cの孔に吸引される。すなわち、多孔部材80は、第2側面80Cとカバー部材Tの内面Tcとの間に流入した液体LQを、カバー部材Tの内面Tcと対向する第2側面80Cの孔から回収する。
多孔部材80を介して回収された液体LQの少なくとも一部は、吸引口24から吸引される。本実施形態において、第1、第2側面80B、80Cの孔から回収された液体LQの少なくとも一部は、多孔部材80の内部を流れた後、吸引口24から吸引される。これにより、間隙Ga及び空間部23から液体LQが除去される。
本実施形態において、第2部分802の下面及び側面は、ケース81で覆われている。
第1部分801の第1、第2側面80B、80Cは、ケース81で覆われていない。第1部分801の第1、第2側面80B、80Cは、間隙Gaに流入した液体LQと接触可能である。したがって、吸引口24の吸引動作が行われることによって、間隙Gaに流入した液体LQは、第1、第2側面80B、80Cから円滑に回収される。
上述のように、本実施形態において、液体LQに対する多孔部材80の上面80Aの接触角は、第1、第2側面80B、80Cの接触角よりも大きい。本実施形態において、液体LQの上面80Aの孔への流入は、第1、第2側面80B、80Cの孔への流入よりも抑制される。例えば、多孔部材80は、上面80Aの孔から液体LQを回収しなくてもよい。
なお、液体LQの上面80Aの孔への流入が、第1、第2側面80B、80Cの孔への流入よりも抑制されなくてもよい。すなわち、多孔部材80は、上面80Aの孔から液体LQを回収してもよい。
次に、露光装置EXの動作の一例について、図5、図6、及び図7を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る露光装置EXの動作の一例を示すフローチャートである。図6は、第1保持部31(基板ステージ2)に保持された基板Pの一例を示す図である。図7は、基板ステージ2及び計測ステージ3の動作の一例を示す図である。
本実施形態において、基板ステージ2は、少なくとも第1位置EPと第2位置RPとの間を移動可能である。第1位置EPは、終端光学素子12及び液浸部材7と第1保持部31に保持した基板Pの上面Pa及び基板ステージ2の上面2U(Ta)の少なくとも一方との間に液浸空間LSを形成可能な位置である。換言すれば、第1位置EPは、終端光学素子12及び液浸部材7と対向する位置である。
第2位置RPは、終端光学素子12及び液浸部材7と第1保持部31に保持した基板Pの上面Pa及び基板ステージ2の上面2Uの少なくとも一方との間に液浸空間LSを形成不可能な位置である。
第1位置EPは、第1保持部31に保持された基板Pを露光可能な位置である。本実施形態において、第2位置RPは、例えば露光後の基板Pを第1保持部31から搬出する動作、及び露光前の基板Pを第1保持部31に搬入する動作の少なくとも一方が実行される基板交換位置である。
なお、第2位置EPは、基板交換位置に限られない。
以下の説明において、第1位置EPを適宜、露光位置EP、と称し、第2位置RPを適宜、基板交換位置RP、と称する。
また、以下の説明において、基板交換位置RPにおいて、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入する処理、及び露光後の基板Pを第1保持部31から搬出する処理を適宜、基板交換処理、と称する。
第1保持部31に保持されている基板Pを露光するために、基板ステージ2を露光位置EPに移動して、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ2(基板P)との間に液体LQで液浸空間LSが形成された後、制御装置8は、基板Pの露光処理を開始する(ステップST1)。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置8は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。これにより、基板Pが液体LQを介して露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに投影される。
図6に示すように、本実施形態においては、基板P上に露光対象領域であるショット領域Sがマトリクス状に複数配置されている。制御装置8は、基板P上に定められた複数のショット領域Sを順次露光する。
基板Pのショット領域Sを露光するとき、終端光学素子12及び液浸部材7と基板Pとが対向され、終端光学素子12と基板Pとの間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。基板Pの複数のショット領域Sを順次露光するとき、終端光学素子12及び液浸部材7と基板Pの上面Pa及び基板ステージ2の上面2Uの少なくとも一方との間に液体LQで液浸空間LSが形成されている状態で、駆動システム5によって基板ステージ2がXY平面内において移動される。制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と基板Pの上面Pa及び基板ステージ2の上面2Uの少なくとも一方との間に液体LQで液浸空間LSが形成されている状態で、基板ステージ2を移動しながら、基板Pの露光を実行する。
例えば基板P上の複数のショット領域Sのうち最初のショット領域(第1のショット領域)Sを露光するために、制御装置8は、その第1のショット領域Sを露光開始位置に移動する。制御装置8は、液浸空間LSが形成された状態で、第1のショット領域S(基板P)を投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動しながら、その第1のショット領域Sに対して露光光ELを照射する。
第1のショット領域Sの露光が終了した後、次の第2のショット領域Sを露光するために、制御装置8は、液浸空間LSが形成された状態で、基板PをX軸方向(あるいはXY平面内においてX軸方向に対して傾斜する方向)に移動し、第2のショット領域Sを露光開始位置に移動する。制御装置8は、第1のショット領域Sと同様に、第2のショット領域Sを露光する。
制御装置8は、投影領域PRに対してショット領域SをY軸方向に移動しながらそのショット領域Sに露光光ELを照射する動作(スキャン露光動作)と、そのショット領域Sの露光が終了した後、次のショット領域Sを露光開始位置に移動するための動作(ステッピング動作)とを繰り返しながら、基板P上の複数のショット領域Sを、投影光学系PL及び液浸空間LSの液体LQを介して順次露光する。基板Pの複数のショット領域Sに対して露光光ELが順次照射される。
本実施形態において、制御装置8は、投影光学系PLの投影領域PRと基板Pとが、図6中、矢印R1に示す移動軌跡に沿って相対的に移動するように基板ステージ2を移動しつつ投影領域PRに露光光ELを照射して、液体LQを介して基板Pの複数のショット領域Sを露光光ELで順次露光する。基板Pの露光における基板ステージ2の移動中の少なくとも一部において、液浸空間LSは、間隙Ga上に形成される。
基板P上の複数のショット領域Sのうち最後のショット領域Sの露光が終了することによって、換言すれば、複数のショット領域Sに対する露光光ELの照射が終了することによって、その基板Pの露光が終了する(ステップST2)。
複数のショット領域Sに対する露光光ELの照射終了後(基板Pの露光終了後)、制御装置8は、基板交換処理を実行するために、基板ステージ2を基板交換位置RPに移動する(ステップST3)。
図7に示すように、基板交換位置RPに基板ステージ2が配置された後、制御装置8は、基板搬送装置(不図示)を用いて、露光後の基板Pを第1保持部31から搬出(アンロード)する(ステップST4)。
露光後の基板Pが第1保持部31から搬出(アンロード)された後、制御装置8は、基板搬送装置(不図示)を用いて、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入(ロード)する(ステップST5)。
なお、図7に示すように、基板交換処理が実行されているとき、露光位置EPに計測ステージ3が配置される。制御装置8は、必要に応じて、計測ステージ3(計測部材C、計測器)を用いて、所定の計測処理を実行する。露光前の基板Pが第1保持部31にロードされ、計測ステージ3を用いる計測処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2を露光位置EPに移動する(ステップST6)。
本実施形態においては、制御装置8は、基板ステージ2を基板交換位置RPから露光位置EPへ移動するときに、アライメントシステム302を用いて、基板ステージ2(第1保持部31)に保持されている基板Pのアライメントマークを検出する(ステップST7)。また、制御装置8は、基板ステージ2を基板交換位置RPから露光位置EPへ移動するときに、表面位置検出システム303を用いて、基板ステージ2(第1保持部31)に保持されている基板Pの上面Paの位置を検出する。
基板Pのアライメントマークの検出及び基板Pの上面Paの位置の検出が終了した後、制御装置8は、その検出結果に基づいて、基板Pの位置を調整しつつ、その基板Pの露光を開始する。以下、同様の処理が繰り返され、複数の基板Pが順次露光される。
本実施形態においては、基板Pの露光が実行される第1期間の少なくとも一部、及び基板Pの露光が実行されない第2期間の少なくとも一部のそれぞれにおいて、吸引口24(多孔部材80)の吸引動作が実行される。
本実施形態において、第1期間は、基板ステージ2Pが露光位置EPに配置される期間を含む。また、第1期間は、基板Pの露光が開始されてから(ステップST1)、その基板Pの露光が終了するまで(ステップST2)の期間を含む。
本実施形態において、第1期間は、複数のショット領域Sのうち最初のショット領域Sの露光が開始されてから最後のショット領域Sの露光が終了するまでの期間を含む。制御装置8は、複数のショット領域Sのうち最初のショット領域Sの露光が開始されてから最後のショット領域Sの露光が終了するまで、吸引口24の流体吸引動作を実行し続ける。
これにより、例えば複数のショット領域Sに対して露光光ELが順次照射される第1期間の少なくとも一部において、間隙Ga上に液浸空間LSが形成され、その液浸空間LSの液体LQが間隙Gaに流入しても、間隙Gaに流入した液体LQは、第1期間において吸引口24(多孔部材80)から直ちに吸引される。また、間隙Gaを介して空間部23に流入した液体LQも、吸引口24(多孔部材80)から吸引される。
本実施形態において、第2期間は、基板Pに対する露光光ELの照射終了後の期間を含む。本実施形態において、第2期間は、複数のショット領域Sに対する露光光ELの照射終了後の期間を含む。換言すれば、第2期間は、複数のショット領域Sのうち最後のショット領域Sの露光後の期間を含む。第2期間において吸引口24(多孔部材80)の吸引動作が実行されることによって、第1期間における吸引口24(多孔部材80)の吸引動作によって空間部23の液体LQが吸引(回収)仕切れなくても、その第2期間における吸引口24(多孔部材80)の吸引動作によって、間隙Ga(空間部23)から液体LQが除去される。
また、本実施形態において、第2期間は、基板Pに対する露光光ELの照射開始前の期間を含む。本実施形態において、第2期間は、複数のショット領域Sに対する露光光ELの照射開始前の期間を含む。換言すれば、第2期間は、複数のショット領域Sのうち最初のショット領域Sの露光前の期間を含む。第2期間において吸引口24(多孔部材80)の吸引動作が実行されることによって、間隙Ga(空間部23)から液体LQを除去した後、基板Pの露光を開始することができる。
本実施形態において、制御装置8は、基板Pの露光が実行される第1期間の少なくとも一部における吸引口24(多孔部材80)の吸引力を、基板Pの露光が実行されない第2期間における吸引口24(多孔部材80)の吸引力よりも小さくする。すなわち、制御装置8は、第1期間の少なくとも一部において、間隙Ga(空間部23)の流体を吸引口24から第1吸引力で吸引し、第2期間において、間隙Ga(空間部23)の流体を吸引口24から第1吸引力よりも大きい第2吸引力で吸引する。換言すれば、制御装置8は、第1期間の少なくとも一部において吸引口24(多孔部材80)から単位時間当たり第1流量で流体を吸引し、第2期間において吸引口24(多孔部材80)から単位時間当たり第1流量よりも多い第2流量で流体を吸引する。
本実施形態において、第2期間は、順次露光される複数の基板Pのうち、第1の基板Pの露光終了時(最後のショット領域Sの露光終了時)から次の第2の基板Pの露光開始時(最初のショット領域Sの露光開始時)までの少なくとも一部の期間を含む。
例えば、第2期間は、第1の基板Pの露光終了後(ステップST2)から、その露光後の第1の基板Pが第1保持部31から搬出され、露光前の第2の基板Pが第1保持部31に搬入され、その露光前の第2の基板Pのアライメントマーク検出開始(ステップST7)までの期間でもよい。すなわち、本実施形態において、第2期間は、基板Pの露光終了(ステップST2)から次の基板Pのアライメントマーク検出まで(ステップST7)の期間でもよい。
また、第2期間は、基板Pに対する露光光ELの照射終了後(ステップST2)、露光前の基板Pを第1保持部31で保持した基板ステージ2が露光位置EPに移動を開始するまで(ステップST6)の期間でもよい。
また、第2期間は、基板Pに対する露光光ELの照射終了後(ステップST2)、露光前の基板Pを第1保持部31に搬入するまで(ステップST5)の期間でもよい。
また、第2期間は、基板Pに対する露光光ELの照射終了後(ステップST2)、基板Pが第1保持部31から搬出されるまで(ステップST4)の期間でもよい。
また、第2期間は、基板Pに対する露光光ELの照射終了後(ステップST2)、その露光後の基板Pを第1保持部31で保持した基板ステージ2が基板交換位置EPに移動を開始するまで(ステップST3)の期間でもよい。
なお、第2期間は、基板ステージ2が基板交換位置RPに配置される期間でもよい。また、第2期間は、第1保持部31に基板Pが保持されていない期間でもよい。第1保持部31に基板Pが保持されていない期間は、露光後の基板Pが第1保持部31から搬出されてから(ステップST4)、露光前の基板Pが第1保持部31に搬入されるまで(ステップST5)の期間(基板交換処理期間)を含む。なお、第1保持部31に基板Pが保持されていない期間は、基板交換処理期間に限られない。
なお、第2期間は、ステップST3〜ST7の期間でもよいし、ステップST3〜ST6の期間でもよいし、ステップST3〜ST5の期間でもよいし、ステップST3〜ST4の期間でもよいし、ステップST4〜ST7の期間でもよいし、ステップST4〜ST6の期間でもよい。
本実施形態において、制御装置8は、基板P(複数のショット領域S)の露光において吸引口24(多孔部材80)から第1吸引力で流体を吸引し、基板Pの最後のショット領域Sに対する露光光ELの照射終了時(ステップST2)に、吸引口24(多孔部材80)の吸引力を第1吸引力から第2吸引力へ変更する。その場合、第2期間は、基板P(複数のショット領域S)に対する露光光ELの照射終了後、終端光学素子12及び液浸部材7と基板Pの上面及び基板ステージ2の上面2Uの少なくとも一方との間に液浸空間LSが形成されている期間を含む。
なお、液浸空間LSが基板ステージ2上に形成されている状態から計測ステージ3上に形成される状態へ変化するとき(例えばステップST3)に、吸引口24(多孔部材80)の吸引力を第1吸引力から第2吸引力へ変更してもよい。その場合、露光光ELの照射終了後、液浸空間LSが基板Pの上面及び基板ステージ2の上面2Uの少なくとも一方の上に形成されている期間において吸引口24(多孔部材80)から第1吸引力で流体が吸引される。
なお、露光後の基板Pが第1保持部31から搬出されるとき(ステップST4)に、吸引口24(多孔部材80)の吸引力を第1吸引力から第2吸引力へ変更してもよい。
なお、露光前の基板Pが第1保持部31に搬入されるとき(ステップST5)に、吸引口24(多孔部材80)の吸引力を第2吸引力から第1吸引力へ変更してもよい。
なお、液浸空間LSが計測ステージ3上に形成されている状態から基板ステージ2上に形成される状態へ変化するとき(例えばステップST6)に、吸引口24(多孔部材80)の吸引力を第2吸引力から第1吸引力へ変更してもよい。
なお、基板Pのアライメントマークが検出されるとき(ステップST7)に、吸引口24(多孔部材80)の吸引力を第2吸引力から第1吸引力へ変更してもよい。
なお、基板Pの最初のショット領域Sに対する露光光ELの照射開始時(ステップST1)に、吸引口24(多孔部材80)の吸引力を第2吸引力から第1吸引力へ変更してもよい。
なお、本実施形態において、例えば基板P(ショット領域S)に露光光ELが照射されるスキャン露光動作において吸引口24(多孔部材80)の流体吸引動作を実行し、基板Pに露光光ELが照射されないステッピング動作において吸引口24(多孔部材80)の流体吸引動作を停止してもよい。なお、基板Pに露光光ELが照射されないステッピング動作において吸引口24(多孔部材80)の流体吸引動作を実行し、基板P(ショット領域S)に露光光ELが照射されるスキャン露光動作において吸引口24(多孔部材80)の流体吸引動作を停止してもよい。
なお、本実施形態において、スキャン露光動作中に吸引口24(多孔部材80)から第1吸引力で流体を吸引し、ステッピング動作中に吸引口24(多孔部材80)から第2吸引力で流体を吸引してもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、間隙Gaに流入する液体LQを、少なくとも一部が間隙Gaに配置された多孔部材80を介して回収するようにしたので、液体LQが残留することを抑制できる。したがって、露光不良の発生、及び不良デバイスの発生を抑制できる。
また、本実施形態においては、多孔部材80の上面80Aは、液体LQに対して撥液性であるため、上面80Aに液体LQが残留することを抑制できる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は、第2実施形態に係る基板ステージ200Aの一例を示す図である。図8に示すように、本実施形態において、多孔部材80は、多孔部材80の第2側面80Cと、カバー部材Tの内面Tcとが接触するように配置される。なお、図8に示す例では、支持部材82は省略されている。なお、図8に示す例においても、支持部材82が配置されてもよい。
また、本実施形態において、基板ステージ200Aは、多孔部材80の温度を調整する温度調整装置305を備えている。温度調整装置305は、例えばペルチェ素子を含む。
本実施形態において、温度調整装置305は、ケース81に接触するように配置されている。温度調整装置305は、ケース81を介して、多孔部材80の温度を調整する。温度調整装置305は、ケース81の温度も調整可能である。
なお、温度調整装置305が、多孔部材80の少なくとも一部に接触するように配置されてもよい。
なお、温度調整装置305が、例えばケース81の内部に形成された流路に温度調整された流体(気体及び液体の一方又は両方)を供給する供給装置を含んでもよい。
また、本実施形態において、基板ステージ2は、カバー部材Tの温度を調整する温度調整装置306を備えている。温度調整装置306は、例えばペルチェ素子を含む。本実施形態において、温度調整装置306は、カバー部材Tの下面Tbに接触するように配置されている。本実施形態において、温度調整装置306は、周壁部38と周壁部39との間の空間32Hにおいて、カバー部材Tの下面Tbに接触するように配置される。なお、温度調整装置306は、カバー部材Tに接触しなくてもよい。例えば、温度調整装置306が、カバー部材Tの下面Tbに対向するように、支持面32Sに配置されてもよい。
なお、温度調整装置306が、例えばカバー部材Tの内部に形成された流路に温度調整された流体(気体及び液体の一方又は両方)を供給する供給装置を含んでもよい。
なお、第1実施形態で説明した多孔部材80の温度を調整する温度調整装置、及びカバー部材Tの温度を調整する温度調整装置が設けられてもよい。
また、上述の実施形態において、ケース81の周囲に隙間がなくてもよい。またケース81の周囲の隙間に流入して液体LQを回収する回収口を設けてもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は、第3実施形態に係る基板ステージ200Bの一例を示す図である。図9において、多孔部材800Bは、プレート状の部分801Bと、プレート状の部分802Bと、ロッド状の部分803Bとを含む。
部分801Bは、空間部23において、間隙Gaに面するように配置される。部分802Bは、空間部23において、吸引口24に面するように配置される。部分803Bは、部分801Bと部分802Bとの間に配置される。
本実施形態において、多孔部材800Bは、間隙Gaに配置されていない。なお、多孔部材800B(部分801B)の少なくとも一部が、間隙Gaに配置されてもよい。
また、図9に示す例では、カバー部材T2の下面Tbの一部の領域84B、及び内面Tcの一部の領域84Cは、液体LQに対して親液性である。領域84Bは、開口Th(第1保持部31)の中心に対して、周壁部38よりも内側の領域である。領域84Cは、内面Tcの下端を含み、上端を含まない領域である。領域84Cの下端は、領域84Bと結ばれる。下面Tbの領域84Bは、多孔部材800B(部分801B)の上面と対向する。
本実施形態において、下面Tb(領域84B)と多孔部材800B(部分801B)の上面とは、間隙を介して対向する。なお、下面Tb(領域84B)と多孔部材800B(部分801B)の上面とが、接触してもよい。
本実施形態において、液体LQに対する領域84B、84Cの接触角は、例えば90度よりも小さい。液体LQに対する領域84B、84Cの接触角は、例えば80度以下でもよいし、70度以下でもよい。
本実施形態においては、下面Tbの一部及び内面Tcの一部に、親液性の材料がコーティングされている。すなわち、下面Tbの一部及び内面Tcの一部に、親液性の材料を含む膜が配置されている。なお、領域84B、84Cが、例えばチタンの表面でもよい。
本実施形態において、液体LQに対するカバー部材Tの内面Tcの領域84Cの接触角は、カバー部材Tの上面Taの接触角よりも小さい。また、液体LQに対するカバー部材Tの下面Tbの領域84Bの接触角は、カバー部材Tの上面Taの接触角よりも小さい。
また、本実施形態において、領域84Cの上方の内面Tcの領域84Dは、開口Th(第1保持部31)の中心に対して外側に向かって上方に傾斜している。
間隙Gaに流入した液体LQは、多孔部材80Bを介して回収される。多孔部材800Bを介して回収された液体LQの少なくとも一部は、吸引口24から吸引される。
以上説明したように、本実施形態においても、間隙Gaに流入した液体LQを回収して、液体LQの残留を抑制することができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図10は、第4実施形態に係る基板ステージ200Cの一例を示す図である。図10において、基板ステージ2は、カバー部材T2に超音波を与える超音波発生装置85を備えている。超音波発生装置85は、例えばピエゾ素子等の超音波発生素子を含む。
なお、本実施形態においては、第3実施形態で説明したカバー部材T2が第2保持部32に保持されることとするが、第1、第2実施形態で説明したカバー部材Tが第2保持部32に保持されてもよい。
超音波発生装置85は、カバー部材T2の少なくとも一部と接触する。本実施形態において、超音波発生装置85は、カバー部材T2の裏面Tbに接触するように配置される。
本実施形態において、超音波発生装置85は、周壁部38と周壁部39との間の空間32Hにおいて、裏面Tbに接触するように配置される。本実施形態において、第2保持部32は、空間32Hに配置され、超音波発生装置85を支持する支持部86を有する。
空間部23には、多孔部材800が配置される。本実施形態において、間隙Gaに多孔部材800は配置されていないが、多孔部材800の少なくとも一部が間隙Gaに配置されてもよい。
超音波発生装置85が作動することによって、カバー部材T2が振動する。カバー部材T2が振動することによって、間隙Gaに存在する液体LQは、空間部23に円滑に移動する。例えば、間隙Gaに液体LQに留まっている場合、カバー部材T2が振動することによって、その液体LQは、空間部23に落下する。また、例えばカバー部材T2の内面Tcに液体LQ(例えば液体LQの滴)が付着している場合、カバー部材T2が振動することによって、その内面Tcに付着している液体LQは、空間部23に落下する。また、内面Tcと側面Pcとの間に液体LQの界面が存在する場合、カバー部材T2が振動することによって、その液体LQの界面は、空間部23に移動する。
間隙Gaから空間部23に移動した液体LQは、多孔部材800を介して回収される。
多孔部材800を介して回収された液体LQの少なくとも一部は、吸引口24から吸引される。
以上説明したように、本実施形態においても、間隙Gaに流入した液体LQを回収して、液体LQの残留を抑制することができる。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図11は、第5実施形態に係る基板ステージ200Dの一例を示す図である。図11において、基板ステージ200Dは、基板Pの下面Pbをリリース可能に保持する第1保持部31と、基板Pが配置可能な開口Uhを規定し、基板Pが第1保持部31に保持されている状態において基板Pの上面Paの周囲に配置される上面Uaを有する回収部材Uとを備えている。
本実施形態において、回収部材Uは、第1保持部31の周囲の少なくとも一部に配置される。回収部材Uの少なくとも一部は、周壁部35を囲むように配置される。本実施形態において、回収部材Uと周壁部35との間に間隙Gbが形成される。なお、回収部材Uと周壁部35の少なくとも一部とが接触してもよい。
本実施形態において、回収部材Uは、基板ステージ2の保持部87に支持される。保持部87は、回収部材Uをリリース可能に保持する。なお、回収部材Uと基板ステージ2とが一体でもよい。
本実施形態において、上面Uaは、XY平面とほぼ平行である。上面Uaと上面Paとは、同一平面内に配置される(面一である)。なお、Z軸方向に関する上面Uaの位置と上面Paの位置とが異なってもよい。例えば、上面Uaが上面Paよりも低い位置(−Z側の位置)に配置されてもよいし、高い位置(+Z側の位置)に配置されてもよい。
また、回収部材Uは、第1保持部31に保持された基板Pの側面Pcが対向可能な内面Ucと、少なくとも一部が基板Pの下面Pbと対向する対向面Ubとを有する。
本実施形態において、回収部材Uの内面Ucと基板Pの側面Pcとの間に間隙Gaが形成される。また、対向面Ubと基板Pの下面Pbとの間に間隙Gcが形成される。すなわち、回収部材Uと基板Pとは離れている。
本実施形態において、上面Uaは、液体LQに対して撥液性である。本実施形態において、液体LQに対する上面Uaの接触角は、内面Ucの接触角よりも大きい。なお、液体LQに対する上面Uaの接触角が、内面Ucの接触角よりも小さくてもよいし、内面Ucの接触角とほぼ同じでもよい。
回収部材Uは、第1保持部31に保持された基板Pの側面Pcと対向するように配置される回収口88を有する。回収口88は、流体(気体及び液体の少なくとも一方)を回収可能である。
回収口88は、基板Pと回収部材Uとの間の間隙Gaに流入する液体LQの少なくとも一部を回収する。本実施形態において、回収口88は、基板Pの周囲に複数配置される。
回収部材Uは、空間部89を有する。空間部89は、回収部材Uの内部に形成される。
回収口88は、空間部89の少なくとも一部と結ばれる。回収口88から回収された液体LQは、空間部89の少なくとも一部を流れる。
本実施形態において、回収部材Uは、空間部89に面する吸引口90を有する。本実施形態において、吸引口90は、空間部89を形成する回収部材Uの内面の少なくとも一部に形成される。吸引口90は、空間部89が負圧になるように、空間部89の流体の少なくとも一部を吸引する。吸引口90は、空間部89の液体及び気体の一方又は両方を吸引可能である。
吸引口90は、流路91を介して、流体吸引装置92と接続されている。流体吸引装置92は、吸引口90を真空システムに接続可能であり、吸引口90を介して液体及び気体の一方又は両方を吸引可能である。吸引口90から吸引された流体(液体及び気体の少なくとも一方)は、流路91を介して、流体吸引装置92に吸引される。
間隙Gaに流入した液体LQの少なくとも一部は、回収口88から回収される。間隙Gaに流入した液体LQを回収するとき、制御装置8は、流体吸引装置92を制御して、吸引口90を真空システムに接続する。空間部89の流体が吸引口90から吸引され、空間部89が負圧になると、回収口88の周囲の流体が、回収口88から回収される。
吸引口90の吸引動作が行われることによって、回収部材Uの内面Ucと基板Pの側面Pcとの間に流入した液体LQは、回収口88から回収される。すなわち、回収部材Uは、内面Ucと側面Pcとの間に流入した液体LQを、基板Pの側面Pcと対向する回収口88から回収する。
以上説明したように、本実施形態においても、間隙Gaに流入した液体LQを回収して、液体LQの残留を抑制することができる。
なお、図11に示すように、回収部材Uの温度を調整する温度調整装置93が設けられてもよい。例えば、回収部材Uの温度を調整するペルチェ素子が、回収部材Uに接触するように配置されてもよい。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図12は、第6実施形態に係る基板ステージ200Eの一例を示す図である。図12において、基板ステージ200Eは、基板Pの下面Pbをリリース可能に保持する第1保持部31と、基板Pが配置可能な開口Thを規定し、基板Pが第1保持部31に保持されている状態において基板Pの上面Paの周囲に配置される上面Taを有するカバー部材T3とを備えている。
本実施形態において、カバー部材T3は、多孔部材を含む。カバー部材T3は、基板Pの側面Pcと対向可能な内面Tcを有する。カバー部材T3は、内面Tcに配置され、基板Pの側面Pcが対向する多孔部材の孔から、間隙Gaに流入した液体LQの少なくとも一部を回収可能である。
本実施形態において、カバー部材T3は、流路94を介して、流体吸引装置95と接続されている。流体吸引装置95は、カバー部材T3を真空システムに接続可能である。制御装置8は、流体吸引装置95を制御して、カバー部材T3を真空システムに接続することによって、基板Pの側面Pcが対向するカバー部材T3の孔から、間隙Gaに流入した液体LQの少なくとも一部を回収可能である。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図13は、第7実施形態に係る基板ステージ200Fの一例を示す図である。図13において、基板ステージ200Fは、基板Pの下面Pbをリリース可能に保持する第1保持部31と、基板Pが配置可能な開口Thを規定し、基板Pが第1保持部31に保持されている状態において基板Pの上面Paの周囲に配置される上面Taを有するカバー部材Tとを備えている。また、基板ステージ2は、基板Pとカバー部材Tとの間の間隙Gaに通じる空間部23を有する。
本実施形態において、基板ステージ200Fは、空間部23に配置され、間隙Gaに流入した液体LQの少なくとも一部を回収可能な回収口95を有する回収部材100を備えている。
回収部材100は、少なくとも一部が間隙Gaに面するように配置された多孔部材97と、多孔部材97を支持し、多孔部材97との間で空間99を形成する支持部材98とを含む。
多孔部材97は、プレート状である。多孔部材97は、少なくとも一部が間隙Gaに面する上面97Aと、上面97Aの反対方向を向き、空間99に面する下面97Bと、上面97Aと下面97Bとを結ぶ複数の孔97Hとを有する。本実施形態において、回収口95は、孔97Hの上端を含む。
また、回収部材100は、空間99に面し、空間99に液体LQを供給する供給口110と、空間99の液体LQを回収する回収口111とを有する。供給口110は、流路112を介して、液体供給装置113と接続される。回収口111は、流路114を介して、液体回収装置115と接続される。
本実施形態においては、回収口95から実質的に液体LQのみが回収され、気体は回収されない。
本実施形態において、間隙Gaに流入した液体LQを回収口95から回収するとき、制御装置8は、液体供給装置113及び液体回収装置115の少なくとも一方を制御して、空間99を液体LQで満たす。また、制御装置8は、回収口95から液体LQのみが回収され、気体が回収されないように、上面97A側の圧力(チャンバ装置103の空間102の圧力)と下面97B側の圧力(空間99の圧力)との差を調整する。制御装置8は、チャンバ装置103(空調システム105)を制御して、空間102の圧力を調整可能である。また、制御装置8は、液体供給装置113及び液体回収装置115の少なくとも一方を制御して、空間99の圧力を調整可能である。制御装置8は、回収口95から液体LQのみが回収され、気体が回収されないように、空間102の圧力及び空間99の圧力の少なくとも一方を調整する。制御装置8は、例えば、液体LQに対する孔97Hの内面の接触角、及び液体LQの表面張力等に基づいて、空間102の圧力と空間99の圧力との差を調整する。多孔部材を介して液体のみを回収する技術は、例えば米国特許第7292313号明細書等に記載されている。
間隙Gaに流入した液体LQは、多孔部材95を介して回収される。多孔部材95を介して空間99に流入した液体LQの少なくとも一部は、回収口111を介して液体回収装置115に回収される。
以上説明したように、本実施形態においても、間隙Gaに流入した液体LQを回収して、液体LQの残留を抑制することができる。
なお、図13に示す多孔部材97は、金属プレートに複数の孔97Hを形成することによって形成される。なお、例えば図14に示すような、焼結法によって形成される多孔部材116を介して液体LQを回収してもよい。図14に示す例でも、空間99の圧力と空間102の圧力との差を調整することによって、多孔部材116を介して液体LQのみを回収することができる。
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図15は、第8実施形態に係る基板ステージ200Hの一例を示す図である。図15において、基板ステージ200Hは、基板Pの下面Pbをリリース可能に保持する第1保持部31と、基板Pが配置可能な開口Thを規定し、基板Pが第1保持部31に保持されている状態において基板Pの上面Paの周囲に配置される上面Taを有するカバー部材Tとを備えている。また、基板ステージ200Hは、基板Pとカバー部材Tとの間の間隙Gaに通じる空間部23を有する。
本実施形態において、基板ステージ200Hは、空間部23に配置され、間隙Gaに流入した液体LQの少なくとも一部を回収可能な回収口118を有する回収部材117を備えている。
回収部材117は、少なくとも一部が間隙Gaに面するように配置された回収口118と、回収口118に結ばれ、内部に形成された空間119と、空間119に面し、空間119の流体を回収する回収口120とを有する。回収口120は、流路121を介して、流体回収装置122と接続される。
本実施形態においては、回収口118から液体LQ及び気体が回収される。なお、回収口118から液体LQのみが回収されてもよいし、気体のみが回収されてもよい。
間隙Gaに流入した液体LQを回収口118から回収するとき、制御装置8は、流体回収装置122を制御して、空間119を負圧にする。これにより、間隙Gaに流入した液体LQの少なくとも一部は、回収口118から回収される。回収口118を介して空間119に流入した液体LQの少なくとも一部は、回収口120を介して流体回収装置122に回収される。また、回収口118から空間119に流入した気体は、回収口120を介して流体回収装置122に回収される。
本実施形態において、基板ステージ200Hは、回収部材117の温度を調整する温度調整装置123を有する。温度調整装置123は、温度調整用の流体が流れる流路124を有する温調部材125と、流路124に温度調整された流体を供給する供給装置126とを有する。温調部材125は、回収部材117に接触するように配置される。供給装置126は、例えば温度調整された液体を流路124に供給する。なお、供給装置126が、温度調整された気体を流路124に供給してもよい。なお、流路124の流体は、供給装置126に戻されてもよいし、供給装置126とは別の装置(例えば回収装置)に回収されてもよい。
なお、温度調整装置123が、例えばペルチェ素子を含んでもよい。例えば、ペルチェ素子が回収部材117に接触するように配置されてもよい。
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図16は、第9実施形態に係る基板ステージ200Lの一例を示す図である。図16において、基板ステージ200Lは、基板Pの下面Pbをリリース可能に保持する第1保持部31と、基板Pが配置可能な開口Thを規定し、基板Pが第1保持部31に保持されている状態において基板Pの上面Paの周囲に配置される上面Taを有するカバー部材T10とを備えている。また、基板ステージ200Lは、基板Pとカバー部材T10との間の間隙Gaに通じる空間部23を有する。空間部23には、多孔部材800Lが配置されている。多孔部材800Lの少なくとも一部は、間隙Gaの下方に配置される。間隙Gaに流入する液体LQの少なくとも一部は、多孔部材800Lを介して回収される。
本実施形態において、カバー部材T10は、基板Pの側面Pcが対向可能な第1内面Tc11と、第1内面Tc11の下方に配置され、第1保持部31に対して第1内面Tc11よりも離れた第2内面Tc12とを有する。
また、カバー部材T10は、第1内面Tc11の下端と結ばれ、上面Taの反対方向を向く下面Tc13を有する。第2内面Tc12は、下面Tc13の外縁と結ばれる。下面Tc13は、第2内面Tc12の上端と結ばれる。
本実施形態において、第1内面Tc11と第2内面Tc12とは、実質的に平行である。第1内面Tc11及び第2内面Tc12は、終端光学素子12の光軸(Z軸)と実質的に平行である。本実施形態において、上面Taと下面Tc13とは実質的に平行である。
本実施形態において、第1内面Tc11及び第2内面Tc12は、上面Taの法線と実質的に平行である。
上面Taの法線方向(Z軸方向)に関して、第1内面Tc11の寸法H11は、第2内面Tc12の寸法H12よりも小さい。寸法H11は、上面Taと下面Tc13との距離を含む。
多孔部材800Lの上面800Laの一部は、間隙を介して下面Tc13と対向する。
本実施形態において、上面800Laは、多孔部材800の上端である。本実施形態において、上面800Laは、カバー部材T10の上面Taよりも下方であって、第1保持部31の保持面36Sよりも上方に配置される。また、上面800Laは、第1内面Tc11の下端よりも下方に配置され、第2内面Tc12の下端よりも上方に配置される。また、図16のように、第1保持部31に基板Pが保持された状態において、上面800Laは、基板Pとカバー部材T10との間に配置される。また、多孔部材800Lの外側面の少なくとも一部は、間隙を介して第2内面Tc12と対向する。また、多孔部材800Lの内側面の少なくとも一部は、基板Pの側面Pcと対向する。本実施形態において、多孔部材800Lは、第1内面Tc11と対向しない。
なお、本実施形態において、多孔部材800Lの少なくとも一部が、第1内面Tc11と対向するように配置されてもよい。
本実施形態によれば、例えば液浸空間LSがカバー部材T10の上面Taから基板Pの上面Paに移動するように基板ステージ200Lが移動する場合、間隙Ga近傍のカバー部材T10の上面Taに液体LQが残留する現象、あるいは液体LQが間隙Gaに留まる現象(所謂、ブリッジ現象)を防止できる。
なお、図17に示すように、多孔部材800Mの上面800Maの一部が、下面Tc13と接触してもよい。また、図17に示すように、多孔部材800Mの上面800Maと下面Tc13とが接着剤800Mcを介して接着されてもよい。また、多孔部材800Mの外側面の一部が、第2内面Tc12と接触してもよい。
また、図17に示すように、多孔部材800Mが角部800Mkを有してもよい。角部800Mkは、間隙Gaに面する。また、下面Tc13の一部が多孔部材800Mと対向しなくてもよい。換言すれば、下面Tc13が多孔部材800Mと対向する対向領域と、対向しない非対向領域とを有してもよい。また、下面Tc13の非対向領域と多孔部材800M(角部800Mk)との間に空間800Msが形成されてもよい。
<第10実施形態>
次に、第10実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図18は、第10実施形態に係る基板ステージ200Nの一例を示す図である。図18において、基板ステージ200Nは、基板Pの下面Pbをリリース可能に保持する第1保持部31と、基板Pが配置可能な開口Thを規定し、基板Pが第1保持部31に保持されている状態において基板Pの上面Paの周囲に配置される上面Taを有するカバー部材T11とを備えている。また、基板ステージ200Nは、基板Pとカバー部材T11との間の間隙Gaに通じる空間部23を有する。空間部23には、多孔部材800Nが配置されている。間隙Gaに流入する液体LQの少なくとも一部は、多孔部材800Nを介して回収される。
図18に示すように、基板Pの側面Pcが対向するカバー部材T11の内面Tcの少なくとも一部は、第1保持部31の中心に対して外側に向かって下方に傾斜する。
本実施形態においては、多孔部材800Nにより、空間部23に存在する液体LQと気体Gsとが分離して回収される。本実施形態において、多孔部材800Nには、主に気体Gsが流通し、液体LQの流通が制限される流路127Rが形成される。流路127Rの一端は、空間部23の気体空間と接続される。流路127Rの他端は、真空システムを含む流体吸引装置127と接続される。流路127Rの寸法(直径)は、多孔部材800Nの孔の寸法よりも大きい。
多孔部材800Nは、流路128Rを介して、真空システムを含む流体吸引装置128と接続される。流路128Rの一端(上端)と多孔部材800Nの下面とが接続される。
空間部23の液体LQは、流路127Rとは異なる多孔部材800Rの内部流路を流れて、流体吸引装置128に回収される。
間隙Gaから空間部23に流入した液体LQは、多孔部材800Nの表面(上面など)に接触する。流体吸引装置128が作動することによって、その多孔部材800Nの表面に接触した液体LQは、多孔部材800Nを介して流体吸引装置128に回収される。
また、流体吸引装置127が作動することによって、空間部23の気体Gsは、流路127Rを介して流体吸引装置127に回収される。また、流体吸引装置127の作動により、間隙Gaの上側の空間(上面Pa、Ta側の空間)から空間部23に向かう気体Gsの流れが生成される。その気体Gsの流れによって、その液体LQを空間部23に引き込むことができ、例えば液体LQが間隙Gaに留まる現象(所謂、ブリッジ現象)を防止できる。
また、流路127Rには、実質的に気体Gsのみが流れ、液体LQは流れないため、気化熱の発生が抑制される。
なお、図19に示すように、多孔部材800Nの下面に接続される流路128Rbが液体LQで満たされた状態で、多孔部材800Nを介して流体吸引装置128bに液体LQが回収されるように、多孔部材800Nの下面側の圧力と上面側の圧力との差が調整されてもよい。本実施形態において、多孔部材800Nの下面側の圧力は、流体吸引装置128bによって調整可能である。多孔部材800Nの上面側の圧力は、例えばチャンバ装置103(空調システム105)によって調整可能である。なお、多孔部材を介して液体のみを回収する技術の一例が、例えば米国特許第7292313号明細書等に開示されている。
<第11実施形態>
次に、第11実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図20は、本実施形態に係る基板ステージ200Jの一部を示す側断面図、図21は、基板ステージ200Jの一部を上側(+Z側)から見た図である。図20及び図21において、基板ステージ200Jは、基板Pをリリース可能に保持する第1保持部31Jと、カバー部材Tをリリース可能に保持する第2保持部32Jと、基板Pの上面Paとカバー部材Tの上面Taとの間隙Gaに通じる空間部23とを有する。空間部23は、周壁部35の周囲の空間を含む。本実施形態において、空間部23は、周壁部35と周壁部38との間の空間を含む。
なお、図21は、第1保持部31J上に基板Pがなく、第2保持部32J上にカバー部材Tがない状態を示す。なお、図20及び図21に示す例では、基板ステージ200Jが、第1実施形態で説明した多孔部材80を有しているが、第2〜第10実施形態のいずれか一つで説明した多孔部材(回収部材)を有してもよい。
第1保持部31Jは、周壁部35の内側に配置され、基板Pの下面Pbが対向可能な周壁部43と、周壁部35と周壁部43との間の空間部44に気体を供給する給気口45とを有する。また、第1保持部31Jは、空間部44の流体(液体及び気体の一方又は両方)を排出する排出口46を有する。
第1保持部31Jの支持部36は、周壁部43の内側に配置される。本実施形態においては、基板Pの下面Pbと周壁部43の上面とが対向している状態において、基板Pの下面Pbと周壁部43と支持面31Sとの間に空間31Hが形成される。
図21に示すように、給気口45は、周壁部43(周壁部35)に沿って複数配置される。排出口46は、周壁部43(周壁部35)に沿って複数配置される。本実施形態においては、給気口45の一方側及び他方側のそれぞれに排出口46が配置されている。換言すれば、2つの排出口46の間に給気口45が配置されている。また、本実施形態においては、排出口46の一方側及び他方側のそれぞれに給気口45が配置されている。換言すれば、2つの給気口45の間に排出口46が配置されている。すなわち、本実施形態においては、周壁部43の周囲において、複数の給気口45と複数の排出口46とが交互に配置されている。なお、複数の給気口45と複数の排出口46とが交互に配置されなくてもよい。例えば、給気口45の一方側に排出口46が配置され、他方側に給気口45が配置されてもよい。例えば、排出口46の一方側に給気口45が配置され、他方側に排出口46が配置されてもよい。
本実施形態において、給気口45は、流路を介して給気装置と接続されている。給気装置は、例えば気体を送出可能なポンプ、供給する気体の温度を調整可能な温度調整装置、及び供給する気体中の異物を除去可能なフィルタ装置等を含む。
本実施形態において、排出口46は、流路を介して流体吸引装置と接続されている。流体吸引装置は、例えば流体(気体及び液体の一方又は両方)を吸引可能なポンプ、及び吸引された気体と液体とを分離する気液分離装置等を含む。
給気口45に接続される給気装置、及び排出口46に接続される流体吸引装置は、制御装置8に制御される。制御装置8は、給気口45からの給気動作及び排出口46からの排気動作(吸引動作)を制御可能である。給気口45から気体が供給されるとともに、排出口46から流体が排気(吸引)されることによって、図21に示すように、空間部44において気流Fが生成される。例えば、空間部44において、給気口45から排出口46に向かって気体が流れる。
図20に示すように、第1保持部31Jに保持された基板Pと第2保持部32に保持されたカバー部材Tとの間に間隙Gaが形成される。基板Pの上面Pa及びカバー部材Tの上面Taの少なくとも一方が面する空間に存在する液体LQ(例えば液浸空間LSの液体LQ)が、間隙Gaを介して、空間部23に流入する可能性がある。
また、液体LQが、例えば空間部44に流入する可能性がある。例えば、空間部23の液体LQが、基板Pの下面Pbと周壁部35の上面との間を通過して空間部44に流入する可能性がある。本実施形態において、排出口46は、空間部44の液体LQを吸引可能である。制御装置8は、排出口46の吸引動作を実行して、空間部44から液体LQを除去することができる。これにより、液体LQが空間31Hに流入することが抑制される。
<第12実施形態>
次に、第12実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図22は、第12実施形態に係る基板ステージ200Kの一部を示す図である。図22は、基板ステージ200Kの周壁部35及び周壁部38を上方から見た図である。基板ステージ200Kは、例えば第1実施形態で説明した基板ステージ2から多孔部材80を省略した形態である。
図22に示すように、第1保持部31の周壁部35と第2保持部32の周壁部38との間に吸引口24が配置される。吸引口24は、第1保持部31の周囲に複数配置される。
吸引口24のそれぞれは、基板Pとカバー部材Tとの間の間隙Gaに流入する液体LQの少なくとも一部を回収可能である。図22に示す例では、空間部23に多孔部材は配置されていない。
液体LQの液浸空間LSが終端光学素子12の射出面13側に形成されている状態で、終端光学素子12に対して、基板P及びカバー部材TがXY平面内において移動する。例えば、上述の実施形態と同様、基板Pの露光において、液体LQの液浸空間LSが終端光学素子12及び液浸部材7と基板P及びカバー部材Tの少なくとも一方との間に形成されている状態で、終端光学素子12及び液浸部材7に対して、基板P及びカバー部材TがXY平面内において移動する。
本実施形態においては、液浸空間LSに対する間隙Gaの位置、及び液浸空間LSに対する間隙Gaの移動条件の一方又は両方に基づいて、複数の吸引口24のうち、一部の回収口24から液体LQの回収が行われる。
図23は、本実施形態に係る露光装置EXの動作の一例を説明するための模式図である。制御装置8は、例えば基板Pの周囲に形成される間隙Gaと液浸空間LSとの位置関係に基づいて、複数の吸引口24の吸引動作を制御する。
本実施形態において、基板Pの周囲の間隙Gaが、例えば第1部分AR1〜第6部分AR6に分けられる。制御装置8は、間隙Gaのうち、例えば第2部分AR2の上に液浸空間LSが存在するとき、第1保持部31の周囲に複数配置された複数の吸引口24のうち、第2部分AR2に流入する液体LQを吸引可能な位置に配置された吸引口24の吸引動作を行う。本実施形態においては、第2部分AR2の直下に配置されている吸引口24の吸引動作が行われる。一方、制御装置8は、第2部分AR2の上に液浸空間LSが存在するとき、第1保持部31の周囲に複数配置された複数の吸引口24のうち、第1、第3、第4、第5、第6部分AR1、AR3、AR4、AR5、AR6に流入する液体LQを回収可能な位置に配置された吸引口24の吸引動作を実行しない。例えば、第2部分AR2の上に液浸空間LSが存在するとき、第1、第3、第4、第5、第6部分AR1、AR3、AR4、AR5、AR6の直下に配置されている吸引口24の吸引動作を停止する。
また、制御装置8は、間隙Gaのうち、例えば第4部分AR4の上に液浸空間LSが存在するとき、第1保持部31の周囲に複数配置された複数の吸引口24のうち、第4部分AR4に流入する液体LQを回収可能な位置に配置された吸引口24の吸引動作を行う。
一方、制御装置8は、間隙Gaのうち、第4部分AR4の上に液浸空間LSが存在するとき、第1保持部31の周囲に複数配置された複数の吸引口24のうち、第1、第2、第3、第5、第6部分AR1、AR2、AR3、AR5、AR6に流入する液体LQを回収可能な位置に配置された吸引口24の吸引動作を実行しない(停止する)。
制御装置8は、例えば干渉計システム11の計測結果に基づいて、XY平面内における液浸空間LSと第1部分〜第6部分AR1〜AR6との位置関係を求めることができる。
本実施形態において、基板ステージ200Kの位置は、干渉計システム11によって計測される。干渉計システム11は、基板ステージ200Kが有する干渉計用の計測ミラー2Rに検出光を照射して、その基板ステージ200Kの位置を求める。基板ステージ200Kが有する計測ミラー2Rと、間隙Ga(第1部分AR1〜第6部分AR6)との位置関係は、既知である。したがって、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果に基づいて、干渉計システム11の座標系内における間隙Ga(第1部分AR1〜第6部分AR6)の位置を求めることができる。
また、本実施形態において、液浸空間LSの液体LQの界面LGの位置は、既知である。また、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ200K等の物体との間に液浸空間LSが形成された状態で物体が移動したときの界面LGの位置も、既知である。例えば、界面LGの位置は、液浸部材7の供給口15からの単位時間当たりの液体供給量、及び回収口16からの単位時間当たりの液体回収量を含む液浸条件に基づいて定められる。
また、界面LGの位置は、液浸空間LSが形成された状態における物体の移動条件(移動速度、加速度、ある一方向に関する移動距離、及び移動軌跡等)に基づいて定められる。
例えば、液浸条件及び移動条件の少なくとも一方に基づいて定められる界面LGの位置は、予備実験又はシミュレーションによって求めることができる。本実施形態において、制御装置8は、記憶装置8Rを含み、液浸条件及び移動条件の少なくとも一方に基づいて定められる界面LGの位置に関する情報は、記憶装置8Rに記憶される。
したがって、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果と、記憶装置8Rの記憶情報とに基づいて、干渉計システム11の座標系内における、間隙Ga(第1部分AR1〜第6部分AR6)と液浸空間LS(界面LG)との位置関係を求めることができる。
本実施形態において、制御装置8は、間隙Ga(第1部分AR1〜第6部分AR6)と界面LGとの位置関係に基づいて、複数の吸引口24のうち、一部の吸引口24からの吸引動作を行う。例えば、第1部分AR1の上に液浸空間LSが配置される直前に、制御装置8は、吸引動作が停止されていた第1部分AR1に対応する吸引口24(例えば、第1部分AR1の直下の吸引口24)の吸引動作を開始する。
これにより、例えば液浸空間LSが第1部分AR1の上に配置されたとき、第1部分AR1に流入した液体LQの少なくとも一部を、その第1部分AR1に対応する吸引口24から吸引することができる。また、液浸空間LSが第1部分AR1の上を通過した直後に、制御装置8は、吸引動作を行っていた第1部分AR1に対応する吸引口24の吸引動作を停止してもよい。また、制御装置8は、第2部分AR2〜第6部分AR6それぞれの上を液浸空間LSが通過するときも、同様の制御を実行することができる。
なお、本実施形態において、例えば図24に示すように、空間部23に多孔部材80Jが配置されてもよい。多孔部材80Jの下方には、図22を参照して説明したような、複数の吸引口24が配置されている。複数の吸引口24のうち、一部の吸引口24の吸引動作が行われることによって、多孔部材80Jのうち、その吸引動作が行われている吸引口24の上方に配置されている多孔部材80Jの一部による液体回収動作が実行される。図24に示す例においても、制御装置8は、液浸空間LSに対する間隙Gaの位置、及び液浸空間LSに対する間隙Gaの移動条件の一方又は両方に基づいて、多孔部材80Jの一部から液体LSの回収を行うことができる。
なお、図4、図8、図11、図12、及び図20等を参照して説明したような、基板Pの側面Pcと対向するように配置される回収口を、基板Pの周囲に複数配置し、液浸空間LSに対する間隙Gaの位置、及び液浸空間LSに対する間隙Gaの移動条件の一方又は両方に基づいて、それら複数の回収口のうち、一部の回収口から液体LQの回収を行ってもよい。
なお、本実施形態においては、液浸空間LSに対する間隙Gaの位置、及び液浸空間LSに対する間隙Gaの移動条件の一方又は両方に基づいて、複数の回収口24のうち一部の回収口24から液体LQの回収が行われることとした。本実施形態において、例えば終端光学素子12に対する間隙Gaの位置、及び液浸空間LSに対する間隙Gaの移動条件の一方又は両方に基づいて、複数の回収口24のうち一部の回収口24から液体LQの回収が行われてもよい。また、例えば液浸部材7に対する間隙Gaの位置、及び液浸部材7に対する間隙Gaの移動条件の一方又は両方に基づいて、複数の回収口24のうち一部の回収口24から液体LQの回収が行われてもよい。
すなわち、本実施形態において、終端光学素子12に対する間隙Gaの位置を、液浸空間LSに対する間隙Gaの位置とみなしてもよいし、液浸部材7に対する間隙Gaの位置を、液浸空間LSに対する間隙Gaの位置とみなしてもよい。また、終端光学素子12に対する間隙Gaの移動条件を、液浸空間LSに対する間隙Gaの移動条件とみなしてもよいし、液浸部材7に対する間隙Gaの移動条件を、液浸空間LSに対する間隙Gaの移動条件とみなしてもよい。
<第13実施形態>
次に、第13実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図25は、基板Pの周囲に配置されるカバー部材T4の開口Tkの一例を示す模式図である。基板Pは、カバー部材T4の開口Tkに配置可能である。カバー部材T4の開口Tkは、第1保持部31の中心から第1距離D1に位置し、第1保持部31に保持された基板Pの側面Pcが対向可能な第1領域A1と、第1領域A1の隣に配置され、第1保持部31の中心から第1距離D1よりも長い第2距離D2に位置する第2領域A2と、を含む。
本実施形態において、第2領域A2は、第1保持部31の周方向に関して、第1領域A1の隣に配置される。換言すれば、第1領域A1と第2領域A2とは、終端光学素子12の光軸(Z軸)と垂直な面内(XY平面内)において隣り合う。
本実施形態において、第1保持部31の周方向は、周壁部35の周方向を含む。また、本実施形態において、周壁部35の周方向は、周壁部38の周方向を含む。本実施形態において、周壁部35は、XY平面内において実質的に円形(円環状)である。周壁部38も、XY平面内において実質的に円形(円環状)である。本実施形態において、周壁部35の中心と周壁部38の中心とは、実質的に一致する。換言すれば、周壁部35と周壁部38とは、同心状に配置される。
また、本実施形態において、基板Pの外形(基板Pのエッジ部Egpの形状)は、実質的に円形である。XY平面内において、第1保持部31の中心(周壁部35の中心)と、その第1保持部31に保持される基板Pの中心とは、実質的に一致する。本実施形態において、第1保持部31の周方向は、第1保持部31に保持された基板Pのエッジ部Egpに沿う方向を含む。なお、第1保持部31の中心と、その第1保持部31に保持される基板Pの中心とは、一致しなくてもよい。
第1保持部31に保持される基板Pのエッジ部Egpの周囲に、カバー部材T4のエッジ部(内側エッジ部)Egtが配置される。また、カバー部材T4の上面Taは、第1保持部31に保持された基板Pの上面の周囲に配置される。カバー部材T4の開口Tkは、カバー部材T4のエッジ部Egtで規定される。また、エッジ部Egtは、カバー部材T4の上面Taの縁(内縁)の少なくとも一部を規定する。
カバー部材T4のエッジ部Egtは、第1保持部31の周囲に配置される。基板Pのエッジ部Egpとカバー部材T4のエッジ部Egtとの間には、第1保持部31の周方向に沿って間隙が形成される。基板Pのエッジ部Egpと、カバー部材T4のエッジ部Egtとは、間隙を介して対向する。
カバー部材T4のエッジ部Egtは、第1保持部31に保持された基板Pのエッジ部Egpが沿うように、第1保持部31の周方向に延びている。
また、開口Tkは、第1領域A1と第2領域A2とを結ぶ第3領域A3を含む。
本実施形態において、第1〜第3領域A1〜A3は、カバー部材T4の上面Taと内面Tcとで形成される角部の少なくとも一部を含む。なお、第1〜第3領域A1〜A3が、カバー部材T4の上面Taの少なくとも一部を含んでもよいし、内面Tcの少なくとも一部を含んでもよい。
第1領域A1と第2領域A2とは、第1保持部31の周方向に関して交互に配置される。すなわち、開口Tkは、第1保持部31の周方向に関して交互に配置され、第1保持部31の中心に対して突出する凸部Tkaと、第1保持部31の中心に対して窪む凹部Tkbとを複数有する。本実施形態において、第1領域A1は、XY平面内において曲面(曲線)である。第2領域A2は、XY平面内において曲面(曲線)である。
すなわち、本実施形態において、カバー部材T4のエッジ部Egtは、第1保持部31の周方向に沿って形成される複数の凸部Tkaを含む。凸部Tkaは、第1領域A1を含む。凹部Tkbは、第2領域A2を含む。複数の凸部Tkaは、第1保持部31の周方向に隣り合う第1の凸部Tka及び第2の凸部Tkaを含む。本実施形態において、カバー部材T4の上面Taは、凸部Tkaの上面を含む。
また、本実施形態においては、第1保持部31の中心に対する放射方向に関する第1領域A1と第2領域A2との距離Daは、第1保持部31の周方向に関して隣り合う第1領域A1の距離R1とほぼ同じである。また、距離Daは、第1保持部31の周方向に関して隣り合う第2領域A2の距離R2とほぼ同じである。なお、距離Daが距離R1よりも長くてもよい。なお、距離Daが距離R2よりも長くてもよい。
また、本実施形態において、複数の凸部Tkaは、第1保持部31の周方向に沿って一定間隔で配置される。第1保持部31の周方向に隣り合う第1の凸部Tkaと第2の凸部Tkaとの第1保持部31の周方向に関する距離R1は、第2の凸部Tkaと第3の凸部Tkaとの第1保持部31の周方向に関する距離R1と実質的に等しい。
本実施形態においては、例えば液浸空間LSがカバー部材T4の上面Taから基板Pの上面Paへ移動するように基板ステージ2が移動するとき、液浸空間LSの液体LQが例えば基板P上に残留することが抑制される。
図26は、比較例を示す模式図である。図26においては、カバー部材Tjの開口は、基板Pの外形に沿った形状である。例えば、液浸空間LSがカバー部材Tj上から基板P上に移動するように、基板ステージ2が−Y方向に移動する場合、液浸空間LSは、図26(A)に示す状態から、図26(B)に示す状態を経て、図26(C)に示す状態に変化する。図26(A)は、基板ステージ2の−Y方向への移動により、カバー部材Tj上から基板P上への液浸空間LSの移動が完了する直前の状態を示す。図26(B)は、図26(A)に示す状態からさらに基板ステージ2が−Y方向へ移動した状態を示す。図26(C)は、図22(B)に示す状態からさらに基板ステージ2が−Y方向へ移動した状態を示す。
図26(C)に示すように、液浸空間LSがカバー部材Tj上から基板P上に移動することにより、液浸空間LSの液体LQの一部が千切れ、滴となって基板P上に残留する可能性がある。
本発明者は、基板P上に液体LQが残留する原因の一つが、基板Pの周囲に配置されるカバー部材の形状であるという知見を得た。例えば、液浸空間LSが間隙Ga上を通過するようにカバー部材上から基板P上へ移動するとき、液浸空間LSの液体LQは、カバー部材の形状(間隙Gaの形状)に応じて流動する。本発明者は、カバー部材の形状を調整することによって、基板P上に残留しないように液体LQを流動させることができるという知見を得た。すなわち、本発明者は、基板Pと間隙Gaを形成するカバー部材の内側エッジの形状を工夫することにより、液浸空間LSがカバー部材上から基板P上へ移動するときに、液体LQがカバー部材から離れやすくなり、基板P上に残留を抑制できるという知見を得た。
以下の説明において、基板ステージ2がXY平面内において第1方向(例えば−Y方向)に移動する場合において、液浸空間LSの液体LQの界面LGのうち、終端光学素子12の光軸に対して第1方向側(例えば−Y側)の界面LGbを適宜、後側界面LGb、と称する。
例えば、液体LQが接触する物体の幾何学的な形状の急激な変化により、後側界面LGbの形状が変化し、液体LQが物体に引っかかるような挙動を示し、その結果、物体上に残留する現象が生じる可能性がある。図26に示す例では、液浸空間LSは、カバー部材Tj上、間隙Ga上、及び基板P上の順に移動し、間隙Gaの存在により、カバー部材Tjと基板Pとで急激に幾何学的な形状が変化することとなる。その幾何学的な形状の変化によって、液体LQの少なくとも一部が基板P上に残留するように液浸空間LSの液体LQが流動する可能性がある。
図27は、本実施形態に係る後側界面LGb近傍の液体LQの流動を模式的に示す図である。
例えば、液浸空間LSがカバー部材T4上から基板P上に移動するように、基板ステージ2が+Y方向に移動する場合、後側界面LGbの近傍において、液浸空間LSの液体LQの少なくとも一部は、図27中、矢印frで示す方向に流動する可能性がある。すなわち、液浸空間LSの液体LQの少なくとも一部は、第3領域A3に沿うように、第2領域(凹部)A2から第1領域(凸部)A1に向かって流動する。
本実施形態において、第3領域A3に沿う方向は、液浸空間LSと基板ステージ2との相対的な移動方向(ここではY軸方向)とほぼ一致する。すなわち、液浸空間LSがカバー部材T4上から基板P上に移動するとき、液浸空間LSと基板ステージ2との相対的な移動方向(Y軸方向)と、後側界面LGb近傍における液体LQの流動方向(第3領域A3に沿う方向)とは、ほぼ一致する。したがって、本実施形態によれば、基板P上に残留しないように、後側界面LGb近傍の液体LQが第1領域A1(凸部Tka)に向かって流動し、カバー部材T4から液浸空間LSの液体LQが離れる直前、液浸空間LSの液体LQは、カバー部材T4の第2領域A2及び第3領域A3と接触していない可能性が高くなる。すなわち、後側界面LGbがカバー部材T4から基板P上に移動するときに、カバー部材T4に形成された微細形状によりカバー部材T4と液浸空間LSの液体LQとの接触面積を軽減する効果が見込める。これにより、後側界面LGbがカバー部材からスムースに離れ、基板Pの上面に液体LQが残留することが抑制される。
以上説明したように、本実施形態によれば、例えば液浸空間LSがカバー部材T4上から基板P上に移動するように基板ステージ2が移動する場合、基板P上に液体LQが残留することを抑制できる。したがって、露光不良の発生、及び不良デバイスの発生を抑制することができる。
なお、本実施形態において、例えば図28に示すカバー部材T5のように、第1保持部31の中心に対する放射方向に関する第1領域A1(凸部)と第2領域A2(凹部)との距離Daが、第1保持部31の周方向に関して隣り合う第1領域A1の距離R1よりも短くてもよいし、隣り合う第2領域A2の距離R2よりも短くてもよい。
また、図29に示すカバー部材T6のように、第1領域A1(凸部)及び第2領域A2(凹部)が、角部を有してもよい。
また、図30に示すカバー部材T7ように、第1領域A1と第3領域A3とがほぼ直角に交わり、第2領域A2と第3領域A3とがほぼ直角に交わってもよい。図30に示す例は、第3領域A3の寸法が、第1領域A1(第2領域A2)の寸法よりも小さい。
また、図31に示すカバー部材T12のように、第1領域A1と第3領域A3とがほぼ直角に交わり、第2領域A2と第3領域A3とがほぼ直角に交わる場合において、第3領域A3の寸法が、第1領域A1(第2領域A2)の寸法よりも大きくてもよい。すなわち、第1保持部31の周方向に関する第1領域A1の寸法W1が、第1保持部31の中心に対する放射方向に関する第1領域A1と第2領域A2との距離Daよりも小さくてもよい。また、第1保持部31の周方向に関する第2領域A2の寸法W2が、第1保持部31の中心に対する放射方向に関する第1領域A1と第2領域A2との距離Daよりも小さくてもよい。
また、第1保持部31の周方向に関して隣り合う第1領域A1の距離R1は、距離Daよりも小さくてもよい。また、第1保持部31の周方向に関して隣り合う第2領域A2の距離R2は、距離Daよりも小さくてもよい。
なお、図32に示すカバー部材T13のように、第1領域A1の両側に配置される第3領域A3aと第3領域A3bとの距離が、第1領域A1に向かって徐々に小さくなってもよい。
なお、図33に示すカバー部材T14のように、第1領域A1の両側に配置される第3領域A3cと第3領域A3dの少なくとも一部とが平行でもよい。
<第14実施形態>
次に、第14実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図34は、本実施形態に係るカバー部材T8の一例を示す断面図である。図34に示すように、基板Pの側面Pcが対向するカバー部材T8の内面Tcの少なくとも一部は、第1保持部31の中心に対して外側に向かって上方に傾斜する。
本実施形態において、カバー部材T8の内面Tcは、第1内面Tc1と、第1内面Tc1の上方に配置され、基板Pの側面Pcの少なくとも一部が対向し、下端が第1内面Tc1と結ばれ、上端がカバー部材T8の上面Taと結ばれる第2内面Tc2とを含む。
第1内面Tc1と第2内面Tc2とは、非平行である。カバー部材T8の上面Taの法線方向(Z軸方向)に関して、第2内面Tc2の寸法H2は、第1内面Tc1の寸法H1よりも大きい。本実施形態においては、第2内面Tc2が、第1保持部31の中心に対して外側に向かって上方に傾斜する。本実施形態において、第1内面Tc1は、Z軸とほぼ平行である。
また、第1内面Tc1の下端は、カバー部材T8の下面Tbと結ばれる。本実施形態において、カバー部材T8の上面Taと下面Tbとは、ほぼ平行である。また、上面Taは、XY平面とほぼ平行である。
本実施形態においては、Y軸方向(第1保持部31の中心に対する放射方向)に関する第2内面Tc2の寸法E2は、Z軸方向に関する第2内面Tc2の寸法H2よりも大きい。また、XY平面に対する第2内面Tc2の角度は、例えば10度〜45度である。
図35は、液浸空間LSがカバー部材T8上から基板P上へ移動する状態の一例を示す図である。液浸空間LSは、図35(A)に示す状態から、図35(B)に示す状態を経て、図35(C)に示す状態に変化する。図35は、液浸空間LSがカバー部材T8上から基板P上へ移動するように、基板ステージ2が+Y方向へ移動する状態の一例を示す。
図35(A)は、液浸空間LSの後側界面LGbがカバー部材T8上に位置する状態を示す。図35(B)は、後側界面LGbがカバー部材T8上から基板P上へ移動する状態を示す。図35(C)は、後側界面LGbが基板P上に位置する状態を示す。
カバー部材T8が、傾斜した第2内面Tc2を含む内面Tcを有することにより、液浸空間LSがカバー部材T8上から基板P上へ移動するように基板ステージ2が移動するとき、液浸空間LSの液体LQが基板P上に残留することが抑制される。
例えば、図35(A)に示すように、後側界面LGbの下端が第2内面Tc2に位置するとき、後側界面LGbと第2内面Tc2とがなす角度は、90度に近い。すなわち、カバー部材T8上に液体LQの薄膜が形成されることが抑制される。本実施形態において、後側界面LGbが第2内面Tc2上を移動するとき、後側界面LGbと第2内面Tc2とがなす角度が90度に近い値を示すように、換言すれば、第2内面Tc2上に液体LQの薄膜が形成されないように、第2内面Tc2の寸法H2、寸法E2、及びXY平面に対する角度等が調整されている。
図35(B)に示すように、後側界面LGbの下端がカバー部材T8の第2内面Tc2から基板Pの上面Paに移動した直後においても、後側界面LGbと上面Paとがなす角度は、90度に近い。すなわち、基板P上に液体LQの薄膜が形成されることが抑制される。本実施形態において、後側界面LGbが第2内面Tc2上から基板Pの上面Pa上に移動するとき、後側界面LGbと上面Paとがなす角度が90度に近い値を示すように、換言すれば、上面Pa上に液体LQの薄膜が形成されないように、第2内面Tc2の寸法H2、寸法E2、及びXY平面に対する角度等が調整されている。
図35(C)に示すように、後側界面LGbの下端が基板Pの上面Paに位置するときも、後側界面LGbと基板Pの上面Paとがなす角度は、90度に近い。すなわち、基板P上に液体LQの薄膜が形成されることが抑制される。
図36は、比較例を示す。図36において、カバー部材Tjは、内面Tcを有する。内面Tcは、Z軸とほぼ平行である。
図36(A)〜図36(C)は、液浸空間LSがカバー部材Tj上から基板P上へ移動するように、基板ステージ2が+Y方向へ移動する状態の一例を示す図である。液浸空間LSは、図36(A)に示す状態から、図36(B)に示す状態を経て、図36(C)に示す状態に変化する。
図36(A)は、液浸空間LSの後側界面LGbがカバー部材Tj上に位置する状態を示す。図36(B)は、後側界面LGbがカバー部材Tj上から基板P上へ移動する状態を示す。図36(C)は、後側界面LGbが基板P上に位置する状態を示す。
図36(A)に示すように、後側界面LGbの下端が上面Taのエッジに位置するとき、後側界面LGbと上面Taとがなす角度は、小さい。図36(B)に示すように、後側界面LGbの下端がカバー部材Tjの上面Taから基板Pの上面Paに移動した直後においても、後側界面LGbと上面Paとがなす角度は、小さい。すなわち、基板P上に液体LQの薄膜が形成される可能性が高くなる。その結果、図36(C)に示すように、基板P上に液体LQが残留する可能性が高くなる。
以上説明したように、本実施形態によれば、内面Tcが傾斜した第2内面Tc2を含むことにより、液浸空間LSがカバー部材T8上から基板P上に移動するとき、液体LQが薄膜化することが抑制される。したがって、基板P上等に液体LQが残留することが抑制される。
なお、例えば図25、図28〜図33等を参照して説明した、カバー部材の凸部が、図34等を参照して説明した第2内面Tc2を有してもよい。すなわち、カバー部材Tの凸部が、その先端部から、第1保持部31に対して離れる方向に、かつ上方に向かって傾斜する上面を有してもよい。
なお、図37に示すように、基板Pの側面Pcが対向するカバー部材T15の内面Tcの少なくとも一部が、第1保持部31の中心に対して外側に向かって下方に傾斜してもよい。図37において、カバー部材T15の内面Tcは、第1内面Tc14と、第1内面Tc14の下方に配置され、基板Pの側面Pcの少なくとも一部が対向し、上端が第1内面Tc14と結ばれ、下端がカバー部材T15の下面Tbと結ばれる第2内面Tc15とを含む。
第1内面Tc14と第2内面Tc15とは、非平行である。カバー部材T15の上面Taの法線方向(Z軸方向)に関して、第2内面Tc15の寸法H15は、第1内面Tc14の寸法H14よりも大きい。図37に示す例では、第2内面Tc15が、第1保持部31の中心に対して外側に向かって下方に傾斜する。第1内面Tc14は、Z軸とほぼ平行である。
また、第1内面Tc14の上端は、カバー部材T15の上面Taと結ばれる。カバー部材T15の上面Taと下面Tbとは、ほぼ平行である。また、上面Taは、XY平面とほぼ平行である。
Y軸方向(第1保持部31の中心に対する放射方向)に関する第2内面Tc15の寸法E15は、Z軸方向に関する第2内面Tc15の寸法H15よりも大きい。また、XY平面に対する第2内面Tc15の角度は、例えば10度〜45度である。
図37に示すカバー部材T15においても、液体LQの残留等が抑制される。
なお、図38に示すように、第1内面Tc14に、複数の凸部130が設けられてもよい。凸部130によって、液体LQに対する第1内面Tc14の接触角が調整される。
なお、例えば図25、図28〜図33等を参照して説明した、カバー部材の凸部が、図37等を参照して説明した第2内面Tc15を有してもよい。すなわち、カバー部材Tの凸部が、その先端部から、第1保持部31に対して離れる方向に、かつ下方に向かって傾斜する下面を有してもよい。
なお、例えば図25、図28〜図33等を参照して説明した、カバー部材の凸部に、図38等を参照して説明した凸部130が設けられてもよい。
<第15実施形態>
次に、第15実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図39は、本実施形態に係るカバー部材T16の一例を示す断面図である。図39に示すように、基板Pの側面Pcが対向するカバー部材T16の内面Tcの一部は、第1保持部31の中心に対して外側に向かって上方に傾斜し、一部は、下方に傾斜する。
本実施形態において、カバー部材T16の内面Tcは、少なくとも一部が基板Pの側面Pcに対向する第1内面Tc16と、第1内面Tc16の下方に配置され、基板Pの側面Pcの少なくとも一部が対向する第2内面Tc17とを含む。
第1内面Tc16の上端は、カバー部材T16の上面Taと結ばれる。第1内面Tc16の下端は、第2内面Tc17の上端と結ばれる。第2内面Tc17の下端は、カバー部材T16の下面Tbと結ばれる。
第1内面Tc16と第2内面Tc17とは、非平行である。カバー部材T16の上面Taの法線方向(Z軸方向)に関して、第2内面Tc17の寸法H17は、第1内面Tc16の寸法H16よりも大きい。本実施形態においては、第1内面Tc16が、第1保持部31の中心に対して外側に向かって上方に傾斜する。第2内面Tc17が、第1保持部31の中心に対して外側に向かって下方に傾斜する。
カバー部材T16の上面Taと下面Tbとは、ほぼ平行である。また、上面Taは、XY平面とほぼ平行である。
本実施形態においては、Y軸方向(第1保持部31の中心に対する放射方向)に関する第2内面Tc17の寸法E17は、Z軸方向に関する第2内面Tc17の寸法H17よりも大きい。また、XY平面に対する第2内面Tc17の角度は、例えば10度〜45度である。また、第1内面Tc16と第2内面Tc17とがなす角度θcは、鋭角である。第1内面Tc16と第2内面Tc17とで形成される角部は、尖っている。
本実施形態においても、液体LQの残留等が抑制される。
なお、例えば図25、図28〜図33等を参照して説明した、カバー部材の凸部が、図39等を参照して説明した第1内面Tc16及び第2内面Tc17を有してもよい。すなわち、カバー部材Tの凸部が、その先端部から、第1保持部31に対して離れる方向に、かつ下方に向かって傾斜する下面と、上方に向かって傾斜する上面とを有してもよい。
<第16実施形態>
次に、第16実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図40及び図41は、本実施形態に係る露光装置EX2の一例を示す図である。本実施形態の露光装置EX2は、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書に開示されているような、基板ステージ200Gが有するスケール部材GTを用いてその基板ステージ200Gの位置を計測するエンコーダシステム600を備えている。図40は、エンコーダシステム600を示す図であり、図41は、基板ステージ200G及び計測ステージ3を示す図である。
図41において、基板ステージ200Gは、基板Pの下面をリリース可能に保持する第1保持部31と、第1保持部31の周囲の少なくとも一部に配置され、液浸空間LSが形成可能なスケール部材GTと、スケール部材GTに隣接して設けられ、液浸空間LSが形成可能な上面を有するカバー部材T2とを有する。本実施形態において、カバー部材T9は、第1保持部31に保持された基板Pの周囲に配置される。スケール部材GTは、カバー部材T9の周囲に配置される。なお、スケール部材GTが、第1保持部31に保持された基板Pの周囲に配置され、カバー部材T9が、スケール部材GTの周囲に配置されてもよい。スケール部材GTは、エンコーダシステム600のエンコーダヘッドによって計測される格子を有する。カバー部材T9は、格子を有しない。
本実施形態において、スケール部材GTとカバー部材T9との間に、間隙Gmが形成される。
また、図41に示すように、計測ステージ3において、計測部材Cとカバー部材Qとの間に、間隙Gnが形成される。
カバー部材T9は、終端光学素子12が対向可能な上面と、その上面の縁(外縁)の少なくとも一部を規定するエッジ部Eg9とを有する。スケール部材GTは、終端光学素子12が対向可能な上面と、その上面の縁(内縁)の少なくとも一部を規定するエッジ部Eggとを有する。カバー部材T9の上面と、スケール部材GTの上面とは、間隙Gmを介して並置される。スケール部材GTの上面は、カバー部材T9の上面の周囲に配置される。
基板ステージ200Gが移動することによって、カバー部材T9及びスケール部材GTは、終端光学素子12の下方で動かされる。カバー部材T9は、そのカバー部材T9の上面の少なくとも一部が液浸空間LSの液体LQと接触するように、終端光学素子12の下方で動かされる。スケール部材GTは、そのスケール部材GTの上面の少なくとも一部が液浸空間LSの液体LQと接触するように、終端光学素子12の下方で動かされる。
カバー部材Qは、終端光学素子12が対向可能な上面と、その上面の縁(内縁)の少なくとも一部を規定するエッジ部Egqとを有する。計測部材Cは、終端光学素子12が対向可能な上面と、その上面の縁(外縁)の少なくとも一部を規定するエッジ部Egcとを有する。カバー部材Qの上面と、計測部材Cの上面とは、間隙Gnを介して並置される。
カバー部材Qの上面は、計測部材Cの上面の周囲に配置される。
計測ステージ3が移動することによって、カバー部材Q及び計測部材Cは、終端光学素子12の下方で動かされる。カバー部材Qは、そのカバー部材Qの上面の少なくとも一部が液浸空間LSの液体LQと接触するように、終端光学素子12の下方で動かされる。計測部材Cは、その計測部材Cの上面の少なくとも一部が液浸空間LSの液体LQと接触するように、終端光学素子12の下方で動かされる。
図42は、スケール部材GTとカバー部材T9との間の間隙Gmの近傍を示す側断面図である。間隙Gmは、スケール部材GTのエッジ部Eggと、カバー部材T9のエッジ部Eg9との間隙を含む。図42において、基板ステージ200Gは、少なくとも一部がスケール部材GTとカバー部材T9との間の間隙Gmに配置され、液体LQに対して撥液性の上面を有する多孔部材80Gを有する。多孔部材80Gに回収される液体LQは、吸引口24G及び流路25Gを介して、流体吸引装置26Gに吸引される。
なお、計測ステージ3において、計測部材Cとカバー部材Qとの間の間隙Gnに、液体LQに対して撥液性の上面を有する多孔部材を配置し、その多孔部材を介して、間隙Gnに流入する液体LQの少なくとも一部を回収してもよい。なお、間隙Gnは、計測部材Cのエッジ部Egcと、カバー部材Qのエッジ部Egqとの間隙を含む。
なお、図43に示すように、スケール部材GTの側面と対向するように配置された回収口700から、間隙Gmに流入する液体LQの少なくとも一部を回収してもよい。図43に示す例では、カバー部材T9に回収口700が配置される。なお、カバー部材T9の側面と対向するように配置された回収口から、間隙Gmに流入する液体LQの少なくとも一部を回収してもよい。その回収口は、スケール部材GTに配置されてもよい。
なお、計測ステージ3において、計測部材Cの側面と対向するように配置された回収口から、間隙Gnに流入する液体LQの少なくとも一部を回収してもよい。なお、その回収口が、カバー部材Qに配置されてもよい。なお、カバー部材Qの側面と対向するように配置された回収口から、間隙Gnに流入する液体LQの少なくとも一部を回収してもよい。
なお、その回収口が、計測部材Cに配置されてもよい。
なお、図44に示すように、スケール部材GTとの間に間隙Gmを形成するカバー部材T9の側面(エッジ部Eg9)が、スケール部材GTの中心から第1距離に位置し、スケール部材GTの側面が対向可能な第1領域Ag1と、第1領域Ag1の隣に配置され、スケール部材GTの中心から第1距離よりも長い第2距離に位置する第2領域Ag2とを含んでもよい。
図41等に示したように、本実施形態において、XY平面内におけるスケール部材GTのエッジ部Eggの外形は、実質的に四角形である。エッジ部Eggは、X軸方向に延びる部分と、Y軸方向に延びる部分とを含む。X軸方向に延びる部分は、X軸と平行な直線である。Y軸方向に延びる部分は、Y軸と平行な直線である。
また、カバー部材T9のエッジ部Eg9も、X軸方向に延びる部分と、Y軸方向に延びる部分とを含む。
図44において、第1領域Ag1と第2領域Ag2とは、X軸方向に関して交互に配置される。すなわち、カバー部材T9は、スケール部材GTのエッジ部Eggに沿うX軸方向に関して交互に配置され、スケール部材GTに対して突出する凸部Tmaと、スケール部材GTに対して窪む凹部Tmbとを複数有する。本実施形態において、第1領域Ag1は、XY平面内において曲面(曲線)である。第2領域Ag2は、XY平面内において曲面(曲線)である。
すなわち、本実施形態において、カバー部材T9のエッジ部Eg9は、X軸方向に沿って形成される複数の凸部Tmaを含む。凸部Tmaは、第1領域Ag1を含む。凹部Tmbは、第2領域Ag2を含む。複数の凸部Tmaは、X軸方向に隣り合う第1の凸部Tma及び第2の凸部Tmaを含む。本実施形態において、カバー部材T9の上面は、凸部Tmaの上面を含む。
本実施形態において、複数の凸部Tmaは、X軸方向に沿って一定間隔で配置される。
X軸方向に隣り合う第1の凸部Tmaと第2の凸部TmaとのX軸方向に関する距離は、第2の凸部Tmaと第3の凸部TmaとのX軸方向に関する距離と実質的に等しい。
なお、図44は、X軸方向に凸部Tmaが配置される例を示すが、Y軸方向においても同様である。
なお、カバー部材T9との間に間隙Gmを形成するスケール部材GTの側面が、カバー部材T9の中心から第1距離に位置し、カバー部材T9の側面が対向可能な第1領域と、第1領域の隣に配置され、カバー部材T9の中心から第1距離よりも長い第2距離に位置する第2領域とを含んでもよい。すなわち、スケール部材GTのエッジ部Eggに、X軸方向(Y軸方向)に関して複数の凸部が配置されてもよい。
なお、計測ステージ3において、計測部材Cとの間に間隙Gnを形成するカバー部材Qの側面が、計測部材Cの中心から第1距離に位置し、計測部材Cの側面が対向可能な第1領域と、第1領域の隣に配置され、計測部材Cの中心から第1距離よりも長い第2距離に位置する第2領域とを含んでもよい。すなわち、カバー部材Qのエッジ部Egqに、複数の凸部が配置されてもよい。カバー部材Qの凸部は、計測部材Cが配置されるカバー部材Qの開口の中心の周方向に複数配置されてもよい。
なお、カバー部材Qとの間に間隙Gnを形成する計測部材Cの側面が、計測部材Cの中心から第1距離に位置し、計測部材Cの側面が対向可能な第1領域と、第1領域の隣に配置され、計測部材Cの中心から第1距離よりも長い第2距離に位置する第2領域とを含んでもよい。すなわち、計測部材Cのエッジ部Egcに、複数の凸部が配置されてもよい。
計測部材Cの凸部は、計測部材Cの中心の周方向に複数配置されてもよい。
なお、図45に示すように、カバー部材T9の内面が、第1内面Tcg1と、第1内面Tcg1の上方に配置され、スケール部材GTの側面の少なくとも一部が対向し、下端が第1内面Tcg1と結ばれ、上端がカバー部材T9の上面と結ばれる第2内面Tcg2とを含んでもよい。第1内面Tcg1と前記第2内面Tcg2とは、非平行であり、カバー部材T9の上面の法線方向に関して、第2内面Tcg2の寸法は、第1内面Tcg1の寸法よりも大きく、少なくとも第2内面Tcg2が、スケール部材GTの中心に対して外側に向かって上方に傾斜してもよい。
なお、スケール部材GTの内面が、第1内面と、第1内面の上方に配置され、カバー部材T9の側面の少なくとも一部が対向し、下端が第1内面と結ばれ、上端がスケール部材GTの上面と結ばれる第2内面とを含んでもよい。第1内面と前記第2内面とは、非平行であり、スケール部材GTの上面の法線方向に関して、第2内面の寸法は、第1内面の寸法よりも大きく、少なくとも第2内面が、カバー部材T9の中心に対して外側に向かって上方に傾斜してもよい。
なお、計測ステージ3において、カバー部材Qの内面が、第1内面と、第1内面の上方に配置され、計測部材Cの側面の少なくとも一部が対向し、下端が第1内面と結ばれ、上端がカバー部材Qの上面と結ばれる第2内面とを含んでもよい。第1内面と前記第2内面とは、非平行であり、カバー部材Qの上面の法線方向に関して、第2内面の寸法は、第1内面の寸法よりも大きく、少なくとも第2内面が、計測部材Cの中心に対して外側に向かって上方に傾斜してもよい。
なお、計測部材Cの内面が、第1内面と、第1内面の上方に配置され、カバー部材Qの側面の少なくとも一部が対向し、下端が第1内面と結ばれ、上端が計測部材Cの上面と結ばれる第2内面とを含んでもよい。第1内面と前記第2内面とは、非平行であり、計測部材Cの上面の法線方向に関して、第2内面の寸法は、第1内面の寸法よりも大きく、少なくとも第2内面が、カバー部材Qの中心に対して外側に向かって上方に傾斜してもよい。
なお、上述したカバー部材の全ての形状(構造)を、スケール部材GT、計測部材C、及びカバー部材Qなどに適用することができる。
また、例えば図44等を参照して説明した、カバー部材T9の凸部が、図45等を参照して説明した第1内面Tcg1及び第2内面Tcg2を有してもよい。すなわち、カバー部材T9の凸部が、その先端部から、第1保持部31に対して離れる方向に、かつ上方に向かって傾斜する上面を有してもよい。
また、カバー部材T9の凸部が、その先端部から、第1保持部31に対して離れる方向に、かつ下方に向かって傾斜する下面を有してもよい。
また、スケール部材GTの凸部が、その先端部から、第1保持部31に対して離れる方向に、かつ上方に向かって傾斜する上面を有してもよい。
また、スケール部材GTの凸部が、その先端部から、第1保持部31に対して離れる方向に、かつ下方に向かって傾斜する下面を有してもよい。
なお、スケール部材GTとカバー部材T9との間の間隙Gmに流入する液体LQの少なくとも一部を回収可能な回収口を複数設けてもよい。例えば、第1保持部31を囲むように複数の回収口が設けられてもよい。終端光学素子12の射出面13側に液浸空間LSが形成されている状態で、スケール部材GT及びカバー部材T9が移動されるとき、液浸空間LS(終端光学素子12、液浸部材7)に対する間隙Gmの位置、及び液浸空間LS(終端光学素子12、液浸部材7)に対する間隙Gmの移動条件の一方又は両方に基づいて、複数の回収口のうち一部の回収口から液体LQの回収が行われてもよい。
なお、計測ステージ3において、計測部材Cとカバー部材Qとの間の間隙Gnに流入する液体LQの少なくとも一部を回収可能な回収口を複数設けてもよい。例えば、計測部材Cを保持する保持部を囲むように複数の回収口が設けられてもよい。終端光学素子12の射出面13側に液浸空間LSが形成されている状態で、計測部材C及びカバー部材Qが移動されるとき、液浸空間LS(終端光学素子12、液浸部材7)に対する間隙Gnの位置、及び液浸空間LS(終端光学素子12、液浸部材7)に対する間隙Gnの移動条件の一方又は両方に基づいて、複数の回収口のうち一部の回収口から液体LQの回収が行われてもよい。
なお、基板ステージにおいて、第1保持部31の周囲の少なくとも一部に、露光光ELが照射される計測部材Cが配置されてもよい。また、その計測部材Cに隣接するように、カバー部材(T等)が配置されてもよい。例えば、基板ステージが有するカバー部材(T等)に、計測部材Cが配置される開口を設けてもよい。また、その基板ステージに、少なくとも一部が計測部材Cとカバー部材との間の間隙に配置され、液体LQに対して撥液性の上面を有する多孔部材を設けてもよい。その多孔部材を介して、間隙に流入する液体LQの少なくとも一部を回収してもよい。
なお、基板ステージに計測部材Cを設けた場合において、その計測部材Cを保持する保持部を囲むように、計測部材Cとカバー部材との間の間隙に流入する液体LQの少なくとも一部を回収可能な複数の回収口を設けてもよい。終端光学素子12射出面13側に液浸空間LSが形成されている状態で計測部材C及びカバー部材を移動する場合、液浸空間LSに対する計測部材Cとカバー部材との間の間隙の位置、及び液浸空間LSに対する計測部材Cとカバー部材との間の間隙の移動条件の一方又は両方に基づいて、複数の回収口のうち一部の回収口から液体LQの回収が行われてもよい。
なお、基板ステージに計測部材Cを設けた場合において、その計測部材Cの側面と対向するように配置された回収口から、計測部材Cとカバー部材との間の間隙に流入する液体LQの少なくとも一部を回収してもよい。その回収口は、例えばカバー部材に設けられてもよい。
なお、基板ステージに計測部材Cを設けた場合において、その計測部材Cとの間に間隙を形成するカバー部材の側面が、計測部材Cの中心から第1距離に位置し、計測部材Cの側面が対向可能な第1領域と、第1領域の隣に配置され、計測部材Cの中心から第1距離よりも長い第2距離に位置する第2領域と、を含んでもよい。すなわち、そのカバー部材のエッジ部に、複数の凸部を設けてもよい。また、計測部材のエッジ部に、複数の凸部を設けてもよい。
なお、基板ステージに計測部材Cを設けた場合において、その計測部材Cに隣接して設けられるカバー部材の内面が、第1内面と、第1内面の上方に配置され、計測部材Cの側面の少なくとも一部が対向し、下端が第1内面と結ばれ、上端がカバー部材の上面と結ばれる第2内面とを含んでもよい。また、第1内面と第2内面とは、非平行であり、カバー部材の上面の法線方向に関して、第2内面の寸法は、第1内面の寸法よりも大きく、少なくとも第2内面が、計測部材の中心に対して外側に向かって上方に傾斜してもよい。
なお、上述したカバー部材などの全ての形状(構造)を、露光装置EX(EX2)内において隣り合う部材B1及び部材B2の少なくとも一方に適用してもよい。すなわち、露光装置EX(EX2)が、終端光学素子12の下方において移動可能であり、液浸空間LSが形成可能な上面をそれぞれ有する2つの部材B1、B2を備える場合において、一方の部材B1の側面との間に間隙を形成する他方の部材B2の側面は、部材B1の側面から第1距離に位置し、部材B1の側面が対向可能な第1領域と、第1領域の隣に配置され、部材B1の側面から第1距離よりも長い第2距離に位置する第2領域とを含んでもよい。
部材B1の上面と部材B2の上面とは、間隙を介して並置される。すなわち、間隙を介して配置される部材B1のエッジ部及び部材B2のエッジ部の少なくとも一方に、所定方向に沿って複数の凸部を設けてもよい。また、その凸部が、傾斜する下面を有してもよい。
上述のように、一方の部材B1がスケール部材GTである場合、他方の部材B2はカバー部材T9でもよい。一方の部材B1がカバー部材T9である場合、他方の部材B2はスケール部材GTでもよい。一方の部材B1がカバー部材Qである場合、他方の部材B2は計測部材Cでもよい。一方の部材B1が計測部材Cである場合、他方の部材B2はカバー部材Qでもよい。
また、基板Pは露光装置EXの一部ではないが、一方の部材を基板Pとした場合、他方の部材B2はカバー部材(Tなど)でもよいし、スケール部材GTでもよい。
また、本実施形態の露光装置EX(EX2)は、例えば米国特許出願公開第2006/0023186号、及び米国特許出願公開第2007/0127006号等に開示されているように、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ及び計測ステージの少なくとも一方との間に液体LQの液浸空間LSが形成され続けるように、基板ステージの上面と計測ステージの上面とを接近又は接触させた状態で、終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージ及び計測ステージの少なくとも一方とを対向させつつ、終端光学素子12及び液浸部材7に対して、基板ステージ及び計測ステージをXY平面内において移動させることができる。すなわち、露光装置EX(EX2)は、液浸空間LSが終端光学素子12及び液浸部材7と基板ステージとの間に形成される状態と終端光学素子12及び液浸部材7と計測ステージとの間に形成される状態との一方から他方へ変化するように、基板ステージと計測ステージとを接近又は接触させた状態でそれら基板ステージと計測ステージとをXY平面内において移動させることができる。この場合において、一方の部材B1が基板ステージである場合、他方の部材B2は計測ステージでもよい。一方の部材B1が計測ステージである場合、他方の部材B2は基板ステージでもよい。なお、基板ステージは、その基板ステージに保持されるカバー部材(Tなど)及びスケール部材(GTなど)の少なくとも一方を含む。計測ステージは、その計測ステージに保持されるカバー部材(Qなど)及び計測部材(Cなど)の少なくとも一方を含む。
また、例えば米国特許第6341007号、米国特許第6208407号、及び米国特許第6262796号等に開示されているような、第1、第2基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置の場合において、一方の部材B1が第1基板ステージである場合、他方の部材B2は第2基板ステージでもよい。
すなわち、上述した一方の部材B1の形状は、図25、図28〜図34、図37〜図39、図44、図45などに示した形状でもよい。他方の部材B2の形状が、図25、図28〜図34、図37〜図39、図44、図45などに示した形状でもよい。部材B1及び部材B1に対向する部材B2の両方が、図25、図28〜図34、図37〜図39、図44、図45などに示した形状でもよい。
また、部材B1が図46に示す形状でもよいし、図47に示す形状でもよい。部材B1は、終端光学素子12の下方において移動可能であり、液浸空間LSが形成可能な上面を有する。部材B1の側面は、部材B2の側面との間に間隙を形成する。部材B2は、終端光学素子12の下方において部材B1と隣接した状態で移動可能であり、液浸空間LSが形成可能な上面を有する。部材B1及び部材B2は、終端光学素子12の光軸(Z軸)と垂直な面内(XY平面内)において移動する。
部材B1の側面は、部材B2の側面から第1距離D1に位置し、部材B2の側面が対向可能な第1領域A1と、第1領域A1の隣に配置され、部材B2の側面から第1距離D1よりも長い第2距離D2に位置する第2領域A2とを含む。第1領域A1と第2領域A2とは、XY平面内において隣り合う。第1領域A1と第2領域A2とは、XY平面内において交互に配置される。
XY平面内における第1領域A1の寸法W1は、第1領域A1と第2領域A2との距離Daよりも小さい。また、第2領域A2の寸法W2は、距離Daよりも小さい。
隣り合う第1領域A1の距離(ピッチ)R1は、距離Daよりも小さい。隣り合う第2領域A2の距離(ピッチ)R2は、距離Daよりも小さい。
なお、部材B2が第1、第2領域A1、A2を有してもよいし、部材B1及び部材B2の両方が第1、第2領域A1、A2を有してもよい。
これにより、例えば液浸空間LSが部材B1上から部材B2上に移動するように、終端光学素子12及び液浸部材7に対して部材B1及び部材B2がXY平面内において移動しても、部材B1、B2上に液体LQが残留することが抑制される。また、液浸空間LSが部材B2上から部材B1上に移動するように、終端光学素子12及び液浸部材7に対して部材B1及び部材B2がXY平面内において移動しても、部材B1、B2上に液体LQが残留することが抑制される。
ここで、上述した多孔部材80をクリーニングするクリーニングシーケンスについて説明する。なお、上述した各実施形態における多孔部材(例えば多孔部材800Dなど)についても同様に、以下のクリーニングシーケンスが適用可能であることは言うまでもない。また、基板ステージに保持されるカバー部材(Tなど)やスケール部材(GTなど)、計測ステージに保持されるカバー部材(Qなど)及び計測部材(Cなど)などをクリーニングする際に、このクリーニングシーケンスを用いてもよい。
本実施形態のクリーニングシーケンスは、例えば露光によって基板Pに形成されたパターンに欠陥が増えた場合、あるいは露光後の基板Pの上面の周縁部に残留液体が増えた場合等、必要に応じて実行されてもよい。
本実施形態におけるクリーニングシーケンスは、クリーニング用の液体LCを供給する処理と、液体LCを用いるクリーニングを行った後にリンス(フラッシング)用の液体を供給する処理とを含む。なお、クリーニング用の液体LCを供給する処理と、リンス用の液体を供給する処理以外の処理を適宜追加してもよい。また、リンス用の液体を供給する処理は省略してもよい。
クリーニング用の液体LCとして、アルカリ性液体を用いてもよい。例えば液体LCが、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:tetramethyl ammonium hydroxide)、を含んでもよい。例えば液体LCとして、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:tetramethyl ammonium hydroxide)水溶液を用いてもよい。
また、液体LCとして、酸性液体を用いてもよい。例えば液体LCが、過酸化水素を含んでもよい。例えば液体LCとして、過酸化水素水溶液(過酸化水素水)を用いてもよい。
また、液体LCとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリの溶液、水酸化トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム等の有機アルカリの溶液を用いてもよい。なお、液体LCとして、アンモニア水を用いてもよい。また、液体LCが、バッファードフッ酸溶液を含んでもよい。また、液体LCが、バッファードフッ酸及び過酸化水素を含む溶液でもよい。バッファードフッ酸(緩衝フッ酸)は、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合物である。なお、液体LCとして、オゾンを含むオゾン液体を用いてもよい。なお、液体LCとして、過酸化水素とオゾンとを含む溶液を用いてもよい。また、クリーニング用液体として、上述した露光用の液体LQを用いてもよい。
リンス用の液体として、上述した露光用に用いられる液体LQと同じ液体を用いてもよい。リンス用の液体として、本実施形態では、例えば水(純水)を用いる。
本実施形態のクリーニングシーケンスが実行されるとき、第1保持部31にダミー基板DPが保持されてもよい。ダミー基板DPは、デバイスを製造するための基板Pよりも異物を放出し難い基板である。ダミー基板DPとして、例えば半導体ウエハを用いてもよい。例えば、感光膜が形成されてなく、液体LC(LQ)に対して撥液性の膜が形成されている半導体ウエハを用いてもよい。なお、ダミー基板DPとして、例えば金属製の基板を用いてもよい。
上記クリーニングシーケンスにおいては、液浸部材7と多孔部材(例えば多孔部材80)との間にクリーニング用の液体LCの液浸空間が形成されるように、液浸部材7の下面14が面する空間に液体LCが供給される。制御装置8は、液体LCの供給を所定時間実行する。所定時間は、例えば洗浄対象である多孔部材80をクリーニングするのに十分な液体LCの供給時間である。本実施形態においては、下面14が面する空間に液体LCが供給されるときに、第1保持部31にダミー基板DPが保持され、第2保持部32にカバー部材Tが保持される。ダミー基板DPとカバー部材Tとの間の間隙に多孔部材80の少なくとも一部が配置された状態で、下面14が面する空間に液体LCが供給される。
このとき、液浸部材7から供給された液体LCの少なくとも一部を、多孔部材80を介して回収してもよい。例えば、制御装置8は、流体吸引装置26を制御して、多孔部材80の孔から液体LCを回収する。これにより、多孔部材80の孔の内面(多孔部材80の内部)が液体LCでクリーニングされる。
制御装置8は、液体LCの供給を開始してから所定時間経過後、液体LCの供給を停止する。これにより、液体LCを用いるクリーニングが終了する。液体LCの供給を停止した後、制御装置8は、多孔部材80を用いる回収を所定時間係属し、上記した間隙等に存在する液体LCを回収する。
液体LCが回収された後、制御装置8は、リンス用の液体を供給する。本実施形態においては、液浸部材7からリンス用の液体LQが供給される。例えば、液浸部材7の供給口15から液体LQが供給されてもよいし、回収口16から液体LQが供給されてもよいし、供給口15及び回収口16とは別に液浸部材7に設けられた開口から液体LQが供給されてもよい。液浸部材7からリンス用の液体LQが供給されるとき、第1保持部31にダミー基板DPが保持される。
なお、上記したクリーニングシーケンスにおけるクリーニング対象としては、上記に限定されない。すなわち、基板Pとカバー部材Tとの間の間隙からその間隙の下方の空間に流入した液体LQが接触する可能性がある部材に、本実施形態のクリーニングシーケンスが適用可能である。
なお、上述したように、制御装置8は、CPU等を含むコンピュータシステムを含む。
また、制御装置8は、コンピュータシステムと外部装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。記憶装置8Rは、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置8Rには、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
なお、制御装置8に、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいは外部装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。また、液晶表示ディスプレイ等の表示装置が設けられていてもよい。
記憶装置8Rに記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置(コンピュータシステム)8が読み取り可能である。記憶装置8Rには、制御装置8に、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する露光装置EXの制御を実行させるプログラムが記録されている。
記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、及び基板が配置可能な開口を規定し、基板が第1保持部に保持されている状態において少なくとも一部が基板の周囲に配置される第1部材の上面の少なくとも一方との間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光することと、少なくとも一部が基板と第1部材との間の間隙に配置され、液体に対して撥液性の上面を有する多孔部材を介して、間隙に流入する前記液体の少なくとも一部を回収することと、を実行させてもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、光学部材の射出面側に液体の液浸空間を形成した状態で、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板、及び基板が配置可能な開口を規定し、基板が第1保持部に保持されている状態において少なくとも一部が基板の周囲に配置される第1部材を移動しながら基板を露光することと、液浸空間に対する基板と第1部材との間の間隙の位置、及び液浸空間に対する間隙の移動条件の一方又は両方に基づいて、基板及び第1保持部の少なくとも一方の周囲に複数配置された回収口のうち一部の回収口から、間隙に流入する液体の少なくとも一部を回収することと、を実行させてもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、及び基板が配置可能な開口を規定し、基板が第1保持部に保持されている状態において少なくとも一部が基板の周囲に配置される第1部材の上面の少なくとも一方との間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光することと、基板の側面と対向するように配置された回収口から、基板と第1部材との間の間隙に流入する液体の少なくとも一部を回収することと、を実行させてもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、及び基板が配置可能な開口を規定し、基板が第1保持部に保持されている状態において少なくとも一部が基板の周囲に配置される第1部材の上面の少なくとも一方との間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光することと、を実行させてもよい。この場合、第1部材の開口は、第1保持部の中心から第1距離に位置し、第1保持部に保持された基板の側面が対向可能な第1領域と、第1領域の隣に配置され、第1保持部の中心から第1距離よりも長い第2距離に位置する第2領域とを含んでもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、及び基板が配置可能な開口を規定し、基板が第1保持部に保持されている状態において少なくとも一部が基板の周囲に配置される第1部材の上面の少なくとも一方との間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光することと、を実行させてもよい。この場合、第1部材の内面は、第1内面と、第1内面の上方に配置され、基板の側面の少なくとも一部が対向し、下端が第1内面と結ばれ、上端が第1部材の上面と結ばれる第2内面と、を含み、第1内面と第2内面とは、非平行であり、第1部材の上面の法線方向に関して、第2内面の寸法は、第1内面の寸法よりも大きく、少なくとも第2内面が、第1保持部の中心に対して外側に向かって上方に傾斜してもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、及び上面と該上面の外縁の一部を規定するエッジ部とを有する第1部材の上面の少なくとも一方との間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光すること、を実行させてもよい。この場合、第1部材のエッジ部は、第1保持部に保持された基板のエッジ部が沿うように所定方向に延びており、第1部材のエッジ部には、所定方向に沿って複数の凸部が形成されてもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、及び基板が配置可能な開口を規定し、基板が第1保持部に保持されている状態において少なくとも一部が基板の上面の周囲に配置される第1部材の上面の少なくとも一方との間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光すること、を実行させてもよい。第1部材の内面は、基板の側面が対向可能な第1内面と、第1内面の下方に配置され、第1保持部に対して第1内面よりも離れた第2内面と、を含む場合において、プログラムは、制御装置8に、少なくとも一部が第2内面と対向するように配置される多孔部材を介して、基板と第1部材との間の間隙に流入する液体の少なくとも一部を回収することを実行させてもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置された計測部材の上面、及び計測部材に隣接して設けられた第1部材の上面の少なくとも一つとの間に、液浸空間が形成されている状態で、基板を露光することと、少なくとも一部が計測部材と第1部材との間の間隙に配置され、液体に対して撥液性の上面を有する多孔部材を介して、間隙に流入する液体の少なくとも一部を回収することと、を実行させてもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、光学部材の射出面側に液浸空間をした状態で、前記基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板、第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置された計測部材、及び計測部材に隣接して設けられた第1部材を移動しながら基板を露光することと、液浸空間に対する計測部材と第1部材との間の間隙の位置、及び液浸空間に対する間隙の移動条件の一方又は両方に基づいて、間隙に複数配置された回収口のうち一部の回収口から、間隙に流入する液体の少なくとも一部を回収することと、を実行させてもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置された計測部材の上面、及び計測部材に隣接して設けられた第1部材の上面の少なくとも一つとの間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光することと、計測部材の側面と対向するように配置された回収口から、計測部材と第1部材との間の間隙に流入する液体の少なくとも一部を回収することと、を実行させてもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置された計測部材の上面、及び計測部材に隣接して設けられた第1部材の上面の少なくとも一つとの間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光すること、を実行させてもよい。この場合、計測部材との間に間隙を形成する第1部材の側面は、計測部材の中心から第1距離に位置し、計測部材の側面が対向可能な第1領域と、第1領域の隣に配置され、計測部材の中心から第1距離よりも長い第2距離に位置する第2領域と、を含んでもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板の下面をリリース可能に保持する第1保持部に保持された基板の上面、第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置された計測部材の上面、及び計測部材に隣接して設けられた第1部材の上面の少なくとも一つとの間に、液体で液浸空間が形成されている状態で、基板を露光すること、を実行させてもよい。この場合、第1部材の内面は、第1内面と、第1内面の上方に配置され、計測部材の側面の少なくとも一部が対向し、下端が第1内面と結ばれ、上端が第1部材の上面と結ばれる第2内面と、を含み、第1内面と第2内面とは、非平行であり、第1部材の上面の法線方向に関して、第2内面の寸法は、第1内面の寸法よりも大きく、少なくとも第2内面が、計測部材の中心に対して外側に向かって上方に傾斜してもよい。
また、記憶装置8Rに記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、第1上面と、該第1上面の外縁の一部を規定する第1エッジ部とを有する第1部材を、第1上面の少なくとも一部が液浸空間と接触するように光学部材の下方で動かすことと、第2上面と、該第2上面の外縁の一部を規定する第2エッジ部とを有する第2部材を、光学部材の下方で動かすことと、を実行させてもよい。この場合、第1エッジ部及び第2エッジ部は、所定方向に延びており、第1エッジ部と第2エッジ部との間には、ギャップが形成され、第1エッジ部には、所定方向に沿って複数の凸部が形成されてもよい。
記憶装置8Rに記憶されているプログラムが制御装置8に読み込まれることにより、基板ステージ2、液浸部材7、駆動システム5、及び流体吸引装置26等、露光装置EXの各種の装置が協働して、液浸空間LSが形成された状態で、基板Pの液浸露光等、各種の処理を実行する。
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子12の射出側(像面側)の光路Kが液体LQで満たされているが、投影光学系PLが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているような、終端光学素子12の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系でもよい。
なお、上述の各実施形態においては、露光用の液体LQとして水を用いているが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影光学系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)などの膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。例えば、図48に示すように、露光装置EXが2つの基板ステージ2001、2002を備えてもよい。その場合、射出面13と対向するように配置可能な物体は、一方の基板ステージ、その一方の基板ステージに保持された基板、他方の基板ステージ、及びその他方の基板ステージに保持された基板の少なくとも一つを含む。
また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射することができる。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
上述の実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図49に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンからの露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。