JP5708748B2 - カラーフィルター用インクジェットインク組成物 - Google Patents
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Description
また、本発明の第二の目的は、特定の色を有し輝度及びコントラストが良好な画素を備えた、生産性の高いカラーフィルターを提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達するインク組成物を用いた、生産性の高いカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
更に、本発明の第四の目的は、上記目的を達するカラーフィルターを用いて信頼性の高い液晶表示装置を提供することにある。
本発明によれば、(A)C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23を含み、前記C.I.ピグメントバイオレット23が全顔料中に8〜30重量%含まれる顔料、(B)ポリアリルアミン誘導体を含む顔料分散剤、(C)熱硬化性バインダー、及び(D)有機溶剤を含有することにより、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、インクの盛り量を低減可能でインク層形成部位からの決壊を抑制し、且つ、インクジェット方式で基板上に吹き付けて、形状が良好で膜物性が良好な硬化層を提供可能なカラーフィルター用インクジェットインク組成物を提供することができる。
また、本発明に係るカラーフィルターは、特定の色を有し輝度及びコントラストが良好な画素を備えた、コスト低減や歩留まり向上を実現可能な生産性の高いカラーフィルターである。
また、本発明に係るカラーフィルターの製造方法によれば、インク組成物の吐出方向や吐出量の安定性が優れ、精細な画素を正確に形成できる。得られた画素は、所望の色度を実現しながら、耐熱性、密着性、耐溶剤性等の膜物性に優れている。また、インクジェット方式を用いた製造方法であるため、コストダウンや歩留まりの向上が実現可能である。
また、本発明によれば、上記カラーフィルター或いはカラーフィルターの製造方法により製造されたカラーフィルターを用いることから、高品質で生産性の高い液晶表示装置を提供することができる。
1.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、(A)C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23を含む顔料、(B)ポリアリルアミン誘導体を含む顔料分散剤、(C)熱硬化性バインダー、及び(D)有機溶剤を含有し、前記C.I.ピグメントバイオレット23が前記顔料全体に対して8〜30重量%含まれる。
((A)顔料)
本発明に係るインクジェットインク組成物においては、顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23を少なくとも含み、前記C.I.ピグメントバイオレット23が前記顔料全体に対して8〜30重量%含まれることを特徴とする。要求される色特性、具体的には特に、塗膜をC光源で測色した時のCIEのXYZ表色系においてx座標が0.133≦x≦0.145、y座標が0.075≦y≦0.122を満足させる点から、或いは、顔料分散性及び顔料分散安定性の点から、前記C.I.ピグメントバイオレット23は、中でも、前記顔料全体に対して30重量%以下であることが好ましく、更に前記顔料全体に対して13重量%以下であることが好ましい。
他の顔料としては、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、カラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。例えば、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット38等のバイオレット系ピグメント;更には、イエロー系ピグメント;レッド系ピグメント;グリーン系ピグメント等が挙げられる。
インクジェットインクにおいて、顔料は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%で配合される。本発明においては、好ましくは1〜35重量%の割合で配合される。本発明においては、顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23を少なくとも含み、前記C.I.ピグメントバイオレット23が前記顔料全体に対して8〜30重量%含まれることにより、顔料自体の着色力が高いため、目的とする色度(例えば、y=0.075〜0.122)を得るために固形分中の顔料の総量減少可能である。
本発明に用いられる顔料の平均粒径としては、カラーフィルターの画素部とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されないが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、30〜60nmの範囲内であることがより好ましい。当該顔料の平均粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、動的光散乱法により測定したものであり、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製、MICROTRAC UPA MODEL9230)を用いて23℃にて測定することができる。また、ここでの平均粒径は、体積基準中位径である。
P/V比が低すぎると、充分な着色力を得るためには画素形成領域に付着させるインクの液滴量を多くしなければならないため、画素形成領域からインクが決壊するなどの問題が起こる場合がある。一方、P/V比が高すぎると、吐出ヘッドで目詰まりや飛行曲がりが発生する等の吐出性能が低下したり、膜の表面が荒れるなどの問題が起こる場合がある。
本発明においては、顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23を少なくとも含み、前記C.I.ピグメントバイオレット23が前記顔料全体に対して8〜30重量%含まれることにより、顔料自体の着色力が高いため、インクジェットインクにおいて、前記P/V比を小さくすることが可能である。P/V比を小さくすることにより、インクジェットインクの粘度が下がるため、インクジェットインクの固形分濃度を上げることが可能になる。その結果、インクが吐出可能で吐出安定性が高い粘度を実現しながら、インクの盛り量を低減可能であるため、インク層形成部位からの決壊を抑制することが可能になる。なお、配合割合を特定するためのインク組成物の固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状のバインダー成分等も固形分に含まれる。
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインク中に配合される。本発明に用いられる顔料分散剤は、ポリアリルアミン誘導体を含むものである。顔料分散剤としてポリアリルアミン誘導体を用いる場合には、インクジェットインク組成物の粘度の安定性が良好になり、且つ、インクジェットヘッドのノズル先端において急激な粘度の上昇や目詰まりを起こし難いというメリットがある。更に、インクジェット方式により付着させて硬化させた画素の膜厚分布の範囲を狭くしやすく、画素の形状を良好にするというメリットがある。画素の膜厚分布の範囲が狭く画素の形状が良好であると、特定の色を実現する時に、輝度及びコントラストを高くすることが可能である。
また、ポリアリルアミン誘導体の製造に用いられるポリエステルの分子量は、300〜20,000の範囲のものであればよいが、顔料分散性の点から、1,000〜10,000が好ましい。
なお、本発明に用いられるポリアリルアミン誘導体の分子量は、2000〜100000であることが好ましい。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。本発明に係るインクは、インクジェット方式に用いるインクであるため、所定のパターンを形成するためには、所定のパターン形成領域にのみインクを選択的に付着させて固化すれば形成することができ、露光及び現像を行なうことによりパターンを形成する必要がない。従って、バインダー成分としては、塗膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するために、インクジェット方式により基板上にインク層(塗膜)のパターンを形成後、当該インク層を加熱により重合硬化させることができる熱硬化性バインダーを用いる。熱硬化性バインダーを用いると、耐溶剤性、密着性、ITO耐性等の画素の膜物性をより良好にすることができる。なお、ここでITO耐性とは、ITO回路形成時又は配向膜形成時の不具合に対する耐性であり、具体的にはITO回路形成後の230〜250℃での耐熱性が挙げられる。また、熱硬化性バインダーを用いる場合には、光照射装置を始めとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いというメリットもある。
通常バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
重合体中の式(2)で表される構成単位は、下記式(4)で表されるモノマーから誘導される。
上記バインダー性エポキシ化合物と、必要に応じて配合される多官能エポキシ化合物の配合割合は、重量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80重量部と多官能エポキシ化合物を10〜60重量部の割合で配合するのが好ましく、バインダー性エポキシ化合物を20〜60重量部と多官能エポキシ化合物を20〜50重量部の割合で配合するのが更に好ましく、バインダー性エポキシ化合物を30〜40重量部と多官能エポキシ化合物を25〜35重量部の割合で配合するのが特に好ましい。
本発明に用いられる熱硬化性バインダーには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
本発明の熱硬化性バインダーには、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR'はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
本発明のインク組成物には、当該組成物を高濃度溶液又は直ちにヘッドから吐出できるインキに調製するために、(D)有機溶剤を含有する。(D)有機溶剤としては、保存用の高濃度インク又は直ちに塗布可能な濃度のインクに調製するために、固形分を好適に溶解及び分散させる溶剤であれば、特に限定されない。
中でも、第二溶剤に用いられる各溶剤成分の沸点は、更に、140℃〜180℃であることが、特に140℃〜175℃であることが、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な塗膜が得られ易い点から好ましい。
前記第二溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールエーテル類や、グリセリン1,3−ジメチルエーテルのようなグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類を含むグリコールエステル類や、グリセリン1−モノアセタートのようなグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類;イソ吉草酸、イソ酪酸、プロピオン酸、酪酸のようなカルボン酸類;イソ吉草酸エチル、蟻酸ヘキシル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、乳酸メチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチルのような脂肪族エステル類;3−エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸メチルのようなケトカルボン酸エステル類;n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルブタノール、グリシドール、n−ヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−ヘプタノールのような1価アルコール類;ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールのようなエーテル類;エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘキシルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類;ノナン、デカン等のアルカン類等が挙げられる。
更に、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
c)レベリング剤:例えば、アクリル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ビニルエーテル系界面活性剤など。
d)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
e)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、各成分を単独溶剤又は混合溶剤である溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー系等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、例えばほとんど第一溶剤からなるか又は第一溶剤のみからなる溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、必要に応じて最後に第二溶剤を添加することによって、本発明に用いられるインクジェットインクを調製することができる。或いは、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、例えばほとんど第一溶剤からなるか又は第一溶剤のみからなる溶剤に第二溶剤を添加した混合溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、本発明に用いられるインクジェットインクを調製することができる。
直ちにヘッドから吐出できるインクとする場合には、本発明のインクジェットインク組成物は、23℃で粘度が5〜11mPa・sであることが、中でも5〜10・5mPa・sであることが、インクジェットヘッドからの吐出性や吐出安定性の点から好ましい。粘度は、落球式粘度計、例えば自動マイクロ粘度計 AMVn (日本シイベルヘグナー株式会社)にて測定することができる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、インクを均一な膜に成膜し、硬化して形成した硬化層のC光源でのy値が0.105の時に、横軸Xを膜厚とし、縦軸Yを顔料と、顔料以外の固形分の配合重量比(P/V)とした場合に、Y=aX^bの関係において、0.40<a<0.64、及び−1.27<b<−1.20の範囲にあることが、顔料/顔料以外の固形分の比(P/V)を低く設定できる点から好ましい。Y=aX^bの関係の例を示すグラフを図6に示す。
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該画素の厚みが、該画素の領域内で不均一であり、且つ、当該画素の少なくとも1つが、(A)C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23を含む顔料と、(B)ポリアリルアミン誘導体を含む顔料分散剤と、(C’)硬化樹脂を含む青色画素であって、前記青色画素中にC.I.ピグメントバイオレット23が(A)顔料全体に対して8〜30重量%含まれることを特徴とする。
透明基板5としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
本発明に係るカラーフィルターの画素は、上述のように、厚みが画素の領域内で不均一であることが特徴的である。本発明に係る画素の形状は、該画素の外縁部又はその近傍に沿って厚みの小さい部分を有し、且つ当該厚みの小さい部分よりも画素の中心側に厚みの最大部を有するような形状であったり、逆に、該画素の外縁部又はその近傍に沿って厚みの大きい部分を有し、且つ当該厚みの大きい部分よりも画素の中心側に厚みの最小部を有するような形状であったり、さらに、その表面が凹凸形状であったりする。ここで、画素の外縁部とは、画素の平面形状を規定している縁部である。また、画素の外縁部又はその近傍に沿ってとは、少なくとも外縁部又はその近傍の一部に沿って厚みの小さい部分を有していれば良い旨を言う。また、画素の厚みとは、基板の基準面(平均高さを有する面)からの高さをいう。また、厚みが画素の領域内で不均一であるとは、厚みの差が0.1μm以上の場合をいう。画素の厚みは、例えば、光干渉方式の三次元非接触表面形状計測装置(米国マイクロマップ製 製品名Micromap557N)を用いて測定することができる。以下の説明では、画素の外縁部又はその近傍に沿って厚みの小さい部分を有し、且つ当該厚みの小さい部分よりも画素の中心側に厚みの最大部を有するような形状の場合を中心に説明する。
上記中央部付近が盛り上がった断面形状を有する画素のような、厚みが不均一な画素は、例えばインクジェット方式を用いて形成する場合に得られる。インクジェット方式を用いる場合には、高精細に画素を形成することができる上、コスト低減や歩留まり向上を実現可能というメリットを有する。なお、上記中央部付近が盛り上がった断面形状を有する画素のような、厚みが不均一な画素は、インクジェット方式以外の方式で形成されても良い。
青色画素における、顔料の平均分散粒径の測定は電子顕微鏡が使用される。例えば、青色画素をFIB (集束イオンビーム装置) (例えばHitachi製FB−2000A)によって断面方向に薄膜化し、その断面サンプルを例えば透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子製JEM−200CX、加速電圧100kV)で10000〜500000倍で観察し、短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とすることができる。
画素の厚みは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色画素7Rが最も薄く、緑色画素7G、青色画素7Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚みを変えて、各色ごとに最適な厚みに設定してもよい。
遮光部6は、表示画像のコントラストを向上させるために、画素7R,7G,7Bの間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられる。遮光部6は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部6は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法と、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法がある。
遮光部の厚さは、金属薄膜の場合は1000〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
本発明に用いられる撥液性材料としては、遮光部を形成した際に所望の撥液性を発現できるものであれば特に限定されるものではない。このような撥液性材料としては、例えば、フッ素含有化合物、および、低表面エネルギー物質の微粒子等を挙げることができる。
一般式(1):Rf−X−Rf’
一般式(2):(Rf−X−R)−Y−(R’−X’−Rf’)
ここで、上記式(1)または(2)において、RfおよびRf’はフルオロアルキル基、RおよびR’はアルキレン基を表し、RfとRf’また、RとR'は同一でも異なっていても良い。また、X、X’およびYは、−COO−、−OCOO−、−CONR”−、−OCONR”−、−SO2NR”−、−SO2−、−SO2O−、−O−、−NR”−、−S−、−CO−、OSO2O−、−OPO(OH)O−のうちのいずれかを表し、X、X’およびYは同一でも異なっていても良い。R”はアルキル基または水素を表す。
一方、上記低表面エネルギー物質の微粒子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィンビニルエーテル系共重合体、3フッ化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等からなる微粒子や、シリコーン微粒子等を挙げることができる。
通常カラーフィルターに形成されるその他の部材をさらに含んでいても良い。例えば、インクジェット方式を用いてカラーフィルターが形成される場合には、画素間の隔壁があっても良い。インクジェット方式用の隔壁については、後述するインクジェット方式による製造方法のところで説明する。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を、カラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて画素を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、インクジェット方式を用いるため、コスト低減や歩留まり向上を実現可能であり、生産性の高い製造方法である。
先ず、図4(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板を準備する。
次に、図4(B)に示すように、透明基板5の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部6を形成する。遮光部6として、金属薄膜を形成する場合には、当該薄膜をパターニングすることにより形成することができる。このパターニングの方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、遮光部6として、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層を形成する場合には、パターニングの方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。或いは、後述する画素7と同様にインクジェット方式を用いて形成しても良い。
次に、図4(E)に示すように、透明基板の画素34R、34G、34Bを形成した側に、保護膜8を形成する。保護膜は、透明な樹脂組成物を用いて、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により形成できる。例えば、スピンコーターにより500〜1500回転/分の範囲内で塗工後、露光及び/又は加熱することにより硬化させて形成することが好ましい。
その他においては、通常のカラーフィルターを形成する方法と同様の方法を用いて製造することができる。
更に、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルター或いは、前記本発明に係るカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターであることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置は、上述のように輝度とコントラストが高い画素を有するカラーフィルターを用いることから、高品質で且つ生産性の高い液晶表示装置とすることができる。
液晶表示装置におけるその他の構成及び製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(製造例1:バインダー性エポキシ化合物の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
(1)顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記に示す割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液、及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液をそれぞれ調製した。
[顔料分散液の組成]
・顔料:10重量部
・顔料分散剤(アジスパーPb821(味の素ファインテクノ株式会社製)(有機溶剤中に固形分30重量%)):20重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):50重量部
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン(株)製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):1重量部
表2に示されるような配合割合となるように、上記で得られたPB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液、及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液を用いて、上記バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、膜厚1.9μmにてC光源でのy値が0.105を達成できるような実施例1〜3及び比較例1〜2のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。なお、表2中の第二溶剤のEPPとは、3−エトキシプロピオン酸エチルである。
各実施例及び比較例について、膜厚1.9μmにてC光源でのy値が0.105の時の、顔料中のバイオレット23(V23)添加量、顔料以外の固形分の配合重量比(顔料/顔料以外の固形分:P/V)、及び固形分中の顔料分散剤量を表3に示す。
顔料、顔料分散剤、バインダーの組成比は固定したままで、第二溶剤はインク全体量の10重量%となるようにして、第一溶剤(BCA)を適宜増減して、各実施例及び比較例のインク組成物がインクジェット吐出時の適正粘度(23℃で粘度10.5mPa・s)を満たす場合の、固形分最大値を求めた。得られた結果を表3に示す。なお、粘度は、自動マイクロ粘度計 AMVn (日本シイベルヘグナー株式会社)にて測定した。
(a)塗膜の形成
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(NA35、NHテクノガラス製)上の全面に、スピンコート法により上記で得られた各インクジェットインク組成物を塗布し、C光源でのy値が0.105を達成するように膜厚1.9μmの塗膜を形成した。得られたスピンコート法による塗膜の乾燥後の膜厚は、接触式膜厚測定装置(日本真空技術(株)製、商品名「Dectak−3030ST」)により行った。
塗膜を作製後、加熱試験(240℃、200分)の前後で輝度を測定し、加熱試験前の測定結果をY1、加熱試験後の測定結果をY2とした時に下記式により輝度低下率ΔYを求めた。なお、輝度の測定は、顕微分光光度計(商品名「OSP200」、オリンパス社製)を用いて行った。結果を表3に示す。
ΔY(%)=(Y2−Y1)/Y2×100
また、下記評価基準で塗膜の耐熱性(輝度低下抑制効果)を評価した。合わせて表3に示す。
[評価基準]
○:輝度低下率8%未満
×:輝度低下率8%以上
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(NA35、NHテクノガラス製)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚2.2μmのブラックマトリックスパターンを形成した。当該ブラックマトリックスパターンにフッ素ガスを導入ガスとしたプラズマ処理を行うことにより、ブラックマトリックスの撥液性を開口内の基板表面のそれよりも高くした親疎水性パターンを形成した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された画素形成部に、上記で得られた各インクジェットインク組成物をインクジェット方式によって付着させた。その後、120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に平均膜厚2.0μmの画素パターンを形成した。
[評価基準]
◎:100画素観察の結果、決壊及び太りなく、全て正常画素
○:100画素観察の結果、決壊画素なし、太り画素あり
×:100画素観察の結果、決壊画素あり
2 電極基板
3 間隙部
4 シール材
5 透明基板
6 遮光部
7(7R、7G、7B) 画素
8 保護膜
9 透明電極膜
10 配向膜
11 パール
12 柱状スペーサー
21 画素
22 外縁部
23 外縁部の近傍
24 厚みが小さい部分
25 厚みの最大部
26 遮光部
31 画素形成領域
32 インクジェットヘッド
33 インク層
34 画素部
101、102 カラー液晶表示装置
103 カラーフィルター
Claims (4)
- (A)C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23を含む顔料、(B)ポリアリルアミン誘導体を含む顔料分散剤、(C)熱硬化性バインダー、及び(D)有機溶剤を含有し、前記C.I.ピグメントバイオレット23が前記顔料全体に対して8〜30重量%含まれ、且つ、
(A)顔料と、顔料以外の固形分の配合重量比(顔料/顔料以外の固形分)が0.1〜0.259であり、かつ、
粘度が23℃で5〜11mPa・sである、カラーフィルター用インクジェットインク組成物。 - 膜厚1.9μmに成膜し、C光源でのy値が0.105の時の、インク組成物の固形分中における(B)顔料分散剤の含有量が、5〜20重量%である、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- (A)顔料の平均分散粒径が10〜100nmである、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- インクを均一な膜に成膜し、C光源でのy値が0.105の時の、横軸Xを膜厚とし、縦軸Yを顔料と、顔料以外の固形分の配合重量比とした場合にY=aX^bの関係において、0.40<a<0.64、及び−1.27<b<−1.20の範囲にある、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
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