JP2008052157A - カラーフィルター用着色剤組成物の製造方法、カラーフィルター基板の製造方法および液晶表示装置。 - Google Patents

カラーフィルター用着色剤組成物の製造方法、カラーフィルター基板の製造方法および液晶表示装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】少なくともPB15:6ならびにPV23を含む青色画素形成用の着色剤組成物においても分散安定化させ、コントラストを向上し、表示性能が良好な液晶表示装置、それを実現するために好適なカラーフィルターおよび着色剤組成物を提供することにある。
【解決手段】有機溶媒中に少なくとも第1の顔料と硫酸バリウムとが分散された第1の顔料分散液と、有機溶媒中に少なくとも第2の顔料が分散された第2の顔料分散液とを混合し、次いで有機溶媒中に樹脂が溶解された樹脂溶液を添加してなるカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法、それを用いたカラーフィルター基板の製造方法、およびその方法により得られたカラーフィルター基板を用いた液晶表示装置に関するものである。
液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルターの着色パターンは、一般的に顔料を樹脂中に分散させた着色剤組成物によりRGB3色のパターンが形成される。着色剤組成物としては非感光性のものと、感光性のものが知られている。非感光性着色剤組成物においては、樹脂として主にポリイミド前駆体が用いられ、着色剤組成物より形成した膜にポジレジストをコーティングし、ポジレジストのパターニング、着色剤組成物のエッチング、ポジレジストの剥離等の工程によりパターンを作成することができる(特許文献1)。感光性着色剤組成物においては、樹脂として主にアクリル樹脂が用いられ、多官能モノマー、光反応開始剤を含有し、直接パターンニングが可能である(特許文献2)。非感光性着色剤組成物については感光性成分を含まないため顔料濃度を高くすることができるため薄膜化が可能であり、半透過の液晶表示装置において用いられるライトホールの形成にも有利である。一方、感光性の着色剤組成物は非感光性のものと比較して工程数が少なくなる点で有利である。
いずれのパターン形成方法においても、青色画素形成用の着色剤組成物に用いられる顔料は、ピグメントブルー15:6(以下PB15:6)が一般的に用いられ、赤味を加えるためにピグメントバイオレット23(以下PV23)を添加することも多い。しかしながら、PV23はPB15:6と比較して分散性が悪いため、PV23の含有量が多くなるほど分散液の安定性が悪くなり、コントラストを低下させてしまう。
このような分散性の問題の解決する手段として、硫酸バリウムを分散液に含有させることが知られている(特許文献3,4)。
しかしながら硫酸バリウムを多量に含有すると、分散液の処理時間を長くする必要が生じて生産性が低下するだけでなく、顔料中の硫酸バリウムの割合が多くなり、青色パターンの薄膜化が困難である。一方、硫酸バリウムの含有量が少量の場合には分散性を向上させる作用が十分でない。
また、2種類以上の顔料を含有する着色剤組成物において、分散性向上のためにおのおの異なる溶媒系に分散させた後、当該分散液を混合する方法が知られているが(特許文献5)。
特開昭60−184202号公報 特開平5−19467号公報 特開平2−204704号公報 特開2000−329926号公報 特開平7−261378号公報
本発明が解決しようとする課題は、少なくとも分散性の悪い顔料を含む着色剤組成物においても分散安定化させ、表示性能が良好な液晶表示装置、それを実現するために好適な着色剤組成物およびカラーフィルター提供することにある。
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の着色剤組成物およびカラーフィルターが優れた特性を有することを見出した。
1.有機溶媒中に少なくとも第1の顔料と硫酸バリウムとが分散された第1の顔料分散液と、有機溶媒中に少なくとも第2の顔料が分散された第2の顔料分散液とを混合し、次いで有機溶媒中に樹脂が溶解された樹脂溶液を添加してなるカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
2.有機溶媒中に少なくとも第1の顔料と硫酸バリウムとが分散された第1の顔料分散液に少なくとも第2の顔料を添加して再分散し、次いで有機溶媒中に樹脂が溶解された樹脂溶液を添加してなるカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
3.第1の顔料がピグメントバイオレット23であり、かつ第2の顔料がピグメントブルー15:6であることを特徴とする1項または2項のいずれかに記載のカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
4.カラーフィルター用着色剤組成物中におけるピグメントバイオレット23と硫酸バリウムの質量比が、95:5〜10:90であることを特徴とする1項〜3項の何れかに記載のカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
5.カラーフィルター用着色剤組成物中におけるピグメントブルー15:6とピグメントバイオレット23の質量比が、70:30〜99:1であることを特徴とする1項〜3項のいずれかに記載のカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
6.透明基板上にブラックマトリックス、並びに赤、青、および緑の各色の画素を2次元的に形成してなるカラーフィルター基板の製造方法であって、青色の画素が、1項〜5項のいずれかに記載の製造方法によって得られたカラーフィルター用着色剤組成物を透明基板上に塗布し、次いでパターン形成して得られたものであることを特徴とするカラーフィルター基板の製造方法。
7.6項に記載のカラーフィルター基板を有する液晶表示装置。
本発明に挙げられた製造方法に従って着色剤組成物を作成することにより、顔料分散液の安定性を高くすることができ、コントラストが高い画素を持つカラーフィルターおよび液晶表示装置を提供することができる。
本発明のカラーフィルター用着色剤組成物に用いる顔料分散は次に挙げるいずれかの製造方法により作成される。
第1の製造方法は、有機溶媒中に少なくとも第1の顔料と硫酸バリウムとが分散された第1の顔料分散液と、有機溶媒中に少なくとも第2の顔料が分散された第2の顔料分散液とを混合し、次いで有機溶媒中に樹脂が溶解された樹脂溶液を添加してなるカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法である。
第2の製造方法は、有機溶媒中に少なくとも第1の顔料と硫酸バリウムとが分散された第1の顔料分散液に第2の顔料を添加して再分散し、次いで有機溶媒中に樹脂が溶解された樹脂溶液を添加してなるカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法である。
これらの方法により、第1の顔料として分散性の悪い顔料を用い、分散性の向上のため硫酸バリウムを予め添加できるため、第1の顔料以外の顔料とともに硫酸バリウムを添加する場合に比べて、硫酸バリウムの量を少なくでき、結果的にコントラストが高いカラーフィルター及び液晶表示装置が得られるというものである。
顔料を分散させる方法としては、公知の技術を用いることができ、例えば、有機溶媒中に樹脂と顔料を混合させ、ボールミル、ビーズミル等の分散機中で分散させる方法を好ましく用いることができる。ビーズミルを用いて分散させる場合、使用するビーズが小さい方が、顔料がより微分散化され、かつ分散安定化されるため好ましい。具体的なビーズの種類としては、材質はジルコニアが好ましく、ビーズ径は好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.1mm以下、更に好ましくは0.05mm以下である。
以下に第1の顔料としてPV23、第2の顔料としてPB15:6を用いたカラーフィルター用着色剤組成物について詳細に説明する。
本発明におけるカラーフィルター用着色剤組成物は、少なくともPB15:6、PV23および硫酸バリウムを含有することが好ましい。
本発明におけるPB15:6およびPV23は、限定するわけではないが、コントラストを高くする目的のために1次粒径が100nm以下のものが好ましい。これらの顔料はロジン処理、酸性基処理、塩基性基処理、顔料誘導体処理が施されているものを使用してもよい。
本発明における硫酸バリウムは1次粒径が300nm以下のものが好ましく、80nm以下のものがより好ましい。1次粒径が300nmより大きいと可視光の散乱により青色画素の輝度が低下してしまうことがある。また、これらの硫酸バリウムの粒子表面はシリカ−アルミナ処理、樹脂処理等の公知の表面処理が為されていても良い。
カラーフィルター用着色剤組成物中におけるPV23と硫酸バリウムの質量比は95:5〜10:90が好ましく、80:20〜20:80がより好ましく、さらに好ましくは60:40〜40:60である。硫酸バリウムの質量比が5%未満であると分散安定化が十分でなく、90%より大きいと顔料中の硫酸バリウムの割合が多くなり、青色パターンの薄膜化が困難である。重合性モノマー、光重合開始剤、および、溶剤を含むことが望ましい。
本発明のカラーフィルター用着色剤組成物における顔料については、PB15:6、PV23および硫酸バリウム以外のものも含有することができる。その他の顔料の含有量は分光特性の観点より、顔料の総量の10%未満であることが望ましい。
その他の顔料としては耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れたものが好ましく、顔料の具体例をカラーインデックスナンバーで示すと、ピグメントブルー15:3、15:4、ピグメントバイオレット19,29.32,33,36,37,38等が挙げられるがこれらに限定されない。
カラーフィルター用着色剤組成物中におけるPB15:6とPV23の質量比は、質量比は70:30〜99:1が好ましく、80:20〜95:5がより好ましい。
PV23の質量比が30%より大きいと顔料中の硫酸バリウムの割合が多くなり、青色パターンの薄膜化が困難になり、1%未満であるとPB15:6とPV23を同時に分散しても分散性の悪化によるコントラストの低下は少なく、PV23を硫酸バリウムとともに分散することによる分散安定化の効果が十分に発揮されない。
また顔料の分散を安定化させるために分散剤として顔料の中間体、誘導体、染料の中間体、誘導体といった低分子分散剤、“ソルスパース”(アビシア社製)、“EFKA”(エフカ社製)、”アジスパー”(味の素ファインテクノ社製)、“BYK”(bic chemie社製)等の高分子分散剤など公知のものが使用できる。これらは顔料分散時に添加するか、顔料分散工程後に添加して使用する。
本発明におけるカラーフィルター用着色剤組成物は非感光性、感光性のいずれでもよい。非感光組成物においては、特に限定するわけではないが、顔料、ポリイミド前駆体、溶剤を含むことが望ましい。感光性組成物においては、特に限定するわけではないが、顔料、分散剤、アクリル樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、および、溶剤を含むことが望ましい。
以下で、感光性青色着色剤組成物に用いる樹脂の代表的な例としてアクリル系樹脂を用いた場合について詳しく説明する。
アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましい。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。
多官能モノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能モノマーも併用することができ、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。
光重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものが使用でき、例えば、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、着色剤組成物全固形分に対して、好ましくは5〜30質量%である。
本発明の青色着色剤組成物における溶剤としては、使用する樹脂を溶解するものを好ましく使用することができる。例えばN―メチル―2―ピロリドン、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、γ―カプロラクトン、ε―カプロラクトンなどのラクトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールあるいはプロピレングリコール誘導体、あるいは、アセト酢酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネート、3―メチル―3―メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、3―メチル―3―メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類を用いることも可能である。
また、本発明の青色着色剤組成物に用いる溶剤としては使用樹脂を溶解する単独あるいは2種類以上の溶媒の混合溶媒を、適宜組み合わせて使用するのが好ましい。この場合は、副溶剤として、使用する樹脂に対する貧溶媒を用いることも可能である。
本発明の青色着色剤組成物には、塗布性、着色被膜の乾燥性を良好にする目的で、界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤の添加量は、固形分の0.01〜1質量%であることが好ましい。添加量が少なすぎると塗布性、着色被膜の乾燥性の改良の効果が小さく、多すぎると逆に塗膜物性が不良となる場合がある。界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサンなどを主骨格とするシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。本発明では、これらに限定されずに、界面活性剤を1種または2種以上用いることができる。界面活性剤以外にも、密着性改良剤、硬化促進剤などを添加することもできる。
以下、本発明の青色着色剤組成物を用いたカラーフィルターの製造方法を説明する。
カラーフィルターは、通常、ブラックマトリクス(BM)を形成せしめた透明基板上に、RGB3色のパターンを形成させた構造を持つ。
BMは、公知のもの、すなわち、Cr、Cr酸窒化物、あるいは、樹脂中にカーボンブラック、あるいはチタンブラック等の遮光材を分散させた樹脂BMを好ましく用いることが出来る。
R、G画素を形成させるための赤色、緑色着色剤組成物としては、特に限定はなく、例えば、上記で述べた本発明の青色着色剤組成物と同様に、樹脂、溶剤中にそれぞれ下記のような顔料を分散せしめた組成物を使用することが出来る。
赤色着色剤組成物に使用できる顔料としては、例えば、主顔料として、ピグメントレッド(以下PRと略す)9、48、97、122、123、144、14 9、166、168、177、179、180、19 2、209、215、216、217、220、22 3、224、226、227、228、240、254といった赤色顔料、副顔料としてピグメントイエロ−(以下PYと略す)12、13、17、20、24、83、86、93、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、185といった黄色顔料、ならびにピグメントオレンジ(以下POと略す)13、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71といったオレンジ色顔料が挙げられる。なお、上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。
これらの中で、主顔料としてはPR254、及び/またはPR177、副顔料としてはPY139を含んで調色されるのが好ましい。
緑色着色剤組成物に使用できる顔料としては、例えば、主顔料として、ピグメントグリーン(PG)7、10、36、37、38、47といった緑色顔料、副顔料として、PY12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、95、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、155、166、173、180、185といった黄色顔料などが挙げられる。なお、上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。
これらの中で、主顔料としては、特にPG7、及び/またはPG36を使用するのが好ましく、副顔料としては、特にPY138、及び/またはPY150を含んで調色されるのが好ましい。
着色剤組成物を基板上に塗布する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷法などで基板に塗布する方法、基板を溶液中に浸漬する方法、溶液を基板に噴霧するなどの種々の方法を用いることができる。基板としては通常、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの透明基板や、シリコン、ガリウム−ひ素などの半導体基板などが用いられるが、特にこれらに限定されない。なお、基板上に着色剤組成物を塗布する場合、シランカップリング剤、アルミニウムキレート剤、チタニウムキレート剤などの接着助剤で基板表面を処理しておくと、着色被膜と基板の接着力を向上させることができ、必要に応じて行われる。
着色剤組成物を前記のような方法で透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、着色剤組成物の塗膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、50〜180℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。次に着色剤組成物が非感光性の場合、塗膜上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。感光性の場合フォトレジストは必要ないが、必要に応じて酸素遮断膜を形成しても良い。続いて該被膜上にマスクを置き、露光装置を用いて紫外線を照射する。ついでアルカリ現像液でカラーペースト塗膜のエッチングを行う。フォトレジスト被膜または酸素遮断膜がある場合には、これらの現像またはエッチングも同時に行い、続いてこれらを剥離液により除去する。
本発明に用いられるアルカリ現像液に用いるアルカリ性物質としては特に限定はしないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン等の4級アンモニウム塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等のアルコールアミン類、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン、モルホリン等の環状アミン類などの有機アルカリ類が挙げられる。現像条件、塗膜条件にもよるが、無機アルカリ類としては、水酸化カリウム、あるいは炭酸ナトリウムが好ましく、有機アルカリ類としては、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、アルコールアミン類といった水酸基含有有機アミン類が好ましい。また上記のアルカリ現像液にエタノール、γーブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶媒を適宜加えても良い。
得られた着色剤組成物の塗膜パターンは、その後、加熱処理することによってパターンニングされたカラーフィルターとなる。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜300℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
上記のようなパターンニング工程をR、G、Bなどの各色について順次行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。ここで各色のパターンニング順序は限定されない。
薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線、信号線、透明電極からなる駆動素子基板上に、液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成し、対向基板を作製した。カラーフィルター側基板にも液晶配向のためのラビング処理を施した。該半透過対向基板とカラーフィルター基板とを対向させて、シール材を用いて、張り合わせた。次に、シール部に設けられた注入光から液晶を注入した後に、注入光を封入した。つぎに、ICドライバ等を実装することにより液晶表示装置を完成させた。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中に記載された測定法は以下に示すとおりである。
(測定法)
<色度>
大塚電子株式会社製、MCPD−2000にて2度視野、C光源で測定した。なお、C光源とは、国際照明委員会(CIE) が規定した標準光Cである。これは色温度は6740° Kであり、一定の規定で点灯したガス入りタングステン電球に規定のフィルターをかけることにより得られる。この光の性質は青空の光を含む昼光に相当する。又、2度視野とは、0°〜2°までの範囲の視野のことを指す。そして、C光源および2°視野とは、C光源の光を測定対象物に透過させたときの透過光を、前記C光源の光が前記測定対象物を垂直に貫いた光軸を0°とし、且つ、測定対象物を基点としたとき、透過側において、0〜2°の範囲内の視野の透過光線について測定(透過光線色度測定)することを意味する。
<コントラスト>
バックライト(明拓システム)上で色彩輝度計(トプコンBM−5A)にて2度視野で試料の平行ニコルの輝度と直行ニコルの輝度を測定し、平行ニコルの輝度と直行ニコルの輝度との比をコントラストとした。
A.青色着色剤組成物の作製工程
調整例1
PV23 95.0g、硫酸バリウムとして堺化学製BF−20P 5.0g、分散剤としてbic chemie社”BYK”2001(46%溶液) 43.5g、アクリルポリマーとして、ダイセル化学製”サイクロマー”ACA250(45%溶液) 44.5gおよびPGMEA 812.0gを混合して撹拌し、予備分散液を作製した。この予備分散液を、直径0.05mmのジルコニアビーズを0.5Lの容積を有するベッセル内に85体積%充填したビーズミルを使用し、周速11m/sで1時間毎に50.0g抜き出しながら4時間分散し、顔料分散液(VBa−01)を得た。抜き出した分散液は10分後にB型粘度計を用いて粘度測定をした後、冷蔵庫中で5℃にて24時間放置後、再度粘度測定を行った。ここで10分後の粘度(η0)、24時間後の粘度(η1)の値を用いて、粘度増加率を以下のように定義し、算出した。
粘度増加率(%)=(η1−η0)/η0×100
なお、10分後あるいは24時間冷蔵放置後の粘度測定値が1000cPを超える物については粘度増加率を算出していない。
調整例2〜調整例7、比較調整例1、2
顔料と硫酸バリウムの添加量を表1のとおりに調整する以外は調整例1と同様にして顔料分散液を作製し、粘度増加率を算出した。
Figure 2008052157
実施例1
ダイセル化学製アクリルポリマー”サイクロマー”ACA250(45質量%溶液) 41.1g、日本化薬製多官能モノマー”カヤラッド”DPHA 24.5g、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製光開始剤”イルガキュア”907 12.5g、日本化薬製増感剤”カヤキュア”DETX−S 2.5g、bic chemie社製界面活性剤“BYK333” 0.1gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート119.3gで希釈した溶液、計1000gを添加混合し、アクリル樹脂溶液(AP−01)を得た。
ここで顔料分散液(B−01)4時間分散品 28.43g、顔料分散液(VBa−01)を1時間分散品 1.57g、計30.0gを混合し、さらにアクリル樹脂溶液(AP−01) 20.0gを滴下混合して着色組成物を作製した。この着色組成物を透明ガラス基板上にスピナーを用いて塗布し、その後熱風オーブン中90℃、10分加熱処理することにより、着色剤組成物塗膜を得た。なお、着色剤組成物の塗布は、スピナー回転数を調整して、塗膜の色度がC光源でy=0.050になるようにした。得られた塗膜を熱風オーブン中にて220℃で30分保持することにより着色硬化膜を得た。これらの着色硬化膜のコントラストを上記の方法にて測定した。
ここで顔料分散液は粘度増加率が10%未満となる分散時間の中で、最も分散時間が長いものを使用した。
実施例2〜実施例7、比較例1
顔料分散液を表2のとおりに調整する以外は実施例1と同様にして着色硬化膜を作製し、コントラスト測定を行った。
表2に記載のとおり、硫酸バリウムを含有する紫色分散液を使用して作製した青色着色剤組成物は、硫酸バリウムを含有しない紫色分散液を使用して作製した青色着色剤組成物よりコントラストが高くなることが判る。
Figure 2008052157
実施例8〜実施例12
顔料分散液を表3のとおりに調整し、塗膜の色度がC光源でy=0.110になるようにスピナー回転数を調整した以外は実施例1と同様にして着色硬化膜を作製し、コントラスト測定を行った。
Figure 2008052157
比較例2
顔料組成をPB15:6 99.0g、PV23 1.0gに変え、硫酸バリウムを添加せず、分散時間を2hにする以外は調整例1と同様にして顔料分散液(BV−01)を得た。
さらに顔料分散液(BV−01)2時間分散品を使用し、塗膜の色度がC光源でy=0.110になるようにスピナー回転数を調整した以外は実施例1と同様にして着色硬化膜を作成し、コントラストを測定した。
比較例3〜比較例7
顔料組成を表4のとおりに調整する以外は比較例2と同様にして着色硬化膜を作製し、コントラスト測定を行った。
表3と表4の記載を比較すると、PB15:6とPV23の質量比によらず、PV23と硫酸バリウムとが分散された顔料分散液と、PB15:6が分散された顔料分散液とを混合した分散液を用いて作製した着色硬化膜が、硫酸バリウムを添加せずにPB15:6とPV23とがともに分散された分散液を用いた場合と比較し、コントラストが高くなっている。また表4に記載のとおり、硫酸バリウムを添加せずにPB15:6とPV23とがともに分散された分散液は粘度安定性が悪かった。
Figure 2008052157
実施例13
PV23 4.64g、硫酸バリウムとして堺化学製BF−20P 6.96g、分散剤としてbic chemie社”BYK”2001(46%溶液) 10.0g、アクリルポリマーとして、ダイセル化学製”サイクロマー”ACA250(45%溶液) 10.0gおよびPGMEA 478.84を混合して撹拌し、予備分散液を作製した。この予備分散液を、直径0.05mmのジルコニアビーズを0.5Lの容積を有するベッセル内に85体積%充填したビーズミルを使用し、周速11m/sで1時間毎に50.0g抜き出しながら4時間分散した。そこにPB15:6 88.4g、bic chemie社”BYK”2001(46%溶液) 33.5g、アクリルポリマーとして、ダイセル化学製”サイクロマー”ACA250(45%溶液) 34.5gおよびPGMEA 343.6gを混合した予備分散液を混ぜ入れ、さらに同様の条件で1時間分散して青色顔料分散液BVBa−01を得た。
さらに青色顔料分散液(BVBa−01)5時間分散品を使用し、塗膜の色度がC光源でy=0.110になるようにスピナー回転数を調整した以外は実施例1と同様にして着色硬化膜を作成し、コントラストを測定した。
比較例8
顔料組成をPB15:6 88.40g、PV23 4.64g、硫酸バリウムとして堺化学製BF−20P 6.96g、分散剤としてbic chemie社”BYK”2001(46%溶液) 43.5g、アクリルポリマーとして、ダイセル化学製”サイクロマー”ACA250(45%溶液) 44.5gおよびPGMEA 812.0gを混合して撹拌し、予備分散液を作製した。この予備分散液を、直径0.05mmのジルコニアビーズを0.5Lの容積を有するベッセル内に85体積%充填したビーズミルを使用し、周速11m/sで1時間毎に50.0g抜き出しながら4時間分散し、顔料分散液(BVBa−02)を得た。
さらに顔料分散液を(BVBa−02)2時間分散品を使用し、塗膜の色度がC光源でy=0.110になるようにスピナー回転数を調整した以外は実施例1と同様にして着色硬化膜を作成し、コントラストを測定した。
表5に記載のとおり、実施例13のPV23と硫酸バリウムとが分散された溶液にPB15:6を添加した分散液は粘度安定性に優れ、着色塗膜のコントラストは高かった。一方、比較例8では有機顔料中でPB15:6とPV23と硫酸バリウムとを含む樹脂溶液の分散を行ったが、この分散液の組成は実施例4の割合にてB−01とVBa−04とを混合した分散液および実施例13で作製した分散液の組成と同等であるが、それらの分散液と比較して粘度安定性が悪く、着色硬化膜のコントラストも低いことが判る。
Figure 2008052157
実施例14
B.緑色着色剤組成物の作製工程
顔料組成をPG36 60.0g、PY13840.0gにする以外は調整例1と同様にして緑色顔料分散液(GY−01)を作製した。
さらに緑色顔料分散液(GY−01) 30.0gにアクリル樹脂溶液(AP−01) 20.0gを滴下混合し、緑色着色剤組成物を作製した。
C.赤色着色剤組成物の作製工程
顔料組成をPR254 100.0gにする以外は調整例1と同様にして緑色顔料分散液(R−01)を作製した。
さらに緑色顔料分散液(R−01) 30.0gにアクリル樹脂溶液(AP−01) 20.0gを滴下混合し、赤色着色剤組成物を作製した。
D.カラーフィルター作製工程
ブラックマトリクスを作製したガラス基板上に緑色着色剤組成物組成物を2μmになるようにスピナーで塗布し、該塗膜を90℃のオーブンで10分間乾燥した。クロム製フォトマスクを介して、100mJ/cm、ギャップ100μmで露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.3%の水溶液からなる現像液に浸漬し、純水で水洗し、エアブローで水分をとばした後に220℃のオーブンで30分加熱し緑色パターンを得た。
同様に赤色着色剤組成物ならび実施例4にて作製した青色着色剤組成物を用い、赤色パターンならびに青色パターンを作製した。
この基板に透明電極をスパッタリング法で作製し、基板を保持するためのスペーサを配置し半透過用液晶表示カラーフィルターを得た。
E.液晶表示装置作成工程
薄膜ダイオード(TFD)素子、走査線、信号線、透明電極からなる駆動素子基板上に、コンタクトホールを備えた光拡散用の樹脂突起層、さらにその上にアルミ蒸着膜をパターンニングした半透過反射膜、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成し、半透過型対向基板を作製した。カラーフィルター側基板にも液晶配向のためのラビング処理を施した。該半透過対向基板とカラーフィルター基板とを対向させて、シール材を用いて、張り合わせた。次に、シール部に設けられた注入光から液晶を注入した後に、注入光を封入した。つぎに、ICドライバ等を実装することにより液晶表示装置を完成させた。
得られた液晶表示装置はコントラストが高く、優れた表示性能を備えていた。

Claims (7)

  1. 有機溶媒中に少なくとも第1の顔料と硫酸バリウムとが分散された第1の顔料分散液と、有機溶媒中に少なくとも第2の顔料が分散された第2の顔料分散液とを混合し、次いで有機溶媒中に樹脂が溶解された樹脂溶液を添加してなるカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
  2. 有機溶媒中に少なくとも第1の顔料と硫酸バリウムとが分散された第1の顔料分散液に少なくとも第2の顔料を添加して再分散し、次いで有機溶媒中に樹脂が溶解された樹脂溶液を添加してなるカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
  3. 第1の顔料がピグメントバイオレット23であり、かつ第2の顔料がピグメントブルー15:6であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
  4. カラーフィルター用着色剤組成物中におけるピグメントバイオレット23と硫酸バリウムの質量比が、95:5〜10:90であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
  5. カラーフィルター用着色剤組成物中におけるピグメントブルー15:6とピグメントバイオレット23の質量比が、70:30〜99:1であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のカラーフィルター用着色剤組成物の製造方法。
  6. 透明基板上にブラックマトリックス、並びに赤、青、および緑の各色の画素を2次元的に形成してなるカラーフィルター基板の製造方法であって、青色の画素が、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られたカラーフィルター用着色剤組成物を透明基板上に塗布し、次いでパターン形成して得られたものであることを特徴とするカラーフィルター基板の製造方法。
  7. 請求項6に記載のカラーフィルター基板を有する液晶表示装置。
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