JP2010237616A - カラーフィルター用インクジェットインク組成物、カラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料、顔料分散剤、熱硬化性バインダー、有機溶剤、及び酸化防止剤を含有し、当該酸化防止剤が、特定の構造を有するフェノール系化合物であるカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
【選択図】図2
Description
一般にカラー液晶表示装置(101)は、図1(A)に示すように、カラーフィルター1とTFT基板等の電極基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶化合物Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成された遮光部6と、各画素を形成するために複数の色(通常、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色)を所定順序に配列した画素部7と、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。また、カラーフィルター1及びこれと対向する電極基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーが設けられる。スペーサーとしては一定粒子径を有するパール11を分散したり、又は、図1(B)に示すようにセルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を、カラーフィルターの内面側であって遮光部6が形成されている位置と重なり合う領域に形成する。そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
すなわち、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、顔料、顔料分散剤、熱硬化性バインダー、有機溶剤、及び酸化防止剤を含有し、当該酸化防止剤が、下記化学式(1)に示す基を少なくとも1つ有するフェノール系化合物であることを特徴とする。
また、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて画素を形成する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法も提供する。
更に、本発明は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルター、又は前記本発明に係るカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターである、液晶表示装置も提供する。
1.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、顔料、顔料分散剤、熱硬化性バインダー、有機溶剤、及び酸化防止剤を含有し、当該酸化防止剤が、下記化学式(1)に示す基を少なくとも1つ有するフェノール系化合物であることを特徴とする。
(酸化防止剤)
本発明において用いられる酸化防止剤は、下記化学式(1)に示す基を少なくとも1つ有するフェノール系化合物(以下、単にフェノール系化合物ともいう)である。
また、本発明においては、上記化学式(1)におけるRaがt−ブチル基であることが、ラジカル安定性の点から好ましい。
また、上記フェノール系化合物の融点は、150℃以下であることが好ましく、更に50℃以上140℃以下であることが好ましい。当該フェノール系化合物の融点を150℃以下とすることにより、溶融により黄変抑制効果を促進することができる。
なお、本発明において、固形分とは、インクジェットインク組成物中に含まれる成分のうち有機溶剤以外のものを意味する。
当該硫黄系酸化防止剤は、ラジカルが基点となって発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする働きを有する。
従って、酸化防止剤として、上記フェノール系化合物と当該硫黄系酸化防止剤とを併用することで、当該フェノール系化合物の「遊離したアミンから発生するラジカルを捕捉する働き」と、当該硫黄系酸化防止剤の「過酸化物を分解する働き」の異なる働きによる相乗効果が得られ、当該インク組成物中に添加する酸化防止剤の量を抑えることができ、当該酸化防止剤による硬化膜の膜物性の低下を生じることなく、輝度の低下を低減することができる。
また、上記化学式(2)乃至(4)のRc〜Rgにおいて、炭素数7〜30のアラルキル基、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
上記化学式(2)乃至(4)のRc〜Rgにおいて、炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
但し、これらに限定されるものではない。
また、前記硫黄系酸化防止剤の含有量が、前記フェノール系化合物の全量100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、更に好ましくは30〜300重量部である。当該硫黄系酸化防止剤の含有量が、10重量部未満の場合、過酸化物の分解を十分に行えず、1000重量部超過の場合、当該フェノール系化合物の含有量が少なくなるため、遊離したアミンから発生するラジカルの捕捉を十分に行えない恐れがある。
本発明に用いられるインクジェットインクにおいて、R画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、及びC.I.ピグメントイエロー150よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含み、G画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントグリーン36、及びC.I.ピグメントグリーン58よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含み、B画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことが、高い色性能を発現する点から好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
本発明に用いるインクジェットインクにおいて、顔料は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合される。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(0.5〜3.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインク中に配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。
また、ポリアリルアミン誘導体の製造に用いられるポリエステルの分子量は、300〜20,000の範囲のものであればよいが、顔料分散性の点から、1,000〜10,000が好ましい。
なお、本発明に用いられるポリアリルアミン誘導体の分子量は、2000〜100000であることが好ましい。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。本発明に係るインクは、インクジェット方式に用いるインクであるため、所定のパターンを形成するためには、所定のパターン形成領域にのみインクを選択的に付着させて固化すれば形成することができ、露光及び現像を行なうことによりパターンを形成する必要がない。従って、バインダー成分としては、塗膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するために、インクジェット方式により基板上にインク層(塗膜)のパターンを形成後、当該インク層を加熱により重合硬化させることができる熱硬化性バインダーを用いる。熱硬化性バインダーを用いると、耐溶剤性、密着性、ITO耐性等の画素の膜物性をより良好にすることができる。なお、ここでITO耐性とは、ITO回路形成時又は配向膜形成時の不具合に対する耐性であり、具体的にはITO回路形成後の230〜250℃での耐熱性が挙げられる。また、熱硬化性バインダーを用いる場合には、光照射装置をはじめとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いというメリットもある。
本発明に用いられる熱硬化性バインダーには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
本発明の熱硬化性バインダーには、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR’]+X−、スルホニウム化合物[R3SR']+X−、オキソニウム化合物[R3OR']+X−等を挙げることができる。なお、ここでR及びR'はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
本発明のインク組成物には、当該組成物を高濃度溶液又は直ちにヘッドから吐出できるインキに調製するために、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、保存用の高濃度インク又は直ちに塗布可能な濃度のインクに調製するために、固形分を好適に溶解及び分散させる溶剤であれば、特に限定されない。
中でも、第二溶剤に用いられる各溶剤成分の沸点は、更に、140℃〜180℃であることが、特に140℃〜175℃であることが、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な塗膜が得られ易い点から好ましい。
更に、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシランなど。
c)レベリング剤:例えば、アクリル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン
系界面活性剤、ビニルエーテル系界面活性剤など。
d)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
e)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、各成分を単独溶剤又は混合溶剤である溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー系等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。また、本発明で用いられる酸化防止剤は、上記顔料同様にバインダー系等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、溶剤中に十分に分散させられないことが多いため、当該酸化防止剤の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、当該溶剤に当該酸化防止剤を投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、酸化防止剤分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液及び酸化防止剤分散液を、その他の成分と共に、例えばほとんど第一溶剤からなるか又は第一溶剤のみからなる溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、必要に応じて最後に第二溶剤を添加することによって、本発明に用いられるインクジェットインクを調製することができる。或いは、得られた顔料分散液及び酸化防止剤分散液を、その他の成分と共に、例えばほとんど第一溶剤からなるか又は第一溶剤のみからなる溶剤に第二溶剤を添加した混合溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、本発明に用いられるインクジェットインクを調製することができる。
直ちにヘッドから吐出できるインクとする場合には、本発明のインクジェットインク組成物は、粘度が5〜11mPa・sであることが、インクジェットヘッドからの吐出性や吐出安定性の点から好ましい。粘度は、落球式粘度計、例えば自動マイクロ粘度計 AMVn (日本シイベルヘグナー株式会社)にて測定することができる。
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該画素の厚みが、当該画素の領域内で不均一であり、且つ、当該画素の少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
透明基板5としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
画素は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。画素における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
本発明においては、上記本発明に係るインクジェットインクを用いて画素を形成する。
画素の厚みは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色画素7Rが最も薄く、緑色画素7G、青色画素7Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚みを変えて、各色ごとに最適な厚みに設定してもよい。
遮光部6は、表示画像のコントラストを向上させるために、画素7R,7G,7Bの間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられる。遮光部6は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部6は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法と、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法がある。
遮光部の厚さは、金属薄膜の場合は1000〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
通常カラーフィルターに形成されるその他の部材をさらに含んでいても良い。例えば、インクジェット方式を用いてカラーフィルターが形成される場合には、画素間の隔壁があっても良い。インクジェット方式用の隔壁については、後述するインクジェット方式による製造方法のところで説明する。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて画素を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、インクジェット方式を用いるため、コスト低減や歩留まり向上を実現可能であり、生産性の高い製造方法である。
先ず、図3(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板を準備する。
次に、図3(B)に示すように、透明基板5の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部6を形成する。遮光部6として、金属薄膜を形成する場合には、当該薄膜をパターニングすることにより形成することができる。このパターニングの方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、遮光部6として、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層を形成する場合には、パターニングの方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。或いは、後述する画素7と同様にインクジェット方式を用いて形成しても良い。
次に、図3(E)に示すように、透明基板の画素34R、34G、34Bを形成した側に、保護膜8を形成する。保護膜は、透明な樹脂組成物を用いて、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により形成できる。例えば、スピンコーターにより500〜1500回転/分の範囲内で塗工後、露光及び/又は加熱することにより硬化させて形成することが好ましい。
尚、本発明において、保護膜はあってもなくても良い。
その他においては、通常のカラーフィルターを形成する方法と同様の方法を用いて製造することができる。
更に、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルター、又は前記本発明に係るカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターであることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置は、上述のように輝度とコントラストが高い画素を有するカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
液晶表示装置におけるその他の構成及び製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
(1)顔料分散液(I)の調製
顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記に示す割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液、及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液をそれぞれ調製した。
[顔料分散液の組成]
・顔料:10重量部
・顔料分散剤(アジスパーPb821(味の素ファインテクノ株式会社製)(有機溶剤中に固形分30重量%)):20重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):50重量部
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン(株)製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):1重量部
上記で得られた顔料分散液、及びバインダー組成物を用いて、表2に示す配合割合で十分に混合し、サンプル1のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。また、表2に示す配合割合で十分に混合し、サンプル2〜6のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を同様に得た。
尚、表2中の第二溶剤のEEPとは、3−エトキシプロピオン酸エチルである。
尚、輝度の測定は、顕微分光光度計(商品名「OSP200」、オリンパス社製)を用いて行った。
(1)顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記に示す割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液、及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液をそれぞれ調製した。
[顔料分散液の組成]
・顔料:10重量部
・顔料分散剤(アジスパーPb821(味の素ファインテクノ株式会社製)(有機溶剤中に固形分30重量%)):20重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):50重量部
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン(株)製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):1重量部
表3に示されるような配合割合となるように、上記で得られたPB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液、及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液と、その他の成分を十分に混合し、実施例1のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。なお表3中の第二溶剤のEEPとは、3−エトキシプロピオン酸エチルである。
前記実施例1において、酸化防止剤の配合量を0.09重量部にした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
前記実施例1において、酸化防止剤の配合量を0.18重量部にした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例3のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
前記実施例1において、酸化防止剤の配合量を0.88重量部にした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例4のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
前記実施例1において、酸化防止剤として、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1076、チバ・ジャパン株式会社製)を0.88重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例5のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
前記実施例1において、酸化防止剤として、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(商品名:IRGANOX 1098、チバ・ジャパン株式会社製)を0.88重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例6のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
前記実施例1において、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(商品名:ヨシノックス BHT、エーピーアイコーポレーション社製)を0.18重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして、比較例1のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
前記比較例1において、酸化防止剤の配合量を0.88重量部にした以外は、前記比較例1と同様にして、比較例2のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
前記実施例1において、酸化防止剤を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして、比較例3のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
*4)ヨシノックス BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(分子量220、融点71℃)(エーピーアイコーポレーション社製)
*5)IRGANOX 1076:n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量531、融点50〜55℃)(チバ・ジャパン株式会社製)
*6)IRGANOX 1098:N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(分子量637、融点156〜161℃)(チバ・ジャパン株式会社製))
尚、輝度の測定は、顕微分光光度計(商品名「OSP200」、オリンパス社製)を用いて行った。
(1)バインダー組成物の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン(株)製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):1重量部
表4に示されるような配合割合となるように、上記で得られたバインダー組成物と、その他の成分を十分に混合し、参考例1のインクジェットインク組成物を得た。
前記参考例1において、酸化防止剤として、IRGANOX 1010を0.8重量部、Sumilizer TPMを0.8重量部用いた以外は、前記参考例1と同様にして、参考例2のインクジェットインク組成物を得た。
前記参考例1において、酸化防止剤として、IRGANOX 1010を2.3重量部、Sumilizer TP−D(商品名、住友化学製)を2.3重量部用いた以外は、前記参考例1と同様にして、参考例3のインクジェットインク組成物を得た。
前記参考例1において、酸化防止剤として、IRGANOX 1010を4.5重量部用いた以外は、前記参考例1と同様にして、参考例4のインクジェットインク組成物を得た。
前記参考例1において、酸化防止剤として、IRGAFOS B225(商品名、チバ・ジャパン(株)製(IRGANOX 1010:IRGAFOS 168=1:1のブレンド))を4.5重量部用いた以外は、前記参考例1と同様にして、参考例5のインクジェットインク組成物を得た。
前記参考例5において、酸化防止剤として、IRGAFOS B225を1.6重量部用いた以外は、前記参考例5と同様にして、参考例6のインクジェットインク組成物を得た。
*7)Sumilizer TPM:ジミリスチルチオジプロピオネート(分子量571)(住友化学製)
*8)Sumilizer TP−D:ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(分子量1162)(住友化学製)
*9)IRGAFOS B225:50%IRGAFOS 168;50%IRGANOX 1010(チバ・ジャパン株式会社製)
尚、輝度の変化率の測定は、顕微分光光度計(商品名「OSP200」、オリンパス社製)を用いて行った。
図5より、酸化防止剤として、上記化学式(1)で表わされる基を有するフェノール系化合物を用いた実施例1〜6では、酸化防止剤を用いない比較例3、並びに、従来より接着剤、ゴム、繊維加工剤、包装材料等において酸化防止剤として用いられてきたBHTを用いた比較例1及び2よりも、輝度低下を低減することができた。
また、図6より、酸化防止剤として、上記フェノール系化合物(IRGANOX 1010)を4.5重量部用いた参考例4と、酸化防止剤として、IRGANOX 1010及び硫黄系酸化防止剤(Sumilizer TPM又はSumilizer TP−D)を合計4.5重量部用いた参考例1又は3を比較すると、酸化防止剤として、フェノール系化合物を単体で用いるよりもフェノール系化合物と硫黄系酸化防止剤とを併用した方が、輝度低下を低減する効果が高いことがわかった。また、フェノール系化合物を単体で4.5重量部用いた参考例4と、フェノール系化合物及び硫黄系酸化防止剤を合計1.6重量部用いた参考例2は、輝度低下が同程度であったことから、フェノール系化合物と硫黄系酸化防止剤とを併用することで、酸化防止剤の配合量を少なくすることができることがわかった。
また、酸化防止剤として、フェノール系化合物とリン系酸化防止剤とを併用した参考例5及び6は、フェノール系化合物を単体で用いた参考例4と比較すると、輝度低下を低減する効果が低かった。
また、図4より、顔料分散剤、及び熱硬化性バインダーを含まないインクジェットインク組成物(参考実験2及び5)では、酸化防止剤を添加しても輝度にほとんど変化はみられなかった。一方、顔料、顔料分散剤、及び熱硬化性バインダーを含むインクジェットインク組成物(参考実験1及び4)、並びに熱硬化性バインダーを含まないインクジェットインク組成物(参考実験3及び6)では、酸化防止剤を添加することにより、輝度低下が減少した。参考実験2に対する参考実験5の輝度上昇率と、参考実験3に対する参考実験6の輝度上昇率の差は、参考実験3に対する参考実験6の輝度上昇率と、参考実験1に対する参考実験4の輝度上昇率の差より大きかった。
従って、インクジェットインク組成物中に酸化防止剤を含有することにより、熱硬化性バインダーや顔料分散剤に起因、特に顔料分散剤に起因する輝度低下を抑えることができることがわかった。
2 電極基板
3 間隙部
4 シール材
5 透明基板
6 遮光部
7(7R、7G、7B) 画素
8 保護膜
9 透明電極膜
10 配向膜
11 パール
12 柱状スペーサー
31 画素形成領域
32 インクジェットヘッド
33 インク層
34 画素部
101、102 カラー液晶表示装置
103 カラーフィルター
Claims (13)
- 顔料、顔料分散剤、熱硬化性バインダー、有機溶剤、及び酸化防止剤を含有し、当該酸化防止剤が、下記化学式(1)に示す基を少なくとも1つ有するフェノール系化合物であるカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記化学式(1)におけるRaがt−ブチル基である、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記酸化防止剤の分子量が600以上である、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記酸化防止剤の融点が150℃以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 硫黄系酸化防止剤を更に含有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記硫黄系酸化防止剤が、下記化学式(2)〜(4)から選ばれる少なくとも1種のスルフィドである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記硫黄系酸化防止剤の分子量が500以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記フェノール系化合物及び前記硫黄系酸化防止剤の含有量の総和が、全固形分に対して、0.01重量%以上10重量%未満である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記硫黄系酸化防止剤の含有量が、前記フェノール系化合物の全量100重量部に対して、10〜1000重量部である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記顔料分散剤が、ポリアリルアミン誘導体である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該画素の厚みが、当該画素の領域内で不均一であり、且つ、当該画素の少なくとも1つが、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする、カラーフィルター。
- 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、
前記インク層を硬化させて画素を形成する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。 - 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、表示側基板が請求項11に記載のカラーフィルター、又は請求項12に記載のカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターであることを特徴とする、液晶表示装置。
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