JP2010237616A - カラーフィルター用インクジェットインク組成物、カラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置 - Google Patents

カラーフィルター用インクジェットインク組成物、カラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱工程によるインク材料の黄変を抑制し、硬化後の輝度低下を低減することが可能なカラーフィルター用インクジェットインク組成物、及びそれを用いたカラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、液晶表示装置を提供する。
【解決手段】顔料、顔料分散剤、熱硬化性バインダー、有機溶剤、及び酸化防止剤を含有し、当該酸化防止剤が、特定の構造を有するフェノール系化合物であるカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
【選択図】図2

Description

本発明は、画素部のような所定パターンの硬化層を形成するのに用いられるカラーフィルター用インクジェットインク組成物、カラーフィルター、前記インクジェットインク組成物を用いたカラーフィルターの製造方法、及び前記カラーフィルター又は前記製造方法により製造されたカラーフィルターを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は主としてパーソナルコンピュータ用のモニターとして使用されてきたが、近年になって、パーソナルコンピュータ用のモニターとしてだけでなくテレビ用のモニターへの展開も急速に行われるようになってきており、コントラストを高くすることが重要な課題となっている。
一般にカラー液晶表示装置(101)は、図1(A)に示すように、カラーフィルター1とTFT基板等の電極基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶化合物Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成された遮光部6と、各画素を形成するために複数の色(通常、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色)を所定順序に配列した画素部7と、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。また、カラーフィルター1及びこれと対向する電極基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーが設けられる。スペーサーとしては一定粒子径を有するパール11を分散したり、又は、図1(B)に示すようにセルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を、カラーフィルターの内面側であって遮光部6が形成されている位置と重なり合う領域に形成する。そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
現在、カラーフィルターの画素は、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法で製造することが主流となっている。しかし、一般に顔料を分散したカラーフィルターは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低いという問題がある。
カラーフィルターの画素に関する問題を解決すべく、例えば、特許文献1には、少なくともバインダー成分、顔料、及び、溶剤からなり、当該溶剤の配合比に特徴を有する、カラーフィルター用インクジェットインクに関する技術が記載されている。
特開2007−328062号公報
カラーフィルターを作製する工程においては、樹脂を硬化させるため、焼成等の加熱工程を実施する必要がある。加熱工程は通常複数回行われるため、熱によって樹脂などのインク材料が劣化し黄変することにより、輝度が低下するという問題点があった。特許文献1は、このような加熱工程による輝度低下の問題にはまったく触れていない。
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、加熱工程によるインク材料の黄変を抑制し、硬化後の輝度低下を低減することが可能なカラーフィルター用インクジェットインク組成物、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルター及びカラーフィルターの製造方法、並びに当該カラーフィルター又は当該製造方法により製造されたカラーフィルターを用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の構造を有する酸化防止剤を用いることにより、上記課題が解決されるという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、顔料、顔料分散剤、熱硬化性バインダー、有機溶剤、及び酸化防止剤を含有し、当該酸化防止剤が、下記化学式(1)に示す基を少なくとも1つ有するフェノール系化合物であることを特徴とする。
(化学式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
本発明によれば、特定の構造を有する酸化防止剤を用いることにより、加熱工程によるインク材料の黄変を抑制し、硬化後の輝度低下を低減することが可能なカラーフィルター用インクジェットインク組成物を提供することができる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、前記化学式(1)におけるRがt−ブチル基であることが、ラジカル安定性の点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、前記酸化防止剤の分子量が600以上であることが、高沸点または高分解温度の点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、前記酸化防止剤の融点が150℃以下であることが、インク材料の黄変を抑制し、硬化後の輝度低下を低減する点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、硫黄系酸化防止剤を更に含有することが、膜物性を損なわずに輝度の低下を低減することができるため、好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、前記硫黄系酸化防止剤が、下記化学式(2)〜(4)から選ばれる少なくとも1種のスルフィドであることが、輝度低下抑制効果の点から好ましい。
(化学式(2)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
(化学式(3)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるR、R及びRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
(化学式(4)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、前記硫黄系酸化防止剤の分子量が500以上であることが、高沸点または高分解温度の点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、前記フェノール系化合物及び前記硫黄系酸化防止剤の含有量の総和が、全固形分に対して、0.01重量%以上10重量%未満であることが、インク組成物の安定性の点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、前記硫黄系酸化防止剤の含有量が、前記フェノール系化合物の全量100重量部に対して、10〜1000重量部であることが、インク組成物の安定性の点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物においては、前記顔料分散剤が、ポリアリルアミン誘導体であることが、硬化膜の形状及び膜物性が良好である点から好ましい。
本発明は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該画素の厚みが、当該画素の領域内で不均一であり、且つ、当該画素の少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を硬化させて形成したものであるカラーフィルターも提供する。
また、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて画素を形成する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法も提供する。
更に、本発明は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルター、又は前記本発明に係るカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターである、液晶表示装置も提供する。
本発明によれば、特定の構造を有する酸化防止剤を用いることにより、加熱工程によるインク材料の黄変を抑制し、硬化後の輝度低下を低減することが可能なカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得ることができる。
液晶パネルの一例についての模式的断面図である。 液晶パネルの別の例についての模式的断面図である。 本発明に係るカラーフィルターの一例を示す模式的縦断面図である。 図3(A)〜図3(E)は、本発明のインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する方法の一例を説明する図である。 塗膜を240℃、240分間加熱した時の、輝度の変化を示すグラフである。 塗膜を240℃、140分間加熱した時の、輝度の変化を示すグラフである。 塗膜を240℃、140分間加熱した時の、輝度の変化率を示すグラフである。
以下において本発明を詳しく説明する。
1.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、顔料、顔料分散剤、熱硬化性バインダー、有機溶剤、及び酸化防止剤を含有し、当該酸化防止剤が、下記化学式(1)に示す基を少なくとも1つ有するフェノール系化合物であることを特徴とする。
(化学式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
カラーフィルターを作製する工程における焼成等の加熱工程において、カラーフィルター内のインク材料が、酸素(O)及び光、熱などによって酸化される。これにより、当該インク材料が劣化し黄変することが、カラーフィルターの輝度向上を阻む大きな原因になると考えられた。
本発明者らの実験の結果、カラーフィルター用インクジェットインク組成物中に、特定の構造を有する酸化防止剤を含有させることにより、当該インク組成物中に含まれる顔料、顔料分散剤、及び熱硬化性バインダーのうち、熱硬化性バインダーや顔料分散剤の劣化に起因する黄変、特に顔料分散剤の劣化に起因する黄変が抑制され、カラーフィルターの輝度低下を減少させることがわかった。カラーフィルターを作製する工程における焼成等の加熱工程において、上記特定の構造を有する酸化防止剤が、インク組成物中の顔料分散剤が熱分解され遊離したアミンから発生するラジカルを捕捉することにより、顔料分散剤の劣化に起因する黄変が抑制されると推測される。
従って、本発明によれば、特定の構造を有する酸化防止剤を用いることにより、インク組成物中の熱硬化性バインダーや顔料分散剤の熱分解に起因する黄変、特に顔料分散剤の熱分解に起因する黄変を抑制し、硬化後の輝度低下を低減することが可能なカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得ることができる。
以下、本発明に係るインクジェットインク組成物に用いられる成分を説明する。
(酸化防止剤)
本発明において用いられる酸化防止剤は、下記化学式(1)に示す基を少なくとも1つ有するフェノール系化合物(以下、単にフェノール系化合物ともいう)である。
(化学式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
上記化学式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が挙げられる。分岐状アルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。中でも、メチル基、t−ブチル基が好ましい。
また、本発明においては、上記化学式(1)におけるRがt−ブチル基であることが、ラジカル安定性の点から好ましい。
上記フェノール系化合物の分子量は、高沸点または高分解温度の点から、600以上であることが好ましく、更に1000以上3000以下であることが好ましい。
また、上記フェノール系化合物の融点は、150℃以下であることが好ましく、更に50℃以上140℃以下であることが好ましい。当該フェノール系化合物の融点を150℃以下とすることにより、溶融により黄変抑制効果を促進することができる。
上記フェノール系化合物の含有量は、全固形分に対して、0.01重量%以上10重量%未満であることが好ましく、更に好ましくは0.1重量%以上5重量%以下であり、特に好ましくは0.5重量%以上5重量%以下である。当該含有量を上記範囲内とすることにより、硬化後の輝度低下を低減することができる。
なお、本発明において、固形分とは、インクジェットインク組成物中に含まれる成分のうち有機溶剤以外のものを意味する。
上記フェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量531)(商品名:トミノックス SS(エーピーアイコーポレーション社製)、商品名:IRGANOX 1076(チバ・ジャパン株式会社製))、テトラキス[メチレン‐3‐(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(分子量1178)(商品名:トミノックス TT(エーピーアイコーポレーション社製)、商品名:IRGANOX 1010(チバ・ジャパン株式会社製))、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(分子量637)、商品名IRGANOX 1098(チバ・ジャパン株式会社製))、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](分子量587)(商品名:トミノックス 917(エーピーアイコーポレーション社製)、商品名:IRGANOX 245(チバ・ジャパン株式会社製))、3,9‐ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン(分子量741)(商品名:Sumilizer GA−80(住友化学製))、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子量643)(商品名:IRGANOX 1035(チバ・ジャパン株式会社製))、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子量639)(商品名:IRGANOX 259(チバ・ジャパン株式会社製))等が挙げられる。
インクジェットインク組成物中の酸化防止剤の含有量が増加すると、膜物性が低下する傾向がある。そこで、本発明に用いられるインクジェットインク組成物は、更に硫黄系酸化防止剤を含有することが、膜物性を損なわずに輝度の低下を低減することができるため、好ましい。
当該硫黄系酸化防止剤は、ラジカルが基点となって発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする働きを有する。
従って、酸化防止剤として、上記フェノール系化合物と当該硫黄系酸化防止剤とを併用することで、当該フェノール系化合物の「遊離したアミンから発生するラジカルを捕捉する働き」と、当該硫黄系酸化防止剤の「過酸化物を分解する働き」の異なる働きによる相乗効果が得られ、当該インク組成物中に添加する酸化防止剤の量を抑えることができ、当該酸化防止剤による硬化膜の膜物性の低下を生じることなく、輝度の低下を低減することができる。
当該硫黄系酸化防止剤は、下記化学式(2)〜(4)から選ばれる少なくとも1種のスルフィドであることが、輝度低下抑制効果の点から好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
(化学式(2)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
(化学式(3)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるR、R及びRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
(化学式(4)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
上記化学式(2)乃至(4)のR〜Rにおいて、炭素数1〜30のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアルキル置換シクロアルキル基が好ましい。炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。炭素数5〜20のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素数6〜20のアルキル置換シクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。
また、上記化学式(2)乃至(4)のR〜Rにおいて、炭素数7〜30のアラルキル基、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
上記化学式(2)乃至(4)のR〜Rにおいて、炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
但し、これらに限定されるものではない。
また、上記硫黄系酸化防止剤の分子量は、高沸点または高分解温度の点から、500以上であることが好ましく、更に500以上1300以下であることが好ましい。
上記硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート(分子量571)(商品名:Sumilizer TPM(住友化学製))、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(分子量1162)(商品名:Sumilizer TP−D(住友化学製))、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(分子量683)(商品名:Sumilizer TPS(住友化学製))、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(分子量515)(商品名:Sumilizer TPL−R(住友化学製))等が挙げられる。
前記フェノール系化合物と前記硫黄系酸化防止剤とを併用する場合、当該フェノール系化合物及び当該硫黄系酸化防止剤の含有量の総和は、全固形分に対して、0.01重量%以上10重量%未満であることが好ましく、更に好ましくは0.1重量%以上5重量%以下であり、特に好ましくは0.5重量%以上5重量%以下である。当該含有量の総和を上記範囲内とすることにより、膜物性を損なわずに輝度の低下を低減する効果を発揮することができる。
また、前記硫黄系酸化防止剤の含有量が、前記フェノール系化合物の全量100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、更に好ましくは30〜300重量部である。当該硫黄系酸化防止剤の含有量が、10重量部未満の場合、過酸化物の分解を十分に行えず、1000重量部超過の場合、当該フェノール系化合物の含有量が少なくなるため、遊離したアミンから発生するラジカルの捕捉を十分に行えない恐れがある。
(顔料)
本発明に用いられるインクジェットインクにおいて、R画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、及びC.I.ピグメントイエロー150よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含み、G画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントグリーン36、及びC.I.ピグメントグリーン58よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含み、B画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことが、高い色性能を発現する点から好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
その他の着色剤としての顔料は、画素(画素部)のR、G、Bの求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を挙げることができる。
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、アンバー等を挙げることができる。本発明において、他の顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明に用いるインクジェットインクにおいて、顔料は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合される。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(0.5〜3.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
(顔料分散剤)
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインク中に配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。
界面活性剤の中でも、分子量が1000以上の高分子界面活性剤が好ましい。高分子界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などが挙げられる。
また、本発明においては、インクジェットインク組成物の粘度の安定性を良好にし、且つ、インクジェットヘッドのノズル先端において急激な粘度の上昇や目詰まりを起こし難い点から、顔料分散剤としてポリアリルアミン誘導体を用いることが好ましい。
上記ポリアリルアミン誘導体は、下記一般式(I)で表されるポリアリルアミン誘導体であることが好ましく、例えばポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド、又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られるものである。
(式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素、重合開始剤残基又は連鎖移動触媒残基のいずれかを、Rは遊離のアミノ基、下記一般式(II)又は(III)で示される基を、nは2〜1,000の整数を表す。但しn個のR中、少なくとも1個は一般式(III)で示される基を表す。)
(式中、Rは遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、または遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシル基を除いた残基を表す。)
本発明に用いられるポリアリルアミン誘導体は、更に具体的には、例えば、重合度2〜1,000のポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有する、下記一般式(IV)または(V)で表されるポリエステルおよび下記一般式(VI)または(VII)で表されるポリアミドの1種を単独でまたは2種以上を併用して原料として作成することができる。
(式中Rは、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基を、そしてaは2〜100の整数を示す。)
(式中Rは、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基、CまたはCH=CHを、Rは炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基、ポリアルキレングリコールから2つの水酸基を除いた残基を、そしてbは2〜100の整数を示す。また、前記鎖中にエーテル結合を有することもある。)
(式中Rは、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基を、そしてcは2〜100の整数を示す。)
(式中Rは、炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基、CまたはCH=CHを、Rは炭素原子数2〜20の直鎖状もしくは分岐のアルキレン基を、そしてdは2〜100の整数を示す。)
なお、本発明に用いられるポリアリルアミン誘導体は、ポリアリルアミンに、一般式(IV)と一般式(V)の繰り返し成分がランダムに重合したポリエステル、一般式(VI)と一般式(VII)の繰り返し成分がランダムに重合したポリアミド、更に一般式(IV)並びに/又は(V)、及び一般式(VI)並びに/又は(VII)の繰り返し成分がランダムに重合したポリエステルアミドを反応させても製造することができる。
なお、ポリアリルアミン誘導体の製造に用いられるポリアリルアミンは、アリルアミンを重合開始剤存在下、場合によっては連鎖移動触媒存在下、重合させて得られるものである。本発明で用いられるポリアリルアミンの数平均分子量は150〜100,000であれば特に限定されないが、顔料分散性の点から600〜20,000のポリアリルアミンが好ましい。
また、ポリアリルアミン誘導体の製造に用いられるポリエステルの分子量は、300〜20,000の範囲のものであればよいが、顔料分散性の点から、1,000〜10,000が好ましい。
なお、本発明に用いられるポリアリルアミン誘導体の分子量は、2000〜100000であることが好ましい。
本発明のポリアリルアミン誘導体は、n個のアミノ基を有するポリアリルアミンに対して、ポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の末端カルボキシル基が2モル以上の割合で酸アミド形成反応を行ったものが、顔料分散性の点で好ましい。特に前記一般式(I)において、n個のR中、一般式(III)で示される酸アミド結合により結合した形態の残基が60〜95%の範囲存在するものが好ましく、更により好ましくは酸アミド結合により結合した形態の残基が65〜90%の範囲存在するものが好ましい。
本発明のポリアリルアミン誘導体は、ポリアリルアミンと片末端にカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の重量比が1/5〜1/30であり、得られたポリアリルアミン誘導体のアミン価(mgKOH/g)が5〜30であることが顔料分散性の点から好ましい。
上記ポリアリルアミン誘導体の顔料分散剤は市販品としてはアジスパーPb821(味の素ファインテクノ株式会社製)等を用いることができる。
本発明のインクジェットインク組成物において、顔料分散剤の含有量は、通常、顔料100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜80重量部である。
(熱硬化性バインダー)
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。本発明に係るインクは、インクジェット方式に用いるインクであるため、所定のパターンを形成するためには、所定のパターン形成領域にのみインクを選択的に付着させて固化すれば形成することができ、露光及び現像を行なうことによりパターンを形成する必要がない。従って、バインダー成分としては、塗膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するために、インクジェット方式により基板上にインク層(塗膜)のパターンを形成後、当該インク層を加熱により重合硬化させることができる熱硬化性バインダーを用いる。熱硬化性バインダーを用いると、耐溶剤性、密着性、ITO耐性等の画素の膜物性をより良好にすることができる。なお、ここでITO耐性とは、ITO回路形成時又は配向膜形成時の不具合に対する耐性であり、具体的にはITO回路形成後の230〜250℃での耐熱性が挙げられる。また、熱硬化性バインダーを用いる場合には、光照射装置をはじめとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いというメリットもある。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、通常は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)、特開2007−072283等に開示されており、これらを用いることが可能である。
ii)硬化剤
本発明に用いられる熱硬化性バインダーには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これら硬化剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(バインダー性エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るおそれがある。
iii)触媒
本発明の熱硬化性バインダーには、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF、FeCl、SnCl、AlCl、ZnClなどのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[RNR’]、スルホニウム化合物[RSR']、オキソニウム化合物[ROR']等を挙げることができる。なお、ここでR及びR'はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
(有機溶剤)
本発明のインク組成物には、当該組成物を高濃度溶液又は直ちにヘッドから吐出できるインキに調製するために、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、保存用の高濃度インク又は直ちに塗布可能な濃度のインクに調製するために、固形分を好適に溶解及び分散させる溶剤であれば、特に限定されない。
本発明のインクジェットインク組成物は、インクの急激な粘度上昇や目詰まりが発生せず、吐出の直進性や安定性に悪影響を及ぼさないで吐出性を向上させるために、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg(66.7Pa)以下、特に0.1mmHg(13.3Pa)以下の溶剤成分を主溶剤として用い、そのような主溶剤を有機溶剤の全量に対して好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上の割合で配合することが好ましい。吐出性が向上すると、着色硬化層を正確且つ均一に形成することができる。また、主溶剤の表面張力は、28mN/m以上であることが、パターニング時に親疎インク部へのインクの流出を低減できる点から好ましい。ここで、本発明における23℃での表面張力は、表面張力計(ウィルヘルミー法)(例えば、協和界面科学社製、自動表面張力計CBVP−Zなど)により測定することができる。
中でも、本発明のインクジェットインク組成物に用いられる溶剤としては、第一溶剤として沸点が180℃〜260℃で、好ましくは210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg以下、好ましくは0.1mmHg以下の溶剤成分を溶剤の全量に対して60〜95重量%含有し、更に第二溶剤として沸点が130℃以上180℃未満の溶剤成分を溶剤の全量に対して5〜40重量%含有することが好ましい。このような場合には、吐出性が良好であると共に、インクジェットヘッドのノズル先端においては急速に乾燥しないが、インク層乾燥時に溶質が流動することを抑制し、乾燥速度を適切に調整することが可能になる。そのため、塗膜の端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された膜厚の均一性の高いパターンが得られると共に、効率よく乾燥させることができる。
第一溶剤の割合は、溶剤全量の70〜95重量%、更に溶剤全量の75〜95重量%、より更に溶剤全量の80〜92重量%とするのが好ましい。本発明に用いられるインクジェットインクには、更に、必要に応じて第一溶剤及び第二以外の溶剤成分を少量ならば含有しても良い。本発明のインクは着色剤として顔料を用いるので、顔料分散体を調製するために、顔料を分散させやすい分散溶剤を用いる必要がある場合があるからである。
主溶剤乃至第一溶剤として使用できる溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の要求を満たしているだけでなく、顔料の分散性、分散安定性も比較的良好であり、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散体の調製に用いられている溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散体を調製することができる。
さらに、具体例として挙げたこれらの溶剤は、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すという要求を満たしている。従って、これらの溶剤は、基板表面に濡れ性可変層を設けて露光し、露光部分と非露光部分の間の濡れ性の差を利用してインクを選択的に付着させる場合にも、主溶剤乃至第一溶剤として好適に用いることができる。
また、第二溶剤として用いられる溶剤成分は、沸点が130℃以上180℃未満の溶剤成分である。上記沸点を有する溶剤であれば単独で又は2種類以上混合して用いても良い。
中でも、第二溶剤に用いられる各溶剤成分の沸点は、更に、140℃〜180℃であることが、特に140℃〜175℃であることが、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な塗膜が得られ易い点から好ましい。
また、前記第二溶剤の23℃での粘度は、0.5〜6mPa・sであることが好ましい。このような場合には、第二溶剤が含まれることにより、上記第一溶剤が奏する効果を阻害することなくインクの粘度を適切に低下することが可能で、インク自体の濡れ広がり性が向上する結果、着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなる。その結果、多様化している基板に対しても、着弾したインクが遮光部のきわ部分にまで濡れ広がることが可能になり、画素の色抜けや輝度低下を防止でき、より表示不良が低減されたカラーフィルターを製造することができる。領域の隅にインクを付着させるために領域の端の方にインクを着弾させる方法もあるが、この方法だと遮光部の間隙からインクが流出する恐れがある。それに対し、このようにインク自体によって遮光部のきわ部分にまで濡れ広がらせることは、インク流出の恐れがなく、2種類以上用いられるインク同士の混色を防止する点からもより望ましい方法である。前記第二溶剤の23℃での粘度は、更に0.5〜3mPa・sであることが好ましい。第二溶剤が2種類以上混合して用いられる場合には、単独では上記範囲外であっても混合溶剤の粘度が上記範囲であれば、好適に用いられる。ここで、本発明における23℃での粘度は、落球式粘度計、例えば自動マイクロ粘度計 AMVn (日本シイベルヘグナー株式会社)にて測定することができる。
また、前記第二溶剤としては、グリコールエーテル類やグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類を含むエーテル類、およびグリコールエステル類やグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類、脂肪族エステル類、アルコキシカルボン酸エステル類、ケトカルボン酸エステル類を含むエステル類よりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。上記のようなエステル類、およびエーテル類を用いる場合には、バインダー成分等に反応性が高い樹脂を用いた場合であっても、インクの経時安定性を良好に維持し、インクジェットヘッドからの吐出安定性が向上するという利点がある。また、グリコールエーテル類、グリコールエステル類を用いる場合には、ガラス基材に対する濡れ性が向上し、インク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなり、画素の色抜け防止に効果的である。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記第二溶剤の含有量は、中でも、溶剤全量に対して5〜30重量%、より更に5〜25重量%、特に8〜20重量%であることが、上記第一溶剤の効果を阻害することなく、インクジェットヘッドから吐出した時の安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができ、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な画素等を形成し易い点から好ましい。
以上のような溶剤を、当該溶剤を含むインクの全量に対して、通常は40〜95重量%の割合で用いてインクを調製する。直ちにヘッドから吐出できるインクとする場合には、後述するようなインクジェットからの吐出に適切な粘度になるように適宜調整して用いる。溶剤が少なすぎると、インクの粘度が高く、インクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定のインク層形成部位からインクが決壊し、当該インク層形成部位に堆積させることのできるインク堆積量が不充分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い充分な透過濃度を得ることができなくなる。
(その他の成分)
更に、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシランなど。
c)レベリング剤:例えば、アクリル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン
系界面活性剤、ビニルエーテル系界面活性剤など。
d)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
e)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
〔インクジェットインク組成物の製造方法〕
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、各成分を単独溶剤又は混合溶剤である溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー系等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。また、本発明で用いられる酸化防止剤は、上記顔料同様にバインダー系等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、溶剤中に十分に分散させられないことが多いため、当該酸化防止剤の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、当該溶剤に当該酸化防止剤を投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、酸化防止剤分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液及び酸化防止剤分散液を、その他の成分と共に、例えばほとんど第一溶剤からなるか又は第一溶剤のみからなる溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、必要に応じて最後に第二溶剤を添加することによって、本発明に用いられるインクジェットインクを調製することができる。或いは、得られた顔料分散液及び酸化防止剤分散液を、その他の成分と共に、例えばほとんど第一溶剤からなるか又は第一溶剤のみからなる溶剤に第二溶剤を添加した混合溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、本発明に用いられるインクジェットインクを調製することができる。
顔料分散液及び酸化防止剤分散液を投入する残部の溶剤としては、最終的な溶剤全体の組成から顔料分散液及び酸化防止剤分散液の調製に用いた溶剤の分を差し引いた組成を有するものを用い、最終濃度にまで希釈してインクジェットインクを完成させても良い。また、顔料分散液及び酸化防止剤分散液を比較的少量の主溶剤に投入して高濃度のインクジェットインクを調製しても良い。高濃度のインクジェットインクは、そのまま保存し、使用直前に最終濃度に希釈してインクジェット方式に使用することができる。
〔インクジェットインク組成物の物性〕
直ちにヘッドから吐出できるインクとする場合には、本発明のインクジェットインク組成物は、粘度が5〜11mPa・sであることが、インクジェットヘッドからの吐出性や吐出安定性の点から好ましい。粘度は、落球式粘度計、例えば自動マイクロ粘度計 AMVn (日本シイベルヘグナー株式会社)にて測定することができる。
また、本発明に係るインクジェットインク組成物は、表面張力が20〜35mN/mであることが、パターニング時に親疎インク部へのインクの流出を低減できる点から好ましい。表面張力は、表面張力計(ウィルヘルミー法)(例えば協和界面科学社製、自動表面張力計CBVP−Zなど)で測定することができる。
また、本発明に係るインクジェットインク組成物を均一な膜に成膜し、硬化して形成した硬化層は、電圧保持率の低下がなく、耐溶剤性に優れたものである。
2.カラーフィルター
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該画素の厚みが、当該画素の領域内で不均一であり、且つ、当該画素の少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
当該透明基板上の遮光部に囲まれた領域にインクジェット方式により画素が形成されると、画素の厚みが、該画素の領域内で不均一となる。すなわち、当該透明基板上の遮光部に囲まれた領域にインクジェット方式により画素が形成されると、そのインクと遮光部表面との親和性や遮光部の高さ、吐出するインキ量などの関係から、遮光部に囲まれた開口部における画素の形状は、該画素の外縁部又はその近傍に沿って厚みの小さい部分を有し、且つ当該厚みの小さい部分よりも画素の中心側に厚みの最大部を有するような形状となったり、逆に、該画素の外縁部又はその近傍に沿って厚みの大きい部分を有し、且つ当該厚みの大きい部分よりも画素の中心側に厚みの最小部を有するような形状となったり、さらに、その表面が凹凸形状になる。
本発明に係るカラーフィルターによれば、特定の構造を有する酸化防止剤を含む本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を用いることにより、当該画素がインクジェット法により形成されたような、上記のように膜厚が不均一な形状を有していても、耐熱性が良好で、変色したり、輝度やコントラストが低下することを抑制することができる。
図2は、本発明に係るカラーフィルターの一例(カラーフィルター103)を示す縦断面図である。このカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成された遮光部6と、当該遮光部上に所定のパターンで形成した画素7(7R,7G,7B)と、当該画素を覆うように形成された保護膜8を備えている。また、保護膜8上に液晶駆動用の透明電極膜9が形成されている。保護膜8はなくても良い。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明電極上には、配向膜10が形成されている。
柱状スペーサー12は凸状スペーサーの一形状であり、遮光部6が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極9上の所定の複数箇所(図2では4箇所)に形成されている。柱状スペーサー12は、透明電極9上若しくは画素7上若しくは保護膜8上に形成される。カラーフィルター102においては、保護膜8上に透明電極膜9を介して柱状スペーサーが海島状に形成されているが、保護膜8と柱状スペーサー12を一体的に形成し、その上を覆うように透明電極膜9を形成しても良い。また、カラーフィルターが遮光部を備えていない場合には、画素を形成していない領域に柱状スペーサーを形成することができる。
(透明基板)
透明基板5としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
(画素)
画素は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。画素における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
本発明においては、上記本発明に係るインクジェットインクを用いて画素を形成する。
画素の厚みは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色画素7Rが最も薄く、緑色画素7G、青色画素7Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚みを変えて、各色ごとに最適な厚みに設定してもよい。
(遮光部)
遮光部6は、表示画像のコントラストを向上させるために、画素7R,7G,7Bの間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられる。遮光部6は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、遮光部6は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法と、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法がある。
遮光部の厚さは、金属薄膜の場合は1000〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
保護膜8、透明電極膜9、配向膜10、柱状スペーサー12等は、特に限定されず、公知の材料を用いて公知の方法により適宜形成することができる。
(その他の層)
通常カラーフィルターに形成されるその他の部材をさらに含んでいても良い。例えば、インクジェット方式を用いてカラーフィルターが形成される場合には、画素間の隔壁があっても良い。インクジェット方式用の隔壁については、後述するインクジェット方式による製造方法のところで説明する。
3.カラーフィルターの製造方法
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて画素を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、インクジェット方式を用いるため、コスト低減や歩留まり向上を実現可能であり、生産性の高い製造方法である。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法の一例を、図3(A)〜図3(E)を用いて説明する。
先ず、図3(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板を準備する。
次に、図3(B)に示すように、透明基板5の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部6を形成する。遮光部6として、金属薄膜を形成する場合には、当該薄膜をパターニングすることにより形成することができる。このパターニングの方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、遮光部6として、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層を形成する場合には、パターニングの方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。或いは、後述する画素7と同様にインクジェット方式を用いて形成しても良い。
なお、遮光部のパターンの幅方向中央に、遮光部よりも幅の狭い撥インク性隔壁を必要に応じて形成しても良い。このような撥インク性隔壁の組成は、撥インク性を有する樹脂組成物であれば、特に限定されるものではない。また、特に透明である必要はなく、着色されたものであってもよい。例えば、遮光部に用いられる材料であって、黒色の材料を混入しない材料等を用いることができる。上記撥液性材料が好適に用いられる。また、この撥インク性隔壁は、その表面をシリコン化合物や含フッ素化合物等の撥インク処理剤で処理したものでもよい。
撥インク性隔壁のパターニングは、撥インク性樹脂組成物の塗工液を用いる印刷や、光硬化性塗工液を用いるフォトリソグラフィーにより行うことができる。撥インク性隔壁の高さは、上述したようにインクジェット法により着色する際にインクが混色することを防止するために設けられるものであることから、ある程度高いことが好ましいが、カラーフィルターとした場合の全体の平坦性を考慮すると、画素の厚さに近い厚さであることが好ましい。具体的には、吹き付けるインクの堆積量によっても異なるが、通常は0.1〜2.5μmの範囲内であることが好ましい。
次に、赤(R)、緑(G)、青(B)の顔料が配合された、上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクをそれぞれ用意する。そして、図3(C)に示すように、透明基板5の表面に、遮光部6のパターンにより画成された各色の画素形成領域31R、31G、31Bに、対応する色の画素形成用インクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する。インク層は赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されるように形成される。このインクの吹き付け工程において、インクジェットインクは、ヘッド32の先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続ける必要がある。この場合、所定の画素形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色の画素形成用インクジェットインクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに画素部を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、図3(D)に示すように、各色のインク層33R、33G、33Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜露光及び/又は加熱することにより硬化させる。インク層を適宜露光及び/又は加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化して画素が形成される。
次に、図3(E)に示すように、透明基板の画素34R、34G、34Bを形成した側に、保護膜8を形成する。保護膜は、透明な樹脂組成物を用いて、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により形成できる。例えば、スピンコーターにより500〜1500回転/分の範囲内で塗工後、露光及び/又は加熱することにより硬化させて形成することが好ましい。
尚、本発明において、保護膜はあってもなくても良い。
また、保護膜上の透明電極は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとすることができる。
その他においては、通常のカラーフィルターを形成する方法と同様の方法を用いて製造することができる。
4.液晶表示装置
更に、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルター、又は前記本発明に係るカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターであることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置は、上述のように輝度とコントラストが高い画素を有するカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
上記のようにして得られるカラーフィルター103(表示側基板)と、TFTアレイ基板(液晶駆動側基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る液晶表示装置に属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
液晶表示装置におけるその他の構成及び製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
本発明の液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In‐Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(製造例1:バインダー性エポキシ化合物の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
*1)表中の略号は以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
(サンプル1〜6:カラーフィルター用インクジェットインク組成物の調製)
(1)顔料分散液(I)の調製
顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記に示す割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液、及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液をそれぞれ調製した。
[顔料分散液の組成]
・顔料:10重量部
・顔料分散剤(アジスパーPb821(味の素ファインテクノ株式会社製)(有機溶剤中に固形分30重量%)):20重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):50重量部
(2)バインダー組成物の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[バインダー組成物の配合割合]
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン(株)製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):1重量部
(3)インクジェットインクの調製
上記で得られた顔料分散液、及びバインダー組成物を用いて、表2に示す配合割合で十分に混合し、サンプル1のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。また、表2に示す配合割合で十分に混合し、サンプル2〜6のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を同様に得た。
尚、表2中の第二溶剤のEEPとは、3−エトキシプロピオン酸エチルである。
*3)IRGANOX 1010:テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(分子量1178、融点110〜125℃)(チバ・ジャパン株式会社製)
サンプル1〜6で得られたカラーフィルター用インクジェットインク組成物を用いて、塗膜を作製後、240℃、240分間加熱し、輝度の変化を測定した。次に、サンプル1のインク組成物を参考実験1、サンプル1及びサンプル2のインク組成物を用いて算出したものを参考実験2、サンプル1及びサンプル3のインク組成物を用いて算出したものを参考実験3、サンプル4のインク組成物を参考実験4、サンプル4及びサンプル5のインク組成物を用いて算出したものを参考実験5、サンプル4及びサンプル6のインク組成物を用いて算出したものを参考実験6とし、輝度の変化を計算した結果を図4に示す。
尚、輝度の測定は、顕微分光光度計(商品名「OSP200」、オリンパス社製)を用いて行った。
(実施例1)
(1)顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記に示す割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液、及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液をそれぞれ調製した。
[顔料分散液の組成]
・顔料:10重量部
・顔料分散剤(アジスパーPb821(味の素ファインテクノ株式会社製)(有機溶剤中に固形分30重量%)):20重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):50重量部
(2)バインダー組成物の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[バインダー組成物の配合割合]
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン(株)製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):1重量部
(3)インクジェットインクの調製
表3に示されるような配合割合となるように、上記で得られたPB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液、及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液と、その他の成分を十分に混合し、実施例1のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。なお表3中の第二溶剤のEEPとは、3−エトキシプロピオン酸エチルである。
(実施例2)
前記実施例1において、酸化防止剤の配合量を0.09重量部にした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
(実施例3)
前記実施例1において、酸化防止剤の配合量を0.18重量部にした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例3のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
(実施例4)
前記実施例1において、酸化防止剤の配合量を0.88重量部にした以外は、前記実施例1と同様にして、実施例4のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
(実施例5)
前記実施例1において、酸化防止剤として、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名:IRGANOX 1076、チバ・ジャパン株式会社製)を0.88重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例5のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
(実施例6)
前記実施例1において、酸化防止剤として、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(商品名:IRGANOX 1098、チバ・ジャパン株式会社製)を0.88重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例6のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
(比較例1)
前記実施例1において、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(商品名:ヨシノックス BHT、エーピーアイコーポレーション社製)を0.18重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして、比較例1のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
(比較例2)
前記比較例1において、酸化防止剤の配合量を0.88重量部にした以外は、前記比較例1と同様にして、比較例2のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
(比較例3)
前記実施例1において、酸化防止剤を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして、比較例3のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を得た。
なお、表3に実施例1〜6、及び比較例1〜3のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を示す。
*3)IRGANOX 1010:テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(分子量1178、融点110〜125℃)(チバ・ジャパン株式会社製)
*4)ヨシノックス BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(分子量220、融点71℃)(エーピーアイコーポレーション社製)
*5)IRGANOX 1076:n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量531、融点50〜55℃)(チバ・ジャパン株式会社製)
*6)IRGANOX 1098:N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(分子量637、融点156〜161℃)(チバ・ジャパン株式会社製))
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたカラーフィルター用インクジェットインク組成物を用いて、塗膜を作製後、240℃、140分間加熱し、輝度の変化を測定した結果を図5に示す。
尚、輝度の測定は、顕微分光光度計(商品名「OSP200」、オリンパス社製)を用いて行った。
(参考例1)
(1)バインダー組成物の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[バインダー組成物の配合割合]
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン(株)製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):1重量部
(2)インクジェットインクの調製
表4に示されるような配合割合となるように、上記で得られたバインダー組成物と、その他の成分を十分に混合し、参考例1のインクジェットインク組成物を得た。
(参考例2)
前記参考例1において、酸化防止剤として、IRGANOX 1010を0.8重量部、Sumilizer TPMを0.8重量部用いた以外は、前記参考例1と同様にして、参考例2のインクジェットインク組成物を得た。
(参考例3)
前記参考例1において、酸化防止剤として、IRGANOX 1010を2.3重量部、Sumilizer TP−D(商品名、住友化学製)を2.3重量部用いた以外は、前記参考例1と同様にして、参考例3のインクジェットインク組成物を得た。
(参考例4)
前記参考例1において、酸化防止剤として、IRGANOX 1010を4.5重量部用いた以外は、前記参考例1と同様にして、参考例4のインクジェットインク組成物を得た。
(参考例5)
前記参考例1において、酸化防止剤として、IRGAFOS B225(商品名、チバ・ジャパン(株)製(IRGANOX 1010:IRGAFOS 168=1:1のブレンド))を4.5重量部用いた以外は、前記参考例1と同様にして、参考例5のインクジェットインク組成物を得た。
(参考例6)
前記参考例5において、酸化防止剤として、IRGAFOS B225を1.6重量部用いた以外は、前記参考例5と同様にして、参考例6のインクジェットインク組成物を得た。
なお、表4に参考例1〜6のインクジェットインク組成物を示す。
*3)IRGANOX 1010:テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(分子量1178)(チバ・ジャパン株式会社製)
*7)Sumilizer TPM:ジミリスチルチオジプロピオネート(分子量571)(住友化学製)
*8)Sumilizer TP−D:ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(分子量1162)(住友化学製)
*9)IRGAFOS B225:50%IRGAFOS 168;50%IRGANOX 1010(チバ・ジャパン株式会社製)
参考例1〜6で得られたインクジェットインク組成物を用いて、塗膜を作製後、240℃、140分間加熱し、輝度の変化率を測定した結果を図6に示す。
尚、輝度の変化率の測定は、顕微分光光度計(商品名「OSP200」、オリンパス社製)を用いて行った。
(結果のまとめ)
図5より、酸化防止剤として、上記化学式(1)で表わされる基を有するフェノール系化合物を用いた実施例1〜6では、酸化防止剤を用いない比較例3、並びに、従来より接着剤、ゴム、繊維加工剤、包装材料等において酸化防止剤として用いられてきたBHTを用いた比較例1及び2よりも、輝度低下を低減することができた。
また、図6より、酸化防止剤として、上記フェノール系化合物(IRGANOX 1010)を4.5重量部用いた参考例4と、酸化防止剤として、IRGANOX 1010及び硫黄系酸化防止剤(Sumilizer TPM又はSumilizer TP−D)を合計4.5重量部用いた参考例1又は3を比較すると、酸化防止剤として、フェノール系化合物を単体で用いるよりもフェノール系化合物と硫黄系酸化防止剤とを併用した方が、輝度低下を低減する効果が高いことがわかった。また、フェノール系化合物を単体で4.5重量部用いた参考例4と、フェノール系化合物及び硫黄系酸化防止剤を合計1.6重量部用いた参考例2は、輝度低下が同程度であったことから、フェノール系化合物と硫黄系酸化防止剤とを併用することで、酸化防止剤の配合量を少なくすることができることがわかった。
また、酸化防止剤として、フェノール系化合物とリン系酸化防止剤とを併用した参考例5及び6は、フェノール系化合物を単体で用いた参考例4と比較すると、輝度低下を低減する効果が低かった。
また、図4より、顔料分散剤、及び熱硬化性バインダーを含まないインクジェットインク組成物(参考実験2及び5)では、酸化防止剤を添加しても輝度にほとんど変化はみられなかった。一方、顔料、顔料分散剤、及び熱硬化性バインダーを含むインクジェットインク組成物(参考実験1及び4)、並びに熱硬化性バインダーを含まないインクジェットインク組成物(参考実験3及び6)では、酸化防止剤を添加することにより、輝度低下が減少した。参考実験2に対する参考実験5の輝度上昇率と、参考実験3に対する参考実験6の輝度上昇率の差は、参考実験3に対する参考実験6の輝度上昇率と、参考実験1に対する参考実験4の輝度上昇率の差より大きかった。
従って、インクジェットインク組成物中に酸化防止剤を含有することにより、熱硬化性バインダーや顔料分散剤に起因、特に顔料分散剤に起因する輝度低下を抑えることができることがわかった。
1 カラーフィルター
2 電極基板
3 間隙部
4 シール材
5 透明基板
6 遮光部
7(7R、7G、7B) 画素
8 保護膜
9 透明電極膜
10 配向膜
11 パール
12 柱状スペーサー
31 画素形成領域
32 インクジェットヘッド
33 インク層
34 画素部
101、102 カラー液晶表示装置
103 カラーフィルター

Claims (13)

  1. 顔料、顔料分散剤、熱硬化性バインダー、有機溶剤、及び酸化防止剤を含有し、当該酸化防止剤が、下記化学式(1)に示す基を少なくとも1つ有するフェノール系化合物であるカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
    (化学式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
  2. 前記化学式(1)におけるRがt−ブチル基である、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
  3. 前記酸化防止剤の分子量が600以上である、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
  4. 前記酸化防止剤の融点が150℃以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
  5. 硫黄系酸化防止剤を更に含有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
  6. 前記硫黄系酸化防止剤が、下記化学式(2)〜(4)から選ばれる少なくとも1種のスルフィドである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
    (化学式(2)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
    (化学式(3)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるR、R及びRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
    (化学式(4)中、Rは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基である。また、複数あるRは互いに同じであっても異なっていても良い。)
  7. 前記硫黄系酸化防止剤の分子量が500以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
  8. 前記フェノール系化合物及び前記硫黄系酸化防止剤の含有量の総和が、全固形分に対して、0.01重量%以上10重量%未満である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
  9. 前記硫黄系酸化防止剤の含有量が、前記フェノール系化合物の全量100重量部に対して、10〜1000重量部である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
  10. 前記顔料分散剤が、ポリアリルアミン誘導体である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
  11. 透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該画素の厚みが、当該画素の領域内で不均一であり、且つ、当該画素の少なくとも1つが、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする、カラーフィルター。
  12. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、
    前記インク層を硬化させて画素を形成する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
  13. 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、表示側基板が請求項11に記載のカラーフィルター、又は請求項12に記載のカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターであることを特徴とする、液晶表示装置。
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