JP2009237132A - カラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基板と、当該透明基板上に、開口部を有する所定パターン状のブラックマトリクス層が形成され、当該開口部にR画素、G画素及びB画素が選択的に形成されたカラーフィルターであって、前記画素の膜厚において、最も厚い部分(T)と最も薄い部分(B)の差をT−B差と称し、これを数式T−Bで算出される値で表すこととし、前記ブラックマトリクス層の膜厚(Y)と前記画素の平均膜厚(X)との差をX−Y差と称し、これを数式X−Yで算出される値で表すこととしたときに、前記R画素では、T−Bが0μm以上1.4μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、前記G画素では、T−Bが0μm以上1.4μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、前記B画素では、T−Bが0μm以上1.0μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、であることを特徴とする、カラーフィルター。
【選択図】なし
Description
これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、特許文献1には、基板表面にインクジェット方式でインクを吹き付けて画素を形成する方法が提案されている。
これに対して、上記カラーフィルターによれば、前記各画素の膜厚において、最も厚い部分(T)と最も薄い部分(B)の差を上記特定の範囲とすることにより、平坦性の高い画素を形成することができるため、輝度及びコントラストに優れたカラーフィルターを得ることができる。また、前記ブラックマトリクス層の膜厚(Y)と前記各画素の平均膜厚(X)との差を上記特定の範囲とすることにより、当該ブラックマトリクス層と当該画素との段差を小さくすることができ、液晶表示装置を組み立てる際に、不具合を生じ難くすることができる。
尚、「固形分」とは、インク中の溶剤以外の成分を示すものである。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法によれば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを主体とする溶剤を用いることにより、短時間で乾燥させても表面ムラが生じず、平坦性の高い画素を形成することが可能となり、輝度及びコントラストに優れたカラーフィルターを得ることができる。
また、本発明によれば、上記カラーフィルターを用いることにより、高品質な液晶表示装置を提供することができる。
I.カラーフィルター
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に、開口部を有する所定パターン状のブラックマトリクス層が形成され、当該開口部にR画素、G画素及びB画素が選択的に形成されたカラーフィルターであって、前記画素の膜厚において、最も厚い部分(T)と最も薄い部分(B)の差をT−B差と称し、これを数式T−Bで算出される値で表すこととし、前記ブラックマトリクス層の膜厚(Y)と前記画素の平均膜厚(X)との差をX−Y差と称し、これを数式X−Yで算出される値で表すこととしたときに、前記R画素では、T−Bが0μm以上1.4μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、前記G画素では、T−Bが0μm以上1.4μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、前記B画素では、T−Bが0μm以上1.0μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、であることを特徴とする。
以下、各構成部材について説明する。
本発明のカラーフィルターを構成する透明基板は、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
本発明のカラーフィルターを構成する画素は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の3色で形成される。画素における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
画素の平均膜厚は、通常0.5μm以上2.8μm以下程度とし、当該画素の平面寸法(二次元寸法)は、通常100〜200×400〜600μm程度とする。画素の平均膜厚が、2.8μmを超えると、当該画素は中央部が大きく盛り上がった形状になり、輝度の低下を引き起こす。一方、0.5μm未満の場合、当該画素は中央部付近が大きく落ち込んだ形状になり、やはり輝度の低下を引き起こす。また、当該画素の平均膜厚が上記範囲内であれば、例えば、赤色画素7Rが最も薄く、緑色画素7G、青色画素7Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚みを変えて、各色ごとに最適な厚みに設定してもよい。
尚、画素の平均膜厚は、画素形成領域の全エリアの膜厚を平面方向(二次元方向)1μm毎、又はそれよりも短い間隔で求め、それらの平均を求めたものである。
ブラックマトリクス層は表示画像のコントラストを向上させるために設けられるが、インクジェット方式によるカラーフィルターを作成する場合には、各画素を仕切るための隔壁の役割も果たす。
ブラックマトリクス層の膜厚は、1.8μm以上3.0μm以下であることが好ましく、更に、1.9μm以上2.5μm以下であることが好ましい。ブラックマトリクス層の膜厚が3.0μmを超えると、ブラックマトリクス層の強度及びパターン精度が不十分な場合がある。また、得られる画素は、中央部付近が大きく落ち込んだ形状になり、当該形状は、輝度の低下を改善する上で特に大きな阻害要因となる。一方、1.8μm未満の場合、インク層を堆積する際に決壊が生じやすく、また、得られる画素は、ブラックマトリクス層の端部付近の膜厚が大きく落ち込み、且つ中央部が大きく盛り上がった形状になり、やはり輝度の低下を引き起こす。
また、ブラックマトリクス層6として、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層を形成する場合には、パターニングの方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。或いは、画素と同様にインクジェット方式を用いて形成しても良い。
尚、上記範囲の膜厚を有するブラックマトリクス層の形成が容易な点から、樹脂バインダー中に遮光性粒子を含有させたブラックマトリクス層を用いることが好ましい。
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、画素7に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、ブラックマトリクス層6及び画素7を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることによって形成できる。
保護膜8の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。
凸状スペーサーは、カラーフィルター103をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。凸状スペーサーの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。凸状スペーサーとして図示したような柱状スペーサー12を形成する場合には、2μm〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5μm〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサーの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各画素の1組に1個の割合で必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサーの形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であっても良い。
透明電極膜9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて形成することができる。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは80〜300nm程度とすることできる。
通常カラーフィルターに形成されるその他の部材をさらに含んでいても良い。配向膜やその他の部材においては、通常カラーフィルターに用いられるものを用いて、通常の方法で形成することができる。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、顔料、顔料分散剤、バインダー成分、溶剤を含有し、当該溶剤のうち70〜100重量%がジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートである、R画素形成用インク、G画素形成用インク、及びB画素形成用インクからなるカラーフィルター用インクジェットインクを準備する工程(A)と、開口部を有する所定パターン状のブラックマトリクス層を設けた透明基板を準備する工程(B)と、インクジェット方式によって、前記工程(A)で得られるR画素形成用インク、G画素形成用インク、及びB画素形成用インクを透明基板上のブラックマトリクス層の所定の開口部に選択的に付着させて、Rインク層、Gインク層、及びBインク層をそれぞれ形成する工程(C)と、前記各インク層を温度50℃以下、圧力20Pa以下の条件で減圧乾燥し溶剤成分を揮発させた後に、硬化させて、R画素、G画素、及びB画素をそれぞれ形成する工程(D)とを含むものである。
本発明に用いるインクジェットインクは、顔料、顔料分散剤、バインダー成分、溶剤、及び、必要に応じて界面活性剤を含有する。
本発明に用いられるインクジェットインクにおいて、前記R画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、及びC.I.ピグメントイエロー150よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含み、前記G画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139及びC.I.ピグメントイエロー150よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含み、前記B画素形成用インクは、顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含むことが、平坦性の高い画素を形成する点から好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
上記顔料の含有量は、固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合される。
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインクジェットインク中に配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
上記顔料分散剤の含有量は、固形分全体に対して5〜50重量%、更に固形分全体に対して10〜30重量%であることが好ましい。
本発明に用いられるインクジェットインクは、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。本発明において、バインダー成分とはインク中に含まれる、画素を所定の位置に付着させ固定するために含有させる成分であり、通常は混合物である。また、本発明に用いるインクジェットインクは塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するために、インクジェット方式により基板上にインク層(塗工膜)のパターンを形成後、当該インク層を重合反応により硬化させることのできるバインダー成分を用いる。このような機能を有するバインダー成分であれば、カラーフィルター用途のインクに適用可能な硬化性のバインダー成分を用いることができる。例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分のような、重合硬化可能なバインダー成分を用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むバインダー成分においては、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の高い重合体を含むことが好ましい。ここでいう比較的分子量が高いとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が高いことをいい、重量平均分子量5,000以上を目安にすることができる。比較的分子量の高い重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせて用いても良い。そして、比較的分子量の高い重合体を主体とし、必要に応じて、光重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマーやオリゴマー、光重合性官能基を1つ有する単官能のモノマーやオリゴマー、光により活性化する光重合開始剤、及び、増感剤などを配合して、光硬化性バインダー成分を構成する。
また、硬化したインク層に十分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めたインクの固形分全量に占めるバインダー成分の合計割合を50〜75重量%とするのが好ましい。
本発明に用いるインクジェットインクは、当該インクを保存用の高濃度液として又は直ちにヘッドから吐出できるように調製するために、溶剤を配合する。
本発明に用いる溶剤は、主溶剤として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを70〜100重量%の割合で配合する。ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは、乾燥が遅いためインクジェットでの間欠吐出性に優れる一方、塗膜形成時に乾燥が遅いことから、生産タクトに問題がある。そこで、生産タクトを向上させる目的で、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと低沸点溶剤を混合した混合溶剤が用いられている。しかし、組み合わせる低沸点溶剤の種類によっては、画素の平坦性の悪化を引き起こす場合がある。これに対して、本発明では、基板温度が50℃以下、圧力20Pa以下の条件で減圧乾燥を行なうことで、短時間で乾燥させても表面ムラが生じず、平坦性の高い画素を形成することができ、表示性能の向上が図れる。
尚、「主溶剤」とは、溶剤全量のうち50重量%以上を占める溶剤のことである。主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には70重量%以上、好ましくは90重量%以上とし、最も好ましくは100重量%の単独溶剤である。
更に、本発明に用いられるインクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
c)レベリング剤:例えば、ポリオキシアルキレン系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、特殊アクリル系重合体、ビニルエーテル系重合体等のビニル系重合体など、フッ素系界面活性剤。
d)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
本発明に用いられるインクジェットインクは、各成分を溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー成分等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合することによって、本発明のインクジェットインクとすることができる。
ブラックマトリクス層を設けた透明基板を準備する工程(B)について、図2を用いて説明する。
先ず、図2(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板を準備する。
透明基板5としては、上記カラーフィルターにおいて説明したものと同様である。
ブラックマトリクス層6は、インクを所定領域に付着させるための隔壁であり、各画素の間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられることにより、表示画像のコントラストを向上させることができる。
尚、ブラックマトリクス層に対する上記インクジェットインクの接触角(θ)は、当該インクジェットインク3μL、及びブラックマトリクス基板を用意し、24℃(室温)の条件下、DROP MASTER DM−500(協和界面科学株式会社製)を用い、液滴法及びθ/2法により測定することができる。
次に、工程(A)で準備したインクジェットインクをインクジェット方式によって、透明基板上の所定領域に選択的に付着させて、インク層を形成する。インクジェット方式であるため、従来のフォトリソグラフィー法等に比べて生産性が高く、コスト低減や歩留まり向上が実現可能である。
前記工程(C)で得られるインク層を硬化させ、本発明特有の形状を有する画素を形成する。図2(D)に示すように、各色のインク層23R、23G、23Bを基板温度が50℃以下の条件で減圧乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜露光及び/又は加熱することにより硬化させる。インク層を適宜露光及び/又は加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化して画素が形成される。
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、画素に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性樹脂組成物又は熱硬化性樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、ブラックマトリクス層及び画素を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることによって形成できる。
その他においては、通常のカラーフィルターを形成する方法と同様の方法を用いて製造することができる。
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルターであることを特徴とする。本発明によれば、上記カラーフィルターが用いられていることにより、高品質な液晶表示装置を提供することができる。
液晶表示装置におけるその他の構成及び製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(1)赤色顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いて4時間分散し、PR254(C.I.ピグメントレッド254)顔料分散液、PR177(C.I.ピグメントレッド177)顔料分散液、及びPY150(C.I.ピグメントイエロー150)顔料分散液をそれぞれ調製した。
・顔料:10重量部
・顔料分散剤(アジスパーPb821(味の素ファインテクノ株式会社製)(有機溶剤中に固形分30重量%)):15重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従ってバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤を加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、ジャパンエポキシレジン製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):10重量部
表2に示される配合割合で、上記調製したPR254顔料分散液、PR177顔料分散液、PY150顔料分散液、バインダー組成物、及び低沸点溶剤(3−エトキシプロピオン酸エチル)を充分に混合し、インクジェットインクを調製した。
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚2.0μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
常圧プラズマ装置を用いてブラックマトリクス層上部におけるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの接触角(θ)が50°となる基板を作製した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された画素形成部に、上記インクジェットインクをインクジェット方式によって付着させた。
得られたカラーフィルターについて、下記評価を行った。評価結果を表2に併せて示す。
1.表示性能
表示性能に関しては、輝度及びコントラストの色性能が目標スペックをクリアし、かつ液晶表示不良がない場合を○とした。
ブラックマトリクス層の膜厚を2μmに設定し、上記実施例1〜8で調製した各インクを用いて、画素の平均膜厚を変え、基板上に画素パターンを形成し、各々のP/V比、X−Y差、及びT−B差を求めた結果を表3にまとめた。
表4に示す配合量に従って、上記実施例1と同様にして、インクジェットインクを調製し、基板上に画素パターンを形成した。
実施例9の塗膜の形成工程において、減圧乾燥を行わなかった以外は、実施例9と同様にして基板上に画素パターンを形成した。
2.表示ムラ
得られたカラーフィルターをライトテーブルの上で目視観察した。カラーフィルターの表面にムラが発生しなかった場合を「○」とし、ムラが発生した場合を「×」とした。
実施例9では表示ムラは確認されなかったが、実施例10ではカラーフィルターの額縁近傍付近に表示ムラが発生した。減圧乾燥を行わなかった実施例10では、乾燥工程で溶剤が十分に乾燥していなかったことから、次の加熱工程において乾燥が速く進行する方向に溶質のフローが発生するため額縁近傍の画素の着色層形状が変形し、その結果カラーフィルターの額縁近傍付近に表示ムラが発生したと考えられる。
実施例5で調製したインクジェットインクを用意し、厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に、ブラックマトリクス層用硬化性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚2.0μmのブラックマトリクスパターンを形成した。
常圧プラズマ処理条件を変更し、ブラックマトリックス上部におけるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの接触角(θ)が50°の基板を準備した。
上記基板のブラックマトリクス層により区画された画素形成部に、上記インクジェットインクをインクジェット方式によって付着させた。
その後、23℃のホットプレート上で240秒間0.15Torrの減圧乾燥を行い、更に、90℃のホットプレート上で60分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で240℃で40分加熱してポストベークを行って、基板上に画素パターンを形成した。
実施例11において、ブラックマトリクス層上部におけるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの接触角(θ)を60°に変更した以外は、上記実施例11と同様にして、基板上に画素パターンを形成した。
得られたカラーフィルターについて、表示性能評価を行った結果を表6に示す。
2 電極基板
3 間隙部
4 シール材
5 透明基板
6 ブラックマトリクス層
7(7R、7G、7B) 画素
8 保護膜
9 透明電極膜
10 配向膜
11 パール
12 柱状スペーサー
20 インクジェットヘッド
21 画素形成領域
23 インク層
24 画素部
31 画素
32 外縁部
33 外縁部の近傍
34 膜厚の最も薄い部分(B)
35 膜厚の最も厚い部分(T)
36 ブラックマトリクス
101、102 カラー液晶表示装置
103、104 カラーフィル
Claims (6)
- 透明基板と、当該透明基板上に、開口部を有する所定パターン状のブラックマトリクス層が形成され、当該開口部にR画素、G画素及びB画素が選択的に形成されたカラーフィルターであって、
前記画素の膜厚において、最も厚い部分(T)と最も薄い部分(B)の差をT−B差と称し、これを数式T−Bで算出される値で表すこととし、前記ブラックマトリクス層の膜厚(Y)と前記画素の平均膜厚(X)との差をX−Y差と称し、これを数式X−Yで算出される値で表すこととしたときに、前記R画素では、T−Bが0μm以上1.4μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、前記G画素では、T−Bが0μm以上1.4μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、前記B画素では、T−Bが0μm以上1.0μm以下、X−Yが−0.5μm以上0.5μm以下、であることを特徴とする、カラーフィルター。 - 顔料、顔料分散剤、バインダー成分、溶剤を含有し、当該溶剤のうち70〜100重量%がジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートである、R画素形成用インク、G画素形成用インク、及びB画素形成用インクからなるカラーフィルター用インクジェットインクを準備する工程(A)と、
開口部を有する所定パターン状のブラックマトリクス層を設けた透明基板を準備する工程(B)と、
インクジェット方式によって、前記工程(A)で得られるR画素形成用インク、G画素形成用インク、及びB画素形成用インクを透明基板上のブラックマトリクス層の所定の開口部に選択的に付着させて、Rインク層、Gインク層、及びBインク層をそれぞれ形成する工程(C)と、
前記各インク層を温度50℃以下、圧力20Pa以下の条件で減圧乾燥し溶剤成分を揮発させた後に、硬化させて、R画素、G画素、及びB画素をそれぞれ形成する工程(D)
とを含む、カラーフィルターの製造方法。 - 前記R画素形成用インクが、顔料として、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、及びC.I.ピグメントイエロー150よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含み、前記G画素形成用インクが、顔料として、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139及びC.I.ピグメントイエロー150よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含み、前記B画素形成用インクが、顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23よりなる群から選ばれる少なくとも1種の顔料を含む、請求項2に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記顔料の重量(P)と、前記顔料以外の固形分の重量(V)との比(P/V比)が、R画素を形成する場合には0.4〜1.1、G画素を形成する場合には0.5〜1.2、B画素を形成する場合には0.2〜0.6である、請求項2又は3に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記ブラックマトリクス層に対する前記ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの接触角(θ)が、40〜70°である、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記請求項1に記載のカラーフィルターであることを特徴とする、液晶表示装置。
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