JP5422983B2 - カラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルター及び当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置 - Google Patents
カラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルター及び当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5422983B2 JP5422983B2 JP2008311426A JP2008311426A JP5422983B2 JP 5422983 B2 JP5422983 B2 JP 5422983B2 JP 2008311426 A JP2008311426 A JP 2008311426A JP 2008311426 A JP2008311426 A JP 2008311426A JP 5422983 B2 JP5422983 B2 JP 5422983B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- pigment
- antioxidant
- color filter
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
- Optical Filters (AREA)
Description
一般にカラー液晶表示装置(101)は、図2に示すように、カラーフィルター1とTFT基板等の電極基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶化合物Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、着色層間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成された遮光層(ブラックマトリックス層)6と、各画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した着色層7と、オーバーコート層8と、透明導電層9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。また、カラーフィルター1及びこれと対向する電極基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーが設けられる。スペーサーとしては一定粒子径を有するパール11を分散したり、又は、図3に示すようにセルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を、カラーフィルターの内面側であって遮光層6が形成されている位置と重なり合う領域に形成したりする。そして、各色に着色された着色層それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクの大きな特徴の1つとして、酸化防止剤を含有することが挙げられる。
カラーフィルターを作製する工程における焼成等の加熱工程において、カラーフィルター内のインク材料が酸化を起こすことが、インク材料を劣化させ、ひいては、カラーフィルターの輝度向上を阻む大きな原因になると考えられた。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、酸化防止剤を含有することによって、後述するラジカルの補足及び過酸化物の分解の少なくともいずれか一方を行うことにより、これら2つの機構のうち、少なくともいずれか1つの機構を阻害することができ、輝度の低下を低減させることを可能にする。
1次酸化防止剤とは、ラジカル補足剤としての能力をもつ化学種であり、具体的には、上述したインク材料中の分子(R−H)が酸素(O2)及び光、熱などによって変換されたラジカル自体(R・、R−O・、R−O−O・等)を捕捉することによって、続くインク材料の劣化を防止する働きを有する酸化防止剤のことである。
このように、適切な分子量を有する1次酸化防止剤を有することにより、加熱工程により生じるラジカルを補足でき、したがって本発明の効果である輝度の低下の低減効果を得ることができる。
フェノール系酸化防止剤とは、少なくとも1つのベンゼン環上に、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する化学構造を有する酸化防止剤のことである。具体的には、ベンゼン環上の2位、4位及び6位の少なくともいずれか1つ、あるいは、3位、4位及び6位の少なくともいずれか1つに、ラジカルを有する他の分子を排除し得るような置換基、例えば、嵩高い置換基(例えば、t‐ブチル基、アダマンチル基など)を有する化学構造を有する酸化防止剤であることが好ましい。
初めに、ペルオキシドラジカル(R−O−O・)がフェノール系酸化防止剤分子(構造(a))から水素ラジカルを引き抜くことにより、過酸化物(R−O−O−H)が生成する。水素ラジカルを引き抜かれたフェノール系酸化防止剤分子(構造(b))は、不対電子を4位に有する他の共鳴構造(構造(c))を有し、当該共鳴構造が他のペルオキシドラジカル(R−O−O・)と反応することにより、ラジカルを捕捉することができる(構造(d))。なお、水素ラジカルを引き抜かれたフェノール系酸化防止剤分子(構造(b))もラジカル(フェニルラジカル)であるが、ベンゼン環上の2位、4位及び6位の少なくともいずれか1つに嵩高い置換基を有するため、フェニルラジカルそのものの攻撃性が小さく、したがって、他のラジカル(上記式(I)に示したような、R・、R−O・、R−O−O・等のラジカル)同様のインク材料劣化を引き起こすことはない。
2次酸化防止剤とは、過酸化物を分解する能力をもつ化学種であり、具体的には、上述した過酸化物(R−O−O−H)を、光、熱などによってラジカルへと変換される前に分解することによって、続くインク材料の劣化を防止する働きを有する酸化防止剤のことである。
このように、適切な分子量を有する2次酸化防止剤を有することにより、加熱工程により生じる過酸化物を分解でき、したがって本発明の効果である輝度の低下の低減効果を得ることができる。
リン系酸化防止剤とは、少なくとも1つのリン原子上に、少なくとも1つのアルコキシ基又はアリールオキシ基を有する化学構造を有する酸化防止剤のことである。具体的には、リン原子上に3つのアルコキシ基及び/又はアリールオキシ基を有する化学構造である亜リン酸トリエステル構造を有する酸化防止剤であることが好ましい。
硫黄系酸化防止剤とは、少なくとも1つの硫黄原子を有する化学構造を有する酸化防止剤のことである。具体的には、当該硫黄原子上に2本のアルキル鎖が付加したチオエーテルであり、且つ、当該アルキル鎖上に、脂肪酸エステルが置換している化学構造を有する酸化防止剤であることが好ましい。
なお、1次酸化防止剤及び2次酸化防止剤を併用する場合、後述する熱硬化性成分、顔料及び顔料分散剤の合計量に対して1次酸化防止剤の含有量が0.001〜20質量%であることが好ましい。これは、仮に1次酸化防止剤の含有量が0.001質量%未満であるとすると、ラジカルの補足を十分に行うことができないからであり、また、1次酸化防止剤の含有量が20質量%を超える値であるとすると、2次酸化防止剤の含有量が必要量よりも少なくなるため、過酸化物の分解が十分に行えないからである。
さらに、後述する熱硬化性成分、顔料及び顔料分散剤の合計量に対して1次酸化防止剤の含有量が0.01質量%以上であることが特に好ましく、0.1質量%以上であることが最も好ましい。また、酸化防止剤全体における1次酸化防止剤の含有量が10質量%以下含有することが特に好ましく、5質量%以下含有することが最も好ましい。
本発明に用いるインクジェットインクにおける着色剤としては、公知の有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
本発明に用いるインクジェットインクにおいて、顔料は、インクジェットインク中に含まれる熱硬化性成分、顔料及び顔料分散剤の合計量に対して、通常は1〜60質量%、好ましくは15〜40質量%の割合で配合される。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(0.5〜3.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
顔料分散剤は、上記顔料を良好に分散させるために顔料分散液中に更に配合されることが好ましい。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、溶剤に少量溶解するような顔料誘導体を顔料分散剤として用いてもよい。
本発明の製造方法においてインクジェットインクに用いられる溶剤は、第一溶剤として沸点が180℃〜260℃で、好ましくは210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg以下、好ましくは0.1mmHg以下の溶剤成分を溶剤の全量に対して60〜95重量%含有し、更に第二溶剤として沸点が130℃以上180℃未満の溶剤成分を溶剤の全量に対して5〜40重量%含有することが好ましい。
中でも、第二溶剤に用いられる各溶剤成分の沸点は、更に、140℃〜180℃であることが、特に140℃〜175℃であることが、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な塗膜が得られ易い点から好ましい。
前記第二溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールエーテル類や、グリセリン1,3−ジメチルエーテルのようなグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類を含むグリコールエステル類や、グリセリン1−モノアセタートのようなグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類;イソ吉草酸、イソ酪酸、プロピオン酸、酪酸のようなカルボン酸類;イソ吉草酸エチル、蟻酸ヘキシル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、乳酸メチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチルのような脂肪族エステル類;3−エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸メチルのようなケトカルボン酸エステル類;n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルブタノール、グリシドール、n−ヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−ヘプタノールのような1価アルコール類;ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールのようなエーテル類;エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘキシルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類;ノナン、デカン等のアルカン類等が挙げられる。
本発明のインクジェットインクは、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー形成系としての熱硬化性成分を含有する。本発明において、バインダー形成系とはインク中に含まれる、画素を所定の位置に付着させ、固定するために含有させる液状混合物であり、後の硬化プロセスにおいて反応性を有する硬化性化合物の他、それ自体反応性を有さない化合物も含むものである。熱硬化性成分としては、好ましくは、熱硬化性樹脂成分を用いることができる。
重合体中の式(2)で表される構成単位は、下記式(4)で表されるモノマーから誘導される。
なお、エポキシ化合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができ、測定条件としては、例えば、テトラヒドロフランを展開液とし、HLC−8029(東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR’]+X−、スルホニウム化合物[R3SR’]+X−、オキソニウム化合物[R3OR’]+X−等を挙げることができる。なお、ここでR及びR’はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、増感剤、硬化促進剤(連鎖移動剤)、分散助剤、充填剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を例示することができる。
図1(a)に示されたカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成された遮光層6と、当該遮光層上に所定のパターンで形成した着色層7(7R,7G,7B)と、当該着色層を覆うように形成されたオーバーコート層8を備えている。オーバーコート層上に必要に応じて液晶駆動用の透明導電層9が形成される場合もある。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明導電層上には、配向膜10が形成される。
遮光層の厚さは、適応するカラーフィルターにより異なり、0.5〜2.5μm程度とする。
着色層の厚さは、通常、0.5〜3.0μm程度とする。
オーバーコート層を形成する場合の層の厚さは、樹脂組成物の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定し、例えば、0.1〜2.0μm程度とする。
本発明に係る製造方法によって得られる液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In−Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
(製造例1:バインダー性エポキシ化合物の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7質量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で表1に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7質量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6質量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日油(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
(1)顔料分散液の調製
顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を表2〜4に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300質量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、青色、赤色、緑色顔料分散液を得た。
アジスパーPb821:商品名、味の素ファインテクノ(株)製
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
本実施例において使用した酸化防止剤は、表5に示すとおりである。なお、以下の記述においては、酸化防止剤について記載する際には、特に断りのない限り、下記表5に示した酸化防止剤の略号で示すこととする。
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30質量%):62.5質量部(したがって、バインダー性エポキシ化合物単体では18.75質量部相当)
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート157S70、ジャパンエポキシレジン(株)製):12.5質量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:6.25質量部
・トリメリット酸:12.5質量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):6.25質量部
表6に示されるような配合割合となるように、上記で得られた製造例2の各青色用顔料分散液を用いて、上記バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、実施例14、参考例1−13、比較例1−4のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
表7に示されるような配合割合となるように、上記で得られた製造例3の各赤色用顔料分散液を用いて、上記バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、参考例14、比較例5のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
表8に示されるような配合割合となるように、上記で得られた製造例4の各緑色用顔料分散液を用いて、上記バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、参考例15、比較例6のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを得た。
なお、下記表6〜8において「添加剤(対固形全量)」とあるのは、「添加剤(酸化防止剤)の種類又は名称と、当該添加剤が、熱硬化性成分(熱硬化性バインダー成分)、顔料及び顔料分散剤の合計量に対して配合される割合を示す。」ということを意味している。また当該割合は、下記表6〜8においては質量%で表わされている。
上記表6に示すように、参考例1のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、製造例1のバインダー性エポキシ化合物を4.39質量部、多官能エポキシ樹脂を2.93質量部、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテルを1.46質量部、トリメリット酸を2.93質量部(以上、熱硬化性バインダー成分)、C.I.ピグメントブルー15:6を4.87質量部、C.I.ピグメントバイオレット23を0.31質量部(以上、顔料)、顔料分散剤としてアジスパーPb821を3.11質量部、主溶剤としてBCAを70質量部、副溶剤としてEEPを10質量部、それぞれ含有している。また、参考例1のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を0.001質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例2のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例2のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を0.01質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例3のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例3のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を0.1質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例4のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例4のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を1質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例5のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例5のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を5質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例6のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例6のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を10質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例7のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例7のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を20質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例8のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例8のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤B(3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル‐4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン)を1質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例9のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例9のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤C(トリス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト)を1質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例10のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例10のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した2次酸化防止剤(硫黄系酸化防止剤)である酸化防止剤D(ジミリスチルチオジプロピオネート)を1質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例11のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例11のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した2次酸化防止剤(硫黄系酸化防止剤)である酸化防止剤E(ジラウリルチオジプロピオネート)を1質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例12のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例12のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した2次酸化防止剤(リン系酸化防止剤)である酸化防止剤F(トリス(2,4−ジ‐t−ブチルフェニル)ホスファイト)を1質量%含有している。
上記表6に示すように、参考例13のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、参考例13のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した2次酸化防止剤(リン系酸化防止剤)である酸化防止剤G(6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン)を1質量%含有している。
上記表6に示すように、実施例14のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、実施例14のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を0.5質量%、2次酸化防止剤(硫黄系酸化防止剤)である酸化防止剤D(ジミリスチルチオジプロピオネート)を0.5質量%、それぞれ含有している。
上記表7に示すように、参考例14のカラーフィルター用赤色インクジェットインクは、製造例1のバインダー性エポキシ化合物を3.00質量部、多官能エポキシ樹脂を2.00質量部、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテルを1.00質量部、トリメリット酸を2.00質量部(以上、熱硬化性バインダー成分)、C.I.ピグメントレッド254を6.89質量部、C.I.ピグメントレッド177を0.62質量部(以上、顔料)、顔料分散剤としてアジスパーPb821を4.50質量部、主溶剤としてBCAを70質量部、副溶剤としてEEPを10質量部をそれぞれ含有している。また、参考例14のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を1質量%含有している。
上記表8に示すように、参考例15のカラーフィルター用緑色インクジェットインクは、製造例1のバインダー性エポキシ化合物を1.99質量部、多官能エポキシ樹脂を1.32質量部、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテルを0.66質量部、トリメリット酸を1.32質量部(以上、熱硬化性バインダー成分)、C.I.ピグメントグリーン36を2.53質量部、C.I.ピグメントグリーン7を1.79質量部、C.I.ピグメントイエロー138を3.23質量部、C.I.ピグメントイエロー150を1.64質量部(以上、顔料)、顔料分散剤としてアジスパーPb821を5.51質量部、主溶剤としてBCAを70質量部、副溶剤としてEEPを10質量部をそれぞれ含有している。また、参考例15のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を1質量%含有している。
上記表6に示すように、比較例1のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、比較例1のインクは、酸化防止剤を一切含有していない。
上記表6に示すように、比較例2のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、比較例2のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した1次酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)である酸化防止剤A(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール)を25質量%含有している。
上記表6に示すように、比較例3のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、比較例3のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した2次酸化防止剤(硫黄系酸化防止剤)である酸化防止剤D(ジミリスチルチオジプロピオネート)を25質量%含有している。
上記表6に示すように、比較例4のカラーフィルター用青色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例1のインクと同様の割合で含有している。また、比較例4のインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料及び顔料分散剤の合計量100質量%に対して、表5に示した2次酸化防止剤(リン系酸化防止剤)である酸化防止剤F(トリス(2,4−ジ‐t−ブチルフェニル)ホスファイト)を25質量%含有している。
上記表7に示すように、比較例5のカラーフィルター用赤色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例14のインクと同様の割合で含有している。また、比較例5のインクは、酸化防止剤を一切含有していない。
上記表8に示すように、比較例6のカラーフィルター用緑色インクジェットインクは、熱硬化性バインダー成分、顔料、顔料分散剤、及び溶剤を、参考例15のインクと同様の割合で含有している。また、比較例6のインクは、酸化防止剤を一切含有していない。
上述した実施例14、参考例1乃至15及び比較例1乃至6のカラーフィルター用インクジェットインクを有するカラーフィルターをそれぞれ作製した。
上述した実施例14、参考例1乃至15及び比較例1乃至6のカラーフィルター用インクジェットインクを有するカラーフィルターについて、輝度低下抑制効果及び経時粘度安定性の評価を行った。結果はインクの色別に上記表6〜8にそれぞれ示してあり、また、それらの結果をまとめたものを下記表9に示した。下記表9において「添加率(対固形全量)」とあるのは、「添加剤(酸化防止剤)の種類又は名称と、当該添加剤が、熱硬化性成分(熱硬化性バインダー成分)、顔料及び顔料分散剤の合計量に対して配合される割合を示す。」ということを意味している。また当該割合は、下記表9においては質量%で表わされている。
なお、各評価の評価基準は、輝度低下抑制効果に関しては、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行ったあとの輝度測定結果を初期の輝度とし、その後240℃で40分加熱した(1回目の焼成)。特定色座標(x,y)における初期の輝度から1回目の焼成後の輝度までのY輝度変化を%で算出した。これらの結果は以下に示す評価に基づき、◎、○、×で示した。参考例4、参考例10乃至13、実施例14及び比較例1のインクに関しては、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行ったあと、240℃で40分、5回加熱したものも用意し、同様に初期の輝度から5回目の焼成後の輝度までのY輝度変化を%で算出し、◎、○、×で評価した。
また、経時粘度安定性に関しては、山一電機社製回転振動型粘度計 ビスコメイトVM-1Gで23℃にて測定した粘度について、酸化防止剤添加インク調整初期からの1ヶ月後のインク粘度変化を評価の対象とし、結果は以下に示す評価に基づき、◎、○、×で示した。
◎:1回目の焼成後の輝度低下率が9%未満
○:1回目の焼成後の輝度低下率が9%以上11%未満
×:1回目の焼成後の輝度低下率が11%以上
[経時粘度安定性評価基準]
◎:酸化防止剤添加インク調整初期からの1ヶ月のインク粘度変化が0.3mPa・s未満であった。
○:酸化防止剤添加インク調整初期からの1ヶ月のインク粘度変化が0.3mPa・s以上〜0.5mPa・s未満であった。
×:酸化防止剤添加インク調整初期からの1ヶ月のインク粘度変化が0.5mPa・s以上であった。
1次酸化防止剤の一種である酸化防止剤Aの添加率が0質量%、すなわち酸化防止剤無添加である場合(比較例1)においては、輝度低下抑制効果の評価は×であったのに対し、当該添加率が0.001質量%である場合(参考例1)においては、輝度低下抑制効果の評価は○であった。これは、当該添加率が0.001質量%未満においては、1次酸化防止剤の添加率が低すぎることによって、本発明の効果である十分な輝度低下抑制効果が得られないことを示している。
当該添加率が0.001〜0.01質量%の場合(参考例1及び2)においては、輝度低下抑制効果の評価は○で、経時粘度安定性の評価は◎であり、当該添加率が0.1〜5質量%の場合(参考例3乃至5)においては、輝度低下抑制効果及び経時粘度安定性の評価はともに◎であり、さらに当該添加率が10〜20質量%の場合(参考例6及び7)においては、輝度低下抑制効果及び経時粘度安定性の評価はともに○以上の評価であった。しかし、当該添加率が25質量%の場合(比較例2)においては、経時粘度安定性の評価は×であり、これは、当該添加率が20質量%を超える値においては、1次酸化防止剤の添加率が高すぎることによって、カラーフィルター用インクジェットインクに必要なだけの経時粘度安定性が得られないことを示唆している。
また、加熱工程の一種である焼成を5回行った際に、当該添加率が1質量%の場合(参考例4)においては、輝度低下率が14%に留まったのに対し、当該添加率が0%、すなわち酸化防止剤無添加の場合(比較例1)においては、輝度低下率が18%まで落ち込んだことから、本発明の酸化防止剤添加は、複数回の加熱工程後においてもその効果を発揮することが分かった。
1次酸化防止剤の一種である酸化防止剤A(フェノール系酸化防止剤。添加率:1質量%)を加えた場合(参考例4)、1次酸化防止剤の一種である酸化防止剤B(フェノール系酸化防止剤。添加率:1質量%)を加えた場合(参考例8)、1次酸化防止剤の一種である酸化防止剤C(フェノール系酸化防止剤。添加率:1質量%)を加えた場合(参考例9)、2次酸化防止剤の一種である酸化防止剤D(硫黄系酸化防止剤。添加率:1質量%)を加えた場合(参考例10)、2次酸化防止剤の一種である酸化防止剤E(硫黄系酸化防止剤。添加率:1質量%)を加えた場合(参考例11)、2次酸化防止剤の一種である酸化防止剤F(リン系酸化防止剤。添加率:1質量%)を加えた場合(参考例12)及び2次酸化防止剤の一種である酸化防止剤G(リン系酸化防止剤。添加率:1質量%)を加えた場合(参考例13)を比較すると、輝度低下抑制効果の評価はいずれの場合も◎であったが、経時粘度安定性の評価は、このうち参考例4のみが◎であり、参考例8乃至13は○に留まった。
さらに、1次酸化防止剤の一種である酸化防止剤A(添加率:0.5質量%)と、2次酸化防止剤の一種である酸化防止剤D(添加率:0.5質量%)とを混合して加えた場合(実施例14)、輝度低下抑制効果の評価、経時粘度安定性の評価は共に◎であった。
また、加熱工程の一種である焼成を5回行った際に、参考例4、10乃至13、及び実施例14においては、輝度低下率が14%以下に留まった。特に、実施例14のように異なる種類の酸化防止剤を混合して用いた場合、焼成5回後の輝度低下率は11%であった。
以上の結果より、異なる酸化防止剤を用いても、また、1次酸化防止剤と2次酸化防止剤を混合して用いても、高い輝度低下抑制効果及び十分な経時粘度安定性が得られることが分かった。さらに、複数回の加熱工程後においても、酸化防止剤添加の効果を発揮することが分かった。
1次酸化防止剤の一種である酸化防止剤Aを加えた場合は、青色インク(参考例4。添加率:1質量%)、赤色インク(参考例14。添加率:1質量%)及び緑色インク(参考例15。添加率:1質量%)のいずれの場合においても、輝度低下抑制効果の評価、経時粘度安定性の評価は共に◎であった。これらの結果を、酸化防止剤無添加の場合における、青色インク(比較例1)、赤色インク(比較例5)及び緑色インク(比較例6)が、いずれも輝度低下抑制効果の評価が×であったことと比較することにより、いずれの色のインクの場合であっても、本発明の酸化防止剤添加によって、高い輝度低下抑制効果及び十分な経時粘度安定性が得られることが分かった。
2 電極基板
3 間隙部
4 シール材
5 透明基板
6 遮光層
7(7R、7G、7B) 着色層
8 オーバーコート層
9 透明導電層
10 配向膜
11 パール
12 柱状スペーサー
101,102 カラー液晶表示装置
103 カラーフィルター
Claims (7)
- 熱硬化性成分、顔料、顔料分散剤、酸化防止剤及び溶剤を含み、前記酸化防止剤として、分子量2,500以下のフェノール系酸化防止剤の少なくとも一種、及び分子量2,500以下のリン系酸化防止剤及び/又は硫黄系酸化防止剤の少なくとも一種を含有し、当該熱硬化性成分、当該顔料及び当該顔料分散剤の合計量に対して前記酸化防止剤を0.001〜20質量%含有することを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインク。
- 前記フェノール系酸化防止剤が、ベンゼン環上の2位、4位及び6位にそれぞれ置換基を有する化学構造を有するフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
- 前記リン系酸化防止剤が、亜リン酸トリエステルであることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
- 前記硫黄系酸化防止剤が、脂肪酸ジエステルを有するチオエーテルであることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
- 基板の一面側に少なくとも着色層を設けたカラーフィルターであって、当該着色層は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインクを硬化させて形成したものであることを特徴とする、カラーフィルター。
- さらに、透明導電層及び/又はオーバーコート層を有することを特徴とする、請求項5に記載のカラーフィルター。
- 請求項5又は6に記載のカラーフィルターと液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなることを特徴とする、液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008311426A JP5422983B2 (ja) | 2008-12-05 | 2008-12-05 | カラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルター及び当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008311426A JP5422983B2 (ja) | 2008-12-05 | 2008-12-05 | カラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルター及び当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010134278A JP2010134278A (ja) | 2010-06-17 |
JP5422983B2 true JP5422983B2 (ja) | 2014-02-19 |
Family
ID=42345621
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008311426A Active JP5422983B2 (ja) | 2008-12-05 | 2008-12-05 | カラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルター及び当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5422983B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5516208B2 (ja) * | 2009-08-12 | 2014-06-11 | 三菱化学株式会社 | 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ |
JP5761191B2 (ja) * | 2010-07-15 | 2015-08-12 | 味の素株式会社 | 変性ポリアミン |
JP2012155243A (ja) * | 2011-01-28 | 2012-08-16 | Jsr Corp | カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子 |
JP6015481B2 (ja) * | 2012-03-28 | 2016-10-26 | Jsr株式会社 | カラーフィルタ、有機el表示素子及び着色組成物 |
US9452608B2 (en) * | 2012-05-09 | 2016-09-27 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink, ink cartridge and ink jet recording method |
CN104460231B (zh) * | 2013-09-18 | 2020-03-13 | 东友精细化工有限公司 | 着色固化性树脂组合物 |
KR102012954B1 (ko) * | 2014-03-28 | 2019-08-21 | 동우 화인켐 주식회사 | 착색 감광성 수지 조성물, 이를 포함하는 컬러필터 및 표시장치 |
WO2017110744A1 (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | コニカミノルタ株式会社 | 水系インクおよびインクジェット捺染方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4029508B2 (ja) * | 1999-02-03 | 2008-01-09 | セイコーエプソン株式会社 | インクジェット印刷用添加剤、記録液 |
JP4446668B2 (ja) * | 2003-02-19 | 2010-04-07 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、導光板および面光源体 |
JP2005138412A (ja) * | 2003-11-06 | 2005-06-02 | Ricoh Co Ltd | インクジェット記録装置とインクカートリッジ及びそれに用いる記録液 |
JP2005178331A (ja) * | 2003-12-24 | 2005-07-07 | Konica Minolta Medical & Graphic Inc | インク及びインクジェット記録方法 |
JP4983103B2 (ja) * | 2006-06-06 | 2012-07-25 | 大日本印刷株式会社 | カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 |
-
2008
- 2008-12-05 JP JP2008311426A patent/JP5422983B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010134278A (ja) | 2010-06-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5422983B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルター及び当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置 | |
JP5708748B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク組成物 | |
JP4983103B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 | |
JP5043650B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク組成物、カラーフィルターの製造方法、及びカラーフィルター | |
JP4619904B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク、カラーフィルター、及び液晶表示装置 | |
JP4742648B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 | |
JP5072383B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 | |
JP4334272B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、及び表示パネル | |
JP4527489B2 (ja) | カラーフィルター用熱硬化性樹脂組成物、カラーフィルター、液晶パネル、及びカラーフィルターの製造方法 | |
JP4334273B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、及び表示パネル | |
JP5286657B2 (ja) | 顔料分散液、カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルター、並びに液晶表示装置 | |
JP2010237616A (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク組成物、カラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置 | |
JP5691362B2 (ja) | 熱硬化性着色組成物及びそれを焼成して得られる硬化膜 | |
JP2008076855A (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置の製造方法 | |
JP2010237617A (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク組成物、カラーフィルター、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置 | |
JP2010085767A (ja) | カラーフィルター用緑色硬化性樹脂組成物、カラーフィルター、及び表示装置 | |
JP5461066B2 (ja) | カラーフィルター用熱硬化性インクジェットインク組成物およびカラーフィルター | |
JP4426515B2 (ja) | カラーフィルター用インクジェットインク、カラーフィルターの製造方法、及び液晶表示装置の製造方法 | |
JP2009244687A (ja) | カラーフィルター用赤色硬化性樹脂組成物、カラーフィルター、及び表示装置 | |
JP2011075799A (ja) | カラーフィルターの製造方法 | |
JP2010085770A (ja) | インクジェット・カラーフィルタ用熱硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置 | |
JP2007091948A (ja) | インクジェット用ビーズ含有インクおよびカラーフィルタの製造方法 | |
JP2008089896A (ja) | カラーフィルターの製造方法 | |
JP2009086285A (ja) | カラーフィルタ及びその製造方法並びに表示装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111013 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120926 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121002 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121129 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130702 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131002 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20131011 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131029 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131111 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 5422983 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |