JP5694932B2 - 加硫タイヤの製造方法、及び、加硫装置 - Google Patents
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Description
ところで、加硫した後に加硫装置の加硫容器(釜)を開けると釜から油煙が周囲に広がる。このため、作業環境の関係上、加硫装置が設置されている建屋では換気回数を多くする必要がある。
また、特開平9−38966号公報では、加硫終了時、加硫装置の釜を開く前に釜内から白煙ガス(油煙を含むガス)を吸引し、更に、大気を導入することが開示されている。
本発明は、上記事実を考慮して、加硫容器を開いたときの周囲への油煙の広がりを抑えた加硫タイヤの製造方法、及び、加硫装置を提供することを課題とする。
気体は、空気に限らず窒素ガス等の他の気体であってもよい。また、気体を吸引するとは、気体中に浮遊している油煙も吸引することになる。
本明細書で、加硫対象物を加硫した加硫容器を開くとは、金型が、加硫中の加硫対象物に対する当接配置状態から該加硫対象物に対して離れていく状態のことをいう。また、少なくとも加硫容器を開いた後とは、加硫容器を開く前からであってもよいことを意味する。また、本明細書で、加硫容器が開いた状態で加硫容器内の気体を吸引するとは、加硫容器内に残留している気体や、加硫容器の開いた部位から流出した気体を吸引することを意味する。
加硫容器を開く形態は特に限定せず、上下方向に開く形態であってもよいし、左右方向に開く形態であってもよく、更には加硫容器の上部部材が加硫容器の下部部材にヒンジ結合されて開閉可能とされていてもよい。
従って、加硫中に、加硫容器内に気体を供給しつつ加硫容器内を排気する場合に比べ、高圧の気体を供給する必要がなく、また、加硫中の熱を排出する必要がないので省エネ効果が得られ、しかも、加硫タイヤをブラダや金型内壁から離脱させた際に発生する油煙を加硫容器内から効率良く排出することができ、この油煙が加硫容器の周囲に広がることが抑制される。なお、油煙とは、主に油分で構成されており、通常、白煙状に見える。
また、加硫容器を開く前にのみ加硫容器内の気体を吸引して更に加硫容器内に大気を導入する場合に比べ、製造時間を短縮することができ、しかも、加硫タイヤをブラダや金型内壁から離脱させた際に発生する油煙を効率良く排出することができ、この油煙が加硫容器の周囲に広がることが抑制される。
本発明の第2の態様では、加硫タイヤの踏面側から気体を吸引することに比べ、タイヤ周囲の気体を遥かに均等に吸引することができる。なお、吸引中心が中心軸上に位置していることが、気体を均等に吸引する上で最も好ましい。
これにより、加硫容器を開く動作でブラダからタイヤを離脱させることができる。また、ブラダ表面及びタイヤ内面の少なくとも一方には、通常、離型剤が塗られており、加硫終了後にブラダからタイヤが離脱するとこの離型剤を含む油煙の発生量が多い。従って、ブラダからタイヤを離脱させた際に発生する油煙を効率良く排出することができる。
ここで、第1の態様と同様に、少なくとも加硫容器を開いた後とは、加硫容器を開く前からであってもよいことを意味する。また、加硫容器を開く形態は特に限定せず、上下方向に開く形態であってもよいし、左右方向に開く形態であってもよく、更には加硫容器の上部部材が加硫容器の下部部材にヒンジ結合されて開閉可能とされた構成であってもよい。
従って、加硫中に加硫容器内に気体を供給しつつ金型内を排気する場合に比べ、高圧の気体を必要としないので加硫装置を簡単化することができ、加硫中の熱を排出する必要がないので省エネ効果が得られ、しかも、加硫ゴムをブラダや金型内壁から離脱させた際に発生する油煙を効率良く排出することができる。
また、加硫容器を開く前にのみ加硫容器内の気体を吸引して更に加硫容器内に大気を導入する場合に比べ、製造時間を短縮することができ、しかも、加硫ゴムをブラダや金型内壁から離脱させた際に発生する油煙を効率良く排出することができるという効果を奏する。
これにより、吸引機による気体の吸引の開始操作を作業員が行わなくてもよい。
これにより、少なくとも加硫容器を開いた後にフード部内或いはフード部下方から油煙が発生しても、この油煙を含む気体をほとんど吸引することが可能になり、油煙が周囲に広がることを更に抑制することができる。
第7の態様の発明では、加硫容器を開いてもエアーカーテンによって油煙が周囲に広がることがより更に抑制される。
加硫成形機12は、加硫容器16を構成する架台部18と断熱性のフード部20とを有しており、金型と加硫対象物(生タイヤ)とが接触しあうことにより加硫容器16が閉じた状態となる構造にされている。架台部18の中央にはブラダ22が立設している。フード部20は、架台部18の上側に位置して上下動可能に設けられており、後述のプラテン板26及び拡縮ガイド部34が上下動することで加硫容器16の開閉状態が切り替えられる。このフード部20は、図示しない昇降機に保持されて上下動が可能となっている。
プラテン板26、上金型30U、セグメントホルダー32、下金型30L、拡縮ガイド部34は何れもフード部20の内側に位置している。そして、横金型30Sが開いていても閉じていても、上金型30U及び横金型30Sがフード部20で覆われている。なお、フード部20は、このように加硫容器16の上面側全体を覆う形状であることが、加硫容器16内の気体を吸引する上で好ましいが、加硫容器16の上面側の一部を覆う形状であってもよい。
吸引ライン14には、フード部20内に吸引口Mを形成している上記シリンダ部24と、シリンダ部24から分岐した分岐管60(図5参照)と、が設けられている。そして、吸引ライン14には、エジェクタ式で気体を吸引するバキューム装置(気体吸引装置)62(図6も参照)と、吸引した気体から油煙を除去する分煙装置64と、分煙装置64を経由した気体から熱を回収する熱回収装置66と、が上流から下流へかけて順次設けられている。また、本実施形態では、分煙装置64は集塵機(気体清浄機)で構成されている。分煙装置64は公知の分煙装置なら何でもよく、水中をくぐらせて気体を下流へ送ることによって除煙する構成であってもよい。そして、本実施形態では、熱回収装置66から回収された熱は、加硫時間を短縮するために生タイヤを保温する保温器68で利用される。
そして加硫装置10には、加硫成形機12の温度制御、バキューム装置62及び後述の第2バキューム装置76の作動制御、各加硫成形機12の開閉制御、及び、その開閉に伴う三方弁70の切替制御、を行う制御部72が設けられている。制御部72は、図1Bに示すように、加硫成形機12、バキューム装置62、第2バキューム装置76、及び、三方弁70と接続されている。
以下、加硫装置10を用いて加硫タイヤを製造すること、及び、本実施形態の作用、効果を説明する。
次に、制御部72からの指令で加硫容器16内の温度を設定温度にまで上げ、所定時間経過することにより生タイヤTRを加硫成形する。
所定時間経過後、制御部72の指令により加硫容器16内の温度を下げる。そして、制御部72の指令により、上金型30U、横金型30S及びフード部20を上昇させて加硫容器16を開く。その際、横金型30Sを保持する拡縮ガイド部34を上昇させることにより釜開が始まる。また、フード部20が上昇して大気が加硫容器16内に流入可能となったときに制御部72からの指令で、バキューム装置62及び第2バキューム装置76で気体吸引を開始して吸引口Mから気体吸引する。この結果、生タイヤTRが加硫されてなる加硫タイヤTSの中心軸TCから気体吸引され、分煙装置64へ送られて油煙が除去されて熱回収装置66へ送給される。なお、加硫容器16を開ける前から加硫容器16内を気体吸引してもよい。
また、加硫容器16を開く際、ブラダ22から加硫タイヤTSを上方へ引き抜く。これにより、加硫容器16を開く動作でブラダ22から加硫タイヤTSを離脱させることができ、しかも、ブラダからタイヤを離脱させた際に発生する油煙を効率良く排気することができる。
また、分煙装置64から排出された気体は、熱回収装置66を経てエアーカーテン形成部40へ送られる。従って、熱効率が良く、省エネ効果、及び、炭酸ガス削減効果が更に奏される。
また、本実施形態では、加硫容器16を開ける際に、加硫タイヤTSが横金型30Sに保持された状態で横金型30Sを上昇させることにより加硫タイヤTSがブラダ22から引き抜かれる例で説明したが、図8に示すように、釜上方に吸引口Mが形成されていて、金型30を開けた後に公知のアンローダなどで下金型30L側に残った加硫タイヤTSをブラダ112から引き抜く構成の加硫装置110であってもよい。この場合には、吸引ライン14での気体吸引を、加硫タイヤTSのブラダ112からの引き抜き後まで継続することにより、金型30から加硫タイヤTSが離れた際に発生する油煙を効果的に吸引して排気することができる。
すなわち、加硫容器16を開いたときに加硫タイヤTSが加硫容器16のどこに位置していても、加硫タイヤTSがブラダ22や金型内壁から離脱した際に発生する油煙を効率良く排気することができ、この油煙が周囲に広がることを抑制できる。
また、本実施形態では生タイヤを加硫する例で説明したが、生タイヤ以外の未加硫ゴムを加硫する場合であっても、同様の作用、効果を奏する。
Claims (7)
- タイヤ加硫用の加硫容器内で生タイヤを加硫し、
少なくとも前記加硫容器を開いた後に前記加硫容器内の気体を吸引する加硫タイヤの製造方法。 - 前記加硫容器内の気体を吸引する際、前記加硫容器内の加硫タイヤのタイヤ径方向の中心軸側から吸引する、請求項1に記載の加硫タイヤの製造方法。
- 前記加硫容器を開く際、前記加硫容器内のブラダから加硫タイヤを上方へ引き抜く、請求項1又は2に記載の加硫タイヤの製造方法。
- 未加硫ゴムを加硫する加硫容器と、
少なくとも前記加硫容器が開いた後に前記加硫容器内の気体を吸引する吸引機と、
を備えた、加硫装置。 - 前記加硫容器が開いた後に気体の吸引を開始させるように、前記吸引機を制御する制御部を備えた、請求項4に記載の加硫装置。
- 前記加硫容器が、少なくとも加硫容器上部に設けられ前記加硫容器の少なくとも一部を外側から覆うフード部を備え、前記吸引機が前記フード部内の気体を吸引する、請求項4又は5に記載の加硫装置。
- 前記加硫容器を構成する架台部を備え、
前記架台部には、前記加硫容器が開いたときにエアーカーテンで前記加硫容器内を外部空間から仕切るエアーカーテン形成部が設けられた、請求項4〜6のいずれか1項に記載の加硫装置。
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