JP5336272B2 - 加硫タイヤの製造方法、及び、加硫装置 - Google Patents
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Description
ところで、加硫した後に加硫装置の加硫容器(釜)を開けると釜内の高温気体(空気)が周囲に流出する。このため、加硫装置の周囲の温度が上昇して作業環境が悪化する。
また、特許文献2では、加硫終了後、加硫装置の釜を開く前に釜内から白煙ガス(油煙を含むガス)を吸引し、その後に大気を導入することが開示されている。
特許文献2では、特許文献1と同様、加硫対象物の表面の多くが金型やブラダに当接した状態で、タイヤ内部への空気の供給とタイヤ内部からの空気の排出とを釜内で行っており、釜を開けた後、特に加硫対象物が金型やブラダなどから離れたときに発生する油煙が周囲に広がることを抑えることや釜内の高温空気が周囲に流出することを抑える上では、あまり効果はない。また、加硫終了後に釜内の気体を吸引し更に大気を導入しているので、製造時間が長くなる。
本発明は、上記事実を考慮して、加硫容器を開いたときに加硫容器から油煙及び高温気体が周囲へ広がることを抑えた加硫タイヤの製造方法、及び、加硫装置を提供することを課題とする。
気体は、空気に限らず窒素ガス等の他の気体であってもよい。また、気体を吸引するとは、気体中に浮遊している油煙も吸引することになる。
このように、請求項1に記載の発明では、加硫した後に加硫容器内の気体を吸引してこの気体の熱を熱回収手段で回収する。従って、加硫容器から油煙や高温気体が周囲に広がることが回避される。また、熱を回収して再利用することが可能なので省エネ効果が得られる。なお、油煙とは、主に油分で構成されており、通常、白煙状に見える。
加硫容器内の気体を吸引する際、加硫容器は閉じていても開いていてもよい。ここで、本明細書で、加硫容器が開いた状態で加硫容器内の気体を吸引するとは、加硫容器内に残留している気体や、加硫容器の開いた部位から流出した気体を吸引することを意味する。
本明細書で、加硫対象物を加硫した加硫容器を開くとは、金型が、加硫中の加硫対象物に対する当接配置状態から該加硫対象物に対して離れていく状態のことをいう。また、少なくとも加硫容器を開いた後とは、加硫容器を開く前からであってもよいことを意味する。
加硫容器を開く形態は特に限定せず、上下方向に開く形態であってもよいし、左右方向に開く形態であってもよく、更には加硫容器の上部部材が加硫容器の下部部材にヒンジ結合されて開閉可能とされていてもよい。
また、加硫容器を開く前にのみ加硫容器内の気体を吸引して更に加硫容器内に大気を導入する場合に比べ、加硫タイヤをブラダや金型内壁から離脱させた際に発生する油煙を効率良く排気することができてこの油煙が周囲に広がることが抑えられ、また、製造時間を短縮することができる。
請求項3に記載の発明では、加硫容器から吸引した気体の熱を回収して再利用することが可能なので省エネ効果が得られる。また、加硫した後に加硫容器内の気体を吸引してこの気体の熱を熱回収手段で回収すると、加硫容器から高温の気体が周囲に広がることが回避される。
保温した未加硫ゴムを用いて加硫すると、少ない熱量でしかも短時間で未加硫ゴムを加硫成形することができる。従って、請求項4に記載の発明により、省エネ効果が得られるとともに製造時間の短縮化を図ることができる。
これにより、吸引手段による気体の吸引開始の操作を作業員が行わなくてもよい。
これにより、加硫容器を開いた後にフード部内或いはフード部下方から油煙が発生しても、この油煙を含む気体をほとんど吸引することが可能になり、油煙が周囲に広がることを更に抑制することができる。また、フード部が断熱性であるので、フード部内の気体の熱がフード部から放散することを防止でき、熱の回収効率が良い。
加硫成形機12は、加硫容器16を構成する架台部18と断熱性のフード部20とを有しており、金型と加硫対象物(生タイヤ)とが接触しあうことにより加硫容器16が閉じた状態となる構造にされている。架台部18の中央にはブラダ22が立設している。フード部20は、架台部18の上側に位置して上下動可能に設けられており、後述のプラテン板26及び拡縮ガイド部34が上下動することで加硫容器16の開閉状態が切り替えられる。このフード部20は、図示しない昇降機に保持されて上下動が可能となっている。
プラテン板26、上金型30U、セグメントホルダー32、下金型30L、拡縮ガイド部34は何れもフード部20の内側に位置している。そして、横金型30Sが開いていても閉じていても、上金型30U及び横金型30Sがフード部20で覆われている。なお、フード部20は、このように加硫容器16の上面側全体を覆う形状であることが、加硫容器16内の空気を吸引する上で好ましいが、加硫容器16の上面側の一部を覆う形状であってもよい。
吸引ライン14には、フード部20内に吸引口Mを形成している上記シリンダ部24と、シリンダ部24から分岐した分岐管60(図5参照)と、が設けられている。そして、吸引ライン14には、エジェクタ式で空気を吸引するバキューム装置(気体吸引装置)62と、吸引した空気から油煙を除去する分煙装置64と、分煙装置64を経由した空気から熱を回収する熱回収装置66と、が上流から下流へかけて順次設けられている。また、本実施形態では、分煙装置64は集塵機(空気清浄機)で構成されている。分煙装置64は公知の分煙装置なら何でもよく、水中をくぐらせて気体を下流へ送ることによって除煙する構成であってもよい。そして、本実施形態では、熱回収装置66から回収された熱は、加硫時間を短縮するために生タイヤを保温する保温器68で利用される。
そして加硫装置10には、加硫成形機12の温度制御、バキューム装置62及び後述の第2バキューム装置76の作動制御、各加硫成形機12の開閉制御、及び、その開閉に伴う三方弁70の切替制御、を行う制御部72が設けられている。
また、本実施形態では、吸引ライン14を構成する気体送給用の配管のうち、少なくとも分岐管60から熱回収装置66までの配管15Aは、断熱部材で覆われている。また、散歩弁70を介して吸引ライン14に接続する分岐ラインGも断熱部材で覆われている。更に、ポンプ69で循環される水の配管のうち、少なくとも温水を保温器68に供給する配管15Bも断熱部材で覆われている。このように断熱部材で覆われていることにより、配管15A、15B、及び分岐ラインGからの熱の放散を防止できる。
以下、加硫装置10を用いて加硫タイヤを製造すること、及び、本実施形態の作用、効果を説明する。
次に、制御部72からの指令で加硫容器16内の温度を設定温度にまで上げ、所定時間経過することにより生タイヤTRを加硫成形する。
所定時間経過後、制御部72の指令により加硫容器16内の温度を下げる。そして、制御部72の指令により、上金型30U、横金型30S及びフード部20を上昇させて加硫容器16を開く。その際、横金型30Sを保持する拡縮ガイド部34を上昇させることにより釜開が始まる。また、フード部20が上昇して大気が加硫容器16内に流入可能となったときに制御部72からの指令で、バキューム装置62及び第2バキューム装置76で空気吸引を開始して吸引口Mから空気吸引する。この結果、生タイヤTRが加硫されてなる加硫タイヤTSの中心軸TCから加硫容器16内が空気吸引され、分煙装置64へ送られて油煙が除去されて熱回収装置66へ送給される。なお、加硫容器16を開ける前から加硫容器16内を空気吸引してもよい。
また、加硫中に加硫容器内に空気を供給しつつ加硫容器内を排気する場合に比べ、高圧の空気を供給する必要がなく、また、加硫中の熱を排出する必要がないので省エネ効果が得られる。
そして、加硫容器16を開く前にのみ加硫容器16内の気体を吸引して更に加硫容器内に大気を導入する場合に比べ、製造時間を短縮することができる。
また、加硫容器16を開く際、ブラダ22から加硫タイヤTSを上方へ引き抜く。これにより、加硫容器16を開く動作でブラダ22から加硫タイヤTSを離脱させることができる。
そして、この熱回収装置66で回収した熱で生タイヤTRを保温しており、省エネを図りつつ加硫成形にかかる時間を短縮することができる。
また、フード部20が断熱性であるので、フード部20内の気体の熱がフード部20から放散することを防止でき、熱の回収効率が更に良い。
また、本実施形態では、加硫容器16を開ける際に、加硫タイヤTSが横金型30Sに保持された状態で横金型30Sを上昇させることにより加硫タイヤTSがブラダ22から引き抜かれる例で説明したが、図8に示すように、釜上方に吸引口Mが形成されていて、金型30を開けた後に公知のアンローダなどで下金型30L側に残った加硫タイヤTSをブラダ112から引き抜く構成の加硫装置110であっても、金型30から加硫タイヤTSが離れた際に発生する油煙を効果的に吸引して、建屋内の作業環境を格段に良好にすることができるとともに省エネ効果が得られる。
すなわち、加硫容器16を開いたときに加硫タイヤTSが加硫容器16のどこに位置していても、加硫タイヤTSがブラダ22や金型内壁から離脱した際に発生する油煙を効率良く吸引し、この油煙が周囲に広がることを抑制できるとともに省エネ効果を奏することができる。
また、本実施形態では生タイヤを加硫する例で説明したが、生タイヤ以外の未加硫ゴムを加硫する場合であっても、同様の作用、効果を奏する。
14 吸引ライン
16 加硫容器
20 フード部
66 熱回収装置(熱回収手段)
68 保温器
70 三方弁
72 制御部(制御手段)
100 保温器
110 加硫装置
112 ブラダ
TR 生タイヤ
TS 加硫タイヤ
Claims (6)
- タイヤ加硫用の加硫容器内で生タイヤを加硫した後に、前記加硫容器内の気体を吸引して熱回収手段へ送給することにより気体から熱を回収する、加硫タイヤの製造方法。
- 少なくとも前記加硫容器を開いた後に前記加硫容器内の気体を吸引する、請求項1に記載の加硫タイヤの製造方法。
- 未加硫ゴムを加硫する加硫容器と、
前記加硫容器内の気体を吸引する吸引手段と、
前記吸引手段から排出された気体から熱を回収する熱回収手段と、
を備えた、加硫装置。 - 前記熱回収手段は、回収した熱を利用して未加硫ゴムを保温する保温器を備えている、請求項3に記載の加硫装置。
- 前記加硫容器が開いた後に前記加硫容器内の気体の吸引を前記吸引手段に開始させる制御手段が設けられた、請求項3又は4に記載の加硫装置。
- 前記加硫容器が、少なくとも加硫容器上部に設けられ前記加硫容器の少なくとも一部を外側から覆う断熱性のフード部を備え、前記吸引手段が前記フード部内の気体を吸引する、請求項5に記載の加硫装置。
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