JPH1158388A - タイヤの加硫成型方法 - Google Patents
タイヤの加硫成型方法Info
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Abstract
来の加硫成形の生産性を保持した上でタイヤのベアー故
障発生を抑制し、モールドのコスト低減を可能をも可能
とするタイヤの加硫成型方法を提供する。 【解決手段】 加硫機とモールドとの全閉直後に未加硫
タイヤ内面に加圧体を作用させ、加圧体による未加硫タ
イヤのモールド内面に対する押圧形付け開始から形付け
完了までの間に、加硫機のドーム内部に連通するバキュ
ウム手段を動作させてドーム内部の空気を加硫機外部に
排出してドーム内部を減圧し、未加硫タイヤの形付け完
了と同時にバキュウム手段の連通部を閉鎖して空気排出
動作を停止させてからドーム内部に高温ガスを供給して
未加硫タイヤに加硫成型を施す。
Description
型方法、より詳細には従来のタイヤ加硫成型のサイクル
タイムを保持し、特別な設備を用いず特別な改造を施す
ことなく、タイヤの加硫成型品質を安定して向上させ、
不良率を大幅に低減することができ、かつ加硫成型用モ
ールドの加工工数が低減してより一層低コストのモール
ドを提供することが可能なタイヤの加硫成型方法に関す
る。
加硫成型するとき、未加硫タイヤ内部に高圧ガス、例え
ば14〜28kgf/cm2 の高圧スチーム、高圧窒素ガスな
どを導入してモールド内面に未加硫タイヤを押圧し、製
品タイヤに所定形状の外側輪郭を形成させる。
イヤとの間にエアーをトラップすると、エアートラップ
箇所が加硫成型完了後の製品タイヤ外側表面に一般にベ
アーと呼ばれる外観不良箇所を形成してしまうことは良
く知られた事実である。
ルドには多数本のベントホールを設け、それでもベアー
不良が改善されない場合は或るベントホール相互間を繋
ぐベント溝を切り込むのも良く知られている。勿論ベン
トホールはモールドを貫通していてトラップされたエア
ーをモールド外部に排出する。
ーの逃げ道でもある一方で、加硫成型中の未加硫タイヤ
の流動性を増したゴムもベントホール内に流れ込むのは
不可避であり、これらベントホール内に流れ込んだゴム
は製品タイヤとなったときスピュウと呼ばれる細長いゴ
ムの突出柱を形成する。この種のスピュウはタイヤ性能
と無関係であり、却ってタイヤの外観を損ねるので、仕
上げ工程で切除しなければならない。よってベントホー
ルは必要悪とも言えるもので、本数が少なければ少ない
程良く、無いにこしたことはない。
は、モールドが二つ割り上下型合わせタイプのモールド
を用いた加硫成形においてスピュウが存在しない空気入
りタイヤの成形方法を提案していて、その提案内容は、
上下型合わせモールドそれぞれの周囲にシール機構を設
けて各モールドを完全に閉じる前に未加硫タイヤを収容
した上下型モールド間を閉空間とし、この閉空間形成ま
での間に未加硫タイヤの内部ブラダ内に10〜100kP
a の流体を供給して予備成形を行い、上下型を接近させ
ながら上下型内面から突出させたトレッドパターン形成
用リブの頂部に未加硫タイヤの表面が接触させ、この接
触により形成される閉空間の圧力をブラダ内圧力の1/
13H(リブ高さmm)に減圧することにより、ベアの
発生を阻止する、というものである。
閉前にバキュウム動作を実施する必要があるため、必要
とする加硫機全てに新規にシール機構を設ける必要があ
り、この種のシール機構は技術的な困難性を伴う他、加
硫機台数が多い場合は多額の設備投資を必要とする。ま
た完全なベア発生阻止を実現するためには加硫成形開始
時点から完了時点の間に有効な減圧のための中間停止時
間を必要とし、その分加硫成形のサイクルタイムが延び
生産性を阻害する弊害を有する。
kgf/cm2)の低圧ではモールド内部に対する未加硫タイヤ
の完全な型付けは不十分であり、モールドを完全に閉じ
た後に更めて高圧、例えば14〜28kgf/cm2 による型
付けと加硫成形を実施する必要があり、結局減圧時間が
更に上記の加硫成形サイクルタイムに加算されるので、
現今の厳しい生産性向上要求に逆行することとなり、実
現性に欠ける。
イプの加硫機について、ドーム内部の温度を精度良く制
御するのも加硫成形の生産性向上に必要であり、しかも
製品タイヤの品質を良好に保持し、かつタイヤ品質を均
一化する上で重要なファクタであり、これらの点を解決
課題として特開平9−123174号公報は、ドームタ
イプ加硫機及びタイヤ加硫方法として、ドーム内のエア
ーを吸引排出するエアー排出用配管をドームの下方に配
設した加硫機を提案し、加硫用金型を包囲するドーム内
のエアーを排出した後、ドーム内に加熱媒体を供給し、
加硫用金型を加熱する方法を提案している。
は、エアー排出管からドーム内のエアーを吸引排出した
後、スチームなどの加熱媒体をドーム内に供給して加硫
用金型を加熱する際に、金型の中央機構から未加硫タイ
ヤ内に加硫媒体を供給してタイヤを加硫するものであ
り、結局バキュウム実施後に型付けと加硫とを開始する
ため、バキュウム時間が通常の加硫成形サイクルタイム
に加算され、やはり加硫成形の生産性が大幅に損なわれ
る問題がある。
項1又は2に記載した発明は、従来の加硫成形の生産性
を保持した上で、加硫機はもとより加硫成形用モールド
に殆ど加工を施すことなく現行のドームタイプ加硫機及
びモールドを用いて、ベアー故障の発生を著しく抑制す
ることができ、かつベントホールの数を大幅に削減して
モールドの加工工数を減少させモールドのコストを低減
させることが可能なタイヤの加硫成形方法の提供を目的
その一とし、さらに請求項3に記載した発明は、加硫成
形の生産性をそれほど損なうことなく、上記同様加硫機
及びモールドに殆ど手を加えることなくベアー故障の発
生をより一層完璧に抑制することが可能で、しかも加硫
機の開釜時に加硫対象タイヤから発生する臭い、紫煙な
どの不快なガスを有利に除去して良好な作業環境を整え
ることが可能なタイヤの加硫成形方法の提供を目的その
二とする。
るため、この発明の請求項1に記載した発明は、ドーム
タイプの加硫機に取付けた、多数個のベントホールを有
する加硫成型用モールドに未加硫タイヤを装填して加硫
成型するに際し、加硫機とモールドとの全閉直後に未加
硫タイヤ内面に加圧流体による加圧体を作用させ、この
加圧体による未加硫タイヤのモールド内面に対する押圧
形付け開始から形付け完了までの間に、加硫機のドーム
内部に連通するバキュウム手段を動作させてドーム内部
の空気を加硫機外部に排出してドーム内部を減圧し、未
加硫タイヤの形付け完了と同時にバキュウム手段の連通
部を閉鎖して空気排出動作を停止させ、この空気排出動
作停止と同時に加硫機のドーム内部に高温ガスを供給
し、これにより未加硫タイヤに加硫成型を施すことを特
徴とするタイヤの加硫成型方法である。
による加圧体とは、スチームや他の種のホットガス、例
えば窒素ガスを導入した加硫ブラダの場合と、加硫ブラ
ダを使用せずに未加硫タイヤに直接作用させるスチーム
や他の種のホットガスの場合の両者を含む。なお言うま
でもなくモールドは金属製である。
り、好適には請求項2に記載した発明のように、バキュ
ーム手段による減圧後のドーム内部の圧力が50〜25
0Torrの範囲内であること、そして請求項3に記載
した発明のように、加硫機のドーム内部に供給する高温
ガスが高温スチームであることがこの発明に適合する。
の請求項4に記載した発明は、請求項1〜3に記載した
発明との関連で、タイヤの加硫成型完了と同時に加硫用
高温ガスのスチームを排気した後、再び連通部の閉鎖を
解除してバキュウム手段を動作させ、このバキュウム手
段の再度の動作により加硫機のドーム内部を減圧し、こ
の減圧の下でドーム内部の水分を気化させ、気化した水
蒸気と加硫タイヤから発生してドーム内部に残留するガ
スとを加硫機外部に排出させることを特徴とするタイヤ
の加硫成形方法である。
例を図1に基づき説明する。図1は、稼働状態における
ドームタイプ加硫機の要部とその中に収容したモールド
とを簡略図解した断面図である。図において、ドームタ
イプの加硫機(以下加硫機という)1は上型ドーム2と
下型ドーム3とに分かれ、加硫成形用2つ割り合わせ型
モールド4の上型モールド5を上型ドーム2に着脱自在
に固定し、下型モールド6を下型ドーム3に着脱自在に
固定する。稼働に先立ち上型ドーム2は下型ドーム3の
斜め上方に位置し(図示省略)、稼働時には図示を省略
した未加硫タイヤを下型モールド6に装填し、上型ドー
ム2が下降して図に示す位置で加硫成形を開始する。
も基本的には上記同様な動作であり、両者のモールドに
この発明を適用することができる。割りモールドに対応
して図示のモールドはフルモールドと呼ぶこともある。
いずれのタイプのモールドもエアー抜きの小穴、ベント
ホール4hを必要箇所に必要個数だけ設ける。
厚い断熱材7で覆い、モールド4の加熱源として供給パ
イプ8を介しドーム1内部に高温ガス、例えば高温のス
チームなどを供給したとき熱の発散を成るべく抑制す
る。またこの高温ガスは1〜10kgf/cm2 の圧力を有し
ているので上下ドーム2、3それぞれの当接周囲部分に
は耐熱性のシール部材9を設ける。よって加硫機1の上
下ドーム2、3とモールドとの全閉後の稼働前のドーム
2、3内部は外部に対し完全に密閉状態となる。
る。モールド4に図示を省略した未加硫タイヤを収容し
た後ドーム2が下降し、ドーム2、3が互いに密閉係合
し上下型モールド5、6が合体すると、加硫機1が稼働
を開始し、直ちに未加硫タイヤ内面に加圧流体による加
圧体を作用させる。この加圧体には2種類の実施タイプ
が存在し、第一のタイプはゴム製の縦長の中膨らみ状加
硫用ブラダであり、このブラダに二段階の加圧ガス、例
えば第一段階では14kgf/cm2 程度のスチームを、第二
段階で21kgf/cm2 程度のスチームを供給して、第一段
階の加圧ガスによりブラダを未加硫タイヤ内部で膨張さ
せ、未加硫タイヤ外側表面をモールド内面に設けたリブ
又は凸部、凹部に接触押圧させて型付けを行うものであ
る。
みを加圧体とし、この場合は加圧体の加圧ガス、望まし
くは加圧窒素ガスを直接未加硫タイヤ内面に作用させ
て、上記同様な型付けを行うものである。いずれのタイ
プにおいても型付け時間は約4〜5分に及ぶ。この間は
ドーム1内部への加硫用高温ガス供給を停止しておく。
け完了までの間に、図示を省略したバキュウム手段を動
作させる。このバキュウム手段は、例えば真空ポンプ自
体か、又は数台の加硫機1を所定圧まで減圧することが
可能な、真空ポンプと、これに連結した比較的大型の真
空槽とし、所定圧以上で真空ポンプが動作するタイプか
の、いずれでも可とする。このバキュウム手段と加硫機
1のドーム内部とをバキュウム用排気パイプ10で連通
させる。
示例は下型ドーム3)とにシール連結したバキュウム用
排気パイプ10を介し、バキュウム手段の動作により矢
印Vの向きにドーム2、3内部の空間(図ではドットで
示す)の空気を加硫機1の外部へと吸引排気し、ドーム
2、3内部空間を低真空の50〜250Torrとす
る。
型付け時に、未加硫タイヤとモールド4の内面との間に
閉じ込められている空気もモールド4に設けた多数本の
ベントホール4hを介して加硫機1の外部へと吸引排気
される。このありさまを一部のベントホール4hを代表
として矢印で示す。
ュウム手段のドーム2、3内部への連通部を、例えば電
磁バルブ(図示省略)により閉じてドーム2、3内部空
間の空気排出を動作を停止させる。この空気排出動作の
停止と同時に加硫機1のドーム2、3内部に供給パイプ
8を介し矢印S方向に高温ガス、例えば高温スチームを
供給し、未加硫タイヤに加硫を施す。
おける加硫機1のドーム2、3内部空間の空気排出によ
り、別途に特別な空気排出時間を設ける必要はなく、従
来の加硫成型時間を延長することはないので、加硫成型
の生産性を保持することができる。
発生の原因となる未加硫タイヤのモールド4への型付け
時に未加硫タイヤとモールド4の内面との間に閉じ込め
られている空気が一緒に加硫機1に外部に排出される結
果、空気トラップによるベアー発生は完全に阻止でき
る。
的な排気作用によりベントホール4hのトラップ空気の
排出効率が著しく高まるので、モールド4に加工するベ
ントホール4hの個数を大幅に減少させることができ、
各ベントホール4h相互間を結ぶベント溝の加工も省く
ことができ、結局モールド4の加工工数が減りモールド
の製造コストを低減させることができる。
工を施したり、新たに高額な設備や部品などを付け足す
必要はなく、従来の加硫機1のままで十分であり、せい
ぜいバキュウム用真空ポンプとそれに連結するバキュウ
ム用パイプ10の取り付け程度ですむ。上下ドーム2、
3の密閉係合は従来のシール部材で低真空状態を作り出
すに十分であり、総合して小額の設備投資で良い、大き
な利点を有する。
ム2、3内部の加硫用高温スチームを排気した後、バキ
ュウム手段の連通部に設けた電磁バルブを開き、併せて
再びバキュウム手段を動作させて排気パイプ10を介し
てドーム2、3内部空間を減圧する。減圧下のドーム
2、3内部空間は低真空、例えば50〜250Torr
であり、これによりドーム内部に存在する水分を気化さ
せ、気化した水分を排気する。
水分が除去されるので、次の未加硫タイヤに加硫成型を
施す時、ドーム2、3内部に残留する水分によるベアー
故障発生を完全に阻止することができる。また上記の再
度の排気は、加硫成型時に未加硫タイヤから発生してド
ーム2、3内部に閉じ込められている不快な臭いや紫煙
などの、作業環境を損なうガスも気化水分と共に加硫機
1の外部に排出できるので、作業環境改善に役立つ。こ
の再度の排気にはせいぜい0.3〜0.5分程度を要す
るのみであるから、それほど生産性を損なわずに、完璧
なベアー故障の排除と作業環境改善とが可能となる。
0×21.0−20 36PRのタイヤを実施例1では
50本加硫成型した。トレッドには4本の直状主溝を備
えるタイヤである。初回のみのバキュウム手段動作によ
るドーム2、3内部の最少圧力は100Torr、モー
ルド4への未加硫タイヤの型付け時間は10分、バキュ
ウム手段の動作時間も10分とした。加硫成型の総時間
は90分である。なおモールド4のベントホール4hの
本数は従来の384本から192本へ減少させた。
例の加硫成型方法に従い、同一タイヤ種で同じ本数の5
0本製造して、実施例1及び従来例それぞれのサイドウ
ォール部に生じたベアー不良率を算定したところ、実施
例1では2.3%であったのに対し、従来例では12.
8%に及んだ。
ら明らかなように、実施例1では従来に比しベントホー
ル4hを約50%減少させてもベアー不良率を大幅に低
減させることができることがわかる。
キュウム手段を0.5分間にわたり動作させて、ドーム
2、3内部を200Torrの低真空として残留水分な
どを気化排出した後、直ちに実施例1と同一タイヤサイ
ズ同一本数を実施例1の加硫成型方法に従い加硫成型し
てこれを実施例2とし、同様にベアー不良率を算出した
ところ殆ど0(ゼロ)%まで低減することができた。
によれば、従来の加硫成形の生産性を保持した上で、加
硫成形用モールドにはなんらの追加加工を必要とせず、
現行のドームタイプ加硫機には工場の手加工で済むよう
な極めて簡単な加工を施すのみで、タイヤのベアー故障
の発生を大幅に抑制することができる上、モールドのベ
ントホール数の大幅削減ができ、モールド加工工数の削
減によりモールドのコスト低減を可能とするタイヤの加
硫成型方法を提供することができ、さらに請求項4に記
載した発明によれば、上記に加えタイヤのベアー故障の
発生を更に一段と低減することができ、作業環境の改善
を達成することが可能なタイヤの加硫成型方法を提供す
ることができる。
容したモールドの要部断面図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 ドームタイプの加硫機に取付けた、多数
個のベントホールを有する加硫成型用モールドに未加硫
タイヤを装填して加硫成型するに際し、 加硫機とモールドとの全閉直後に未加硫タイヤ内面に加
圧流体による加圧体を作用させ、 この加圧体による未加硫タイヤのモールド内面に対する
押圧形付け開始から形付け完了までの間に、加硫機のド
ーム内部に連通するバキュウム手段を動作させてドーム
内部の空気を加硫機外部に排出してドーム内部を減圧
し、 未加硫タイヤの形付け完了と同時にバキュウム手段の連
通部を閉鎖して空気排出動作を停止させ、この空気排出
動作停止と同時に加硫機のドーム内部に高温ガスを供給
し、これにより未加硫タイヤに加硫成型を施すことを特
徴とするタイヤの加硫成型方法。 - 【請求項2】 バキューム手段による減圧後のドーム内
部の圧力が50〜250Torrの範囲内である請求項
1に記載した加硫成形方法。 - 【請求項3】 加硫機のドーム内部に供給する高温ガス
が高温スチームである請求項1に記載した加硫成型方
法。 - 【請求項4】 タイヤの加硫成型完了と同時に加硫用高
温ガスのスチームを排気した後、再び連通部の閉鎖を解
除してバキュウム手段を動作させ、このバキュウム手段
の再度の動作により加硫機のドーム内部を減圧し、この
減圧の下でドーム内部の水分を気化させ、気化した水蒸
気と加硫タイヤから発生してドーム内部に残留するガス
とを加硫機外部に排出させることを特徴とする請求項1
〜3に記載した加硫成型方法。
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