JP3252115B2 - タイヤの製造方法 - Google Patents

タイヤの製造方法

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JP3252115B2
JP3252115B2 JP01291098A JP1291098A JP3252115B2 JP 3252115 B2 JP3252115 B2 JP 3252115B2 JP 01291098 A JP01291098 A JP 01291098A JP 1291098 A JP1291098 A JP 1291098A JP 3252115 B2 JP3252115 B2 JP 3252115B2
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輝亘 三橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤ生カバーと
金型との間の残留空気を強制的に吸引してタイヤを加硫
成形するに際し、低コストでしかも生産性を向上しうる
タイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、空気入りタイヤは、タイヤ生カ
バーを加硫金型で成形する加硫工程を経て製造される。
加硫工程では、未加硫のタイヤ生カバーを加熱された金
型に挿入して、このタイヤ生カバーの内腔面にブラダを
介して圧力を作用させ、タイヤ生カバーを金型のタイヤ
成形面に密着させることにより行われる。
【0003】ところが、前記タイヤ生カバーと金型のタ
イヤ成形面との間に空気が残存していると、タイヤ生カ
バーが充分に金型に密着することができないため、加硫
されたタイヤの表面が凹むいわゆるベアが生じ、タイヤ
の製品価値を失う場合がある。
【0004】従来よりこの種の不具合を防止するため
に、金型に多数の排気口(ベントホール)を形成して、
前記余分な空気をタイヤ生カバーの膨張とともに排気口
から金型外へと排気するものが一般的となっている。し
かしながら、このものでは加硫中に空気の排気が終える
と余剰ゴムまでもが前記排気口へと流出し、この排気口
へ流出したゴムが加硫後においてタイヤ表面に多数のス
ピューとなって残存するため、タイヤ仕上げ工程におい
てこのスピューの切除に多大の労力を要するなどの問題
があった。
【0005】このようなスピューを形成する排気口の数
を減らす試みとして、例えば特開昭62−214907
号公報が提案されている。このものは、例えば図5に示
すような加硫金型aを開示している。加硫金型aは、略
タイヤ赤道位置に合わせ面bを有する分割型であって、
一端が前記加硫金型の合わせ面bを通って金型のトレッ
ド成形部eに連通しかつ他端が圧力源Pに接続されるト
レッド排気通路cと、一端が前記加硫金型のサイドウォ
ール成形部fに開口しかつ他端が圧力源に接続されるサ
イドウォール排気通路dとを具えている。
【0006】そして、前記金型の合わせ面bを閉じた状
態で、ブラダjを介してタイヤ生カバーkに予備成形圧
を作用させるとともに、前記トレッド排気通路c、サイ
ドウォール排気通路dから圧力源を作動して真空引きを
行い、金型aとタイヤ生カバーkとの間で形成される閉
空間mを所定圧力まで減圧した後にブラダjにさらに高
圧の成形圧力を作用させてタイヤを加硫成形するもので
ある。
【0007】このように、特開昭62−214907号
公報では、真空引きにより金型内の空気を強制的に吸引
することにより、従来のタイヤの膨張を利用した自然排
気口の数を減じ、スピュの形成本数を減じるというもの
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な強制的に金型内の空気を抜き取る方法(以下、単に
「真空引き方法」ということがある)では、特開昭62
−214907号公報にも示されているように、金型a
には、金型の合わせ面bが閉じた際に金型内の気密性を
高めるためのシール部材(パッキング)nを分割型の
間、例えば前記合わせ面bなどに設けることが必要と考
えられていた。
【0009】しかしながら、金型は加硫中には非常に高
温となるため、このシール部材nにはきわめて高い耐熱
性が要求され、シリコーンゴム等の比較的高価な材料の
ものを用いなければならないという問題がある。また、
タイヤサイズ毎に金型の径が異なるため、前述のシール
部材nは、帯状のものを各々の径に応じて切断し、その
両端を接着剤等で精度良く接合してリング状に形成され
るとともに、これらを複数種類準備しておく必要があ
り、タイヤの製造に際して余計な段取り作業の手間が必
要となる。
【0010】さらに、金型aには、シール部材nを金型
内に配する環状溝のスペースrを確保する必要があるた
め、金型の大型化を招く他、非真空引き方法で用いられ
ていた金型にそのスペースが望めない場合には、加硫装
置全体を変更しなければならず汎用性に欠けるなどの多
くの問題点を有していた。
【0011】本発明は、このような問題点に鑑み案出さ
れたもので、真空引き方法を行うに際して、合わせ面で
分割される分割型間にシール部材を用いることがなく、
そのため低コストでしかも生産性に優れたタイヤの製造
方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明は、一端が前記加硫金型の合わせ面を通って前
記タイヤ成形空間のトレッド成形部に連通しかつ他端が
真空引きしうる圧力源に接続されるトレッド排気通路
と、一端が前記加硫金型の前記タイヤ成形空間のサイド
ウォール成形部に小孔で開口しかつ他端が真空引きしう
圧力源に接続されるサイドウォール排気通路とを具え
るとともに、前記合わせ面が、シール部材を具えない実
質的な平滑面を有して形成された加硫金型を用いること
を特徴としている。
【0013】また請求項1の発明は、さらに、タイヤ生
カバーの内腔面にブラダを介してシェーピング圧力Ps
を作用させることにより、このタイヤ生カバーの外面を
前記加硫金型のタイヤ成形空間を囲む金型内向き面に沿
わせるシェーピング処理と、 このシェーピング処理と並
行して前記分割型の合わせ面の閉止前から開始され、か
つ前記トレッド排気通路及びサイドウォール排気通路か
ら前記金型のトレッド成形部とタイヤ生カバーとの間、
及び前記サイドウォール成形部とタイヤ生カバーとの間
の空気を吸引する残留空気吸引処理とを含み、かつ前記
ブラダの作用圧力を前記シェーピング圧力よりも大きい
タイヤ成形圧力Pvとしてタイヤを成形する成形処理
を、前記分割型の前記合わせ面の閉止から10〜40秒
の遅延時間経過後に開始させるとともに、前記残留空気
吸引処理と前記シェーピング処理とを、少なくとも前記
成形処理の遅延時間内も継続して行うことを特徴とす
る。
【0014】また請求項2記載の発明は、前記成形処理
後に行われかつ前記トレッド排気通路、サイドウォール
排気通路から前記金型のトレッド成形部と加硫済タイヤ
との間、及びサイドウォール成形部と加硫済タイヤとの
間に空気を吹き入れるブロー処理を含むことを特徴とす
【0015】さらに請求項3記載の発明は、前記トレッ
ド成形部が、トレッド溝成形用の隆起部を有しかつこの
隆起部に、その溝壁成形面間を貫通するベントホールを
設けたことを特徴としている。
【0016】また請求項4記載の発明は、前記サイドウ
ォール排気通路の前記小孔が、切断する必要のない程度
の小径のスピューを形成する口径を有することを特徴と
している。
【0017】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態につ
き、先ずタイヤの加硫金型について図面に基づき説明す
る。本発明で用いうる加硫金型(以下、単に「金型」と
いうことがある)1は、図1に示すように、合わせ面2
を閉止することにより、金型1の内向き面1aにより囲
まれかつ仕上りタイヤの輪郭をなすタイヤ成形空間3を
形成しうる複数の分割型からなる。また本発明に係る金
型1は、空気入りタイヤを加硫するものであり、ソリッ
ドタイヤを加硫するものは含まれない。
【0018】本例の金型1は、略タイヤ赤道位置近傍に
この合わせ面2を有する上型4b、下型4aの2つから
なる分割型で構成される。なお、金型1は、例えば下型
4aが固定されるとともに、上型4bがプレス機などに
より昇降自在かつ位置固定可能に取り付けされている。
【0019】前記タイヤ成形空間3は、タイヤのトレッ
ド面を成形するトレッド成形部5と、サイドウォール面
を形成するサイドウォール成形部6と、ビード面を成形
するビード成形部7とを含み、かつこれらの各成形部
5、6、7が滑らかに連なる子午断面が周方向に連続す
ることにより形成される。
【0020】前記トレッド成形部5は、図2に拡大して
示すように、本例ではタイヤ周方向にのびるトレッド溝
成形用の隆起部9を有する。この隆起部9は、その溝壁
成形面9a、9a間を貫通する小孔のベントホール10
を設けたものを示す。これによって、この隆起部9、タ
イヤ生カバーTで区分される空間A、Bの各側で空気の
行き来を可能としうる。なお前記ベントホール10は、
隆起部9の根本から例えば1mm以上の距離hを隔てて設
けるのが好ましく、またその口径は例えば0.6〜1.
6mmとするのが好ましい。
【0021】なおタイヤパターン形状によっては、ベン
トホール10が、例えば10mm以上の長さになることが
あり、このような場合にはタイヤを全型から取り出す際
に、ベントホール10内のゴムが切断されて、下型4a
のサイドウォール成型部6に落下したり、またベントホ
ール10に詰まりが生じ易くなる他、仕上がりタイヤの
外観を損ねる場合がある。このような場合には、ベント
ホール10に代えて少数かつベントホールよりも小径の
小孔を設けることができる。
【0022】また前記下型4a、上型4bは、前記合わ
せ面2の径方向外端部に、合わせ面2から相手の型に向
かって凹凸しかつ互いに整合することにより前記合わせ
面2を精度良く閉じるテーパ面11を有する嵌合部12
が形成され、上型4b、下型4aは、位置ずれすること
なく精度よく閉止でき、常に同一形状の前記タイヤ成形
空間3を形成しうる。
【0023】また、金型1には、タイヤ成形空間3に挿
入されたタイヤ生カバーTの内腔面に圧力を作用させう
る弾性容器となるブラダ13が付設される。このブラダ
13には、その内部に、過熱水、蒸気、ガス等の圧力媒
体が出入りする。これにより、タイヤ生カバーTの内腔
面内に、このブラダ13の膨張を介して所定の圧力ない
し熱を作用させることができる。
【0024】また、金型1には、一端が前記合わせ面2
を通って前記タイヤ成形空間3のトレッド成形部5に連
通しかつ他端が真空引き用の圧力源Pに接続されるトレ
ッド排気通路14が形成される。このトレッド排気通路
14は、本例では、前記合わせ面2を通る小孔路14a
と、この小孔路14aに接続されて金型外部へと開口す
る前記小孔路14aよりも大径の主排気路14bとを含
むものを示す。
【0025】また、金型1には、一端が前記加硫金型の
前記タイヤ成形空間3のサイドウォール成形部6に小孔
15aで開口しかつ他端が真空引き用の圧力源Pに接続
されるサイドウォール排気通路15が設けられる。本例
では、前記サイドウォール排気通路15の前記小孔は、
図3に示すように、排気通路15から分岐した中径路を
介し該中径路の径をさらに著しく減じた小径路15aで
サイドウォール成形部5に開口しており、例えば口径が
1mm以下であり、成形されたタイヤの表面に切断する必
要のない程度のスピューを形成する。なお小経路15a
は、例えばサイドウォール部片面において、タイヤ周方
向合計で6〜12個程度設けるのが好ましい。
【0026】また前記合わせ面2は、シリコーンゴム等
のシール部材を具えない実質的な平滑面16を有して形
成されたことを特徴としている。このように、本発明で
用いうる金型1の合わせ面2は、シール部材を用いるこ
となく構成されるため、高価なシール部材を金型のサイ
ズ毎に準備しておくことが不用となり、また非真空引き
方法で用いられていた既存の金型に、排気通路を形成す
るのみで真空引き方法を採用することを可能としうる。
また、金型に対してシール部材装着用の環状溝などのス
ペースを確保する必要がないため金型の小型化をも図り
うる。
【0027】なお前記合わせ面2に形成される「実質的
な平滑面」とは、上型4b、下型4aを閉止したとき
に、面する合わせ面2、2間に加硫中のゴムが実質的に
流出しない程度まで平滑度が保たれていれば良いもので
ある。また、「合わせ面2がシール部材を具えない」と
は、この合わせ面2により分割される面にシール部材が
設けられていないことであり、従って合わせ面2のみな
らず、この合わせ面に続いて設けられる前記嵌合部12
などにもシール部材が設けられていないことを意味す
る。
【0028】また前記トレッド排気通路14、サイドウ
ォール排気通路15には、これらの排気通路に正乃至負
の圧力を発生させ、真空引きもなしうるポンプ等の圧力
源PがコックVを介して接続されている。このため、コ
ックVを開き、圧力源Pから負圧を発生させることによ
り、前記トレッド成形面5とタイヤ生カバーTとの間、
及びサイドウォール排気通路15とタイヤ生カバーTと
の間の閉空間に残留する空気を吸引でき、他方、圧力源
Pが正圧を発生させることにより、前記トレッド成形面
5とタイヤ生カバーTとの間、及びサイドウォール成形
部6とタイヤ生カバーTとの間に空気を吹き入れしう
る。
【0029】次に、このような金型1を用いたタイヤの
製造方法について、乗用車用の空気入りラジアルタイヤ
を例にとり図4に示すタイムチャートなどに基づいて説
明する。先ず、予熱されかつ離間した上型4bと下型4
aとの間から、タイヤ生カバーTを金型内に挿入し、し
かる後前記上型4b、下型4aの前記合わせ面2の隙間
を減じて合わせ面2を近接させていく金型の閉止動作を
開始する(図4(a))。なおタイヤ生カバーTは、カ
ーカス、ベルト、ゴムなどを予め成型することにより得
られる。
【0030】この閉止動作開始から所定時間遅れてシェ
ーピング処理を行なう。シェーピング処理は、タイヤ生
カバーTの内腔面にブラダ13を介してシェーピング圧
力Psを作用させることにより、このタイヤ生カバーT
の外面を金型の内向き面1aに沿うように膨張させる
(図4(b))。なおシェーピング圧力Paとしては、
例えばゲージ圧で2〜10mH2 O程度の圧力が好まし
い。
【0031】なお、シェーピング処理は、上型4b、下
型4aの合わせ面2が完全に閉止するよりも前から開始
することが好ましい。
【0032】次に、このシェーピング処理の開始と同時
又は、そして本例ではシェーピング処理から遅れてしか
も前記金型1の合わせ面2が完全に閉止する前から残留
空気吸引処理を開始する(図4(c))。この残留空気
吸引処理は、前記トレッド排気通路14及びサイドウォ
ール排気通路15から前記金型のトレッド成形部5とタ
イヤ生カバーTとの間、及び前記サイドウォール成形部
6とタイヤ生カバーTとの間に残留する空気を本例では
真空ポンプにより吸引する。
【0033】このため、シェーピング処理と残留空気吸
引処理とが並行して行われ、ブラダ13を介して行われ
るタイヤ内腔側からのシェーピング圧力Psによるタイ
ヤ生カバーTの膨張を利用しつつ、圧力源たる真空ポン
プから生じる真空圧によって、タイヤ生カバーTと金型
内向き面1aとの間の空気を効率よく吸い出しうる。
【0034】また、タイヤ生カバーTは、このシェーピ
ング処理により、トレッド部とサイドウォール部との接
続部であるバットレス部近傍位置からまず金型内向き面
1aに接触することが多く、このため、前記トレッド成
形部5とタイヤ生カバーTとの間、及びサイドウォール
成形部6とタイヤ生カバーTとの間に各々独立した実質
的な閉空間17A、17Bが形成されがちとなるが、ト
レッド排気通路14とサイドウォール排気通路15とを
設けているため、これらの各閉空間に残留している空気
を効率よく吸引しうる。
【0035】また、本例では、前記トレッド成形部5に
形成された全てのトレッド溝成形用の隆起部9には、こ
の隆起部9を境に隣り合う空間A、B間での空気の行き
来を可能とするベントホール10が形成されているた
め、前記タイヤ赤道位置近傍の小孔路14aからの吸引
によりトレッド側部に至って効果的な残留空気の吸引が
可能となる。なおベントホール10に代えて小孔を用い
うることは前述の通りである。
【0036】なお前記残留空気吸引処理においては、例
えば真空圧2〜6mH2 O(ゲージ圧表示で−2〜−6
mH2 O)として真空引きするのが好ましい。前記真空
圧が2mH2 Oを下回ると、低真空となるため金型内の
残留空気を十分に吸引できない傾向があり、この残留空
気が加硫中に逃げ場を失いタイヤ表面にベアを形成し易
くなる。逆に真空圧が6mH2 Oを越えると、真空度が
高まりすぎ、タイヤ生カバーTのサイドウォール部など
において生カバー内部に分散混入されていた空気が吸引
により一箇所に溜まる傾向があり、これが加硫タイヤに
も残存してタイヤの製品価値を失う場合がある。
【0037】なお、残留空気吸引処理では、金型の前記
合わせ面2の閉止により真空度が高まるが、図4(c)
に実線で示すように金型の閉止よりも時間toだけ先立
ち残留空気吸引処理を行った場合には、図4(d)に例
えば前記閉空間17Bの真空圧を示すように、ある程度
までは減圧できるため、所定の真空圧Pcに達するまで
の時間短縮には効果がある(なお一点鎖線は、金型の閉
止と同時に残留空気吸引処理を行った場合を示す)。
【0038】そして本発明では、前記ブラダ13の作用
圧力を前記シェーピング圧力Psよりも大きいタイヤ成
形圧力Pvとしてタイヤを成形する成形処理を、前記分
割型の合わせ面2が閉止から10〜40秒の遅延時間t
1経過後に開始させるとともに、残留空気吸引処理と前
記シェーピング処理とを、少なくともこの成形処理の遅
延時間t1内も継続して行うことを特徴としている。
【0039】このように、本発明では、合わせ面2にシ
ール部材を具えない金型1を用いているため、合わせ面
2が閉止してから成形処理が開始されるのを故意に遅ら
せるとともに、その遅延時間t1内も継続して残留空気
吸引処理を行うことにより、効率良く前記残留空気を除
去しうる。なお、従来のタイヤの製造方法では、金型の
合わせ面2が閉止してから直ちに成形処理が開始される
ものである。
【0040】前記成形処理は、タイヤ生カバーTの内腔
面にブラダ13を介して前記シェーピング圧Psよりも
高圧のタイヤ成形圧力Pvを作用させるため、タイヤ生
カバーTの外面は前記金型の内向き面1aに密着し、タ
イヤとして成形される。この場合の成形圧力Pvは、例
えばゲージ圧で100〜2800mH2 Oとするのが好
ましい。
【0041】また前記金型の合わせ面2が閉止してから
成形処理が開始されるまでの前記遅延時間t1は、10
〜40秒、さらに好ましくは20〜30秒とするのが望
ましい。前記金型1の閉止から成形処理が行われるまで
の時間t1が、40秒を超えると、タイヤ生カバーTの
外面が金型内向き面1aにシェーピング状態で十分に密
着している部分は金型温度(例えば170〜180℃)
により、また密着していない部分は金型の輻射熱によ
り、タイヤ生カバーTの表面だけが加硫を始め、表面焼
けやベアなどを始めとする成形不良が生じ易くなる。な
お前記遅延時間t1の上限値は加硫するタイヤの種類に
応じて種々設定しうる。
【0042】他方、成形処理の開始から残留空気吸引処
理を終えるまでの前記時間t2は、例えば5〜10秒と
するのが好ましい。これにより、さらに残留空気の除去
効果が向上する。なお、残留空気吸引処理を終える際に
は、前記コックVを閉じることにより、各排気通路への
過剰のゴム流入を防ぐ。
【0043】また、本実施形態では、前記成形処理後
に、加硫金型の上型4bを下型4aから離間させてタイ
ヤを取り外すが、例えばこの上型4bの離間移動と連係
して、前記トレッド排気通路14、サイドウォール排気
通路15を利用して、前記金型のトレッド成形部5と加
硫済タイヤとの間、及びサイドウォール成形部6と加硫
済タイヤとの間に空気を吹き入れるブロー処理を行うも
のを例示している。
【0044】サイドウォール成形部の前記小径路15a
などには、タイヤの製造を重ねるにつれてゴムや加硫中
に発生する薬品類を含む蒸気が徐々に堆積し、残留空気
の排出効果が低下して行くが、上述のようなブロー処理
を行うことにより、小径路15a中に付着する堆積物を
効果的に除去でき、真空引き方法の効果を高めうる。
【0045】なおトレッド成形部5、サイドウォール成
形部6には、例えば図3に例示するように空気溜まりを
防止するのに役立つ1mm以下の小巾かつ1mm以下の小高
さの線状模様部からなるソーカット19や、小孔の自然
排気口などの公知の排気手段を適宜設けることが可能で
あるが、上述のような真空引き方法を採用することによ
り、これらの配設数、とりわけ自然排気口の数は従来の
非真空引き方法に比べて大幅に削減しうるため、当然ス
ピューの本数を減少させる。また、本発明の金型及びそ
れを用いた製造方法は、タイヤ軸を含む子午断面に合わ
せ面を有する分割型において同様に適用できる。
【0046】
【実施例】タイヤサイズが185/70R14の乗用車
用空気入りラジアルタイヤを表1に示す仕様により製造
し、作業性、シール部材の有無によるコスト、加硫され
たタイヤの品質などについて総合評価を行った。なお加
硫金型の形状は、タイヤ赤道位置近傍に合わせ面を有す
るいわゆる2ピースタイプである。テストの結果を表1
に示す。
【0047】
【表1】
【0048】合わせ面にシール部材を有する従来例で
は、タイヤの品質には問題がないが、シール部材のコス
トが高く、またその接合準備、金型への取付作業などが
必要となり、生産性は好ましくない。また、金型の閉止
と同時に成形処理を開始した比較例1、金型の閉止から
5秒後に成形処理を開始した比較例2では、残留空気の
除去効果が劣り、ベアが生じていた。また金型の閉止か
ら65秒後に成形処理を開始した比較例3では、ベアの
他、表面焼けが生じていた。また、実施例のものは、シ
ール部材を不要としており、コスト、生産性に優れ、ま
た加硫されたタイヤについても申し分なかった。
【0049】
【発明の効果】上述したように、請求項1記載のタイヤ
の製造方法で用いる加硫金型では、加硫金型の合わせ面
が、シール部材を具えない実質的な平滑面を有して形成
されたことにより、高価なシール部材を金型のサイズ毎
に準備しておくことが不用となり、また非真空引き方法
で用いられていた既存の金型に、排気通路を形成するの
みで真空引き方法を採用することを可能とし、さらには
シール部材装着用の環状溝などの加工が不要となるた
め、金型の小型化をも図りうる。また前合わせ面が実質
的な平滑面を有するため、加硫中にこの合わせ面間の隙
間からゴムが流出するのを効果的に防止でき、タイヤの
品質低下と言った不具合もない。
【0050】さらに、タイヤ生カバーと金型との間の空
気を吸引する残留空気吸引処理を合わせ面の閉止前から
開始するとともに、金型が閉止されてからの成形処理の
開始を故意に遅らせ、その遅延時間の間も継続して残留
空気吸引処理、シェーピング処理を行うことにより、金
型の合わせ面にシール部材が無くとも残留空気を確実に
吸引でき、タイヤのトレッド面、サイドウォール部面で
のベア等を効果的に防止しうる
【0051】また、請求項2記載の発明では、ブロー処
理を行うことにより、サイドウォール部の前記小孔など
には、タイヤの製造を重ねるにつれてゴムや加硫中に発
生す る薬品類を含む蒸気が徐々に堆積して残留空気の排
出効果が低下していくのを抑制し、真空引き方法の効果
を高める。
【0052】また、請求項3記載の発明では、前記トレ
ッド成形部は、トレッド溝成形用の隆起部を有しかつこ
の隆起部に、その溝壁成形面間を貫通するベントホール
を設けたことにより、隆起部の両側の閉鎖空間感で空気
の行き来を可能とし、金型とタイヤ生カバーとの間の残
留空気を効果的に吸引しうる。
【0053】また、請求項4記載の発明では、前記サイ
ドウォール排気通路の前記小孔は、切断する必要のない
程度の小径のスピューを形成する口径を有することを特
徴とするため、従来必要であったスピューを切除するた
めの仕上げ工程を削減でき、さらに生産性を向上しう
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で用いうる金型を例示する断
面図である。
【図2】トレッド溝成形部の部分的な拡大断面図であ
る。
【図3】サイドウォール排気通路の部分的な拡大断面図
である。
【図4】本発明の製造方法を説明するタイムチャートで
ある。
【図5】従来の金型を示す断面図である。
【符号の説明】
1 加硫金型 2 合わせ面 3 タイヤ成形空間 4a 下型 4b 上型 5 トレッド成形部 6 サイドウォール成形部 9 トレッド溝成形用の隆起部 10 ベントホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/02 B29C 33/10 B29C 35/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一端が前記加硫金型の合わせ面を通って前
    記タイヤ成形空間のトレッド成形部に連通しかつ他端が
    真空引きしうる圧力源に接続されるトレッド排気通路
    と、 一端が前記加硫金型の前記タイヤ成形空間のサイドウォ
    ール成形部に小孔で開口しかつ他端が真空引きしうる圧
    力源に接続されるサイドウォール排気通路とを具え、か
    つ前記合わせ面が、シール部材を具えない実質的な平滑
    面を有するタイヤの加硫金型を用いるとともに、 タイヤ生カバーの内腔面にブラダを介してシェーピング
    圧力Psを作用させることにより、このタイヤ生カバー
    の外面を前記加硫金型のタイヤ成形空間を囲む金型内向
    き面に沿わせるシェーピング処理と、 このシェーピング処理と並行して前記分割型の合わせ面
    の閉止前から開始され、かつ前記トレッド排気通路及び
    サイドウォール排気通路から前記金型のトレッド成形部
    とタイヤ生カバーとの間、及び前記サイドウォール成形
    部とタイヤ生カバーとの間の空気を吸引する残留空気吸
    引処理とを含み、 かつ前記ブラダの作用圧力を前記シェーピング圧力より
    も大きいタイヤ成形圧力Pvとしてタイヤを成形する成
    形処理を、前記分割型の前記合わせ面の閉止から10〜
    40秒の遅延時間経過後に開始させるとともに、 前記残留空気吸引処理と前記シェーピング処理とを、少
    なくとも前記成形処理の遅延時間内も継続して行うこと
    を特徴とするタイヤの製造方法。
  2. 【請求項2】前記成形処理後に行われかつ前記トレッド
    排気通路、サイドウォール排気通路から前記金型のトレ
    ッド成形部と加硫済タイヤとの間、及びサイドウォール
    成形部と加硫済タイヤとの間に空気を吹き入れるブロー
    処理を含むことを特徴とする請求項1記載のタイヤの製
    造方法。
  3. 【請求項3】前記トレッド成形部は、トレッド溝成形用
    の隆起部を有しかつこの隆起部に、 その溝壁成形面間を
    貫通するベントホールを設けたことを特徴とする請求項
    1又は2記載のタイヤの製造方法。
  4. 【請求項4】前記サイドウォール排気通路の前記小孔
    は、切断する必要のない程度の小径のスピューを形成す
    る口径を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のタイヤの製造方法。
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