以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、説明が重複して冗長になるのを避けるため、各図において同一または相当する機能を有する要素には同一符号を付してある。
また、各実施の形態に用いられるトランジスタは、絶縁ゲート型電界効果トランジスタである。絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、ゲート絶縁膜中の電界により半導体層内のドレイン領域とソース領域との間の電気伝導度が制御される。ドレイン領域およびソース領域が形成される半導体層の材料としては、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ペンタセン等の有機半導体、単結晶シリコンあるいはIGZO(In-Ga-Zn-O)等の酸化物半導体などを用いることができる。
よく知られているように、トランジスタは、それぞれ制御電極(狭義にはゲート(電極))と、一方の電流電極(狭義にはドレイン(電極)またはソース(電極))と、他方の電流電極(狭義にはソース(電極)またはドレイン(電極))とを含む少なくとも3つの電極を有する素子である。トランジスタはゲートに所定の電圧を印加することによりドレインとソース間にチャネルが形成されるスイッチング素子として機能する。トランジスタのドレインとソースは、基本的に同一の構造であり、印加される電圧条件によって互いにその呼称が入れ代わる。例えば、N型トランジスタであれば、相対的に電位(以下「レベル」とも称する)の高い電極をドレイン、低い電極をソースと呼称する(P型トランジスタの場合はその逆となる)。
特に示さない限り、それらのトランジスタは半導体基板上に形成されるものであってもよく、またガラスなどの絶縁性基板上に形成される薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。トランジスタが形成される基板としては、単結晶基板あるいはSOI、ガラス、樹脂などの絶縁性基板であってもよい。
本発明のゲート線駆動回路は、単一導電型のトランジスタのみを用いて構成される。例えばN型トランジスタは、ゲート・ソース間電圧が当該トランジスタのしきい値電圧よりも高いH(ハイ)レベルになると活性状態(オン状態、導通状態)となり、同しきい値電圧よりも低いL(ロー)レベルで非活性状態(オフ状態、非導通状態)となる。そのためN型トランジスタを用いた回路においては信号のHレベルが「活性レベル」、Lレベルが「非活性レベル」となる。また、N型トランジスタを用いて構成した回路の各ノードは、充電されてHレベルになることで、非活性レベルから活性レベルへの変化が生じ、放電されてLレベルになることで、活性レベルから非活性レベルへの変化が生じる。
逆にP型トランジスタは、ゲート・ソース間電圧がトランジスタのしきい値電圧(ソースを基準として負の値)よりも低いLレベルになると活性状態(オン状態、導通状態)となり、同しきい値電圧よりも高いHレベルで非活性状態(オフ状態、非導通状態)となる。そのためP型トランジスタを用いた回路においては信号のLレベルが「活性レベル」、Hレベルが「非活性レベル」となる。また、P型トランジスタを用いて構成した回路の各ノードは、充電・放電の関係がN型トランジスタの場合と逆になり、充電されてLレベルになることで、非活性レベルから活性レベルへの変化が生じ、放電されてHレベルになることで、活性レベルから非活性レベルへの変化が生じる。
また本明細書においては、二つの素子間、二つのノード間あるいは一の素子と一のノードとの間の「接続」とはその他の要素(素子やスイッチなど)を介しての接続であるが実質的に直接接続されているのと等価な状態を含むものとして説明する。例えば二つの素子がスイッチを介して接続している場合であっても、それらが直接接続されているときと同一に機能できるような場合には、その二つの素子が「接続している」と表現する。
本発明においては、互いに位相の異なるクロック信号(多相クロック信号)が用いられる。以下では説明の簡単のため、一のクロック信号の活性期間とその次に活性化するクロック信号の活性期間との間に一定の間隔を設けている(図37のΔt)。しかし本発明では各クロック信号の活性期間が実質的に重ならなければよく、上記の間隔は無くてもよい。例えば活性レベルをHレベルとすると、一のクロック信号の立ち下がりタイミングとその次に活性化するクロック信号の立ち上がりタイミングとが同時であってもよい。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の構成を示す概略ブロック図であり、表示装置の代表例として液晶表示装置100の全体構成を示している。なお、本発明のゲート線駆動回路は、液晶表示装置への適用に限定されるものではなく、エレクトロルミネッセンス(EL)、有機EL、プラズマディスプレイ、電子ペーパ、イメージセンサなどの電気光学装置に広く適用することが可能である。
液晶表示装置100は、液晶アレイ部10と、ゲート線駆動回路(走査線駆動回路)30と、ソースドライバ40とを備える。後の説明により明らかになるが、本発明の実施の形態に係るシフトレジスタは、ゲート線駆動回路30に搭載される。
液晶アレイ部10は、行列状に配設された複数の画素15を含む。画素の行(以下「画素ライン」とも称する)の各々にはそれぞれゲート線GL1,GL2…(総称「ゲート線GL」)が配設され、また、画素の列(以下「画素列」とも称する)の各々にはそれぞれデータ線DL1,DL2…(総称「データ線DL」)がそれぞれ設けられる。図1には、第1行の第1列および第2列の画素15、並びにこれに対応するゲート線GL1およびデータ線DL1,DL2が代表的に示されている。
各画素15は、対応するデータ線DLと画素ノードNpとの間に設けられる画素スィッチ素子16と、画素ノードNpおよび共通電極ノードNCの間に並列に接続されるキャパシタ17および液晶表示素子18とを有している。画素ノードNpと共通電極ノードNCとの間の電圧差に応じて、液晶表示素子18中の液晶の配向性が変化し、これに応答して液晶表示素子18の表示輝度が変化する。これにより、データ線DLおよび画素スイッチ素子16を介して画素ノードNpへ伝達される表示電圧によって、各画素の輝度をコントロールすることが可能となる。即ち、最大輝度に対応する電圧差と最小輝度に対応する電圧差との間の中間的な電圧差を、画素ノードNpと共通電極ノードNCとの間に印加することによって、中間的な輝度を得ることができる。従って、上記表示電圧を段階的に設定することにより、階調的な輝度を得ることが可能となる。
ゲート線駆動回路30は、所定の走査周期に基づき、ゲート線GLを順に選択して活性化させる。画素スイッチ素子16のゲート電極は、それぞれ対応するゲート線GLと接続される。特定のゲート線GLが選択されている間は、それに接続する各画素において、画素スイッチ素子16が導通状態になり画素ノードNpが対応するデータ線DLと接続される。そして、画素ノードNpへ伝達された表示電圧がキャパシタ17によって保持される。一般的に、画素スイッチ素子16は、液晶表示素子18と同一の絶縁体基板(ガラス基板、樹脂基板等)上に形成されるTFTで構成される。
ソースドライバ40は、Nビットのデジタル信号である表示信号SIGによって段階的に設定される表示電圧を、データ線DLへ出力するためのものである。ここでは一例として、表示信号SIGは6ビットの信号であり、表示信号ビットDB0〜DB5から構成されるものとする。6ビットの表示信号SIGに基づくと、各画素において、26=64段階の階調表示が可能となる。さらに、R(Red)、G(Green)およびB(Blue)の3つの画素により1つのカラー表示単位を形成すれば、約26万色のカラー表示が可能となる。
また、図1に示すように、ソースドライバ40は、シフトレジスタ50と、データラッチ回路52,54と、階調電圧生成回路60と、デコード回路70と、アナログアンプ80とから構成されている。
表示信号SIGにおいては、各々の画素15の表示輝度に対応する表示信号ビットDB0〜DB5がシリアルに生成される。すなわち、各タイミングにおける表示信号ビットDB0〜DB5は、液晶アレイ部10中のいずれか1つの画素15における表示輝度を示している。
シフトレジスタ50は、表示信号SIGの設定が切り換わる周期に同期したタイミングで、データラッチ回路52に対して、表示信号ビットDB0〜DB5の取り込みを指示する。データラッチ回路52は、シリアルに生成される表示信号SIGを順に取り込み、1つの画素ライン分の表示信号SIGを保持する。
データラッチ回路54に入力されるラッチ信号LTは、データラッチ回路52に1つの画素ライン分の表示信号SIGが取り込まれるタイミングで活性化する。データラッチ回路54はそれに応答して、そのときデータラッチ回路52に保持されている1つの画素ライン分の表示信号SIGを取り込む。
階調電圧生成回路60は、高電圧VDHおよび低電圧VDLの間に直列に接続された63個の分圧抵抗で構成され、64段階の階調電圧V1〜V64をそれぞれ生成する。
デコード回路70は、データラッチ回路54に保持されている表示信号SIGをデコードし、当該デコード結果に基づいて各デコード出力ノードNd1,Nd2…(総称「デコード出力ノードNd」)に出力する電圧を、階調電圧V1〜V64のうちから選択して出力する。
その結果、デコード出力ノードNdには、データラッチ回路54に保持された1つの画素ライン分の表示信号SIGに対応した表示電圧(階調電圧V1〜V64のうちの1つ)が同時に(パラレルに)出力される。なお、図1においては、第1列目および第2列目のデータ線DL1,DL2に対応するデコード出力ノードNd1,Nd2が代表的に示されている。
アナログアンプ80は、デコード回路70からデコード出力ノードNd1,Nd2…に出力された各表示電圧に対応したアナログ電圧を電流増幅して、それぞれデータ線DL1,DL2…に出力する。
ソースドライバ40が、所定の走査周期に基づいて、一連の表示信号SIGに対応する表示電圧を1画素ライン分ずつデータ線DLへ繰り返し出力し、ゲート線駆動回路30がその走査周期に同期してゲート線GL1,GL2…を順に駆動することにより、液晶アレイ部10に表示信号SIGに基づいた画像の表示が成される。
なお、図1には、ゲート線駆動回路30およびソースドライバ40が液晶アレイ部10と一体的に形成された液晶表示装置100の構成を例示したが、ゲート線駆動回路30と液晶アレイ部10とを一体的に形成し、ソースドライバ40については液晶アレイ部10の外部回路として設ける、あるいはゲート線駆動回路30およびソースドライバ40については、液晶アレイ部10の外部回路として設けることも可能である。
図2は、ゲート線駆動回路30の構成を示す図である。このゲート線駆動回路30は、縦続接続(カスケード接続)した複数の単位シフトレジスタSR1,SR2,SR3,SR4…で構成されるシフトレジスタから成っている(説明の便宜上、縦続接続するシフトレジスタ回路SR1,SR2…を「単位シフトレジスタSR」と総称する)。各単位シフトレジスタSRは、1つの画素ラインすなわち1つのゲート線GLごとに設けられる。
本実施の形態のゲート線駆動回路30では、最後段の単位シフトレジスタSRnのさらに次段に、ゲート線に接続されないダミーの単位シフトレジスタSRD(以下「ダミー段」)が設けられている。基本的にダミー段SRDも他の単位シフトレジスタSRと同様の構成を有している。
また図2に示すクロック信号発生器31は、互いに位相の異なる(活性期間が重ならない)クロック信号CLK,/CLKからなる2相クロックをゲート線駆動回路30の単位シフトレジスタSRに入力するものである。このクロック信号CLK,/CLKは互いに逆相であり、表示装置の走査周期に同期したタイミングで、交互に活性化するよう制御されている。
各単位シフトレジスタSRは、入力端子IN、出力端子OUT、クロック端子CKおよびリセット端子RSTを有している。図2のように、各単位シフトレジスタSRのクロック端子CKには、クロック信号CLK,/CLKのいずれかが供給される。具体的には、クロック信号CLKは奇数段の単位シフトレジスタSR1,SR3,SR5…に供給され、クロック信号/CLKは偶数段の単位シフトレジスタSR2,SR4,SR6…に供給される。
図2の例では最後段である第n段目(第nステージ)の単位シフトレジスタSRnは偶数段であり、当該単位シフトレジスタSRnには、クロック信号/CLKが供給されている。よって、ダミー段SRDは奇数段となり、そのクロック端子CKにはクロック信号CLKが供給される。
第1段目(第1ステージ)である単位シフトレジスタSR1の入力端子INには、ゲート線駆動回路30に信号のシフト動作を開始させるためのスタートパルスSPが入力される。スタートパルスSPは、スタート信号発生器32で生成される。本実施の形態において、スタートパルスSPは画像信号の各フレーム期間の先頭に対応するタイミングで活性化される(Hレベルになる)信号である。また第2段目以降の各単位シフトレジスタSRでは、入力端子INはその前段の単位シフトレジスタSRの出力端子OUTに接続される。
各単位シフトレジスタSRのリセット端子RSTは、その次段の単位シフトレジスタSRの出力端子OUTに接続される。最後段の単位シフトレジスタSRnのリセット端子RSTは、ダミー段SRDの出力端子OUTに接続される。なお、ダミー段SRDのリセット端子RSTには、そのクロック端子CKに入力されるクロック信号CLKとは位相の異なるクロック信号/CLKが入力される。
このように各単位シフトレジスタSRの出力端子OUTから出力される出力信号Gは、水平(又は垂直)走査パルスとして、それぞれ対応するゲート線GLへと供給されると共に、自己の次段の入力端子INおよび自己の前段のリセット端子RSTへと供給される。
ゲート線駆動回路30の単位シフトレジスタSRの各々は、クロック信号CLK,/CLKに同期して、入力端子INに入力される信号(スタートパルスSPあるいは自身の前段の出力信号)を時間的にシフトさせながら、対応するゲート線GL並びに自身の後段の単位シフトレジスタSRへと伝達する。その結果図37に示すように、各単位シフトレジスタSRの出力信号は、G1,G2,G3…と順番に活性化される(単位シフトレジスタSRの動作の詳細は後述する)。従って、一連の単位シフトレジスタSRは、所定の走査周期に基づいたタイミングでゲート線GLを順に活性化させる、いわゆるゲート線駆動ユニットとして機能する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る単位シフトレジスタSRの構成を示す回路図である。なおゲート線駆動回路30においては、縦続接続された各単位シフトレジスタSRの構成は実質的にどれも同じであるので、ここでは代表的に、第k段目の単位シフトレジスタSRkについて説明する。本実施の形態の単位シフトレジスタSRkを構成するトランジスタは、全て同一導電型の電界効果トランジスタであるが、以下に示す実施の形態および変更例においては全てN型TFTであるものとする。
図3の如く、単位シフトレジスタSRkは、図2にも示した入力端子IN、出力端子OUT、クロック端子CKおよびリセット端子RSTの他に、低電位側電源電位(ロー側電源電位)VSSが供給される第1電源端子S1、高電位側電源電位(ハイ側電源電位)VDD1,VDD2がそれぞれ供給される第2電源端子S2および第3電源端子S3を有している。ハイ側電源電位VDD1,VDD2は、互いに同一レベルであってもよい。以下の説明ではロー側電源電位VSSを回路の基準電位として説明するが、実使用では、画素に書き込まれるデータの電圧を基準にして基準電位が設定され、例えばハイ側電源電位VDD1,VDD2は17V、ロー側電源電位VSSは−12Vなどと設定される。
単位シフトレジスタSRkは、出力回路20、プルアップ駆動回路21、プルダウン駆動回路22から構成されている。出力回路20は、出力信号Gkの活性化および非活性化を行うものであり、ゲート線GLkの選択期間に出力信号Gkを活性状態(Hレベル)にするトランジスタQ1(出力プルアップトランジスタ)と、ゲート線GLkの非選択期間に出力信号Gkを非活性状態(Lレベル)に維持するためのトランジスタQ2(出力プルダウントランジスタ)とを含んでいる。
トランジスタQ1は、出力端子OUTとクロック端子CKとの間に接続しており、クロック端子CKに入力されるクロック信号を出力端子OUTに供給することによって出力信号Gkを活性化させる。またトランジスタQ2は、出力端子OUTと第1電源端子S1との間に接続しており、出力端子OUTを放電して電位VSSにすることで、出力信号Gkを非活性レベルに維持する。ここで、トランジスタQ1のゲート(制御電極)が接続するノードを「ノードN1」と定義する。
トランジスタQ1のゲート・ソース間(即ち出力端子OUTとノードN1との間)には容量素子C1が設けられている。この容量素子C1は、出力端子OUTとノードN1との間を容量結合し、出力端子OUTのレベル上昇に伴うノードN1の昇圧効果を高めるためのものである。但し、容量素子C1は、トランジスタQ1のゲート・チャネル間容量が充分大きい場合にはそれで置き換えることができるので、そのような場合には省略してもよい。
通常、1つの半導体集積回路内においては、容量素子の誘電体層となる絶縁膜の厚さは、トランジスタのゲート絶縁膜の厚さと同じになるので、容量素子をトランジスタのゲート容量に置き換える場合には、その容量素子と同一面積のトランジスタで代替することができる。よって図3の容量素子C1をトランジスタQ1のゲート・チャネル間容量で置き換える場合、トランジスタQ1のゲート幅を相当分だけ広くすればよい。
プルアップ駆動回路21は、トランジスタQ1(出力プルアップトランジスタ)を駆動する回路であり、トランジスタQ1を、ゲート線GLkの選択期間はオンにし、非選択期間はオフにするよう動作する。そのためプルアップ駆動回路21は、入力端子INに入力される前段の出力信号Gk-1(またはスタートパルスSP)の活性化に応じてノードN1(トランジスタQ1)を充電し、リセット端子RSTに入力されるリセット信号としての次段の出力信号Gk+1(またはダミー段SRDの出力信号GDM)の活性化に応じてノードN1を放電する。
プルアップ駆動回路21において、ノードN1と第2電源端子S2との間には、第2電源端子S2の電位VDD1をノードN1に供給することで、ノードN1を充電するトランジスタQ3(第3トランジスタ)が接続する。またノードN1と第1電源端子S1との間には、第1電源端子S1の電位VSSをノードN1に供給することで、ノードN1を放電するトランジスタQ4,Q5が接続する。トランジスタQ4のゲートはリセット端子RSTに接続する。トランジスタQ5のゲートは後述するプルダウン駆動回路22の出力端(「ノードN2」と定義する)に接続される。
トランジスタQ3のゲートノードを「ノードN3」と定義すると、ノードN3と入力端子INとの間には、ゲートが第2電源端子S2に接続されたトランジスタQ8が接続される。詳細は後述するが、ノードN3がLレベルのときトランジスタQ8はオン状態であるので、ノードN3は、前段の出力信号Gk-1がHレベルになるとトランジスタQ8を通して充電される。つまりトランジスタQ8は、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてノードN3を充電する充電回路として機能する。
一方、第2電源端子S2と第1電源端子S1との間には、トランジスタQ9,Q10が直列に接続されている。トランジスタQ9,Q10間の接続ノードを「ノードN4」と定義すると、トランジスタQ9は、第2電源端子S2とノードN4との間に接続し、そのゲートはノードN3に接続される。トランジスタQ10は、ノードN4と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはプルダウン駆動回路22の出力端(ノードN2)に接続される。またトランジスタQ10は、トランジスタQ9よりもオン抵抗が充分小さく(つまり駆動能力が大きく)設定されている。
これらトランジスタQ9,Q10は、ノードN2を入力端、ノードN4を出力端とするレシオ型インバータを構成している。当該インバータにおいて、トランジスタQ9は負荷素子、トランジスタQ10は駆動素子として機能する。
またトランジスタQ9のゲート・ソース間(ノードN3とノードN4との間)には容量素子C2が接続される。この容量素子C2は、ノードN3,N4間を容量結合しており、上記インバータの出力レベルが上昇するときにノードN3を昇圧するよう機能する。
一方、プルダウン駆動回路22は、トランジスタQ2(出力プルダウントランジスタ)を駆動する回路であり、その出力端(ノードN2)はトランジスタQ2のゲートに接続される。本実施の形態のプルダウン駆動回路22は、ノードN1のレベル変化に応じてノードN2を充放電する。具体的には、ノードN1がHレベルになるとノードN2を放電し、ノードN1がLレベルになるとノードN2を充電するように動作する。それによりトランジスタQ2は、ゲート線GLkの選択期間にはオフになり、非選択期間にはオンになる。また、先に述べたように、ノードN2にはプルアップ駆動回路21のトランジスタQ5,Q10のゲートも接続されている。
プルダウン駆動回路22は、第3電源端子S3と第1電源端子S1との間に直列接続したトランジスタQ6,Q7から構成されている。トランジスタQ6は、ノードN2と第3電源端子S3との間に接続し、そのゲートは第3電源端子S3に接続されている(即ちトランジスタQ6はダイオード接続されている)。トランジスタQ7はノードN2と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN1に接続している。
トランジスタQ7は、トランジスタQ6よりもオン抵抗が充分小さく(つまり駆動能力が大きく)設定されている。よって、トランジスタQ7のゲート(ノードN1)がHレベルのときにはトランジスタQ7がオンするのでノードN2はLレベルになり、逆にノードN1のLレベルのときにはトランジスタQ7がオフするのでノードN2はHレベルになる。即ちプルダウン駆動回路22は、ノードN1を入力端、ノードN2を出力端とするレシオ型インバータを構成している。当該インバータにおいて、トランジスタQ6は負荷素子、トランジスタQ7は駆動素子として機能する。
以下、本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRの具体的な動作を説明する。ゲート線駆動回路30を構成する各単位シフトレジスタSRおよびダミー段SRDの動作は実質的にどれも同じであるので、ここでも代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkの動作を説明する。単位シフトレジスタSRkでは、クロック端子CKにクロック信号CLKが入力されているものとする(奇数段の単位シフトレジスタSR1,SR3…がこれに該当する)。
また説明の簡単のため、以下では特に示さない限り、クロック信号CLK,/CLK、スタートパルスSPのHレベルの電位は全て等しいと仮定し、そのレベルをVDDとする。またVDDはハイ側電源電位VDD1,VDD2のレベルとも等しいとする(即ち、VDD=VDD1=VDD2)。またクロック信号CLK,/CLKおよびスタートパルスSPのLレベルの電位はロー側電源電位VSSと等しいものとし、その電位を0Vとする(VSS=0)。さらに、各トランジスタのしきい値電圧は全て等しいと仮定し、その値をVthとする。なお、クロック信号CLK,/CLKは、図37に示されるように、互いに1水平期間(1H)の位相差を持つ繰り返し信号である。
図4は、実施の形態1に係る単位シフトレジスタの動作を説明するためのタイミング図である。単位シフトレジスタSRkの動作を、図4を参照しつつ説明する。
まず単位シフトレジスタSRkの初期状態(時刻t1の直前の状態)として、ノードN1がLレベル(VSS)、ノードN2がHレベル(VDD−Vth)であると仮定する。この状態では、トランジスタQ1がオフ(遮断状態)、トランジスタQ2がオン(導通状態)であるので、クロック端子CK(クロック信号CLK)のレベルに関係なく、出力端子OUT(出力信号Gk)はLレベルに保たれる(以下、この状態を「リセット状態」と称す)。よってこの単位シフトレジスタSRkに対応するゲート線GLkは非選択状態にある。
また時刻t1の直前では、単位シフトレジスタSRkのクロック端子CK(クロック信号CLK)、入力端子IN(前段の出力信号Gk-1)、リセット端子RST(次段の出力信号Gk+1)は何れもLレベルであるとする。よってノードN3はトランジスタQ8を通して放電されてLレベル(VSS)になっている。またトランジスタQ10がオンしているためノードN4はLレベル(VSS)である。
その状態から、時刻t1でクロック信号/CLK(不図示)がHレベルに変化すると共に、前段の出力信号Gk-1(第1段目の単位シフトレジスタSR1の場合にはスタートパルスSP)が活性化されたとする。応じて単位シフトレジスタSRkの入力端子INのレベルが上昇する。ゲートが第2電源端子S2に接続したトランジスタQ8はオン状態であるので、前段の出力信号Gk-1のレベル上昇に追随してノードN3のレベルが上昇する。
前段の出力信号Gk-1のレベルが充分に上昇するまでの間は、トランジスタQ8のゲート・ソース間電圧(第2電源端子S2とノードN3との電位差)が大きく、トランジスタQ8は非飽和領域で動作しており、トランジスタQ8のオン抵抗値は充分低い状態にある。そのためノードN3のレベルは、前段の出力信号Gk-1に殆ど遅れることなく上昇し始める。ところが前段の出力信号Gk-1のレベル上昇が進むと、トランジスタQ8のゲート・ソース間電圧が小さくなり、当該トランジスタQ8は飽和領域で動作するようになりオン抵抗値が高くなる。よって図4の如く、ノードN3のレベル上昇速度は、前段の出力信号Gk-1のレベルが上昇するにつれ遅くなる。
ノードN3がHレベルになるとトランジスタQ3がオンになる。このときノードN2はHレベルであるのでトランジスタQ5もオンしているが、トランジスタQ3はトランジスタQ5よりもオン抵抗が充分小さく(ゲート幅が広く)設定されているため、ノードN1のレベルが上昇をはじめる。そしてノードN1のレベルがトランジスタQ7のしきい値電圧(Vth)を越えると、トランジスタQ7がオンになり、ノードN2のレベルが低下し始める。
このとき、ノードN2のレベルが下がるに従いトランジスタQ5のオン抵抗値が上昇するので、ノードN1のレベル上昇速度は加速される。するとトランジスタQ7のオン抵抗が低くなるので、ノードN2のレベル低下速度が加速される。このループにより、ノードN1のレベル上昇速度およびノードN2のレベル低下速度はさらに加速される。
そしてノードN2のレベルが低下してLレベルになると、トランジスタQ10がオフになる。この時点ではノードN3はHレベルになっているためトランジスタQ9はオン状態であり、ノードN4のレベルが上昇する。即ち、トランジスタQ9,Q10から成るインバータの出力端(ノードN4)のレベルが、LレベルからHレベルへと変化する(時刻tD)。
ノードN4のレベル上昇は、容量素子C2を介する結合によりノードN3のレベルを上昇させる。ノードN3のレベルが高くなるとトランジスタQ9のオン抵抗が下がるため、ノードN4のレベル上昇が加速する。この正帰還ループにより、ノードN3,N4のレベルは急速に上昇する。
このようにノードN3が昇圧されると、トランジスタQ8の電流電極は、ノードN3側がドレイン、入力端子IN側がソースとなる。トランジスタQ8のゲート電位はVDD(=VDD1)なので、ゲート・ソース間電圧は0となり、トランジスタQ8はオフ状態となる。そのためノードN3は高インピーダンス状態(フローティング状態)になり、電位VDDよりも高いレベルにまで昇圧され得る。
ノードN4のレベルが上昇する時刻tD(即ちトランジスタQ9,Q10から成るインバータの出力がLレベルからHレベルに変化する時刻)は、トランジスタQ3,Q5のオン抵抗の比、およびノードN2の放電時定数等により決まる。本実施の形態ではこの時刻tDが、図4のようにノードN3のレベルが充分に上昇した後になるように設定される。そのためノードN3は、ノードN4のレベル上昇に応じて昇圧された結果、トランジスタQ3を非飽和領域で動作させるのに充分なだけの高い電位(図4のVDD+ΔV1)に達する。即ち、ノードN3の電圧は前段の出力信号Gk-1の振幅(VDD)よりも大きくなる。このときVDD+ΔV1≧VDD+Vth、即ちΔV1≧Vthとなれば、トランジスタQ3は非飽和領域で動作する。なお、その条件が満たされなかったとしても、ノードN3の電圧が前段の出力信号Gk-1の振幅(VDD)より大きくなれば、トランジスタQ3の駆動能力は少なくとも従来の単位シフトレジスタ(特許文献1の図7)の場合よりも大きくなる。
よってノードN1はトランジスタQ3を通して高速に充電(プリチャージ)され、第2電源端子S2と同じ電位VDDまで上昇してHレベルになる。同様にトランジスタQ9も非飽和領域で動作するため、ノードN4の電位もVDDに達する。
このように、トランジスタQ9,Q10から成るインバータ、および容量素子C2は、トランジスタQ8(充電回路)がノードN3の充電を開始してから一定時間(≒tD−t1)だけ遅れて当該ノードN3を昇圧する昇圧回路として機能する。
このようにして単位シフトレジスタSRkはノードN1がHレベル、ノードN2がLレベルになり、トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフの状態となる(以下、この状態を「セット状態」と称す)。但しこの時点では、クロック信号CLKはLレベルなので、出力端子OUTから出力される出力信号GkはLレベルのままである。
従来の単位シフトレジスタ(特許文献1の図7)では、トランジスタQ3に相当するトランジスタが、ソースフォロアモードで動作するため、出力プルアップトランジスタ(トランジスタQ1に相当)のゲートを、VDD−Vth以上には充電(プリチャージ)できず、また充電が進むほどその速度が低下する。それに対し、図3の単位シフトレジスタSRkでは、トランジスタQ3が非飽和領域で動作してノードN1をプリチャージするため、ノードN1をVDDのレベルまで上昇させることができ、且つその速度は速い。
ここでノードN1のプリチャージ時におけるトランジスタQ8の動作に注目する。トランジスタQ8は、前段の出力信号Gk-1のレベルが立ち上がる段階(時刻t1〜時刻tD)では、前段の出力信号Gk-1をノードN3に伝達してノードN3を充電する抵抗素子として働く。しかしその後にノードN3が容量素子C2によって昇圧される段階(時刻tD〜時刻t2)では、ノードN3から入力端子INへの電荷の流出を阻止する遮断素子として働く。また後述するように、トランジスタQ8は、前段の出力信号Gk-1が立ち下がる段階(時刻t2)では、ノードN3の電荷を入力端子INへと放電する抵抗素子として働く。
ここではトランジスタQ8のゲートに供給される電位VDD1は、前段の出力信号Gk-1のHレベルの電位と同じVDDとして説明したが、トランジスタQ8がこのように動作することができる電位であればよい。例えば、電位VDD1が高いほど、トランジスタQ8はノードN3を高速に充電できるので、時刻tDまでにノードN3を充分高いレベルにでき、昇圧後のノードN3のレベル(図4のVDD+ΔV1)をより高くできる。しかし電位VDD1が、VDD+Vthを超えるとノードN3の昇圧段階にトランジスタQ8がオフにならない(遮断素子として機能しない)。つまり電位VDD1(トランジスタQ8のゲート電位)はVDD+Vthを超えてはならないが、それに近い値が好ましい。
時刻t2でクロック信号/CLKが立ち下がると、前段の出力信号Gk-1はLレベルに変化する。すると単位シフトレジスタSRkのノードN3はトランジスタQ8を通して放電されてLレベルになる。応じてトランジスタQ3,Q9はオフになる。
このようにノードN3がHレベル(VDD+ΔV1)からLレベル(VSS)に変化するとき、容量素子C2を介した結合のため、ノードN4のレベルも下がろうとする。ノードN3のレベルが下がる過程でトランジスタQ9がオフになると、このときトランジスタQ10もオフであるのでノードN4はフローティング状態になる。よってノードN4のレベルは、VSSよりもさらに下がり負電圧になる。但し、トランジスタQ9,Q10のゲート電位はVSSとなっており、ノードN4が−Vthよりも下がるとそれらがオンになるため、ノードN4のレベルは−Vthにクランプされる。
またノードN3が立ち下がる過程でトランジスタQ3がオフになったとき、トランジスタQ3のゲート容量を介した結合のため、ノードN1のレベルも若干下がる(図4のΔV2)。このノードN1のレベル低下は従来の単位シフトレジスタでも生じるものである。トランジスタQ3のゲート電位がより高い電位(VDD+ΔV1)に昇圧されていた分、トランジスタQ3のゲート電位の変化が大きいので、ΔV2は従来の単位シフトレジスタの場合に比べ大きくなるが、ΔV2低下した後でもノードN1のレベルは従来より高い。
そして時刻t3でクロック信号CLKが立ち上がると、そのレベル変化がオン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTへと伝達され、出力信号Gkのレベルが上昇する。このとき容量素子C1を介する結合によりノードN1が昇圧され、トランジスタQ1を非飽和領域で動作させる。よって出力信号Gkは、クロック信号CLKのHレベルと同じ電位VDDのHレベルになる。
ここで、ノードN1の寄生容量が十分小さいとすると、ノードN1は出力信号Gkの振幅と同程度昇圧されるので、昇圧後のノードN1のレベルVa[N1]は次の(1)式で表される。
Va[N1]=2・VDD−ΔV2 …(1)
時刻t4でクロック信号CLKが立ち下がると、オン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTからクロック端子CKへと電流が流れ、出力端子OUTが放電される。その結果、出力信号GkはLレベルになる。このとき容量素子C1を介する結合により、ノードN1は昇圧される前のレベル(VDD−ΔV2)に戻る。
ここで、出力信号Gkは、次段の単位シフトレジスタSRk+1の入力端子INにも入力されているので、上記の時刻t3で出力信号GkがHレベルになったとき、単位シフトレジスタSRk+1はセット状態に移行している。
そのため時刻t5で、クロック信号/CLKのレベルが立ち上がると、次段の出力信号Gk+1(不図示)がHレベルになる。次段の出力信号Gk+1は当該単位シフトレジスタSRkのリセット端子RSTに入力されるので、単位シフトレジスタSRkでは、トランジスタQ4がオンになり、ノードN1が放電されてLレベルになる。応じてトランジスタQ7がオフになるため、ノードN2がトランジスタQ6により充電されてHレベルになる。つまり単位シフトレジスタSRkは、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンのリセット状態に戻る。
またノードN2がHレベルになったことで、トランジスタQ5およびトランジスタQ10がオンになる。このとき、−VthとなっていたノードN4の電位は、トランジスタQ10を通して流れ込む電荷によりVSSに変化する。
その後、次段の出力信号Gk+1はLレベルに戻るが、単位シフトレジスタSRkは、次のフレーム期間で前段の出力信号Gk-1が活性化されるまでリセット状態に維持される。トランジスタQ5,Q6,Q7から成るハーフラッチ回路が、ノードN1,N2のレベルを保持するからである。またその間、トランジスタQ2がオンしているので、出力端子OUTは低インピーダンスでLレベルに維持される。
このように単位シフトレジスタSRkは、前段の出力信号Gk-1(あるいはスタートパルスSP)の活性化に応じてセット状態になり、そのときクロック端子CKに入力されるクロック信号の活性化に応じて自己の出力信号Gkを活性化させ、その後、次段の出力信号Gk+1(あるいはダミー段SRDの出力信号GDM)の活性化に応じてリセット状態に戻り出力信号GkをLレベルに維持する。
よってゲート線駆動回路30においては、図37のように、単位シフトレジスタSR1に入力されるスタートパルスSPの活性化を切っ掛けにして、クロック信号CLK,/CLKに同期したタイミングで出力信号G1,G2,G3…が順に活性化される。それによって、ゲート線駆動回路30は、所定の走査周期でゲート線GL1,GL2,GL3…を順番に駆動することができる。
以上のように、本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRにおいては、トランジスタQ8,Q9および容量素子C2から成る昇圧手段が、ノードN1のプリチャージ時のトランジスタQ3のゲート(ノードN3)を昇圧する。それによりトランジスタQ3は非飽和領域で動作するので、ノードN1のレベル上昇速度は従来よりも高速になる。よって、クロック信号の周波数が高くなり、入力端子INに入力される信号のパルス幅が狭くなった場合であっても、ノードN1を充分にプリチャージすることができる。即ち、トランジスタQ1の駆動能力の低下を防止することができる。
また、トランジスタQ3が非飽和領域で動作するため、ノードN1のプリチャージ時にしきい値電圧分の損失が生じず、ノードN1を従来よりも高いレベル(VDD)にプリチャージすることができる。よって従来よりもトランジスタQ1の駆動能力は高くなる。
[第1の変更例]
図3の単位シフトレジスタSRkにおいて、プルダウン駆動回路22のトランジスタQ6は、インバータの負荷素子として働く。プルダウン駆動回路22のインバータの負荷素子は、ゲート線GLkの非選択期間にノードN2をHレベルに保持する働きができるものであればよい。よってトランジスタQ6に代えて、例えば定電流素子や抵抗素子などの電流駆動素子を用いてもよい。
また図3では、トランジスタQ6のゲートに一定のハイ側電源電位VDD2を供給していたが、それに代えて次段の出力信号Gk+1と同相のクロック信号/CLKを供給してもよい。単位シフトレジスタSRkが出力信号Gkを活性化させるのに際し、トランジスタQ7は2水平期間(図4の時刻t1〜時刻t5)オンになる。図3の回路ではその2水平期間、終始トランジスタQ6,Q7を通して貫通電流が流れるが、トランジスタQ7のゲートに次段の出力信号Gk+1と同相のクロック信号/CLKを供給した場合にはそのうち半分の期間はトランジスタQ6がオフになるので、貫通電流を半分にすることができる。あるいは、トランジスタQ6のゲートとドレインの両方に次段の出力信号Gk+1と同相のクロック信号/CLKを供給してもよい。
本変更例は、以下の全ての実施の形態およびその変更例についても適用できる。
[第2の変更例]
図5は、実施の形態1の第2の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図3の回路に対し、プルダウン駆動回路22にトランジスタQ11を設けたものである。トランジスタQ11は、入力端子INに接続したゲートを有し、ノードN2と第1電源端子S1との間に接続される。またトランジスタQ11は、トランジスタQ6よりもオン抵抗が充分小さく設定されている。
図3の回路では、前段の出力信号Gk-1が活性化されてトランジスタQ3がノードN1を充電し始めた時点では、トランジスタQ5はオン状態である。トランジスタQ5は、ノードN1の充電が進んでトランジスタQ7がオンになり、応じてノードN2がLレベルになったときにオフになる。そのためトランジスタQ3はトランジスタQ5よりもオン抵抗が充分小さいことが必要である。
これに対し、図5の単位シフトレジスタSRkでは、前段の出力信号Gk-1が活性化した時点でトランジスタQ11がオンになり、ノードN2をLレベルにする。そのためトランジスタQ5は、トランジスタQ3がオンになるのとほぼ同時にオフになり、その状態でノードN1の充電が行われる。よって、トランジスタQ3,Q5のオン抵抗値と無関係に、ノードN1のプリチャージを行うことが可能になる。ただしトランジスタQ9,Q10から成るインバータの出力(ノードN4の信号)によりノードN3が昇圧されるタイミング(時刻tD)が、ノードN3が充分に高いレベルにまで上昇した後になるように、ノードN2の放電時間を考慮する必要がある。
[第3の変更例]
図6は、実施の形態1の第3の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図3の回路に対し、プルアップ駆動回路21のトランジスタQ5のソースを入力端子INに接続させたものである。つまり当該トランジスタQ5のソースには前段の出力信号Gk-1が入力される。
図6の単位シフトレジスタSRkでは、前段の出力信号Gk-1が活性化したとき、トランジスタQ5はそのソース電位が高くなるためオフになる。つまり、トランジスタQ3がオンになるのとほぼ同時にトランジスタQ5がオフになり、その状態でノードN1の充電が行われる。よって、トランジスタQ3,Q5のオン抵抗値と無関係に、ノードN1のプリチャージを行うことができる。このため回路設計が容易になる。またトランジスタQ3,Q5を通して第2電源端子S2から第1電源端子S1へと流れる貫通電流を無くすことができ、消費電力を低減する効果も得られる。
[第4の変更例]
上記の第3の変更例の単位シフトレジスタSRk(図6)では、トランジスタQ3によるノードN1の充電開始当初からトランジスタQ5がオフしているため、図3の場合よりノードN1のレベル上昇速度が速くなる。それに応じて、ノードN4がHレベルに変化するタイミング、すなわち図4の時刻tDも早くなる。
上記のとおり、時刻tDはノードN3のレベルが充分に高くなった後であることが好ましい。時刻tDが早くなると、ノードN3はあまり高くないレベルを起点にして容量素子C2により昇圧されるため、昇圧後のノードN3のレベル(図4のVDD+ΔV1)が低くなる。そうなるとトランジスタQ3のオン抵抗が上がり、本発明の効果が低減する。ここでは、その対策のための変更例を提案する。
図7は、実施の形態1の第4の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図6の回路に対し、プルダウン駆動回路22としてトランジスタQ6,Q7A,Q7B,Q7Cから構成されるシュミットトリガ型のインバータを用いたものである。
図7の如く、トランジスタQ6は、ノードN2と第2電源端子S2との間に接続し、そのゲートは第2電源端子S2に接続している(つまりトランジスタQ6はダイオード接続している)。トランジスタQ7A,Q7Bは、ノードN2と第1電源端子S1との間に直列に接続し、それらのゲートは共にノードN1に接続される。トランジスタQ7Cは、第2電源端子S2とトランジスタQ7A,Q7B間の接続ノードとの間に接続し、そのゲートはノードN2に接続される。
このシュミットトリガ型インバータでは、トランジスタQ6が負荷素子として機能し、直列接続したトランジスタQ7A,Q7Bが駆動素子として機能する。そしてトランジスタQ7Cが、当該インバータの出力信号(ノードN2の信号)に応じてトランジスタQ7A,Q7B間の接続ノードへ帰還電流を流す電流駆動素子として機能する。
シュミットトリガ型インバータは、通常のレシオ型インバータ(図6のプルダウン駆動回路22)よりもしきい値電圧が高いので、このプルダウン駆動回路22によれば、ノードN1のレベル上昇に応じてノードN2のレベルが下がるタイミングが遅れる。その分、トランジスタQ10のオフするのも遅れるため、図6の場合よりもノードN4のレベルが上昇するタイミング(時刻tD)が遅くなる。従って、ノードN1のレベル上昇速度が速い場合であっても、ノードN3のレベルが充分に高くなるよりも先に、ノードN4がHレベルに変化することを防止できる。
[第5の変更例]
図8は実施の形態1の第5の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図3の回路に対し、プルダウン駆動回路22(トランジスタQ6,Q7から成るインバータ)をトランジスタQ1のゲート(ノードN1)から分離して構成したものである。ここでトランジスタQ6,Q7から成るインバータの入力端(トランジスタQ7のゲート)を「ノードN5」と定義する。
プルダウン駆動回路22には、ノードN1から分離されたインバータの入力端(ノードN5)に適切な信号を供給するための入力回路が設けられる。当該入力回路は、トランジスタQ12,Q13,Q14から成っている。
トランジスタQ12は、入力端子INに接続したゲートを有し、第2電源端子S2とノードN5との間に接続される。トランジスタQ13,Q14は、共にノードN5と第1電源端子S1との間に接続するが、トランジスタQ13のゲートはノードN2に接続され、トランジスタQ14のゲートはリセット端子RSTに接続される。トランジスタQ12はトランジスタQ13よりもオン抵抗が充分小さく設定されている。
ここで図8の単位シフトレジスタSRkにおけるプルダウン駆動回路22の動作を説明する。初期状態として、当該単位シフトレジスタSRk並びにその前段および後段の出力信号Gk,Gk-1,Gk+1は何れもLレベルであり、また単位シフトレジスタSRkのノードN5はLレベルであると仮定する。このときトランジスタQ7はオフ状態であるためノードN2はHレベルであり、トランジスタQ13はオン状態である。
その状態から、ゲート線GLk-1の選択期間になって前段の出力信号Gk-1がHレベルになると、トランジスタQ12がオンになる。この時点ではトランジスタQ13もオンしているが、トランジスタQ12はトランジスタQ13よりも充分オン抵抗が小さいため、ノードN5はHレベルになる。応じてトランジスタQ7がオンしてノードN2がLレベルになり、トランジスタQ13がオフになる。
前段の出力信号Gk-1がLレベルに戻ると、トランジスタQ12はオフになるが、トランジスタQ13,Q14もオフであるため、ノードN5は高インピーダンス状態(フローティング状態)でHレベルに維持される。よってトランジスタQ7はオン状態に維持される。
その後、次段の出力信号Gk+1がHレベルになると、トランジスタQ14がオンになってノードN5はLレベルになる。応じてトランジスタQ7がオフになり、ノードN2はトランジスタQ6を通して充電されてHレベルになる。応じてトランジスタQ13がオンになる。
なお、次段の出力信号Gk+1がLレベルに戻っても、トランジスタQ13はオンに維持されるため、ノードN5は低インピーダンスでLレベルに維持される。
このように図8のプルダウン駆動回路22の入力回路は、インバータの入力端であるノードN5を、前段の出力信号Gk-1(入力信号)の活性化に応じてHレベルに変化させ、次段の出力信号Gk+1(リセット信号)の活性化に応じてLレベルに変化させる。よってインバータの出力端であるノードN2は、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてLレベルになり、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてHレベルになる。つまりノードN2は、図3の回路の場合と同様にレベル変化することとなる。従って、図8の単位シフトレジスタSRkは、図3の回路と同じように信号のシフト動作を行うことができる。
本変更例によれば、ノードN1とプルダウン駆動回路22とを電気的に分離しているため、図3の回路よりもノードN1の寄生容量が低減される。よって出力信号Gkの活性化時に、ノードN1はより高速に、より高い電位にまで昇圧されることとなる。従って、出力信号Gkの活性化時のトランジスタQ1のオン抵抗が小さくなり、出力信号Gkの立ち上がり速度が高められる。
図9は、図8のプルダウン駆動回路22に対し、上記の第2の変更例を適用した例である。即ち、ノードN2と第1電源端子S1との間に、ゲートが入力端子INに接続したトランジスタQ11を設けている。
図9の単位シフトレジスタSRkでは、前段の出力信号Gk-1が活性化したとき、トランジスタQ11がオンになってノードN2をLレベルにする。そのためトランジスタQ3がオンになるのとほぼ同時にトランジスタQ13がオフになり、その状態でノードN5の充電が行われる。よって、トランジスタQ12,Q13のオン抵抗値と無関係に、ノードN5の充電が可能になる。ただしトランジスタQ9,Q10から成るインバータの出力(ノードN4の信号)によりノードN3が昇圧されるタイミング(時刻tD)が、ノードN3が充分に高いレベルにまで上昇した後になるように、ノードN2の放電時間を考慮する必要がある。もちろん、図9ではトランジスタQ3,Q5のオン抵抗値の比も任意でよい。
図10は、図8のプルダウン駆動回路22に対し、上記の第3の変更例の技術を応用した例である。即ち、プルダウン駆動回路22のトランジスタQ13のソースを入力端子INに接続させている。
図6の単位シフトレジスタSRkでは、前段の出力信号Gk-1が活性化したとき、トランジスタQ13はそのソース電位が高くなるためオフになる。つまり、トランジスタQ3がオンになるのとほぼ同時にトランジスタQ13がオフになり、その状態でノードN5の充電が行われる。よってこの回路でも、トランジスタQ12,Q13のオン抵抗値と無関係にノードN5の充電が可能になり、回路設計が容易になる。
[第6の変更例]
ゲート線駆動回路としてシフトレジスタを用いた表示装置において、その解像度を高くする場合には、シフトレジスタの駆動に用いられるクロック信号の周波数を高くしてシフトレジスタの動作速度を速くする必要がある。しかしクロック信号が高周波数になると、そのパルス幅が狭くなりシフトレジスタの動作マージンが減少する。よってその減少を抑えるために、クロック信号のパルス幅は限界まで広く設定される。つまり各クロック信号の活性期間同士の間隔(図37のΔt)が非常に短く設定される。
出力端子OUTの放電には一定の時間を要するため、各クロック信号の活性期間同士の間隔が非常に短くなると、単位シフトレジスタSRkの出力信号Gkのレベルが充分に下がる前に、その次段の出力信号Gk+1のレベルが上昇し始めることがある。その場合、例えば図3の単位シフトレジスタSRkでは、出力端子OUTが充分に放電される前に、トランジスタQ4がオンしてノードN1のレベルが下がり、トランジスタQ1の抵抗値が上がる。それにより出力信号Gkの立ち下がり速度(出力端子OUTの放電速度)が低下する問題が生じる。
その対策の一つとしては、トランジスタQ2のオン抵抗を低く設定し、次段の出力信号Gk+1の立ち上がりに応じて出力端子OUTが速やかに放電されるようにすることが挙げられる。しかしトランジスタQ2のオン抵抗を下げるには、そのゲート幅を広くする必要があり回路面積の増大を伴う。ここでは、回路面積の増大を抑えつつ上記の問題を解決可能な変更例を示す。
図11は、実施の形態1の第6の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図3の回路に対し、プルダウン駆動回路22の入力端(トランジスタQ7のゲート)を出力端子OUTに接続させると共に、ノードN2と第1電源端子S1との間に、ゲートが入力端子INに接続したトランジスタQ11を設けたものである。また当該単位シフトレジスタSRkは、セット状態からリセット状態に移行する際、次段の出力信号Gk+1を受けることなく、トランジスタQ5を用いてノードN1の放電を行うことができるため(詳細は後述する)、トランジスタQ4は省略されている。
図11の単位シフトレジスタSRkにおけるプルダウン駆動回路22の動作を説明する。ここでは、クロック信号CLK,/CLKの活性期間同士の間には、間隔が設けられていないものとする(Δt=0)。即ち、クロック信号CLKの立ち上がりとクロック信号/CLKの立ち下がりは同時であり、クロック信号CLKの立ち下がりとクロック信号/CLKの立ち上がりは同時であると仮定する。
またプルダウン駆動回路22の初期状態として、当該単位シフトレジスタSR並びにその前段の出力信号Gk,Gk-1は何れもLレベルであると仮定する。このときトランジスタQ7,Q11はオフ状態であるためノードN2はHレベルである。なお、この状態ではトランジスタQ5はオン、トランジスタQ3はオフであり、ノードN1はLレベルであるので単位シフトレジスタSRkはリセット状態である。
その状態から、ゲート線GLk-1の選択期間になり、前段の出力信号Gk-1がHレベルになると、トランジスタQ11がオンになる。トランジスタQ11はトランジスタQ6よりもオン抵抗が充分小さく設定されており、ノードN2はLレベルになる。応じてトランジスタQ2はオフになる。
このときプルアップ駆動回路21においては、トランジスタQ5がオフになり、またトランジスタQ3がオンになるのでノードN1が充電(プリチャージ)されてHレベルになる。そのためトランジスタQ1はオンになる。即ち、当該単位シフトレジスタSRkはセット状態になる。
前段の出力信号Gk-1がLレベルに戻ると共に、クロック信号CLKがHレベルに変化すると、それに追随して出力信号GkがHレベルになる。このときトランジスタQ11がオフになるが、代わってトランジスタQ7がオンになる。よってノードN2はLレベルに維持され、トランジスタQ2はオフに維持される。
その後クロック信号CLKがLレベルに戻ると、オン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTが放電され、出力信号Gkのレベルが下がる。出力信号Gkのレベルが充分低くなってトランジスタQ7のしきい値電圧Vthを下回ると、トランジスタQ7がオフになりノードN2がHレベルになる。応じてトランジスタQ2がオンになる。
このときプルアップ駆動回路21では、トランジスタQ5がオンになり、ノードN1が放電されてLレベルになる。応じてトランジスタQ1がオフになる。即ち、当該単位シフトレジスタSRkはリセット状態に戻る。
このように図11のプルダウン駆動回路22は、前段の出力信号Gk-1の立ち上がり時から、当該単位シフトレジスタSRkの出力信号Gkの立ち下がり時(次段の出力信号Gk+1の立ち上がりとほぼ同時)まで、ノードN2をLレベルにする。つまりノードN2は、図3の回路の場合とほぼ同様にレベル変化することとなる。従って、図11の単位シフトレジスタSRkは、図3の回路と同じように信号のシフト動作を行うことができる。
上記の動作から分かるように、図11の単位シフトレジスタSRでは、出力信号Gkが立ち下がる際、そのレベルが充分低くなったのに応じてノードN2がHレベルに変化する。またノードN1は、ノードN2がHレベルになり、トランジスタQ5がオンすることで放電される。従って、トランジスタQ1がオフになるタイミングは必ず出力信号Gkのレベルが充分に低くなった後になる。よって、クロック信号CLK,/CLKの活性期間同士の間隔(Δt)が短くなっても、出力信号Gkの立ち下がり速度が低下することは無い。
またノードN1とプルダウン駆動回路22とが電気的に分離されており、さらにトランジスタQ4が設けられないため、図3の回路と比較してノードN1の寄生容量が低減される。よって第5の変更例(図8)と同様に、出力信号Gkの立ち上がり速度が高くなる効果も得られる。
<実施の形態2>
図12は実施の形態2に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図3の回路に対し、トランジスタQ8のゲートとノードN2との間に接続するトランジスタQ15と(トランジスタQ8のゲートは第2電源端子S2から分離されている)、ノードN3と入力端子INとの間に接続するトランジスタQ16とを設けたものである。トランジスタQ15のゲートは第2電源端子S2に接続され、トランジスタQ16のゲートはノードN1に接続される。トランジスタQ8のゲートが接続するノードを「ノードN6」と定義する。
なお図12の回路では、トランジスタQ16のソースには、入力端子INが接続されているため前段の出力信号Gk-1が供給されることとなるが、それと同相のクロック信号/CLKを代わりに供給してもよい。
図13は、実施の形態2に係る単位シフトレジスタの動作を説明するためのタイミング図である。単位シフトレジスタSRkの動作を、図13を参照しつつ説明する。ここでも、単位シフトレジスタSRkのクロック端子CKには、クロック信号CLKが入力されるものとする。
単位シフトレジスタSRkの初期状態(時刻t1の直前の状態)として、ノードN1がLレベル(VSS)、ノードN2がHレベル(VDD−Vth)であると仮定する(リセット状態)。この状態では、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンであるので、クロック信号CLKのレベルに関係なく、出力信号GkはLレベルに保たれる。
また時刻t1の直前では、単位シフトレジスタSRkのクロック端子CK(クロック信号CLK)、リセット端子RST(次段の出力信号Gk+1)、入力端子IN(前段の出力信号Gk-1)は何れもLレベルであるとする。この場合、ノードN2がHレベルであるのでノードN6はトランジスタQ15を通して充電されてHレベル(VDD−Vth)になっている。よってトランジスタQ8はオン状態であり、ノードN3はLレベル(VSS)になっている。またトランジスタQ10がオンしているためノードN4もLレベル(VSS)である。
その状態から、時刻t1でクロック信号/CLK(不図示)がHレベルに変化すると共に、前段の出力信号Gk-1(第1段目の単位シフトレジスタSR1の場合にはスタートパルスSP)が活性化されたとする。するとトランジスタQ16は、ソース電位が高くなるためオフ状態になる。またトランジスタQ8はオン状態であるので、前段の出力信号Gk-1のレベル上昇に伴ってノードN3のレベルが上昇する。
このように前段の出力信号Gk-1とノードN3のレベルが上昇すると、オン状態のトランジスタQ8のゲート・チャネル間容量を介する結合により、ノードN6が昇圧される。ノードN6はトランジスタQ8を非飽和領域で動作させるレベルにまで上昇し、そのためノードN3のレベルは前段の出力信号Gk-1に追随して素早く電位VDDに達する。
ノードN3がHレベルになるとトランジスタQ3がオンになる。このときノードN2はHレベルであるのでトランジスタQ5もオンしているが、トランジスタQ3はトランジスタQ5よりもオン抵抗が充分小さく(ゲート幅が広く)設定されているため、ノードN1のレベルが上昇をはじめる。そしてノードN1のレベルがトランジスタQ7のしきい値電圧(Vth)を越えると、トランジスタQ7がオンになり、ノードN2のレベルが低下し始める。
このとき、ノードN2のレベルが下がるに従いトランジスタQ5のオン抵抗値が上昇するため、ノードN1のレベル上昇速度は加速される。するとトランジスタQ7のオン抵抗が低くなるので、ノードN2のレベル低下速度が加速される。このループにより、ノードN1のレベル上昇速度およびノードN2のレベル低下速度はさらに加速される。
またノードN2のレベルが低下すると、トランジスタQ15を通してノードN6からノードN2の方向に電流が流れ、ノードN6が放電される。ノードN6はノードN2と同じく電位VSSのLレベルになる。よってトランジスタQ8はオフになる。
ノードN2がLレベルになると、トランジスタQ9,Q10から成るインバータの出力端であるノードN4のレベルは、LレベルからHレベルへと変化する(時刻tD)。このときトランジスタQ8はオフ状態なので、ノードN3は高インピーダンス状態(フローティング状態)にである。
よってノードN4のレベルが上昇すると、容量素子C2を介する結合により、ノードN3のレベルは電位VDDからさらに上昇する。それによりトランジスタQ9のオン抵抗が下がり、ノードN4のレベル上昇を加速させる。この正帰還ループにより、ノードN3,N4のレベルは急速に上昇する。
ノードN4のレベルが上昇する時刻tD(即ちトランジスタQ9,Q10から成るインバータの出力レベルがLレベルからHレベルに変化する時刻)は、図13のように、ノードN3のレベルが充分に上昇した後になるように設定されている(時刻tDは、トランジスタQ3,Q5のオン抵抗の比、およびノードN2の放電時定数等により決まる)。そのためノードN3は、ノードN4のレベル上昇に応じて昇圧された結果、トランジスタQ3を非飽和領域で動作させるのに充分な高い電位(VDD+ΔV1)に達する。即ち、ノードN3の電圧は前段の出力信号Gk-1の振幅(VDD)よりも大きくなる。このときVDD+ΔV1≧VDD+Vth、即ちΔV1≧Vthとなれば、トランジスタQ3は非飽和領域で動作する。
よってノードN1はトランジスタQ3を通して高速に充電(プリチャージ)され、第2電源端子S2と同じ電位VDDまで上昇してHレベルになる。同様にトランジスタQ9も非飽和領域で動作するため、ノードN4の電位もVDDに達する。
ノードN1がHレベルになると、プルダウン駆動回路22のトランジスタQ7がオンになり、ノードN2が放電されてLレベルになる。その結果、トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフの状態(セット状態)となる。但し、この時点ではクロック信号CLKはLレベルであるので、出力信号GkはLレベルのままである。
ここでノードN1のプリチャージ時におけるトランジスタQ15の動作に注目する。ノードN1がプリチャージされる前は、ノードN2がHレベル(VDD−Vth)であり、またトランジスタQ15のゲート電圧はVDD(=VDD1)に固定されているので、トランジスタQ15はノードN2からノードN6へと電流を流し、ノードN6をHレベル(VDD−Vth)に充電する。
そして前段の出力信号Gk-1が立ち上がってトランジスタQ3によるノードN1のプリチャージが開始されたとき、ノードN6が昇圧されるので、電位関係によりノードN2側がトランジスタQ15のソースとなる。よってトランジスタQ15は、ゲート(第2電源端子S2)・ソース(ノードN2)間電圧がVthとなり、オンとオフの境界状態になる。このときトランジスタQ15にはノードN6からノードN2への方向にサブスレッシュホールド電流が流れるが、これは微小な電流なので、ノードN6が昇圧されている短い期間(≒tD−t1)にノードN6から放出される電荷は無視できる程度である。
そしてノードN1のプリチャージが進むと、トランジスタQ7がオンになりノードN2のレベルが低下するので、トランジスタQ15にはノードN6からノードN2へと電流が流れ、ノードN6は放電されてLレベル(VSS)になる。その後もノードN2がLレベルの間は、トランジスタQ15はオン状態でありノードN6はLレベルに維持される。
このようにトランジスタQ15は、ノードN1のプリチャージ前の段階では、ノードN2の電位をノードN6に伝達する抵抗素子として働き、ノードN1のプリチャージ開始時にノードN6が昇圧される段階では、ノードN6とノードN2との間を遮断する遮断素子として働く。またノードN1のプリチャージが進みノードN2のレベルが低下する段階およびそれ以降ノードN2がLレベルに維持されている段階では、トランジスタQ15はノードN6の電荷をノードN2に放電する抵抗素子として働く。
時刻t2でクロック信号/CLKが立ち下がると、前段の出力信号Gk-1はLレベルに変化する。すると単位シフトレジスタSRkのノードN3はトランジスタQ16を通して放電されてLレベルになる。よってトランジスタQ3,Q9はオフになる。
このとき容量素子C2を介した結合のため、ノードN3がHレベル(VDD+ΔV1)からLレベル(VSS)に変化するのに応じてノードN4のレベルも下がる。ノードN3のレベルが下がる過程でトランジスタQ9がオフになり、トランジスタQ10もオフしているのでノードN4はフローティング状態になる。そのためノードN4のレベルは、VSSよりもさらに下がり負電圧になる。但し、トランジスタQ9,Q10のゲート電位はVSSとなっており、ノードN4が−Vthよりも下がるとそれらがオンするので、ノードN4のレベルは−Vthにクランプされる。
またノードN3が立ち下がる過程でトランジスタQ3がオフになったとき、トランジスタQ3のゲート容量を介した結合のため、ノードN1のレベルも若干下がる(図13のΔV2)。このノードN1のレベル低下は従来の単位シフトレジスタでも生じるものである。トランジスタQ3のゲート電位がより高い電位(VDD+ΔV1)に昇圧されていた分、トランジスタQ3のゲート電位の変化が大きいので、ΔV2は従来の単位シフトレジスタの場合に比べ大きくなるが、ΔV2低下した後でもノードN1のレベルは従来より高い。
時刻t3以降の動作は、図3の単位シフトレジスタSRkの動作(図4)と同じであるので、説明は省略する。
本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRkでは、トランジスタQ8が非飽和領域で動作してノードN3を充電するため、ノードN3のレベル上昇速度は非常に速い。よって時刻tDよりも先に、ノードN3を充分高いレベルにすることが容易になる(言い換えれば、時刻tDを、ノードN3が充分高いレベルになった後に設定することが容易になる)。またノードN3の充電の際、トランジスタQ8のしきい値電圧分の損失が生じないため、トランジスタQ8はノードN3を電位VDDにまで充電可能である。
従って本実施の形態によれば、容量素子C2による昇圧後のノードN3の電位(VDD+ΔV1)を、実施の形態1よりも容易に高くできる。その結果、トランジスタQ3のオン抵抗が低くなり、ノードN1の充電(プリチャージ)が高速化され、単位シフトレジスタSRkの動作の高速化に寄与できる。
[変更例]
本実施の形態に対しても、実施の形態1で説明した第1〜第6の変更例は適用可能である。
<実施の形態3>
図14は実施の形態3に係る単位シフトレジスタの構成を示す回路図である。同図のように、本実施の形態では、実施の形態1の単位シフトレジスタSR(図3)に対し、トランジスタQ3のドレインに所定の電位VDD4を供給する電圧発生回路33を接続させている。
この電圧発生回路33は、ハイ側電源電位VDD3が供給される第4電源端子S4と、電位VDD4を出力するための電圧出力端子VTと、所定のクロック信号が入力される少なくとも1つのクロック入力端子を有している(図14にはクロック入力端子CKTが代表的に示されている)。本実施の形態では、そのクロック入力端子に入力されるクロック信号として、縦続接続した複数の単位シフトレジスタSR(即ちゲート線駆動回路30)を駆動する多相クロック信号のうちのいずれかが用いられる(図14にはクロック信号CLKが代表的に示されている)。
電圧発生回路33は、第4電源端子S4に供給される電位VDD3およびクロック入力端子CKTに入力されるクロック信号を基にして、電源電位VDD3よりも高い出力電位VDD4を生成するものである。また、この電位VDD4は、ロー側電源電位VSSを基準として、各クロック信号の振幅(Hレベルの電位)よりも高いものである。
図15は電圧発生回路33の具体的な回路構成の一例を示している。この電圧発生回路33は、高電位出力を得るために、チャージポンプ回路CPが用いられている。当該チャージポンプ回路CPは、トランジスタQ20,Q21および容量素子C5により構成されている。またチャージポンプ回路CPの出力端、すなわち電圧出力端子VTには容量素子C6が設けられている。
本実施の形態では、この電圧発生回路33(チャージポンプ回路CPおよび安定化容量C6)を、シフトレジスタ回路と同じ絶縁基板上に形成する。基本的にチャージポンプ回路は、少なくとも2つの整流素子(ダイオード素子)と少なくとも1つの容量素子とから構成される。本実施の形態では、ダイオード素子として、シフトレジスタ回路に使用されるものと同じ構造を有するトランジスタQ20,Q21がダイオード接続されたものを使用する。また容量素子としては、画素容量(図1に示したキャパシタ17)と同じ構造の容量素子C5を使用する。容量素子C6は、チャージポンプ回路CPの出力を安定させるためのものであり、これも画素容量と同じ構造のものが使用される。そうすることにより、電圧発生回路33をシフトレジスタや画素回路の形成と並行して行うことができるので、製造工程の増加を伴わず、また製造コストの増加も抑えられる。
図15に示すように、ダイオード素子としてのトランジスタQ20,Q21(以下それぞれ「ダイオード素子Q20」、「ダイオード素子Q21」と称す)は、ハイ側電源電位VDD3が供給される第4電源端子S4と出力電位VDD4を出力するための電圧出力端子VTとの間に直列に接続される。ダイオード素子Q20,Q21は共に第4電源端子S4側がアノード、電圧出力端子VT側がカソードとなるように接続される。
ダイオード素子Q20,Q21間の接続ノードを「ノードN7」と定義すると、容量素子C5はノードN7とクロック入力端子CKTとの間に接続される。この容量素子C5は、ノードN7を繰り返し昇圧するチャージポンプ動作を行うためのものであるので、クロック入力端子CKTには任意のクロック信号が入力されればよい。そのクロック信号としては、各単位シフトレジスタSRを駆動するクロック信号CLK,/CLKの何れかを利用することができる。そうすれば、チャージポンプ回路CPを駆動するためのクロック信号の発生回路を別途設ける必要がなく、回路規模の増大が抑えられる。本実施の形態では、図15の回路のクロック入力端子CKTにクロック信号CLKが入力されるものとする。以下、容量素子C5を「チャージポンプ容量」と称する。
一方、容量素子C6は、電圧出力端子VTから負荷(単位シフトレジスタSRのノードN1)に向けて電流が流れたときに、出力電位VDD4を安定化するためのものであり、電圧出力端子VTとロー側電源電位VSSが供給される第1電源端子S1との間に接続されている。以下、容量素子C6を「安定化容量」と称する。なお、安定化容量C6の一端の接続先は第1電源端子S1に限定されず、一定電圧が供給される低インピーダンスのノードであればその接続先は問わない。
以下、図15の回路の動作を説明する。電圧発生回路33を構成する各トランジスタのしきい値電圧も全て等しいと仮定し、その値をVthとする。
第4電源端子S4にハイ側電源電位VDD3が供給されるとダイオード素子Q20がオンするため、ノードN7の電位はVDD3−Vthとなる。さらにこのノードN7の電位により、ダイオード素子Q21がオンして電圧出力端子VTの電位はVDD3−2×Vthになる。
その後、クロック信号CLK(振幅VDD)が立ち上がると、チャージポンプ容量C5を介する結合によってノードN7が昇圧される。ノードN7の寄生容量を無視すると、ノードN7の電位はVDD3−Vth+VDDにまで上昇する。このノードN7の電位上昇により、ダイオード素子Q21がオンしてノードN7から電圧出力端子VTへ電流が流れる。それにより、電圧出力端子VTのレベルは一定量上昇し、逆にノードN7は電荷が流出した分だけレベルが低下する。
そしてクロック信号CLKが立ち下がると、チャージポンプ容量C5を介する結合によりノードN7の電位は引き下げられる。先ほどノードN7が昇圧されたとき、当該ノードN7からは電圧出力端子VTへ電荷が流出しているので、電位が引き下げられた後のノードN7のレベルは、その昇圧前(クロック信号CLKが立ち上がる前)のVDD3−Vthよりも低くなる。しかしノードN7の電位が低下するとダイオード素子Q20がオンするので、ノードN7はすぐに電源端子S4から充電されてVDD3−Vthに戻る。
なお、先ほどノードN7が昇圧されたときに電圧出力端子VTの電位は上昇しているので、電圧出力端子VTよりもノードN7の方が電位が低くなるが、ダイオード素子Q21は電圧出力端子VTからノードN7への向きの電流を阻止するため、電圧出力端子VTの電位は上昇されたまま維持される。
その後もクロック信号CLKが入力される度に以上の動作が繰り返され、最終的に電圧出力端子VTの電位VDD4は、VDD3−2×Vth+VDDとなる。
ここで、上記の電位VDD1〜VDD3の値は全て等しく、その値をクロック信号CLK,/CLKのHレベルと同じくVDDであると仮定する。この場合、最終的な電圧発生回路33の出力電位VDD4は2×VDD−2×Vthとなり、それがトランジスタQ3のドレイン電位となる。同じ仮定の下では、例えば実施の形態1の単位シフトレジスタSRのトランジスタQ3のドレイン電位はVDD(=VDD1)である。つまり本実施の形態の単位シフトレジスタSRによれば、ハイ側電源電位VDD1〜VDD3のそれぞれがクロック信号CLK,/CLKのHレベルと同じ電位VDDである場合であっても、電圧発生回路33によって、トランジスタQ3のドレインには、クロック信号CLK,/CLKのHレベルよりも高い電位VDD4(=2×VDD−2×Vth)が供給される(即ちトランジスタQ3のドレインには、クロック信号CLK,/CLKの振幅よりも大きい電圧が供給される)。
従って本実施の形態では、トランジスタQ3が、トランジスタQ1のゲート(ノードN1)を実施の形態1の場合よりも高い電位に充電(プリチャージ)することができるようになる。その結果、出力信号Gkの出力時におけるトランジスタQ1のオン抵抗は小さくなり、出力信号Gkの立ち上がり及び立ち下がりが高速化され、シフトレジスタの動作の高速化が可能になるという効果が得られる。逆に言えば、トランジスタQ1のチャネル幅を小さくしても、出力信号Gkの立ち上がり及び立ち下がりの速度の低下が抑制されるので、シフトレジスタ回路の占有面積を小さくすることができる。
以下、本実施の形態の効果をより具体的に説明する。ここでもクロック信号CLK,/CLKのそれぞれの振幅(Hレベルの電位)をVDDとする。図14の単位シフトレジスタSRにおけるトランジスタQ3のゲート(ノードN3)は、ノードN1のプリチャージ時に、実施の形態1の場合と同じレベル(図4のVDD+ΔV1)に昇圧されるが、これはVDD4(=2×VDD−2×Vth)よりも低い値である。つまりトランジスタQ3のゲート(ノードN3)電位はドレイン(第2電源端子S2)電位よりも低い状態になり、トランジスタQ3は飽和領域で動作してノードN1の充電を行うことになる。よってプリチャージされたノードN1のレベルVb[N1]は、以下の(2)式で表される。
Vb[N1]=VDD+ΔV1−Vth …(2)
実施の形態1で説明したように、昇圧されたノードN3の電位VDD+ΔV1は、トランジスタQ3を非飽和領域で動作させるのに充分な高い電位、すなわちVDD+Vthよりも高い値に設定される。つまりΔV1は少なくともトランジスタQ3のしきい値電圧Vthよりも大きくなるように設定され、次の(3)式が成り立つ。
ΔV1−Vth>0 …(3)
上の(2),(3)式より、次の(4)式の関係が得られる。
Vb[N1]>VDD …(4)
つまり本実施の形態におけるノードN1のプリチャージ後のレベル(Vb[N1])は、実施の形態1におけるノードN1のプリチャージ後のレベル(VDD)よりも高くなる。従って、上で説明した効果が得られる。
また本実施の形態では、電圧発生回路33(チャージポンプ回路CPおよび安定化容量C6)をシフトレジスタ回路と同じ基板内に形成するものとして説明したが、その構成要素の全部、あるいは一部をその基板の外部に形成して接続させてもよい。その場合、当該基板の面積を小さくすることができるが、基板内の回路と外部の電圧発生回路33(あるいはその一部)とを接続するための外部接続端子を、その基板に設ける必要が生じるので、その分端子数が増加する。
例えば、電圧発生回路33のチャージポンプ回路CPのダイオード素子をシフトレジスタ回路と同じ基板内に形成し、容量素子(チャージポンプ容量および安定化容量)を外付けにすることが考えられる。その場合、ダイオード素子としてシフトレジスタ回路のものと同じ構造のトランジスタを用いることで製造工程を簡略化することができると共に、容量素子の大容量化が容易になる。また例えば、ダイオード素子および安定化容量を外付けにし、チャージポンプ容量を基板内に形成すれば、回路の寄生容量を小さくできるという利点が得られる。
[第1の変更例]
図15に示した電圧発生回路33では、クロック信号CLKの立ち上がり時にチャージポンプ容量C5を通して電圧出力端子VTに電荷が供給されるが、それが立ち下がると電圧出力端子VTへの電荷の供給は停止する。よってクロック信号CLKがLレベルの間は、電圧発生回路33は電圧安定化容量C6に蓄積されている電荷によって負荷(単位シフトレジスタSRのノードN1)へ電流を供給する。つまりクロック信号CLKがLレベルの間は、安定化容量C6の電荷は放電されるのみであるので、電圧出力端子VTの電位(VDD4)が低下する。本実施の形態の第1の変更例では、その対策のための電圧発生回路33の構成例を示す。
図16は実施の形態3の第1の変更例に係る電圧発生回路33の構成を示す回路図である。当該電圧発生回路33は、互いに並列に接続された2つのチャージポンプ回路CP1,CP2を有している。
チャージポンプ回路CP1は、ダイオード接続されたトランジスタ(ダイオード素子)Q20a,Q21aおよび、その間のノードN7aとクロック入力端子CKTaとの間に接続したチャージポンプ容量C5aから成っている。同様に、チャージポンプ回路CP2は、ダイオード素子Q20b,Q21bおよび、その間のノードN7bとクロック入力端子CKTbとの間に接続したチャージポンプ容量C5bから成る。即ち、図16のチャージポンプ回路CP1,CP2のそれぞれは、図15に示したチャージポンプ回路CPと同じ構造のものである。
それらチャージポンプ回路CP1,CP2それぞれのクロック入力端子CKTa,CKTbには、互いに位相の異なるクロック信号が入力される。本変更例においては、それらのクロック信号として、シフトレジスタ回路(ゲート線駆動回路30)を駆動しているクロック信号CLK,/CLKを用いる。即ち図16のように、クロック入力端子CKTaにはクロック信号CLK、クロック入力端子CKTbにはクロック信号/CLKが、それぞれ入力される。
従って、図16の電圧発生回路33では電圧出力端子VTに、クロック信号CLKの立ち上がり時にチャージポンプ回路CP1から電荷が供給され、クロック信号/CLKの立ち上がり時にチャージポンプ回路CP2から電荷が供給される。つまり電圧出力端子VTには、クロック信号CLK,/CLKよって交互に電荷が供給されることとなり、上記した電圧出力端子VTの電位低下の問題は解決される。
本変更例では2つのチャージポンプ回路を用いて電圧発生回路33を構成したが、電圧出力端子VTのレベル低下がある程度許容される場合には、電圧発生回路33が備えるチャージポンプ回路は1つであってもよい。
[第2の変更例]
トランジスタQ3のドレインにハイ側電源電位VDD4を供給する電圧発生回路33は、図3の回路への適用に限られず、各実施の形態およびその変更例に示した単位シフトレジスタSRの何れにも適用可能である。
但し、実施の形態2の単位シフトレジスタSR(図12)に電圧発生回路33を適用する場合には、以下の点を留意すべきである。
例えば、電圧発生回路33の出力電位VDD4が電位VDD1+Vth(=VDD+Vth)よりも高い場合、図12のトランジスタQ3のドレインに電位VDD4が供給されていると、ノードN1のレベルはプリチャージされる途中でVDD+Vthを超える。するとその時点でトランジスタQ16がオンになり、容量素子C2によって昇圧されたノードN3のレベルがVDDに戻る。そうなるとトランジスタQ3がオフになり、そこでノードN1のプリチャージが終了するため、本実施の形態の効果が充分に得られない。
そこで実施の形態2の単位シフトレジスタSRに電圧発生回路33を適用する場合には、図17の如く、ゲートが第2電源端子S2に接続したトランジスタQ17をトランジスタQ16に直列接続させるとよい。なお、トランジスタQ17は、図17のようにトランジスタQ16のソースと入力端子INとの間に介在させてもよいし、あるいはトランジスタQ16のドレインとノードN3との間に介在させてもよい。
図17の回路では、ノードN1がプリチャージされる期間(即ち、前段の出力信号Gk-1がHレベルの期間)、トランジスタQ17がオフになる。そのためノードN1のレベルがVDD+Vthを超えトランジスタQ16がオンになっても、ノードN3のレベル低下は防止されるので、本実施の形態の効果を充分に得ることができる。
[第3の変更例]
図18は、実施の形態3の第3の変更例に係る単位シフトレジスタの構成を示す回路図である。本変更例では、実施の形態1の単位シフトレジスタSR(図3)に対し、トランジスタQ3だけでなくトランジスタQ9のドレインにも、電圧発生回路33が生成するハイ側電源電位VDD4を供給させたものである。
図18の回路では、ノードN3の充電が開始されてから容量素子C2が昇圧されるまで(図4の時刻t1と時刻tDの間)に、トランジスタQ9,Q10が共にオンになる期間があり、その間は電圧出力端子VTから電源端子S1へと比較的大きな貫通電流が流れる。電圧発生回路33の出力インピーダンスが高ければ、貫通電流が生じたときに出力電位VDD4が大きく低下するので、チャージポンプ容量の値を適切に設定して出力インピーダンスを低くする必要がある。
例えば図18の電圧発生回路33として図15の回路を用いた場合、トランジスタQ9のドレイン電位は2×VDD−2×Vthとなる。ノードN4が充電されたときノードN3はトランジスタQ9を非飽和領域で動作させるレベルにまで昇圧されるものと仮定すると、ノードN4はトランジスタQ9による充電によって2×VDD−2×Vthの電位になる。図3の回路では充電後のノードN4の電位はVDDであったため、それと比較すると図15の回路における充電後のノードN4の電位は(2×VDD−2×Vth)−VDD=VDD−2×Vthだけ高くなる。
従って図15の回路のノードN3も、その分だけ図3のノードN3の電位(VDD+ΔV1)より高く昇圧される。つまり図15の回路における昇圧後のノードN3の電位は、(VDD+ΔV1)+(VDD−2×Vth)=2×VDD+ΔV1−2×Vth>2×VDD−Vthとなる(∵(3)式)。
よってトランジスタQ9においては、ドレイン電位が2×VDD−2×Vthであり、ゲート電位が2×VDD−Vthよりも大きな値となる。これはトランジスタQ9が非飽和領域で動作する条件を満たしており、上での仮定と矛盾しない。つまりトランジスタQ9は非飽和領域で動作する。トランジスタQ3も、ドレイン電位およびゲート電位がトランジスタQ9と同じであるので、非飽和領域で動作する。従ってプリチャージ後のノードN1の電位は、トランジスタQ3のドレイン電位と同じ2×VDD−2×Vthとなる。
シフトレジスタ回路に供給されるハイ側電源電位は、クロック信号のHレベルの電位VDDに等しく設定されるのが一般的である。この場合、従来の単位シフトレジスタ(特許文献1の図7)ではトランジスタQ1に相当する出力プルアップトランジスタのゲート(ノードN1に相当)のプリチャージ後の電位はVDD−Vthとなる。トランジスタのオン抵抗はそのゲート・ソース間電圧に比例するため、本変更例では、従来に比べてトランジスタQ1のオン抵抗値は、(VDD−Vth)/(2×VDD−2×Vth)=1/2倍、すなわち半分になる。
このように本変更例では、電圧発生回路33の出力電位VDD4(トランジスタQ3のドレイン電位)が高い場合でも、トランジスタQ3を非飽和領域で動作させることができる。即ち、トランジスタQ3によるプリチャージ後のノードN1を、電圧発生回路33の出力電位VDD4と同じレベルにまで高くすることができる。
本変更例も各実施の形態およびその変更例に示した単位シフトレジスタSRの何れにも適用可能であるが、実施の形態2の単位シフトレジスタSR(図12)に適用する場合には、図17と同様に、トランジスタQ17をトランジスタQ16に直列に設ける必要がある。またその場合トランジスタQ15のゲートの接続先は、電圧発生回路33にせず、第2電源端子S2のままにする。トランジスタQ15のゲート電位がVDDよりも高いVDD4に設定されると、トランジスタQ15はノードN6が昇圧されるときオンになり遮断素子として機能しなくなるからである。
<実施の形態4>
実施の形態4では、本発明を信号のシフト方向を変更可能なシフトレジスタに適用する。そのようなシフトレジスタを用いて構成されたゲート線駆動回路30は、双方向の走査が可能である。
図19は実施の形態4に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図3の回路に対し、信号のシフト方向を切り換えるための切換回路24を設けたものである。
図3の回路においては、トランジスタQ8の一方の電流電極(入力端子IN)に前段の出力信号Gk-1が入力され、トランジスタQ4のゲート(リセット端子RST)に次段の出力信号Gk+1が入力されるように固定されていたが、図19の切換回路24は、その2つの信号を、第1および第2電圧信号Vn,Vrのレベルに応じて入れ換えることが可能なものである。
図19に示されるように、切換回路24は、トランジスタQ25r,Q25n,Q26r,Q26nから成っている。また切換回路24は、前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1をそれぞれ受ける第1および第2入力端子IN1,IN2と、第1および第2電圧信号Vn,Vrをそれぞれ受ける第1および第2電圧信号端子T1,T2とを備えている。
切換回路24は2つの出力端を有しており、それらをそれぞれ「ノードN8」、「ノードN9」と定義する。ここではトランジスタQ8の一方の電流電極をノードN8は接続させ、トランジスタQ4のゲートをここではノードN9に接続させている。ノードN8は、図3の回路の入力端子INに相当し、ノードN9は図3の回路のリセット端子RSTに相当する。つまり切換回路24は、前段の出力信号Gk-1と次段の出力信号Gk+1のうち、どちらを図3の入力端子IN(ノードN8)に供給し、どちらを図3のリセット端子RST(ノードN9)に供給するかを切り換えるものである。
図19の如く、トランジスタQ25nは、第1入力端子IN1とノードN8との間に接続し、そのゲートは第1電圧信号端子T1に接続する。トランジスタQ25rは、第2入力端子IN2とノードN8との間に接続し、そのゲートは第2電圧信号端子T2に接続する。トランジスタQ26nは、第2入力端子IN2とノードN9との間に接続し、そのゲートは第1電圧信号端子T1に接続する。トランジスタQ26rは、第2入力端子IN2とノードN9との間に接続し、そのゲートは第2電圧信号端子T2に接続する。
ここで、第1および第2電圧信号Vn,Vrは、信号のシフト方向(走査方向)を決定するための制御信号である。当該単位シフトレジスタSRkに、順方向シフトの動作を行わせる場合、第1電圧信号VnはHレベル、第2電圧信号VrはLレベルに設定される。また逆方向シフトの動作を行わせる場合には、第1電圧信号VnはLレベル、第2電圧信号VrはHレベルに設定される。
第1電圧信号VnがHレベル、第2電圧信号VrがLレベルの場合、トランジスタQ25n,Q26nがオン、トランジスタQ25r,Q26rがオフになる。よって第1入力端子IN1に入力された前段の出力信号Gk-1はノードN8に供給され、第2入力端子IN2に入力された次段の出力信号Gk+1はノードN9に供給される。この場合、図19の単位シフトレジスタSRkは図3と等価になる。そのため図19の単位シフトレジスタSRkが複数個縦続接続して構成されたゲート線駆動回路30は、前段から後段への向き(「順方向」と定義する)すなわち単位シフトレジスタSR1,SR2,SR3,…の順に信号をシフトできる。
一方、第1電圧信号VnがLレベル、第2電圧信号VrがHレベルの場合は、トランジスタQ25r,Q26rがオン、トランジスタQ25n,Q26nがオフになる。よって順方向シフトの場合とは反対に、前段の出力信号Gk-1がノードN9に供給され、次段の出力信号Gk+1がノードN8に供給される。この場合、図19の単位シフトレジスタSRkは、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてセット状態になり、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてリセット状態になるように動作する。そのため図19の単位シフトレジスタSRkが複数個縦続接続して構成されたゲート線駆動回路30は、後段から前段への向き(「逆方向」と定義する)すなわち単位シフトレジスタSRn,SRn-1,SRn-2,…の順に信号をシフトできるようになる。
なお、図19の出力回路20、プルアップ駆動回路21およびプルダウン駆動回路22の動作は、図3のものと同様であるため、本実施の形態の単位シフトレジスタSRkにおいても実施の形態1と同様の効果が得られる。
但し、単位シフトレジスタSRkのプルアップ駆動回路21に、切換回路24を通して前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1が供給されるため、図3の回路よりも前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1に対する応答が若干遅くなる。
また、例えば第1および第2電圧信号Vn,VrのHレベルが、前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1のHレベル(即ちクロック信号CLK,/CLKのHレベル)と同じ電位の場合、トランジスタQ25n,Q25r,Q26n,Q26rは飽和領域で動作する。そのため前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1は、各トランジスタのしきい値電圧分だけHレベルの電位が下がってノードN8,N9に伝達される点に留意すべきである。
なお本実施の形態は、上記の実施の形態1〜3の単位シフトレジスタSRkの何れにも適用可能である。但し、図8〜図10の単位シフトレジスタSRkのように、プルダウン駆動回路22がトランジスタQ12〜Q14から成る入力回路を有する場合には、トランジスタQ12,Q14それぞれのゲートに供給する信号も、シフト方向に応じて切り換える必要がある。よってその場合は、プルダウン駆動回路22の入力回路にも切換回路24を通して前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1が供給されるように、トランジスタQ12のゲートをノードN8に接続させ、トランジスタQ14のゲートはノードN9に接続させる。
また、図11の単位シフトレジスタSRkはトランジスタQ4を有していないため、トランジスタQ25n,Q25rのみから成る切換回路24を設ければよい。
[第1の変更例]
図20は実施の形態4の第1の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図19の回路に対し、トランジスタQ8を省略してノードN8とノードN3とを接続させたものである。
図20の単位シフトレジスタSRkでは、トランジスタQ25n,Q25rが、図19のトランジスタQ8の役割を兼ねることになる。例えば順方向シフト時では、第1電圧信号VnがHレベル、第2電圧信号VrがLレベルであるので、トランジスタQ25nのゲート電位はVDDに固定され、トランジスタQ25rはオフ状態になる。従ってこのときはトランジスタQ25nが、図19のトランジスタQ8と同じ動作を行うことになる。
一方、逆方向シフト時では、第1電圧信号VnがLレベル、第2電圧信号VrがHレベルであるので、トランジスタQ25rのゲート電位がVDDに固定され、トランジスタQ25nはオフ状態に固定される。よってこのときトランジスタQ25rがトランジスタQ8と同じ動作を行う。
本変更例によれば、トランジスタQ8が省略される分、回路面積を小さくすることができる。但し、ノードN3に接続するトランジスタの数が増えるため、ノードN3の寄生容量が大きくなることに留意すべきである。
[第2の変更例]
上で説明したように、第1および第2電圧信号Vn,VrのHレベルが、前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1のHレベル(即ちクロック信号CLK,/CLKのHレベル)と同じ電位である場合、図19の単位シフトレジスタSRkのトランジスタQ25n,Q25r,Q26n,Q26rは飽和領域で動作する。そのため、前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1は、各トランジスタのしきい値電圧分だけHレベルの電位が下がってノードN8,N9に伝達される。ここではその対策を施した変更例を示す。
図21は、実施の形態4の第2の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図19の回路に対し、トランジスタQ25nのゲートと第1電圧信号端子T1との間にトランジスタQ27nを介在させると共に、トランジスタQ25rのゲートと第2電圧信号端子T2との間にトランジスタQ27rを介在させたものである。トランジスタQ27n,Q27rのゲートは共にハイ側電源電位VDD1が供給される第2電源端子S2に接続される。
以下、図21の単位シフトレジスタSRが備える切換回路24の動作を説明する。ここで、第1および第2電圧信号Vn,Vrおよび前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1のHレベル(即ちクロック信号CLK,/CLKのHレベル)の電位は全て等しくVDDであるとする。またハイ側電源電位VDD1,VDD2もそれと同じVDDであるとする。またトランジスタQ25nのゲートが接続するノードを「ノードN10」、トランジスタQ25rのゲートが接続するノードを「ノードN11」と定義する。
順方向シフト時における切換回路24の動作を説明する。このとき第1電圧信号VnはHレベル(VDD)、第2電圧信号VrはLレベル(VSS)である。よってトランジスタQ26nはオン状態、トランジスタQ26rはオフ状態になる。またトランジスタQ27n,Q27rはゲート電位がVDDのHレベルに固定されているため、共にオン状態である。単位シフトレジスタSRkおよび前段および次段の出力信号Gk,Gk-1,Gk+1が何れもLレベルと仮定すると、ノードN10は電位VDD−VthのHレベル、ノードN11は電位VSSのLレベルになる。よってトランジスタQ25nはオン状態、トランジスタQ25rはオフ状態である。
従って、第1入力端子IN1に入力された前段の出力信号Gk-1はノードN8に供給され、第2入力端子IN2に入力された次段の出力信号Gk+1はノードN9に供給される。つまり図21の単位シフトレジスタSRkは図3と等価になり、順方向シフトを行うことができる。
また図21の切換回路24では、前段の出力信号Gk-1が立ち上がりと共にノードN8の電位が上昇するとき、トランジスタQ25nのゲート・チャネル間容量を介した結合によりノードN10が昇圧される。このときトランジスタQ27nはオフになるため、ノードN10はトランジスタQ25nを非飽和領域で動作させるのに充分なレベルにまで上昇する。よってノードN8の電位は前段の出力信号Gk-1のHレベルと同じVDDになる。つまり前段の出力信号Gk-1は、トランジスタQ25nのしきい値電圧分の損失を伴わずに、ノードN8に伝達される。
逆方向シフト時には、第1電圧信号VnはLレベル(VSS)、第2電圧信号VrはHレベル(VDD)であるので、トランジスタQ26nはオフ状態、トランジスタQ26rはオン状態である。またトランジスタQ27n,Q27rはオン状態なので、単位シフトレジスタSRkおよび前段および次段の出力信号Gk,Gk-1,Gk+1が何れもLレベルと仮定すると、ノードN10は電位VSSのLレベルのHレベル、ノードN11は電位VDD−VthのHレベルになる。よってトランジスタQ25nはオフ状態、トランジスタQ25r状態はオンである。
従って、第1入力端子IN1に入力された前段の出力信号Gk-1はノードN9に供給され、第2入力端子IN2に入力された次段の出力信号Gk+1はノードN8に供給される。この場合、図21の単位シフトレジスタSRkは、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてセット状態になり、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてリセット状態になるように動作するため、逆方向シフトを行うことができる。
また次段の出力信号Gk+1が立ち上がるとき、トランジスタQ25rのゲート・チャネル間容量を介した結合によりノードN11が昇圧されるため、トランジスタQ25rは非飽和領域で動作する。よって次段の出力信号Gk+1は、トランジスタQ25rのしきい値電圧分の損失を伴わずに、ノードN9に伝達される。
図21の回路は、第1および第2電圧信号Vn,VrのHレベルの電位がVDD+Vthよりも低い場合に効果的なものである。逆に言えば、第1および第2電圧信号Vn,VrのHレベルの電位がVDD+Vthよりも大きく、トランジスタQ27n,Q27rを設けるまでもなく(つまり図19の回路であっても)トランジスタQ25n,Q25rが非飽和領域で動作する場合には、本変更例を適用する必要はない。
<実施の形態5>
図22は、実施の形態5に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図3の回路に対し、トランジスタQ8および容量素子C2に対して並列に、トランジスタQ8Dおよび容量素子C2Dを設け、トランジスタQ9のゲートをトランジスタQ8Dと容量素子C2Dとの間の接続ノードに接続させることで、トランジスタQ3,Q9のゲート間を分離したものである。本実施の形態では、トランジスタQ9のゲートが接続するノードを「ノードN3D」と定義する。
図22に示すように、トランジスタQ8Dは、入力端子INとノードN3Dとの間に接続し、そのゲートはトランジスタQ8のゲートと共に第2電源端子S2に接続される。また容量素子C2DはノードN3DとノードN4との間に接続される。
トランジスタQ8Dおよび容量素子C2Dが直列接続して成る回路は、トランジスタQ8および容量素子C2が直列接続して成る回路に対して並列に接続しており、トランジスタQ8,Q8Dのゲートは共に入力端子INに接続しているので、この2つの回路は互いに同じように動作する。つまりノードN3DはノードN3と同じようにレベル変化する。従って図22の単位シフトレジスタSRkは、トランジスタQ3,Q9のゲートが互いに接続した図3の回路と同様に動作することができる。
図22の単位シフトレジスタSRkによれば、トランジスタQ9のゲートがノードN3に接続しない分、図3の回路よりもトランジスタQ9のゲートの寄生容量を小さくすることができる(逆に言えば、トランジスタQ9のゲートが接続するノードの寄生容量がトランジスタQ3のゲート容量分だけ小さくなる)。
従って、図22の単位シフトレジスタSRkでは、ノードN1のプリチャージ時にトランジスタQ3,Q9のゲート電位が、図3の場合よりも高速に、且つより高いレベルにまで昇圧される。その結果、ノードN1,N4それぞれの充電速度が速くなり、単位シフトレジスタSRkの動作の高速化に寄与できる。
[変更例]
本実施の形態も、図3の回路への適用に限られず、各実施の形態およびその変更例に示した単位シフトレジスタSRの何れにも適用可能である。特に、トランジスタQ3のドレインあるいはトランジスタQ3,Q9のドレインに電圧発生回路33からより高い電位VDD4が供給される実施の形態3の回路においては、ノードN3のゲート電位を高くできることの意義は大きく、より効果的である。
実施の形態2の単位シフトレジスタSR(図12)に本実施の形態を適用する場合、図23に示すように、トランジスタQ8Dのゲートは、トランジスタQ8のゲートと共にトランジスタQ15に接続させる(つまりノードN6に接続させる)。またノードN3を放電するトランジスタQ16に対応させて、ノードN3Dと入力端子INとの間に、ゲートがノードN1に接続したトランジスタQ16Dを接続させる。トランジスタQ16と同様に、トランジスタQ16Dのソースにも前段の出力信号Gk-1と同相のクロック信号/CLKを供給してもよい。なお、図23の回路に実施の形態3の電圧発生回路33を接続させる場合、トランジスタQ3,Q9両方のドレインに電位VDD4を供給すると、動作の高速性に最も優れた単位シフトレジスタSRkとなる。
<実施の形態6>
図24は実施の形態6に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkも上記の各実施の形態と同様に出力回路20、プルアップ駆動回路21およびプルダウン駆動回路22から構成されている。
出力回路20およびプルダウン駆動回路22は、図8(実施の形態1の第5の変更例)と同様の構成のものである。つまり出力回路20は、出力端子OUTにクロック信号CLKを供給するトランジスタQ1と、非選択期間に出力端子OUTの放電を行うトランジスタQ2とから成る。またプルダウン駆動回路22は、トランジスタQ6,Q7から成るインバータと、トランジスタQ12〜Q14から成る入力回路を備えるものである。
なお、図24のプルダウン駆動回路22では、トランジスタQ6,Q12のドレインを共に第3電源端子S3に接続させている。図8ではトランジスタQ12のドレインを第2電源端子S2に接続させていたが、上記のとおり第2電源端子S2の電位VDD1と第3電源端子S3の電位VDD2は同じ値でもよいため、図24のようにプルダウン駆動回路22を構成しても動作上の問題はない。
実施の形態1の第5の変更例で説明したように、プルダウン駆動回路22の入力回路は、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてインバータの入力端(ノードN5)をHレベルにし、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてノードN5をLレベルに変化させる。従ってインバータの出力端(ノードN2)は、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてLレベルになり、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてHレベルになる。ノードN2はプルダウン駆動回路22の出力端であり、出力回路20のトランジスタQ2のゲートに接続される。
一方、プルアップ駆動回路21は、入力端子INとノードN1との間に接続したトランジスタQ30と、当該トランジスタQ30のゲートとノードN2との間に接続したトランジスタQ31とから成っている。トランジスタQ31のゲートは、ハイ側電源電位VDD1が供給される第2電源端子S2に接続されている。ここで、トランジスタQ30のゲートが接続するノードを「ノードN30」と定義する。
図25は、実施の形態6に係る単位シフトレジスタSRkの動作を説明するためのタイミング図である。以下、同図に基づいて単位シフトレジスタSRkの動作を説明する。ここでも、単位シフトレジスタSRkのクロック端子CKには、クロック信号CLKが入力されるものとする。
単位シフトレジスタSRkの初期状態(時刻t1の直前の状態)として、ノードN1がLレベル(VSS)、ノードN2がHレベル(VDD−Vth)であると仮定する(リセット状態)。この状態では、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンであるので、クロック信号CLKのレベルに関係なく、出力信号GkはLレベルに保たれる。
また時刻t1の直前では、単位シフトレジスタSRkのクロック端子CK(クロック信号CLK)、リセット端子RST(次段の出力信号Gk+1)、入力端子IN(前段の出力信号Gk-1)は何れもLレベルであるとする。この場合、ノードN2がHレベルであるので、ノードN30はトランジスタQ31を通して充電されてHレベル(VDD−Vth)になっている。よってトランジスタQ30はオン状態であり、ノードN1はLレベル(VSS)になっている。
その状態から、時刻t1でクロック信号/CLK(不図示)がHレベルに変化すると共に、前段の出力信号Gk-1(第1段目の単位シフトレジスタSR1の場合にはスタートパルスSP)が活性化されたとする。
プルアップ駆動回路21のトランジスタQ30はオン状態であるので、前段の出力信号Gk-1のレベルが上昇するとノードN1の充電が開始される。このとき入力端子INおよびノードN1とノードN30との間は、トランジスタQ30の寄生容量(ゲート・チャネル間容量、ゲートとソース・ドレインとの間のオーバラップ容量など)により容量結合しており、入力端子INおよびノードN1のレベル上昇に伴ってノードN30のレベルも上昇する。ノードN30のレベルが上昇するとトランジスタQ31はオフになり(トランジスタQ31の動作の詳細は後述する)、ノードN30はトランジスタQ30を非飽和領域で動作させるレベルにまで上昇する。即ち、ノードN30の電圧は前段の出力信号Gk-1の振幅(VDD)よりも大きくなる。このときノードN30の電圧がVDD+Vth以上になれば、トランジスタQ30は非飽和領域で動作する。そのためノードN1は高速に充電(プリチャージ)され、前段の出力信号Gk-1に追随して素早く電位VDDのHレベルになる。応じてトランジスタQ1がオンになる。
他方、プルダウン駆動回路22では、前段の出力信号Gk-1の立ち上がりに応じて、トランジスタQ12がオンになる。このときトランジスタQ13もオンしているが、トランジスタQ12はトランジスタQ13よりもオン抵抗が充分小さく設定されているため、ノードN5のレベルが上昇する。応じてトランジスタQ7がオンになり、ノードN2のレベルが低下し始める。ノードN2のレベルが低下すると、トランジスタQ31がオンしてノードN30からノードN2への方向に電流が流れる。よってノードN30のレベルは、ノードN2のレベル低下に伴って低下する。
時刻t1から所定時間遅れた時刻tD1で、ノードN2,N30のレベルがLレベルになると、トランジスタQ2はオフになる。つまり単位シフトレジスタSRkは、トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフのセット状態となるが、この時点ではクロック信号CLKはLレベルであるので、出力端子OUT(出力信号Gk)は低インピーダンスでLレベルに維持される。また時刻tD1ではトランジスタQ30がオフになるので、ノードN1はフローティング状態でHレベルに維持される。
他方、プルダウン駆動回路22では、ノードN2がLレベルになるとトランジスタQ13がオフになる。その結果ノードN5は電位VDD−VthのHレベルになる。
ここでノードN1のプリチャージ時におけるトランジスタQ31の動作に注目する。ノードN1がプリチャージされる前は、ノードN2がHレベル(VDD−Vth)であり、またトランジスタQ31のゲート電圧はVDD(=VDD1)に固定されているので、トランジスタQ31はノードN2からノードN30へと電流を流し、ノードN30をHレベル(VDD−Vth)に充電する。
そして前段の出力信号Gk-1が立ち上がってトランジスタQ30によるノードN1のプリチャージが開始されたとき、ノードN30が昇圧されるので、電位関係によりノードN2側がトランジスタQ31のソースとなる。この時点ではノードN2の電位はVDD−Vthであるので、トランジスタQ31のゲート(第2電源端子S2)・ソース(ノードN2)間電圧はVthとなり、当該トランジスタQ31はオンとオフの境界状態になる。よってトランジスタQ31にはノードN30からノードN2への方向にサブスレッシュホールド電流が流れるが、これは微小な電流なので、ノードN30が昇圧されている短い期間(≒tD1−t1)にノードN30から放出される電荷は無視できる程度である。
そしてノードN1がプリチャージされてHレベル(VDD)になった後の時刻tD1で、ノードN2がLレベルになると、トランジスタQ31はオンになり、ノードN30からノードN2へと電流が流れ、ノードN30はLレベル(VSS)になる。その後も、ノードN2がLレベルの間はトランジスタQ31はオン状態であり、ノードN30はLレベルに維持される。
このようにトランジスタQ31は、ノードN1のプリチャージ前、ノードN2がHレベルになっている段階では、ノードN2の電位をノードN30に伝達する抵抗素子として働き、ノードN1のプリチャージ開始時にノードN30が昇圧された段階では、ノードN30とノードN2との間を遮断する遮断素子として働く。またノードN1のプリチャージが進みノードN2のレベルが低下する段階およびそれ以降のノードN2がLレベルに維持されている段階では、トランジスタQ31はノードN30の電荷をノードN2に放電する抵抗素子として働く。つまりトランジスタQ31は、前段の出力信号Gk-1の活性化に先んじてノードN30を充電し、また前段の出力信号Gk-1の非活性化に先んじてノードN30を放電する充放電回路として機能する。
なお、ノードN30がLレベルに低下するとき、トランジスタQ30のゲート・ソース間のオーバラップ容量を介する結合のため、ノードN1のレベルも若干低下する(図25のΔV3)。このノードN1のレベル低下は、実施の形態1の単位シフトレジスタSRkにおいて前段の出力信号Gk-1の立ち下がり時に生じるもの(図4のΔV2)とほぼ同じであり、ΔV3低下した後でもノードN1のレベルは従来(特許文献1の図7の回路)より高い。
時刻t2でクロック信号/CLKが立ち下がると、前段の出力信号Gk-1はLレベルに変化する。トランジスタQ30は時刻tD1にオフ状態になっているので、ノードN1のレベルは変化しない。
プルダウン駆動回路22では、前段の出力信号Gk-1の立ち下がりに応じてトランジスタQ12がオフになる。このときトランジスタQ12のゲート・ソース間のオーバラップ容量を介した結合により、ノードN5のレベルが若干低下するが、単位シフトレジスタSRの動作には影響しない程度である。
そして時刻t3でクロック信号CLKが立ち上がると、そのレベル変化がオン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTへと伝達され、出力信号Gkのレベルが上昇する。このとき容量素子C1を介する結合によりノードN1が昇圧され、トランジスタQ1を非飽和領域で動作させる。よって出力信号Gkは、クロック信号CLKのHレベルと同じ電位VDDのHレベルになる。
ノードN1の寄生容量が十分小さいとすると、ノードN1は出力信号Gkのレベルと同程度昇圧されるので、昇圧後のノードN1のレベルVa[N1]は実施の形態1と同様に、上記の(1)式で表される。
時刻t4でクロック信号CLKが立ち下がると、オン状態のトランジスタQ1を通して出力端子OUTからクロック端子CKへと電流が流れ、出力端子OUTが放電される。その結果、出力信号GkはLレベルになる。このとき容量素子C1を介する結合により、ノードN1は昇圧される前のレベル(VDD−ΔV3)に戻る。
ここで、出力信号Gkは、次段の単位シフトレジスタSRk+1の入力端子INにも入力されているので、上記の時刻t3で出力信号GkがHレベルになったとき、単位シフトレジスタSRk+1はセット状態に移行している。
そのため時刻t5で、クロック信号/CLKのレベルが立ち上がると、次段の出力信号Gk+1(不図示)がHレベルになる。よって単位シフトレジスタSRkでは、トランジスタQ14がオンになり、ノードN5がLレベルになる。応じてトランジスタQ7がオフになるため、ノードN2がトランジスタQ6により充電されてHレベルになる。
ノードN2がHレベルになると、オン状態のトランジスタQ31を通しノードN2からノードN30へと電流が流れ、ノードN30は電位VDD−VthのHベルになる。その結果トランジスタQ30がオンになり、ノードN1は放電され、低インピーダンスのLレベルになる。その結果単位シフトレジスタSRkは、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンのリセット状態に戻る。
その後、次段の出力信号Gk+1はLレベルに戻るが、単位シフトレジスタSRkは、次のフレーム期間で前段の出力信号Gk-1が活性化されるまでリセット状態に維持される。トランジスタQ6,Q7,Q13から成るハーフラッチ回路が、ノードN2,N5のレベルを保持するからである。またその間、トランジスタQ2がオンしているので、出力端子OUTは低インピーダンスでLレベルに維持される。
以上の動作から分かるように、トランジスタQ30は単位シフトレジスタSRkをセット状態にするノードN1の充電(プリチャージ)と、リセット状態にするためのノードN1の放電の両方を行う。
本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRにおいては、トランジスタQ30のゲート・チャネル間容量がノードN30の昇圧手段として機能し、それがノードN1のプリチャージ時のトランジスタQ30のゲート電位を上昇させる。それによりトランジスタQ30は非飽和領域で動作するので、ノードN1のレベル上昇速度は従来よりも高速になる。よって、クロック信号の周波数が高くなり、入力端子INに入力される信号のパルス幅が狭くなった場合であっても、ノードN1を充分にプリチャージすることができる。そのため実施の形態1と同様に、トランジスタQ1の駆動能力の低下を防止できるという効果が得られる。
[第1の変更例]
図3の回路と同様に、図24の単位シフトレジスタSRkにおいても、プルダウン駆動回路22のインバータの負荷素子(トランジスタQ6)は、ゲート線GLkの非選択期間にノードN2をHレベルに保持する働きができるものであればよい。よってトランジスタQ6に代えて、例えば定電流素子や抵抗素子などの電流駆動素子を用いてもよい。
また図24では、トランジスタQ6のゲートに一定のハイ側電源電位VDD2を供給していたが、それに代えて次段の出力信号Gk+1と同相のクロック信号/CLKを供給してもよい。単位シフトレジスタSRkが出力信号Gkを活性化させるのに際し、トランジスタQ7は2水平期間(図25の時刻t1〜時刻t5)オンになる。図24の回路ではその2水平期間、終始トランジスタQ6,Q7を通して貫通電流が流れるが、トランジスタQ7のゲートにクロック信号/CLKを供給した場合にはそのうち半分の期間はトランジスタQ6がオフになるので、貫通電流を半分にすることができる。あるいは、クロック信号/CLKはトランジスタQ6のゲートとドレインの両方に供給してもよい。
本変更例は、以下の全ての実施の形態およびその変更例についても適用できる。
[第2の変更例]
実施の形態1で図10に示した変更例と同様に、図24のプルダウン駆動回路22においてもトランジスタQ13のソースを入力端子INに接続させてもよい。その場合、前段の出力信号Gk-1が活性化したとき、トランジスタQ13はソース電位が高くなるのでオフになる。つまりトランジスタQ3がオンになるのとほぼ同時にトランジスタQ13がオフになり、その状態でノードN5の充電が行われる。よって、トランジスタQ12,Q13のオン抵抗値と無関係にノードN5の充電が可能になり、回路設計が容易になる。
[第3の変更例]
上記の第2の変更例のようにトランジスタQ13のソースに前段の出力信号Gk-1を供給した場合、図24の場合よりもノードN5のレベルの立ち上がり速度が速くなる。そのためノードN2,N30のレベルがLレベルになる時刻tD1が早くなり、ノードN1のレベルが充分に高くなる前にトランジスタQ30がオフになることが考えられる。そうなると出力信号Gkの活性化時のトランジスタQ1のオン抵抗が下がり、本発明の効果が得られない。ここでは、その対策のための変更例を提案する。
図26は、実施の形態6の第3の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図24の回路に対し、トランジスタQ13のソースに前段の出力信号Gk-1を供給すると共に、プルダウン駆動回路22のインバータとして、実施の形態1の第4の変更例(図7)と同様にトランジスタQ6,Q7A,Q7B,Q7Cから成るシュミットトリガ型のインバータを用いたものである。このシュミットトリガ型のインバータは、図24のプルダウン駆動回路22のインバータ(トランジスタQ6,Q7)と同様に、ノードN5を入力端、ノードN2を出力端としている。
シュミットトリガ型インバータは、通常のレシオ型インバータよりもしきい値電圧が高いので、ノードN5のレベル上昇に応じてノードN2のレベルが下がるタイミングが遅れる。そのためトランジスタQ13のソースに前段の出力信号Gk-1を供給してノードN5のレベル上昇速度が高くなった場合でも、ノードN2,N30がLレベルになるタイミング(時刻tD1)は一定時間だけ遅れる。従って、ノードN1のレベルが充分に高くなる前にトランジスタQ30がオフになることを防止できる。
[第4の変更例]
図27は実施の形態6の第4の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図24の回路に対し、トランジスタQ13のソースに前段の出力信号Gk-1を供給すると共に、ノードN2とノードN5との間に接続する容量素子C3を設けたものである。
容量素子C3は、ノードN5の立ち上がりタイミングを遅延させるように作用する。よってトランジスタQ13のソースに前段の出力信号Gk-1を供給した場合であっても、ノードN5のレベル上昇タイミングが遅れるため、ノードN2,N30がLレベルになるタイミング(時刻tD1)も一定時間だけ遅れる。従って、第3の変更例と同様の効果が得られる。
[第5の変更例]
画像表示装置のゲート線GLは、データ線との間に比較的大きな寄生容量を有している。そのためデータ線の信号レベルが変化したとき、その変化がゲート線GLの電位に変動を生じさせ、それによりゲート線GLにノイズが発生する。図24の単位シフトレジスタSRkでは、ゲート線GLkの非選択時にはプルアップ駆動回路21のトランジスタQ30がオンしているため、そのとき1ライン前のゲート線GLk-1にノイズが発生すると、そのノイズは当該単位シフトレジスタSRkのノードN1に印加される。
従ってゲート線GLk-1にトランジスタQ1のしきい値よりも大きな振幅のノイズが生じると、トランジスタQ1がオンになる。仮にそのタイミングでクロック信号CLKのレベルが立ち上がると、出力信号Gkの誤信号が発生し、ゲート線GLkが不要に活性化されて表示不良が発生するという問題が生じる。ここではその対策のための変更例を示す。
図28は、実施の形態6の第5の変更例に係る単位シフトレジスタの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、ゲート線GLkに供給する出力信号Gkとは別に、次段および前段の単位シフトレジスタSRk-1,SRk+1に供給するための出力信号GDk(以下「キャリー信号」と称す)を生成することを可能にしたものである。つまり本変更例の単位シフトレジスタSRkにおいては、出力信号Gkはゲート線GLkのみに供給される。また単位シフトレジスタSRkの入力端子INには前段のキャリー信号GDk-1が供給され、リセット端子RSTには次段のキャリー信号GDk+1が供給される。
図28の単位シフトレジスタSRkは、図24の回路に対し、出力回路20にトランジスタQ1D,Q2Dから成るキャリー信号GDkの生成回路を設けたものである。トランジスタQ1Dは、キャリー信号GDkの出力端子OUTD(以下「キャリー信号出力端子」)とクロック端子CKとの間に接続し、そのゲートはノードN1に接続する。トランジスタQ2Dは、キャリー信号出力端子OUTDと第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN2に接続する。
図28から分かるように、本変更例に係る単位シフトレジスタSRkでは、出力端子OUTに接続するトランジスタQ1,Q2と、キャリー信号出力端子OUTDに接続するトランジスタQ1D,Q2Dとは、互いに並列接続した関係にある。またトランジスタQ1DのゲートはトランジスタQ1のゲートと同じくノードN1に接続し、トランジスタQ2DのゲートはトランジスタQ2のゲートと同じくノードN2に接続している。
よってトランジスタQ1,Q1Dは互いに同様に動作し、またトランジスタQ2,Q2Dも互いに同様に動作する。そのため出力信号Gkとキャリー信号GDkとはほぼ同じ波形の信号となる。従って、図28の単位シフトレジスタSRkは、図24の回路と同様に動作することができる。
本変更例の単位シフトレジスタSRkにおいては、ゲート線GLkに供給する出力信号Gkと、次段の単位シフトレジスタSRk+1に供給するキャリー信号GDkとが分離されている。キャリー信号出力端子OUTDはゲート線GLkに接続していないため、キャリー信号GDkがゲート線GLkのノイズの影響を受けることはない。
単位シフトレジスタSRkの入力端子INには前段のキャリー信号GDk-1が入力されているので、ゲート線GLk-1に発生したノイズが単位シフトレジスタSRkのトランジスタQ30を通してノードN1に印加されることが防止される。つまり本変更例では、単位シフトレジスタSRkがゲート線GLk-1のノイズの影響を受けることが防止されており、当該ノイズに起因する出力信号Gkの誤信号の発生が抑えられている。
なお図24のプルダウン駆動回路22では、トランジスタQ12のゲート(入力端子IN)には前段のキャリー信号GDk-1が供給され、トランジスタQ14のゲート(リセット端子RST)には次段の出力信号Gk+1が供給されている。そうすることによりプルダウン駆動回路22もゲート線GLk-1,GLk+1のノイズの影響を受けなくなるため好ましい。
但し、プルダウン駆動回路22の誤動作は、ゲート線GLkの非選択期間において一時的にトランジスタQ2をオフにして出力端子OUTのインピーダンスを高くすることがあるが、積極的に出力信号Gkに誤信号を発生させるものではない。そのためトランジスタQ12,Q14それぞれのゲートには、図24と同様に前段および後段の出力信号Gk-1,Gk+1を供給させてもよい。
[第6の変更例]
図24において、トランジスタQ6,Q7はレシオ型インバータを構成しているため、ノードN5がHレベルになっている期間、トランジスタQ6,Q7を通して第3電源端子S3から第1電源端子S1へと貫通電流が流れる。この貫通電流を抑制するためには、トランジスタQ6のオン抵抗をより高く設定すればよいが、そうするとゲート線GLkの選択期間が終了したときのノードN2の立ち上がり速度が遅くなる。
ノードN2の立ち上がり速度が遅いと、トランジスタQ30のゲート(ノードN30)のレベル上昇速度も遅くなるため、ノードN1の放電速度が遅くなる。つまりトランジスタQ1がオフになるタイミングが遅れる。トランジスタQ1がオフするのが遅いと、クロック信号CLK,/CLKの周波数が高くなった場合に出力信号Gkの誤信号が発生するため、動作の高速化の妨げとなる。
図29は実施の形態6の第6の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図24の回路に対し、ノードN1と第1電源端子S1との間に、ゲートがリセット端子RSTに接続したトランジスタQ4を設けたものである。
図29の単位シフトレジスタSRkによれば、トランジスタQ4が次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてノードN1を放電し、トランジスタQ1を速やかにオフにさせる。そのためクロック信号CLK,/CLKの周波数が高い場合でも、出力信号Gkにおける誤信号の発生を防止でき、動作の高速化に寄与できる。またトランジスタQ6のオン抵抗を高くして貫通電流を小さくできる点で、低消費電力化にも寄与できる。
[第7の変更例]
上記の第6の変更例でも説明したように、図24の回路においてトランジスタQ6,Q7を流れる貫通電流を抑制するためにトランジスタQ6のオン抵抗を高く設定すると、ゲート線GLkの選択期間が終了したときのノードN2の立ち上がり速度が遅くなる。このことはトランジスタQ1がオフになるタイミングを遅くするだけでなく、トランジスタQ2がオンするタイミングも遅らせるため、出力端子OUTが低インピーダンスでLレベルに固定されるタイミングが遅れる。これも出力信号Gkの誤信号の発生の要因となるため好ましくない。
図30は実施の形態6の第7の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図24の回路に対し、ノードN2と第3電源端子S3との間に、ゲートがリセット端子RSTに接続したトランジスタQ32を設けたものである。
図30の単位シフトレジスタSRkによれば、トランジスタQ32が次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてノードN2をHレベルにするので、トランジスタQ1が速やかにオフすると共に、トランジスタQ2が速やかにオンになる。そのためクロック信号CLK,/CLKの周波数が高い場合でも、出力信号Gkにおける誤信号の発生を防止でき、動作の高速化に寄与できる。
なお、トランジスタQ32がオンする間は、トランジスタQ14もオンになりノードN5はLレベルになるので、トランジスタQ7はオフになる。よってトランジスタQ32,Q7を通しての貫通電流は生じない。よってトランジスタQ32のオン抵抗は小さく設定してもよい。
またトランジスタQ32のドレインの接続先は、第3電源端子S3ではなく、リセット端子RSTであってもよい。即ち、トランジスタQ32は、リセット端子RSTとノードN2との間にダイオード接続したものであってもよい。
次段の出力信号Gk+1(リセット信号)に応じてノードN2を充電するトランジスタQ32は、実施の形態1〜5に示した各単位シフトレジスタSRkにおけるノードN2の充電に用いてもよい(但し、実施の形態1の第6の変更例(図11)を除く)。
[第8の変更例]
ここでは図11(実施の形態1の第6の変更例)の回路と同様に、次段の出力信号Gk+1を受けることなく、セット状態からリセット状態に移行することが可能な変更例を示す。
図31は、実施の形態6の第8の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図24の回路に対し、トランジスタQ14のゲートを出力端子OUTに接続させ、さらにノードN2と第1電源端子S1との間に、ゲートが出力端子OUTに接続したトランジスタQ33を設けたものである。なお、トランジスタQ33は、トランジスタQ6よりもオン抵抗が充分小さく設定されている。
図31の単位シフトレジスタSRkの動作を説明する。前段の出力信号Gk-1の活性化時における単位シフトレジスタSRkの動作は、図24の回路と同様である。
即ち、前段の出力信号Gk-1がHレベル(VDD)になると、プルアップ駆動回路21では、ノードN30が昇圧されてトランジスタQ30が非飽和領域で動作し、ノードN1は素早く電位VDDのHレベルになる。このときプルダウン駆動回路22では、トランジスタQ12がオンするためノードN5はHレベルになる。応じてトランジスタQ7がオンするため、ノードN2,N30はLレベルになる。その結果、単位シフトレジスタSRは、トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフのセット状態になる。
なおノードN30がLレベルになったときトランジスタQ30はオフするため、前段の出力信号Gk-1がLレベルに戻っても、ノードN1はHレベルに維持される。つまり単位シフトレジスタSRkはセット状態に維持される。
次にクロック信号CLKがHレベルに変化すると、出力信号GkがHレベル(VDD)になる。するとトランジスタQ14がオンしてノードN5はLレベルになり、トランジスタQ7はオフになる。しかしこのときトランジスタQ33がオンになるため、ノードN2は低インピーダンスでLレベルに維持され、トランジスタQ2のオフ状態は維持される。
そしてクロック信号CLKがLレベルになると、それに追随して出力信号Gkのレベルが低下する。出力信号Gkのレベルが充分下がるとトランジスタQ33がオフになり、ノードN2はトランジスタQ6により充電されてHレベルになる。応じてノードN30がHレベルになり、トランジスタQ30がオンするため、ノードN1はLレベルになる。その結果、単位シフトレジスタSRは、トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオンのセット状態になる。
なお、ノードN2がLレベルになったときトランジスタQ14がオフになるが、トランジスタQ13がオンするためノードN5はLレベルに維持される。
このように図31の単位シフトレジスタSRkは、次段の出力信号Gk+1を受けることなく、セット状態からリセット状態に移行することが可能である。従って、ゲート線駆動回路30のレイアウト設計が容易になる。
また図31の単位シフトレジスタSRkでも、図11の回路と同様に、出力信号Gkが立ち下がる際、そのレベルが充分低くなってからノードN2がHレベルに変化する。またノードN1は、ノードN2と共にノードN30がHレベルになりトランジスタQ30がオンすることで放電される。従って、トランジスタQ1がオフになるタイミングは必ず出力信号Gkのレベルが充分に低くなった後になる。よって、クロック信号CLK,/CLKの活性期間同士の間隔(図37のΔt)が短くなっても、出力信号Gkの立ち下がり速度が低下することは無い。そのためトランジスタQ2のオン抵抗を小さく(ゲート幅を広く)する必要もなく、回路面積の増大も抑えられる。
[第9の変更例]
図31の回路では、ゲート線GLkの非選択期間に、大きな振幅のノイズがゲート線GLkに発生すると、それによりプルダウン駆動回路22のトランジスタQ33がオンする。するとノードN2がLレベルになり、トランジスタQ2がオフするため、ゲート線GLkが高インピーダンス状態になる。その結果、ゲート線GLkのノイズが増して大きくなり、表示不良を発生させる場合がある。
ここでは、この問題を解決するために、上記の第5の変更例(図28)の技術を、第8の変更例の回路に応用した例を示す。
図32は、実施の形態6の第9の変更例に係る単位シフトレジスタの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図31の回路に対し、出力回路20にトランジスタQ1DA,Q2DAから成る回路を設けると共に、プルダウン駆動回路22のトランジスタQ14,Q33のゲートをトランジスタQ1DA,Q2DA間の接続ノードに接続させたものである。
トランジスタQ1DA,Q2DAは、それぞれ図28のトランジスタQ1D,Q2Dと同様に設けられる。即ち、トランジスタQ1DA,Q2DA間の接続ノードを「ノードN31」と定義すると、トランジスタQ1DAはノードN31とクロック端子CKとの間に接続し、そのゲートはノードN1に接続する。トランジスタQ2DAは、ノードN31と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN2に接続する。
よってトランジスタQ1,Q1DAは互いに同様に動作し、またトランジスタQ2,Q2DAも互いに同様に動作する。そのためノードN31には、出力信号Gkとほぼ同じ波形の信号が現れる。従って、図32の単位シフトレジスタSRkは、図31の回路と同様に動作することができる。
本変更例の単位シフトレジスタSRkにおいて、ノードN31はゲート線GLkに接続していないため、ノードN31の信号がゲート線GLkのノイズの影響を受けることはない。トランジスタQ33はノードN31の信号により制御されているため、ゲート線GLkのノイズによりトランジスタQ33がオンすることは防止されており、上記の問題を解決することができる。
但し図32の回路では、ノードN31と出力端子OUTの立ち下がりタイミングが同じになるようにしなければ、図31のように出力信号Gkの立ち下がり速度の低下を防止することができなくなる点に留意すべきである。
図32においては、トランジスタQ14のゲートもノードN31に接続させたが、図31の回路と同様に出力端子OUTに接続させてもよい。その理由は、ゲート線GLkの非選択期間では、ノードN5はトランジスタQ13によりLレベルにされているため、トランジスタQ14がノイズによってオンしてもノードN5のレベルに変化は生じず、単位シフトレジスタSRkの誤動作は生じないからである。
なお、単位シフトレジスタSRkのノードN31の信号を、次段の入力端子INに供給すれば、ゲート線GLkのノイズにより次段のノードN1レベルが上昇することを防止でき、上記の第5の変更例(図28)と同じ効果が得られることは明らかである。
[第10の変更例]
図33は、実施の形態6の第10の変更例に係る単位シフトレジスタの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、上記の第9の変更例の回路(図32)に、さらに第5の変更例(図28)の技術を適用したものである。即ち、図32の回路に対し、トランジスタQ1D,Q2Dから成るキャリー信号GDkの生成回路を設けたものである。
出力端子OUTから出力される出力信号Gkは、ゲート線GLkに供給される。キャリー信号出力端子OUTDから出力されるキャリー信号GDkは、次段の入力端子INに供給される。またノードN31の信号は、プルダウン駆動回路22のトランジスタQ14,Q33のゲートに供給される。
本変更例によれば、上記の第5の変更例(図28)により得られる効果と、第9の変更例の回路(図32)により得られる効果の双方を得ることができる。
なお、第9の変更例で説明したように、ノードN31の信号と出力信号Gkの立ち下がりタイミングは同時であることが好ましい。通常、大きな負荷容量であるゲート線GLkを駆動する出力信号Gkの立ち上がりは若干遅れる傾向にあるため、それに合わせてノードN31の信号の立ち下がり速度が抑制されるように、トランジスタQ1DAの駆動能力は低く設定される。
一方、キャリー信号GDkは次段のノードN1を高速で充電できることが好ましいため、トランジスタQ1Dの駆動能力は高く設定される。つまり本変更例では、トランジスタQ1Dのオン抵抗は、トランジスタQ1DAのオン抵抗よりも小さく設定される。
[第11の変更例]
上記したように、図24の単位シフトレジスタSRkでは、ゲート線GLkの非選択時にプルアップ駆動回路21のトランジスタQ30がオンしているため、そのとき1ライン前のゲート線GLk-1に発生したノイズは、単位シフトレジスタSRkのノードN1に印加される。その影響でノードN1のレベルが上昇してトランジスタQ1がオンになると、出力信号Gkの誤信号を生じさせるため問題となる。この問題の対策は第5の変更例でも示したが、ここではその問題を解決できる他の変更例を示す。
図38は、実施の形態6の第11の変更例に係る単位シフトレジスタの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図24の回路に対し、以下のトランジスタQ34〜Q36を設けたものである。トランジスタQ34は、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続する。トランジスタQ34のゲートが接続するノードを「ノードN32」と定義すると、トランジスタQ35は、第3電源端子S3とノードN32との間に接続し、そのゲートはノードN2に接続される。トランジスタQ36は、ノードN32と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN1に接続される。なお、トランジスタQ35は第2電源端子S2とノードN32との間に接続させてもよい。
図25の信号波形図から分かるように、ノードN1の信号とノードN2の信号とはほぼ相補的な波形であるので、トランジスタQ35,Q36から成る回路は、トランジスタQ34のゲート(ノードN32)に、ノードN1の信号を反転した信号を供給するように機能する。
単位シフトレジスタSRkがリセット状態(ノードN1がLレベル、ノードN2がHレベル)のときは、トランジスタQ35がオン、トランジスタQ36がオフになり、ノードN32はHレベルになる。よってトランジスタQ34がオンになり、ノードN1は低インピーダンスでLレベルになる。従って、ゲート線GLk-1のノイズがノードN1に印加されても、ノードN1のレベルが上昇することが抑えられ、出力信号Gkの誤信号の発生を防止することができる。
またセット状態(ノードN1がHレベル、ノードN2がLレベル)になったときは、トランジスタQ35がオフ、トランジスタQ36がオンになり、ノードN32はLレベルになる。応じてトランジスタQ34はオフし、ノードN1は高インピーダンス(フローティング状態)でHレベルになる。よって図24の回路と同様に、出力信号Gkの立ち上がり時にノードN1は昇圧され、トランジスタQ1を非飽和領域で動作させることができる。
なお、図38の回路では、前段の出力信号Gk-1がHレベルになったときにノードN1がHレベルになるように、トランジスタQ30の駆動能力はトランジスタQ34よりも充分大きく設定される。またトランジスタQ35,Q36のサイズは、前段の出力信号Gk-1のレベル上昇とほぼ同時にトランジスタQ36がノードN32をLレベルにできるように、適切に決定される。
トランジスタQ2のゲートは、ノードN32に接続させてもよい。その場合、回路のレイアウト設計が容易になるが、ノードN32の寄生容量が大きくなる分、ノードN32のレベル遷移の速度が遅くなる点に留意すべきである。
またトランジスタQ35のゲートは、第2電源端子S2あるいは第3電源端子S3に接続させてもよい。図38の場合に比べ、ノードN32のHレベルの電位がVthだけ高くなり、トランジスタQ34のオン抵抗を小さくできる。しかし、トランジスタQ35,Q36がレシオ型インバータになるため、単位シフトレジスタSRkがセット状態のときにトランジスタQ35,Q36を通して貫通電流が流れ、消費電力が若干増える。
<実施の形態7>
実施の形態7では、実施の形態6をシフト方向を変更可能なシフトレジスタに適用した例を示す。
図34は実施の形態7に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図24の回路に対し、信号のシフト方向を切り換えるための切換回路24を設けたものである。図34においては、図21(実施の形態4の第2の変更例)で示したものと同じ構成の切換回路24を用いている。
そして図24では入力端子INに接続させていたトランジスタQ12のゲートとトランジスタQ30の電流電極をここでは切換回路24の一方の出力端であるノードN8は接続させ、図24ではリセット端子RSTに接続させていたトランジスタQ14のゲートをここでは切換回路24のもう一方の出力端であるノードN9に接続させている。
実施の形態4の第2の変更例で説明したように、この切換回路24によれば、順方向シフト時(第1電圧信号VnがHレベル、第2電圧信号VrがLレベル)には、第1入力端子IN1に入力された前段の出力信号Gk-1はノードN8に供給され、第2入力端子IN2に入力された次段の出力信号Gk+1はノードN9に供給される。よって図34の単位シフトレジスタSRkは図24と等価になり、順方向シフトを行うことができる。
また逆方向シフト時(第1電圧信号VnがLレベル、第2電圧信号VrはHレベル)には、第1入力端子IN1に入力された前段の出力信号Gk-1はノードN9に供給され、第2入力端子IN2に入力された次段の出力信号Gk+1はノードN8に供給される。この場合、図34の単位シフトレジスタSRkは、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてセット状態になり、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてリセット状態になるように動作するため、逆方向シフトを行うことができる。
また図34の切換回路24は、第1および第2電圧信号Vn,VrのHレベルの電位がVDD+Vthよりも低い場合でも、トランジスタQ27n,Q27rを非飽和領域で動作させることができるという特徴を有している。そのため、第1および第2電圧信号Vn,VrのHレベルの電位がVDD+Vthよりも大きい場合や、トランジスタQ27n,Q27rが飽和領域で動作しても問題が無い場合には、図19に示した切換回路24を用いてもよい。
また図34では、図24の回路に切換回路24を適用した例を示したが、もちろん実施の形態6の第1〜第11の変更例の回路に対しても適用することができる。
[第1の変更例]
図35は実施の形態7の第1の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図34の回路に対し、切換回路24のトランジスタQ27nをトランジスタQ28n,Q29nに置き換えると共に、トランジスタQ27rをトランジスタQ28r,Q29rに置き換えたものである。
図35の如く、トランジスタQ28nは、第1電圧信号端子T1に接続したゲートを有し、ノードN10(トランジスタQ25nのゲート)と第2電源端子S2との間に接続する。トランジスタQ29nは、第2電圧信号端子T2に接続したゲートを有し、ノードN10と第1電源端子S1との間に接続する。
トランジスタQ28rは、第1電圧信号端子T1に接続したゲートを有し、ノードN11(トランジスタQ25rのゲート)と第2電源端子S2との間に接続する。トランジスタQ29rは、第2電圧信号端子T2に接続したゲートを有し、ノードN11と第1電源端子S1との間に接続する。
以下、図35の切換回路24の動作を説明する。順方向シフト時(第1電圧信号VnがHレベル、第2電圧信号VrがLレベル)には、トランジスタQ28nがノードN10を充電してHレベルにし、トランジスタQ29rがノードN11を放電してLレベルにするので、トランジスタQ25nはオン状態、トランジスタQ25rはオフ状態になる。またトランジスタQ26nはオン状態、トランジスタQ26rはオフ状態になる。従って、第1入力端子IN1に入力された前段の出力信号Gk-1はノードN8に供給され、第2入力端子IN2に入力された次段の出力信号Gk+1はノードN9に供給される。つまり図35の単位シフトレジスタSRkは図24と等価になり、順方向シフトを行うことができる。
また前段の出力信号Gk-1が立ち上がるとき、トランジスタQ25nのゲート・チャネル間容量を介した結合によりノードN10が昇圧される。このときトランジスタQ28nはオフになるため、ノードN10はトランジスタQ25nを非飽和領域で動作させるのに充分なレベルにまで上昇する。
逆方向シフト時(第1電圧信号VnがLレベル、第2電圧信号VrがHレベル)には、トランジスタQ29nがノードN10を放電してLレベルにし、トランジスタQ28rがノードN11を充電してHレベルにするので、トランジスタQ25nはオフ状態、トランジスタQ25rはオン状態になる。またトランジスタQ26nはオフ状態、トランジスタQ26rはオン状態になる。従って、第1入力端子IN1に入力された前段の出力信号Gk-1はノードN9に供給され、第2入力端子IN2に入力された次段の出力信号Gk+1はノードN8に供給される。その結果、単位シフトレジスタSRkは逆方向シフトを行うことができるようになる。
また次段の出力信号Gk+1が立ち上がるとき、トランジスタQ25rのゲート・チャネル間容量を介した結合によりノードN11が昇圧される。このときトランジスタQ29rはオフになるため、ノードN11はトランジスタQ25rを飽和領域で動作させるのに充分なレベルまで上昇する。
このように図35の切換回路24では、図21のものと同様に、第1および第2電圧信号Vn,VrのHレベルの電位がVDD+Vthよりも低い場合でも、トランジスタQ25n,Q25rが非飽和領域で動作させることができる。
なお、本変更例に係る切換回路24は、実施の形態4における切換回路24としても用いることができる。
[第2の変更例]
図36は実施の形態7の第2の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図35の回路に対し、切換回路24のトランジスタQ28n,Q28r,Q29n,Q29rの接続構成を変更したものである。
図36に示すように、本変更例では、トランジスタQ28nのドレインおよびトランジスタQ29nのソースを第1電圧信号端子T1に接続させている。またトランジスタQ28rのドレインおよびトランジスタQ29nのソースを第2電圧信号端子T2に接続させている。
このように構成された切換回路24は、図35の回路と同様に動作することができる。また、この切換回路24にはハイ側電源電位VDD1およびロー側電源電位VSSを供給する必要がないので、レイアウト設計が容易になるという利点がある。
<実施の形態8>
実施の形態7の単位シフトレジスタSRk(図34〜図36)では、ノードN1の充電が、トランジスタQ25n,Q30の直列回路(順方向シフト時)あるいはトランジスタQ25r,Q30の直列回路(逆方向シフト時)によって充電されるため、図24の単位シフトレジスタSRkに比べ、その充電速度が遅くなる。実施の形態7の単位シフトレジスタSRkで、ノードN1の充電速度を図24の回路と同等にするためには、トランジスタQ25n,Q25r,Q30それぞれのゲート幅を広く(図24の場合の略2倍)にすればよいが、回路の形成面積の増大を招く。実施の形態8では、シフト方向を変更可能であり、且つ、回路面積の増大を抑えつつノードN1の充電速度の低下が抑制された単位シフトレジスタSRkを提案する。
図39は、実施の形態8に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、前段の出力信号Gk-1および次段の出力信号Gk+1をそれぞれ受ける第1および第2入力端子IN1,IN2と、シフト方向を制御する第1および第2電圧信号Vn,Vrをそれぞれ受ける第1および第2電圧信号端子T1,T2とを備えている。
図39の単位シフトレジスタSRkにおいて、出力回路20は、図24と同様の構成のものである。つまり出力回路20は、出力端子OUTにクロック信号CLKを供給するトランジスタQ1と、非選択期間に出力端子OUTの放電を行うトランジスタQ2とから成る。
プルダウン駆動回路22も、図24と同様に、トランジスタQ6,Q7から成るインバータと、インバータの入力端(ノードN5)に適切な信号を供給するトランジスタQ12〜Q14から成る入力回路により構成されるが、入力回路の構成が図24の場合とは異なる。即ち、図39の単位シフトレジスタSRkでは、トランジスタQ12は、第1電圧信号端子T1とノードN5との間に接続され、そのゲートは第1入力端子IN1に接続される。トランジスタQ14は、第2電圧信号端子T2とノードN5との間に接続され、そのゲートは第2入力端子IN2に接続される。トランジスタQ13は、図24と同様に、ノードN5と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN2に接続される。トランジスタQ12,Q14は、トランジスタQ13よりもオン抵抗が充分小さく設定される。
従って、この入力回路は、順方向シフト時(第1電圧信号VnがHレベル、第2電圧信号VrがLレベル)には、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてノードN5をHレベルにし、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてノードN5をLレベルに変化させる。逆方向シフト時(第1電圧信号VnがLレベル、第2電圧信号VrがHレベル)には、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてノードN5をHレベルにし、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてノードN5をLレベルに変化させる。
出力回路20のトランジスタQ2のゲートは、図24と同様に、トランジスタQ6,Q7から成るインバータの出力端(プルダウン駆動回路22の出力端)であるノードN2に接続される。
一方、プルアップ駆動回路21は、以下のトランジスタQ30n,Q30r,Q31n、Q31r、Q37n,Q37rによって構成される。トランジスタQ30nは、第1入力端子IN1とトランジスタQ1のゲート(ノードN1)との間に接続する。トランジスタQ30nのゲートが接続するノードを「ノードN30n」と定義すると、トランジスタQ31nは、ノードN30nとノードN2との間に接続し、そのゲートは第1電圧信号端子T1に接続される。トランジスタQ37nは、ノードN30nと第1電圧信号端子T1との間に接続し、そのゲートは第2電圧信号端子T2に接続される。
トランジスタQ30rは、第2入力端子IN2とノードN1との間に接続する。トランジスタQ30rのゲートが接続するノードを「ノードN30r」と定義すると、トランジスタQ31rは、ノードN30rとノードN2との間に接続し、そのゲートは第2電圧信号端子T2に接続される。トランジスタQ37rは、ノードN30rと第2電圧信号端子T2との間に接続し、そのゲートは第1電圧信号端子T1に接続される。
順方向シフト時には、第1電圧信号VnはHレベル(VDD)、第2電圧信号VrはLレベル(VSS)なので、プルアップ駆動回路21においては、トランジスタQ31nがオン、トランジスタQ31rがオフ、トランジスタQ37nがオフ、トランジスタQ37rがオンの状態となる。ノードN30nがトランジスタQ31nを通して充電されてHレベル(VDD−Vth)になるので、トランジスタQ30nはオンになる。またノードN30rがオン状態のトランジスタQ37rによりLレベル(VSS)に維持されるため、トランジスタQ30rはオフに維持される。
プルダウン駆動回路22においては、トランジスタQ12のドレイン(第1電圧信号端子T1)の電位はVDD、トランジスタQ14のソース(第2電圧信号端子T2)の電位はVSSとなる。
この状態では、図39の単位シフトレジスタSRkは、図24と等価な回路となる(順方向シフトを行う間、トランジスタQ30rはオフに維持される)。即ち、トランジスタQ30n,Q31nが、それぞれ図24のトランジスタQ30,Q31と同様の動作を行い、トランジスタQ30r,Q31rはオフ状態に維持される。従って、トランジスタQ30nは、前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてノードN1を充電する第1充電回路として機能する。またトランジスタQ31nは、前段の出力信号Gk-1の活性化に先んじてノードN30nを充電し、また前段の出力信号Gk-1の非活性化に先んじてノードN30nを放電する第1充放電回路として機能する。
従って、順方向シフト時の単位シフトレジスタSRkは、第1入力端子IN1に供給される前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてセット状態(トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフの状態)になり、第2入力端子IN2に供給される次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてリセット状態(トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオン)になる。よって、当該単位シフトレジスタSRkは、順方向シフトを行う単位シフトレジスタとして機能する。
逆方向シフト時には、第1電圧信号VnはLレベル(VSS)、第2電圧信号VrはHレベル(VDD)なので、プルアップ駆動回路21においては、トランジスタQ31nがオフ、トランジスタQ31rがオン、トランジスタQ37nがオン、トランジスタQ37rがオフの状態となる。ノードN30rがトランジスタQ31rを通して充電されてHレベル(VDD−Vth)になるので、トランジスタQ30rはオンになる。またノードN30nがオン状態のトランジスタQ37nによりLレベル(VSS)に維持されるため、トランジスタQ30nはオフに維持される。
プルダウン駆動回路22においては、トランジスタQ12のドレイン(第1電圧信号端子T1)の電位はVSS、トランジスタQ14のソース(第2電圧信号端子T2)の電位はVDDとなる。
この状態の単位シフトレジスタSRkでは、順方向シフト時とは反対に、トランジスタQ30r,Q31rが、それぞれ図24のトランジスタQ30,Q31と同様の動作を行い、トランジスタQ30n,Q31nはオフ状態に維持される。つまり、トランジスタQ30rは、次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてノードN1を充電する第2充電回路として機能する。またトランジスタQ31rは、次段の出力信号Gk+1の活性化に先んじてノードN30rを充電し、また次段の出力信号Gk+1の非活性化に先んじてノードN30rを放電する第2充放電回路として機能する。
従って、逆方向シフト時の単位シフトレジスタSRは、第2入力端子IN2に供給される次段の出力信号Gk+1の活性化に応じてセット状態(トランジスタQ1がオン、トランジスタQ2がオフの状態)になり、第1入力端子IN1に供給される前段の出力信号Gk-1の活性化に応じてリセット状態(トランジスタQ1がオフ、トランジスタQ2がオン)になる。よって、当該単位シフトレジスタSRkは、逆方向シフトを行う単位シフトレジスタとして機能する。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRkによれば、ノードN1の充電が、トランジスタQ30n(順方向シフト時)あるいはトランジスタQ30r(逆方向シフト時)の単一のトランジスタを通して行われるので、その充電速度は、実施の形態7の単位シフトレジスタSRk(図34〜図36)よりも速い(図24の回路と同等である)。
また、実施の形態7よりも少数のトランジスタにより、双方向シフトを行う単位シフトレジスタSRkを構成することができる。例えば図34(実施の形態7)の回路は、図24の回路に対して6個のトランジスタを追加して構成されるが、本実施の形態に係る図39の回路は、図24の回路に対して3個のトランジスタを追加して構成できる。またノードN1の充電速度の低下が防止されているため、トランジスタQ30n,Q30rのゲート幅を大きくする必要も無い(図24のトランジスタQ30と同等でよい)。よって、回路の形成面積の増大も抑えられる。
[変更例]
図40は、実施の形態8の変更例に係る単位シフトレジスタSRkの回路図である。当該単位シフトレジスタSRkは、図39の回路に対し、トランジスタQ37n,37rのソースを、第1電源端子S1(ロー側電源電位VSS)に接続させたものである。
この構成によっても、図39の回路と同様の動作を行うことができる。但し、プルアップ駆動回路21に、第1電源端子S1への接続配線を設けることが必要になる。