JP5647669B2 - 多孔質シリカの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質シリカの製造方法および多孔質シリカに適用して有効な技術である。
メソポーラスシリカは、六方細密充填したシリンダー型の細孔を有する多孔質体であり、平均細孔径2〜10nmの均一な細孔径を有している。この物質は、シリカ源となるアルコキシシラン、ケイ酸ナトリウム水溶液、カネマイト、シリカ微粒子などを水やアルコールに溶解、加水分解し、水中で形成される界面活性剤の棒状ミセルを鋳型とし、酸、あるいは塩基触媒存在下で合成される。界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、ノニオン性と数多くの種類がこれまでに検討されて来たが、一般的にカチオン性であるアルキルトリメチルアンモニウム塩を用いた場合に最も大きな比表面積、細孔容積を有するメソポーラスシリカが得られることが知られている。
メソポーラスシリカの発見当初は、酸またはアルカリ性の水溶液中、オートクレーブで高温、高圧反応を行う必要があり、また、反応時間が12時間から170時間と長時間であったため、製造プロセス面の問題を有していた。近年では、特許文献1に記載されているように、常温、常圧での合成法も考案されているが、原料のアルコキシシランに対してモル比で数十倍の水やエタノールを溶媒として用いることが必要とされている。溶媒の使用は、合成系の拡大を要求し、原料・設備コスト、製造効率の面で大きな問題となる。また、溶媒系で合成した場合には粉末状のメソポーラスシリカが得られるが、種々の用途に用いるためには特定の形状に成形する必要が発生する。特許文献2では、溶媒としての水の添加量を低下させることにより、これらの問題を回避し、同時に種々の基板に塗布・浸漬するのに適当な濃厚な前駆体溶液を得る方法を提案している。しかし、特許文献2に記載されているように、この反応条件では、カチオン性界面活性剤を使用することができない。
メソポーラスシリカは、有害な揮発性有機物を除去するための吸着材として応用が期待されている。代表的な応用用途である排気ガスの処理などに用いる場合、流通するガス中から目的成分を吸着しなければならないため、強い吸着力が要求される。この目的のためには、吸着材は分子直径の1〜1.5倍以下の細孔直径を有することが好ましい。多くの揮発性有機物は分子直径が1nm以下であるため、吸着材は0.5〜1nm程度の細孔を有することが好ましく、この範囲の細孔を有するメソポーラスシリカを合成するためには炭素数7以下のカチオン性界面活性剤を使用する必要がある。
しかし、特許文献1〜3、非特許文献1および2において、メソポーラスシリカ合成に使用できるカチオン性界面活性剤の種類は、疎水部が8以上のものに限定されている。特に、非特許文献1および2においては、炭素数6のカチオン性界面活性剤を用いた場合はアモルファス状のシリカ、あるいはゼオライト型の生成物が得られ、メソポーラスシリカは得られないことが報告されている。この原因は、水中でのミセル形成能が疎水部の炭素鎖の減少とともに低下し、鋳型として十分なミセルを形成できないことにあると考えられている。
この問題を回避するために非特許文献3では、フッ素含有ノニオン製界面活性剤を用い、−20℃の低温で合成している。しかし、このような特殊な界面活性剤や低温反応の設備は一般的に高価であり、また、界面活性剤を焼成除去する際にフッ素を含有した有害物の発生が懸念される。この場合には、有害物の除去設備費用も必要となる。他方、非特許文献4では、ミセル形成能の高いジェミニ型界面活性剤を用いることで、この問題を回避しようとしている。しかし、ジェミニ型界面活性剤は、一般的に合成原料として容易に大量入手できず高価である。そのため、汎用のカチオン性界面活性剤を用いた合成法の確立が必要である。
メソポーラスシリカにミクロ孔を導入するためには、特許文献4および非特許文献5にあるような非イオン性界面活性剤を用いてシリカ細孔壁にミクロ孔を生成する方法がある。しかし、この方法では、ミクロ孔容積は非イオン性界面活性剤の親水部であるエチレングリコール鎖に依存し、最大でも0.25cm/gのミクロ孔容積しか得られない。
また、細孔径を減少させた場合には、細孔内部への吸着質の拡散効率低下を引き起こすという問題がある。そのため、メソポーラスシリカの細孔を最も有効に用いるためには、メソポーラスシリカ自体をナノ粒子化し、細孔長を減少させる必要が生じる。
さらに、従来法で合成されたメソポーラスシリカは、数100nmから数μmの微粒子で得られる。そのため、各種材料として用いるためには、バインダ等を用いて成型体にする必要がある。メソポーラスシリカの特徴は、その熱的安定性と透明性にある。これらの特性を生かして再生可能な吸着材や光触媒担持体、クロミック材料などへの応用が期待されている。しかし、成型に用いたバインダによって、これらの特性は著しく低下してしまう問題がある。また、バインダを用いない場合、成型体の強度が不十分となる問題がある。
そこで、メソポーラスシリカ自体を、数mmから数cmのひとつなぎの塊状(モノリス体)で合成する試みも行われている。モノリス体は、メソポーラスシリカのゲル化中あるいはゲル化後にゆっくりと溶媒を揮発させる方法(非特許文献6)や、シリカモノリスを合成後にメソポーラスシリカに転移させる方法等(非特許文献7)で得られると報告されている。しかし、従来法では合成に長時間を必要とし、手順が複雑である、焼成後も透明性の維持が難しい等の問題点があった。特に、カチオン性界面活性剤を用いた場合、透明性の高いモノリス状のメソポーラスシリカを得ることはできない。
以上のような問題から、メソポーラスシリカの工業的な応用は非常に限定的であった。
特開2001−104744号公報 特開2007−182341号公報 特開2009−30200号公報 特開2008−195587号公報
J.S.Beck, J.C.Vartuli, G.J.Kennedy, C.T.Kresge, W.J.Roth, and S. E. Schramm, Chem. Mater. 1994, 6, 1816. T. Sawada, T. Yano, N. Isshiki, T. Isshiki, M. Iwamoto, Bull. Chem. Soc. Jpn., 2008, 81, 407. Yan Di, Xiangju Meng, Lifeng Wang, Shougui Li, and Feng-Shou Xiao, Langmuir, 2006, 22, 3068. Renliang Wang, Shuhua Han, Wanguo Hou, Lixin Sun, Jun Zhao, and Youshao Wang, J. Phys. Chem. C, 2007, 111, 10955. K. Kosuge, S. Kubo, N. Kikukawa, M. Takemori, Langmuir, 2007, 23, 3095. Haifeng Yang, Qihui Shi, Bozhi Tian, Songhai Xie, Fuqiang Zhang, Yan Yan, Bo Tu, and Dongyuan Zhao, Chem. Mater. 2003, 15, 536. Jerome Babin, Julien Iapichella, Benoit Lefevre, Christine Biolley, Jean-Pierre Bellat, Francois Fajulaa and Anne Galarneau, New J. Chem., 2007, 31, 1907.
本発明の目的は、種々の形状に成型容易であり、透明性に優れ、ナノ粒子化が可能であり、かつ炭素数が7以下のカチオン性界面活性剤を使用しても高効率で得ることができる多孔質シリカならびにその製造方法および集合体を提供することにある。
本発明は、アルコキシシランの加水分解により得られる多孔質シリカであって、界面活性剤の存在下にて前記アルコキシシランは、アルコキシシランと水との化学量論比がアルコキシシラン:水=1:2〜4、pHが0〜2の条件下で加水分解されることを特徴とする。
つまり、溶媒を用いず、アルコキシシランそのものにカチオン性界面活性剤を分散させたのち、アルコキシシランに対して2〜4等量(eq)の水を添加し、pHを調整して徐々にアルコキシシランの加水分解を進行させることにより、安定なシリケートイオンを生成させる。界面活性剤は、生成したシリケートイオン中に速やかに溶解することで均一な溶液となり、メソポーラスシリカの前駆体溶液となる。
メソポーラスシリカ前駆体溶液は、シリケートイオン、界面活性剤、アルコキシシランから脱離した4等量のアルコール分子およびpH調整に用いた微量の酸性成分より構成される。
この段階で、自然蒸散やロータリーエバポレーターを用いた減圧除去で脱離したアルコールや脱水縮合で生成した余剰の水を除去しても構わない。
メソポーラスシリカ前駆体を、任意の温度で撹拌あるいは静置することにより、系全体がゲル化する。このゲルを乾燥したのち、界面活性剤を洗浄あるいは焼成により除去することで、細孔の開いたメソポーラスシリカが得られる。
添加する水の量は2〜4等量が適当であり、これによりシリケートイオン中に安定なミセルを生成でき、かつ種々の成型が容易な前駆体が得られる。
水添加後のpHは0〜2が適当であり、pH2以上であると瞬時にアルコキシシランの加水分解、ゲル化が進行してしまい、目的の細孔が得られない。pH2においてアルコキシシランの加水分解・ゲル化速度が最も緩慢になるため、均一な前駆体が形成可能である。また、pH0〜1においては加水分解速度の加速が起こるが、ゲル化速度は界面活性剤のミセル形成およびメソポーラスシリカの成型に十分であり、目的の細孔、形状を有するメソポーラスシリカを得ることができる。
なお、アルコキシシラン、水、界面活性剤の添加の順序は任意である。
メソポーラスシリカを速やかに得るために、ゲル化速度を加速する必要がある場合には、反応温度を上昇させるか、塩基性の溶液あるいは蒸気に前駆体を添加してもよい。
界面活性剤はカチオン性界面活性剤であり、炭素数2〜7の疎水基、あるいはベンジル基、フェニル基のような疎水基を有することがより好ましい。疎水基の鎖長に応じて、平均細孔径が、0.5nm以上2nm未満、好ましくは0.5〜1.4nm、より好ましくは0.5〜1nm未満の範囲で変化する。また、比表面積が、300〜1800m/g、好ましくは450〜1200m/gの範囲で、ミクロ孔容積が0.1〜2.0cm/g、好ましくは0.1〜0.5cm/gの範囲で、それぞれ変化する。
平均細孔径は、例えばBJH解析、GCMS法等により、比表面積は、例えばBET法により、それぞれ測定することができる。
また、界面活性剤は、炭素数8〜24の疎水基を有するカチオン性界面活性剤であってもよい。その場合には、平均細孔径は1.4〜4nmの範囲で任意に変化させることができる。
前駆体には、ポリエチレングリコール(PEG)のような水溶液高分子を添加することにより、生成するメソポーラスシリカをナノ粒子化することが可能である。つまり、添加する水溶液高分子の分子量と添加量とで、生成するメソポーラスシリカの構造を制御することが可能である。生成したメソポーラスシリカは、10〜20nmのナノ粒子でありながら、粒子同士は結合しており、ナノ粒子で構成された白色のモノリス体(多孔質体)として得られる。
メソポーラスシリカ前駆体は、ゲル化する際に、容器の形状を維持する性質を利用してモノリス状、液体中に滴下することでビーズ状、スピンコートやディップコート等により薄膜状、スピナー等を用いて吹き出させることにより繊維状など、種々の形状に加工することができる。
本発明においては、反応系に有機シランを共存させることにより、より微細に細孔径を制御することが可能である。
有機シラン化合物、例えばトリエトキシビニルシランなどの短い炭素鎖を有する化合物をアルコキシシランと共にシリカ源として用いる。
この有機シランの添加による細孔の縮小効果は、炭素鎖の短い有機シランが鋳型となるミセルの直径を減少させることよるものと考えられる。
有機シランの有機官能基は細孔壁面や粒子外部に存在し得るが、熱処理などによって除去することが可能である。
有機官能基を、それ自身、あるいは他の有機化合物によるシリカ表面修飾に用いる必要がある場合には、界面活性剤を洗浄除去し、有機官能基を内在させた多孔質シリカを形成してもよい。
本発明によれば、アルコキシシランを、アルコキシシランと水との化学量論比がアルコキシシラン:水=1:2〜4、pHが0〜2の条件下で加水分解するので、種々の形状に成型容易であり、透明性に優れ、ナノ粒子化が可能である多孔質シリカを、炭素数が7以下のカチオン性界面活性剤を使用しても高効率で得ることができる。
モノリス状メソポーラスシリカの写真である。 メソポーラスシリカの窒素吸脱着等温線である。 メソポーラスシリカのGCMC解析結果である。 メソポーラスシリカナノ粒子の写真である。 PEGを使用したエチレンメソポーラスシリカナノ粒子の窒素吸脱着等温線である。 PEGを使用したメソポーラスシリカナノ粒子のTEM画像である。 PEGを添加した場合のビーズ状メソポーラスシリカの写真である。 薄膜状メソポーラスシリカの写真である。 試料1gあたりのトルエン動的吸着量である。 実施の形態2において得られたポーラスシリカの窒素吸脱着等温線である。 実施の形態2において得られたポーラスシリカの細孔の解析結果を示す図表である。 炭素数に対する平均細孔径の変化を示すグラフである。 実施の形態2において得られたポーラスシリカの小角X線回折結果を示すグラフである。 実施の形態3において得られたポーラスシリカの細孔の解析結果を示す図表である。 実施の形態3において得られたポーラスシリカの小角X線回折結果を示すグラフである。 ポーラスシリカの平均細孔径の変化を示すグラフである。 C16TACを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子と、C6TABを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子の窒素吸脱着等温線を示す図である。 C16TACを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子の細孔径分布を示すグラフである。 C6TABを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子の細孔径分布を示すグラフである。 各試料1gあたりのトルエンの動的吸着量を示す図である。
(実施の形態1)
本発明では、溶媒を用いずにアルコキシシランとカチオン性界面活性剤をそのまま混合し、反応剤として水を添加してpHを調整することで得られる前駆体溶液をゲル化する。
添加する水は、アルコキシシランの等電点であるpH2に調整することが望ましい。等電点においては、アルコキシシランの加水分解、およびシリケートイオンのゲル化速度が最も遅いため、界面活性剤のミセル形成のための時間が十分に確保できる。pH0〜1においては加水分解の加速が起こるが、シリケートイオンのゲル化速度が十分に遅いため同様の効果が得られる。そのため、添加する水のpHは、0〜2の範囲に調整する必要がある。pH3以上では加水分解、ゲル化速度が速すぎるため、界面活性剤の溶解とミセル形成のための時間が十分に確保できず、目的とする細孔構造のメソポーラスシリカを得ることができない。
pH調整のための酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、および酢酸などの有機酸を使用できる。
また、成型性の向上のためには、溶媒が存在しないことが要求される。そのため、アルコキシシランに対する水の添加量は、反応に最低限必要な2等量(eq)から、アルコキシシランの加水分解完了に必要な4等量までであり、4等量が好ましい。この条件を用いることで、系をほぼ純粋なシリケートイオンと界面活性剤との混合物にすることができ、成型性と界面活性剤ミセルの安定性を確保することができる。
カチオン性界面活性剤としては、一般式Rで示される界面活性剤であり、Rが炭素数1〜24のアルキル基、ベンジル基、フェニル基であり、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、XがF、Cl、Br、Iのハロゲンイオンである、4級カチオン性界面活性剤であることが好ましい。また、Rのアルキル基は直鎖でも分岐型でもよい。
本発明では、炭素鎖の短いカチオン性界面活性剤を使用しても、効率的なメソポーラスシリカの合成ができる。一般的な溶媒として水やエタノールを用いた合成法の例を、以下に示す。代表的な従来法では、塩酸水溶液中にカチオン性界面活性剤を溶解させ、アルコキシシランを添加し、撹拌した後にアンモニア水溶液を添加し、メソポーラスシリカをゲル化させる。炭素鎖10までのカチオン性界面活性剤を用いた場合には、アンモニアの添加とほぼ同時にゲル化が完了し、定量的にメソポーラスシリカが得られる。一方、炭素鎖8未満のカチオン性界面活性剤を用いた場合には、アンモニア添加後のゲル化までの時間が大幅に増加する。炭素鎖6以下やベンジル基を有するカチオン性界面活性剤の場合では、最長で2週間程度のゲル化時間を要し、また、著しい収率の低下、および、アモルファス状のシリカのみが得られる問題点があった。本発明では、シリケートイオン中での高いミセル形成能に着目し、無溶媒条件で反応を進行させることでこの問題を解決した。
つまり、加水分解完了に必要な量の水のみを使用し、溶媒としての水を使用していないので、加水分解後は反応系から水が消失し、水中でミセル形成能が低下する懸念がなくなり、炭素数8未満の短いカチオン性界面活性剤を使用した場合であっても、メソポーラスシリカの合成が可能となるのである。これにより、直径1nm以下の細孔が形成されて有害な揮発性有機物を除去するための吸着性能に優れたメソポーラスシリカを得ることができる。
また、本発明においては、メソポーラスシリカのナノ粒子化も可能である。
本発明で提供するナノ粒子化の一つの方法は、反応系に、水溶性高分子を添加することで、メソポーラスシリカのナノ粒子化が可能である。
水溶性高分子には、ポリエチレングリコール(PEG)のような安価で汎用の高分子を用いることができる。ポリエチレングリコールの平均分子量には制限はないが、数百から数千が好ましい。
ポリエチレングリコールのような水溶性高分子は、シリケートイオンにも可溶であり、均一な溶液を生成する。反応の進行とともにカチオン性界面活性剤の棒状ミセル集合体を包むシリカ外壁のシラノール基と、ポリエチレングリコールの酸素原子とが、水素結合を形成する。ゲル化反応が完結することで、シリカとポリエチレングリコールが相分離し、メソポーラスシリカナノ粒子が生成する。この反応において、ポリエチレングリコールは、カチオン性界面活性剤のミセル形成には影響を与えないため、目的の細孔構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子が生成する。
また、ポリエチレングリコールとシリケートイオンとの間に形成される水素結合によってシリケートイオンのゲル化が抑制され、ゲル化までの時間は、室温下において最大で一ヶ月程度まで延長される。
ゲル化速度は、反応温度の上昇、塩基性水溶液への滴下、系全体のpHを塩基性にする方法により加速させることができる。
この水溶性高分子を添加する方法では、10〜20nmのメソポーラスシリカ粒子を製造可能である。また、本発明では、生成物をナノ粒子が互いに結合した集合体として得ることができる。ナノ粒子自体は集合体を形成しているが、粒子間隙の細孔は互いに連結しているため新たなメソ細孔として機能する。粒子間隙の平均細孔径は50nm程度である。ナノ粒子の集合体は白色のモノリス状(多孔質状)に得られ、衝撃に対して十分な強度を有している。
なお、ナノ粒子の集合体が得られていることは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により得られた粒子を写真撮影し、観察することで確認することができる。また、無色透明であることは、目視で判断すればよい。
いずれのカチオン性界面活性剤を用いた場合でも、安定した前駆体溶液が得られるため、下記のような成型法による、メソポーラスシリカ成型体の製造が可能である。
すなわち、反応容器中で静置、あるいは撹拌することで、反応容器の形状に依存したモノリス状メソポーラスシリカ成型体が製造可能である。反応容器の形状を選択することで、ペレット、球状、ロッド状、ディスク状など、任意の形状に成型することができる。
前駆体溶液を加熱した液体中、あるいは塩基性の水溶液中に滴下することで、球状のメソポーラスシリカビーズを生成することができる。この場合、滴下ノズル径、滴下速度、前駆体溶液のゲル化度に依存した粘性を変化させることで、任意のサイズのビーズが成型可能である。また、気泡を内包することで、中空ビーズも製造可能である。塩基性溶液としては、簡便には、アンモニア水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などを使用することができる。
前駆体溶液をスピンコートあるいはディプコートすることで、薄膜状のメソポーラスシリカが得られる。製膜後はそのまま乾燥させるか、アンモニア蒸気中に暴露することで、ゲル化を完結することができる。ハニカム等の成型体や紙、布などへのコートにはディプコートが、基板面へのコートにはスピンコート、ディップコートの両者が適用可能である。
前駆体溶液をスピナー等のノズルより吹き出させることで、繊維状メソポーラスシリカが製造可能である。スピナーより高温で吹き出すことにより空気中でゲル化、あるいは、スピナーよりアンモニア蒸気中に吹き出すことにより、繊維状メソポーラスシリカが製造可能である。
本発明では、これまでに説明した内容により、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明のメソポーラスシリカを吸着材に用いた場合、細孔径制御の容易さから、幅広い吸着質に対して効率的な吸着材として用いることができる。一般的に流通系でのガス吸着では吸着質分子直径の1〜1.5倍程度の細孔径を有する吸着材が望まれるが、対象となる有害な吸着質は分子直径が1nm以下であることが多く、それらの吸着質を効率的に吸着するためには1.5nm以下のミクロ孔が望まれる。従来法では、メソポーラスシリカの細孔径をミクロ孔まで低下させるためには、高価な界面活性剤の使用や極低温での合成など特殊な合成法が必要であった。本発明で得られるメソポーラスシリカは、汎用の界面活性剤を使用しながら細孔径の減少を達成した。さらに、ナノ粒子化を同時に達成できることから、吸着質の拡散を容易にし、効率的な吸着材として用いることができる。また、生成物が任意の形状で合成可能であること、無溶媒条件であるため製造設備、乾燥設備の大幅な小型化が可能であることから、原料コスト、製造コストの両面からのコストダウンが可能である。従来のメソポーラスシリカの一般への普及を妨げていた大きな要因が、コストと成型性の欠如にあったことから、本発明は産業上の観点より多大に寄与することができる。
(2)本発明のメソポーラスシリカを触媒担持体に用いた場合、透明性の高さ、散乱の起こりにくさから、特に光触媒担持体としての効果が高い。これは、従来のような数ミクロンの粉末状ではなく無色透明なモノリス状で得られることと、ナノ粒子化した際にも粒子径および粒子間隙細孔径を従来では達成できなかった10nm以下、最小で5nmまで減少させることに成功した効果による。また、膜状、繊維状など種々の形状に成型が容易であることからも、優位性が高い。さらに、吸着材の場合と同様に、原料、製造コストの低減も普及のために多大に寄与する。
(3)メソポーラスシリカの用途は多岐に渡り、細孔内に種々の分子を内包させることにより、蛍光体や電子材料などの機能性材料に応用が検討されている。また、ナノ空間に閉じ込められた分子が特異的な性質を発現し始めるための細孔径は、内包される分子の直径に近い1nm以下であると予測できる。これらの用途においても、本発明で得られるメソポーラスシリカは、制御可能な細孔径の広さ、成型性の容易さ、透明性、耐衝撃性の高さなどの効果を発揮する。
以下、実施例によって、本発明をさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されない。
得られたメソポーラスシリカについて以下のような装置を用いて評価した。
〔透過電子顕微鏡による観察〕FE−TEM(TECNAI F20:FEI)を用いて、試料の形状、粒子サイズを測定した。観察試料は、粉砕した試料をコロジオン膜付銅メッシュに分散させることで作製した。
〔窒素吸着〕窒素吸着機(Tristar3000、マイクロメリティクス社製)を用い、試料の細孔構造と、比表面積、細孔容積および平均細孔径とを調べた。試料は、直前にVacPrep061(マイクロメリティクス社製)にて、160℃で3時間脱気したものを用いて測定した。窒素吸着機(BELSORP−max、日本ベル社製)を用い、試料のミクロ孔径分布についてGCMC法にて解析した。
〔X線回折〕D8 Advance(Bruker AXS社製)を用いて、試料の微細構造の秩序性を調べた。分析時には、X線を試料に対して1.0〜8.0°という低角度で入射させた。0.1mmの発散スリットを適用し、検出には高速検出器(LynxEye)を用いた。
(実施例1)
〔モノリス状メソポーラスシリカの合成〕
ポリプロピレン製容器にシリカ源としてテトラエトキシシラン(TEOS)8g(0.038mol;1eq)を入れ、続いて界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C16TAC)、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(C8TAB)、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(BzTAC)のいずれかを2.4g(C16TACの場合0.0075mol;0.2eq)を分散させ、撹拌した。ここに、塩酸を用いてpH2に調整した水を2.74g(0.152mol;4eq)入れ、室温で撹拌した。一時間の撹拌でTEOSの加水分解が進行し、界面活性剤が溶解した。この溶液(前駆体溶液)を室温または60℃に保持し、継続して撹拌あるいは静置した。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。図1に示すように、得られたメソポーラスシリカは、無色透明のモノリス状(多孔質状)で得られた。得られたメソポーラスシリカの窒素吸脱着等温線を、図2に示した。C16TACを用いた場合には、等温線はIUPAC(国際純正応用化学連合)の分類のIV型を示し、メソ細孔の存在を示している。C8TAB、C6TAB、BzTACを用いた等温線はIUPACの分類のI型を示し、ミクロ孔の存在を示している。界面活性剤の炭素数と得られたメソポーラスシリカの比表面積、細孔容積、平均細孔径を表1にまとめた。C16TACの場合、BET比表面積は1203m/g、細孔容積は0.58cm/gであった。また、BJH細孔解析の結果から、平均細孔径は2.1nmであることがわかった。C8TAB、C6TAB、BzTACを用いた場合、BET比表面積はそれぞれ、552、617、480m/g、細孔容積はそれぞれ、0.28、0.32、0.25cm/gであった。C8以下の界面活性剤を用いた場合、平均細孔径は2nm未満であり、BJH解析では正確に求められないため、BzTACを除いてGCMC法を用いて解析を行った。GCMC法は細孔径を大きく見積もる傾向があるため、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C12TAB)を用いて従来法で合成したメソポーラスシリカのGCMC解析結果もあわせて図3に示した。BJH解析によれば、C12TABの細孔径は2nmである。ここから、GCMC法が0.5〜0.6nm程度、細孔径を過剰に見積もると仮定すると、C8TABを用いて合成されたメソポーラスシリカの細孔径は1〜1.2nm程度、C6TABを用いた場合にはさらに減少し、0.8〜1nm程度と見積もることができる。
*BJH解析
**GCMC法(補正後)
(実施例2)
〔PEG添加によるモノリス状メソポーラスシリカナノ粒子の合成〕
ポリプロピレン製容器にシリカ源としてTEOS8g(0.038mol;1eq)を入れ、続いてC16TAC、C8TAB、C6TABのいずれかを2.4g(0.0075mol;0.2eq)を分散させ、さらにポリエチレングリコール(平均分子量1000;7.5g)を入れ、撹拌した。ここに、塩酸を用いてpH2に調整した水を2.74g(0.152mol;4eq)入れ、撹拌した。一時間の撹拌でTEOSの加水分解が進行し、界面活性剤およびポリエチレングリコールが溶解した。この溶液を室温あるいは60℃に保持し、撹拌あるいは静置した。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤およびポリエチレングリコールを除去した。図4に示すように、得られたメソポーラスシリカは、白色のモノリス状で得られた。得られたメソポーラスシリカの窒素吸脱着等温線を、図5に示した。等温線は、C16TACではIV型、C8TABおよびC6TABではI型を示し、メソ細孔およびミクロ孔の存在をそれぞれ示している。さらに、相対圧0.8〜0.9付近に急激な吸着量の増加が見られるが、これは、モノリス体を構成するメソポーラスシリカ自体が10〜20nmのナノ粒子となることで粒子間隙に生成した、第2のメソ孔への毛管凝縮によるものである。それぞれのメソポーラスシリカナノ粒子の比表面積、細孔容積、平均粒子間隙細孔直径を表2にまとめた。C16TAC、C8TAB、C6TABそれぞれ、BET比表面積が1670、954、630m/g、細孔容積は1.70、1.96、1.60cm/gであった。BJH細孔解析の結果から、いずれの試料でもナノ粒子間隙由来の平均細孔直径は約40nmであることがわかった。粒子サイズと粒子間隙サイズは、図6に示すように、同試料の透過型電子顕微鏡(TEM)像によっても確認できる。
(実施例3)
実施例2のゲル化前の前駆体溶液を、シリンジで28%のアンモニア水溶液に、それぞれ滴下した。滴下した前駆体溶液は、アンモニア水溶液に入った瞬間に球形を保ったままゲル化した。沈降した球状ゲルを回収し、乾燥させ、600℃で3時間焼成し、界面活性剤およびポリエチレングリコールを除去した。得られたビーズ状メソポーラスシリカの写真を、図7に示した。写真からもわかるように、前駆体溶液中に、ポリエチレングリコールを添加した場合には散乱のため白色球状となった。得られたビーズは、約2〜3mmの球形であった。
(実施例4)
実施例1〜3のゲル化前の前駆体溶液を、スピンコーターでガラス基板状に、それぞれスピンコートした。コートしたガラス基板ごとにアンモニア蒸気中に数十秒曝露し、ゲル化を完了させた。その後乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤およびポリエチレングリコールを除去した。得られた薄膜のうち、実施例1の前駆体溶液を用いた場合を例として、写真を図8に示した。
(実施例5)
実施例1で得られたメソポーラスシリカの吸着材としての性能を評価するために、トルエンの動的吸着能を測定した。測定には動的吸着評価装置(大倉技研社製)を用い、トルエン濃度100ppm、風速1m/秒、風量10.6L/分、サンプル量6.4mL、サンプル管内径15mmで行った。試料は、乾燥空気流通下200℃で約一時間の前処理を行った。図9に、各試料1gあたりのトルエンの動的吸着量、および非特許文献5に記載されている市販シリカゲルQ3と繊維状メソポーラスシリカ(SBA−15 fiber)の動的吸着量をあわせて示した。本発明で得られたC6TABを鋳型とするメソポーラスシリカは、既存のメソポーラスシリカ(SBA−15 fiber)と比較して約2倍のトルエン動的吸着量を有していた。これは、メソポーラスシリカ細孔のミクロ孔化により、従来法では不可能であった大きなミクロ孔容積を有していることに起因する。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、溶媒を用いずにアルコキシシランとカチオン性界面活性剤をそのまま混合し、反応剤として水を添加してpHを調整することで得られる前駆体溶液をゲル化する。水中で形成される界面活性剤の棒状ミセルを鋳型とし、アルコキシシランを加水分解することで、細孔を有する筒状のシリカ(SiO)を形成する。このようなシリカを、ポーラスシリカ(多孔質シリカ)という。ここでは、検討したカチオン性界面活性剤種を増やし、さらに、検証を深めた。
以下、実施例によって、本発明をさらに説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
得られたポーラスシリカについて以下のような装置を用いて評価した。
〔透過電子顕微鏡による観察〕FE−TEM(TECNAI F20:FEI)を用いて、試料の形状、粒子サイズを測定した。観察試料は、粉砕した試料をコロジオン膜付銅メッシュに分散させることで作製した。
〔窒素吸着〕窒素吸着機(Tristar3000、マイクロメリティクス社製)を用い、試料の細孔構造と、比表面積、細孔容積および平均細孔径とを調べた。試料は、直前にVacPrep061(マイクロメリティクス社製)にて、160℃で3時間脱気したものを用いて測定した。窒素吸着機(BELSORP−max、日本ベル社製)を用い、試料のミクロ孔径分布についてGCMC法にて解析した。
〔X線回折〕D8 Advance(Bruker AXS社製)を用いて、試料の微細構造の秩序性を調べた。分析時には、X線を試料に対して1.0〜8.0°という低角度で入射させた。0.1mmの発散スリットを適用し、検出には高速検出器(LynxEye)を用いた。
(実施例A)
〔モノリス状ポーラスシリカの合成〕
ポリプロピレン製容器にシリカ源としてテトラエトキシシラン(TEOS)8g(0.038mol;1eq)を入れ、続いてカチオン性界面活性剤を、0.2〜1.2eq(0.038mol×0.2〜0.038mol×1.2)を分散させ、撹拌した。この時点で、TEOSと界面活性剤とは混じり合わない。即ち、均一な混合液とならない。カチオン性界面活性剤としては、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C18TAC)
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C16TAC)、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C14TAB)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C12TAB)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(C10TAB)、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(C8TAB)、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)、ブチルトリメチルアンモニウムクロライド(C4TAC)の8種類を用いて、それぞれポーラスシリカを合成した。
次いで、上記混合液に、塩酸を用いてpHを0〜2程度に調整した水を2〜4eq(0.038mol×2〜0.038mol×4)程度、添加し、室温で撹拌した。一時間程度の撹拌でTEOSの加水分解が進行し、ほぼ均一な溶液が得られた。この溶液(前駆体溶液)を室温または60℃に保持し、継続して撹拌あるいは静置した。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。これにより、無色透明のモノリス状のポーラスシリカが得られた。
このように、反応系において、高濃度なシリケートイオン溶液を前躯体溶液として用いることで、界面活性剤のミセル形成を溶媒分子などにより阻害させることなく、シリカの合成を促進させることができる。特に、従来困難であった炭素数が小さい(例えば、7以下)の界面活性剤を用いてもミセル形成が可能となり微細な細孔を有するポーラスシリカを形成することが可能となる。
得られたポーラスシリカの窒素吸脱着等温線を、図10に示した。図10においては、上から順に、C18TAC、C16TAC、C14TAB、C12TAB、C10TAB、C8TAB、C6TAB、C4TACを用いた場合のポーラスシリカの窒素吸脱着等温線を示す。図10に示すように、炭素数18〜炭素数14(C18TAC、C16TAC、C14TAB)程度までは、低圧部から高圧部への間において、グラフが屈曲し、傾きが変わる箇所が存在する。このような変化は、毛管凝縮に基づくものであり、IUPACの分類のIV型に対応する。これにより、メソ孔の存在が推測される。これに対し、炭素数12以下(C12TAB、C10TAB、C8TAB、C6TAB、C4TAC)においては、低圧部で急激に吸着量が増加し、その後は、吸着量の変化が少ない。このような変化は、IUPACの分類のI型に対応し、ミクロ孔の存在が推測される。
図11に、得られたポーラスシリカの細孔の解析結果を示す。比表面積(SSA)、細孔容積(TPV)、平均細孔径(D)をまとめた。比表面積(SSA)は、BET法により測定した。平均細孔径は、BJH法、HK法、GCMC法を用いて測定した。平均細孔径については、BJH法よりHK法において、より微細な細孔径の算出(解析)が可能である。また、HK法よりGCMC法において、より微細な細孔径の算出(解析)が可能である。
C18TACを用いたポーラスシリカ(C18)の、BET比表面積は1361m/g、細孔容積は0.96cm/gであった。平均細孔径は、BJH法では、3.00nm、HK法では、3.36nm、GCMC法では、3.27nmであった。
C16TACを用いたポーラスシリカ(C16)の、BET比表面積は1452m/g、細孔容積は0.79cm/gであった。平均細孔径は、BJH法では、2.70nm、HK法では、2.86nm、GCMC法では、2.82nmであった。
C14TABを用いたポーラスシリカ(C14)の、BET比表面積は1234m/g、細孔容積は0.60cm/gであった。平均細孔径は、HK法では2.40nm、GCMC法では、2.26nmであった。
C12TABを用いたポーラスシリカ(C12)の、BET比表面積は1056m/g、細孔容積は0.53cm/gであった。平均細孔径は、HK法では、2.00nm、GCMC法では、1.82nmであった。
C10TABを用いたポーラスシリカ(C10)の、BET比表面積は916m/g、細孔容積は0.45cm/gであった。平均細孔径は、HK法では、1.60nm、GCMC法では、1.58nmであった。
C8TABを用いたポーラスシリカ(C8)の、BET比表面積は810m/g、細孔容積は0.41cm/gであった。平均細孔径は、GCMC法では、1.28nmであった。
C6TABを用いたポーラスシリカ(C6)の、BET比表面積は632m/g、細孔容積は0.32cm/gであった。平均細孔径は、GCMC法では、1.12nmであった。
C4TACを用いたポーラスシリカ(C4)の、BET比表面積は586m/g、細孔容積は0.29cm/gであった。平均細孔径は、GCMC法では、0.92nmであった。
図11に示すように、鎖長に対応した細孔を有するポーラスシリカが得られた。即ち、炭素数が18から4まで低下するにしたがって、平均細孔径(D)が小さくなることが判明した。特に、炭素数が12以下の界面活性剤を用いたポーラスシリカの平均細孔径は、2nm以下となり、ミクロ孔が確認された。また、従来法では、合成が困難であった、炭素数が7以下の界面活性剤を用いたポーラスシリカの合成が可能となり、炭素数が6のC6TABを用いたポーラスシリカの平均細孔径は、GCMC法で、1.12nmであり、また、炭素数が4のC4TABを用いたポーラスシリカの平均細孔径は、GCMC法で、0.92nmであった。このように、炭素数が8未満の界面活性剤を用い、平均細孔径が0.7nm以上1.5nm以下のスーパーミクロ孔を有するポーラスシリカの形成が可能であることが判明した。また、細孔容積も大きく、0.25cm/g以上のポーラスシリカの形成が可能であることが判明した。なお、炭素数が18から4まで低下するにしたがって、BET比表面積が低下し、また、細孔容積が低下している。また、炭素数が18から4まで低下するにしたがって、細孔壁厚さ(Dwall)は、大きくなっている。細孔壁厚さ、即ち、筒を構成する壁の厚さは、X線回折結果などにより算出することができる。細孔壁厚さ(Dwall)は、界面活性剤濃度などの調整により、変化し得るものである。例えば、細孔容積は、細孔壁厚さ(Dwall)を小さくすることで、大きくすることができる。
図12は、炭素数に対する平均細孔径(Dpore;nm)の変化を示すグラフである。これからも、炭素数が18から4まで低下するにしたがって、平均細孔径が小さくなることが分かる。
よって、吸着質(例えば、分子径など)に応じて必要とされる平均細孔径を算出し、当該平均細孔径に合うよう界面活性剤の炭素数を選択することで、細孔径の制御を行うことができる。上記図11および図12においては、細孔径の差が0.1〜0.6nm程度であり、微細な細孔径の調整が可能となる。
即ち、図12のようなカチオン性界面活性剤の疎水部の炭素数と細孔径との相関を調べ、その後、吸着質に応じた細孔径を設計し、上記相関関係から設計された細孔径に対応する炭素数を選択し、選択された炭素数を有するカチオン性界面活性剤を用いてアルコキシシランの加水分解によりポーラスシリカを合成する。
図13は、得られたポーラスシリカの小角X線回折結果である。縦軸は、強度(Intensity;a.u.)、横軸は、2θ(deg)である。上から順に、C18TAC、C16TAC、C14TAB、C12TAB、C10TAB、C8TAB、C6TAB、C4TACを用いた場合のポーラスシリカの小角X線回折結果を示す。いずれのグラフも、ブロードな回折パターンを示していることから、得られたポーラスシリカは、六方細密充填したシリンダー型に対し、筒(細孔)の配列が乱れた、いわゆるワームホール型(状)の構造を有していることが判明した。
アルコキシシランの加水分解時に生成するアルコールを除去することで、配列性を高めることができる。但し、細孔の配列性が低い場合であっても、吸着特性は良好であり、吸着材として効果を十分発揮し得る。よって、製造の簡便性を優先する場合には上記アルコールを必ずしも除去する必要はない。
なお、上記実施例Aにおいては、2〜4eqの水を用いたが、8eqの水を用いても良好に加水分解が進むことが確認された。このように、成型性の向上のためには、溶媒が存在しない(無溶媒である)、言い換えれば、溶媒としての水を含有しないことが要求される。溶媒としての水とは、例えば、アルコキシシランやカチオン性界面活性剤などの溶解や分散に必要な、これらの材料の数十倍等量(例えば、50倍等量以上)の水(溶媒)をいう。これに対し、本発明でいう無溶媒とは、アルコキシシランに対する水の添加量で言えば、反応に最低限必要な2等量(eq)から、その10倍程度、即ち、2等量以上20等量以下の範囲である。また、より好ましくは、2等量以上10等量以下の範囲である。この条件を用いることで、系を高濃度なシリケートイオンと界面活性剤との混合物にすることができ、成型性と界面活性剤ミセルの安定性を確保することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、有機シラン化合物を添加することにより、細孔の微細化を図る。
例えば、溶媒を用いずにアルコキシシランと有機シラン化合物とを混合し、さらに、カチオン性界面活性剤を混合した後、反応剤として水を添加することで得られる前駆体溶液をゲル化する。
添加する水は、アルコキシシランの等電点であるpH2に調整することが望ましい。等電点においては、アルコキシシランの加水分解、およびシリケートイオンのゲル化速度が最も遅いため、界面活性剤のミセル形成のための時間が十分に確保できる。pH0〜1においては加水分解の加速が起こるが、シリケートイオンのゲル化速度が十分に遅いため同様の効果が得られる。そのため、添加する水のpHは、0〜2の範囲に調整する必要がある。pH3以上では加水分解、ゲル化速度が速すぎるため、界面活性剤の溶解とミセル形成のための時間が十分に確保できず、目的とする細孔構造のポーラスシリカを得ることができない。
pH調整のための酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、および酢酸などの有機酸を使用できる。
また、成型性の向上のためには、溶媒が存在しないことが要求される。そのため、アルコキシシランに対する水の添加量は、上記実施の形態2と同様に、2等量以上20等量以下の範囲、より好ましくは、2等量以上10等量以下の範囲とする。この条件を用いることで、系を高濃度なシリケートイオンと界面活性剤との混合物にすることができ、成型性と界面活性剤ミセルの安定性を確保することができる。
カチオン性界面活性剤としては、一般式Rで示される界面活性剤であり、Rが炭素数1〜24のアルキル基、ベンジル基、フェニル基であり、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、XがF、Cl、Br、Iのハロゲンイオンである、4級カチオン性界面活性剤であることが好ましい。また、Rのアルキル基は直鎖でも分岐型でもよい。
本実施の形態では、炭素鎖の短いカチオン性界面活性剤を使用しても、効率的なポーラスシリカの合成ができる。
つまり、この場合、加水分解完了に必要な量の水のみを使用し、溶媒としての水を使用していない。よって、加水分解後は反応系から水がほぼ消失し、水中でミセル形成能が低下する懸念がなくなる。そこで、炭素数8未満の短いカチオン性界面活性剤を使用した場合であっても、ポーラスシリカの合成が可能となるのである。これにより、直径1nm以下の細孔を有するポーラスシリカの形成も可能となり、有害な揮発性有機物(VOC)などの吸着性能に優れたポーラスシリカを得ることができる。
さらに、本実施の形態においては、シリカ源であるアルコキシシランとカチオン性界面活性剤の混合溶液に、有機シラン化合物を添加したので、棒状ミセルの径が小さくなり、細孔径(直径)を小さくすることができる。例えば、反応系に、有機シラン化合物としてトリエトキシビニルシラン(TEVS)をアルコキシシランに対して5%程度(アルコキシランの等量の5%)添加する。
有機シラン化合物の添加量は、1〜50%の範囲で調整可能である。但し、上記5%程度でも細孔の収縮効果は大きい。また、有機シラン化合物の過剰投与は、ミセル形成の阻害要因となり得るため、20%以下、より好ましくは10%以下が好ましい。特に、炭素数の小さい(炭素数8未満の)界面活性剤においては、有機シラン化合物の添加量を小さくすることが好ましく、10%以下が好ましい。
本実施の形態で用いる有機シラン化合物は、シリコンと炭素との結合(Si−C)を有し、アルコキシル基を有する化合物である。Siにアルコキシル基が結合した構成を有するため、アルコキシシランとともにシリカ源となる。有機官能基(即ち、上記炭素を有する基)は、ビニル基など、比較的短い炭素鎖を有する。この方法では、TEVSとミセルとの相互作用により、鋳型となるミセルの径(直径)が、短縮すると考えられる。
上記有機官能基は、合成されたポーラスシリカの細孔壁面や粒子外部に存在し得るが、その後の焼成(熱処理)によって容易に除去することが可能である。もちろん、揮発、熱分解し難い有機官能基を用いた場合は、この有機官能基を内在させたままでもよい。また、有機官能基自身、あるいは他の有機化合物を添加して、表面修飾材として機能させてもよい。このように、有機官能基を除去せず、内在させた方がよい場合には、焼成を行わず、界面活性剤を洗浄除去すればよい。
このように、本実施の形態によれば、界面活性剤の炭素数に対応して調整された細孔の更なる微調整が可能となり、細孔径が0.7〜1.5nm程度のポーラスシリカを形成することができる。また、生成物は、例えば、無色透明のモノリス状(多孔質状)として得ることが可能である。この場合、衝撃などに対する十分な強度を有している。
〔ポーラスシリカの形状加工〕
次いで、ポーラスシリカの形状加工について説明する。例えば、反応容器中で上記前駆体溶液をゲル化し、静置、あるいは撹拌することで、反応容器の形状に依存したモノリス状ポーラスシリカ成型体が製造可能である。反応容器の形状を選択することで、ペレット、球状、ロッド状、ディスク状など、任意の形状に成型することができる。
また、上記前駆体溶液を加熱した液体中、あるいは塩基性の水溶液中に滴下することで、球状のポーラスシリカビーズを生成することができる。この場合、滴下ノズル径、滴下速度、前駆体溶液のゲル化度に依存した粘性を変化させることで、任意のサイズのビーズが成型可能である。また、気泡を内包することで、中空ビーズも製造可能である。塩基性溶液としては、簡便には、アンモニア水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などを使用することができる。
また、上記前駆体溶液をスピンコートあるいはディプコートすることで、薄膜状のポーラスシリカが得られる。製膜後はそのまま乾燥させるか、アンモニア蒸気中に暴露することで、ゲル化を完結することができる。ハニカム等の成型体や紙、布などへのコートにはディプコートが、基板面へのコートにはスピンコート、ディップコートの両者が適用可能である。
また、前駆体溶液をスピナー等のノズルより吹き出させることで、繊維状ポーラスシリカが製造可能である。スピナーより高温で吹き出すことにより空気中でゲル化、あるいは、スピナーよりアンモニア蒸気中に吹き出すことにより、繊維状ポーラスシリカが製造可能である。
〔効果〕
本実施の形態においては、これまでに説明した内容により、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施の形態によれば、R1の炭素数に加え、有機シランの添加により、ポーラスシリカの細孔径制御を行うことができる。これにより、吸着質に応じた細孔径制御を行うことができる。よって、本実施の形態のポーラスシリカによれば、幅広い吸着質に対して効率的な吸着材として用いることができる。一般的に流通系でのガス吸着では吸着質分子直径の1〜1.5倍程度の細孔径を有する吸着材が望まれるが、対象となる有害な吸着質は分子直径が1nm以下であることが多く、それらの吸着質を効率的に吸着するためには1.5nm以下のミクロ孔が望まれる。従来法では、ポーラスシリカの細孔径をミクロ孔まで低下させるためには、高価な界面活性剤の使用や極低温での合成など特殊な合成法が必要であった。本発明で得られるポーラスシリカは、汎用の界面活性剤を使用しながら細孔径の減少を達成した。また、ナノ粒子化することも可能であり、これにより、吸着効率を上昇させることができる。また、生成物が任意の形状で合成可能であり、有用である。また、無溶媒条件であるため製造設備、乾燥設備の大幅な小型化が可能である。これにより、原料コスト、製造コストの両面からのコストダウンが可能である。また、従来のメソポーラスシリカの一般への普及を妨げていた大きな要因が、コストと成型性の欠如にあったことから、これらの不具合を改善することで、産業上の利用を大幅に促進することが可能となる。
(2)本実施の形態のポーラスシリカは、無色透明なモノリス状とすることが可能である。これに対し、従来のような数ミクロンの粉末状では、触媒担持体などへの応用は難しい。よって、本実施の形態のポーラスシリカは、例えば、触媒担持体などに用いることができる。特に、透明性の高さ、散乱の起こりにくさから、光触媒担持体として用いて好適である。また、膜状、繊維状など種々の形状に成型が容易であることからも、優位性が高い。さらに、吸着材として用いる場合と同様に、触媒担持体として用いる場合も、原料コスト、製造コストの低減を図ることができる。
(3)また、本実施の形態のポーラスシリカの用途は多岐に渡り、細孔内に種々の分子を内包させることにより、蛍光体や電子材料などの機能性材料として用いることができる。また、細孔径を1nm以下とした場合、その内部(ナノ空間)に閉じ込められた分子が特異的な性質を発現し始める。これは、細孔径が、内包される分子の直径と近似し、細孔径内に、分子単体、もしくは、数量体の単位で分子が内包されるためと考えられる。このように、本実施の形態で得られるポーラスシリカは、細孔径を微細に、かつ、微細な幅で広範囲に制御可能な点、成型性の容易さ、透明性、耐衝撃性の高さなどの効果を有する。
以下、実施例によって、本実施の形態をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、得られたポーラスシリカについて以下のような装置を用いて評価した。
〔透過電子顕微鏡による観察〕FE−TEM(TECNAI F20:FEI)を用いて、試料の形状、粒子サイズを測定した。観察試料は、粉砕した試料をコロジオン膜付銅メッシュに分散させることで作製した。
〔窒素吸着〕窒素吸着機(Tristar3000、マイクロメリティクス社製)を用い、試料の細孔構造と、比表面積、細孔容積および平均細孔径とを調べた。試料は、直前にVacPrep061(マイクロメリティクス社製)にて、160℃で3時間脱気したものを用いて測定した。窒素吸着機(BELSORP−max、日本ベル社製)を用い、試料のミクロ孔径分布についてGCMC法にて解析した。
〔X線回折〕D8 Advance(Bruker AXS社製)を用いて、試料の微細構造の秩序性を調べた。分析時には、X線を試料に対して1.0〜8.0°という低角度で入射させた。0.1mmの発散スリットを適用し、検出には高速検出器(LynxEye)を用いた。
(実施例B)
〔有機シラン添加による細孔径制御〕
ポリプロピレン製容器にシリカ源としてテトラエトキシシラン(TEOS)8g(0.038mol;1eq)とトリエトキシビニルシラン(TEVS)を8g×5%(0.038mol×5%)とを混合し、続いて界面活性剤を0.2〜1.2等量を添加し、撹拌した。この混合物に、塩酸を用いてpH0〜2に調整した水を2〜4等量の範囲で添加し、室温で撹拌した。1時間程度の撹拌でTEOSの加水分解が進行し、ほぼ均一な溶液が得られた。さらに、この溶液(前駆体溶液)を室温または60℃に保持し、継続して撹拌あるいは静置した。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤を除去した。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤である、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(C8TAB)、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)、ブチルトリメチルアンモニウムクロライド(C4TAC)の3種類を用いて、それぞれについてポーラスシリカを形成した。
図14に、得られたポーラスシリカの細孔の解析結果を示す。比表面積(SSA)、細孔容積(TPV)、平均細孔径(D)および細孔壁厚さ(Dwall)をまとめた。比表面積(SSA)は、BET法により測定した。平均細孔径は、GCMC法を用いて測定した。細孔壁厚さ、即ち、筒を構成する壁の厚さは、X線回折結果などにより算出することができる。
C8TABを用いたポーラスシリカ(C8V)の、BET比表面積は519m/g、細孔容積は0.25cm/gであった。平均細孔径は、0.99nmであった。細孔壁厚さは、2.37nmであった。
C6TABを用いたポーラスシリカ(C6V)の、BET比表面積は582m/g、細孔容積は0.25cm/gであった。平均細孔径は、0.82nmであった。細孔壁厚さは、2.00nmであった。
C4TACを用いたポーラスシリカ(C4V)の、BET比表面積は355m/g、細孔容積は0.16cm/gであった。平均細孔径は、0.77nmであった。細孔壁厚さは、1.98nmであった。
これに対し、上記実施例Aにおいては、C8TABを用いた場合(図11参照)、平均細孔径は、1.28nmであるため、有機シラン化合物の添加により、平均細孔径の、1.28nmから0.99nmへの縮小効果が確認された。細孔径の差は、0.29nmである。
同様に、上記実施例Aとの比較において、C6TABを用いた場合(図11参照)、有機シラン化合物の添加により、平均細孔径の、1.12nmから0.82nmへの縮小効果が確認された。細孔径の差は、0.30nmである。
また、C4TACを用いた場合(図11参照)、有機シラン化合物の添加により、平均細孔径の、0.92nmから0.77nmへの縮小効果が確認された。細孔径の差は、0.15nmである。
このように、有機シラン化合物の添加により、ポーラスシリカの細孔径の微調整が可能であることが分かった。特に、炭素数が8の界面活性剤を用いても、平均細孔径が0.7nm以上1.5nm以下のスーパーミクロ孔を有するポーラスシリカの形成が可能であることが判明した。また、上記縮小効果から推測すれば、炭素数10や12の界面活性剤を用いても、有機シラン化合物の添加により、平均細孔径が0.7nm以上1.5nm以下のスーパーミクロ孔を有するポーラスシリカの形成される可能性が高い。
図15は、得られたポーラスシリカの小角X線回折結果である。縦軸は、強度(Intensity;a.u.)、横軸は、2θ(deg)である。上から順に、C8TAB、C6TAB、C4TACを用いた場合のポーラスシリカの小角X線回折結果を示す。いずれのグラフも、ブロードな回折パターンを示していることから、得られたポーラスシリカは、六方細密充填したシリンダー型に対し、筒(細孔)の配列が乱れた、いわゆるワームホール型(状)の構造を有していることが判明した。
図16は、実施例Aおよび実施例Bで得られたポーラスシリカにおける平均細孔径の変化を示すグラフである。実施例Bで得られたポーラスシリカについては、炭素数(n)を示すCnの後にVを付けて表示してある。即ち、実施例Bで炭素数8のC8TABを用いたポーラスシリカは、「C8V」と表示してある。
これからも、炭素数が低下するにしたがって、平均細孔径が小さくなることに加え、有機シラン化合物の添加により生成した、C8V、C6V、C4Vが、C6〜C4の間に位置し、さらに細かく細孔径の調整が可能となることが分かる。
即ち、吸着質(例えば、分子径など)に応じて必要とされる平均細孔径を算出し、当該平均細孔径に合うよう界面活性剤の炭素数を選択する、または、有機シラン化合物を添加してポーラスシリカの形成を行うことで、細孔径の微細な制御を行うことができる。例えば、サブナノメートルのオーダー、言い換えれば、m×10−10(mは、1〜9)の単位で細孔径の微細な制御を行うことができる。
(実施の形態4)
本実施の形態4では、実施の形態1と同様に、ポーラスシリカのナノ粒子化を図る。即ち、反応系に、水溶性高分子を添加するとともに、塩基性水溶液(塩基性溶液、pHが7より大きいアルカリ液)と接触させることで、ポーラスシリカのナノ粒子化が可能となる。ここでは、合成されたポーラスシリカの形状をさらに詳細に解析し、検証を深めた。
水溶性高分子には、ポリエチレングリコール(PEG)のような安価で汎用の高分子を用いることができる。ポリエチレングリコールの平均分子量には制限はないが、数百から数千が好ましい。水溶性高分子としては、上記PEGの他、ポリエチレンオキシドなどを用いてもよい。
PEGのような水溶性高分子は、シリケートイオンにも可溶であり、均一な溶液を生成する。
本実施の形態においては、粒子径(直径)10〜20nmのポーラスシリカ粒子を製造可能である。また、本実施の形態においては、生成物をナノ粒子(粒状物)が互いに結合した集合体として得ることができる。ナノ粒子自体は集合体を形成しているが、粒子間隙の細孔は互いに連結しているため新たなメソ細孔として機能する。粒子間隙の平均細孔径は、例えば50nm程度である。ナノ粒子の集合体は白色のモノリス状(ひとつなぎの塊状)として得られ、衝撃に対して十分な強度を有している。
(実施例C)
〔ポーラスシリカナノ粒子の合成〕
ポリプロピレン製容器にシリカ源としてTEOS8g(0.038mol;1eq)を入れ、界面活性剤を0.2〜1.2等量を添加した後、さらに、平均分子量1000のPEGを7.5g添加し、撹拌した。この混合物に、塩酸を用いてpH0〜2に調整した水を2〜4等量の範囲で添加し、室温で撹拌した。1時間の撹拌でTEOSの加水分解が進行し、界面活性剤およびポリエチレングリコールが溶解したほぼ均一な溶液が得られた。この溶液(前躯体溶液)を室温あるいは60℃に保持し、撹拌あるいは静置した。12時間から数日でゲル化が完了し、溶液全体が目視で無色透明のゲル状となった。このゲルを60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤およびポリエチレングリコールを除去した。
カチオン性界面活性剤としては、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C18TAC)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C16TAC)、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C14TAB)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C12TAB)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(C10TAB)、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(C8TAB)、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド(C6TAB)、ブチルトリメチルアンモニウムクロライド(C4TAC)のいずれかを用いることができる。
ここで、上記工程のように、単にゲル化、焼成を行っただけでは、炭素数16以上の界面活性剤を用いた場合は、ナノ粒子の集合体よりなるモノリス状のポーラスシリカが得られるのに対し、炭素数16未満や臭化物塩の界面活性剤においては、アモルファス状のポーラスシリカが得られるにすぎなかった。
そこで、上記前躯体溶液のうち、C6TABを用いて形成した前躯体溶液を、塩基性水溶液に滴下した。塩基性水溶液としては、28%のアンモニア水溶液を用いた。pHは約13である。滴下された略粒状の前躯体溶液は、ゲル状となり、アンモニア水溶液中に沈殿した。得られたゲルを、60℃で乾燥、600℃で3時間焼成し、界面活性剤およびポリエチレングリコールを除去した。得られたポーラスシリカは、無色のビーズ状で得られた。ビーズ状は、上記前躯体溶液の滴下形状に対応する。
塩基性水溶液としては、上記アンモニア水溶液の他、アミン類の水溶液などを用いることができる。これらの塩基は、乾燥、焼成過程での除去が容易で、塩基性水溶液として用いて好適である。また、シリカは、pH14以上の高pH領域で、溶解が始まるため、高pH領域の塩基性水溶液を用いる場合には、反応後(ゲル化後、重合後)速やかに溶液外に取り出すことが好ましい。また、反応系中に、アルカリ金属やアルカリ土類金属のイオンが共存するとシリカの溶解速度が高まるため、水酸化ナトリウムなどの水溶液よりも上記アンモニアやアミン類を用いた塩基性水溶液を用いることがより好ましい。
C16TACを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子と、C6TABを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子の窒素吸脱着等温線を図17に示す。C16TACを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子(C16)は、単にゲル化、焼成を行ったものである。また、C6TABを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子(C6)は、塩基性水溶液中でゲル化を図ったものである。
C16においては、(a)部において、グラフが屈曲し、傾きが変化している。前述したように、このような(a)部は、IUPACの分類のIV型に対応するもので、メソ孔の存在が推測される。さらに、C16においては、(b)部においても、グラフの屈曲部が存在し、ヒステリシスループも確認できる。この(b)部も、上記IV型に対応するもので、より大きいメソ孔の存在も推測される。
C6においては、(c)部において、急激な吸着量の増加が確認される。前述したように、このような(c)部は、IUPACの分類のI型に対応するもので、ミクロ孔の存在が推測される。さらに、C6においては、(d)部において、グラフの屈曲部が存在し、ヒステリシスループも確認できる。このような(d)部は、上記IV型に対応するもので、メソ孔の存在も推測される。
図18は、C16TACを用いて合成したポーラスシリカナノ粒子の細孔径分布を示すグラフである。平均細孔径は、BJH法を用いて測定した。グラフから明らかなように、当該ポーラスシリカにおいては、2つの細孔径が確認される。即ち、約2nm程度の界面活性剤に由来するメソ孔と、約20〜50nm程度の粒子間隙に対応するメソ孔との2つの細孔を有するポーラスシリカの構成が確認できた。
図19は、C6TABを用いて合成したポーラスシリカの細孔径分布を示すグラフである。平均細孔径は、GCMC法を用いて測定した。グラフから明らかなように、当該ポーラスシリカナノ粒子においては、2つの細孔径が確認される。即ち、約1nm程度の界面活性剤に由来するミクロ孔と、約5〜10nm程度の粒子間隙に対応するメソ孔との2つの細孔を有するポーラスシリカの構成が確認できた。
以上詳細に説明したように、単にゲル化、焼成を行っただけでは、炭素数16以上の界面活性剤を用いた場合は、ナノ粒子の集合体よりなるモノリス状のポーラスシリカが得られるのが、炭素数16未満の界面活性剤においては、アモルファス状のポーラスシリカが得られるにすぎない。これに対し、塩基性水溶液に前躯体溶液を接触させた場合には、炭素数16未満の界面活性剤を用いた場合でも、ナノ粒子化が可能となる。
上記現象は次のように考察できる。pH0〜2の前駆体溶液中では、シリケートイオンは中性、あるいは正に帯電している。よって、シリケートイオンは、ポリエチレングリコールとは水素結合で相互作用し、界面活性剤とはカウンターアニオンを介して静電相互作用している。炭素鎖の短い、即ち、炭素数の少ない界面活性剤の場合、ミセル形成能が低いため、シリカの重合に伴う界面活性剤の集合、およびそれに伴うポリエチレングリコールの系外への相分離を十分に行うことができない。そのため、アモルファス状のシリカのみが得られる。一方、塩基性水溶液への滴下により系のpHを急激に上昇させた場合には、シリケートイオンは負に帯電し、カチオン性界面活性剤との間には、カウンターアニオンを介さない、より強固な静電相互作用が生じる。また、ポリエチレングリコールとの間の水素結合は解消され、逆に静電反発により相分離を誘導する。この二つの現象は界面活性剤のミセル形成とポリエチレングリコールの相分離を誘導し、界面活性剤の鎖長に対応した細孔を有したポーラスシリカのナノ粒子化を可能とすると考えられる。
(実施の形態5)
本実施の形態5では、実施例Aおよび実施例Bで合成したポーラスシリカの吸着性能について検討した。吸着質としては、トルエンを用いた。
(実施例D)
実施例Aおよび実施例Bで合成したポーラスシリカ(試料)のトルエンの動的吸着能を測定した。測定には動的吸着評価装置(大倉技研社製)を用い、トルエン濃度100ppm、風速1m/秒、風量10.6L/分、サンプル量6.4mL、サンプル管内径15mmで行った。試料は、乾燥空気流通下200℃で約一時間の前処理を行った。図20に、各試料1gあたりのトルエンの動的吸着量(Vads)、および非特許文献5に記載されている市販の活性炭(Activated carbon)と繊維状メソポーラスシリカ(SBA−15 fiber)の動的吸着量をあわせて示した。また、市販シリカゲルQ3の動的吸着量についても同様に測定した。
実施例Aで検討したC16TACを用いて合成したポーラスシリカ(C16)、C8TACを用いて合成したポーラスシリカ(C8)およびC6TACを用いて合成したポーラスシリカ(C6)については、炭素数が小さくなるにしたがって吸着量が増加していることが判明した。
また、実施例Bで検討したC8TACを用い、有機シランを添加して合成したポーラスシリカ(C8V)およびC6TACを用いて合成したポーラスシリカ(C6V)については、上記C16、C8およびC6よりも、さらに吸着量が増加し、活性炭に匹敵する吸着性能を有することが分かった。
なお、図中のカッコ内は、平均細孔径を示す。このように、細孔径が小さいほど、トルエンの吸着性能が向上していることがわかる。但し、吸着性能は、吸着質と大きさと細孔径との整合性により変化するものであり、如何なる物質に対しても細孔径が小さいほど吸着性能が向上するとは限らない。よって、上記実施の形態においても詳細に説明したとおり、吸着質に応じた細孔を有するポーラスシリカを設計することで、吸着性能を向上させることができる。
ここで、本発明のポーラスシリカは、SiOを主成分とするため、活性炭のような発火の危険性が少ない。特に、有機溶剤を吸着する場合には、発火性が高まるが、本発明のポーラスシリカは、そのような危険性を低減できる。よって、吸着材として用いて好適である。また、本発明のポーラスシリカは、活性炭よりも吸着質の脱着性が優れる。よって、吸着質を、例えば、熱処理即や溶剤処理などで脱着させた後、吸着材として再利用することができる。また、脱着性を利用し、吸着質の回収や再利用も容易に行うことができる。
本発明は、例えば、炭素数2〜7の疎水部を有するカチオン性界面活性剤を鋳型に用い、無溶媒条件で得られる細孔直径2nm未満のメソポーラスシリカ、水溶性高分子を添加あるいは界面活性剤を過剰添加することにより得られるメソポーラスシリカナノ粒子、メソポーラスシリカ前駆体溶液を成型して得られるモノリス状、ビーズ状、薄膜状、繊維状のメソポーラスシリカ、およびそれらの製法に有効に利用することができる。

Claims (8)

  1. アルコキシシランの加水分解により多孔質シリカを製造する方法であって、
    (A)界面活性剤およびアルコキシシランを混合し、混合液を形成する工程と、
    (B)前記混合液に水を添加することにより、前記アルコキシシランの加水分解反応を行わせる工程と、を有し、
    前記(A)工程において、前記混合液はアルコール溶媒および水溶媒のいずれも含まず、
    前記(B)工程において、
    前記水の量は、前記アルコキシシランと前記水との化学量論比をアルコキシシラン:水=1:nとした場合、nが20以下であり、
    前記水のpHは、pHを0〜2とした、
    条件下における前記加水分解反応により、前記界面活性剤のミセルを鋳型として、シリカを形成する多孔質シリカの製造方法であって、
    前記界面活性剤、前記アルコキシシランおよび前記水に加え、水溶性高分子の存在下において、前記アルコキシシランを加水分解し、
    前記界面活性剤、前記アルコキシシラン、前記水および前記水溶性高分子を有する混合液を、塩基性溶液と接触させることを特徴とする多孔質シリカの製造方法。
  2. 請求項1に記載の多孔質シリカの製造方法において、疎水部の炭素数が2〜7であるカチオン性界面活性剤のミセルを鋳型としてシリカを形成することにより、前記炭素数に対応する細孔を有する多孔質シリカを形成することを特徴とする多孔質シリカの製造方法。
  3. 請求項に記載の多孔質シリカの製造方法において、前記細孔の平均細孔直径は、0.7以上1.5nm以下であることを特徴とする多孔質シリカの製造方法。
  4. 請求項1に記載の多孔質シリカの製造方法において、カチオン性界面活性剤の疎水部の炭素数と細孔径との相関を調べる工程と、吸着質に応じた細孔径を設計する工程と、前記相関から設計された前記細孔径に対応する炭素数を選択する工程と、選択された前記炭素数を有する前記カチオン性界面活性剤の存在下にて前記アルコキシシランを加水分解することを特徴とする多孔質シリカの製造方法。
  5. 請求項に記載の多孔質シリカの製造方法において、前記塩基性溶液はアンモニア水溶液であることを特徴とする多孔質シリカの製造方法。
  6. 請求項に記載の多孔質シリカの製造方法において、前記混合液を、前記塩基性溶液に滴下させることを特徴とする多孔質シリカの製造方法。
  7. 請求項に記載の多孔質シリカの製造方法において、前記水溶性高分子は、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドであることを特徴とする多孔質シリカの製造方法。
  8. 請求項に記載の多孔質シリカの製造方法において、前記多質シリカは、多質シリカの粒子の集合体であって、前記粒子を構成する多孔質シリカの第1細孔の平均細孔直径は、前記0.7以上1.5nm以下であり、前記粒子間の第2細孔の平均細孔直径は、10以上50nm以下であることを特徴とする多孔質シリカの製造方法。
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