JP5486164B2 - メソポーラスシリカ粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、メソポーラスシリカ粒子の製造方法、及び香料を保持した複合メソポーラスシリカ粒子に関する。
多孔質構造をもつ物質は高い表面積を有するため、触媒担体、酵素や機能性有機化合物等の固定化担体として広く使用されている。特に、多孔質構造を形成する細孔の細孔径分布がシャープである場合、分子篩としての作用が発現し、構造選択性を有する触媒担体の利用や徐放性担体、物質分離剤への応用が可能となる。かかる応用に適したメソ細孔径への調整方法が求められており、とりわけ均一で微細な細孔を有する多孔体での細孔径の調整方法が求められている。
メソポーラスシリカの細孔径の調整は、一般にメソポーラスシリカの細孔形成時に用いられる細孔径のテンプレート(鋳型という場合もある)として働く剤の種類を選択する等により行うことができる。例えば、細孔径のテンプレートとしてポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロック共重合体を用い、その組成や反応温度を変えることにより、細孔径を約5nm〜十数nmまで調整できる。一方、細孔径が約8nm以下のメソポーラスシリカを調製する場合は、テンプレートとして第四級アンモニウム塩のアルキル鎖長等を変えることにより細孔径を調整できる。例えば、特許文献1には、炭素数4〜8の短鎖アルキル基を有する第四級アンモニウム塩を鋳型として用いて、細孔径1.0〜1.7nmのメソポーラスシリカを製造する方法が開示されている。
また、非特許文献1には、メソポーラスシリカに有機基を有する加水分解性シリカ源(例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を反応させることにより、細孔径を狭める方法が開示されている。しかし、有機基を有する加水分解性シリカ源を反応させると、表面の性質(親疎水性)が変化するため、用途によっては好ましくない。
一方、表面性質を変化させないために、有機基を有しない加水分解性シリカ源(例えば、テトラエトキシシラン)を用いて、細孔径を狭める方法(非特許文献2)も知られているが、CVD等の気相反応を利用するため、製造容易性、コスト等の観点から工業化に不利である。
特許文献2には、細孔径8nm程度のメソポーラスシリカを調製した後、粒子径5nm程度のシリカゾルを用いて、該細孔の開口を塞ぐようにして、細孔径2〜20nmの中空シリカゾルを得る方法が開示されており、その際に、該開口部とシリカゾルを繋ぐバインダーとして、アルコキシシランを用いることが記載されている。しかしながら、特許文献2の方法では、アルコキシシランはシリカゾルのバインダーとして少量添加されているだけであり、メソポーラスシリカではないシリカゾルが多量に共存するため、粒子形状の変化や性能低下が避けられない。
以上より、メソポーラスシリカの細孔径をより厳密に制御する方法、更には細孔径が2nm以下、特には1.4nm以下の領域において、細孔径の微細な制御方法が求められている。
A.Sayari他、Chem.Mater.、第13巻、第3151頁(2001年) X.S.Zhao他、Chem.Commun.、第1391頁(1999年) 特開2006−347866号公報 特開2006−342023号公報
本発明は、利用目的に適したメソ細孔径を微細に制御するためのメソポーラスシリカ粒子の製造方法、特には、1.4nm未満のメソ細孔を有するメソポーラスシリカ粒子の簡便な製造方法、及び香料を保持した複合メソポーラスシリカ粒子を提供することを課題とする。
本発明者らは、メソポーラスシリカと、有機基を有しない特定構造の珪素化合物の2成分のみを実質的に液相反応させることにより、メソポーラスシリカの細孔を調整でき、利用目的に適した細孔径を有するメソポーラスシリカ粒子を簡便に製造しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)メソポーラスシリカ(A)と下記一般式(I)で表される珪素化合物(B)を液相反応させる工程を含む、メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
Figure 0005486164
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲノ基を示す。)
(2)上記(1)の方法により得られたメソポーラスシリカ粒子の内部に、香料を保持してなる複合メソポーラスシリカ粒子。
本発明によれば、利用目的に適したメソ細孔径を微細に制御するためのメソポーラスシリカ粒子の製造方法、特には、1.4nm未満のメソ細孔を有するメソポーラスシリカ粒子の簡便な製造方法、及び得られたメソポーラスシリカ粒子の内部に香料を保持した複合メソポーラスシリカ粒子を提供することができる。
本発明のメソポーラスシリカ粒子の製造方法は、メソポーラスシリカ(A)と下記一般式(I)で表される珪素化合物(B)を液相反応させる工程を含むことを特徴とする。
Figure 0005486164
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲノ基を示す。)
[メソポーラスシリカ(A)]
本発明で用いられるメソポーラスシリカ(A)は、特に制限されないが、その平均細孔径が1〜10nmであるものが好ましく、1.5〜10nmであるものがより好ましい。メソポーラスシリカ(A)の細孔径を調整するためには、メソポーラスシリカ(A)の合成時に、細孔径のテンプレートとして働く界面活性剤のアルキル鎖長、水溶性高分子化合物の親水性と親油性の比率等を適宜調整することにより行うことができる。特に平均細孔径が約5nm以上のメソポーラスシリカを調製するためには、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロック重合からなる非イオン性高分子化合物を用いることが好ましく、平均細孔径が8nm以下のメソポーラスシリカを得るためには、第四級アンモニウム塩を用いることが好ましい。
メソポーラスシリカ粒子の形状は、特に制限されず、不定形、球状等でもよく、それらの混合物でもよい。例えば、徐放性担体として利用する場合、性能発現の観点から、球状が好ましく、外殻がメソ細孔構造を持ち内部が中空の球状粒子である中空メソポーラスシリカ(A−1)(以下、「中空シリカ粒子(A−1)」ともいう)や、内部が中空ではない粒子、特には球状粒子であって、その中心部から放射状にメソ細孔が配列している球状粒子である中実メソポーラスシリカ(A−2)(以下、「中実シリカ粒子(A−2)」ともいう)がより好ましく、中空シリカ粒子(A−1)が更に好ましい。
(中空シリカ粒子(A−1))
中空シリカ粒子(A−1)の製造方法に特に制限はないが、下記工程A〜Cを含む方法によれば、効率的に製造することができ好ましい。
工程A:ポリマー粒子(a−1)を0.1〜50グラム/L、又は疎水性有機化合物(a−2)を0.1〜100ミリモル/Lと、第四級アンモニウム塩、特には下記一般式(1)及び(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上(b)を0.1〜100ミリモル/L、及び加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源(c)を0.1〜100ミリモル/L含有する水溶液を調製する工程。
[R5(CH33N]+- (1)
[R56(CH32N]+- (2)
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
工程B:工程Aで得られた水溶液を10〜100℃の温度で撹拌して、シリカから構成される外殻を有し、かつ核にポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を有するプロトコア−シェル粒子の水分散液を調製する工程
工程C:工程Bで得られたプロトコア−シェル粒子を分散媒から分離し、焼成する工程
以下工程A、B及びCについて説明する。
[工程A]
[ポリマー粒子(a−1)]
工程Aで用いられるポリマー粒子(a−1)としては、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー及び両性ポリマーから選ばれる1種以上のポリマーの粒子が好ましく、実質的に水不溶性のポリマーが好ましい。実質的に水不溶性のポリマーとは20℃の水への溶解度が1質量%以下のものを意味する。
ポリマー粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法粒子径分布測定装置によって測定した体積換算平均粒子径が、好ましくは0.02〜1μm、より好ましくは0.05〜0.9μm、更に好ましくは0.1〜0.8μm、特に好ましくは0.12〜0.7μmであることが望ましい。またポリマー粒子は、好ましくは粒子全体の80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が平均粒子径±30%以内の粒子径を有しており、非常に揃った粒子径の粒子群から構成されていることが望ましい。
[カチオン性ポリマー]
カチオン性ポリマーとしては、連続相を水系とする媒体中に、陽イオン界面活性剤の存在下で、ポリマーエマルジョンとなって分散可能であるポリマーが好ましく、陽イオン界面活性剤の存在下でカチオン性モノマー、特にはカチオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を、公知の方法で乳化重合して得られるものが好ましい。
カチオン性モノマーとしては、アミノ基を有する単量体の酸中和物、又は該単量体を4級化剤で4級化した第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
カチオン性モノマーの具体例としては、ジアルキルアミノ基又はトリアルキルアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、ジアルキルアミノ基又はトリアルキルアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートが最も好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を意味する。
カチオン性ポリマーは、前記カチオン性モノマー由来の構成単位を含有するが、カチオン性モノマー構成単位以外に、疎水性モノマー、特にはアルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー等の疎水性モノマーに由来する構成単位を含有することがより好ましい。その好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数3〜22、より好ましくは炭素数3〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレンもしくは2−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアリールエステル、炭素数6〜22の芳香族基含有ビニルモノマー、又は酢酸ビニル等が挙げられる。これらの中ではアルキル(メタ)アクリレート、スチレンが最も好ましい。
なお、疎水性モノマーとは、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成する重合性の有機化合物を意味する。疎水性モノマーは、LogP値が0以上、好ましくは0.5以上、また25以下の化合物が挙げられる。ここで、LogPとは、化学物質の1−オクタノール/水の分配係数の対数値を意味し、SRC's LOGKOW / KOWWIN Programにより、フラグメントアプローチで計算された数値をいう。具体的には、化学物質の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数を積算して求められる(Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92参照)。
カチオン性ポリマーを構成するカチオン性モノマー構成単位は少量でよく、カチオン性ポリマーを構成する殆どが疎水性モノマー由来の構成単位によって構成されていてもよい。カチオン性ポリマーに占めるカチオン性モノマー構成単位と疎水性モノマー由来の構成単位の合計量は、70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。特に〔(カチオン性モノマー由来の構成単位)/(疎水性モノマー由来の構成単位)〕の質量比は、粒子形成性の観点から、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは0.002〜0.3、特に好ましくは0.003〜0.1である。
[ノニオン性ポリマー]
ノニオン性ポリマーは、水溶液中で荷電を有しないポリマーを意味する。ノニオン性ポリマーは、荷電を有しないモノマーすなわちノニオン性モノマーを由来とするポリマーであり、公知の乳化重合法、無乳化剤重合法等によりノニオン性モノマーを重合して得ることができる。
ノニオン性モノマーとしては、カチオン性ポリマーの説明で挙げた疎水性モノマー(段落〔0017〕)を挙げることができる。その好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数3〜22、より好ましくは炭素数3〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、及びスチレンから選ばれる一種以上が挙げられる。
ノニオン性ポリマーの具体例としては、ポリスチレン、エチルアクリレート・エチルメタクリレート共重合体、エチルアクリレート・メチルメタクリレート共重合体、オクチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・ブチルアクリレート・オクチルアクリレート共重合体、酢酸ビニル・スチレン共重合体、ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ブチルアクリレート、ポリスチレンアクリル酸樹脂等が挙げられる。
カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー及び両性ポリマーの中では、カチオン性ポリマー及びノニオン性ポリマーが好ましく、中空シリカ粒子(A−1)の形成し易さの観点から、カチオン性ポリマーがより好ましい。
ポリマーは中空シリカ粒子(A−1)の製造上、実質的に水に溶解しないものが用いられ、そのために疎水性モノマーの重合比率を高める方法、架橋する方法等を採用できる。
かかるポリマーの好適例として、アルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる疎水性モノマーとカチオン性基を有する(メタ)アクリレートとのコポリマー、並びにアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる一種以上の疎水性モノマーからなるノニオン性ポリマーを挙げることができる。
上記のポリマーは、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
ポリマー粒子の形状、形態は特に制限はなく、複合シリカ粒子の使用目的に応じて、粒子の大きさを変えたり、真球状、卵状等に形成することができる。ポリマー粒子の大きさや粒径分布を変えることで、中空シリカ粒子(A−1)の粒径や中空部分の大きさを適宜調製することができる。
[疎水性有機化合物(a−2)]
本発明において、疎水性有機化合物(a−2)とは、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成する化合物を意味する。好ましくは、前記の第四級アンモニウム塩の存在下で分散可能な化合物である。このような疎水性有機化合物としては、LogP値が1以上、好ましくは2〜25の化合物が挙げられる。
(c)疎水性有機化合物としては、例えば、炭化水素化合物、エステル化合物、炭素数6〜22の脂肪酸、炭素数6〜22のアルコール及びシリコーンオイル等の油剤や、香料、農薬、医薬等の各種基材等を挙げることができる。
疎水性有機化合物を用いる場合、中空シリカ粒子(A−1)の粒径や中空部分の大きさは、疎水性有機化合物の液滴の大きさに影響されるので、疎水性有機化合物の融点、反応温度、攪拌速度、使用する界面活性剤等により適宜調整することができる。
[第四級アンモニウム塩(b)]
第四級アンモニウム塩(b)は、メソ細孔の形成とポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)の分散のために用いられる。
前記一般式(1)及び(2)におけるR5及びR6は、炭素数4〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
一般式(1)及び(2)におけるXは、高い結晶性を得るという観点から、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン等の1価陰イオンから選ばれる1種以上である。Xとしては、より好ましくはハロゲンイオンであり、更に好ましくは塩素イオン又は臭素イオンであり、特に好ましくは臭素イオンである。
一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
これらの第四級アンモニウム塩(b)の中では、規則的なメソ細孔を形成させる観点から、特に一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましく、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド又はドデシルトリメチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。
また、第四級アンモニウム塩(b)として、上記以外に、塩化セチルピリジニウムなどのピリジニウム塩等も用いることができる。
[シリカ源(c)]
シリカ源(c)は、アルコキシシラン等の加水分解によりシラノール化合物を生成するものであり、下記一般式(3)〜(7)で示される化合物を挙げることができる。
SiY4 (3)
7SiY3 (4)
7 2SiY2 (5)
7 3SiY (6)
3Si−R8−SiY3 (7)
(式中、R7はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R8は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。)
より好ましくは、一般式(3)〜(7)において、R7がそれぞれ独立して、水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基であり、具体的には炭素数1〜22、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは炭素数8〜16のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基であり、R8が炭素数1〜4のアルカンジイル基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等)又はフェニレン基であり、Yが炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、又はフッ素を除くハロゲン基である。
シリカ源(c)の好適例としては、次の化合物が挙げられる。
・一般式(3)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であるシラン化合物。
・一般式(4)又は(5)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であり、R7がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるトリアルコキシシラン又はジアルコキシシラン。
一般式(6)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であり、R8がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるモノアルコキシシラン。
・一般式(7)において、Yがメトキシ基であって、R8がメチレン基、エチレン基又はフェニレン基である化合物。
これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,1,1−トリフルオロプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
工程Aにおける水溶液中のポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)(以下、両者を総称して「(a)成分」ともいう)、第四級アンモニウム塩(b)、及びシリカ源(c)の含有量は次のとおりである。
(a−1)成分の含有量は、好ましくは0.1〜50グラム/L、より好ましくは0.3〜40グラム/L、特に好ましくは0.5〜30グラム/Lである。
(a−2)成分の含有量は、0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lである。
(b)成分の含有量は、好ましくは0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lであり、(c)成分の含有量は、好ましくは0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lである。
(a)〜(c)成分を含有させる順序は特に制限はない。例えば、(i)水溶液を撹拌しながら(a)成分の懸濁液、(b)成分、(c)成分の順に投入する、(ii)水溶液を撹拌しながら(a)成分の懸濁液、(b)成分、(c)成分を同時に投入する、(iii)(a)成分の懸濁液、(b)成分、(c)成分の投入後に撹拌する、等の方法を採用することができるが、これらの中では(i)の方法が好ましい。
(a)〜(c)成分を含有する水溶液には、プロトコア−シェル粒子の形成を阻害しない限り、その他の成分として、メタノール等の有機化合物や、無機化合物等の他の成分を添加してもよく、前記のように、シリカや有機基以外の他の元素を担持したい場合は、それらの金属を含有するアルコキシ塩やハロゲン化塩等の金属原料を製造時又は製造後に添加することもできる。
[工程B]
工程Bはプロトコア−シェル粒子の水分散液を調製する工程である。工程Aで得られる水溶液を10〜100℃、好ましくは10〜80℃の温度で所定時間撹拌した後、静置することで、ポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)の表面に、第四級アンモニウム塩(b)とシリカ源(c)によりメソ細孔が形成され、内部にポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含したプロトコア−シェル粒子を析出させることができる。撹拌処理時間は温度によって異なるが、通常10〜80℃で0.1〜24時間でプロトコア−シェル粒子が形成される。なお、この時点で得られるプロトコア−シェル粒子のメソ細孔には製造の際に用いた界面活性剤が詰った状態にある。
得られたプロトコア−シェル粒子は、水中に懸濁した状態で得られる。プロトコア−シェル粒子を懸濁液から一度分離して、洗浄してもよく、また後述する陽イオン界面活性剤を除去する操作を行ってもよい。懸濁液からプロトコア−シェル粒子を分離する方法としては、ろ過法、遠心分離法等を採用することができる。
なお、工程Bで得られたプロトコア−シェル粒子のメソ細孔内の陽イオン界面活性剤を除去したい場合は、プロトコア−シェル粒子を酸性溶液と1回又は複数回接触させることにより陽イオン界面活性剤等を除去することができる。用いる酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;陽イオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液が挙げられるが、塩酸が特に好ましい。pHは通常1.5〜5.0に調整される。
上記の方法により細孔から界面活性剤が除去された粒子は、メソ細孔構造を表面に有し、ポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含するコア−シェル粒子である。
[工程C]
工程Cでは、工程Bで得られたプロトコア−シェル粒子を分散媒から分離し、乾燥ないし高温で処理した後、電気炉等で好ましくは350〜800℃、より好ましくは450〜700℃で、1〜10時間焼成し、内部のポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を除去する。得られる中空シリカ粒子(A−1)は、その外殻部の基本構成は変わらないが、内部のポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)は焼成により除去されている。
本発明においては、ポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含するプロトコア−シェル粒子を焼成するため、特に内包されるポリマー粒子(a−1)の形状、形態を所望の状態に予め制御しておくことにより、所望の形状、形態を有する中空シリカ粒子(A−1)を容易に製造することができる。例えば、内部に真球状のポリマーを有するプロトコア−シェル粒子を焼成することにより、内部中空及び外形が真球状の中空シリカ粒子(A−1)を製造することができる。
上記工程A〜Cで得られる中空シリカ粒子(A−1)のメソ細孔構造の平均細孔径は、好ましくは1〜8nm、より好ましくは1.5〜8nm、更に好ましくは1.5〜5nmであり、該メソ細孔径は、その70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上が平均細孔径の±30%以内に入ることが望ましい。
また、中空シリカ粒子(A−1)のBET比表面積は、好ましくは100〜1500m2/g、より好ましくは200〜1500m2/g、更に好ましくは300〜1500m2/gである。
中空シリカ粒子(A−1)の平均粒子径は、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.02〜2μmである。中空シリカ粒子(A−1)は、好ましくは一次粒子全体の80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が平均粒子径±30%以内の一次粒子径を有しており、非常に揃った粒子径の粒子群から構成されていることが望ましい。
中空シリカ粒子(A−1)の外殻部(メソポーラスシリカ部)の平均厚みは、最終的に得られる中空シリカ粒子が担体としての強度を維持できるように、範囲で薄い方が好ましく、中空部の平均直径(平均容積)は、内包物を多く保持する観点から大きい方が好ましい。これらの観点から、外殻部の平均厚みは、通常0.5〜500nm、好ましくは2〜400nm、より好ましくは3〜300nmである。また、〔外殻部の平均厚み/中空シリカ粒子の平均粒子径〕の比は、通常0.01〜0.9、好ましくは0.05〜0.8、より好ましくは0.1〜0.7である。
中空シリカ粒子(A−1)の平均粒子径、平均外殻厚み、BET比表面積、平均細孔径、及び粉末X線回折(XRD)パターンの測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
(中実シリカ粒子(A−2))
中実シリカ粒子(A−2)の製造方法に特に制限はないが、上記工程Aにおいて、ポリマー粒子(a−1)及び疎水性有機化合物(a−2)を用いずに、工程Aを行って水溶液を調製した後、工程B及びCを順次行う方法によれば、効率的に製造することができ好ましい。
得られる中実シリカ粒子(A−2)のメソ細孔構造の平均細孔径は、好ましくは1〜8nm、より好ましくは1.5〜8nm、更に好ましくは1.5〜5nmであり、該メソ細孔径は、その70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上が平均細孔径の±30%以内に入ることが望ましい。
また、中実シリカ粒子(A−2)のBET比表面積は、好ましくは100〜1500m2/g、より好ましくは200〜1500m2/g、更に好ましくは300〜1500m2/gであり、その平均粒子径は、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.02〜2μmである。
[メソポーラスシリカ粒子の製造]
本発明のメソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカ(A)と一般式(I)で表される珪素化合物(B)を液相反応させることにより得られる。
[一般式(1)で表される珪素化合物(B)]
一般式(I)で表される珪素化合物(B)は、メソポーラスシリカ(A)の細孔内に結合して、細孔径を小さくさせるために用いられる。
Figure 0005486164
一般式(I)におけるR1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲノ基を示す。
1〜R4は、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルコキシ基及びクロロ基から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、それぞれ独立にメトキシ基又はエトキシ基である。
珪素化合物(B)の好適例としては、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラプロピルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケート、テトラクロロシラン(TCS)、トリエトキシクロロシラン等が挙げられる。これらの中では、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、及びテトラクロロシラン(TCS)がより好ましい。
これらの珪素化合物(B)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(液相反応条件)
液相反応の条件は特に制限されないが、反応速度、操作性等の観点から、メソポーラスシリカ(A)と珪素化合物(B)との割合は、珪素化合物(B)由来のシリカ量が、メソポーラスシリカ(A)由来のシリカ量に対し、好ましくは5〜300mol%、より好ましくは8〜250mol%、更に好ましく10〜200mol%の範囲となる量で使用することが望ましい。
また、液相中のメソポーラスシリカ(A)の割合は、メソポーラスシリカ(A)の乾燥重量として好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%ある。
なお、メソポーラスシリカ(A)や珪素化合物(B)のSi濃度は、蛍光X線分析、熱重量分析等の常法により定量することができる。
液相反応に使用する溶媒は、珪素化合物(B)の種類等にもよるが、一般式(I)におけるR1〜R4がアルコキシ基の場合、アルコール水溶液が好ましく、メタノール水溶液、エタノール水溶液がより好ましい。水溶液中のアルコールの割合は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%である。
反応系のpHは、珪素化合物(B)を効率よくかつ均一にメソポーラスシリカ(A)と反応させる観点から、好ましくはpH2〜5、より好ましくはpH2.5〜4.5、更に好ましくはpH3〜4である。
一方、一般式(I)におけるR1〜R4がハロゲノ基の場合、非水系溶媒が好ましく、芳香族系溶媒がより好ましく、トルエンが更に好ましい。
処理温度は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは40〜140℃、更に好ましくは60〜120℃であり、処理時間は、好ましくは1〜120時間、より好ましくは2〜60時間である。
前記液相反応による珪素化合物(B)の処理は、1回のみならず、複数回繰り返して行うことができる点で本発明は特徴的である。繰り返し行える理由として、処理後のメソポーラスシリカ粒子の細孔内ないし表面の性質が基本的に変わらないことが考えられる。従って、液相反応による珪素化合物(B)の処理を2回以上繰り返すことにより、メソ細孔径を任意に調整することができる。
珪素化合物(B)との液相反応後に、未反応化合物や副生化合物を除去するために、未反応化合物や副生化合物の沸点以上の温度で熱処理したり、未反応化合物や副生化合物が可溶な溶媒で洗浄することもできる。
前記の液相反応により得られるメソポーラスシリカ粒子は、その主成分がシリカで構成されているものであるが、Al、Ti、V、Cr、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、B、Mn、Fe等の他元素を担持した形態、又はシリカの一部が他元素で置換された形態であってもよい。これら元素を導入する場合はそれらの金属を含有するアルコキシ塩やハロゲン化塩等の金属原料を製造時又は製造後に添加すればよい。
(液相反応により得られるメソポーラスシリカ粒子)
前記の液相反応により得られるメソポーラスシリカ粒子のメソ細孔構造の平均細孔径は、メソポーラスシリカ(A)の平均細孔径の大きさに依存するが、本発明では特に細孔径が小さいメソポーラスシリカに応用できる点で特徴的である。前記したように複数回処理することでメソ細孔径の微細制御が可能であることから、該メソ細孔径は好ましくは1〜5nm、より好ましくは1〜2nm、更に好ましくは1〜1.4nmである。更に該メソ細孔径は、その70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上が平均細孔径の±30%以内に入ることが望ましい。
また、前記の液相反応により得られるメソポーラスシリカ粒子のBET比表面積は、好ましくは100〜1500m2/g、より好ましくは200〜1500m2/g、更に好ましくは300〜1500m2/gである。
前記の液相反応により得られるメソポーラスシリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.02〜2μmである。前記の液相反応により得られるメソポーラスシリカ粒子は、好ましくは一次粒子全体の80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上が平均粒子径±30%以内の一次粒子径を有しており、非常に揃った粒子径の粒子群から構成されていることが望ましい。
前記の液相反応により得られるメソポーラスシリカ粒子が中空メソポーラスシリカ(以下、中空シリカ粒子(A−3)ともいう)の場合、その外殻部(メソポーラスシリカ部)の平均厚みは、最終的に得られる中空シリカ粒子が担体としての強度を維持できるように、範囲で薄い方が好ましく、中空部の平均直径(平均容積)は、内包物を多く保持する観点から大きい方が好ましい。これらの観点から、外殻部の平均厚みは、通常0.5〜500nm、好ましくは2〜400nm、より好ましくは3〜300nmである。また、〔外殻部の平均厚み/中空シリカ粒子の平均粒子径〕の比は、通常0.01〜0.9、好ましくは0.05〜0.8、より好ましくは0.1〜0.7である。
前記の本発明のメソポーラスシリカ粒子の各種測定方法は、実施例に記載の方法によって求める。
本発明の液相反応により得られるメソポーラスシリカ粒子は、徐放性担体などに利用でき、特に香料徐放性担体に有効である。
[複合メソポーラスシリカ粒子]
本発明の複合メソポーラスシリカ粒子(以下、単に「複合シリカ粒子」ともいう)は、前記の方法により得られた本発明のメソポーラスシリカ粒子の内部に、香料を保持してなることを特徴とする。
香料の保持は、例えば、メソポーラスシリカ粒子に香料を含浸させることにより行うことができる。メソポーラスシリカ粒子としては、香料を多量に含浸させる観点から、中空メソポーラスシリカ(A−1)と一般式(I)で表される珪素化合物(B)を液相反応させて得られる中空シリカ粒子(A−3)が好ましい。
香料の含浸処理は、香料が中空シリカ粒子(A−3)に含浸できる方法であれば特に制限はなく、公知の真空含浸法等を採用することができる。例えば、容器内で香料を溶解した溶液と中空シリカ粒子(A−3)とを混合し、該容器内を該香料溶液の蒸気圧より高く、用いる中空シリカ粒子(A−3)のメソ細孔中における窒素の蒸気圧より小さい条件で含浸することが好ましい。この場合のメソ細孔中における窒素の蒸気圧は窒素の吸着等温線から求められる。
この条件で中空シリカ粒子(A−3)の細孔内を脱気して香料溶液を強制含浸せしめ、1分間〜10時間、好ましくは1分間〜1時間静置した後に容器内の圧力を一旦大気圧に戻し、更に1分間〜10時間、好ましくは1時間〜10時間静置することで、香料溶液を中空シリカ粒子(A−3)のメソ細孔内を通して中空内部に導入する方法が挙げられる。なお含浸の程度は、中空シリカ粒子(A−3)の中空部分全てに香料溶液が包含されるまで行うことが好ましい。
複合シリカ粒子中の香料の含有量は、特に限定されないが、高い残香性を賦与する観点から、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。なお、複合シリカ粒子中の香料の含有量は、熱重量分析、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の常法により求めることができる。
複合シリカ粒子には、香料の可溶化、溶解性、保存安定性の観点から、更に、公知の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を含有させることができる。
用いられる香料に特に制限はなく、天然香料、合成香料のいずれも使用することができるが、香料の徐放性、経時残香性を効果的に発現させる観点から、液体香料や揮散速度の早い香料が好ましい。また香料分野で保留剤ないし希釈剤として知られている化合物を併用してもよく、目的に沿ったものが選ばれる。
複合シリカ粒子においては、香料の揮散は、まず粒子の外表面付近に保持されている香料の揮散が始まり、その後、中空部及びメソ細孔に保持された香料が、長時間、安定した速度で揮散するため、揮散制御が容易である。
これらの香料の中で、酸やアルカリ、ゼオライト等の触媒活性を持つ無機粉体に不安定なエステル類やアセタール類であっても、本発明の複合シリカ粒子の内部に保持させれば、安定に保持され、徐放性、経時残香性に優れた香料粒子とすることができる。
複数の香料を併用し、それぞれを異なる中空シリカ粒子(A−3)に保持させれば、広範なかつ効果的な調香を行うことができる。
実施例及び比較例で得られたメソポーラスシリカ粒子の各種測定は、以下の方法により行った。
(1)粉末X線回折(XRD)パターンの測定
粉末X線回折装置(理学電機工業株式会社製、商品名:RINT2500VPC)を用いて、X線源:Cu-kα、管電圧:40mA、管電流:40kV、サンプリング幅:0.02°、発散スリット:1/2°、発散スリット縦:1.2mm、散乱スリット:1/2°、及び受光スリット:0.15mmの条件で粉末X線回折測定を行った。走査範囲を回折角(2θ)1〜70°、走査速度を4.0°/分とした連続スキャン法を用いた。なお、測定は、粉砕した試料をアルミニウム板に詰めて行った。
(2)粒子形状の観察
電解放射型高分解能走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所社製、商品名:FE−SEM S−4000)を用いて粒子形状の観察を行った。
(3)平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みの測定
透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、商品名:JEM−2100)を用いて加速電圧160kVで粒子の観察を行った。20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径、中空部径、及び外殻部厚みを写真上で実測し、平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みを求めた。なお、観察は、高分解能用カーボン支持膜付きCuメッシュ(応研商事株式会社製、200−Aメッシュ)に付着させ、余分な試料をブローで除去したものを用いて行った。
(4)BET比表面積、及び平均細孔径の測定
比表面積・細孔分布測定装置(株式会社島津製作所製、商品名:ASAP2020)を用いて、液体窒素を用いた多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。BET比表面積の導出にはBJH法を採用し、そのピークトップを平均細孔径とした。試料には250℃で5時間の前処理を施した。
(5)リモネン担持量の測定
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤Thermo plus TG8120を用いて、空気雰囲気下、室温から700℃まで10℃/分の速度で昇温した時に、減少した重量を香料の重量、残存した重量をシリカの重量とした。
製造例1(中空メソポーラスシリカ粒子(A1)の製造)
2L−セパラブルフラスコに、イオン交換水600部、メタクリル酸メチル99.5部、塩化メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム0.5部を入れ、内温70℃まで昇温させた。次いで、これに、水溶性開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬株式会社製、商品名:V−50)0.5部をイオン交換水5部に溶かした溶液を添加し、3時間加熱撹拌(スターラー;300rpm)を行った。
その後、更に75℃で3時間加熱撹拌(スターラー;300rpm)を行って冷却した後、得られた混合液から凝集物を200メッシュろ過(目開き約75μm)し、カチオン性ポリマー粒子の懸濁液(固形分(有効分)含有量:14質量%、平均一次粒子径:280nm)を得た。
次に、10Lフラスコに、水6kg、メタノール2kg、1M水酸化ナトリウム水溶液45g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド35g、及び上記で得られたカチオン性ポリマー粒子の懸濁液33gを入れて撹拌し、その水溶液に、テトラメトキシシラン34gをゆっくりと加え、5時間撹拌した後、12時間熟成させた。
次いで、得られた白色沈殿物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、10Lの水で洗浄し、100℃の温度条件で5時間乾燥した。
得られた乾燥粉末を、焼成炉(株式会社モトヤマ製、商品名:スーパーバーン)を用いて、エアーフロー(3L/min)しながら1℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃で2時間焼成することにより有機成分を除去して、中空メソポーラスシリカ粒子(A1)を得た。
得られた中空メソポーラスシリカ粒子(A1)粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=2.9nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末(A1)のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子(A1)の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子が中空構造を有し、平均一次粒子径が560nm、平均中空部径が280nm、平均外殻部厚みが140nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子(A1)粉末は、BET比表面積が1230m2/g、平均細孔径が1.48nmであった。
製造例2(中空メソポーラスシリカ粒子(A2)の製造)
製造例1において、平均一次粒子径330nmのカチオン性ポリマー粒子を用いた以外は、製造例1と同様にして中空メソポーラスシリカ粒子(A2)を製造した。
この中空メソポーラスシリカ粒子(A2)粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=3.0nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子(A2)の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子(A2)が中空構造を有し、平均一次粒子径が610nm、平均中空部径が280nm、平均外殻部厚みが140nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子(A2)粉末は、BET比表面積が1430m2/g、平均細孔径が1.61nmであった。
製造例3(中実メソポーラスシリカ粒子(A3)の製造)
製造例1において、カチオン性ポリマー粒子を添加しなかった以外は、製造例1と同様にして、中空構造を有しない中実メソポーラスシリカ粒子(A3)粉末を製造した。
この中実メソポーラスシリカ粒子(A3)粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=2.9nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中実メソポーラスシリカ粒子(A3)粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有すること確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察より、この中実メソポーラスシリカ粒子(A3)の形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中実メソポーラスシリカ粒子(A3)が中空構造ではなく中実構造を有し、平均一次粒子径が500nmであり、ヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中実メソポーラスシリカ粒子(A3)粉末は、BET比表面積が1120m2/g、平均細孔径が1.45nmであった。
実施例1(中空メソポーラスシリカ粒子(A1)の60mol%TEOS処理)
製造例1の中空メソポーラスシリカ粒子(A1)粉末0.50gを水17.30gに分散させた分散液に、室温、攪拌下、テトラエチルオルトシリケート(TEOS、和光純薬製)のエタノール溶液(TEOS濃度;10質量%)10.30gを添加、更にエタノール21.90gを添加し、中空メソポーラスシリカ濃度を1質量%にした。更に、この中空メソポーラスシリカ粒子とTEOSの混合分散液に室温、攪拌下、0.1mol/L硝酸水溶液を滴下し、分散液のpHを3.5に調整した(中空メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTEOS由来のSi量は60mol%)。この分散液を攪拌下、75℃で88時間反応後、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過、水(50mL)及びエタノール(50mL)で洗浄し、60℃で24時間減圧乾燥した。
得られたTEOS処理した中空メソポーラスシリカ粒子粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=2.9nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子が中空構造を有し、平均一次粒子径が560nm、平均中空部径が280nm、平均外殻部厚みが140nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末は、BET比表面積が880m2/g、平均細孔径が1.37nmであった。結果を表1に示す。
実施例2(中空メソポーラスシリカ粒子(A1)の30mol%TEOS処理)
実施例1のTEOSのエタノール溶液を5.20g、エタノールを27.00gを用いた以外は、同様にTEOS処理(中空メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTEOS由来のSi量は30mol%)を行った。
得られたTEOS処理した中空メソポーラスシリカ粒子粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=2.9nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子が中空構造を有し、平均一次粒子径が560nm、平均中空部径が280nm、平均外殻部厚みが140nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末は、BET比表面積が880m2/g、平均細孔径が1.37nmであった。結果を表1に示す。
実施例3(中空メソポーラスシリカ粒子(A1)の10mol%TEOS処理)
実施例1のTEOSのエタノール溶液を1.72g、エタノールを30.48gを用いた以外は、同様にTEOS処理(中空メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTEOS由来のSi量は10mol%)を行った。
得られたTEOS処理した中空メソポーラスシリカ粒子粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=2.9nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子が中空構造を有し、平均一次粒子径が560nm、平均中空部径が280nm、平均外殻部厚みが140nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末は、BET比表面積が940m2/g、平均細孔径が1.39nmであった。結果を表1に示す。
実施例4(中空メソポーラスシリカ(A1)の60mol%TCS処理)
製造例1の中空メソポーラスシリカ粒子(A1)粉末0.50gをトルエン50gに分散させた分散液に、室温、攪拌下、テトラクロロシラン(TCS)0.85gを添加した(中空メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTCS由来のSi量は60mol%)。
この分散液を攪拌下、120℃で60時間反応後、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、エタノール(100mL)で洗浄し、100℃で24時間乾燥した。
得られたTCS処理した中空メソポーラスシリカ粒子粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=2.9nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子が中空構造を有し、平均一次粒子径が560nm、平均中空部径が280nm、平均外殻部厚みが140nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末は、BET比表面積が600m2/g、平均細孔径が1.10nmであった。
比較例1
製造例1の中空メソポーラスシリカ粒子(A1)をそのまま用いた。結果を表1に示す。
実施例5(中実メソポーラスシリカ粒子(A3)の60mol%TEOS処理)
実施例1において、中空メソポーラスシリカ粒子(A1)の代わりに製造例3の中実メソポーラスシリカ粒子(A3)を用いた以外は、実施例1と同様にTEOS処理(中実メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTEOS由来のSi量は60mol%)を行った。
このTEOS処理した中実メソポーラスシリカ粒子粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=2.9nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中実メソポーラスシリカ粒子粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中実メソポーラスシリカ粒子の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中実メソポーラスシリカ粒子が中空構造ではなく中実構造を有し、平均一次粒子径が500nmであり、ヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中実メソポーラスシリカ粒子粉末は、BET比表面積が860m2/g、平均細孔径が1.34nmであった。結果を表1に示す。
実施例6(中実メソポーラスシリカ粒子(A3)の200mol%TEOS処理)
実施例5のTEOSのエタノール溶液を34.40g用いた以外は、実施例5と同様にTEOS処理(中実メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTEOS由来のSi量は200mol%)を行った。
このTEOS処理した中実メソポーラスシリカ粒子粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=2.9nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中実メソポーラスシリカ粒子粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中実メソポーラスシリカ粒子の粒子形状が球状であったが、不定形粒子も混入していた。
更に、TEM観察により、この中実メソポーラスシリカ粒子が中空構造ではなく中実構造を有し、平均一次粒子径が500nmであり、ヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。しかし、SEMで観察された不定形粒子には、メソ細孔の存在は認められなかった。
また、この中実メソポーラスシリカ粒子粉末は、BET比表面積が850m2/g、平均細孔径が1.36nmであった。結果を表1に示す。
比較例2
製造例3の中実メソポーラスシリカ粒子(A3)をそのまま用いた。結果を表1に示す。
Figure 0005486164
表1によれば、中空メソポーラスシリカ粒子(平均細孔径1.48nm;比較例1)及び中実メソポーラスシリカ粒子(平均細孔径1.45nm;比較例2)をTEOS又はTCSで液相処理することにより、平均細孔径を1.40nm未満に狭めることできることが分かる。
実施例7(中空メソポーラスシリカ粒子(A2)の60mol%TEOS処理2回)
実施例1において、中空メソポーラスシリカ粒子(A1)の代わりに製造例2の中空メソポーラスシリカ粒子(A2)を用いた以外は、実施例1と同様にTEOS処理(中空メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTEOS由来のSi量は60mol%)を行った。得られた中空メソポーラスシリカ粒子を(A4)とする。
得られた中空メソポーラスシリカ粒子(A4)を用いて、更に実施例1と同様のTEOS処理(中空メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTEOS由来のSi量は60mol%)を繰り返した。すなわち得られた中空メソポーラスシリカ粒子は、中空メソポーラスシリカ粒子(A2)に対してTEOS処理を2回行った粒子である。これを中空メソポーラスシリカ粒子(A5)とする。
このTEOS処理した中空メソポーラスシリカ粒子(A5)について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=3.0nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末(A5)のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子(A5)の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子(A5)が中空構造を有し、平均一次粒子径が610nm、平均中空部径が330nm、平均外殻部厚みが140nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子(A5)粉末は、BET比表面積が820m2/g、平均細孔径が1.35nmであった。
実施例8(中空メソポーラスシリカ粒子(A5)の60mol%TEOS処理)
実施例1において、中空メソポーラスシリカ粒子(A1)の代わりに実施例7の中空メソポーラスシリカ粒子(A5)を用いた以外は、実施例1と同様のTEOS処理(中空メソポーラスシリカ由来のSi量に対するTEOS由来のSi量は60mol%)を繰り返した。すなわち得られた中空メソポーラスシリカ粒子は、中空メソポーラスシリカ粒子(A2)に対してTEOS処理を3回行った粒子である。これを中空メソポーラスシリカ粒子(A6)とする。
この合計3回TEOS処理した中空メソポーラスシリカ粒子(A6)について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=3.1nmの非常に強いXRDピーク、d=1.8nm及びd=1.6nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粒子粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を有することを確認した。d=1.0nm未満の領域にXRDピークは見られなかった。また、SEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子の粒子形状が球状であることを確認した。
更に、TEM観察により、この中空メソポーラスシリカ粒子(A6)が中空構造を有し、平均一次粒子径が610nm、平均中空部径が330nm、平均外殻部厚みが140nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から外殻部の外側に向かって放射状に貫通していることを確認した。全ての一次粒子が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していた。
また、この中空メソポーラスシリカ粒子(A6)は、BET比表面積が680m2/g、平均細孔径が1.26nmであった。
比較例3
製造例2の中空メソポーラスシリカ粒子(A2)をそのまま用いた。
実施例7〜8及び比較例3のメソポーラスシリカ粒子の物性を表2に示す。
Figure 0005486164
表2によれば、中空メソポーラスシリカ粒子(平均細孔径1.61nm;比較例3)をTEOSで繰り返し液相処理することにより、平均細孔径を更に狭めることできることが分かる。
実施例9(香料担持中空メソポーラスシリカ粒子)
実施例1の中空メソポーラスシリカ粒子0.5gを20mlのサンプル瓶へ入れ、その上に香料として(R)−(+)−リモネン(和光純薬工業株式会社製)6.0gを注いだ。その容器をガラス製デシケータ中に移し、ロータリーポンプを用い3分間減圧した。その後、窒素ガスを充填し内圧を常圧に戻した。この操作を3度繰り返した後、サンプルを一晩静置した。翌日、メンブレンフィルター(ADVANTEC社製、PTFE、孔径0.2μm)によりろ別し、リモネン香料を担持した中空メソポーラスシリカ粒子を得た。
熱重量分析により、この香料担持中空メソポーラスシリカ粒子の組成を求めた結果、リモネン34質量%、シリカ66質量%であった。50mL褐色サンプルビンに香料担持中空メソポーラスシリカ粒子を2.4mg(香料有効分0.8mg)を入れ、蓋をせずに室温で48時間静置した。室温静置48時間後のサンプルビン口における香料の匂い強度を、評価員5人による官能評価により以下の3段階で評価した。香料担持中空メソポーラスシリカ粒子の物性及び官能評価の結果を表3に示す。
(評価基準)
○:香料の匂いを感じる
△:少し匂いを感じる
×:殆ど匂いを感じない)
比較例4(香料担持中空メソポーラスシリカ粒子)
実施例9において、比較例3の中空メソポーラスシリカ粒子を用いた以外は同様にリモネン香料担持中空メソポーラスシリカ粒子を調製した。
熱重量分析により、この香料担持中空メソポーラスシリカ粒子の組成を求めた結果、リモネン63質量%、シリカ37質量%であった。50mL褐色サンプルビンに香料担持中空メソポーラスシリカ粒子を1.1mg(香料有効分0.8mg)を入れ、蓋をせずに室温で48時間静置した。室温静置48時間後のサンプルビン口における香料のニオイ強度を官能評価した結果、少し香料のニオイが感じられた。
比較例5(香料)
50mL褐色サンプルビンにリモネン香料0.8mgを入れ、蓋をせずに室温で48時間静置した。室温静置48時間後のサンプルビン口における香料のニオイ強度を官能評価した結果、ほとんど香料のニオイは感じられなかった。
実施例9及び比較例4,5の香料担持中空メソポーラスシリカ粒子の物性を表3に示す。
Figure 0005486164
表3によれば、平均細孔径1.40nm未満の中空メソポーラスシリカ粒子は香料残香性に優れていることが分かる。
本発明によれば、メソポーラスシリカ粒子の細孔径を調整するための簡便な製造方法を提供することができる。得られたメソポーラスシリカ粒子は、香料が内部に安定に保持されるため、香気が変調することがなく、しかも香料の徐放性、経時残香性に優れている。

Claims (9)

  1. メソポーラスシリカ(A)と下記一般式(I)で表される珪素化合物(B)を液相反応させる工程を含む、メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
    Figure 0005486164
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲノ基を示す。)
  2. 一般式(I)のR1〜R4が、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルコキシ基及びクロロ基から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のメソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  3. 珪素化合物(B)由来のシリカ量が、メソポーラスシリカ(A)由来のシリカ量に対し5〜300mol%である、請求項1又は2に記載のメソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  4. メソポーラスシリカ(A)の平均細孔径が1〜10nmである、請求項1〜3のいずれかに記載のメソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  5. メソポーラスシリカ(A)が、中空メソポーラスシリカ(A−1)及び/又は中実メソポーラスシリカ(A−2)である、請求項1〜4のいずれかに記載のメソポーラスシリカ粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により得られた、メソ細孔径が1〜1.4nm、平均粒子径が0.05〜5μmのメソポーラスシリカ粒子の内部に、香料を保持してなる複合メソポーラスシリカ粒子。
  7. メソポーラスシリカ粒子が中空メソポーラスシリカであり、その外殻部の厚みが0.5〜400nmである、請求項6に記載の複合メソポーラスシリカ粒子。
  8. メソポーラスシリカ粒子の一次粒子全体の80%以上が平均粒子径±30%以内の一次粒子径を有する、請求項6又は7に記載の複合メソポーラスシリカ粒子。
  9. メソポーラスシリカ(A)と下記一般式(I)で表される珪素化合物(B)を液相反応させる工程と、該液相反応により得られたメソポーラスシリカ粒子に香料を含浸させる工程とを含む、メソポーラスシリカ粒子の内部に、香料を保持してなる複合メソポーラスシリカ粒子の製造方法。
    Figure 0005486164
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲノ基を示す。)
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