JP5657284B2 - 繊維処理剤組成物 - Google Patents
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Description
本発明の繊維処理剤組成物は、表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子と機能性物質とを含む複合粒子(以下、「本発明における複合粒子」ともいう)を含有する組成物である。本発明の繊維処理剤組成物は、一態様において、溶媒(例えば、後述する繊維処理剤ベース液)に本発明における複合粒子が分散又は懸濁した液体組成物であってもよい。また、本発明の繊維処理剤組成物は、その他の態様において、溶媒(例えば、後述する繊維処理剤ベース液)に分散又は懸濁する前の本発明における複合粒子そのものであってもよい。
本明細書において、表面ぬれ張力とは、ぬれの度合いを示す指標をいう。本明細書において、メソポーラスシリカ粒子の表面ぬれ張力とは、JIS K 6768 に定められている標準液をぬれ張力試験用混合液として各種調製し、ぬれ張力試験用混合液の高い値のものから液表面にメソポーラスシリカが浮遊する液に順に添加し、メソポーラスシリカ粒子が液表面からはじめて沈降したときのぬれ張力試験用混合液の値の表面張力をいい、具体的には、実施例に記載の方法で測定されるものをいう。
本明細書において、本発明における複合粒子の構成要素の1つは、表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子である。表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子は、表面を修飾していないメソポーラスシリカ粒子(「メソポーラスシリカ粒子原料」ともいう)を表面処理して得られる。
表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子の平均一次粒子径は、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.02〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μm、特に好ましくは0.1〜1μmである。本明細書において、表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子の平均一次粒子径は、TEMを用いて得られる数平均粒子径であって、具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子は、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、揃った粒子径の粒子群から構成されていることが好ましい。具体的には、表面ぬれ張力が50mN/m以下であるかつ平均一次粒子径が20μm以下メソポーラスシリカ粒子は、同様の観点から、好ましくは一次粒子全体の80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上が平均一次粒子径±30%以内の一次粒子径を有していることが好ましい。
本明細書において、表面を修飾していないメソポーラスシリカ粒子(メソポーラスシリカ粒子原料)としては、ヘキサゴナル配列のメソポーラス(メソ細孔)構造を有する粒子が挙げられる。具体的には、メソポーラスシリカ粒子原料は、粉末X線回折測定において、結晶格子面間隔(d)が1〜10nmの範囲に相当する回折角(2θ)に1本以上のピークを示し、結晶格子面間隔(d)が1nm未満の範囲に相当する回折角(2θ)にピークを示さない粒子が挙げられる。粉末X線回折(XRD)測定において、結晶格子面間隔(d)が1〜10nmの範囲に相当する回折角(2θ)に1本以上のピークを示すことは、このシリカ粒子がメソ領域に周期性のある物質であることを意味する。また、結晶格子面間隔(d)が1nm未満の範囲に相当する回折角(2θ)にピークを示さないことは、ゼオライトなどの結晶性化合物と異なるものであることを意味する。本発明におけるメソポーラスシリカ粒子原料を構成するメソポーラスシリカとしては、中空メソポーラスシリカ及び中実メソポーラスシリカが挙げられ、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、中空メソポーラスシリカが好ましい。
カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子は、表面負電荷である繊維表面に効率的に付着し、高性能を発現させるという観点から、その表面電荷が正電荷であることが好ましい。カチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の水分散液のpH=7におけるゼータ電位(25℃)が0〜50mVが好ましく、10〜40mVがより好ましい。
炭素数2以上の非イオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子における該非イオン性有機基は、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、少なくとも該粒子表面に存在し、さらに、メソ細孔内に存在してもよい。また、炭素数2以上の非イオン性有機基としては、例えば、メソポーラスシリカ粒子に非イオン性を付与できる基であって、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、炭素数2以上の疎水性有機基が好ましい。該疎水性有機基としては、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、ハロゲン又はチオール基で置換されてもよい炭素数2〜30の炭化水素基が好ましく、ハロゲン又はチオール基で置換されてもよい炭素数2〜30のアルキル基若しくはアルケニル基又はアリール基がより好ましく、ハロゲン又はチオール基で置換されてもよいアルキル基がさらに好ましく、炭素数2〜30のアルキル基がさらにより好ましい。本発明の非イオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子において、非イオン性有機基は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本明細書において、表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子のメソ細孔構造の平均細孔径は、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、1〜10nmが好ましく、1〜5nmがより好ましく、1〜2nmがさらに好ましく、1〜1.5nmがさらにより好ましい。メソ細孔の平均細孔径は、窒素吸着測定を行い、窒素吸着等温線からBJH法により求めることができ、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。また、メソポーラスシリカ粒子は、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、メソ細孔径が揃っていることが好ましく、メソ細孔の好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上が平均細孔径±30%以内に入る。なお、メソ細孔構造を有する外殻部の構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。また、TEM観察により、その細孔径、細孔規則性、及び、中空メソポーラスシリカ粒子の場合には外殻部から内部への細孔の繋がり具合を確認することができる。
表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子のBET比表面積は、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、100〜1500m2/gが好ましく、より好ましくは200〜1500m2/g、さらに好ましくは300〜1000m2/g、特に好ましくは500〜1000m2/gである。BET比表面積は、具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。
表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子の形状は、特に制限されず、不定形、球状等でもよく、それらの混合物でもよいが、機能性物質を徐放する観点から、球状が好ましい。特に、メソ細孔構造の外殻部を持ち内部が中空の球状粒子である、表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下である中空メソポーラスシリカ粒子(A−1)(以下、「中空シリカ粒子(A−1)」ともいう)、及び、内部が中空でなく、その中心部から放射状にメソ細孔が配列している球状粒子である、表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下である中実メソポーラスシリカ粒子(A−2)(以下、「中実シリカ粒子(A−2)」ともいう)がより好ましく、本発明における複合粒子の機能性物質の保持量を高める観点から、中空シリカ粒子(A−1)がより好ましい。
前記中空シリカ粒子(A−1)の外殻部(メソポーラスシリカ部)の平均厚みは、複合粒子が担体としての強度を維持できる範囲で薄い方が好ましい。また、前記中空シリカ粒子(A−1)の平均径は、内包物を多く保持する観点から大きい方が好ましい。これらの観点から、外殻部の平均厚みは、好ましくは10〜500nm、より好ましくは20〜400nm、さらに好ましくは100〜300nmである。中空部の平均径は、同様の観点から、好ましくは10〜5000nm、より好ましくは100〜1000nm、さらに好ましくは200〜800nmである。また、外殻部の平均厚みと平均粒子径の比(外殻部厚み/平均粒子径)は、複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、好ましくは0.001〜0.4、より好ましくは0.01〜0.3、さらに好ましくは0.1〜0.3である。さらに、中空部の平均径と外殻部の平均厚みとの比(中空部平均径/外殻部厚み)は、同様の観点から、好ましくは0.1〜100、より好ましくは1〜10である。外殻部の平均厚み、及び、中空部の平均径は、TEMの観察により測定でき、具体的は後述する実施例に記載のように測定できる。
本明細書におけるカチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカ粒子を、カチオン性有機基を有する化合物(B−1)で処理することによって得ることができる。
R1R2 n-1Si(OR3)4-n (1)
(上記一般式(1)において、R1はアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する有機基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。OR3は炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。nは1〜3の数であり、複数のR2及び/又はOR3は同一でも異なっていてもよい。)
炭素数2以上の非イオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子は、メソポーラスシリカ粒子原料を炭素数2以上の非イオン性有機基を有する化合物(B−2)で処理することによって得ることができる。本明細書において、炭素数2以上の非イオン性有機基を有する化合物(B−2)としては、特に制限はないが、メソポーラスシリカ粒子に非イオン性有機基(好ましくは疎水性有機基)を効率的に含有させる観点から、上述した非イオン性有機基を有する加水分解性有機シラン化合物が好ましく、上述した非イオン性有機基を有するアルコキシシランがより好ましい。より具体的には下記一般式(2)で表される非イオン性有機基を有するアルコキシシラン及びこの誘導体が挙げられる。該誘導体は、一般式(2)から誘導可能な化合物であり、具体的には該アルコキシシランの加水分解物又は加水分解縮合物等が挙げられる。
R1R2 n-1Si(OR3)4-n (2)
(上記一般式(2)において、R1は上述した非イオン性有機基であり、R2は水素原子又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。OR3は炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。nは1〜3の数であり、複数のR2及び/又はOR3は同一でも異なっていてもよい。)
カチオン性又は非イオン性有機基を有する化合物(B−1)又は(B−2)(以下、単に「化合物(B)」ともいう。)による処理方法は特に限定されず、気相法、液相法等の常法に従い行うことができる。化合物(B)の種類に依存するが、製造容易性の観点から液相法が好ましい。液相法としては、例えば、メソポーラスシリカ粒子原料(後述する(C−1)及び(C−2))を化合物(B)のトルエン溶液に分散させ、120℃で1日攪拌、反応後、洗浄、乾燥する方法が挙げられる。具体例として、化合物(B)をメソポーラスシリカ粒子原料100質量部に対し1〜500質量部添加し、20〜150℃で1〜120時間処理することにより行うことができる。尚、メソポーラスシリカ粒子原料を化合物(B)と反応させるに際し、化合物(B−1)、又は、化合物(B−2)のみで行っても化合物(B−1)と化合物(B−2)の混合物で行ってもよい。複合粒子の繊維への付着性の向上及び機能性物質の複合粒子への残存性の向上の両立の観点から、化合物(B−2)のみで行っても化合物(B−1)と化合物(B−2)の混合物を用いて反応させることが好ましい。
本発明に用いられる複合粒子は、例えば、上記の方法で得られたカチオン性有機基又は非イオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子に機能性物質を保持させることにより得ることができる。また、中空メソポーラスシリカ粒子原料(C−1)又は中実メソポーラスシリカ粒子原料(C−2)に機能性物質を保持させたメソポーラスシリカ粒子や機能性物質を保持させたテンプレート含有シリカ粒子に化合物(B−1)又は化合物(B−2)を反応させてカチオン性有機基又は非イオン性有機基を導入することによっても得ることができる。性能発現の観点から、カチオン性有機基又は非イオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子に機能性物質を保持させる方法が好ましい。
本発明における複合粒子が含有する機能性物質としては、香料、農薬用基材、防虫基材、防カビ基材、医薬用基材、皮膚手入れ用基材、保湿材等から選ばれる1種類以上が好ましく、中でも香料がより好ましい。本発明における複合粒子は、これらの機能性物質を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの機能性物質は、一般に、流出しやすく、その効果を保持するのが困難であることが多いが、表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子に保持させることにより、水や溶媒(例えば、後述する繊維処理剤ベース液)中に安定に配合することが可能である。さらに、メソポーラスシリカ粒子表面を50mN/m以下の表面ぬれ張力とすることで、該シリカ粒子と機能性物質との親和性を向上させて水や溶媒(例えば、後述する繊維処理剤ベース液)中での溶出を防ぐことから、機能性物質としては疎水性物質が好ましい。
本明細書において用いられる香料としては、天然香料、合成香料のいずれも使用可能であり、常温常圧下で固体でも液体でも使用可能である。香料としては、炭化水素系香料、アルコール系香料、アルデヒド系香料、ケトン系香料、エステル系香料、フェノール系香料、エーテル系香料、アミン系香料、ラクトン系香料、アセタール系香料、ニトリル系香料から選ばれるものを適宜選択し、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。主な例を下記に示すが、これらの香料成分に限定されるものではない。なお、本発明で用いた香料素材の名称は、印藤元一著、「合成香料 化学と商品知識」(化学工業日報社、1996年3月6日発行)の記載に従った。
香料の保持は、例えば、メソポーラスシリカ粒子原料及び/又は表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子に香料を含浸させることにより行うことができる。以下、中空シリカ粒子(A−1)に香料を含浸させる場合を例にして説明する。
本発明の繊維処理剤組成物は、分散安定性等の観点から、本発明の効果を阻害しない範囲で、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、両性の界面活性剤を用いることができる。より具体的には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルカリ金属塩等、以下同じ)、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホ脂肪酸メチルエステル塩、長鎖アルキル硫酸エステル塩、オキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤、アミン塩酸塩等が挙げられる。添加量は、特に限定されないが、本発明の複合粒子の分散性向上の観点から、0.1〜30質量%が好ましい。
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、繊維処理剤組成物に通常配合される、水溶性無機塩、酸化防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、溶剤、色素等の添加剤を常用量配合して使用することができる。水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等が挙げられ、酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられ、キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩、クエン酸等が挙げられる。これらの成分の添加率は、求める機能によって適宜選択することができる。
本発明の繊維処理剤組成物の剤型は特に制限されず、液状、粉末状等の各種形態で使用することができるが、使いやすさの観点から、水中油型(O/W型)乳化物とすることが好ましい。本発明の繊維処理剤組成物の使用に際しては、それらを水性液に分散させ、その液中に処理する被処理繊維品を浸漬及び/又は撹拌し、或いは、被処理繊維品を含む洗濯水や濯ぎ水に本発明の繊維処理剤組成物を適当量添加することによって、繊維処理剤組成物中の複合粒子を繊維製品の表面又は内部に効率的に付着、吸着させ、残香性などの機能を付与することができる。また、柔軟剤、洗剤、のり剤等に配合して使用することもできるが、柔軟剤の一成分として使用するのが好ましい。柔軟剤としては、洗濯後の衣料のしなやかさを保たせるものであれば、特に制限されない。例えば、長鎖炭化水素基を有するカチオン性界面活性剤等が挙げられる。処理対象である繊維品は特に制限されず、天然繊維製品、合成繊維製品、半合成繊維製品のいずれの処理にも好適に利用することができる。
したがって、本発明はその他の態様として、本発明の繊維処理剤組成物にて繊維を処理する方法に関する。本発明の繊維処理方法は、被処理繊維と本発明の繊維処理剤組成物とを接触させて該繊維の表面又は内部に付着又は吸着させ、本発明の繊維処理剤組成物が有する機能(例えば、残香性など)を付与することを含む。被処理繊維は、上述の繊維品を含む。被処理繊維と本発明の繊維処理剤組成物とを接触は、例えば、上述のように、水性液に分散させ、その液中に処理する被処理繊維を浸漬及び/又は撹拌し、或いは、被処理繊維を含む洗濯水や濯ぎ水に本発明の繊維処理剤組成物を適当量添加することによって行うことができる。
粉末X線回折装置(理学電機工業社製、商品名:RINT2500VPC)を用いて、X線源:Cu−kα、管電圧:40mA、管電流:40kV、サンプリング幅:0.02°、発散スリット:1/2°、発散スリット縦:1.2mm、散乱スリット:1/2°、及び受光スリット:0.15mmの条件で粉末X線回折測定を行った。走査範囲を回折角(2θ)1〜20°、走査速度を4.0°/分とした連続スキャン法を用いた。なお、測定は、粉砕した試料をアルミニウム板に詰めて行った。
電解放射型高分解能走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名:FE−SEM S−4000)を用いて粒子形状の観察を行った。
透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、商品名:JEM−2100)を用いて加速電圧160kVで粒子の観察を行った。20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径、中空部径、及び外殻部厚みを写真上で実測し、平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みを求めた。なお、観察は、高分解能用カーボン支持膜付きCuメッシュ(応研商事社製、200−Aメッシュ)に付着させ、余分な試料をブローで除去したものを用いて行った。
比表面積・細孔分布測定装置(社島津製作所製、商品名:ASAP2020)を用いて、液体窒素を用いた多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。BET比表面積の導出にはBJH法を採用し、そのピークトップを平均細孔径とした。試料には250℃で5時間の前処理を施した。
レーザー散乱粒度分布計(堀場製作所社製、商品名:LA−920)を用いて、相対屈折率1.06、超音波強度7、超音波照射時間1分、循環速度4、分散媒をエタノールとした条件で室温にて測定し、体積基準換算のメジアン径を平均凝集粒子径とした。
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA)Thermo plus TG8120を用いて、エアーフロー(300mL/min)下、室温から700℃まで10℃/分の速度で昇温した。700℃で残存した質量をシリカ(SiO2)、150〜700℃までの減量をカチオン性有機基由来とした。カチオン性有機基由来の質量%とシリカ由来の質量%から窒素原子とケイ素原子の比率(N/Si原子比)を求めた。
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA)Thermo plus TG8120を用いて、エアーフロー(300mL/min)下、室温から700℃まで10℃/分の速度で昇温した。700℃で残存した質量をシリカ(SiO2)、150〜700℃までの減量を非イオン性有機基由来とした。非イオン性有機基由来の質量%とシリカ由来の質量%から炭素原子とケイ素原子の比率(C/Si原子比)を求めた。
表面張力22.6mN/m、25.4mN/m、30.0mN/m、35.0mN/m、40.0mN/m、45.0mN/m、50.0mN/m、56.0mN/m、60.0mN/m、65.0mN/m、70.0mN/m、73.0mN/mのぬれ張力試験用混合液(和光純薬株式会社製、No.22.6、No.25.4、No.30.0、No.35.0、No.40.0、No.45.0、No.50.0、No.56.0、No.60.0、No.65.0、No.70.0、No.73.0)2mLをそれぞれ別個のガラス容器(株式会社マルエム製、スクリュー管No.3)に入れた。ついで、シリカ1mgを、表面張力が高い標準液が入っている容器から順に(即ち、73.0mN/m→70.0mN/m→65.0mN/m→・・・→22.6mN/mの順に)、その液表面に振り掛けた。シリカが液表面からはじめて沈降したときのぬれ張力試験用混合液の表面張力を、そのシリカのぬれ張力とした。なお、試験は25℃で行い、沈降の有無については、シリカを各ぬれ張力試験用混合液に振りかけてから10秒後の状態で判断した。
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA)Thermo plus TG8120を用いて、エアーフロー(300mL/min)下、室温から40℃まで10℃/分の速度で昇温後、40℃で5時間保持、さらに700℃まで10℃/分の速度で昇温した。700℃までの減量を香料とカチオン性有機基の総量、700℃で残存した質量をシリカの質量とした。また前記(6)の測定方法から求められる香料担持前のメソポーラスシリカ粒子のシリカ重量に対するカチオン性有機基の比率を用いて、複合粒子のカチオン性有機基の質量を算出し、カチオン性有機基とシリカ以外を全香料とした。これら結果から、SiO2、カチオン性有機基及び全香料からなる香料複合粒子組成を求めた。
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤(TG−DTA)Thermo plus TG8120を用いて、エアーフロー(300mL/min)下、室温から100℃まで10℃/分の速度で昇温後、100℃で5時間保持、さらに700℃まで10℃/分の速度で昇温した。700℃までの減量を香料と非イオン性有機基の総量、700℃で残存した質量をシリカの質量とした。また前記(7)の測定方法から求められる香料担持前のメソポーラスシリカ粒子のシリカ重量に対する非イオン性有機基の比率を用いて、複合粒子の非イオン性有機基の質量を算出し、非イオン性有機基とシリカ以外を全香料とした。これらの結果から、SiO2、非イオン性有機基及び全香料からなる香料複合粒子組成を求めた。
エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート香料複合粒子に関して、繊維処理工程における分散前と分散後の香料複合粒子の香料担持量の違いから、繊維処理工程後の香料複合粒子の香料残存率を求めた。繊維処理工程における分散前の香料複合粒子の香料担持量は、以下のように求めた。100℃におけるエチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート香料複合粒子の質量減量を時間(分)で微分し、単位シリカ質量(g)当たり、単位時間(分)における香料の質量減量(mg)として揮発速度(mg香料/分/シリカg)を求めた。測定時間30〜200分の範囲内に、揮発速度が1〜3mg香料/分/シリカgで時間に依存せずほぼ一定となる領域が見られるので、この領域に相当する香料量を分散前のメソポーラスシリカ粒子の中空部(香料複合粒子)の香料担持量(シリカ質量に対する質量%)とした。
エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート香料複合粒子に関して、繊維処理工程における分散前と分散後の香料複合粒子の香料担持量の違いから、繊維処理工程後の香料複合粒子の香料残存率を求めた。繊維処理工程における分散前の香料複合粒子の香料担持量は、以下のように求めた。香料複合粒子0.03gを5mLのヘキサンに分散させ、1時間撹拌し、粒子内の香料を抽出した。撹拌終了後、内部標準としてデカン0.01gを加え、メンブレンフィルター(ADVANTEC社製、材質:セルロールアセテート、孔径:0.2μm)でろ過した。ろ液中のエチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート香料量をアジレント・テクノロジー社製、ガスクロマトグラフィー、HP6890を用いて算出し、分散前の香料複合粒子の香料担持量とした。
電気バケツ(パナソニック社製、N−BK2)中、水5.7Lに香料複合粒子を含有する繊維処理剤1.9gを添加し、すぐに市販タオル3枚(約285g)を入れ、6分洗浄後、洗濯機で3分脱水した。室内で24時間平干しによりタオルを乾燥させることにより、処理タオルを作製した。処理タオルを灰化、溶解した水溶液中のSi濃度をICPにより定量した。
前処理として、電気洗濯乾燥機(パナソニック社製、NA−FV8000)にてタオル20枚を市販の液体アタック(花王社製)で洗浄した(洗剤25g、水道水38L、水温20℃、洗い9分、注水すすぎ2回、脱水7分)。次に、電気バケツ(パナソニック社製、N−BK2)中、水5.7Lに、前処理したタオル3枚(約285g)を入れ、すぐに、香料複合粒子含有繊維処理剤1.9g添加し、6分洗浄後、電気洗濯乾燥機で3分脱水した。室内で24時間平干しによりタオルを乾燥させた。
〔評価基準〕
◎:香料複合粒子を含有しない(香料のみの)場合に比べて、強く香りを感じたパネラーが11人中9人以上
○:香料複合粒子を含有しない(香料のみの)場合に比べて、強く香りを感じたパネラーが11人中6人以上9人未満
×:香料複合粒子を含有しない(香料のみの)場合に比べて、強く香りを感じたパネラーが11人中6人未満
製造例1〔中空メソポーラスシリカ粒子(C1)の製造〕
(1)1L−セパラフルフラスコに、イオン交換水600g、メタクリル酸メチル(和光純薬株式会社製)99.5g、塩化メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(三菱レイヨン株式会社製)0.5gを入れ、内温70℃まで昇温させた。
(1)1L−セパラフルフラスコに、イオン交換水600g、メタクリル酸メチル(和光純薬株式会社製)99.5g、塩化メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(三菱レイヨン株式会社製)0.5gを入れ、内温70℃まで昇温させた。
(1)室温、攪拌下、トルエン50gに3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製)0.6gを溶解後、製造例1で得られた中空メソポーラスシリカ粒子(C1)粉末2gを分散させ、120℃で24時間処理した。処理液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、エタノールで洗浄後、100℃で24時間乾燥させることにより、アミノシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(K1)粉末を得た。
(1)室温、攪拌下、トルエン50gにオクタデシルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)0.6gを溶解後、製造例2で得られた中空メソポーラスシリカ粒子(C2)粉末2gを分散させ、120℃で24時間処理した。処理液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、エタノールで洗浄後、100℃で24時間乾燥させることにより、オクタデシルトリメトキシシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(T1)粉末を得た。
製造例4(1)において、オクタデシルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)0.6gの代わりに、ドデシルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)1.2gを用いた以外は、製造例4と同様にして、ドデシルトリメトキシシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(T2)粉末を得た。
製造例4(1)において、オクタデシルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)0.6gの代わりに、デシルトリメトキシシラン(信越化学社製)0.4gを用いた以外は、製造例4と同様にして、デシルトリメトキシシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(T3)粉末を得た。
製造例3(1)において、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製)0.6gの代わりに、ジメチルオクタデシル−3−トリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロリドのメタノール溶液(信越化学株式会社製、50%メタノール溶液)1.2gを用いた以外は、製造例3と同様にして、アミノシラン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(K2)粉末を得た。
製造例2で得られた中空メソポーラスシリカ粒子(C2)粉末1gとヘキサメチルジシラザン(和光純薬工業社製)0.1gを1Lテトラーバッグに入れ、密封し、電気乾燥機中に80℃で2日間放置することにより、ジシラザン処理した中空メソポーラスシリカ粒子(T4)粉末を得た。
製造例1(2)において、カチオン性ポリマー粒子の懸濁液を用いなかった以外は、製造例1、3と同様にして、アミノシラン処理した中実メソポーラスシリカ粒子(K3)粉末を得た。
製造例3(1)において、中空メソポーラスシリカ粒子(C1)粉末の代わりに、球状シリカ粒子(触媒化成製、一次粒子径500nm、比表面積4m2/g)を用いた以外は製造例3と同様にして、アミノシラン処理した球状シリカ粒子(K4)粉末を得た。
製造例3(1)において、中空メソポーラスシリカ粒子(C1)粉末の代わりに、多孔質シリカ粒子(アルドリッチ製、フュームドシリカ、一次粒子径7nm、比表面積390m2/g)を用いた以外は製造例3と同様にして、アミノシラン処理した多孔質シリカ粒子(K5)粉末を得た。
製造例1〜11で得られた中空メソポーラスシリカ粒子粉末(C1、C2、K1、K2、T1〜T4)、中実メソポーラスシリカ粒子粉末(K3)、球状シリカ粉末(K4)、多孔質シリカ粉末(K5)、各0.5gを20mLのサンプル瓶へ入れ、その上に香料6.0gを注いだ。その容器をガラス製デシケータ中に移し、ロータリーポンプを用い3分間減圧した後、窒素ガスを充填し内圧を常圧に戻した。この操作を3度繰り返した後、サンプルを一晩静置した。翌日、メンブレンフィルター(ADVANTEC社製、材質:ポリテトラフルオロエチレン、孔径:0.2μm)によりろ別し、香料複合粒子を得た。
(1)繊維処理剤ベース液の調製
300mLビーカーに、イオン交換水144gを入れ、ウォーターバスで60℃に昇温した。1つの羽根の長さが2cm、幅0.8cmの撹拌羽根で撹拌しながら(200r/min)、非イオン性界面活性剤(炭素数12の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均20モル付加させたもの)6gを添加し、次に加熱溶解させた陽イオン性界面活性剤(N−(3−アルカノイルアミノプロピル)−N−(2−アルカノイルヒドロキシエチル)−N−メチルアミン塩酸塩のエタノール溶液(エタノール含有量10%。但し、アルカノイル基は、硬化牛脂由来脂肪酸残基とする。)34gを添加した。次に塩化カルシウム(最終濃度0.05質量%)を入れ5分間撹拌後、10%塩酸水溶液と10%水酸化ナトリウム水溶液でpH2.4に調整した。次に60℃のイオン交換水16gを添加した。その後、5℃の水を入れたウォーターバスにビーカーを移し、撹拌しながら(80r/min)、室温(25℃)まで冷却した。
(2)香料複合粒子を含有する繊維処理剤の調製
前記(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート香料(商品名:フルテート、花王株式会社製)の濃度が2質量%となるように、下記表2に示す香料複合粒子を配合し香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。結果を下記表2に示す。
(3)香料複合粒子を含有する繊維処理剤による繊維処理
前記(2)で得られた繊維処理剤のシリカ付着率及び残香性を評価した。結果を下記表2に示す。
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート香料(商品名:フルテート、花王株式会社製)の濃度が2質量%となるように、下記表2に示す香料複合粒子を配合しそれぞれの香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。実施例1と同様にしてこれら繊維処理剤の評価を行った。結果を下記表2に示す。
実施例1(1)で得られた繊維処理剤ベース液に、リモネン香料(商品名:リモネンフロムオレンジ、長谷川香料株式会社製)の濃度が2質量%となるように、下記表3に示す香料複合粒子を配合しそれぞれの香料複合粒子を含有する繊維処理剤を得た。実施例1と同様にしてこれら繊維処理剤の評価を行った。結果を下記表3に示す。
Claims (8)
- 複合粒子を含有する繊維処理剤組成物であって、
前記複合粒子は、表面ぬれ張力が50mN/m以下かつ平均一次粒子径が20μm以下であるメソポーラスシリカ粒子と機能性物質とを含み、
前記メソポーラスシリカ粒子のメソ細孔構造の平均細孔径は1nm以上10nm以下であり、
前記メソポーラスシリカ粒子は、粒子表面に、炭素数2以上の非イオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子であり、
前記炭素数2以上の非イオン性有機基は、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、及びオクタデシルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つを含む、
繊維処理剤組成物。 - 前記メソポーラスシリカ粒子が、中空メソポーラスシリカ粒子である、請求項1記載の繊維処理剤組成物。
- 前記メソポーラスシリカ粒子のメソ細孔構造の平均細孔径は、1.3nm以上10nm以下である、請求項1又は2に記載の繊維処理剤組成物。
- 前記メソポーラスシリカ粒子は、粒子表面にカチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子、及び、前記炭素数2以上の非イオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子の混合物である、請求項1から3のいずれかに記載の繊維処理剤組成物。
- 前記粒子表面にカチオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子が、カチオン性有機基を有するアルコキシシランを処理して得られるものである、請求項4に記載の繊維処理剤組成物。
- 前記粒子表面に炭素数2以上の非イオン性有機基を有するメソポーラスシリカ粒子が、炭素数2以上のアルキル基を有するアルコキシシランでメソポーラスシリカ粒子を処理して得られるものである、請求項1から5のいずれかに記載の繊維処理剤組成物。
- 複合粒子に対する機能性物質の含有量が、10〜90質量%である、請求項1から6のいずれかに記載の繊維処理剤組成物。
- 前記機能性物質が、香料である、請求項1から7のいずれかに記載の繊維処理剤組成物。
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