JP5544289B2 - アゾ化合物及びそれらを含有する染料系偏光膜並びに偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なアゾ化合物及びその塩、並びにそれらを含有してなる染料系偏光膜並びに偏光板に関するものである。
光の透過・遮へい機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も初期の頃の電卓および時計等の小型機器から、ノートパソコン、ワープロ、液晶プロジェクター、液晶テレビ、カーナビゲーションおよび屋内外の計測機器等の広範囲に広がり、使用条件も低温〜高温、低湿度〜高湿度、低光量〜高光量の幅広い条件で使用されることから、偏光性能が高くかつ耐久性に優れた偏光板が求められている。
現在、偏光膜は延伸配向したポリビニルアルコール又はその誘導体のフィルムあるいは、ポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸又はポリビニルアルコール系フィルムの脱水によりポリエンを生成して配向せしめたポリエン系のフィルムなどの偏光膜基材に、偏光素子としてヨウ素や二色性染料を染色乃至は含有せしめて製造される。これらのうち、偏光素子としてヨウ素を用いたヨウ素系偏光膜は、偏光性能には優れるものの、水および熱に対して弱く、高温、高湿の状態で長時間使用する場合にはその耐久性に問題がある。耐久性を向上させるためにホルマリン、あるいは、ほう酸を含む水溶液で処理したり、また透湿度の低い高分子フィルムを保護膜として用いる方法などが考えられているがその効果は十分とはいえない。一方、偏光素子として二色性染料を用いた染料系偏光膜はヨウ素系偏光膜に比べ、耐湿性および耐熱性は優れるものの、一般に偏光性能が十分でない。
高分子フィルムに数種の二色性染料を吸着・配向させてなる中性色の偏光膜において、2枚の偏光膜をその配向方向が直交するように重ね合わせた状態(直交位)で、可視光領域の波長領域における特定波長の光漏れ(色漏れ)があると、偏光膜を液晶パネルに装着したとき、暗状態において液晶表示の色相が変わってしまうことがある。そこで、偏光膜を液晶表示装置に装着したとき、暗状態において特定波長の色漏れによる液晶表示の変色を防止するためには、高分子フィルムに数種の二色性染料を吸着・配向させてなる中性色の偏光膜において、可視光領域の波長領域における直交位の透過率(直交透過率)を一様に低くしなければならない。
また、カラー液晶投射型ディスプレー、即ちカラー液晶プロジェクターの場合、その液晶画像形成部に偏光板を使用するが、以前は偏光性能が良好でニュートラルグレーを呈するヨウ素系偏光板が使用されていた。しかし、ヨウ素系偏光板は前記したようにヨウ素が偏光子であるが故に耐光性、耐熱性、耐湿熱性が十分でないという問題がある。この問題を解決するため、染料系の二色性色素を偏光子としたニュートラルグレーの偏光板が使用されるようになってきたが、ニュートラルグレーの偏光板は、可視光波長領域全域での透過率、偏光性能を平均的に向上させるべく、通常3原色の色素を組み合わせて使用する。このため、カラー液晶プロジェクターのように、より明るくという市場の要求に対しては、光の透過率が悪く、明るくするためには光源強度をより高くしなければならないという問題がある。この問題解決のため、3原色に対応した、即ち、青色チャンネル用、緑色チャンネル用、赤色チャンネル用という3つの偏光板が使用されるようになってきた。
しかしながら、偏光板により光が大幅に吸収されること、および0.5〜3インチの小面積の画像を数十インチ乃至百数十インチ程度まで拡大すること等により明るさの低減は避けられず、その為光源としては高い輝度のものが使用される。しかも液晶プロジェクターの一層の明るさの向上要望は根強く、その結果として自ずと、使用する光源強度は益々強くなってきており、それに伴って偏光板にかかる光、熱も増大している。
上記のような染料系偏光膜の製造に用いられる染料としては、例えば特許文献1から特許文献5などに記載されている水溶性アゾ化合物が挙げられる。
しかしながら、前記水溶性染料を含有してなる従来の偏光板は、偏光特性、吸収波長領域、色相等の観点から、市場のニーズを十分に満足させるに至っていない。また、カラー液晶プロジェクターの3原色に対応した、即ち、青色チャンネル用、緑色チャンネル用、赤色チャンネル用という3つの偏光板に明るさと偏光性能、高温や高湿条件における耐久性、更には長時間暴露に対する耐光性のいずれもが良好なものがなく、その改良が望まれている。
特許第2622748号公報 特開2001−33627号公報 特開2004−51645号公報 WO2005/075572号公報 WO2007/148757号公報 特開2004−075719号公報
染料化学;細田豊著
本発明の目的の一つは、優れた偏光性能および耐湿性・耐熱性・耐光性を有する高性能な偏光板を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、高分子フィルムに2種類以上の二色性染料を吸着・配向させた中性色の偏光板であって、可視光領域の波長領域における直交位の色もれがなく、優れた偏光性能及び耐湿性、耐熱性、耐光性を有する高性能な偏光板を提供することにある。
さらなる目的はカラー液晶プロジェクターの3原色に対応した、明るさと偏光性能、耐久性及び耐光性のいずれもが良好である高性能な偏光板を提供することにある。
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果、特定のアゾ化合物及び/又はその塩を含有する偏光膜及び偏光板が、優れた偏光性能及び耐湿性、耐熱性、耐光性を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)式(1)又は(2)
Figure 0005544289

(式中、Aは少なくとも1つの置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示し、R〜Rは少なくとも1つがスルホン基を有する低級アルコキシル基であり、それ以外は各々独立に、水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシル基を示し、Xは置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいナフトトリアゾール基を示す。)
で示されるアゾ化合物及びその塩。
(2)Xが置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいナフトトリアゾール基であって、これらの置換基は、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基又は置換アミノ基である、(1)に記載のアゾ化合物及びその塩。
(3)Xが式(3)
Figure 0005544289

(式中、R及びRは各々独立に水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホン基、アミノ基又は置換アミノ基を示す。)
で示されるフェニルアミノ基である、(1)又は(2)に記載のアゾ化合物及びその塩。
(4)Xが式(4)
Figure 0005544289

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基又は置換アミノ基を示す。)
で示されるベンゾイルアミノ基である、(1)又は(2)に記載のアゾ化合物及びその塩。
(5)Xが式(5)
Figure 0005544289

(式中、mは1又は2を示す。)
で示されるナフトトリアゾール基である、(1)又は(2)に記載のアゾ化合物及びその塩。
(6)Xが式(6)
Figure 0005544289

(式中、R〜R10は各々独立に水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す。)
で示されるフェニルアゾ基である、(1)又は(2)に記載のアゾ化合物及びその塩。
(7)Aが少なくとも1つの置換基を有するフェニル基又はナフチル基であって、その置換基の少なくとも1つがスルホン基又はカルボキシル基である、(1)乃至(6)のいずれかに記載のアゾ化合物及びその塩。
(8)Aが2つ以上の置換基を有するフェニル基であって、その置換基の少なくとも1つがスルホン基であり、それ以外の置換基は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、又は置換アミノ基である、(3)乃至(7)のいずれかに記載のアゾ化合物及びその塩。
(9)Aが式(7)
Figure 0005544289

(式中、R11及びR12は、一方がスルホン基であり、他方がスルホン基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す。)
で示される、(3)乃至(8)のいずれかに記載のアゾ化合物及びその塩。
(10)Aが式(8)
Figure 0005544289

(式中、R13は水素原子、ヒドロキシル基又はスルホン基を有する低級アルコキシル基を示し、nは1〜3を示す。)
で示される、(3)乃至(8)のいずれかに記載のアゾ化合物及びその塩。
(11)R〜Rのうち少なくとも1つがスルホプロポキシ基又はスルホブトキシ基であり、それ以外が各々独立に水素原子、メチル基又はメトキシ基である、(1)乃至(10)のいずれかに記載のアゾ化合物及びその塩。
(12)(1)乃至(11)のいずれかに記載のアゾ化合物及び/又はその塩を含有する偏光膜基材を含む、染料系偏光膜。
(13)(1)乃至(11)のいずれかに記載のアゾ化合物及び/又はその塩、並びにこれら以外の有機染料を1種類以上を含有する偏光膜基材を含む、染料系偏光膜。
(14)(1)乃至(11)のいずれかに記載のアゾ化合物及び/又はその塩を2種類以上、並びにこれら以外の有機染料を1種類以上に含有する偏光膜基材を含む、染料系偏光膜。
(15)偏光膜基材がポリビニルアルコール樹脂又はその誘導体からなるフィルムである、(12)乃至(14)のいずれかに記載の染料系偏光膜。
(16)(12)乃至(14)のいずれかに記載の染料系偏光膜の少なくとも一方の面に透明保護層を貼合して得られうる、染料系偏光板。
(17)(12)乃至(16)のいずれかに記載の染料系偏光膜又は染料系偏光板を用いる、液晶表示用偏光板。
(18)(12)乃至(16)のいずれかに記載の染料系偏光膜又は染料系偏光板を用いる、液晶プロジェクター用カラー偏光板。
(19)(16)乃至(18)いずれかに記載の染料系偏光板を用いる、液晶表示装置。
本発明のアゾ化合物又はその塩を含有する偏光膜は、ヨウ素を用いた偏光膜に匹敵する高い偏光性能を有し、且つ耐久性にも優れるため、各種液晶表示体および液晶プロジェクター用、また、高い偏光性能と耐久性を必要とする車載用途、各種環境で用いられる工業計器類の表示用途に好適である。
本発明のアゾ化合物は、上記の式(1)又は(2)で表される。式(1)又は(2)において、Aは置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示し、R〜Rは少なくとも1つがスルホン基を有する低級アルコキシル基であり、それ以外は各々独立に、水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシル基を示し、Xは置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基を示す。Aは置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示すが、その置換基としてスルホン基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ以上有することが好ましく、置換基を2つ以上有する場合は、その置換基の少なくとも1つが、スルホン基又はカルボキシル基であり、その他の置換基としては、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシル基又はスルホン基を有する低級アルコキシル基を含むことが好ましい。特に、Aが上記式(7)で示されるフェニル基又は上記式(8)で示されるナフチル基であることがより好ましい。上記式(7)においてR11とR12は一方がスルホン基であり、他方がスルホン基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基のいずれかを示すが、R11とR12とはいずれもスルホン基、又は一方がスルホン基であり、他方がメトキシ基、カルボキシル基、又はアセチルアミノ基であることが好ましく、R11がスルホン基であることがより好ましい。上記式(1)においてR〜Rは少なくとも1つがスルホン基を有する低級アルコキシル基であり、それ以外は各々独立に、水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシル基を示すが、上記式(2)ではR、Rの一方がスルホン基を有する低級アルコキシル基であり、他方は水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシル基であることを示す。スルホン基を有する低級アルコキシル基としてはスルホプロポキシ基、又はスルホブトキシ基が好ましく、他方は水素原子、メチル基又はメトキシ基であることが好ましい。置換位置としてはRがスルホン基を有する低級アルコキシル基であることが特に好ましい。Xは置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいナフトトリアゾール基を示すが、Xが置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、又は置換基を有してもよいフェニルアゾ基の場合、その置換基としては水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基又は置換アミノ基が好ましく、置換基を有してもよいナフトトリアゾール基の場合、その置換基はスルホン基が好ましい。Xが置換基を有してもよいフェニルアミノ基である場合、その置換基は水素原子、メチル基、メトキシ基、アミノ基、置換アミノ基、又はスルホン基が好ましく、置換位置としては特に限定しないが、p−位であることが特に好ましい。Xが置換基を有するベンゾイルアミノ基である場合、その置換基は水素原子、アミノ基、置換アミノ基、水酸基が好ましく、水素原子、アミノ基であることが特に好ましい。Xが置換基を有するフェニルアゾ基である場合、その置換基は、水酸基、アミノ基、メチル基、メトキシ基、カルボキシル基が好ましく、特に水酸基であることが好ましい。mは1又は2を示し、nは1〜3のいずれかの整数を示す。なお、ここでいう低級アルキル基及び低級アルコキシル基の低級とは炭素数1〜5のアルキル基及びアルコキシル基をいう。
次に、本発明で使用する前記式(1)で表されるアゾ化合物の具体例を以下に挙げる。尚、式中のスルホン基、カルボキシル基及び水酸基は遊離酸の形で表す。
Figure 0005544289
Figure 0005544289
Figure 0005544289
Figure 0005544289
Figure 0005544289
Figure 0005544289
Figure 0005544289
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Figure 0005544289
Figure 0005544289
式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩は、非特許文献1に記載されるような通常のアゾ染料の製法に従い、公知のジアゾ化、カップリングを行うことにより容易に製造できる。具体的な製造方法としては、下記式(A)で示される芳香族アミン類をジアゾ化し、下記式(B)のアニリン類と一次カップリングさせ、下記式(C)で示されるモノアゾアミノ化合物を得る。
Figure 0005544289

(式中、Aは式(1)におけるAと同じ意味を表す。)
Figure 0005544289

(式中、R及びRは、それぞれ式(1)におけるR及びRと同じ意味を表す。)
Figure 0005544289

(式中、R、R及びAは、それぞれ式(1)におけるR、R及びAと同じ意味を表す。)
次いで、このモノアゾアミノ化合物をジアゾ化し、下記式(D)のアニリン類と二次カップリングさせ、下記式(E)で示されるジスアゾアミノ化合物を得る。
Figure 0005544289

(式中、R、Rは、それぞれ式(1)におけるR、Rと同じ意味を表す。)
Figure 0005544289

(式中、R、R、R、R及びAは、それぞれ式(1)におけるR、R、R、R及びAと同じ意味を表す。)
このジスアゾアミノ化合物をジアゾ化し、下記式(F)で表されるナフトール類と三次カップリングさせることにより式(1)のアゾ化合物が得られる。
Figure 0005544289

(式中、Xは式(1)におけるXと同じ意味を表す。)
式(2)の場合は、上記式(C)をジアゾ化し、下記式(F)で表されるナフトール類と三次カップリングさせることにより式(2)のアゾ化合物が得られる。
上記反応において、ジアゾ化工程はジアゾ成分の塩酸、硫酸などの鉱酸水溶液又はけん濁液に亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩を混合するという順法によるか、あるいはジアゾ成分の中性もしくは弱アルカリ性の水溶液に亜硝酸塩を加えておき、これと鉱酸を混合するという逆法によって行われる。ジアゾ化の温度は、−10〜40℃が適当である。また、アニリン類とのカップリング工程は塩酸、酢酸などの酸性水溶液と上記各ジアゾ液を混合し、温度が−10〜40℃でpH2〜7の酸性条件で行われる。
カップリングして得られたモノアゾ化合物及びジスアゾ化合物はそのままあるいは酸析や塩析により析出させてから濾過して取り出すか、溶液又はけん濁液のまま次の工程へ進むこともできる。ジアゾニウム塩が難溶性でけん濁液となっている場合は濾過し、プレスケーキとして次のカップリング工程で使うこともできる。
ジスアゾアミノ化合物のジアゾ化物と、式(F)で表されるナフトール類との三次カップリング反応は、温度が−10〜40℃でpH7〜10の中性からアルカリ性条件で行われる。反応終了後、塩析により析出させ濾過して取り出す。また精製が必要な場合には、塩析を繰り返すか又は有機溶媒を使用して水中から析出させればよい。精製に使用する有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類等の水溶性有機溶媒が挙げられる。
尚、本発明において式(1)又は(2)で表されるアゾ化合物は遊離酸として用いられるほか、アゾ化合物の塩として用いることができる。そのような塩としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等の有機塩が挙げられる。一般的にはナトリウム塩が用いられる。
式(1)又は(2)で表される水溶性染料を合成するための出発原料である上記式(A)で示される芳香族アミン類は、少なくとも1つの置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示すが、その置換基の少なくとも1つがスルホン基又はカルボキシル基から選ばれる置換基であることが好ましい。Aが少なくとも1つの置換基を有するフェニル基の場合、例えば4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノ−5−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4−メトキシベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−ニトロベンゼンスルホン酸、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、3−アセチルアミノ−5−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−スルホ安息香酸、2−アミノ−5−スルホ安息香酸、4−アミノ−3−スルホ安息香酸、5−アミノイソフタル酸等が挙げられるが、4−アミノベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−4−スルホ安息香酸、3−アセチルアミノ−5−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−3−スルホ安息香酸が好ましい。また、フェニル基の置換基としてナフトトリアゾール基(上記(5)で示される)を有してもよく、他にも、6,8−ジスルホナフトトリアゾール基、7,9−ジスルホナフトトリアゾール基、7−スルホナフトトリアゾール基、5−スルホナフトトリアゾール基等が挙げられ、この場合アゾ基のp−位に置換基があることが特に好ましい。Aがスルホン基を有するナフチル基の場合、例えば4−アミノナフタレンスルホン酸、6−アミノナフタレン−2−スルホン酸、5−アミノナフタレン−2−スルホン酸、8−アミノナフタレン−2−スルホン酸、7−アミノナフタレン−1,3−ジスルホン酸、6−アミノナフタレン−1,3−ジスルホン酸、7−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸、6−アミノナフタレン−1,5−ジスルホン酸、7−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、7−アミノ−3−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−1−スルホン酸、7−アミノ−3−(4−スルホブトキシ)ナフタレン−1−スルホン酸、7−アミノ−4−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−2−スルホン酸、7−アミノ−4−(4−スルホブトキシ)ナフタレン−2−スルホン酸、6−アミノ−4−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−2−スルホン酸、6−アミノ−4−(4−スルホブトキシ)ナフタレン−2−スルホン酸、2−アミノ−5−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−1,7−ジスルホン酸、6−アミノ−4−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−2,7−ジスルホン酸、7−アミノ−3−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−1,5−ジスルホン酸等が挙げられるが、7−アミノナフタレン−3−スルホン酸、6−アミノナフタレン−1,3−ジスルホン酸、7−アミノ−3−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−1−スルホン酸が好ましい。
一次及び二次カップリング成分である、置換基(R〜R)を有してもよいアニリン類における置換基は、少なくとも1つがスルホン基を有する低級アルコキシル基であり、それ以外は各々独立に、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基のいずれかを示す。スルホン基を有する低級アルコキシル基としては3−スルホプロポキシ基、4−スルホブトキシ基が好ましく、それ以外の置換基としては水素原子、メチル基、メトキシ基が好ましい。これらの置換基は1つ又は2つ結合してもよい。その結合位置は、アミノ基に対して、2位、3位、及び2位と5位、3位と5位、又は2位と6位であるが、3位及び2位と5位が好ましい。スルホン基を有する低級アルコキシル基を有するアニリン類としては、3−(2−アミノ−4−メチルフェノキシ)プロパン−1−スルホン酸、3−(3−アミノ−4−メチルフェノキシ)プロパン−1−スルホン酸、3−(2−アミノフェノキシ)プロパン−1−スルホン酸、3−(2−アミノ−4−メチルフェノキシ)ブタン−1−スルホン酸等が挙げられる。それ以外のアニリン類としては、例えばアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、2,5−ジメトキシアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン又は3,5−ジメトキシアニリン等が挙げられる。これらのアニリン類はアミノ基が保護されていてもよい。保護基としては、例えばそのω−メタンスルホン酸基が挙げられる。一次カップリングに使用するアニリン類と二次カップリングに使用するアニリン類は同じであっても異なっていてもよい。
三次カップリング成分であるXを有するナフトール類におけるXとしては、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基又は置換基を有してもよいナフトトリアゾール基であり、その置換基はそれぞれ水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基又は置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
Xが置換基を有してもよいフェニルアミノ基の場合、Xは式(3)に示される置換基(R、R)を有するフェニルアミノ基であることが好ましい。置換基(R、R)は各々独立に水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホン基、アミノ基又は置換アミノ基を示すが、水素原子、メチル基、メトキシ基又はアミノ基であることがより好ましく、少なくとも1つの置換基がアミノ基に対してp−位にあることがより好ましい。例えば、フェニルアミノ基、4−メチルフェニルアミノ基、4−メトキシフェニルアミノ基、4−アミノフェニルアミノ基、4−アミノ−2−スルホフェニルアミノ基、4−アミノ−3−スルホフェニルアミノ基、4−スルホメチルアミノフェニルアミノ基、4−カルボキシエチルアミノフェニルアミノ基等が挙げられる。
Xが置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基の場合、Xは式(4)に示される置換基(R)を有するベンゾイルアミノ基が好ましい。置換基(R)は水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基又は置換アミノ基を示すが、水素原子、アミノ基、置換基を有してもよいアミノ基であることが好ましく、置換位置としてはp−位であることがより好ましい。置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基としては例えば、ベンゾイルアミノ基、4−アミノベンゾイルアミノ基、4−ヒドロキシベンゾイルアミノ基、4−カルボキシエチルアミノベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
Xが置換基を有してもよいナフトトリアゾール基の場合、Xは式(5)に示されるスルホン基を有するナフトトリアゾール基が好ましい。mは1又は2を示すが、2であることが好ましく、例えば、6,8−ジスルホナフトトリアゾール基、7,9−ジスルホナフトトリアゾール基、7−スルホナフトトリアゾール基、5−スルホナフトトリアゾール基等が挙げられ、6,8−ジスルホナフトトリアゾール基、5−スルホナフトトリアゾール基であることが好ましい。
Xが置換基を有してもよいフェニルアゾ基の場合、Xは式(6)に示される置換基(R〜R10)を有するフェニルアゾ基が好ましい。置換基(R〜R10)は、各々独立に水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、アミノ基、又は置換アミノ基を示すが、1置換であることが好ましく、置換基としてはヒドロキシル基、アミノ基、又は置換アミノ基であることがより好ましい。置換基を有してもよいフェニルアゾ基としては例えば、2−メチルフェニルアゾ基、3−メチルフェニルアゾ基、2、5−ジメチルフェニルアゾ基、3−メトキシフェニルアゾ基、2−メトキシ−5−メチルフェニルアゾ基、2、5−ジメトキシフェニルアゾ基、4−アミノフェニルアゾ基、4−ヒドロキシフェニルアゾ基、4−カルボキシエチルアミノアゾ基等が挙げられるが、4−アミノフェニルアゾ基、4−ヒドロキシフェニルアゾ基、4−カルボキシエチルアミノアゾ基であることが好ましい。
また、本発明の染料系偏光膜又は染料系偏光板には、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩が単独又は複数併用で使用される他、必要に応じて他の有機染料を1種以上併用してもよい。併合する有機染料に特に制限はないが、本発明のアゾ化合物もしくはその塩の吸収波長領域と異なる波長領域に吸収特性を有する染料であって二色性の高いものが好ましい。例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.イエロー28、シー.アイ.ダイレクト.イエロー44、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ26、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ71、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ107、シー.アイ.ダイレクト.レッド2、シー.アイ.ダイレクト.レッド31、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド247、シー.アイ.ダイレクト.グリーン80、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59および特許文献1〜5に記載された染料等が代表例として挙げられるが、目的に応じて特許文献1〜5に記載されているような偏光板用に開発された染料を用いることがより好ましい。これらの色素は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩(例えばNa塩、K塩、Li塩)、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。
必要に応じて、他の有機染料を併用する場合、目的とする偏光膜が、中性色の偏光膜、液晶プロジェクター用カラー偏光膜、その他のカラー偏光膜により、それぞれ配合する染料の種類は異なる。その配合割合は特に限定されるものではないが、一般的には、式(1)のアゾ化合物又はその塩の重量を基準として、前記の有機染料の少なくとも1種以上の合計で0.1〜10重量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明の染料系偏光膜又は液晶プロジェクター用カラー偏光板に使用される偏光膜は、式(1)で表されるアゾ化合物又はその塩を、必要に応じて他の有機染料と共に、偏光膜材料である高分子フィルムに公知の方法で含有せしめることにより、各種の色相及び中性色を有する偏光膜を製造することができる。得られた偏光膜は、保護膜を付け偏光板として、必要に応じて保護層又はAR(反射防止)層及び支持体等を設け、液晶プロジェクター、電卓、時計、ノートパソコン、ワープロ、液晶テレビ、カーナビゲーション及び屋内外の計測器や表示器等に使用される。
本発明の染料系偏光膜に使用する偏光膜基材(高分子フィルム)は、ポリビニルアルコール樹脂又はその誘導体からなるフィルムが好ましく用いられ、具体例としてはポリビニルアルコール又はその誘導体、及びこれらのいずれかをエチレン、プロピレンのようなオレフィンや、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸などで変性したもの等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアルコール又はその誘導体からなるフィルムが、染料の吸着性及び配向性の点から、好適に用いられる。基材の厚さは通常30〜100μm、好ましくは50〜80μm程度である。
このような偏光膜基材(高分子フィルム)に、式(1)のアゾ化合物及び/又はその塩を含有せしめる際は、通常、高分子フィルムを染色する方法が採用される。染色は、例えば次のように行われる。まず、本発明のアゾ化合物及び/又はその塩、及び必要によりこれ以外の染料を水に溶解して染浴を調製する。染浴中の染料濃度は特に制限されないが、通常は0.001〜10重量%程度の範囲から選択される。また、必要により染色助剤を用いてもよく、例えば、芒硝を0.1〜10重量%程度の濃度で用いるのが好適である。このようにして調製した染浴に高分子フィルムを1〜10分間浸漬し、染色を行う。染色温度は、好ましくは40〜80℃程度である。
式(1)のアゾ化合物及び/又はその塩の配向は、上記のようにして染色された高分子フィルムを延伸することによって行われる。延伸する方法としては、例えば湿式法、乾式法など、公知のいずれの方法を用いてもよい。高分子フィルムの延伸は、場合により、染色の前に行ってもよい。この場合には、染色の時点で水溶性染料の配向が行われる。水溶性染料を含有・配向せしめた高分子フィルムは、必要に応じて公知の方法によりホウ酸処理などの後処理が施される。このような後処理は、偏光膜の光線透過率および偏光度を向上させる目的で行われる。ホウ酸処理の条件は、用いる高分子フィルムの種類や用いる染料の種類によって異なるが、一般的にはホウ酸水溶液のホウ酸濃度を0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲とし、処理は30〜80℃、好ましくは40〜75℃の温度範囲で、0.5〜10分間浸漬して行われる。更に必要に応じて、カチオン系高分子化合物を含む水溶液で、フィックス処理を併せて行ってもよい。
このようにして得られた本発明の染料系偏光膜は、その片面又は両面に、光学的透明性および機械的強度に優れる透明保護膜を貼合して、偏光板とすることができる。保護膜を形成する材料としては、例えば、セルロースアセテート系フィルムやアクリル系フィルムのほか、四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン系共重合体のようなフッ素系フィルム、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂又はポリアミド系樹脂からなるフィルム等が用いられる。好ましくはトリアセチルセルロース(TAC)フィルムやシクロオレフィン系フィルムが用いられる。保護膜の厚さは通常40〜200μmである。
偏光膜と保護膜を貼り合わせるのに用いうる接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ウレタンエマルジョン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル−イソシアネート系接着剤などが挙げられ、ポリビニルアルコール系接着剤が好適である。
本発明の染料系偏光板の表面には、さらに透明な保護層を設けてもよい。保護層としては、例えばアクリル系やポリシロキサン系のハードコート層やウレタン系の保護層等が挙げられる。また、単板光透過率をより向上させるために、この保護層の上にAR層を設けることが好ましい。AR層は、例えば二酸化珪素、酸化チタン等の物質を蒸着又はスパッタリング処理によって形成することができ、またフッ素系物質を薄く塗布することにより形成することができる。なお、本発明の染料系偏光板は、位相差板を貼付した楕円偏光板として使用することも出来る。
このように構成した本発明の染料系偏光板は中性色を有し、可視光領域の波長領域において直交位の色もれがなく、偏光性能に優れ、さらに高温、高湿状態でも変色や偏光性能の低下を起こさず、可視光領域における直交位での光もれが少ないという特徴を有する。
本発明における液晶プロジェクター用カラー偏光板は、二色性分子として、式(1)で表されるアゾ化合物及び/又はその塩を、必要に応じて更に前記の他の有機染料と共に含有するものである。また、本発明の液晶プロジェクター用カラー偏光板に使用される偏光膜も、前記の本発明の染料系偏光膜の製造法の箇所で記載した方法で製造され、さらに保護膜を付け偏光板とし、必要に応じて保護層又はAR層及び支持体等を設け、液晶プロジェクター用カラー偏光板として用いられる。
液晶プロジェクター用カラー偏光板としては、該偏光板の必要波長域(A.超高圧水銀ランプを用いた場合;青色チャンネル用420〜500nm、緑色チャンネル500〜580nm、赤色チャンネル600〜680nm、B.3原色LEDランプを用いた場合のピーク波長;青色チャンネル用430〜450nm、緑色チャンネル520〜535nm、赤色チャンネル620〜635nm)における、単板平均光透過率が39%以上、直交位の平均光透過率が0.4%以下で、より好ましくは該偏光板の必要波長域における単板平均光透過率が41%以上、直交位の平均光透過率が0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。さらに好ましくは、該偏光板の必要波長域における単板平均光透過率が42%以上、直交位の平均光透過率が0.1%以下である。本発明の液晶プロジェクター用カラー偏光板は上記のように明るさと優れた偏光性能を有するものである。
本発明の液晶プロジェクター用カラー偏光板は、偏光膜と保護膜からなる偏光板に、前記AR層を設け、AR層付き偏光板としたものが好ましく、さらに透明ガラス板などの支持体に貼付したAR層及び支持体付き偏光板はより好ましい。
なお、単板平均光透過率は、AR層及び透明ガラス板等の支持体の設けていない一枚の偏光板(以下単に偏光板と言うときは同様な意味で使用する)に自然光を入射したときの特定波長領域における光線透過率の平均値である。直交位の平均光透過率は、配向方向を直交位に配した二枚の偏光板に自然光を入射したときの特定波長領域における光線透過率の平均値である。
本発明の液晶プロジェクター用カラー偏光板は、通常支持体付偏光板として使用される。支持体は偏光板を貼付するため、平面部を有しているものが好ましく、また光学用途であるため、ガラス成形品が好ましい。ガラス成形品としては、例えばガラス板、レンズ、プリズム(例えば三角プリズム、キュービックプリズム)等が挙げられる。レンズに偏光板を貼付したものは液晶プロジェクターにおいて偏光板付のコンデンサレンズとして利用し得る。また、プリズムに偏光板を貼付したものは液晶プロジェクターにおいて偏光板付きの偏光ビームスプリッタや偏光板付ダイクロイックプリズムとして利用し得る。また、液晶セルに貼付してもよい。ガラスの材質としては、例えばソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、サファイヤガラス等の無機系のガラスやアクリル、ポリカーボネート等の有機系のガラス等が挙げられるが無機系のガラスが好ましい。ガラス板の厚さや大きさは所望のサイズでよい。また、ガラス付き偏光板には、単板光透過率をより向上させるために、そのガラス面又は偏光板面の一方もしくは双方の面にAR層を設けることが好ましい。
液晶プロジェクター用支持体付カラー偏光板を製造するには、例えば支持体平面部に透明な接着(粘着)剤を塗布し、ついでこの塗布面に本発明の染料系偏光板を貼付すればよい。また、偏光板に透明な接着(粘着)剤を塗布し、ついでこの塗布面に支持体を貼付してもよい。ここで使用する接着(粘着)剤は、例えばアクリル酸エステル系のものが好ましい。尚、この偏光板を楕円偏光板として使用する場合、位相差板側を支持体側に貼付するのが通常であるが、偏光板側をガラス成形品に貼付してもよい。
即ち、本発明の染料系偏光板を用いたカラー液晶プロジェクターでは、液晶セルの入射側又は出射側のいずれか一方もしくは双方に本発明の染料系偏光板が配置される。該偏光板は液晶セルに接触していても、接触していなくてもよいが、耐久性の観点からすると接触していないほうが好ましい。出射側において、偏光板が液晶セルに接触している場合、液晶セルを支持体とした本発明の染料系偏光板を使用することができる。偏光板が液晶セルに接触していない場合、液晶セル以外の支持体を使用した本発明の染料系偏光板を使用することが好ましい。また、耐久性の観点からすると、液晶セルの入射側及び出射側のいずれにも本発明の染料系偏光板が配置されることが好ましく、さらに本発明の染料系偏光板の偏光板面を液晶セル側に、支持体面を光源側に配置することが好ましい。なお、液晶セルの入射側とは、光源側のことであり、反対側を出射側という。
本発明の染料系偏光板を用いたカラー液晶プロジェクターでは、紫外線カットフィルタを光源と上記入射側の支持体付偏光板の間に配置したものが好ましい。また、使用する液晶セルは、例えばアクティブマトリクス型で、電極及びTFTが形成された透明基板と対向電極が形成された透明基板との間に液晶を封入して形成されるものが好ましい。超高圧水銀ランプ(UHPランプ)やメタルハライドランプ、白色LED等の光源から放射された光は、紫外線カットフィルタを通過し、3原色に分離した後、青色、緑色、赤色のそれぞれのチャンネル用支持体付カラー偏光板を通過し、ついで合体し、投射レンズにより拡大されてスクリーンに投影される。或いは青色、緑色、赤色各色のLEDを使用して各色のLEDから放射された光を青色、緑色、赤色のそれぞれのチャンネル用支持体付カラー偏光板を通過し、ついで合体し、投射レンズにより拡大されてスクリーンに投影する方法も知られている。
このように構成した液晶プロジェクター用カラー偏光板は、偏光性能に優れ、さらに高温、高湿状態でも変色や偏光性能の低下を起こさないという特徴を有する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本発明をなんら限定するものではない。例中の%及び部は、特にことわらないかぎり重量基準である。
実施例1
4−(4’−アミノフェニル)−アゾベンゼンスルホン酸27.7部を水500部に加え、水酸化ナトリウムで溶解する。35%塩酸32部を加え、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、1時間攪拌する。これに特許文献6実施例1に記載の下記式(38)の化合物24.5部を含む溶液を滴下しpH3〜4でカップリングを完結させ、塩化ナトリウムで晶析させることにより下記式(39)で示されるジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

Figure 0005544289

得られたジスアゾ化合物に35%塩酸32部を、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、25〜30℃で2時間攪拌し、ジアゾ化する。一方、6−(4’−アミノベンゾイル)アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸31.0部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解し、この液に先に得られたモノアゾ化合物のジアゾ化物をpH8〜10を保って注入し、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(9)で示されるトリスアゾ化合物45部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は575nmであった。
実施例2
4−アミノベンゼンスルホン酸18.3部を水500部に加え、水酸化ナトリウムで溶解し、冷却し10℃以下で、35%塩酸32部を加え、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、5〜10℃で1時間攪拌した。そこへ上記式(38)の化合物24.5部を含む溶液を滴下しpH3〜4でカップリングを完結させ下記式(40)のモノアゾ化合物を含む溶液を得る。
Figure 0005544289

得られたモノアゾ溶液に再度35%塩酸32部を、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、25〜30℃で2時間攪拌し、ジアゾ化し、これに2,5−ジメチルアニリン12.1部、炭酸ナトリウムを加えpH3としてカップリングを完結させた。得られた溶液から塩化ナトリウムで塩析し、濾過して下記式(41)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

化合物(39)の代わりに得られたジスアゾ化合物(41)を用いる以外は実施例1と同様にジアゾ化、カップリング、晶析して前記式(10)で示されるトリスアゾ化合物46.0部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は568nmであった。
実施例3
4−アミノベンゼンスルホン酸18.3部を水500部に加え、水酸化ナトリウムで溶解し、冷却し10℃以下で、35%塩酸32部を加え、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、5〜10℃で1時間攪拌した。そこへ下記式(42)で示される化合物23部を含む溶液を加え、pH3〜4でカップリングを完結させ下記式(43)のモノアゾ化合物を含む溶液を得る。
Figure 0005544289

Figure 0005544289

化合物(40)の代わりに得られたモノアゾ化合物(43)を用いる以外は実施例2と同様にジアゾ化、カップリング、晶析して前記式(10)で示されるトリスアゾ化合物40部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は566nmであった。
実施例4
6−(4’−メトキシフェニル)アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸34.5部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に実施例3で使用したジスアゾ化合物のジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(12)で示されるトリスアゾ化合物37部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は580nmであった。
実施例5
出発原料の4−アミノベンゼンスルホン酸18.3部の代わりに2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部に変更する以外は実施例2と同様にして下記式(44)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

上記式(43)の代わりに得られたジスアゾ化合物(44)を用いる以外は実施例4と同様にしてジアゾ化、カップリング、晶析して前記式(13)で示されるトリスアゾ化合物30部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は580nmであった。
実施例6
6−フェニルアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸31.5部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に上記式(44)のジスアゾ化合物を実施例2と同様にジアゾ化して得られたジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(14)で示されるトリスアゾ化合物43部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は577nmであった。
実施例7
2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部を水500部に加え、水酸化ナトリウムで溶解し、冷却し10℃以下で、35%塩酸32部を加え、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、5〜10℃で1時間攪拌した。そこへ下記式(45)で示される化合物24.5部を含む溶液を滴下しpH3〜4でカップリングを完結させ、下記式(46)のモノアゾ化合物を含む溶液を得る。
Figure 0005544289

Figure 0005544289

得られたモノアゾ溶液に再度35%塩酸32部を、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、25〜30℃で2時間攪拌し、ジアゾ化し、これに2,5−ジメチルアニリン12.1部、炭酸ナトリウムを加えpH3としてカップリングを完結させた。得られた溶液から塩化ナトリウムで塩析し、濾過して下記式(47)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

6−(4’−メトキシフェニル)アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸34.5部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に上記式(47)のジスアゾ化合物を実施例2と同様にジアゾ化して得られたジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(15)で示されるトリスアゾ化合物37部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は581nmであった。
実施例8
2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部を水500部に加え、水酸化ナトリウムで溶解し、冷却し10℃以下で、35%塩酸32部を加え、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、5〜10℃で1時間攪拌した。そこへ2,5−ジメチルアニリン12.1部、炭酸ナトリウムを加えpH3としてカップリングを完結させて得られるモノアゾ化合物をジアゾ化し、実施例1に倣って上記式(38)とカップリングし、下記式(48)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

6−フェニルアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸31.5部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に上記式(48)のジスアゾ化合物を実施例2と同様にジアゾ化して得られたジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(16)で示されるトリスアゾ化合物33部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は581nmであった。
実施例9
上記式(46)のモノアゾ化合物をジアゾ化し、実施例1に倣って上記式(38)とカップリングし、下記式(49)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

6−フェニルアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸31.5部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に上記式(49)のジスアゾ化合物を実施例2と同様にジアゾ化して得られたジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(17)で示されるトリスアゾ化合物28部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は590nmであった。
実施例10
2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部を水500部に加え、水酸化ナトリウムで溶解し、冷却し10℃以下で、35%塩酸32部を加え、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、5〜10℃で1時間攪拌した。そこへ下記式(50)で示される化合物24.5部を含む溶液を滴下しpH3〜4でカップリングを完結させ、下記式(51)のモノアゾ化合物を含む溶液を得る。
Figure 0005544289

Figure 0005544289

得られたモノアゾ溶液に再度35%塩酸32部を、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、25〜30℃で2時間攪拌し、ジアゾ化し、これに2,5−ジメチルアニリン12.1部、炭酸ナトリウムを加えpH3としてカップリングを完結させた。得られた溶液から塩化ナトリウムで塩析し、濾過して下記式(52)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

6−(4’−メトキシフェニル)アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸34.5部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に上記式(52)のジスアゾ化合物を実施例2と同様にジアゾ化して得られたジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(18)で示されるトリスアゾ化合物33部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は578nmであった。
2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部を水500部に加え、水酸化ナトリウムで溶解し、冷却し10℃以下で、35%塩酸32部を加え、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、5〜10℃で1時間攪拌した。そこへ2,5−ジメチルアニリン12.1部、炭酸ナトリウムを加えpH3としてカップリングを完結させて得られるモノアゾ化合物をジアゾ化し、実施例1に倣って上記式(50)とカップリングし、下記式(53)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

6−(4’−メトキシフェニル)アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸34.5部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に上記式(53)のジスアゾ化合物を実施例2と同様にジアゾ化して得られたジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(19)で示されるトリスアゾ化合物36部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は584nmであった。
実施例12
出発原料の2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部の代わりに4−アミノ−3−スルホ安息香酸21.7部に変更する以外は実施例7と同様にして前記式(20)で示されるトリスアゾ化合物30部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は582nmであった。
実施例13
5−アセチルアミノ−2−アミノベンゼンスルホン酸18.9部を水500部に加え、水酸化ナトリウムで溶解し、冷却し10℃以下で、35%塩酸32部を加え、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、5〜10℃で1時間攪拌した。そこへ前記式(38)で示される化合物24.5部を含む溶液を滴下しpH3〜4でカップリングを完結させ、下記式(54)のモノアゾ化合物を含む溶液を得る。
Figure 0005544289

得られたモノアゾ溶液に再度35%塩酸32部を、次に亜硝酸ナトリウム6.9部を加え、25〜30℃で2時間攪拌し、ジアゾ化し、これに3−メチルアニリン10.7部、炭酸ナトリウムを加えpH3としてカップリングを完結させた。得られた溶液から塩化ナトリウムで塩析し、濾過して下記式(55)のジスアゾ化合物を得た。
Figure 0005544289

6−(4’−アミノ−3’−スルホフェニル)アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸41.0部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に上記式(55)のジスアゾ化合物を実施例2と同様にジアゾ化して得られたジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(21)で示されるトリスアゾ化合物18部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は572nmであった。
実施例14
化合物(21)10部に水200部、水酸化ナトリウム8部を加え、80℃で2時間攪拌した後、塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(22)で示されるトリスアゾ化合物7部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は578nmであった。
実施例15
出発原料の5−アセチルアミノ−2−アミノベンゼンスルホン酸18.9部の代わりに2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸20.8部に変更する以外は実施例13と同様にして前記式(23)で示されるトリスアゾ化合物30部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は582nmであった。
実施例16
6−メチルアミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸25.3部を水200部に加え、炭酸ナトリウムで弱アルカリ性として溶解した液に前記式(55)のジスアゾ化合物を実施例2と同様にジアゾ化して得られたジアゾ液をpH8〜10を保つように加え、攪拌して、カップリング反応を完結させる。塩化ナトリウムで塩析し、濾過して前記式(24)で示されるトリスアゾ化合物33部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は562nmであった。
実施例17
出発原料の2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部の代わりに4−アミノ−2−メチルベンゼンスルホン酸19.7部に変更する以外は実施例6と同様にして前記式(25)で示されるトリスアゾ化合物44部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は578nmであった。
実施例18
出発原料の2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部の代わりに5−アミノイソフタル酸酸18.1部に変更する以外は実施例5と同様にして前記式(26)で示されるトリスアゾ化合物49部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は580nmであった。
実施例19
出発原料の2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部の代わりに5−アミノ−2−(6,8−ジスルホ−2H−ナフトトリアゾール−2−イル)安息香酸43部に変更する以外は実施例5と同様にして前記式(27)で示されるトリスアゾ化合物49部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は582nmであった。
実施例20
出発原料の2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部の代わりに6−アミノナフタレン−1,3−ジスルホン酸30.2部に変更する以外は実施例6と同様にして前記式(28)で示されるトリスアゾ化合物44部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は579nmであった。
実施例21
出発原料の2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部の代わりに7−アミノナフタレン−1,3−ジスルホン酸30.2部、2次カップラーを3−メチルアニリンから2,5−ジメチルアニリンに変更する以外は実施例13と同様にして前記式(29)で示されるトリスアゾ化合物を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は585nmであった。
実施例22
特許文献6実施例1に記載の化合物(22)で示されるモノアゾ化合物用いる以外は実施例6と同様にして得られるトリスアゾ化合物を75℃に加熱し、水酸化ナトリウムを5重量%となるように添加して1時間撹拌した。その後、塩酸でpH8に中和、塩化ナトリウムで晶析することにより前記式(30)で示されるトリスアゾ化合物20部を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は596nmであった。
実施例23
出発原料の2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部の代わりに6−アミノ−4−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−2−スルホン酸36.1部に変更する以外は実施例5と同様にして前記式(31)で示されるトリスアゾ化合物を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は590nmであった。
実施例24
出発原料の2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸20.9部の代わりに2−アミノ−5−(3−スルホプロポキシ)ナフタレン−1,7−ジスルホン酸44.1部に変更する以外は実施例5と同様にして前記式(33)で示されるトリスアゾ化合物を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は586nmであった。
実施例25
前記式(33)の化合物の2次カップラーを2,5−ジメチルアニリン12.1部から2,5−ジメトキシアニリン15.3部に代える以外は実施例24と同様にして前記式(34)で示されるトリスアゾ化合物を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は623nmであった。
実施例26
前記式(34)の化合物の最終カップラーを6−(4’−メトキシフェニル)アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸34.5部を2−(5−ヒドロキシ−7−スルホナフタレン−2−イル)−2H−ナフトトリアゾール−6,8−ジスルホン酸55.0部に変更する以外は実施例24と同様にして前記式(35)で示されるトリスアゾ化合物を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は557nmであった。
実施例27
前記式(35)の化合物の2次カップラーを2,5−ジメチルアニリン12.1部から2−メトキシー5−メチルアニリン13.7部に代える以外は実施例24と同様にして前記式(36)で示されるトリスアゾ化合物を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は596nmであった。
実施例28
前記式(34)の化合物の最終カップラーを6−(4’−メトキシフェニル)アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸34.5部を6−(4’−ヒドロキシフェニルアゾ)−1−ナフトール−3−スルホン酸33.4部55.0部に変更する以外は実施例24と同様にして前記式(37)で示されるトリスアゾ化合物を得た。この化合物の20%ピリジン水溶液中の極大吸収波長は606nmであった。
実施例29
実施例1で得られた化合物(9)の染料の0.03%および芒硝0.1%の濃度とした45℃の水溶液に、厚さ75μmのポリビニルアルコールを4分間浸漬した。このフィルムを3%ホウ酸水溶液中で50℃で5倍に延伸し、緊張状態を保ったまま水洗、乾燥して偏光膜を得た。
得られた偏光膜の極大吸収波長は585nmであり、偏光率は99.9%であり、高い偏光率を有していた。
実施例30〜57
化合物(9)と同様に、実施例2〜28に記載のアゾ化合物を用いて、実施例29と同様にして偏光膜を得た。得られた偏光膜の極大吸収波長及び偏光率を表1に示す。表1に示した通り、これらの化合物を用いて作成した偏光膜は、高い偏光率を有していた。
表1
実施例 アゾ化合物の塩 極大吸収波長(nm) 偏光率(%)
29 前記式(9)の化合物 585 99.9
30 前記式(10)の化合物 562 99.9
31 前記式(11)の化合物 558 99.9
32 前記式(12)の化合物 586 99.9
33 前記式(13)の化合物 586 99.9
34 前記式(14)の化合物 575 99.9
35 前記式(15)の化合物 584 99.9
36 前記式(16)の化合物 593 99.9
37 前記式(17)の化合物 593 99.9
38 前記式(18)の化合物 590 99.9
39 前記式(19)の化合物 588 99.9
40 前記式(20)の化合物 586 99.9
41 前記式(21)の化合物 584 99.9
42 前記式(22)の化合物 591 99.9
43 前記式(23)の化合物 590 99.9
44 前記式(24)の化合物 558 99.9
45 前記式(25)の化合物 577 99.9
46 前記式(26)の化合物 589 99.9
47 前記式(27)の化合物 591 99.9
48 前記式(28)の化合物 578 99.9
49 前記式(29)の化合物 593 99.9
50 前記式(30)の化合物 601 99.9
51 前記式(31)の化合物 587 99.9
52 前記式(32)の化合物 580 99.9
53 前記式(33)の化合物 582 99.9
54 前記式(34)の化合物 631 99.9
55 前記式(35)の化合物 557 99.9
56 前記式(36)の化合物 593 99.9
57 前記式(37)の化合物 608 99.9
実施例58〜59
実施例29及び実施例30で得られた偏光膜の両面にポリビニルアルコール水溶液の接着剤を介してトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム;富士写真フィルム社製;商品名TD−80U)をラミネートし、粘着剤を用いてガラスに貼合して偏光板とした。この偏光板を促進キセノンアーク試験機(ワコム社製促進キセノンアーク試験機)で432h光照射し、照射前後の偏光率変化を測定した。偏光率変化率を{(照射前の偏光率)−(照射後の偏光率)}/(照射前の偏光率)で算出した結果、それぞれ0.6%、0.8%であり、優れた耐久性を示していた。
比較例1
実施例1の化合物(9)に代えて特許文献2実施例1で示される下記化合物(56)を用いて実施例20と同様に偏光膜を作成し、実施例39と同様にラミネートして偏光板とした。この偏光板を促進キセノンアーク試験機(ワコム社製促進キセノンアーク試験機)で432h光照射し、照射前後の偏光率変化を測定した。偏光率変化率を同様に算出した結果、実施例39,40の偏光板に比べ、4.5%であり大きく耐久性が劣っていた。
Figure 0005544289
実施例60〜67
実施例33、35、41、46、47、49、52、53で得られた偏光膜を用いて実施例58と同様に偏光板を作成した。この偏光板を促進キセノンアーク試験機(スガ精機社製;SX−75)で200h光照射し、照射前後の偏光率変化を測定した。偏光率変化率を{(照射前の偏光率)−(照射後の偏光率)}/(照射前の偏光率)で算出した結果、それぞれ表2で示す変化であり、優れた耐久性を示していた。
表2
実施例 偏光膜 偏光率変化率(%)
60 実施例33の偏光膜 1.8%
61 実施例35の偏光膜 1.7%
62 実施例41の偏光膜 2.0%
63 実施例46の偏光膜 0.9%
64 実施例47の偏光膜 2.5%
65 実施例49の偏光膜 2.0%
66 実施例52の偏光膜 0.6%
67 実施例53の偏光膜 0.8%
比較例2 比較例2の偏光膜 4.4%
比較例2
実施例33の化合物に代えて、特許文献5、実施例7の化合物(41)と同様にして作成した偏光膜を実施例33と同様にラミネートした。促進キセノンアーク試験機(スガ精機社製;SX−75)で200h光照射し、光照射前後の偏光度の変化は、それぞれ4.4%であり、実施例化合物に比べ大きく耐久性が劣っていた。
実施例68
実施例5で得られた化合物(13)を染料0.2%、シー・アイ・ダイレクト・オレンジ39を0.07%、シー・アイ・ダイレイクト・レッド81を0.02%及び芒硝0.1%の濃度とした45℃の水溶液を用いる以外は実施例20と同様にして偏光膜を作成した。得られた偏光膜の一方の面にTAC膜(膜厚80μm、商品名TD−80U、富士写真フィルム社製)、他方の面に該TAC膜の片側に約10μmのUV(紫外線)硬化型ハードコート層を形成したフィルムをPVA系の接着剤を使用して貼付し、本発明の偏光板を得た。この偏光板の片側にアクリル酸エステル系の粘着剤を付与して粘着層付き偏光板とし、さらにハードコート層の外側に真空蒸着によりAR(反射防止)マルチコート加工を施し、30mm×40mmの大きさにカットし、同じ大きさの透明な片面AR層付きのガラス板に貼付してAR支持体付きの本発明の偏光板(液晶プロジェクタ緑色チャンネル用)を得た。本実施例の偏光板は、極大吸収波長(λmax)570nmであり、500〜580nmにおける単板平均光透過率は45%、直交位の平均光透過率は0.02%であり、高い偏光度を有し本発明の偏光板(液晶プロジェクタ緑色チャンネル用)を得た。本実施例の偏光板は、高い偏光率を有し、かつ高温且つ高湿の状態でも長時間にわたる耐久性を示した。また長時間暴露に対する耐光性も優れていた。
本発明のアゾ化合物及びその塩は偏光板の原料として好適に用いることができる。

Claims (19)

  1. 式(1
    Figure 0005544289

    (式中、Aは少なくとも1つの置換基を有するフェニル基又はナフチル基を示し、R〜Rは少なくとも1つがスルホン基を有する低級アルコキシル基であり、それ以外は各々独立に、水素原子、低級アルキル基、又は低級アルコキシル基を示し、Xは置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいナフトトリアゾール基を示す。)
    で示されるアゾ化合物及びその塩。
  2. Xが置換基を有してもよいベンゾイルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェニルアゾ基、又は置換基を有してもよいナフトトリアゾール基であって、これらの置換基は、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基又は置換アミノ基である、請求項1に記載のアゾ化合物及びその塩。
  3. Xが式(3)
    Figure 0005544289

    (式中、R及びRは各々独立に水素原子、メチル基、メトキシ基、スルホン基、アミノ基又は置換アミノ基を示す。)
    で示されるフェニルアミノ基である、請求項1又は2に記載のアゾ化合物及びその塩。
  4. Xが式(4)
    Figure 0005544289

    (式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基又は置換アミノ基を示す。)
    で示されるベンゾイルアミノ基である、請求項1又は2に記載のアゾ化合物及びその塩。
  5. Xが式(5)
    Figure 0005544289

    (式中、mは1又は2を示す。)
    で示されるナフトトリアゾール基である、請求項1又は2に記載のアゾ化合物及びその塩。
  6. Xが式(6)
    Figure 0005544289

    (式中、R〜R10は各々独立に水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す。)
    で示されるフェニルアゾ基である、請求項1又は2に記載のアゾ化合物及びその塩。
  7. Aが少なくとも1つの置換基を有するフェニル基又はナフチル基であって、その置換基の少なくとも1つがスルホン基又はカルボキシル基である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアゾ化合物及びその塩。
  8. Aが2つ以上の置換基を有するフェニル基であって、その置換基の少なくとも1つがスルホン基であり、それ以外の置換基は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、又は置換アミノ基である、請求項3乃至7のいずれか一項に記載のアゾ化合物及びその塩。
  9. Aが式(7)
    Figure 0005544289

    (式中、R11及びR12は、一方がスルホン基であり、他方がスルホン基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、カルボキシル基、アミノ基、又は置換アミノ基を示す。)
    で示される、請求項3乃至8のいずれか一項に記載のアゾ化合物及びその塩。
  10. Aが式(8)
    Figure 0005544289

    (式中、R13は水素原子、ヒドロキシル基又はスルホン基を有する低級アルコキシル基を示し、nは1〜3を示す。)
    で示される、請求項3乃至8のいずれか一項に記載のアゾ化合物及びその塩。
  11. 〜Rのうち少なくとも1つがスルホプロポキシ基又はスルホブトキシ基であり、それ以外が各々独立に水素原子、メチル基又はメトキシ基のである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のアゾ化合物及びその塩。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアゾ化合物及び/又はその塩を含有する偏光膜基材を含む、染料系偏光膜。
  13. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアゾ化合物及び/又はその塩、並びにこれら以外の有機染料を1種類以上を含有する偏光膜基材を含む、染料系偏光膜。
  14. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアゾ化合物及び/又はその塩を2種類以上、並びにこれら以外の有機染料を1種類以上に含有する偏光膜基材を含む、染料系偏光膜。
  15. 偏光膜基材がポリビニルアルコール樹脂又はその誘導体からなるフィルムである、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の染料系偏光膜。
  16. 請求項12乃至14のいずれか一項に記載の染料系偏光膜の少なくとも一方の面に透明保護層を貼合して得られうる、染料系偏光板。
  17. 請求項12乃至16のいずれか一項に記載の染料系偏光膜又は染料系偏光板を用いる、液晶表示用偏光板。
  18. 請求項12乃至16のいずれか一項に記載の染料系偏光膜又は染料系偏光板を用いる、液晶プロジェクター用カラー偏光板。
  19. 請求項16乃至18いずれか一項に記載の染料系偏光板を用いる、液晶表示装置。
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